過去ログ - 結衣「いやな夢」
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17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 23:55:46.47 ID:fk92G9zco
裏口に周ってみる。そこには存在だけは知っていて、私は使ったことのない勝手口があった。もしかしたらここが開いているんじゃないかと軽い気持ちで手をかけ、くいと引っ張る。



……開いた。
以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 23:56:40.04 ID:fk92G9zco
結衣「…………」


扉の向こうに京子がいることを信じ、扉の向こうに京子がいる景色を思い浮かべて……私は優しくノックをした。

以下略



19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 23:58:09.06 ID:fk92G9zco
私が馴染みのあるこの部屋の姿を思い出す。こんなに整頓されたところは見たことがない。


普段そこまで汚いわけでもないが、いつも読みかけの漫画や適当に脱いだ靴下などが片付けられずに散らかっているのが常だった。しかし机の上も本棚も、何もかもがきちんと片づけられており……先のリビングと同じように、誰かがいた痕跡を感じさせてくれない。

以下略



20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 23:58:37.16 ID:fk92G9zco
結衣「京子……きょうこぉ……」


この部屋で過ごした京子との思い出が、一瞬のうちにぶわっと蘇ってきた。

以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 23:59:26.00 ID:fk92G9zco
結衣「きょうこ……きょうこぉ……っ……!」


京子のベッドに力なく手を伸ばし、京子の枕を力いっぱい握りしめて、誰に聴かれるわけでもないのに声を押し殺して泣いた。

以下略



22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 23:59:56.91 ID:fk92G9zco
思えば……京子はいつだって、私のもとに来てくれていた。


幼いころは、私を頼って近づいてきてくれていた。人見知りで弱気な京子には心から頼れる存在というものが少なく、私もそのころから既に京子の支えになる義務感すら覚えていた気がする。“単なる友達”である時間などあったかどうかもわからない。京子は私にとって守らなければいけない特別な存在だった。

以下略



23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/11(水) 00:00:26.23 ID:BRoeWTnho
――――――
――――
――


以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/11(水) 00:00:56.08 ID:BRoeWTnho
京子「……結衣?」

結衣「うん……」


以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/11(水) 00:01:24.08 ID:BRoeWTnho
子供のように大声で泣きながら、京子の温かい身体を抱きしめる。小さな背中を掻き抱いて、その感触を必死に確かめる。未だに夢と現実の区別がはっきりついていない自分の不安定な心に、京子はここにいるんだよと言い聞かせた。


京子「もしかしてまた怖い夢見ちゃったの……? 平気だよ、全部夢だって」

以下略



26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/11(水) 00:02:20.72 ID:BRoeWTnho
風呂を出ると、今度は京子が先導に立って夕飯の支度をしようとした。

私も静かにそれを手伝っていたが、たとえ張り切ろうとも京子の包丁使いなどは相変わらず危なっかしくて……落ち着いて見てもいられなくなり、結局私がメインの作業を変わることにした。

京子は面目なさそうに照れ笑いをしていたが、それが傷心の私にずいぶんと気力を取り戻させてくれた。ようやく大きな不安感が取り壊された気がした。
以下略



27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/11(水) 00:02:51.84 ID:BRoeWTnho
夢とは、いったいどうすれば覚めるのだろうか。



朝が来ること?
以下略



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