過去ログ - ぼくの何気ない一日の話を聞いてよ
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1:名無しNIPPER
2017/01/23(月) 01:03:39.78 ID:IzEeH/71O
彼女が死んだのは、なんでも数千年前に流行ったらしい病気のひとつのせいであるらしい。
数千年の時を経た情報なんて上手く読み取れるはずもなくて、ディスプレイ越しの翻訳も完璧とは言いがたく、断片的な情報を読みといただけだから、合っているのかはわからないけれど、まぁ概ねは合っているだろう。
コンピューターの性能が劣ってる訳じゃない。僕の方が劣ってるだけの話なんだ。
まぁ、それが世界の致命傷になってしまったわけだけど。
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2:名無しNIPPER[sage]
2017/01/23(月) 01:05:53.00 ID:mjdifTRFo
それよりも
ボクのリズムを聞いてくれ
3:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 01:08:04.89 ID:IzEeH/71O
何もかもが手遅れになってしまうと、それはそれで世界が広がったように感じるもので、僕は宇宙に放り出されたような感覚だった。
とりあえず開けた場所で深呼吸でもしようかと外に出ると、隣にすんでいるサトウさんがいつも通りのよくわからない言葉で挨拶をして通りすぎていった。
変な音を奏でているけれど、もうこうなったら彼のような人がこの世界の生命線になるのかもしれないな。
4:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 01:15:18.87 ID:IzEeH/71O
やらなきゃいけないことは全て意味を成さなくなったから、僕はひとまずコンピューターでいつか見たオーロラというものでも見に行こうと思った。
コンピューターで詳しいことを調べるのは気が引けたから、とりあえず断片的に頭の中に散らばる情報をかき集めてみる。
北に行けば見れるんだっけ?
5:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 01:19:52.34 ID:IzEeH/71O
必要そうなものをかき集めて、僕は家を出た。
少しばかり歩いていると今度は向かいに住んでいるマイケルさんが右腕を落としながら、挨拶をしてくれた。
「あぁ、ほら、また落ちてますよ」なんて言いながら、彼に右腕を渡す。
6:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 01:27:33.60 ID:IzEeH/71O
箱庭から出た空の天気は、思ったよりずっと綺麗ものだった。
ディスプレイ越しのおとぎ話、都市伝説は楽園か地獄かの両極端で、さぁてどちらになるものかと少し身構えていたりもしたんだけど、この様子だととりあえず進むことはできそうだと、胸を撫で下ろした。
でも、作り物の空とそう違わないのがどこか寂しく感じてしまったかな。
7:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 01:35:33.92 ID:IzEeH/71O
僕はとりあえず、なんとか見繕った方位磁針で北を目指す。
少しばかり歩くと、箱庭の中とよく似た街のようなものが広がっていた。
違っているのは、植物たちが建物を覆っている点だろうか。
8:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 01:40:33.18 ID:IzEeH/71O
箱庭が正常に動いていたから、当然といえば、当然だったのかもしれない。
街には、住人が少しばかりいて、そこらを歩き回っていた。
そこらを歩いている人に話しかけてみたけど、やっぱり言葉なんて伝わらなくて、仕方なく適当に散策することにした。
9:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 01:50:37.60 ID:IzEeH/71O
そのあとも、少しばかり街を散策し続けた。
なんだか何もかもがどこかで見たような気はするんだけど、やっぱり新鮮で。少し舞い上がってしまったのかもしれない。
その中でもとびきり衝撃的だったのは、偶然か必然か街の中でもとびきり一番大きな建物だった。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 01:56:41.23 ID:IzEeH/71O
さらに散策を続けていくと、聞き慣れない音が響いてきたので、そちらに向かってみると、なんとも大きな箱が走っているのが見えた。
そう、それは確か、電車というものだ。
少しばかり観察していると、なるほどどうやら定期的にそれはどこかとここの間の行ったり来たりを繰り返しているらしい。
11:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 02:09:26.64 ID:IzEeH/71O
電車が二十回ほど停止と発進を繰り返したところで随分と長く動かなくなってしまったので、僕はそこで降りることにした。
ずっと待っていたのか、僕が降りると少ししてその電車はまた逆方向へと走り出した。
しかし、ずっと窓の外を眺めているけれど、どこも似たような町並みだ。
12:名無しNIPPER[sage]
2017/01/23(月) 10:01:30.28 ID:Aa2GFWiOO
期待
13:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 21:37:51.44 ID:1xgQeT16O
さらに北に行く電車はないものかと数分ほど周りを眺めていてみたけれど、それらしきものはひとつもなかったたので僕は駅から出ることにした。
名も分からぬ鉄道の終点駅は、今まで車窓越しに見ていた街の中では幾分か都会的な部類に見えるけれど、はたしてどれくらい栄えているのかなんてことは、一見するだけでわかりはしなかった。
僕はなんとなしに右ポケットの中を気にしながら歩いて、ふと見えてきた公園にこれまたなんとなしに吸い込まれてみる。
14:名無しNIPPER[saga]
2017/01/23(月) 21:46:03.05 ID:1xgQeT16O
宙に浮いたエレキギターを響かせながら、聞きなれた何かが軋む音を等間隔のリズムで鳴らし揺れるその少女は、どこか不思議な気がして、どこか異質な気がして、これまた僕の目線を奪うに事足りるものだった。
「〜♪」
歌詞のないメロディーをギターに合わせて口ずさむ彼女の歌は誰に向けて歌っているものなのか、何を込めているものなのか。
15:名無しNIPPER
2017/02/07(火) 00:45:11.02 ID:9rC7pAyDO
どうにも自分の居場所を持て余した僕は、彼女の隣のブランコに腰かけて彼女の歌を聴き続けることにした。
彼女は僕のことなんて気にしているそぶりもなくただエレキギターと声を響かせ続けた。
どれほどの時間が経ったのか。そんなことはわかりはしなかった。
16:名無しNIPPER
2017/02/07(火) 00:51:17.98 ID:9rC7pAyDO
「あぁ、暇なんだ」
僕はそれだけ言うと、彼女は「そう」とだけ言って、またギターを構えた。
「僕の言葉がわかるの?」
17:名無しNIPPER
2017/02/07(火) 01:02:18.78 ID:9rC7pAyDO
「オーロラなら、……なんだったかな。なんとかナイフだとか。そんなところにでも行けばいいんじゃないかな」
彼女はそう言ったあと「まぁ、北に行けば嫌でも見れるんじゃない?」と付け加えた。
彼女がそう付け加えたのは、地名なんて意味があってないようなものだからだろう。
18:名無しNIPPER
2017/02/07(火) 01:11:21.11 ID:9rC7pAyDO
公園から役所とやらはそこまで離れておらず、数分ほど歩くとすぐに着いた。
「到着だね」
「暇なの?」
19:名無しNIPPER
2017/02/07(火) 01:22:07.79 ID:9rC7pAyDO
ワープホール。
長距離移動、高速移動を可能とする装置。
物理的物質を一時的に情報的物質に分解。
20:名無しNIPPER
2017/02/07(火) 01:25:47.79 ID:9rC7pAyDO
「……もういい。なんとなくわかったよ」
僕は彼女が読み上げるワープホール装置の説明書を止めながら僕はいろいろと思考を巡らせる。
目指す場所は、できるだけ、北へ。
21:名無しNIPPER
2017/02/07(火) 01:26:15.34 ID:9rC7pAyDO
>>20
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