過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:23:12.03 ID:4RdAMvYao
戦士「な、に……!?」
それによって体勢を崩してしまい、後ろへよろけた姿になる。
硬い、などという次元では無く――――歴戦の戦士をして、『不可能』という言葉さえ脳裏を過ぎったほどだ。
よたつく動きの最中、魔界騎士が引き戻した剣を振りかぶるのが見える。
以下略
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:24:20.58 ID:4RdAMvYao
杖先に生まれた魔力の文字が、魔界騎士へと張り付き、浸透していく。
一文字一文字が魔力を封印する意味を持ち、その身に受ければ『呪文』を奪われる。
人ならぬ魔族に効くかは賭けだったが、それには勝てたようだ。
魔界騎士「ほう。初めて受ける呪文だ」
以下略
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:25:03.65 ID:4RdAMvYao
魔法使いが思ったのは、それだ。
鉄壁、神速、そして、苛立ちすら感じる程の――――桁を外れた、圧倒的な破壊力。
呪文ですらない剣技の一撃で、僧侶も戦士も戦闘不能に追い込まれ、残った魔法使いもそれに近い。
たったの一撃で……壊滅させられてしまった。
以下略
34
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:25:59.36 ID:4RdAMvYao
魔界騎士「我が眷属は、魔界では……『決着の種族』と呼ばれていた、ようだ」
魔法使い「……決着?」
魔界騎士「俺達に寿命は無い。病も無い。……戦い、倒される事でしか俺達は死ねん」
以下略
35
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:27:53.52 ID:4RdAMvYao
魔法使い「……聞いても、いいかしら」
問答の中で、どうにか杖に頼らずに立てるほどには回復した。
弱々しく縮んでいた瞳に、ようやく、生来の輝きが帰る。
以下略
36
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:28:57.36 ID:4RdAMvYao
小瓶に集められた『雫』を、魔法使いが振り撒く。
世界樹の恵みを凝縮した奇跡は三人へと降り注ぎ、全ての痛みと傷とを泡雪のように消し去った。
意識を取り戻した僧侶も立ち上がり、全ては、開戦前の状態へと巻き戻され。
――――出し惜しみ無し、全員全力、全身全霊の総攻撃。
以下略
37
:
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:30:07.81 ID:4RdAMvYao
本当ならば……魔王との戦いの為に、使うはずだった。
戦いの中で闘気を蓄積し、振り切った士気を力に変え、数倍にも増す秘法。
弱き人類が生み出した、『限界を超える』力。
以下略
38
:
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:30:44.12 ID:4RdAMvYao
火球の最強呪文が息もつかせず放たれた。
猛り狂う火山のように爆ぜて全てを焼き尽くす――――単発でさえ馬鹿げた威力の呪文。
魔法使い「んあ゛ぁぁぁぁぁッ!!」
以下略
39
:
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:31:22.62 ID:4RdAMvYao
魔法使い「離れなさぁいっ!!」
切り結ぶ後方から魔法使いが叫ぶ。
咄嗟に斬り込んだ剣を引いて、右側に飛ぶと――――間髪入れず、魔界騎士の胸部に氷塊が直撃した。
以下略
40
:
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:32:33.21 ID:4RdAMvYao
爆炎が過ぎ去り、解けゆく鋼鉄の外殻の中で戦士は見た。
舞い散った煙の中に佇む魔の闘技者を。
火球の連発によって、甲冑は点々と炭化して。
反して絶対零度の呪文はその手足を凍らせ、動きを奪って。
以下略
41
:
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:33:07.70 ID:4RdAMvYao
魔法使いは、解き放つ。
最後の決戦の為に何が何でも温存するはずだった、奥の手の、更に奥の手を。
魔力はもう、残ってなどいない、使い果たした。
『エルフ族の薬』の予備も、無い。
以下略
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