過去ログ - 佐久間まゆ「たった一つの光、願い込めて」
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名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:13:42.06 ID:ltgFqpYMo
「突然どうしたんですか?」
私は心の内側を悟られないようにいつものような声色で言葉を紡ぐ。
プロデューサーさんに嫌われるためだけの甘い声で。
以下略
6
:
名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:15:07.59 ID:ltgFqpYMo
プロデューサーさんは、にっこりと笑う。
泣きだしそうに見える、彼特有の笑みで。
「じゃあ、今から行こう。夜は冷えるから仮眠室の毛布を持っていこうか。先に鍵を開けて待っていてくれ」
以下略
7
:
名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:16:42.61 ID:ltgFqpYMo
夕日はすっかりと沈んでもう夜の時間。
プロデューサーさんの車に乗って、私たちは曲がりくねった山道を進んでいる。
プロデューサーさんの席の後ろでなるべくバックミラーに映らないように、私はプロデューサーさんを見つめている。
以下略
8
:
名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:18:21.64 ID:ltgFqpYMo
古びた街灯の根元に車が止まる。
「よっし、着いたぞ、まゆ」
プロデューサーさんは楽しそうに言う。
以下略
9
:
名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:19:54.75 ID:ltgFqpYMo
「ねぇ、まだ此処に来た目的を内緒にするんですか?」
毛布の下から顔を出して、私はいたずらっぽく彼に尋ねる。
彼が無計画に行動を起こすのはいつものこととはいえ、いくらなんでも今回は読めない。
以下略
10
:
名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:21:16.97 ID:ltgFqpYMo
「俺は昔から自然が好きだったから、良くこの山に来てたんだ。親に怒られた時、テストで悪い点を取った時、先生に怒られた時、嫌なことがあった日はいつも此処にいたっけなぁ」
しみじみと、プロデューサーさんは言葉を紡ぐ。
いつの間にかアスファルトの舗装はなくなり、柔らかな芝生が足を包み込んでいた。
以下略
11
:
名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:22:26.54 ID:ltgFqpYMo
やがて私たちは展望台を登り切り、鉄柵に両腕を置いた。
プロデューサーさんが体重をすっかりと鉄柵に預けているのを見て、私も恐る恐る彼の真似をする。
プロデューサーさんはスーツ姿、私は毛布をかぶったお化け。
以下略
12
:
名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:24:16.71 ID:ltgFqpYMo
「奇麗だろう? 昔泣き疲れてこの場所で眠ったら、偶然見つけたんだ。その頃は寒くて次の日に風邪をひいたけど、それに見合って余りあるくらいの体験をしたと思っているよ」
瞬く星から目を離せない私にプロデューサーさんが言葉をかける。
やっとのことでその光景から視線を離し、私はプロデューサーさんの瞳を見つめた。
以下略
13
:
名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:26:31.79 ID:ltgFqpYMo
「俺は、まゆの前にも数人アイドルをプロデュースしてきてる。だから、アイドルが考えてることくらいはわかるつもりだった」
独り言のような調子で、プロデューサーさんは呟く。
「最初に担当したアイドルは、凛だった。彼女はじゃじゃ馬だったが、今思えばあいつの考えてることはわかりやすかったな。俺が思うアイドル像に、一番近い奴だった」
以下略
14
:
名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:32:31.50 ID:ltgFqpYMo
「まゆは……プロデューサーさんのことが大好きです」
「それはさんざん聞いたよ。それも、演技じゃないのかと俺は考えている。その一人称や笑い方が演技なんじゃないかって、俺の考えすぎかな?」
乾いた笑いがこぼれる。
以下略
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