1:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/21(木) 00:01:04.99 ID:x1eCXNrg0
ルビィ「お姉ちゃん、行ってらっしゃい!」
ダイヤ「ええ、留守は任せましたわ」
8月下旬、夏休みもそろそろ終わりごろ、お姉ちゃんたちは、また3人で出掛けていきました。
もうこの光景にも慣れっこです。お姉ちゃんはこの2年間を取り戻すかのように、いつも2人と一緒でしたから。
今日は果南さんと鞠莉さんと―――に行ってきましたの!
はしゃぐお姉ちゃんに、ルビィはいつも「よかったねぇ」と、そう返すんです。
それは決まって、お風呂から上がって、2人でアイスを食べているときでした。
「よかったねぇ」と言ったルビィは、お姉ちゃんのほうは見ないで、重たいバスタオルでくしゃくしゃと頭を隠しました。
ルビィはいつも花丸ちゃんと善子ちゃんと一緒でした。
千歌さんたちもたまに遊びに誘ってくれました。
ううん、お姉ちゃんたちも合わせて9人で集まったことだって、たくさんあるんです。
けれど。
ルビィ「今日も、お姉ちゃんをよろしくお願いします」
こう言ってぺこりと頭を下げてみせることが、一番多かったように思うんです。
夏休みが終わった後も、それは変わりませんでした。
秋は行事が山積みです。生徒会長と理事長は、それぞれ忙しくしていました。
その間に入って立ち回ることができるのは、果南さんだけでした。
ルビィ「お姉ちゃんをよろしくお願いします」
ルビィはまた頭を下げて、Aqoursの練習に向かいました。
これでルビィの話はおしまい。
お姉ちゃんたちは仕事をこなして、ルビィは必死に練習をして。
それはこの年、結局変わることはありませんでした。
でも、うーん、少しだけ変わったことがあったとしたら。
誕生日に、鞠莉さんと遊園地に行きました。
*
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/21(木) 00:01:33.54 ID:x1eCXNrg0
鞠莉「遊園地に行きましょう!」
ルビィ「へ……?」
3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/21(木) 00:02:18.31 ID:x1eCXNrg0
鞠莉「OKね! じゃあ来週の土曜日にしましょう! 日曜だと混むかもしれないでしょ?」
ルビィ「は、はい、ルビィでよければ……!」
4:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:03:03.38 ID:x1eCXNrg0
ルビィ「鞠莉さんと遊園地に行くことになったんだぁ」
その日の帰り道、すぐに花丸ちゃんと善子ちゃんに話しました。
5:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:03:38.25 ID:x1eCXNrg0
ダイヤ「鞠莉さんと遊園地に?」
ルビィ「うん」
6:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:04:19.99 ID:x1eCXNrg0
その晩、ルビィは眠れませんでした。
遊園地に行くのは随分と先の話だというのに、とんでもない約束をしてしまったという気持ちでいっぱいでした。
7:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:04:54.76 ID:x1eCXNrg0
ルビィ「……ふふっ」
布団の中で、くすりと笑い声が漏れました。
8:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:05:36.15 ID:x1eCXNrg0
それから数日、ルビィは延々同じことを考えて過ごしました。
鞠莉さんと遊園地。
9:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:06:16.59 ID:x1eCXNrg0
ルビィ「じゃ、じゃあ、そんな人と一緒にお出掛けするとき、どうしますか?」
梨子「え、苦手な人とお出掛けするの?」
10:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:06:51.00 ID:x1eCXNrg0
それからは大忙しでした。
ただのお出掛けが、一世一代の大勝負に変わってしまったのです。
11:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:07:29.58 ID:x1eCXNrg0
ルビィ「ご、ごめんなさい!」
鞠莉「いいのよ、そんな急がなくても」
12:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:08:21.41 ID:x1eCXNrg0
今日は9月21日、土曜日。
ルビィの誕生日でした。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:09:19.86 ID:x1eCXNrg0
*
14:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:10:08.45 ID:x1eCXNrg0
お姉ちゃんはきっと覚えていない、小さなこと。でも、ルビィははっきり覚えています。
その日、ルビィはお母さんと自転車の練習をしたからです。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:11:04.07 ID:x1eCXNrg0
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16:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:11:50.88 ID:x1eCXNrg0
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17:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:12:30.67 ID:x1eCXNrg0
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18:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:13:12.40 ID:x1eCXNrg0
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19:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:14:17.95 ID:x1eCXNrg0
ポテトを大事そうに食べる鞠莉さんを見ながら、ルビィはじっと黙っていました。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:14:58.55 ID:x1eCXNrg0
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21:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:15:47.96 ID:x1eCXNrg0
お姉ちゃんは何も話してくれませんでした。
ルビィが知っていたのは、鞠莉さんが留学したことだけ。
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