過去ログ - あかね「あかりあかりあかり」
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1:名無しNIPPER[sage]
2015/11/17(火) 00:29:40.68 ID:/ylhE4Sso
その日は、夕方から急に雨が降り出した。

今日の大室家にはお客さんが遊びに来ていた。櫻子の友達のあかりちゃんと、ちなつちゃん、そしてひま子。

櫻子たちが中学一年生になってしばらくの時がたった。この四人はクラスでもいつも一緒の仲良し四人組らしく、その楽しげな声は私の部屋まで存分に届いていた。


「じゃあ私、そろそろ帰るね」

「うん! あかりちゃんもちなつちゃんと一緒に帰る?」

「そうしたいところなんだけど、あかり今日傘忘れちゃって……」


喉が渇いたのでリビングに降りてきてみると、四人が玄関前でまごついていた。どうやら外の大雨にも関わらず、あかりちゃんが傘を忘れてしまったらしい。

通りすがった私はそのまま、頭の回転が遅い櫻子に代わってあかりちゃんに言ってあげた。


「傘なんてうちにいくらでもあるから、借りていっていいよ」

「あっ……でも、いいんです。お姉ちゃんを呼んじゃったので」

「お姉さん?」

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:30:20.33 ID:/ylhE4Sso
「あかりのお姉ちゃんがちょうどこのあたりにいるみたいなんです。さっきメールしたら「迎えに行こうか?」って言われたから、お姉ちゃんと一緒に帰ろうと思って」

「そっか。じゃあお姉さん来るまでもう少しうちにいな」

「そうだねー! ちなつちゃんと向日葵はもう帰る?」
以下略



3:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:30:48.93 ID:/ylhE4Sso
櫻子が玄関を大きく開けて、雨の降る外からあかりちゃんのお姉さんを中に迎え入れる。


私も櫻子の姉として、家内として、お姉さんに挨拶をしなければいけないと思った。

以下略



4:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:31:19.04 ID:/ylhE4Sso



翌日。学校も終わり、家でのタスクも食事も済ませ、風呂から上がった私はそのままベッドに寝転んで、目を閉じて中学時代の記憶を静かに探った。

以下略



5:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:32:18.77 ID:/ylhE4Sso
生徒会長としての生徒会活動も終わりを迎えるころ、私はそれまで積みあがってきた想い昂ぶって……赤座先輩に告白をした。

とにかく先輩に夢中だった。先輩に可愛がってもらっている自覚はあったし、うまくいくビジョンしか見えていなかった。恋は盲目とはよくいったものだ。

学生恋愛っぽく、赤座先輩の下駄箱に手紙を入れて呼び出し……誰もいない放課後の生徒会室で、きちんと想いを伝えた。
以下略



6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:32:48.39 ID:/ylhE4Sso
しかしこんな私にも、今は彼女がいる。

時計を見ると、夜21時だった。あと一時間で彼女からの電話が来る。誰にも秘密の二人だけの電話……友人たちに関係を隠しながらではあるが、心から楽しいと思える恋ができていた。

私はもう……中学時代とは違う。
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:33:45.19 ID:/ylhE4Sso
「櫻子……ちょっと出てって」

「え? なんで? 何が書いてあるか見せてよ」

「出てって、お願い」
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:34:33.84 ID:/ylhE4Sso
「!!」


慎重に折り開けていくと、そこには紙が二枚挟まっていた。

以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:35:34.46 ID:/ylhE4Sso



手紙の意味がわからないまましばらくの時がたち……とある休日、私は思わぬ形で赤座先輩に再会した。

以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:37:44.13 ID:/ylhE4Sso
「……ともこ、行きましょ」

「あっ、あかねちゃん……でも……!」

「だめよ。大室さんは今忙しいみたいだから」
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:38:16.00 ID:/ylhE4Sso



中学二年生の私は、生徒会役員であると同時に茶道部も兼任していた。

以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:39:52.97 ID:/ylhE4Sso
「あ……」


その時、ぽこぽんとメールが届く通知音が鳴った。彼女が今日のデートのことで何か送ってきてくれたのかもしれない……少し期待しながら受信ボックスを開いた私の目に飛び込んできたのは……知らないメールアドレスだった。

以下略



13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:40:23.77 ID:/ylhE4Sso



「大室さん……ごめんなさい!!」

以下略



14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:41:00.76 ID:/ylhE4Sso
「先輩……昨日私の隣にいた子、覚えてますか?」

「え……?」

「私は今……あの子とお付き合いしています。ただの友達関係じゃないんです」
以下略



15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:41:30.58 ID:/ylhE4Sso
「先輩と赤座先輩が今付き合ってるんだとしたら……ちょっと気になることがあるんですけど、いいですか」

「なに……?」

「でもこれは……ひょっとしたら、吉川先輩を傷つけちゃうかもしれないことですけど」
以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:41:59.67 ID:/ylhE4Sso
はっきり言って、私は今の赤座先輩と吉川先輩が純粋な両想いで付き合っているとは思えなかった。


吉川先輩の想いはひたむきに赤座先輩に向かっていることだろう。だが赤座先輩のほうがわからなかった。

以下略



17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:42:41.18 ID:/ylhE4Sso



「ここがあかりちゃん家!」

以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:43:36.09 ID:/ylhE4Sso
リビングに向かった櫻子と別れ、私は音を立てずに階段を上った。

そして……「おねえちゃんのへや」と書かれた扉にそっと手を伸ばし、ゆっくり二回、ノックをした。


以下略



19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:44:08.43 ID:/ylhE4Sso
「あなたが何を考えてるのか……私たちにはわかりません。吉川先輩もわかっていません」

「!」


以下略



20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:45:09.18 ID:/ylhE4Sso
私は強い何かに思い当たり……今度は立ち上がってクローゼットを開ける。


「な、何をするの!!」

以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:45:44.58 ID:/ylhE4Sso
「帰って……」

「……嫌です。説明してください」


以下略



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