39: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:27:45.57 ID:iX/HvtXE0
不安はなかった。
心構えはできていたはずだった。
緊張こそしていたけれど、うまくやってみせる自信はあった。
40: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:28:22.35 ID:iX/HvtXE0
五つめのカットのあと、休憩が入った。
私はすでに申し訳なさと恥ずかしさと情けなさとですっかり気落ちしていた。
紗枝ちゃんはそうした私の不調をいち早く察してくれたらしかった。
41: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:30:37.21 ID:iX/HvtXE0
「やっぱり場慣れしてないと、難しいわよね。特にロケなんかは……」
「……ええ。思うようには、いかないものですね」
42: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:31:34.72 ID:iX/HvtXE0
直後、激しい興奮が痺れるように私の神経を貫いた。
私の意識の全ては今、その濡れた漆色の瞳に吸い込まれていた。
43: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:32:28.76 ID:iX/HvtXE0
「…………」
しかし彼女は寸でのところで留まった。
私のほんの数センチ目の前で、彼女は薄くまぶたを伏し、ためらうように、それでいて欲しがるように、ルージュのきらめく口唇をだらしなく開いたままにしているのだった。
44: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:33:00.16 ID:iX/HvtXE0
絶句する私の震える首筋を、紗枝ちゃんの指がいやらしくなぞる。
彼女は悪魔のように冷たい微笑を浮かべ、そして私の唇に触れるか触れないかの距離で、接吻するように囁いた。
「おいたはあきまへんえ」
45: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:34:32.70 ID:iX/HvtXE0
全身は極度に疲弊し、額に脂汗が滲んでいるのが分かる。
私はいまだ混乱から立ち直れず、また紗枝ちゃんの顔を見るのも恐ろしかったので、そのままぐったりと床を見つめながら気持ちが落ち着くのを待った。
「あら、汗びっしょり……やっぱり冷房は上げない方がよかった?」
46: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:35:55.59 ID:iX/HvtXE0
……その後、休憩を終えて再び撮影に臨んだ私が、相変わらずミスを繰り返してスタッフを困らせ続けたのは不思議なことだと思われるだろうか?
実際、私はミスを挽回しようと意気込んでいた。
47: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 09:36:46.83 ID:iX/HvtXE0
小休憩
48:名無しNIPPER[sage]
2020/10/18(日) 10:58:01.82 ID:xEmdF3xDO
乙
おいらなんて、雨で着物来たままずぶ濡れになった気を失った紗枝を、温めるため一枚ずつ脱がして(ry
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