水本ゆかり「人形の檻」【ゆかさえ】
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49: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:03:13.28 ID:iX/HvtXE0
六
50: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:04:13.71 ID:iX/HvtXE0
ハル『まあ。(呆れたようにプランターの方へ向く)お好きになさい……』
ノラ『違うのよ、ハル。あなたを誘おうと思って』
51: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:05:17.47 ID:iX/HvtXE0
「――――はい」
疲れた体をベッドから無理矢理起こして、暗がりの部屋をのそのそと歩いていく。
52: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:06:21.97 ID:iX/HvtXE0
もう一度、ベッドが揺れた。
と思うと、今度はすぐ横にぴったりと寄り添って、私の身体の震えを押さえ込むように、そっと肩を抱くのが分かった。
「なぁんにも、迷惑なんてあらしまへんえ」
53: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:07:15.17 ID:iX/HvtXE0
「心当たり、ないん?」
「……分かり、ません」
54: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:08:18.23 ID:iX/HvtXE0
横で、紗枝ちゃんが身体をこちらへ密着させながら、私の手をうやうやしく取って眺めだした。
彼女はまるで高価なブランドものの服を試着するように、その細い指で私の手のひらを優しく、注意深くなぞっている。
私の指のひとつひとつに彼女の指が絡まる。
すると、そこだけが奇妙に熱を帯びたように、私と紗枝ちゃんとを結ぶ手のひらにじっとりと汗が滲みだす。
55: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:08:46.71 ID:iX/HvtXE0
まぶしい月明かりに照らされた夜の海のように、漆黒に輝いていた。
その深い暗闇の奥底に、未知の、巨大な気配を湛えながら、何も知らない小船を波に揺らしている二つの瞳……
それが彼女の正体なのだった。
56: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:10:03.58 ID:iX/HvtXE0
頭のてっぺんから鈍い衝撃が内臓を貫き、息ができなくなった。
私は瞬きもせず、彼女の黒い瞳を見つめ返しながら、燃えるような熱が身体の内側に沸き立つのを感じた。
彼女の柔らかさが、そこに触れている唇の感覚を通して私の全てを包み込んだ。
四肢は麻痺したように動かず、そのために私はこの熱く濡れた唇の純粋に甘い快楽だけを徐々に、そしてはっきりと味わった。
57: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:10:37.43 ID:iX/HvtXE0
七
翌朝、ベッドの中で目を覚ました。
58: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:12:25.34 ID:iX/HvtXE0
やがて彼女は、私を真上から覗き込むように身体を動かし、うっとりした表情で見つめだした。
小さなかわいらしい顔が私の目の前に浮かんでいる。
お互いの熱い吐息がすぐ口元で混ざりあう。
59: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 11:13:56.08 ID:iX/HvtXE0
二度目のキスは激しかった。
剥き出しの愛欲が私の唇に注がれ、それがあまりに劇的で情熱的だったので、私は思わず声を出し、のけぞるように枕に頭をうずめた。
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