過去ログ - 透華「は、ハギヨシ! わわ、私を抱きなさい!!」ハギヨシ「……」
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7: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:05:10.88 ID:MfFILXmIo
「私に許婚がいるみたいなんですの」

「左様でございますか」

「随分と冷静な反応ですわね。もしかして知っていましたの?」
以下略



8: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:05:39.67 ID:MfFILXmIo
龍門渕という家柄を考えれば許婚がいたとしてもそれほどおかしなことではない。
透華も妙齢に差しかかる年頃になっており、父親からそのような話をされるにはちょうどよい時期であるともいえる。
だが直接聞かされたのならば透華はここまで動揺するだろうか。少なくとも萩原の知る透華はそうではない。
受け入れがたいことであったならば父親が相手でも構わず反論をする。
龍門渕透華という少女はそのような人間だ。
以下略



9: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:06:05.85 ID:MfFILXmIo
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その夜、透華は合同合宿に参加する許可を受けるために父親の部屋を訪れようとしていた。
夏に行った4校合同合宿と同じ参加校であり、合宿所も同じ。
形式的に確認を取るだけで、特に問題もなく許可をもらえるだろうと思いながら廊下を歩いていた。
以下略



10: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:06:37.26 ID:MfFILXmIo
『何、もう話したか? ……いや、まだ透華には話していない。いずれ話さなければならないのはわかっていたが、これほど急とはな……』

『ああ。私がとやかく言う立場にないのはわかっているが、許婚がいるなどとどう話せばよいものか』

(……え?)
以下略



11: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:07:06.24 ID:MfFILXmIo
「お父様はこう話しておりましたわ」

「……」

「私も龍門渕の一人娘。お母様がそうであったように、いつかは外から男性を迎えることも覚悟してはおりました。
以下略



12: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:09:09.40 ID:MfFILXmIo
切ない笑みを浮かべて話す透華に萩原は押し黙る。
一度立ち直らせた心は簡単には折れない。今の透華の決意に先刻のような脆さはなく、ただ純粋に力強く萩原と向き合っている。
透華は一度目を伏せ深呼吸をした。そして決意したように顔を上げると萩原を見つめ口を開く。


以下略



13: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:10:17.93 ID:MfFILXmIo
透華の痛切な叫びに萩原は一瞬顔を歪める。
自分を抱いて欲しいと言った透華の言葉はどれほど言葉を弄しても、結局のところ萩原が透華を受け入れるか否か。それに収斂される。
あくまで執事に徹するのであれば、たとえ傷つけることになろうと気づかぬふりをし続ける以上の選択はなかった。
そのとおりだと萩原は思う。そしてなぜ執事に徹することが出来なかったのかと自問する。
もっとも、自問などするまでもないことは、他ならぬ萩原が誰よりもよく知っていた。ただ目を背けているだけだから。
以下略



14: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:10:51.85 ID:MfFILXmIo
主の願いを執事は頭を下げて拒絶する。
萩原が執事である以上、本音をそのまま伝えることなど出来はしない。しかし、虚偽を伝えることや誤魔化すことは彼自身が許せなかった。
萩原は一流の執事であるがこればかりは執事に徹することが出来なかったのだ。
必然、萩原の取り得る選択肢は返答をしないことだけだった。

以下略



15: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:11:29.67 ID:MfFILXmIo
「こういうときはいい夢を見て安らかな気分になりたいですわ。ですからハギヨシ。手助けをして欲しいんですの」

「……何をご所望でしょうか」

「今夜、私の部屋に来なさい。……一夜の夢で構いませんの。どうか、どうかあなたの手で夢に溺らせてくださいまし」
以下略



16: ◆6ardW1rCAXVJ[saga]
2014/02/04(火) 22:12:05.53 ID:MfFILXmIo
「お嬢様。それはご命令でございますか」


萩原の問いかけに透華は首を振って答える。

以下略



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