過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:11:08.68 ID:O8fGFwM8o
 寒さに弱い国木田花丸は、師走の風に身を震わせた。
温暖な伊豆にあっても、十二月の夕刻ともなれば風は冷気を帯びる。

「ずら丸は相変わらず寒いの苦手よね」

以下略



3:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:12:24.51 ID:O8fGFwM8o
「クリスマスといえばデートずら。
梨子ちゃんは曜ちゃんを東京に連れて行くみたいずらよ?
イルミネーションを見せてあげるみたいずら」

 善子の方から誘って欲しい。
以下略



4:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:13:29.76 ID:O8fGFwM8o
「ちょっ。そういう後ろめたいのじゃないわよ。
ただあまり追及されたくない変な趣味ってだけ。誰にだってあるでしょ?そういうの。
梨子だって恋人の曜にも知られたくないみたいだから、私がべらべら喋る訳にはいかないのよ。
恋人の前ではかっこつけていたい、っていう気持ちも分かるし」

以下略



5:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:15:24.37 ID:O8fGFwM8o
「何一人で盛り上がってハードル上げてんのよ。
こんな田舎にイルミネーションなんてないわ。沼津駅に申し訳程度の電球が飾られる程度よ。
何にしても、静岡に、特に伊豆に雪なんて滅多に降らないし、積もらないじゃない」

 夢で溢れる花丸の心を、善子の現実的な意見が容赦なく冷やした。
以下略



6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:16:18.69 ID:O8fGFwM8o
「なっ」

 花丸が本当に怒っていると知って、善子も動揺を隠せないようだった。
だが、すぐに動揺は反発に転化したらしい。
もともと吊り上がっていた眦も、鋭さを増している。
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:17:10.71 ID:O8fGFwM8o
 だが、それは花丸とて同じだ。

「勝手にするずら」

 花丸も顔を背けて突き放すように返した。
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:17:51.52 ID:O8fGFwM8o

*

 花丸と善子の意地の張り合いに決着が付かないまま、
十二月二十四日のクリスマス・イヴの夜を迎えてしまった。
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:18:45.56 ID:O8fGFwM8o
 花丸は再び液晶上のイルミネーションへと視線を移した。
時折、霞んで見えるのは、そろそろ眠気が兆し始めているせいだ。瞼が重い。
折角のクリスマス・イヴの夜も、このまま終わってしまう。

「所詮、まるみたいなイモには無縁の世界ずら。だから、まるのクリスマスはこれでお終い」
以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:19:20.92 ID:O8fGFwM8o

*

 初めて訪れる街だ。
黄金色の光に彩られた四方を見回した花丸の口から、思わず声が漏れ出る。
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:20:01.65 ID:O8fGFwM8o
 花丸の目には、たしかに善子の顔が映っている。
吊り上がった瞳と高く筋の通った鼻梁を特徴とする端正な顔立ちは、花丸の記憶にある通りだ。
だが、花丸よりも少し長かったはずのセミロングの髪は、項の辺りでカットされていた。
胸の膨らみもなくなり、代わって身体全体の印象がより鋭くなっている。
その身体が何よりも花丸の記憶と違っていた。明らかに背が伸びているのだ。
以下略



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