過去ログ - 芳乃「黄昏の帰り道を、そなたと二人で」
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1: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:09:29.27 ID:X90mnw8p0
本日もまた、みなの悩みを聞いていたため、帰りが遅くなりましてー。

あたりには五時を知らせる歌が響いていますー。

それゆえー、すれ違う子供達は、みな寂しそうな顔をしていましてー。

騒がしく話す子らもいますがー、その根底はまだ別れたくないという思いに敷き詰められているのでしょー。

表層こそ笑顔であれー、翳りが見えるのでしてー。

……今、わたくしと別れたお友達もまた、同じ顔をしていますー。

いくつ年を過ごそうと別れが寂しいというのは変わりませぬー。

わたくしもまた、別れに寂しさを感じているのでしてー。

しかし、何ゆえでしょー。

授業が終わって、お友達と別れるときよりいっそう寂しく感じるのでしてー。

……。

寂しさに包まれつつ、女子寮へ向かい歩を進めますー。

静かさが音として聞こえてくるような気がしましてー。

もう数刻経てばりぃんりぃんと虫が鳴くのでしょー。

そのころにはまんまるのお月様もでてまた違った楽しさが現れるはずですがー、この黄昏時にはどうしても寂しさを覚えますー。

何ゆえ黄昏時は物悲しいのでしょー。

目に映るすべてに、耳に聞こえるすべてに物悲しさを感じますー。

茜色も、カラスの声も、踏み切りの音も……。

……おや、踏み切りの音ー?


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2: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:11:22.16 ID:X90mnw8p0
カンカンカン、と前にある赤いランプが交互に点滅していましてー。

なるほど、開かずの踏み切りの音でしたかー。

黄昏の中ではー、普段よりいっそう強く響いていますー。
以下略



3: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:13:57.00 ID:X90mnw8p0
ガタンガタン、と最初の電車が通り過ぎましてー。

なんとなく目で追いますが、面白きものは何も見つからずー。

次いで、二つ目の電車が通り過ぎましてー。
以下略



4: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:14:48.71 ID:X90mnw8p0
わたくしは少し早足で対岸にいるかの者のもとへ向かいますー。

かの者は踏切から少し下がった位置でわたくしを待っていましてー。

「よう、芳乃」
以下略



5: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:16:34.04 ID:X90mnw8p0
「ここでそなたとまみえたのも何かのさだめでしてー」

「ゆえに、このまま別れるのはいかがなものかとー」

せっかくの逢瀬。一度の挨拶だけで済ませるのはもったいないのでしてー。
以下略



6: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:18:42.93 ID:X90mnw8p0
「しかし、そなたは大丈夫なのでしてー?」

つい、わたくしのよろこびを優先してしまいましたがー、かの者は事務所に戻る途中と言っておりまして。

なれば、まだかの者には仕事が残っているのではー?
以下略



7: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:21:04.43 ID:X90mnw8p0
「芳乃は今日どうだった?」

歩を進めると、かの者が私に尋ねてきましてー。

「本日もまた、みなのお悩みを聞いておりましてー」
以下略



8: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:22:10.65 ID:X90mnw8p0
「文化祭で芳乃は何をするんだ?」

「わたくしのクラスはカフェを営むことになりましてー」

「カフェか……」
以下略



9: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:23:05.15 ID:X90mnw8p0
「ねーねー、そなたー。文化祭に来てくれましてー?」

くいくいとかの者の服を引っ張り尋ねますー。

「……一週間後だよな?」
以下略



10:名無しNIPPER[sage]
2016/10/04(火) 20:25:37.97 ID:x6C/a+q4o
i.imgur.com
参考画像


11: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:26:13.04 ID:X90mnw8p0
結局、幾人かの方を誘うそうなー。

誰が来てくれるかはわかりませぬがー、お友達が訪れるというのは嬉しいのでしてー、ふふー。

……先ほどは少々落胆してしまいましたがー、嬉しいのは真でしてー。
以下略



12: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:27:22.98 ID:X90mnw8p0
「ゆえに、黄昏時は自らが一人になったように感じて寂しいのだと私は考えましてー」

そなたが首を傾げましたゆえー、わたくしは言葉を紡ぎますー。

「誰ぞ彼はと聞かなければならぬほど人の顔が見えなければそれはもはや見知らぬ人でしかありませぬゆえー」
以下略



13: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:28:31.11 ID:X90mnw8p0
「確かに夢現な景色ではありー、この場を一人出歩いていたらわたくしも未だ哀に包まれていたでしょー」

「しかし、わたくしのそばにはそなたがいますゆえー」

1歩2歩、かの者の先へ進み前へ踊り出て、振り返りましてー。
以下略



14: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:31:29.05 ID:X90mnw8p0
「わたくしは今、そなたが傍にいるから物悲しさは感じませぬがー、そなたはどうでしょー」

「……まあ、寂しくはないな」

「なれば、夢みたいに綺麗なこの情景を楽しみましょー」
以下略



15: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:32:02.61 ID:X90mnw8p0
また歩を進め、ふと空を見上げると小さく光る星が見えましてー。

「そなたーそなたー、あの星はなんでしてー?」

「あ、もう一番星が出てるのか。えっと……あの星は――あ」
以下略



16: ◆6QdCQg5S.DlH[saga]
2016/10/04(火) 20:35:18.75 ID:X90mnw8p0
黄昏の映し人よしのんに言葉にできないトキメキを感じたので。

思い出エピソードが本当にすばらしいからみんな見て


以下略



17: ◆6QdCQg5S.DlH[saga sage]
2016/10/04(火) 20:37:25.02 ID:X90mnw8p0
前のよしのん
モバP「芳乃の声が聞こえる……」
ex14.vip2ch.com

最近書いたの
以下略



18:名無しNIPPER[sage]
2016/10/04(火) 20:49:32.41 ID:3Wj/8DqRo
おつ
劇場の破壊力もヤバかったなあれは……


19:名無しNIPPER[sage]
2016/10/05(水) 04:42:40.37 ID:IQsbAiq20
モバP「芳乃の声が聞こえる……」の人だったのね
半年前のやつだけどよく覚えている

こういうほのぼのとした癒しSS好き


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