13: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:36:14.90 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※
「目付け役がいてな。途中から置いてきてしまったが、道すがら目印は用意していた。多分もうじきここに来るだろう。奪われた物を運ぶのに人手も必要だから、そいつ等と合流してから帰る」
14: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:36:51.80 ID:zJUkddjZ0
盗賊団の生き残りではない。茂みへの距離は約十メートル。こんな近くに接近されるまで気づかせない隠形の業を、奴ら程度ができるはずがない。
血の匂いに惹きつけられた狂人か、俺の首を狙う賞金稼ぎか。考えにくいが、“魔に心を呑まれたモノ”の可能性すらある。いずれにしても只者ではない。
とはいえ、これ以上のことは対峙しなければわからなかった。
15: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:37:25.81 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※
16: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:38:01.78 ID:zJUkddjZ0
俺に礼を言えないことなど、どうでも良かった。
そんなことよりも注目すべきことがあるのだから。
「俺に礼を言わなければならない。助けてもらったのに非難したことを謝らなければならない。けどこんな奴に、そんなことしたくない。でもしなければならない。そして――命の恩人に、形だけの礼なんて失礼極まりないことをするわけにもいかず、固まっている」
17: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:38:35.89 ID:zJUkddjZ0
「俺が引き受けた依頼と、その結末をいくつか話そう」
一つは家族を皆殺しにされた少年が復讐を誓い、鍛錬を積み、さらに助けとして俺を雇った時のこと。途中で俺は犯人の正体に気づいた。殺されたはずの少年の姉が、魔に心を呑み込まれて変わり果て、少年以外を皆殺しにしたことに。
少年は自分の手で犯人を[ピーーー]ことを何年も夢見ていたが、俺は少年に姉殺しをさせるのはどうかと思い、依頼を無視して俺がこの手で殺した。正気を失った少年は俺に襲いかかるが、敵わない。そして俺に吹き飛ばされ、怒りと無力感でさらに正気を失いかけたよりによってその目の前で、異形と化していた姉が元の姿に戻ってしまった。無残な死体の姿でな。
18: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:39:24.45 ID:zJUkddjZ0
「……そんな顔をするな」
「……だって」
今にもこぼれそうなほど目じりに涙をためた妹に、ため息をつく。
19: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:39:56.02 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※
20: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:40:39.15 ID:zJUkddjZ0
――もしかするとすると魔法か?
魔に心を呑まれたモノだけが起こせる超常の力。それが魔法。
魔法を扱える者と会ったことはこれまで三度しかない。それほど魔に心を呑まれたモノはマレで、さらに生き延びられる者は限られるからだ。
21: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:41:13.76 ID:zJUkddjZ0
この男の技に興味はあったが、それ以上に関わると面倒になると思い背を向けようとした時だった。
背を向けていたので推測だが、きっとシモンは会心の笑みを浮かべていたことだろう。
それほど絶妙なタイミングで、シモンは俺の興味を十分に惹く言葉を吐いた。
22: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:41:58.56 ID:zJUkddjZ0
「金額は十億。これを一ヶ月以内に標的を殺せた者に差し上げます。方法は問いませんし、情報は提供しますが指示は何も出しません。失敗しても真剣に取り組んだ結果であれば、一億を差し上げましょう」
「……ああ、なるほど。しかし十億だと?」
確かにこの方法ならば標的の付近で惨劇はおきるだろうが、依頼人の命は守られる。現場が混沌となり、混乱に乗じて標的が逃げおおせる可能性もあるが。
83Res/189.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20