過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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2014/07/27(日) 21:08:16.64 ID:z9W9RmgV0
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2014/07/27(日) 21:08:51.30 ID:z9W9RmgV0
教頭「そ、それでだね……我わっ我々としては、お母さんとまだ話し合いもしていないからして……」
教頭「――……あっ、はな、話し合いをだね、しないといけないんだよ。分かるよねぇ? うん、うん……」
少女との会見はここ生徒指導室を借りて行われていた。会見には彼女の他、担任である教師と副担任、そして教頭が出席している。
以下略
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2014/07/27(日) 21:09:17.17 ID:z9W9RmgV0
結局あの後も主任を説得することはできず、職員会議は現状の静観を結論づけた。
当然ながら教師は反論し、関係各位と協力の上事に当たるべきだと強く主張した。しかし教師の熱意は同僚たちの嘲笑をもって迎えられた。
彼らの意識上では、教師は平時に乱を起こす厄介者で、その主張はいたずらに事態を煽るものでしかない。
教師(私が思うところを述べれば、彼らはいつも薄ら笑いを浮かべて、私の意見は穏当ではない、穏便に事を運ぶべきだと言う。そして雑音は封殺され、議論を彼らにとって既定の路線に着陸させる)
以下略
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2014/07/27(日) 21:10:03.07 ID:z9W9RmgV0
生徒指導室は大の大人3人を含む4人が落ち着いて座るには少し手狭だった。
備品や椅子、机は通常の教室のものとほとんど変わらない。ややもすれば規模の小さいふつうの教室にも見えた。
これは、この学校が生徒の生活指導に力を入れていないか、むしろ半ば放棄しているからだと教師は考えている。
机を4つ向かい合わせ、もう1つを横付けした計5つの机に教師たちは座っていた。一方に少女、もう一方になぜか教頭と副担任が座って向き合い、教師が少女と教頭らとの間に入る形になる。
以下略
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2014/07/27(日) 21:11:19.78 ID:z9W9RmgV0
教師は苛々と教頭を睨めつける。その理由、教頭の少女に向けた視線にあるのは、疑いようもないほど露骨な好奇と媚び。
――この男は見るからに欲情していた。
たしかにこの少女は美しい。こうしてただ腰掛けているだけでたおたかな風情を醸し出す。
それは、物憂げに伏せられた睫毛が目の下につくる、あるかなしかの陰影のなすわざか、それとも礼儀正しく膝に置かれた手の滑らかな白さのためだろうか。柳を形作る眉は細い筆を払ったように目尻に抜け、綺麗に揃えられた前髪が濡れたように黒い瞳をよく引き立てた。
以下略
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2014/07/27(日) 21:12:32.69 ID:z9W9RmgV0
ところが、彼女は人を惑わす一方で、相手を誑かす意思はない。人であるならば誰しもが彼女を求めるが、彼女はそもそも誰かに身を委ねる意思を持たなかった。その様は教師に、闇に巣を張る女郎蜘蛛と、それに群がる虫々を思わせた。
教師(獲物を捕らえるくせ決して捕食せず、獲物が飢えに腐り溶けて死んで行くのを見ることもしない、残酷な支配者……)
この蜘蛛は自らの力によってではなく、天与の才として否応なく巣を張っている。
以下略
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2014/07/27(日) 21:12:58.88 ID:z9W9RmgV0
彼女に少しでも近づきたい、あわよくばその隣に侍り、伴侶としてありたいという思い上がりはその時、身を切るほどに深い傷となったのだろう。
それでも諦めきれない妄執だけを残して、魂を腐らせるように頽廃し――誰かが彼女に近づくことを許さなくなる。
おそらくはこれが彼女の身に起きている事態の全容だった。
以下略
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2014/07/27(日) 21:13:27.91 ID:z9W9RmgV0
教師(私が教員失格であることと、教員としての義務を放棄することは全く別の問題だ。いや、むしろだからこそ、私は彼女を救わなければならない)
そもそも教師は社会の一員として、未成熟な児童が不当に虐げられているならば、それを救わなければならない。その義務を、教員という立場を通じて履行しなければならないのだ。
望むと望まざるとにかかわらず、この義務は万人に課せられている。これを放棄することは、拠って立つべき社会規範の一切を喪失することで、それはつまり社会からの逸脱を意味する。
以下略
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2014/07/27(日) 21:14:02.82 ID:z9W9RmgV0
時計を見れば、教頭の話が始まってから悠に30分が経過していた。
教頭は相変わらず、少女の常と変わらぬ艶姿を目の当たりにして恍惚としては我に返り、媚を売るように笑う。
眉根が釣り上がるのを感じた。同時に、副担任が教師に視線を向けているのに気付いた。
副担任はにやにやと気色悪い笑みを浮かべている。
以下略
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2014/07/27(日) 21:14:33.92 ID:z9W9RmgV0
実のところ学校は、保護者に対して何らかの強制力を働かせる権限を持たないのだ。特に児童保護においては公権力執行の主体は各市町村に置かれた専門部局であり、学校はその媒介をするに過ぎない。
つまりこの通告は、学校は現時点では様子見を決め込み、何ら実効性のある対策を打たず、そのための協力を拒むという意思表示なのだ。この怠惰が覆されるときには、事態の収拾はほとんど不可能になっているかもしれない。
それを思うと居ても立ってもいられないほどの焦燥が教師を襲うが、教師は学校の決定に逆らえない。逆らうための実力が教師にはなかった。
以下略
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2014/07/27(日) 21:15:30.22 ID:z9W9RmgV0
そもそも彼女への奉仕をなぜここまで嫌がるのか、教師にはさっぱりわからなかった。彼女の境遇を救ってやれるなら、彼らは喜んで教師に賛同するのが道理ではないか。
たとえ彼らがいかに教師を敵視していようと、それと彼女への慕情は釣り合うものではないはずだ。ゆえに彼らの消極的姿勢は教師への敵意によるものではないことになる。
では何が気に入らないのか、教師には何も思い当たることがなかった。
なぜここまで疎まれなければならないのか、と考えかけてはっとする。
以下略
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