968:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:38:35.40 ID:IzyndCNto
  
  話を終えた僕の膝に、彼女は静かに手を置いた。  
  どうしてそんなことになるのか分からなかった。 
  
 「ごめんね」と、それでも小夜はやっぱり謝るのだ。 
969:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:39:46.37 ID:IzyndCNto
  
  小夜啼鳥の童話の終わり。 
  それを突然に思い出す。 
  
  あの話の最後、病に伏せた王のもとに、本物の小夜啼鳥が姿をあらわすのだ。 
970:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:40:15.11 ID:IzyndCNto
  
  僕は、うつむいたまま、小夜の言葉を噛み締めながら、同時に背後にある扉のことを考えた。 
  屋上へ出る扉。決して開かない扉。僕はその先の景色を知ることができない。 
  そこにあるもの、ないもの、決して知ることができない。 
  
971:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:40:58.47 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
  
  僕が戻ってきて数日が経った頃、母さんがひそかに教えてくれた。 
972:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:42:15.58 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
  その日から、僕と小夜はふたりで帰るようになった。 
  
973:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:42:38.21 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
  
  終わりかけの夏はいつのまにか過ぎ去って、季節は秋に変わり、けれどまだ、紅葉の見える季節にはなっていない。 
974: ◆1t9LRTPWKRYF[saga]
2017/12/06(水) 01:43:32.60 ID:IzyndCNto
 つづく 
975:名無しNIPPER[sage]
2017/12/06(水) 08:32:50.74 ID:TFOxwJqc0
 おつです 
976:名無しNIPPER[saga]
2017/12/11(月) 00:54:34.49 ID:S5mn3zpLo
  
  
 ◆[L'Oiseau bleu]A/a 
  
  
977:名無しNIPPER[saga]
2017/12/11(月) 00:55:00.90 ID:S5mn3zpLo
  
  それがどうしてなのかは、分からない。 
  でも、よく考えてみたら、ケイくんがこっちに帰ってきていたとしても、わたしはケイくんを見つけられないかもしれない。 
  
  同じ高校に通っているとはいえ、この学校の生徒なんて何百人といて、 
978:名無しNIPPER[saga]
2017/12/11(月) 00:55:27.45 ID:S5mn3zpLo
  
 ◇ 
  
  ケイくんのいないままの高校で、文化祭が開催された。 
  どこにも行き場もないまま、わたしはあちこちをうろうろしたり、校舎裏で本を読んだりして過ごした。 
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