過去ログ - 【ミリマス】午前五時よりの使者(なおしほ)
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1: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:42:14.09 ID:IfE//nEu0
・アイドルマスターミリオンライブのSSです。
・主要登場人物は横山奈緒と北沢志保の二人。
・ライブイベント当日の朝、朝早くに劇場に来てしまった二人のお話です。

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2: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:43:38.03 ID:IfE//nEu0
「ふぁぁあ……」
気の抜けたあくびを一つ。これでもう何度目か。どうしてこの眠気が昨晩のうちに来なかったのかと横山奈緒は思っていた。
彼女の目の前に見えるのは765ライブシアター。通称“劇場”。奈緒の本日の戦場だ。もっとも今は誰の姿もなく閑散としている。現在朝の五時。数時間後に大勢の人が集まるとは到底思えない光景だ。それもそのはず、時刻は朝の五時。奈緒は始発で劇場に来たのだ。もっとも集合時間は早朝ではなく十一時。リハーサルも午後からの開始だ。
それではなぜ奈緒はこんな早朝に劇場に来ているのか。
端的に言えば、寝付けなくて朝を迎えてしまい、「それならもう劇場行こう」と思ったからだ。家に居ても落ち着かないし、仮に劇場で眠ってしまってもきっと誰かが起こしてくれる。家にいるよりは遥かにマシと奈緒は判断したのだ。
以下略



3: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:45:36.84 ID:IfE//nEu0
すいません、読みにくくなってしまいましたね…。
再度書きますごめんなさい。


4: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:46:27.85 ID:IfE//nEu0
「ふぁぁあ……」
気の抜けたあくびを一つ。これでもう何度目か。
どうしてこの眠気が昨晩のうちに来なかったのかと横山奈緒は思っていた。
彼女の目の前に見えるのは765ライブシアター。通称“劇場”。奈緒の本日の戦場だ。
もっとも今は誰の姿もなく閑散としている。
以下略



5: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:47:12.96 ID:IfE//nEu0
複数ユニットでの合同ライブイベント。
今回奈緒が組んだユニットにとっては初めての出演となり、非常に重要なステージである。
それにも関わらず寝不足に緊張。コンディションは不良中の不良。
さらには不安とライブ前独特の高翌揚の混ざった不思議な精神状態。一言でいえば不安定ということだ。
「おはよーございますー! 横山奈緒、到着しましたー!」
以下略



6: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:48:09.51 ID:IfE//nEu0
せめて誰かいたなら雑談でもしてこの気持ちを紛らわせるのに。
みんなきっちり時間通りに来るのだろう。
やっぱり無理矢理でも寝ようかと思って机に顔を伏せようとした。
だがそのとき奈緒の耳に自分のものではない、何者かの音が届いてきたのだ。
誰だろうと奈緒は顔を上げて、その人物の到着を待った。もちろん期待に胸躍らせながら。
以下略



7: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:48:57.31 ID:IfE//nEu0
「志保……?」
楽屋に入って来たのは北沢志保。奈緒と同じ765プロに所属しているアイドルだ。

「なんで志保がおるん?」
「……呆れた」
以下略



8: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:49:55.41 ID:IfE//nEu0
二回目の台詞。それも心底ガッカリしたような顔を志保はしていた。
志保はため息を一つ吐いてから、手に持っていた自分の荷物をテーブルの上に置く。
数時間もすればテーブルの上はメイク道具やらアイドルの荷物やらで一杯になるだろう。
今は志保と奈緒の荷物しかなく、志保の荷物が机上の空白をより強調しているようだ。

以下略



9: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:50:35.50 ID:IfE//nEu0
「……まぁ冗談を本気と受け止めた私も悪いんですけど」

そう言って志保はスマホの画面を奈緒に見せる。
画面に写されているのは奈緒と志保の通話アプリでの会話だ。
それを見てすぐに奈緒は自分の過ちに気付いた。
以下略



10: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:51:11.38 ID:IfE//nEu0
『あーホンマに眠れへん! めっちゃヤバイわー』
『そうですか。私、そろそろ寝ていいですか』
『志保冷たい!』
『冷たくてもいいですから寝て下さい』
『いっそ朝まで起きてたほうがええんちゃうかな』
以下略



11: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:52:48.86 ID:IfE//nEu0
「奈緒さんのことだから結局朝早くから劇場に来るんだろうなぁと薄々思っていました。そうしたら案の定……」

志保の読みは当たった。内心当たって欲しくなかったに違いない。

「あはは……お見通しやったか。あ、でも何で志保来たん? 私が来るのは予想していたとしても志保が来る必要はないやん」
以下略



12: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:53:36.70 ID:IfE//nEu0
「それで、早く来て何をするつもりだったんですか?」
「んー最悪ここで寝ても誰かが起こしてくれるかなって。でもそれ以外はなーんも考えてへんねん」
「本当に考えなしで来たんですね。……それで、寝るんですか? いいですよ、私起きてますから起こしますよ?」

せやなぁ、と奈緒が言おうとすると静かな世界に突然の闖入者があった。
以下略



13: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:54:46.75 ID:IfE//nEu0
「もしかして朝ごはん食べてないんですか?」
「うん。『コンビニのご飯は駄目だよ!』って前に美奈子に怒られてもーてなー。
せやかてこんな朝早くにコンビニ以外開いてへんし、とりあえずケータリング来るまで水で耐えよかな思うてたんやけど」
「あぁ美奈子さん。それは仕方ないですね」

以下略



14: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:55:55.46 ID:IfE//nEu0
奈緒の言葉を聞かないふりをして、志保は自らのカバンから小さな布の袋を取り出した。

「……はい」
「や、志保。『はい』って言われても。それなんなん?」
「自分で確かめて下さい」
以下略



15: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:56:55.59 ID:IfE//nEu0
また視線を逸らした志保を横目に奈緒は早速弁当箱の蓋を開ける。
中身はさらに奈緒を感動させるものだった。

「おおおお! めっちゃ美味そうやん!?」
「ライブ前ですからあまり濃いものは避けましたけど」
以下略



16: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:57:46.57 ID:IfE//nEu0
「なぁなぁ、食べてもええ?」
「はい。そのためにつくっ……持って来たんですから」
「えへへ。ほな、いただきまーす!」

早速ひと口食べた奈緒。すぐに彼女の歓喜の声が聞こえてきた。
以下略



17: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:58:53.90 ID:IfE//nEu0
「はー食べた食べた。ごちそうさまー」
「お粗末さまです」

弁当の隅まで何も残すことなく奈緒は弁当を食べ終えた。
ライブ前なので多過ぎず、かといって質は高い。
以下略



18: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:59:49.71 ID:IfE//nEu0
再び訪れた沈黙の時間。
時刻はまだ朝の六時前。
当然だが、楽屋に二人以外の誰かが現れる気配はない。
志保は暇つぶしの道具をスマホから本へと変え、その正面で奈緒は今日披露する曲を音楽プレイヤーで聞いていた。
互いに干渉することなく各々の時間を過ごしていた。
以下略



19: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:00:38.07 ID:IfE//nEu0
ほとんど眠れていないことと、食事を入れたこと、そして志保と話して心が落ち着いたことが原因だろう。
突然の眠気は、まるでせき止められていた川の水が堤防の決壊で一気に流れ始めてきたかのようだ。

「まだ集合時間もリハも何時間も先ですし、寝ていたらどうですか? 今のうちに少しでも休んでおかないと体力もたないと思います」
「せやなぁ……」
以下略



20: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:01:38.65 ID:IfE//nEu0
「……奈緒、さん? あっ、ソファのほうが寝やすいですよね。すいません、至らなくて」

楽屋のソファは驚くほどフカフカで座り心地がいい。
机に伏すよりもソファなら気持ち良く眠れるかもしれない。
志保はすぐにソファを明け渡そうと立ち上がろうとしたが、すぐに奈緒に制された。
以下略



21: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:03:28.07 ID:IfE//nEu0
「にひひ、やっぱりぴったりや。それに気持ちええなぁ」
「変なことを言わないで下さい! それと私まだいいとは言って……!」
「お願いやー。寝させてー今ならスッキリ眠れる気がすんねん。あとで何でもするからー」

その言葉はズルい。そう志保は思った。口には出さないけれど。
以下略



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