過去ログ - モバP「見えた今に絶えぬ未来を」
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2014/04/22(火) 22:39:46.31 ID:dbLyof+Po
我が目を……信じたくはなかった。
目の前にある現実が現実でないかのように振る舞うのは、果たして許される行為なのか。
記された歴史から目を背け脳内を逡巡しようとも、己の望む答えなど出るはずもなかった。
何故ならば、それは事実だから。現実だから。
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2014/04/22(火) 22:42:33.21 ID:dbLyof+Po
ドアノブを握ったまま、数秒。
何かを考えこむように――何も考えられず、ただ何を言えばいいのか、といったどうしようもないことを暗澹とした脳内に滞留させる。
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2014/04/22(火) 22:44:24.42 ID:dbLyof+Po
この世界には、一番を決めなければならないルールがあるものだ。
かけっこでも試験でもじゃんけんでもゲームでも、勝負であればかならず一番は存在する。
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2014/04/22(火) 22:46:34.00 ID:dbLyof+Po
「どうかしましたか?」
いつもと変わらない飾り気のない声色に意識を取り戻す。
彼女の姿を見てたじろいでいたのだろうか、普段通りでないと彼女は問う。
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2014/04/22(火) 22:48:22.00 ID:dbLyof+Po
「Pさんも見るんですね」
彼女が微笑む。
その度、チクリ、と胸が痛んだ。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/22(火) 22:50:03.27 ID:dbLyof+Po
「気にしないでください、Pさん。残念ですけど、それはPさんのではなく私の力不足ですから」
翠はそう続け、困ったように首を傾げて笑った。
「それでも謝らなくちゃいけない。口ではどうとでも言えるが、実現できなかったのは俺の責任だから」
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2014/04/22(火) 22:51:44.67 ID:dbLyof+Po
*
「お疲れ様です、プロデューサーさん」
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2014/04/22(火) 22:53:32.12 ID:dbLyof+Po
――それにしても、今年も残念でしたね。
カタカタと乾いた音を共に奏でて十数分経った頃、ふとちひろさんは呟いた。暖房で暖める必要のなくなった最近では息が白くなることも過去になりつつある。
作業の手を止めた瞬間、何のことだ、と一瞬漏らしかけたものの、すんでのところで息を抑える。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/22(火) 22:56:25.40 ID:dbLyof+Po
「Pさんはいるかしら?」
黒く長い髪を大きく流しながら入り込んできた女性――黒川千秋はドアを開けるや否やそう尋ねる。
私服こそ綺麗に着こなしているものの、その動きは大雑把なものだ。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/22(火) 22:57:50.37 ID:dbLyof+Po
だが、昨日と今とで顔を合わせているにも関わらず、打って変わって態度を変化させてそこまで言い詰めるのはどういう意味なのだろうか。
今もなお見えぬ彼女の本意にただ困惑していると、千秋は先程よりも――日常で見られるものではない、ずっと真剣な表情で俺に冷たく言い放った。
「だったら、何故あなたは自分の担当の子すら見てやらないのかしら。あなたにとって……翠さんはただの練習台とでも言うつもり?」
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