1: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:24:18.77 ID:hQC3TSV30
シリアスギャグです
2: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:25:50.63 ID:hQC3TSV30
これから話すことは、俺の失敗談だ
一切を包み隠さず話す。よく聞いてほしい
3: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:26:50.89 ID:hQC3TSV30
彼女と出会ったのは、5月頭の、雨上がりの曇り空が重苦しい夕方だった。気圧が低く、かつて手術した膝が痛んだのを今でも覚えている
俺はとあるアイドルプロダクションのプロデューサーとして働いている。担当するアイドルは八神マキノと綾瀬穂乃香。
4: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:27:30.00 ID:hQC3TSV30
事務所の移籍には様々な理由がある。契約更新もあれば、彼女ほどの年齢なら進学などもあるだろう
それから、いじめやハラスメント。性的な方面への強要。それらに耐えかねてこの事務所に来た、というのも考えられる。
5: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:27:56.25 ID:hQC3TSV30
後日。
ほたるは穂乃香から、俺の事をいくつか聞いたらしい。間接的でだが、信頼を得ることが出来て良かったと思った。
6: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:28:24.04 ID:hQC3TSV30
俺は彼女の話を聞いてもあまり驚かなかった。事前にマキノが調べてくれたとおりだったからだ。
しかし、他人が調べたことと、本人が口から言うことでは受け取れる物が違う。
7: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:29:06.87 ID:hQC3TSV30
今にも泣き出しそうなほほたるに、何を言えば良いのだろうか。彼女の過去を知ったが、それはあくまで聞いた話であって、実際に体験した彼女より知っているわけじゃない。
だから、彼女について適当なことは言えない。「疫病神じゃないよ」とか「事務所は元々倒産する予定だったんじゃない?」とか、そういうことは絶対に言えない。
8: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:29:37.67 ID:hQC3TSV30
心を開いてくれたのか、さっきは語ってくれなかったことも言ってくれた。
「『お前の不幸のせいで…』って、倒産した事務所の社長に言われたことがあって。」
9: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:30:06.03 ID:hQC3TSV30
ほたるとこれまでのこと、これからの事を話してから数時間後。俺はマキノの部屋へ赴いていた。
「なんでそんなことを調べさせるの?」
10: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:30:46.39 ID:hQC3TSV30
俺と『コイツ』は教亭高校のサッカー部だった。
コイツが二年の頃に俺は新入生として入部し、トップ下のポジションを争っていた。
11: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:31:11.19 ID:hQC3TSV30
それから4ヶ月後、部内の紅白戦にて。『コイツ』の故意なラフプレイで、俺は左膝の靱帯を断裂した
「あぁごめん、大丈夫かい?」
12: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:31:51.16 ID:hQC3TSV30
俺にだって人並みの夢があった。高校で活躍してスカウトされてJ1の選手になって、日本代表の選手になって、日本人全員が期待するゴールの始まりのパスを出す。そんな叶えたかった夢があった。
でもその夢は終わった。『コイツ』に終わらされたんだ。
13: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:32:29.42 ID:hQC3TSV30
「私も、あの娘とは色々お話したわ」
マキノがわざとらしく声を大きくしていう。いい娘よね、と前置きしてから
14: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:35:15.30 ID:hQC3TSV30
それからの俺は『復讐』の2文字にとりつかれていた。その間にもほたるは人間関係を構築していって、前のように困ったような笑顔は減って、楽しそうな笑顔が増えて行った
彼女の宣告通りに不幸な事態は発生する物の、全ては対処が可能で仕事に支障は無かった
15: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:35:55.12 ID:hQC3TSV30
5月21日当日。俺は出勤前にショッピングモールへ。開店の1時間前に行ったが、既に10を越える人数が並んでいた。ぴにゃこら太って人気があるんだなぁ……なんか前の方で「メルカリ」とかの単語が聞こえるけど、きっと並んでいる間にもぴにゃグッズをチェックしているのだろう。熱心なファンには圧倒される。
開店。俺は目当ての限定品(お一人様一つのスペシャルカラーぬいぐるみ)を無事にゲット。それと、29日に開かれるであろうパーティ用にぴにゃマスク等も合わせて購入した
16: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:36:40.46 ID:hQC3TSV30
ほたるの未来を奪おうとした人間。ほたるに影を落とした人間。そいつが、そいつが、そこにいる
なんでヤツがこんな所に。ぴにゃ? スーツ姿だ。左膝。白菊ほたる……様々な思考が脳裏を一瞬で駆け巡る。しかしそんな思考よりもずっと早く、俺の体は動く
17: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:37:07.23 ID:hQC3TSV30
18: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:37:39.78 ID:hQC3TSV30
殴られ倒れた人物の顔をよく見る。背格好や髪型は確かにあいつに似ているが、顔が全くの別人だ。白目を剥いてしまっているが断言出来る。コイツは別人だ。
「しっかりしてください! しっかりしてください!」
19: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:38:07.30 ID:hQC3TSV30
・・・
おまわりさん、これが事件の真相です
20: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:38:48.04 ID:hQC3TSV30
「とりあえず! 今回は向こう側が気にしてないって言ってるから! 大事にしたくないという被害者の意志を尊重して! お咎めはないけれども! 二度と人を殴るような真似をするんじゃねぇぞ!!」
はい……すいませんでした……
21: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:39:14.30 ID:hQC3TSV30
警察署を後にする。まだ日が昇りきってない。正午まで1時間以上はあるだろう。
スマホが震える。起動して、来ていたメッセージを読む
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