過去ログ - 開かない扉の前で
1- 20
31:名無しNIPPER[sage]
2016/07/05(火) 16:55:26.65 ID:gea1dn9l0
乙です。
登場人物的に旧作の姪の話に関係してるのかな


32:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:36:22.07 ID:b+Qvcd5ho



 台風だ、と何日か前からテレビで言っていた。
 けれど後になってみれば、問題は台風そのものではなかった。
以下略



33:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:39:22.58 ID:b+Qvcd5ho

 そうしてそれから十日もしないうちに、今度は海外で地震が起きた。

 コンビニの募金箱は、それまでは関東から東北に及ぶ広範囲の豪雨災害への義援金を目的とするものとされていたが、
 地震が起きた翌日には、百万人が避難したチリ沖地震の被害への義援金へと名目を変えていた。
以下略



34:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:40:15.20 ID:b+Qvcd5ho



 だからわたしは、チリで地震が起きた週の土曜に、ケイくんとふたりで例の遊園地の廃墟を訪れた。
 べつにコンビニで募金箱に小銭を入れたりもしなかったし、特にニュースを気にかけたりもしなかった。
以下略



35:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:40:57.50 ID:b+Qvcd5ho

 ケイくんとふたりきりで出かけるのは、この日が初めてだった。
 
 というよりは、屋上以外の空間で彼と会うのも、初めてだという気がする。
 
以下略



36:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:41:44.91 ID:b+Qvcd5ho

 言うことといったら、

「草がすごいって言ったのにワンピースにヒールのサンダルって、バカなのか?」

以下略



37:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:43:43.19 ID:b+Qvcd5ho

 とにかく、そんなどこかそぐわない調子で、わたしたちは歩き始めた。
 
 つい先日のことだというのに、豪雨なんてなかったみたいに街並は平和だった。 
 ブロック塀に挟まれた狭い道は、きっと十年前もこんな景色だったのだろう。
以下略



38:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:44:55.39 ID:b+Qvcd5ho

 暗い道を歩きながら、わたしはケイくんの方を盗み見た。
 
 彼はこちらに気付かずに道の先を見ている。
 案内を勝手に押し付けたから、道が合っているかどうかを確認しながら歩いているのかもしれない。
以下略



39:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:45:41.13 ID:b+Qvcd5ho

「ケイくん……?」

 もう一度声を掛けたとき、彼はふたたび歩きはじめた。

以下略



40:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:46:56.85 ID:b+Qvcd5ho

「……あそこみたいだな」

 まだ少し、距離があった。ここから見るかぎり、高台にあるらしい。
 あたりには民家が少ないらしく、周囲は林のようになっていて、ここからでは、どこが入り口なのかも分からない。
以下略



41:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:47:29.28 ID:b+Qvcd5ho

「そんなことより」、と、ケイくんは橋の上で立ち止まったまま、わたしの方をじっと見つめてきた。

「……なに?」

以下略



992Res/853.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice