81: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:57:29.51 ID:bJtf1eDj0
「あなたはいつもこんなことばかり言ってるのだから、少しは聞く側の立場にもなってみなさい」
「そうっすか……」
それから2つ、3つ会話をして、再び静かな時間が流れる。
82: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:01:59.88 ID:bJtf1eDj0
「で、お前は? 誰かにあげたの?」
ニヤリと少し意地の悪い顔になっている自覚があった。
雪ノ下は少し視線をこちらから外して窓の外を眺める。何かを憂うような表情に思わず惹きつけられる。
83: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:06:58.04 ID:bJtf1eDj0
暫時心ここに在らず状態の俺の顔の前に、いつの間にか綺麗な包装紙に包まれた箱が差し出されていた。
その元を辿れば、雪ノ下が穏やかに微笑みを浮かべている。
「そうね、比企谷くんは本当に幸せものね。私からチョコレートが貰えるのだもの」
84: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:10:45.83 ID:bJtf1eDj0
「……じゃあ、はい」
そちらを見やれば、先ほどと同様に包装された箱がこちらに差し出されている。
「……おう」
85: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:12:46.54 ID:bJtf1eDj0
そう言って由比ヶ浜は雪ノ下にどんどん顔を近づけていく。
垂れた髪をすっと片手で耳に掛けてそれはまるで接吻でもするかのようなうっとりとした表情だ。
なっ!何をするだァーーーーッ。ガチゆりか?ガチゆりなのか?
86: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:16:10.99 ID:bJtf1eDj0
「さみぃな……」
「寒いね……」
自転車を押して、由比ヶ浜と並んでバス停までの道を歩く。
87: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:18:47.79 ID:bJtf1eDj0
停留所に到着し、由比ヶ浜が立ち止まる。
自転車の左レバーを握り込むと、キィと微かなブレーキ音が無人の停留所に響いた。
由比ヶ浜はくるりとその場で回ると、俺と真正面に向き合う格好になった。
88: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:22:09.94 ID:bJtf1eDj0
ガバッと頭を下げて謝る。やはりそうだったか。
ちょっとカマ掛けてみたつもりだったけど見事にビンゴしてしまったようだ。
「別に気にしなくていい。聞かれて困るようなことは話してないしな」
89: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:25:21.48 ID:bJtf1eDj0
バスが到着した。ハザードランプを点灯しつつ、停留所にぴたりと停車する。
先に前方の降り口が開き、運賃を清算しつつ数人が降りていった。
今度は乗車口が開き、由比ヶ浜が乗り込む。
車内アナウンスが備え付けのスピーカーから聞こえた。
90: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:30:23.26 ID:bJtf1eDj0
冬の夜道を行く。
自転車が小さな段差を越えるたび、それに合わせて鞄が跳ねる。
鞄の中には、渡す人それぞれの想いを込められた贈り物が詰まっている。
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