1: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:39:50.57 ID:9XTpaLhVo
・地の文あり 
 ・R-18表現が少しあります 
 ・胸糞注意
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2: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:40:54.60 ID:9XTpaLhVo
 その日は酷い土砂降りの雨だった。 
 川は氾濫し、彼が立ち寄った村は増水に伴い農作物は全て台無しとなったらしい。 
  
 酒屋「やれやれ、これで当分は王都からの仕入れに頼るしかありませんね」 
  
3: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:41:20.97 ID:9XTpaLhVo
  
 盗賊「……さあ。どうだろうな」 
  
 低い、少し掠れた声で彼はさも興味なさげに答えた。 
 その風貌は旅人と思わせるもので、擦り切れた外套と深く被った帽子が特徴的だった。 
4: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:41:52.30 ID:9XTpaLhVo
  
 雨の日は嫌いだった。激しくなる程にズキズキと古傷が痛む。 
 宿屋でベッドに潜り、雨の音を不快だと耳を塞ぐ。 
  
 盗賊「…………独りとは、こんなにも寒いものだったかな」 
5: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:42:31.87 ID:9XTpaLhVo
  
 「何故、貴方は奪うのですか」 
  
 生きる為だと言った。 
  
6: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:43:24.52 ID:9XTpaLhVo
  
 翌日、同じ時間に彼は足を運ぶ。確りと右手にダガーを握りしめて。 
 角を曲がった先、貴族の屋敷の門前―――彼女と、もう一人の男がいた。 
  
 勇者「どうだろうか。これで君を……君達を、救えるだろうか」 
7: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:44:36.59 ID:9XTpaLhVo
  
 勇者「どうだろうか。魔王を倒す旅路……付いてくる気は、ないかな」 
  
 隣では白い女が凛とした顔で盗賊を見つめていた。 
 その視線には何処か懐かしい感覚にも襲われた――それは、何処だったか。 
8: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:45:20.00 ID:9XTpaLhVo
  
 ある日の宿屋での出来事。別室で僧侶は既に熟睡していた。 
 盗賊も微睡んでいた所、勇者の帰りが遅く心配になり探しに出た。 
 勇者は呆気無く、宿屋の裏手で見つかり剣の鍛錬をしていたので大事には至らなかった。 
  
9: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:46:19.63 ID:9XTpaLhVo
  
 翌朝、直ぐに朝食を済ませて街を出発した。 
 王から贈られたらしい、二人を乗せた馬車を勇者が馬に跨がり引いて行く。 
  
 僧侶「盗賊! どうして貴方はそう、だらしがないのです」 
10: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:46:48.30 ID:9XTpaLhVo
  
 盗賊「お前達と旅をして数ヶ月だけど……僧侶、お前、意外に可愛いな」 
  
 僧侶「………なっ」 
  
11: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 00:47:55.38 ID:9XTpaLhVo
 とりあえずここまで 
 案外短くなりそうです 
12:名無しNIPPER[sage]
2015/07/15(水) 01:28:14.96 ID:iR0p75dgo
 続けたまえ 
13: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 10:00:53.12 ID:9XTpaLhVo
  
 ある日、僧侶と盗賊は街へ買い出しへと出ていた。 
 その間、勇者は魔王城の手がかりをと王城へと足を運んでいた。 
  
 盗賊「なあ、僧侶」 
14: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 10:01:24.81 ID:9XTpaLhVo
  
 僧侶「実を言えば、貴方の事を知っていたからでしょうね」 
  
 盗賊「なんだって」 
  
15: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 10:02:05.07 ID:9XTpaLhVo
  
 僧侶「いえいえ。私は好きですよ、その二つ名――それに、とても格好良く思います」 
  
 どきり。 
  
16: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 10:02:33.86 ID:9XTpaLhVo
 僧侶「でも貧民街のみんなの為に、そんな贋作以外は大体を売却してしまうんですよね」 
  
 盗賊「くっ……そう、だな。値にならないもの意外は、売っ払う……」 
  
 話を反らしたかったのに、反らさせてくれなかった。なんと、手強い女だろうか。 
17: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 10:03:12.47 ID:9XTpaLhVo
  
 旅を続けて半年近く。新たに仲間が増えた。エルフの里を訪問した際、一人のエルフを魔物同士の抗争から救った。 
 それを機にエルフの里は魔王軍へ反旗を翻し、その使者として彼女――魔法使いを仲間として迎え入れる様に彼らに頼み込んだ。 
  
 魔法使い「ねえ、盗賊さん。勇者様と、僧侶さんってデキてるの?」 
18: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 10:03:45.60 ID:9XTpaLhVo
  
 魔法使い「私はさ、勇者様に助けられて、魔王に歯向かう事を決めたからね……ちょっと、妬いちゃうなあ」 
  
 盗賊「お前、勇者のこと?」 
  
19: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 10:04:26.07 ID:9XTpaLhVo
  
 その日の晩、魔王城までの進路が決まった。 
 その日から道中の魔物は格段に強さを増していった。 
  
 勇者は剣技は勿論のこと、魔法もめきめきと上達していった。 
20: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 10:04:55.04 ID:9XTpaLhVo
  
 ある日の晩の出来事だった。 
 その日はとても月が綺麗で、相変わらず勇者は鍛錬に出かけていた。 
  
 盗賊がぼんやりと、夜風に当っていると女部屋の扉が開く。 
21: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/15(水) 10:05:21.81 ID:9XTpaLhVo
  
 ―――やるべき事を、やればいい。 
  
 勇者と僧侶が戻って来たのを確認した後、盗賊は夜明け前の街へ繰り出していた。 
 目標はやはり腐った貴族。己が利益の為に、人類に牙を剥く外道。 
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