67:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 12:48:29.69 ID:W+HAaMa50
*
「うちに寄っていかないか?」
自転車を押しながら後ろをついてくる透子に、俺は言った。
68:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 12:56:40.24 ID:W+HAaMa50
*
家の扉を開けると、玄関に女性物のパンプスが置かれていた
それに、リビングからうっすらと聞こえてくる、華やいだ声。
69:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:00:37.07 ID:W+HAaMa50
*
例の高台までやってきて、乱れた息を整えると、俺は草の上に寝転がった。
透子は俺の隣に腰を落ち着けて、同じように呼吸を整えている。
70:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:06:03.49 ID:W+HAaMa50
そう疑問を抱いた直後、無粋な電子音が穏やかな空気に割って入った。
「あっ――もしもし、ゆきくん?」
電話の相手は、井美雪哉らしかった。
71:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:11:42.55 ID:W+HAaMa50
*
俺と透子が学校に着いたとき、井美雪哉は既に校庭にいた。
俺は、決闘に向かう闘技者というよりは、法廷に立たされる被告人のような気持ちで、彼の前に立つ。
72:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:15:18.92 ID:W+HAaMa50
ここまで言われて、彼が黙っていられるわけがない。現に彼は拳を握ってわなわなと震えている。
そう、それでいい――俺の口元が意地悪く歪む――そうして激情に任せ、拳を振り上げ、俺に襲いかかってこい――!
「……っ!?」
73:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:20:48.78 ID:W+HAaMa50
*
俺はグラウンド横の階段に腰掛けて、哲学者の名前を与えられた鶏たちが思い思いに歩き回るのを茫然と眺めていた。
「……やなちゃんの言ったこと、本当?」
74:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:24:53.80 ID:W+HAaMa50
「……そんなのひどい。そんなの、なんの説明にもなってない」
「だよな……」
透子が心を痛めているのが伝わってきて、さすがにだんまりを決め込むことはできなかった。
75:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:29:44.63 ID:W+HAaMa50
「あれを《未来の欠片》と名付けたのは、俺にとって、あれが自分に欠けているピースのような存在だと思ったからなんだ」
どこに行っても、自分のいるべき場所はここではないような気がしていた。
そんな中で聞こえてくる《未来の欠片》は、俺が向かうべき場所――俺がいていい場所を指し示す、道しるべのように思えた。
76:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:34:45.88 ID:W+HAaMa50
全ては、透子に出会ってから、変わった。
「……少しずつ、わかってきたんだ。俺が欲しがっていたのは、なんだかよくわからないピースみたいなものじゃない。もっとはっきりとした、もっと実体のあるものじゃなかったのかって」
俺が必要としていたのは、概念上の強さや完全さなどではなく。
171Res/212.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20