6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/19(月) 21:03:25.70 ID:4b2u7eACo
……
パンにジャムを塗りながら、朝が憂鬱なのはなんでだろうとケイはいつものように考えた。
目が覚めると頭と気分が重いのだ。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/19(月) 21:04:02.77 ID:4b2u7eACo
学校に着くとケイは窓際の自分の席に鞄を下ろした。
荷物の重みは肩から消えたが代わりに何か別のものが心を重くした。
教室には既に同級生のほとんどが来ていて、思い思いに雑談をしている。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/19(月) 21:04:35.27 ID:4b2u7eACo
それを自覚するとき、ケイはひどく情けない心地になる。
どっちつかずの宙ぶらりん。
きっぱり片方を選んで泰然としていられない自分に苛立つのだ。
そんなことを考えているので当然ながら本の内容は頭に入ってこない。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/19(月) 21:06:21.15 ID:4b2u7eACo
ケイは目を本に戻した。
あまりじろじろ見ていると他の同級生に変に思われるからだ。
特に異性をじっと見る行為はある種の意味合いを帯びて解釈されてしまう。
それは絶対に避けたかった。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/28(水) 21:24:18.43 ID:ymNkNJOMo
授業が終わり、放課後。
不審者が出ることもあるので気をつけるようにとの校内放送を聞きながらケイは学校を後にした。
背後でにわかに校舎全体が活気づくのを感じる。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/28(水) 21:25:03.42 ID:ymNkNJOMo
川面を見下ろすと鴨が泳いでいた。
こちらと同じく川を下るコースをとっていて、ケイはしばらく速度を合わせて歩いた。
動物はいいなと思う。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/28(水) 21:36:44.61 ID:ymNkNJOMo
不意に声が聞こえた。
顔を前方に向けると、道の先で数人の少年たちが立ち止まり何やら笑いあっているのが見える。
こちらと同じく学校帰りのようだ。
ケイは再び気分が沈むのを感じた。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 22:09:25.17 ID:xDUPc/wNo
山腹の木々の間から鳥のさえずりが聞こえた。
ケイは後ろ、それから周りを確認してようやく肩から力を抜いた。
やはり生きるのに向いてないのかもしれない。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/03(火) 02:00:14.91 ID:61yC03xwo
時期によってはそれなりに車通りはあるのだが今は一台も見えない。
薄灰色の道が山を上って木々の中に消えていた。
じいっと眺めていたがやはり車は来なかった。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/03(火) 02:00:42.77 ID:61yC03xwo
少しばかり背伸びをして見下ろすと、ぼさぼさの後ろ頭が見えた。
道路脇の窪地に男が座り込んでいた。
男は黒く丈の短いコートを着ていて、その裾からさらに白い裾がのぞいている。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/03(火) 02:01:10.87 ID:61yC03xwo
「やっぱり具合がいい」
男のつぶやきが聞こえた。
「ここならちゃんと聞こえるかも」
それからさらにぶつぶつ言いながら手元の何かをいじってはしきりにうなずいた。
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