過去ログ - 開かない扉の前で
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961:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:33:01.30 ID:IzyndCNto



 僕は、もといた世界に戻っていた。
 すみれと旅に出る前にいた、あの当たり前の日常の世界に。
以下略



962:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:33:43.66 ID:IzyndCNto




 まずは家族に、次に警察に、それから学校に、バイト先に、それぞれ事情を聞かれた。
以下略



963:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:34:15.16 ID:IzyndCNto




 隣町で殺人があったとの報道が、連日ワイドショーを賑わせていた。
以下略



964:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:34:54.46 ID:IzyndCNto



 
 周囲は、僕のことを腫れ物かなにかのように扱った。
以下略



965:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:35:30.81 ID:IzyndCNto



 
 久し振りに部室に顔を出すと、相変わらず物静かそうな部員たちがこそこそと何かを話していた。
以下略



966:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:36:35.85 ID:IzyndCNto




 部室のドアがノックされたのはその会話の少しあとのことだった。
以下略



967:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:38:05.23 ID:IzyndCNto

 それは、きっと僕が決められることではないんだろう。

「ごめん。今まで、ずっと、何も言ってこなかったのに、突然こんなの、変だよね」

以下略



968:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:38:35.40 ID:IzyndCNto

 話を終えた僕の膝に、彼女は静かに手を置いた。 
 どうしてそんなことになるのか分からなかった。

「ごめんね」と、それでも小夜はやっぱり謝るのだ。
以下略



969:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:39:46.37 ID:IzyndCNto

 小夜啼鳥の童話の終わり。
 それを突然に思い出す。

 あの話の最後、病に伏せた王のもとに、本物の小夜啼鳥が姿をあらわすのだ。
以下略



970:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:40:15.11 ID:IzyndCNto

 僕は、うつむいたまま、小夜の言葉を噛み締めながら、同時に背後にある扉のことを考えた。
 屋上へ出る扉。決して開かない扉。僕はその先の景色を知ることができない。
 そこにあるもの、ないもの、決して知ることができない。

以下略



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