43:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:38:59.14 ID:4btJ32Bz0
ゴウト「いつから鳴海探偵事務所は悪魔の巣窟になったのだ?」
ゴウトが呟いたのは銀楼閣の入り口をくぐった時である。
以前から時折、鳴海とライドウに交じり仲魔が賭マージャンに興じているため、超力兵団の事件の頃から悪魔の巣窟となっていたような気もするが、ゴウトの言いたいのはそういうことではなかろう。
44:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:39:37.51 ID:4btJ32Bz0
骨女「普段は、赤い糸が解かれると私たちはお嬢の家……異世界にあるんだけど、そこから直接標的の居場所に空間転移して、標的を異界に引きずり込むんだ。
で、ちょいとばかり怖い目に合って反省してもらってからお嬢が地獄に流すって手はずになってるんだけどね」
ゴウト「ふむ、桜田山で鉄塔の中から悲鳴が続いていたのはその『怖い目』の仕業か……
ちょいとばかりといった次元の悲鳴ではなかった気もするが」
45:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:41:01.76 ID:4btJ32Bz0
最終章 地獄の死闘
その日の夕刻、ライドウはゴウトと二人で鶉橋の屋敷の呼び鈴を鳴らしていた。
46:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:42:47.85 ID:4btJ32Bz0
ゴウト「終わったようだな。
何ともあっけなかったが、これもうぬの策が上出来であったことの証明であろう。
素直にほめてやる」
ライドウは照れ臭そうに帽子の鍔に触れ目を伏せた。
47:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:43:57.11 ID:4btJ32Bz0
ミシャグジさまに案内され無人の屋敷を進む。
書斎の隠し扉から階段を下り、勝手に借りた燭台を頼りにたどり着いたのは、薄暗く殺風景な八畳間程度の部屋であった。
案内を終えたミシャグジさまは管へ帰った。
電灯が設置されていたので点けてようやく室内を観察できるようになった。
48:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:45:39.12 ID:4btJ32Bz0
ゴウト「何者だ?」
謎の声「そこの帳面に書いてあっただろう。
私は鶉橋に召喚された地獄の住人だ。
人面蜘蛛とでも呼ぶがいい」
49:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:46:37.04 ID:4btJ32Bz0
しかし、ライドウは引かなかった。先ほどの問答を聞くに、どう交渉しても人面蜘蛛は地獄流しの頻度を高めることを止めないだろう。
いずれにせよいつか相対して祓わねばならないのだ。
ならば、ゴウトを守れる今祓うのが一番よい。
何よりゴウトが地獄に落ちる瀬戸際、座して見ることなどライドウには出来なかった。
50:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:47:38.69 ID:4btJ32Bz0
ゴウト「なんだ!? 幻術か?」
人面蜘蛛「幻術などではない」
声の方に視線をやれば牛ほどの大きさの人面蜘蛛が巣を張っていた。
51:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:48:45.06 ID:4btJ32Bz0
膨大なマグネタイトが管から吹き荒れ、周囲に混沌とした妖気が満ちる。
緑に輝くマグネタイトの塊が中心部から赤い鬼火の様な物に姿を変えていく。
ライドウはそれに見覚えがあった。その名はマガツヒという。
その中心にはいつの間にか一人の少年が現れていた。
少年は表情こそ人のそれに近いが、顔も含め体中に黒線と青緑に輝く線が幾筋も走っており、首の後ろには大きな角が生えている。
52:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:50:01.42 ID:4btJ32Bz0
人面蜘蛛は追撃に移ろうとするが人修羅が許さなかった。
人面蜘蛛の足もとの大地が震えながらひび割れ、地下から淡く紫に染まった光が溢れる。
もはや中が見えぬ程の輝きの中から人面蜘蛛の悲鳴が聞こえた。
耳障りなその声の中、ライドウの耳に微かに、しかしはっきりと三鈷鈴の音と、しゃがれた声に似合わぬ優しい祈りの声が聞こえた。
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