過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―4―
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◆P2J2qxwRPm2A
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2016/12/24(土) 23:10:18.16 ID:S6YpyFGu0
今さっきの話、私が誕生日を知らなかったことであの子が得をするという意味だとは思うけど、一体何の得をするのでしょうか?
「……わかりません。そもそも、知らなかったことって結構失礼なことですよね……」
それなりに交友がある人が自身の誕生日を覚えていなかったらと考えると、とても悲しいとは思う。なにせ、少しは期待したいものだと思うから、小さくてもいいからお祝いをしてもらいたいと思うのが、誕生日というものだろう。
以下略
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◆P2J2qxwRPm2A
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2016/12/24(土) 23:22:43.47 ID:S6YpyFGu0
『まだ、まだなの。もう少し、もう少しなの―』
中から可愛らしい声が聞こえる。耳を澄ませば衣擦れの音もするし、何やらパタパタと歩く音もした。朝からそんなに張り切る必要はないと思うんですが、やっぱり楽しみにしているということなんでしょう。少しだけ笑みをこぼして、私は扉を静かに開ける。中には下着姿で衣装鏡の前でてんやわんやしている子がいた。
「……まだ入って来ちゃダメなの、お洋服選び終わってないのよ」
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◆P2J2qxwRPm2A
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2016/12/24(土) 23:28:12.28 ID:S6YpyFGu0
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「そろそろ参加される方々がお見えになる時間でしょうか」
「多分そうなの。リリスは着付けお上手なの」
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◆P2J2qxwRPm2A
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2016/12/24(土) 23:33:45.64 ID:S6YpyFGu0
ピエリさんなりにこれだという服を選んでいるとは思う、すべてを着てから決めたいという思いはあるのだろうけど、やっぱり時間が押していた。選ばれた服のこの中で、一着だけが選ばれるとするなら、その服はすべての服の期待を背負っていくんだろう。正直、私はそういう立場に立つのは真っ平だなって正直に思った。
そんなことを思った矢先――
「うー、リリスはどれがいいと思う、ちょっと選んでみてほしいの」
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga sage]
2016/12/24(土) 23:41:20.89 ID:S6YpyFGu0
私の中にあるピエリさんのイメージは子供だった。自分よりも弱いものを殺していく残虐性は子供特有のものだし、あらゆる物事の受け止め方に遠慮がない子供そのものだから、それをイメージしていると純粋さというものを求めてしまう。
だから、そのヒラヒラと揺れる白いレースの入った純白といっていいドレスがある意味私が抱くピエリさんのイメージそのもので、下着の黒は残虐性、上のドレスは物事に対して遠慮なしに対峙する姿勢と考えると、これかなと手を伸ばしていた。
「……これ、ですかね?」
以下略
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga sage]
2016/12/24(土) 23:45:21.83 ID:S6YpyFGu0
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「おおーっ、ピエリさん。いやいや、今年も一段とお美しくなられたことだ」
「ありがとうなの! 伯爵さんのおひげもこの前より、もっとキュートになってるの」
「ははっ、そう言われたくて朝から入念に仕上げたからね」
以下略
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga sage]
2016/12/24(土) 23:50:01.05 ID:S6YpyFGu0
「リリス、ピエリも手伝ったケーキなのよ。美味しいベリーを入れたから最高の味に仕上がってるの」
案の定、それをピエリさんは誇らしく私に見せつけてくる。これがピエリさんの魅力だと思う。自分のしたことに自身を持っていること、私はそんなに自信家じゃないから、そんな風に思うことなんてできない。
「ふふっ、ピエリさんは本当に料理が上手なんですね。私じゃとても作れませんから」
以下略
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga sage]
2016/12/24(土) 23:52:20.67 ID:S6YpyFGu0
その答えにピエリさんが今日見た中で一番の笑顔を返してくれる。自分の作った料理を褒められてうれしかったということだと思う。なら、それをピエリさん自身も味わうべきと、その手に持った小皿を取ると、フォークで掬ってピエリさんに差し出す。
「それじゃ、今度はピエリさんの番ですね。はい、どうぞ」
「う、うん。あ〜んなのー」
「はい、あ〜ん」
以下略
980
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga sage]
2016/12/24(土) 23:55:23.58 ID:S6YpyFGu0
「じゃっじゃーん。リリス、これ見てなの!」
そうとても楽しそうにピエリさんが現れる。その身に着けているドレスを見て私はやっぱりそういうことですよねと、溜息を漏らす。
ピエリさんは白いドレスを身に着けていた。元々選んでいたものじゃない、私が持つピエリさんのイメージで選んだあの白いドレスだ。
無邪気にそれを見せびらかすピエリさんの姿はやはり無邪気で、その青とピンクの混ざった髪のおかげで白いドレスがさらに際立っている。
以下略
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◆P2J2qxwRPm2A
[saga sage]
2016/12/24(土) 23:58:17.66 ID:S6YpyFGu0
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「えへへっ、やっぱりリリスは抱き枕に最適なの」
真後ろから聞こえる声と温かみを感じながら、私は最後の役目たる抱き枕になり果てる。
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