過去ログ - 一ノ瀬志希「フレちゃんは10着しか服を持たない」
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◆Freege5emM
[sage]
2017/02/13(月) 02:26:47.87 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
知り合って一週間も経たないあたり、あたしはフレちゃん家へお茶にお呼ばれした。
最寄り駅まで行ったら、フレちゃんがそこから案内してくれるとのこと。
以下略
5
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:27:19.32 ID:bfxHdujzo
あたしが宮本家の肖像を眺めていると、やがてコーヒーの香りがキッチンからこっちまで届くようになった。
濃い。これは濃い。あたしは前にコーヒー党を気取って買って、
2〜3度しか使わないまま放置している自宅のフレンチプレスを思い出した。
以下略
6
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:28:18.34 ID:bfxHdujzo
それからあたしはフレちゃんのパパとママとに顔を合わせることになった。
パパとママの帰りを待つ間、夕食のデザートを一緒に作ろうということになった。
冬の終わり、イチゴの美味しい季節。甘く丸々としたイチゴが八百屋さんを賑わせていたので、
フレちゃんがイチゴタルトを作ろうとアイディアを出して決まった。
以下略
7
:
◆FreegeF7ndth
[saga]
2017/02/13(月) 02:30:12.86 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
それからあたしは、フレちゃんにどんどん傾倒していった。
以下略
8
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:30:56.79 ID:bfxHdujzo
その日のフレちゃんは、黒レースをあしらったキャミソールの上に、
さらに薄紫の透け感のある長めのキャミソールをもう一枚重ねて、
ボトムスはベージュの活動的なショートパンツだった。
以下略
9
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:31:34.05 ID:bfxHdujzo
「やっぱり、フレちゃんはすごいなぁ」
あたしは扉を閉められたクローゼットを見やり、改めてフレちゃん流への感銘を述べた。
フレちゃんはたくさんのお店を見て回って、自分が着るにふさわしい服をこだわって選び抜いているのに、
以下略
10
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:32:26.62 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
その年の春頃から、あたしは急激に忙しくなった。
プロデューサーいわく『最近の志希はいつも楽しそうに仕事するから』とアイドルの仕事をバンバン入れてきて、
以下略
11
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:33:26.15 ID:bfxHdujzo
あたしの耳はフレちゃんが謙遜を言ったと思った。
でもあたしの目がフレちゃんの顔を改めて眺めて、やっぱりおかしいと思い直した。
フレちゃんの目はテーブルの上の、セーヴル先生とコーヒーとイチゴタルトを見下ろしていた。
以下略
12
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:34:41.96 ID:bfxHdujzo
あたしは口を開けたままポカンとした。
フレちゃんはあたしに向けていた視線を、またテーブルのイチゴタルトに下ろした。
「アタシが褒めてもらえるときは、いつだってそう。ママからもらったものだけ」
以下略
13
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:35:16.31 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
目を開けると、耳障りな振動音がどこからか聞こえてきた。
あたしの携帯が鳴っていた。ディスプレイを見ると、いつの間にか日付が変わって次の朝だった。
振動音は着信で――相手はプロデューサーだった。あたしは携帯の電源をオフにしてまた目を閉じた。
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