47:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:17:06.09 ID:JL8wN2Aao
しかしよくよく見てみれば、
アンコウ人間の皮膚は魚類であるにもかかわらず何やらモフモフと柔らかそうで、
しかも腕や足の関節部分では、その皮膚は不自然にダブついていた。
そして一際怪しさが感じられたのは頭部だった。
48:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:18:01.82 ID:JL8wN2Aao
タカネ「お目通りを感謝します。
つきましては、そのお礼も含めて私の船へと招待したいのですが」
怪しい姿のまま恭しく頭を下げるタカネに、
精一杯の警戒を示しながらも、正直ヒビキは戸惑った。
49:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:19:08.83 ID:JL8wN2Aao
タカネが船、と呼んだ円盤の中は驚くほどシンプルだった。
白一色に統一されたドーム型の部屋には、
中心にある円形のテーブルとそれを取り巻く椅子以外には何もない。
外から眺めた印象からすれば、この一室だけで
円盤の内部すべてを占拠してしまっているんじゃないかと思えるほどの広さがある。
50:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:21:06.05 ID:JL8wN2Aao
いまだアンコウの着ぐるみを着たままのタカネは
テーブルの席をヒビキにすすめ、ぽふぽふと手を叩いた。
すると切れ込み一つ無かったはずの白い壁に突如扉が現れ、
音もなく開いたかと思うと、中から数人の人間が歩み出てきた。
51:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:22:09.97 ID:JL8wN2Aao
タカネ「どうぞ召し上がってください。私の、特製らぁめんです」
ヒビキの正面に向かい合って座ったタカネの前にも、同じ鉢が置かれていた。
ニッコリと、タカネは「さぁ」と手を差し出した。
52:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:25:14.50 ID:JL8wN2Aao
もしかすると動物性の風味には、
自分の後ろに控えるアニマルロボたちのモチーフとなった動物のものがあるかも知れない。
しかしものを食べるということはこういうことだ。
だからヒビキは食事をする前には必ず「いただきます」と感謝を語り、
53:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:27:56.47 ID:JL8wN2Aao
ヒビキ「交渉……?」
ピタリとヒビキの箸が止まる。
そう言えば円盤に乗って現れたとき、
タカネは話し合いが何とかと言っていたことを今更ながらに思い出した。
54:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:29:03.78 ID:JL8wN2Aao
タカネがナプキンで口元を拭いている間に、
二人の鉢は、また音もなく現れた人間によって下げられていった。
タカネ「さて、食事も終わってしまったことですし、話し合いを始めましょうか」
55:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:30:22.54 ID:JL8wN2Aao
ヒビキ「神殿の宝を? まさか、そんなことできるわけないよ」
タカネ「それでもやってもらわないと困ります。
高貴なるハルシュタインが、それを欲しているのです。
拒否はできません、許しません、聞く耳さえもちません」
56:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:32:48.01 ID:JL8wN2Aao
タカネの微笑みは一層深くなり、
張り詰めた空気さえなければ
その光景は二人の少女が友情を確かめ合った場面にも見えただろう。
しかし今は、お互いが放つ気配があまりにも剣呑すぎた。
57:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:35:24.64 ID:JL8wN2Aao
ヒビキはもう一度「ごちそうさま」とだけ言い残し、
アニマルロボたちを促しながら部屋の壁へと進んだ。
まるで手がかりのない出入り口を探すのに手間取るかと、
密かに心配だったヒビキだが、
真っ直ぐ進めば丁度正面の扉がタイミングよく開いてくれた。
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