613:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:53:50.22 ID:kHht+3Bto
もはやハルカイザーには、如何なる抵抗の力も残されてはいない。
闇の重力には引かれるがままであり、
またキサラギに腕を掴まれれば、それもまた引かれるがままであっただろう。
が、キサラギにとってそれはあまりに危険であった。
614:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:56:14.08 ID:kHht+3Bto
だが、次の瞬間。
アミマミ「ぅあっ!?」
突然キサラギの機体が強い衝撃を受け、前進の軌道が大きく逸らされた。
615:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:58:12.95 ID:kHht+3Bto
そこにはヤヨイが居た。
姿は見えない。
しかし確かに、今キサラギに取り付いている怪ロボットのうちいずれかに、
ヤヨイが搭乗しているのだ。
616:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:00:07.92 ID:kHht+3Bto
アミ「!? ま、待ってよヤヨイっち! 何を……」
ヤヨイ『決まってるだろ? 私は閣下と共に行く。
せっかく助けてくれたけど、お前たちとはここでお別れだ』
617:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:01:25.33 ID:kHht+3Bto
アミたちは焦燥から目に涙すら浮かべ、
自らも怪ロボットを殴り、蹴り、必死で引き剥がそうとする。
ノイズの混ざったヤヨイの声を聞きたくないとばかりに、抵抗の叫びを上げ続ける。
しかし、その叫びと抵抗を、静かな短い言葉が止めた。
618:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:05:42.27 ID:kHht+3Bto
・
・
・
ハルシュタイン「……裏切り者が、なんのつもりだ」
619:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:07:29.85 ID:kHht+3Bto
平常のヤヨイであれば、この言葉に身を震わせ、
必死に弁明を始めていたところであろう。
しかし今のヤヨイは全く動じない。
ハルシュタインに抱きついたまま、落ち着いて答え始めた。
620:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:09:22.10 ID:kHht+3Bto
ヤヨイの話した内容を聞きハルシュタインは眉をひそめた。
理由を聞いてはみたものの、やはり分からなかった。
ハルシュタイン「理解できんな……。
勝者に擦り寄るなら分かるが、なぜ死を待つばかりの敗者に付く必要がある?
621:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:13:27.38 ID:kHht+3Bto
“敬愛するハルシュタイン閣下”
“親愛なるハルシュタイン閣下”
そんな言葉は今まで幾度となく聞いてきた。
しかしそれはどれも、勝者としての自分に向けられる言葉だった。
622:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:17:33.60 ID:kHht+3Bto
瞬間、ハルシュタインの脳裏に蘇る。
散っていった二人が残した言葉、そして表情……。
それまで何の感慨もなく素通りしていたものが今、
改めて自身の体を巡っていく。
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