過去ログ - キョン「ペルソナ!」 アイギス「FESであります!」
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42:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 19:38:55.20 ID:gIGEqEoto
突然の事態に、声が詰まってしまう。
咄嗟に頭上を見上げようとすると、天井に向けた顔面に、黒い何かが覆いかぶさってきた―――接触した感触からするに、カーテンのように見えたそれは、どうやら細い糸の束のようだった。

「くそっ、なんだこりゃ!」

以下略



43:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 19:40:39.81 ID:gIGEqEoto

「下です!」

天井に向けていた視線を引き戻す、古泉の声。言われるがままに、足元を見ると……今度は地面から、あの黒い糸が、雑草のように生えてきていた。それらは、意思のある動きで、俺たちの足にまとわりついていた。
足元に向かって羽ペンを振るう。閃光が床を焼き、足に絡みつく糸が消滅する……しかし、次から次へとどんどん生えてくる上に、下手をすれば足を傷つけてしまうため、思い切りぶった斬ることができない。
以下略



44:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 19:45:33.32 ID:gIGEqEoto
ふと、自分を取り巻く空気に、普段以上の冷たさを覚え、俺は辺りを見回した。時を同じくして、古泉の動きが止まる。

「これは……」

古泉が、何かに気づいたようにそう呟く。それと同時に、古泉の顔面を、白い息がぼやけさせた。
以下略



45:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 19:47:31.10 ID:gIGEqEoto

『進んだ先が、視聴覚室よ。妨害に気をつけて』

その言葉が舞い降りるのとほぼ同時に、辺りの壁の至るところに、黒い光の円が発生し、ひと呼吸ほどの間を置いた後、そこから糸の束が噴き出して来た。
今度は俺たちを捕縛する動きではなく、攻めの動きだ。糸は結束し、まるで特大の鞭のようにしなり、俺たちを打ちつけようと、空を切りながら迫って来る。
以下略



46:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 19:50:10.55 ID:gIGEqEoto
沈黙が、数秒間、視聴覚室内を支配した。
やがて、こちらが攻撃を仕掛けられないのを察知したのか、女が、口の端を歪めながら、地に着けていた両手を持ち上げる。
これはヤバイ。ヤバイやつだ。
女の手が、俺たちに向けて差し出される……すると、あたりの空気が、一層冷たくなった。女の周辺の空間に、透明な、握りこぶしほどの物体―――察するに、氷の礫だ―――が現れる。
鋭い切っ先を持った矢のようなそれらが、一度に俺たちを指した。
以下略



47:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 19:52:25.67 ID:gIGEqEoto
光の球は、一瞬、陽炎のように揺らめいたかと思うと、次の瞬間、音を立てながら爆ぜた。
あたりの空間に飛び散った光の欠片が、無数の光の矢となって飛んでゆく。
その照準は、言うまでもなく、女に向けられていた。
赤い矢を全身に叩き込まれた女は、先ほどよりも大きく身を震わせ、悶えるように首を振った。周囲に張り巡らされた毛髪が引っ張られ、あたりの壁や床が音を立てる。
数秒悶絶した後、女はもう手段は選ばないといった風に、体を起こし、両手を俺たちに向けて、大ぶりに振るう―――しかし、その腕に、再び放たれた赤い光が着弾する。
以下略



48:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 19:57:30.69 ID:gIGEqEoto

「呆れた戦いぶりね。変わってないなあ、あなた」

視聴覚室から出た俺たちを迎えたのは、辛辣な言葉と、寒々しい空気だった。
俺の致命的失態と、古泉のペルソナ覚醒ですっかり忘れていたが、あの女の化物を撃破するのに貢献してくれた人物が、もう一人いた。
以下略



49:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 19:59:05.75 ID:gIGEqEoto
なんとなく予測はしていたが、やはり、この異常事態を脱出するには、俺たちが戦わなければいけないということか。
戦わなければ生き残れない。どこの鏡の中の世界だ、全く。

「それにしても、精神力の消費も意識せずにペルソナを酷使して、挙句の果てに逃げようとするなんて、ちょっと救えないなあ」

以下略



50:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 20:01:00.32 ID:gIGEqEoto

「シャドウの殲滅。シンプルで分かりやすいじゃないですか」

古泉は、どこか生き生きとしている。ペルソナに覚醒したのが、そんなに嬉しいのか。戦いたくてしょうがないって顔だ。
俺はペルソナに覚醒したとき、一抹の闘志は感じたが、高揚感なんぞは覚えなかったぞ。性格の違いか? こいつは案外好戦的な性格なのかもしれない。ボードゲーム好きだしな。
以下略



51:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 20:03:37.31 ID:gIGEqEoto
長門と連絡を取れるのは、影時間が終わり、次の影時間が始まる瞬間に限られているそうで。次の連絡を待つ間、俺たちは朝倉のナビゲーションを頼りに、終わりのない迷宮内を歩き回った。
いわゆるところのザコ敵どもは、やはり不定期に現れた。朝倉曰く、シャドウとはペルソナ同様、影時間のエネルギーが、別のエネルギーと融合し、実体化した存在であり、複数のエネルギーに満ち、飽和状態となった迷宮内のあちこちで起きる、小さな情報爆発に伴って発生するものだという。
その情報爆発が起きる間隔に法則性はなく、予測することは、たとえ長門であっても難しいらしい。
しかし、あのナイフのシャドウや、視聴覚室でのシャドウのような大物はどもは、通常のシャドウを発生させているエネルギーとは異なる、特定のエネルギーが作用することによって生まれるもので、その特定のエネルギーの流れを察知することで、発生を予測することができるとか。
もっとも、影時間の中では、情報解析能力を発揮できない朝倉には、その予測も不可能で、頼みの綱となるのは、現実の長門のみなのだが。
以下略



52:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 20:05:33.72 ID:gIGEqEoto

「……つまり、影時間のエネルギーが、現実世界に及ぼす影響力が、大きくなっているということでしょうか」

「そういうことね。今のところ、シャドウはこの迷宮内にしか存在しないけど、もし、そのうち、街中にも出現し始めたりしたら、被害がどれだけ出るかわからないわ」

以下略



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