過去ログ - どうにも、比企谷八幡は彼女のお願いに弱い
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◆.XibMUKIvI
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2016/01/11(月) 17:58:34.63 ID:Pi11uMdl0
強い風が窓をかたかたと揺らしていた。
特別棟最上階に位置するこの部室には、海岸沿いにずらりと並ぶ防風林も意味をなさないらしく、時折がたぴしと潮を含んだ風が窓に打ち付けられる。
普段はさして気にもしない。けれど、ひと際風の強い今日のような日であれば別だ。
以下略
3
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◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:00:05.60 ID:Pi11uMdl0
窓に顔を向けた由比ヶ浜につられて、雪ノ下も顔を上げてちらっと窓を見た。
窓が揺れる音と、どこからか吹き込むひゅーひゅーという隙間風のみが部屋に響く。
もはや読書を諦めた俺は読みかけの本に栞を挟むと、すっかり湯気の消えた紅茶を片付けにかかる。時間もいい頃合い。そろそろ本日の活動も終わりを迎えるだろう。
雪ノ下は楚々とした所作でカップを傾け、ほうと息をついた。
以下略
4
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◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:02:25.84 ID:Pi11uMdl0
「そういや雪ノ下、電車大丈夫か?」
「え?」
以下略
5
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◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:04:14.98 ID:Pi11uMdl0
「いいか由比ヶ浜。京葉線が風に弱いんじゃない。千葉の海岸線の風が強すぎるのが一番の原因なんだ」
「なんでドヤ顔だし……」
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6
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◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:05:55.80 ID:Pi11uMdl0
「まぁそれはいいとして、この風じゃしばらく電車動かないだろ」
「うーん、だね。どんどん強くなってるし」
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7
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◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:07:23.83 ID:Pi11uMdl0
「駅まで行っても振り替え輸送とかしてるだろうから……乗るのに時間かかるかも。あたしの時は結構待ったよ?」
「それは……そうでしょうね」
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8
:
◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:09:24.47 ID:Pi11uMdl0
「心配無用よ。それに、ご家族だってあなたの帰りが遅くて心配するでしょう。だから……私は大丈夫」
そう言って、窓の外の冬枯れを見つめる。
雪ノ下にだって家族はいる。けれど、待つ人間はいない。
以下略
9
:
◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:10:53.57 ID:Pi11uMdl0
湯呑とマグカップを片付けて、帰りの準備を手早く済ませると鞄を背負う。
いつもなら3人そろって部屋を出るのだが、今日は少し違った。
「じゃあまた明日な」
以下略
10
:
◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:12:11.28 ID:Pi11uMdl0
「でも……心配だなぁ」
由比ヶ浜は今歩いてきた薄暗い廊下を振りかえって呟いた。
以下略
11
:
◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:14:23.21 ID:Pi11uMdl0
雪ノ下は変わった。だが、不器用に抱え込むところは変わっていない。
考えてみれば、先生に対して帰りの交通手段がないから車に乗せてください、なんて言うとは想像しがたい。提案されても固辞して自力で帰ろうとする姿が目に浮かんでくる。
「けど、じゃあどうするかって言われてもな」
以下略
12
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◆.XibMUKIvI
[saga]
2016/01/11(月) 18:16:17.94 ID:Pi11uMdl0
その位置のまま、由比ヶ浜はぽそりと耳元へ呟くとすいっと俺から離れた。
「……マジで?」
以下略
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