10:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:15:48.43 ID:/p0Ll9udO
遠くにパン工場の煙突が見えて、見慣れた赤い屋根も見えてきた。
僕は一目散に飛んでいきたかったけど、なんでそうしたいのか分からなかったから、ゆっくりと飛んだ。
そして、バタコさんとメロンパンナちゃんが植えた花壇を見ながら、パン工場の扉の前に着地する。
花はいつも通り綺麗に咲いているのに、僕はその花を綺麗だと思えなかった。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:16:58.47 ID:/p0Ll9udO
「お帰り、アンパンマン」
12:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:18:03.14 ID:/p0Ll9udO
「あの……それなら、ロールパンナちゃんはどうなんでしょう」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:21:26.29 ID:/p0Ll9udO
窓の外の真っ暗な闇が次第に暖かみを帯びて、お日様の光が僕の部屋にも差し込んでくる。
かなり早起きしてしまった僕は、輝く朝日を静かに眺めていた。
空は昨日と同じように青く、いつもと同じような雲が浮かんでいる。
僕はその一つ一つに安心しながら、身支度を整えた。
14:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:24:05.21 ID:/p0Ll9udO
そして、しばらく忙しそうな音が続いて、パン工場の扉をノックする音が響く。
「こんちはー!」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:30:48.53 ID:/p0Ll9udO
「おい!アンパンマン!」
16:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:36:09.25 ID:/p0Ll9udO
しかし、僕たちはなにを話したらいいか分からなくて、少し時間を持て余した。
無言の時間に息苦しさを感じて、カレーパンマンが僕に話しかける。
「そういえば、さっきジャムおじさんになにか話しかけようとしてたよな。
17:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:37:29.12 ID:/p0Ll9udO
「でも、どうしてパン工場に住まなくなったの?」
「それはさ、俺はすごいやつだから、もう一人でも大丈夫だなって思って」
18:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:39:18.26 ID:/p0Ll9udO
「ばいきんまんがお前を殺そうとしてる?そんな訳ねぇだろ」
「そうなのかな」
19:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:40:35.16 ID:/p0Ll9udO
「カレーパンマン?」
「ああ、いや、まーさ」
20:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:43:37.98 ID:/p0Ll9udO
カレーパンマンがパトロールに出掛けてくれてからしばらく経って、外のお日様が傾き始めた頃。
窓ガラスを通って、オレンジ色の光が僕の部屋の中を照らした。
まるでオレンジジュースの中を泳いでいるような綺麗な光を、僕はぼんやりと眺めていた。
こんなにゆっくりしたのは久しぶりで、僕はどうしたらいいか分からなかったから、今はただ夕日に包まれていたいと思った。
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