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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その23 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/22(水) 00:31:06.14 ID:HAqQQnQo
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

〜前回までのあらすじ〜

朱雀先生の称号を受け継ぎ、魔王を倒す為、旅を続ける召喚士…。、
パーティー仲間の強くて頼れる二枚目の戦士、いつも明るく笑顔が
可愛い魔道士。スタイル抜群ツンデレな盗賊との冒険はまだまだ続く。
右翼対左翼…人間同士の争い。その先にあるものとは…!?

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その22)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
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【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 @ 2024/04/27(土) 14:14:26.69 ID:Wh98iXQp0
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

2 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/22(水) 00:32:12.10 ID:HAqQQnQo
◆過去ログ(その1〜21)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
3 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [ブーン]:2010/12/22(水) 01:30:09.26 ID:0mjUDADO
⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン
4 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/22(水) 02:02:01.22 ID:wutH0Mw0
うーん、次の章のペア分けがどうなるのか楽しみだな。
普通に男女で分かれるのかそれとも……
5 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/22(水) 04:20:33.95 ID:4xyDysA0
>>1 乙
忙しいのにいつもありがとう!
6 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/22(水) 12:16:40.91 ID:q0q4acSO
前衛と後衛で分かれるっていうのは考えにくいよな
7 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/22(水) 12:25:02.82 ID:MbCyvZoo
召喚士と盗賊、戦士と魔道士にわかれてたこともあったな
8 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/22(水) 14:41:31.29 ID:eVbJ62AO
>>7
戦力で分けるならこれがベストだな
盗賊ちゃんは術とか使えるから、魔道士ちゃんの付加は戦士が一番しっくりくる
9 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/22(水) 17:41:17.77 ID:J3Ke2ZQo
しっぽり
10 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/22(水) 18:05:58.98 ID:cG2uI8so
前スレ埋めありがとうございました!
他のリクも忘れないよう、順次消化していきますですよー!↓続き
11 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:06:29.05 ID:cG2uI8so
〜2日目〜

左秘書官「つまりだ、再編して本当に防衛可能なのか根拠を知りたいのだ」

右秘書官「根拠など他の司令部を見れば一目瞭然ではないか」

左文官「他とは状況が違うであろう。東方からの侵攻も考えられるのだぞ?」

右文官「だからそれは、東方と軍事同盟をする事で本国上陸を防いでだな……」

戦士「今日は出だしからずっと白熱しっぱなしだな……」

召喚士「うん……」

大軍師「あちらもいよいよ、本腰を入れてきたと言う事でしょう」

盗賊「…なるほどな」

大軍師「今日だけではありません。明日、明後日と更に議論は激しくなりますよ」

魔道士「も、もう付いていけそうにないです……」

大軍師「大丈夫です。それは私達の務めですから。ねぇ…?」

チラリ

青年兵「……ええ」

召喚士「……」
12 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:07:24.28 ID:cG2uI8so


左翼官「それは詭弁だ!では、どこから魔道兵以外を捻出するのだ」

青年兵「本国が主に引き受けます」

左文官「手薄になった本国をどうするのかね?」

青年兵「龍脈の流れを抑えた今、本国中心部まで迫る魔物は減りますよ」

左翼官「100%と言いきれるのか!?」

青年兵「流石にそれは無理です。しかし時が経てば分かるはずです」

左秘書官「取り返しのつかぬ事になったらどうする?予言もないのだろう…?」

占い師「……っ」

青年兵「本国からと言っても全て出し切るわけではありません」

左翼官「それは存じておる。さすれば、本国も東方司令部も手薄ではないか」

青年兵「だからこそ、先立って進めているではありませんか」

左文官「……?」

青年兵「ここからはこちらの方にお任せ致します」

大軍師「……ふっふっふ」
13 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:08:21.83 ID:cG2uI8so
ザワザワザワ…

議長「静粛に。大軍師、発言を許可する」

大軍師「ご存知の通り、国軍は『屯田』を行っております」

南方司令「…あぁ、北で行っているヤツか」

東方司令「らしいな」

大軍師「屯田の利点は、現地の人間をそのまま兵と出来る事です」

左文官「それは人道に反するのではないのかね」

大軍師「勘違いなさらぬよう。『徴兵』ではありません……『募兵』です」

左大臣「……」

大軍師「更には、その対象となる者らは失業者がほとんど」

右秘書官「つまり、経済効果も発揮するというものです」

大軍師「その通りです。ふふっ」

ザワザワッ…

大軍師「まだまだ本国には、広大な土地が有り余っているではないですか」

左翼官「……何が言いたい」
14 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:09:08.31 ID:cG2uI8so
大軍師「北だけではなく、本国全土で試みては如何でしょう?」

ザワッ!!

隊長「まさか……」

西方司令「す、全ての…司令部で…!?」

大軍師「今は試験的に最北の地で行っております」

左秘書官「存じております」

大軍師「成果は上々です。なんなら、報告書も此処に……」

ドサッ

大軍師「これらを踏まえて、各司令部でも導入を試みては如何かな?」

左翼官「しかしだ、現状でもそうだが半農の者を最前線に配備するのは……」

大軍師「何も前線に敷く必要はありませんよ」

青年兵「司令部に近い位置で行えば良いのです」

大軍師「その分、正規兵が最前線に専念出来ますよ?」

左翼官「ぬぐ…っ!」

大軍師「どうでしょうか?これは国家の政策としても大変有意義なものと考えます」
15 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:10:01.75 ID:cG2uI8so
左文官「なれば正規兵でもないものが司令部を守るというのか」

大軍師「何か問題でもありますか?」

左文官「ある。司令部には重要な情報が常に集まるのだ」

大軍師「別に聞かれてまずいような事も御座いませんが」

左文官「まずい事になったらどうする、と申しておるのだ」

大軍師「……」

左文官「噂によれば、魔王軍と通じている人間も居ると言うではないか」

大軍師「だまらっしゃい!」

左文官「――っ!!」

大軍師「軍人でもない貴方に何が分かるというのです!」

左文官「……っ」

大軍師「司令部の情報が漏れても、戦局が動くような事は一切ございません」

左文官「しかしだな……っ」

大軍師「それに貴方の言う半農の者がどれ程の権力、力を持っているというのです」
16 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:10:54.12 ID:cG2uI8so
左文官「……くっ」

大軍師「屯田兵とはいえ、ひとたび剣を取れば我ら国軍と同様」

左文官「……」

大軍師「差別とも受け取れるそれは、貴方の発言自体を否定しておりますぞ!」

左文官「――!!」

右秘書官「流石だ、一人落ちましたね」

右文官「うむ。恐ろしい男よ……」

議長「……他に意見のあるもの」

左秘書官「費用はどうなさるのです?これ以上予算を回すわけには参りませんぞ」

大軍師「……正直、頭の痛いところですね」

左秘書官「先立つものがなくては、いかに有用な政策でも意味を為しませんよ?」

大軍師「ひとまずは屯田の性質を考えてみては如何でしょうか?」

左秘書官「……?」

大軍師「有事でない際の彼らは、農耕に励んでおります」

左秘書官「存じているが?」
17 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:12:08.27 ID:cG2uI8so
大軍師「何も農耕に留まる必要はない、という事です」

左秘書官「何を言いたいのか解り兼ねるが」

大軍師「例えば、手に職あるものは鍛冶や服飾、調理……幾らでも出来ます」

左秘書官「……」

大軍師「それを自給自足で賄い、売り歩けば資金になるとは思いませんか?」

左秘書官「実際うまくいくとお考えですか?」

大軍師「無論です。先程も述べたように、大半は失業者です」

左秘書官「聞いている」

大軍師「かつては店を構えていたもの。なんらかの事情で続ける事が困難となった者」

左秘書官「そういった者が多々、居ると仰るのですな?」

大軍師「はい。最北だけでも相当数に上ります」

左秘書官「しかしそううまくいくであろうか?」

大軍師「最北は村の復興を最優先に考えている為、ほとんどが農耕です」

左秘書官「……」

大軍師「しかし他の地に於いては、最初から幾多の職を展開出来るとみえますが」
18 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:12:44.71 ID:cG2uI8so
左秘書官「……っ」

大軍師「貴方達も一度、本国を離れて見聞なさっては如何かな?」

左秘書官「何……?」

大軍師「世界は広いですよ?まだまだ未知なるものが多数存在します」

左秘書官「……」

大軍師「土地も食物も、魔物も……人も」

左秘書官「議題とは無関係な話だな」

大軍師「…ふっふ、これは失礼」

左秘書官「とにかく、予算の増加は無用……そう受け止めるが宜しいか?」

大軍師「増やして頂けるに越した事はありませんがねぇ」

左秘書官「……」

大軍師「まぁ、あとは各司令のご判断を仰ぐと致しましょうか。ふっふっふ」

東方司令「……」

南方司令「……はん」

議長「……以上か?他に意見のあるものは」
19 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:13:20.05 ID:cG2uI8so


議長「……それでは、ひとまず小休止と致す。再開は19時からと致す」

ガタガタッ…ザワザワザワ…

戦士「ふい〜長かったなぁ……」

魔道士「途中から…全然分かりませんでした…」

戦士「俺も。お前は?」

盗賊「……分からん」

戦士「えーと、昨日の話で東方司令部は解散しないで、人を入れ替える…」

魔道士「今日の話では、本部から人を出して更に……」

盗賊「…各部で屯田を行い、そこからも協力を得る…?」

召喚士「分かってるじゃないですか!」

戦士「お、おぉ。やっべ…優秀じゃん!」

魔道士「本当ですねっ!えへへ!!」

盗賊「……三人寄れば文殊の知恵…だ」

魔道士「な、何です…それ?」
20 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:14:21.60 ID:cG2uI8so
カツカツカツ…

青年兵「それでは食事しましょうか」

召喚士「青年兵くん、お疲れ様」

青年兵「今日はほとんど何もしてませんけどね……」

召喚士「いや…俺らなんてほんとに何もしてないよ…」

右秘書官「今日は東方に関して、話が出なかったからなぁ」

召喚士「それにしても大軍師さんは凄いね」

青年兵「ですね。流石ですよ」

戦士「そんでその大軍師先生はどこ行っちまったんだ?」

青年兵「あぁ、それならおそらく……」

盗賊「…?」

召喚士達は青年兵の案内で議事堂の面へと回る。

青年兵「…あ、いた。あそこです」

魔道士「何だか凄い人だかりですね……」

召喚士「!?」
21 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:15:00.11 ID:cG2uI8so
ザワザワ…ガヤガヤ…

記者「本国新聞です!それで屯田は各司令部にて実施されるのでしょうか!?」

大軍師「さぁ。それは各司令へお聞き下さい」

記者「本経新聞です。軍事予算の増加はないという事で宜しいのでしょうか?」

大軍師「どうやらそのようですね。誠に遺憾です」

記者「毎本新聞ですが、屯田の成果が近日報告されるとの噂ですが?」

大軍師「はい。議会終了後にでも発表致します」

記者「こちらも宜しいでしょうか!?明日の議会において……」

戦士「……何じゃありゃ…すっげ」

青年兵「新聞記者ですよ」

盗賊「……新聞記者?」

青年兵「ええ。昨日は僕も物凄い数に囲まれました……」

召喚士「た、大変だね……」

戦士「一躍有名人だなっ!!」

青年兵「嬉しくないですよ……はは…っ」
22 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:16:08.81 ID:cG2uI8so
カチャカチャッ…コトッ

魔道士「毎食ビュッフェなんて…最高ですねっ!」

盗賊「…うん……モグモグ」

青年兵「…ん?」

召喚士「…どうしたの?」

カツカツカツ

右大臣「左翼陣営が顔を出さぬな」

青年兵「ええ。私も今、気付いたところです」

右大臣「左文官が予想外にやられたからな。建て直しでも図っているのだろう」

青年兵「ええ……」

召喚士「……」

魔道士「どうかしましたか?」

召喚士「あ、いえ…。何だか余裕だなって思いまして」

盗賊「……?」

魔道士「そうですか?」
23 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:16:52.47 ID:cG2uI8so
〜左翼陣営〜

左大臣「……」

左文官「申し訳…ありませぬ……」

左大臣「別に良いさァ。本件には何ら支障はない」

左秘書官「しかし屯田制のアピールはやや懸念材料ですね」

左翼官「…うむ。各司令部もかなり前向きに捉えているようですし」

高官「……」

左大臣「好きにさせれば良いさァ」

左秘書官「宜しいので?」

左大臣「経済も潤うのであろう?利用してやれば良いさァ」

高官「……」

左秘書官「その上で、非があれば……か」

左大臣「今は東方司令部の再編に注力すれば良い」

左文官「はっ」

左翼官「再開後もその一点に絞りましょう」
24 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:17:55.33 ID:cG2uI8so
召喚士の言う通り、これ以降の議論においても右翼優勢に事は進む。

左翼もまた、それは想定内であるかのように、話を他の議題に飛び火させず、

結局、召喚士らや大軍師の発言は初日、二日目のみに留まった。

〜5日目〜

左翼官「再編した兵の武具はどこから捻出するおつもりだ?」

右秘書官「その程度、幾らでも捻出は出来よう」

左翼官「ただでさえ五ヵ年計画の為に、多量の材料費がかかっておるのです」

右文官「しかしそれは、かつての議題において了承を得たはずだ」

左翼官「だからこそです。これ以上増やす事は難しいと申している」

右秘書官「増やせとは申しておらぬ」

左秘書官「再編を終えてから不足などという事態は困るのですよ」

右文官「そうならぬようこちらも捻出すると申しているのだ」

左文官「…ふっ、御主らは根拠を示さず口ばかり達者だな」

右文官「何だとっ!?」

議長「静粛に。此度はひとまず閉会と致す。再開は12時間後とする」
25 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:18:52.16 ID:cG2uI8so


テクテクテク

魔道士「今日は白熱してましたね」

戦士「あぁ。日に日にヒートアップしてるな。そろそろ殴りあいになんじゃねぇの?」

召喚士「まさか…」

カツカツカツ

青年兵「今日もお疲れ様でした」

戦士「おっす!」

魔道士「でも…良いんですかねぇ」

青年兵「何がです?」

魔道士「だって、ここ数日何もしてませんよ?」

青年兵「あぁ、それならご心配なく。あと二日の辛抱です」

盗賊「……二日?」

青年兵「ええ。議会は最長でも一週間で完全に閉会します」

魔道士「え……っ!?」
26 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:19:42.21 ID:cG2uI8so
戦士「そうなのか」

青年兵「以前は結が出るまで行っていたようですが…」

召喚士「いつまでも続けてるわけにはいかないもんね」

青年兵「ええ。早ければ初日で終わる場合もあります」

戦士「…て事は、今回はかなり長期戦って話だな」

青年兵「事が事ですからね…」

盗賊「……」

青年兵「とにかく明日か明後日には閉会です。頑張りましょう!」

召喚士「うんっ!青年兵くんも頑張って!」

青年兵「ありがとうございます!」

カツカツカツ…

盗賊「…あと…二日か」

戦士「ビュッフェが恋しいか?」

盗賊「ち、違うわっ!たわけ!」

召喚士「あははははっ!」
27 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/22(水) 18:20:27.54 ID:cG2uI8so
東方司令部の解散、または再編に関する議会。

その余りにも重過ぎる議題については、結局一週間全ての日程を要し、

最終日である7日目の夜間においても結が出る事はなかった。

左秘書官「その発言は先述のものと矛盾しておるではないか!」

右秘書官「其方こそその方針は矛盾そのもの!」

コンコンコン

議長「…時間です。今回の議会を閉会と致す」

開始から丸7日間。議論に議論を重ねた議会が今、閉会した。

ガヤガヤガヤ…カツカツカツ…

左大臣「さぁて、明日はいよいよ投票だァ」

右大臣「……」

左大臣「まァ、結果は見えているものの、せいぜい祈るが良い」

右大臣「……ふんっ」

青年兵「やれるだけの事はやりました。あとは待ちましょう」

右大臣「…そうだな。左翼め、今の内に吠えておるが良いわ」
28 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/22(水) 18:28:14.88 ID:cG2uI8so
今日もこんなところで失礼します。ご支援ありがとうございました!
23スレとか無駄に長くなってしまったですけれど、最後までお付き合い頂ければと思います!
それではまた後ほど!(年賀状終わらなければ明日!)ノシ
29 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/22(水) 19:49:57.98 ID:frs8X.AO
今日も>>1乙!

まだ半分も行ってないのに長いは無いぜ大将
30 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/22(水) 20:34:37.70 ID:WGDGBMYo
その999くらいまであるって聞いた
31 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/22(水) 21:03:47.73 ID:eH0QMIDO
何だかんだ言ってそろそろ4分の1だな
この調子で100まで頑張れ>>1
32 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/22(水) 21:17:37.62 ID:36pfi3oo
おつおつ
33 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/22(水) 21:32:04.27 ID:P8VFcMAO
>>1
あと977スレか・・
34 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/23(木) 04:17:29.55 ID:OgzyfoDO
仮にあと977スレだとだいたい1スレに1ヶ月かかるわけで完走までには81年かかるわけだ 
つまり・・・ゴクリ
35 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 14:08:10.03 ID:OpLlXGAo
60年後

「死ぬまでに最終回が・・・読みたかっ・・・た」ガクッ
おとうさん!おとーさーん!!!
36 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 19:10:32.42 ID:Dcw2hcko
>>1の来世にご期待ください!!
37 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:45:30.69 ID:U/gdp0oo
ザワザワザワ

戦士「今日でようやく終わりかぁ」

盗賊「…長かったな」

魔道士「でも、終わってみればあっという間でしたねー」

召喚士「ええ。いい経験でした」

ガヤガヤガヤッ

記者「それで、明日の議決はどうお考えで?」

司令官「…ん、別に」

記者「右翼に勝ち目はありますか?」

右秘書官「勝ち目のない提案など、ハナからしているつもりはありません」

記者「此度は殿下の代行というお立場でしたが、それについては?」

青年兵「殿下の意志は全て伝えられたと自負しております」

戦士「……今日も凄いな」

魔道士「え、ええ…。こっちまで緊張しちゃいます」

召喚士「いよいよ…明日か……」
38 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:45:58.26 ID:U/gdp0oo
迎える朝。昨日までの晴天が嘘のように、この日は朝から生憎の雨に見舞われた。

折りしも天まで歴史的運命の日を見守るかの如く――。

ザアアァァ…

召喚士「雨……か」

戦士「おはよう」

召喚士「戦士、おはよう」

戦士「結構降ってんなぁ……」

召喚士「そうみたい。昨日まであんなに晴れてたのにね」

戦士「……どうする?投票もうすぐだよな?」

召喚士「せっかくだし議事堂まで見に行こうよ」

戦士「……だな。アイツらもそう言うだろうしな」

召喚士「うん」

戦士「今日で王宮ともオサラバだ。荷物まとめてくらぁ」

召喚士「あ、俺も手伝うよ!それ終わったら行こ?」

戦士「だな!」
39 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:47:05.49 ID:U/gdp0oo
ザアアァァ…

魔道士「おはようございます!いよいよですね……」

召喚士「ええ、どうなるんでしょうか……?」

盗賊「……」

戦士「お待たせ、荷物預けてきた。そんじゃあ行くか」

召喚士「うん」

魔道士「今朝は……流石に人も少ないですね……」

盗賊「……だな。食堂にもほとんど居なかった」

召喚士「投票当日ですからね。皆、既に向かったみたいですね」

戦士「投票権のない俺らみたいのしか残ってないわけか」

昨晩までの慌しさとは打って変わり、静寂に包まれる王宮内。

召喚士達の足音と、召使いらが雑務をこなす物音のみが響き渡る。

魔道士「それじゃ、行きましょうか」

盗賊「……ああ」

召喚士「そうしましょう」
40 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:47:35.59 ID:U/gdp0oo
〜議事堂〜

政治屋「おいっ、押すな!」

ザワザワザワ

男隊員「すっげー混雑……。こんな事ならゆっくり来りゃ良かったぜ」

女隊員「本当ッスね。朝一で本部から飛んできたのに……失敗ッス」

テクテクテク

戦士「うおっ、すっげぇ人……」

魔道士「本当ですねぇ……」

盗賊「……あれか?」

召喚士「みたいですね。次々と紙を投函してる……」

戦士「もうちょい前の方に行けないものか……おっと、ごめんよ〜」

魔道士「戦士さんっ、もう……っ!」

召喚士「俺らも戦士の後に付いて行きましょうか」

盗賊「……そうだな」

魔道士「は〜い」
41 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:48:27.98 ID:U/gdp0oo
テクテクテク…ノソッ

戦士「おーおー、って……全然分からん」

ザッザッザ

南方司令「それはそうだろう。開票はまだ先だ」

召喚士「南方司令さん、おはようございます」

魔道士「開票はいつ頃何ですか?」

南方司令「このペースなら昼頃には結果が出るだろうな」

盗賊「……そうか」

魔道士「青年兵さん達、勝つと良いですね」

召喚士「ええ」

ザッザッザ

記者「おぉ!?主役の登場だぞっ!!」

青年兵「……」

記者「おはようございます!昨日は眠れましたか!?」

青年兵「すみません。取材はまた後ほどで。失礼致します」
42 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:49:05.61 ID:U/gdp0oo
右翼、左翼ともに黙々と投票作業が続けられる中、

青年兵に続き左翼の大将である左大臣も姿を現す。

左大臣「フッハハハァ。生憎の天気……悲しみの雨か、それとも……」

青年兵「おはようございます」

左大臣「おはよう。さぁて、いよいよだなァ……」

青年兵「ええ。いよいよです」

左大臣「余裕そうだなァ。勝算でもあるのかァ?」

青年兵「どうでしょうね。まぁ、もうじき分かりますよ」

左大臣「……フハハァ。それもそうだなァ」

カツカツカツ…

青年兵「……」

召喚士「青年兵くん」

青年兵「召喚士さん、早いですね」

召喚士「うん。結果が気になっちゃって……」

青年兵「もうじき投票も終了すると思います。それが終われば……」
43 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:49:42.07 ID:U/gdp0oo
小一時間程過ぎた後、議事堂内の動きがやや慌しくなり始めた。

右文官「いよいよか」

右秘書官「ええ」

右文官「どうだろうな?多少は上乗せされておれば良いが……」

右秘書官「信じましょう。自分達の努力の結果を」

カツカツカツ…ザッ

議長「開票が終了致した。まもなく発表へと入る」

ザワザワッ…

西方司令「い、いよいよですね……っ。はあぁ、緊張する……」

東方司令「……」

召喚士「ついに結果発表か……」

青年兵「この結果で行く末が決まるのです」

戦士「さぁて、吉と出るか凶と出るか」

魔道士「ド、ドキドキしますっ」

盗賊「……うん」
44 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:50:14.89 ID:U/gdp0oo
カツカツカツ…バッ

数人がかりで担がれた巨大な板。そこに両翼の投票結果が記されている。

左側に仕切られた中に無数の丸印。右側に仕切られた中には多少の丸印。

それは左翼、右翼の議決結果が赤く書かれた丸印によって示されていた。

議長「左翼359票、右翼141票。以上が議決結果である」

ドヨッ!!

青年兵「――っ!!」

戦士「大差で……負け、か」

魔道士「せっかく頑張ったのに……残念です」

召喚士「青年兵くん……」

青年兵「……やった……っ」

盗賊「……?」

口元を緩め左拳を握る青年兵の下に、右翼陣営の者々らが駆け寄る。

右大臣「青年兵っ!やったぞ!!」

右文官「予想以上の成果だ!やったぞおぉ!」
45 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:50:43.24 ID:U/gdp0oo
魔道士「え……っ!?」

戦士「だってよ……左翼に半分以上差を付けられ……」

ザッザッザ…

大軍師「これで良いのですよ」

召喚士「大軍師さん」

大軍師「本国における議会での票数は全部で500」

盗賊「……みたいだな」

大軍師「各司令部がそれぞれ100.トータルで900の票があります」

召喚士「――!!そ、そうかっ!!」

青年兵「やった……やったぞおぉ!!」

ワアアァァッ!!

魔道士「えっとぉ……つまり……?」

大軍師「東を除く300票はほぼ右翼。残る東の100票で如何に獲得出来るかです」

召喚士「東方司令部で三割得れば……この議会は勝てる!」

大軍師「……ふっふ、そういう事です」
46 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:51:15.84 ID:U/gdp0oo
ダンッ!!

左大臣「ど、どういう事だァ……!?」

左翼官「馬鹿なっ!?右翼が141票だとぉ!?」

左秘書官「……これは、苦しい展開になって参りましたね」

左文官「高官っ!貴様……右翼になぞ投票しておらんだろうなぁ!?」

高官「……」

左秘書官「お止めなさい。無記名投票では根拠もない事です」

左大臣「おい」

左秘書官「はっ」

左大臣「急ぎ、東方司令部の工作に入れ」

左翼官「畏まりました。早急に」

左大臣「万が一の事もある。東がひっくり返れば……負けるぞ」

左秘書官「磐石の備えで挑みまする」

左文官「い、急ぎ手配するのだっ!」

左大臣「……おのれ、右翼のヒヨッコめがァ……!」
47 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:52:04.98 ID:U/gdp0oo
〜王宮、来賓室〜

戦士「えーと、すまん。もう一度説明してくれ」

青年兵「つまり、僕らは勝ったんです」

魔道士「票数は負けてましたけど、勝ちなんですか?」

右秘書官「うむ。分かりにくいと思うが……そうだ、図で説明しよう」

ガサッ…キュッキュッ

右秘書官「まず、本国での議会で総数500の議決権がある」

盗賊「……うむ」

右秘書官「それ以外に各司令部でそれぞれ100ずつ」

青年兵「総票で900あるという事です」

右文官「つまり451票以上獲得出来れば、勝ちというわけだ」

魔道士「つまり……今回が141票でしたから、あと310票得ればいいんですね?」

右秘書官「そういう事です」

戦士「でもよぉ、あと310なんて気の遠い話だぞ」

召喚士「そこで、各司令部というわけですか……」
48 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:52:41.44 ID:U/gdp0oo
右文官「左様。周知の通り、東方司令部は右翼一辺倒と予想される」

盗賊「……」

右秘書官「しかし逆もまた然り」

戦士「……?」

右秘書官「東を除く三司令部は右翼がほとんどを占めると思われます」

キュキュッ…

右秘書官「そこで三司令部の予想票数を280としましょう」

戦士「えーと、310引く280で……30!?」

魔道士「つ、つまり東方司令部で30票獲得出来れば……」

青年兵「僕らの勝ち、という事です」

魔道士「なるほどですねー!そういう事だったんですかっ」

盗賊「……把握」

戦士「しっかしギリギリだなぁ……。本当に30票取れんのか?」

左秘書官「それは青年兵、君次第だな」

青年兵「……自信はあります」
49 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:53:08.73 ID:U/gdp0oo
召喚士「青年兵くんならきっと大丈夫!」

青年兵「ありがとうございます」

右文官「しかし、本国で思った以上に票が得られたな」

右秘書官「ええ、100いけば良いものと思っておりましたが」

魔道士「皆さんのお話がきちんと伝わったんですよっ、きっと!」

右文官「そ、そうかのう……はっははは」

右秘書官「これで当初の予定通り、東方の三割というところまではきた」

青年兵「はい。かと言って決して油断出来る数字ではありません」

右文官「だな。気を引き締めて取り掛かるとしよう」

右秘書官「それで、演説はどうする?」

青年兵「当然、明朝から行います……東方司令部にて」

右文官「おぉ……っ」

召喚士「東方……司令部……」

右秘書官「了解した。すぐに準備を進めるとしよう」

青年兵「はい」
50 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:53:35.33 ID:U/gdp0oo


青年兵「では、お疲れ様でした」

戦士「おうっ、お前も頑張ってな!」

魔道士「応援してますよっ」

青年兵「ありがとうございます」

召喚士「あの、青年兵くん」

青年兵「はい?」

召喚士「明日の東方司令部、俺らも同行出来ないかな?」

青年兵「同行ですか?それは一向に構いませんけど……」

魔道士「やったぁ!」

青年兵「但し、僕らは深夜のうちに発つと思いますので、直接現地にお越し下さい」

召喚士「分かった。時間は何時頃?」

青年兵「おそらく8時だと思います。演説自体は10時頃ではないかと」

召喚士「それじゃ、その時間に合わせて行くね!」

青年兵「はい、お待ちしてます!それでは……」
51 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:54:02.11 ID:U/gdp0oo
カチャッ…カツカツカツ…

魔道士「な、何だか青年兵さん……別人のように見えますね」

戦士「ああ、俺も思った」

盗賊「……元から責任感の強い男だからな」

召喚士「ええ。でも、無理してなければいいけど……」

盗賊「……疲れているようだったしな」

戦士「みんな行っちまたったし、俺らもぼちぼち行くか?」

魔道士「そうですね。いつまでも居たらご迷惑ですし」

召喚士「そうしましょうか」

テクテクテク…カチャッ

左翼長「おっ、いたいた!」

南方司令「探したぞ、我が正義の使者達よ!」

戦士「はぁ?」

召喚士「どうしたんですか?二人して……」

左翼長「ほら、先日依頼したろ。議会が終わったら手を貸してくれってよ」
52 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:54:29.44 ID:U/gdp0oo
戦士「終わったっつってもいきなりかよ……っ」

魔道士「でも、私達これから東方へ行かなくてはいけないんですよ〜」

南方司令「東方?まだ何かあるのか?」

召喚士「青年兵くんの、演説の行方だけ見たいんです」

戦士「この前言ったろ……」

南方司令「そうだったか?」

左翼長「まぁいい。それじゃ俺も同行するとしようか」

盗賊「……いいのか?」

左翼長「東経由で北方司令部に戻れば問題ねぇ」

南方司令「ならば、私も共に行こう!」

左翼長「はぁ!?お前さんは全然方向違うだろ」

南方司令「そう言って四人全て横取りしようって魂胆だな?」

左翼長「……阿呆か」

召喚士「わ、分かりましたっ。それでは皆で当方司令部へ行きましょう」

南方司令「そうしよう。出発は夜で良いか?馬車も軍の物を使うといい」
53 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:54:57.23 ID:U/gdp0oo
盗賊「……夜?」

左翼長「これから国軍会議があってな。すぐに終わるとは思うが……」

魔道士「じゃあ、夜になったら本部を訪ねますねっ!」

南方司令「うむ、そうしてくれ。それでは待っているぞ!」

戦士「はいよー」

左翼長「んじゃ、また後でな」

カツカツカツカツ…

戦士「せっかちなオッサンどもだ事……」

召喚士「どこも忙しいみたいだね」

盗賊「……仕方ないのかもな」

魔道士「それじゃ、夜までどうしましょうか?」

戦士「まぁ、あんまり遠くにも行けないし、街でもブラ付いてるとすっか」

盗賊「……同意」

召喚士「荷物は預かってくれるかな?聞いてみよ」

魔道士「あっ、私も行きますっ!」
54 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:55:26.88 ID:U/gdp0oo
〜国軍本部、大会議室〜

ガチャッ…カツカツカツ

左翼長「待たせた、すまん」

南方司令「お前ら早いなぁ……」

東方司令「キミが遅いんだ、バカ」

大軍師「これで全員揃いましたね?それでは始めると致しましょう」

副司令官「このような機会でないと、昨今なかなか集まるのも難しい」

大軍師「ええ、この機会に改めて方針を確認致したいと思います」

司令官「……ん」

大軍師「五ヵ年計画、多少アクシデントはありましたが比較的順調です」

隊長「……」

大軍師「これまでの三年近くはほぼ、準備期間と言っても過言ではないでしょう」

西方司令「……」

大軍師「残る二年が本当の勝負です。そこをお忘れなく……」

博士「……うむ」
55 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:55:59.59 ID:U/gdp0oo
大軍師「此度の議会に於いて、右翼が勝利すればかなり進展致します」

副司令官「そうだな。軍備増強がかなり進むと見て良いだろう」

大軍師「はい。屯田兵を防備に当たらせる事で、正規兵を攻めに使えますからね」

青龍先生「……ふぅむ」

大軍師「更には龍脈の力を減少させた事、これは非常に大きいです」

白虎長「……」

大軍師「あとは……」

司令官「誰が、犠牲になるか……かな?」

南方司令「……」

大軍師「魔王……そして軍団長クラスを殲滅するには、五行しかない事は明白です」

副司令官「かつての『伝説』のように、高等な召喚士が四人居るわけでもないしな」

青龍先生「あれとて所詮は四行じゃ。パズズは封印したに過ぎん」

大軍師「ええ。今は結界石で封じていますが、完全に消滅したわけではありません」

隊長「じゃあ誰かが五行を放って、魔王と心中しろとでも言うのか?」

大軍師「あまり望ましい事ではありません。が、短期決戦を望むのであれば……」
56 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:56:29.14 ID:U/gdp0oo
隊長「止むを得ないってか?そうまでして勝ち得る必要はあるのか!?」

大軍師「人道に反する事は承知の上。しかしながら現状、それ以外の手立ては……」

青龍先生「いざとなればそれも仕方あるまい」

白虎長「先生……っ!」

青龍先生「しかしじゃ、それを担うは先の短い年寄りの役目。……のぅ?」

司令官「……」

南方司令「青龍先生、まさか自分が担おうなんて思ってないでしょうな?」

青龍先生「ヒョッヒョッヒョ。それまでこの命、持てば良いがの……」

西方先生「……っ」

大軍師「研究機関は如何ですか?」

博士「うむ。司令には伝えたが『電話』の実戦投入に目処が立ったのら」

ザワッ

東方司令「電話……!?」

博士「遠方同士で会話が出来る通信技術なのら。これがあれば伝令の手間もなくなるのら」

副司令官「おぉ、何という素晴らしい技術だ!」
57 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:56:57.29 ID:U/gdp0oo
大軍師「配備は可能なのですか?」

博士「そうしたいのは山々だが、なにぶん資金が不足しているのら……」

西方司令「わ、私も司令部の軍事予算を充ててはいるのですが……はあぁ」

白虎長「何とかならないのでしょうか?」

大軍師「議会を起こせば何とかなるかもしれませんが……」

副司令官「立て続けに議会を起こす事は暗黙の了解で禁じられているぞ!?」

大軍師「はい。世論にも受けは非常に宜しくありません」

隊長「これ以上の予算捻出は困難だな……」

大軍師「しかし、各司令部にて屯田を実施すれば、捻出は多少可能と思われます」

東方司令「屯田を……か?」

大軍師「はい。議会で私が述べたように、兵力も経済力も増加が見込めます」

左翼長「そこで捻出した資金で、各司令部に電話を配備するってか」

大軍師「そういう事になります」

南方司令「足りるのか?」

大軍師「正直分かりません。せめて司令部同士でも配備出来ればと考えております」
58 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:57:30.04 ID:U/gdp0oo


大軍師「では、以上で宜しいでしょうか」

副司令官「うむ。異論なしだ」

大軍師「それでは最後に司令、お願いします」

総司令「……ん」

スッ

総司令「…ん、今回もご苦労さん。各々頼んだよ」

南方司令「はっ!」

総司令「それと、この中に内通者がいる」

隊長「――っ!!」

東方司令「あ、あの……司令っ。仰っている意味が分かりかねまずが」

司令官「だから、この中に魔王軍と通じている輩がいるんだよ」

大軍師「司令、皆も動揺しております。今日はこの辺で……」

司令官「そうかい?それじゃ終わるとしようか」

左翼長(司令の野郎、何考えてやがんだ……っ!正直すぎだ!)
59 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:57:58.24 ID:U/gdp0oo
ゾロゾロゾロ…

司令官「……」

大軍師「司令、幾らなんでも正直すぎませんかね」

だだっ広い会議室には、残った男二人の会話だけが響き渡る。

大軍師「あれでは将校らも混乱しかねませんよ?」

司令官「いずれは分かる事さ。今の内に動いてみても早過ぎる事はないよ」

大軍師「まぁ……反論は御座いませんが」

司令官「これで動くも良し、動かぬも良し」

大軍師「予言なくして、進めるのですか?」

司令官「仕方ないよ。それに結末は何度も見てきた」

大軍師「……まだ、お話頂けないのですか」

司令官「話すべき者には話してあるよ。問題ない」

大軍師「そうかもしれませんが……」

司令官「無闇に知れば、運命を変えようと躍起になる者も現れる。それは避けたいからね」

大軍師「全ては計画の一環……と言うわけですか」
60 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:58:24.72 ID:U/gdp0oo
カツカツカツカツカツ…

南方司令「……」

東方司令「……」

西方司令「あ、あのぉ……」

左翼長「……?」

西方司令「先程の司令のお言葉、どうなんでしょうか……?」

隊長「どうってその通りだろ。意味なんかないでしょう」

白虎長「……っ」

東方司令「内通者だと?冗談ではないっ!」

副司令官「本当におるのか?由々しき問題だぞ……」

青龍先生「ヒョッヒョッヒョ」

博士「……」

青龍先生「挑発しておるのじゃよ、あの男はの」

東方司令「挑発……?バカバカしいっ!」

青龍先生「内通者がおるなら、今頃慌てておるじゃろうのう……ヒョッヒョ」
61 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:58:55.61 ID:U/gdp0oo
〜本国、郊外〜

戦士「確か、病院の裏手って言ってたよなぁ…」

召喚士「この辺りだと思うんだけど…」

盗賊「……この匂いは!?」

魔道士「見つけましたかっ、盗賊さん!」

盗賊「こっちだ!急げっ!!」

魔道士「はいっ!」

召喚士「……」

戦士「…楽しそうだこと」

タッタッタッタ…

魔道士「あぁーっ!あった〜!!」

盗賊「…おぉ、旨そう…っ!」

菓子屋「いらっしゃい」

魔道士「あのっ、ここは『フィナンシェ』を売ってるお店ですか?」

菓子屋「ええ、そうですよ」
62 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 21:59:28.06 ID:U/gdp0oo
盗賊「……やった」

テクテクテク

戦士「おぉー、ここかぁ」

召喚士「病院の裏手と言っても、こっち側だったんですね」

菓子屋「よく言われますよ。病院の庭に面しているので」

戦士「ぶっちゃけてこんな辺鄙な所、不便なんじゃないですかい?」

菓子屋「まぁ、元を辿れば同じですからねぇ」

召喚士「元…ですか?」

菓子屋「はい。うちも病院も、同じ一族なんですよ」

魔道士「そうだったんですか〜」

菓子屋「病院を設立された方がこちらもお作りになられたのです」

盗賊「…そうなのか」

召喚士「それで、このような立地になったわけですね」

菓子屋「そうなんですよ」

戦士「お陰さんで商売上がったりってやつかい?」
63 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 22:00:01.02 ID:U/gdp0oo
菓子屋「いや、それが意外とそうでもないんですよ」

戦士「そうなのか!?」

菓子屋「院内の方やお見舞いの品、それに本国の方も……」

召喚士「本国って……」

菓子屋「殿下などがよく食して頂いてるようで……」

戦士「……あー」

菓子屋「買われますか?フィナンシェなら出来立てですよ」

魔道士「本当ですかっ!?召喚士さん、買いましょう!」

盗賊「……買いましょう!」

召喚士「ええ、もちろん!」

戦士「必死だな…」

菓子屋「ありがとうございます〜」

ゴソゴソッ…ガサッ

菓子屋「はい、お待たせしました」

魔道士「うわぁ〜いい匂い〜!」
64 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 22:00:28.29 ID:U/gdp0oo
戦士「せっかくだから出来立てを頂くとするか」

盗賊「…モグモグ」

戦士「もう食ってるし!」

テクテクテク

ドクター「あれ…?これは皆さん」

召喚士「ドクターさん!」

ドクター「意外な所でお会いしますね」

魔道士「ドクターさんもファナンシェを買いに?」

ドクター「ええ、まぁ……」

菓子屋「坊ちゃん…!」

魔道士「へ…?」

ドクター「あっ、いや!何でもないです!」

菓子屋「……」

ドクター「二つ下さい。はい、お代……」

菓子屋「そんな、お代なんて結構ですよ」
65 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 22:01:01.64 ID:U/gdp0oo
ドクター「そうはいきませんよ。はい、それでは」

チャラッ…テクテクテク

戦士「……行っちまった」

召喚士「あの、ドクターさんを『坊ちゃん』と呼んでましたが…」

菓子屋「あの方はこの病院の御曹司ですよ」

盗賊「!?」

魔道士「そ、そうだったんですか!?」

菓子屋「坊ちゃんはそういう目で見られる事を好ましく思ってないようですが…」

戦士「…どーりで。若いのにこんなでけぇ病院で働いてるわけだ」

召喚士「腕も良いしね」

菓子屋「私が話した事は、秘密にしておいて下さいね」

魔道士「分かりましたっ」

戦士「いやぁ、旨かった!また買いに来ようぜ」

盗賊「…無論だ」

菓子屋「ありがとうございます。お待ちしております!」
66 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 22:01:30.15 ID:U/gdp0oo
議会の為に規制されていた大通りも、今日になりようやく人で賑わう。

しかしながら国軍本部前においては、依然厳重な警備が敷かれていた。

テクテクテク

召喚士「何だか凄い警備だなぁ…」

魔道士「入れますかね?」

戦士「朱雀先生なら顔パスだろ」

召喚士「ちょっと、やめてよ……」

門兵「……!?ややっ、貴女様は!?」

戦士「ほらみろ」

門兵「どうぞ、お通り下さい!!」

盗賊「…わ、私……か!?」

門兵「はいっ!ささ、どうぞどうぞ!」

盗賊「……ど、どうも」

戦士「…どうなってんだ?」

召喚士「さ、さぁ……」
67 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 22:01:58.22 ID:U/gdp0oo
テクテクテク…

召喚士「えぇと……」

カツカツカツ…

左翼長「おう、待ってたぞ!」

戦士「おじさん!」

魔道士「お待たせしました〜」

召喚士「あれ?南方司令は?」

左翼長「さぁ。もうすぐ来るんじゃねーか?」

カツカツカツ…

左翼長「ほれ、噂をすればってやつだ」

南方司令「待たせたな諸君」

魔道士「私達も今来たところですよ〜」

南方司令「おぉ、そうか!それはいいタイミングだったな!」

盗賊「……それで」

左翼長「表に馬車を回す。全員で行くぞ」
68 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 23:16:51.84 ID:Dcw2hcko
盗賊ちゃんは晴れて来賓扱いかな?
つーか、今日はここまでかい?
69 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 23:34:01.78 ID:U/gdp0oo
〜本国、王宮〜

タッタッタッタ…バンッ!!

右文官「来たぞっ!!」

青年兵「!!」

カサッ…パラッ

青年兵「…流石、殿下とエリート様だ」

右秘書官「完璧なタイミングであったな」

右文官「我らも急ぎ、東方司令部へ向かうとしよう」

青年兵「はい!右大臣様、こちらの事は……」

右大臣「うむ、後処理の事なら任せておけ」

青年兵「助かります。ありがとうございます」

右大臣「此方の事は気にするな。おぬし等もしっかり頼んだぞ」

青年兵「はいっ!」

右秘書官「それでは参るとしよう」

青年兵「はい。馬車をお願いします!」
70 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 23:34:34.01 ID:U/gdp0oo
朝からの雨は夕方に上がったとはいえ、それは本国での話。

雲が流れ東方の海では、未だ雨天の影響でやや海は荒れ模様となっている。

ザザーン…

エリート「…結構揺れますね」

皇太子「ああ。軍船ももうしばし、改良の余地がありそうだな」

エリート「今後は海戦の機会もあるでしょうしね」

皇太子「うむ」

ザッザッザ…

エリート「…大丈夫ですか?」

名代「ええ、大丈夫です」

皇太子「それは良かった」

名代「大したものですね。本国の船は…」

皇太子「そうかな?まだまだ不十分さ」

名代「しかし本国まで、これ程早い距離で来られるとは…」

エリート「ええ。我々も驚きました」
71 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 23:35:06.83 ID:U/gdp0oo
真冬の深夜。冷たい風が吹き抜ける中……。

ガラガラガラッ…ドドッドドッドドッ

青年兵「……」

集うべき者達が集うべき場所へ……。

ザザーン…ザザアアァァン

エリート「まもなく…ターミナルですね」

皇太子「……ああ」

その寒さを噛み締めるように、そして振り払うように……。

パッカパッカパッカ…

左翼長「当方司令部までもう1時間程度だろう

召喚士「……ええ」

暗闇は曙に。曙は朝日へ……。

ドドッ…ドドッ…ドドッ…

左大臣「今こそ、決戦の刻だァ……!」

今、朝日と共に、東方司令部へと終結するのであった……。
72 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 23:35:32.78 ID:U/gdp0oo
〜明日、東方司令部〜

東方兵「どけどけっ!そこは馬車の停留所だ!」

魔道兵「その箱はこっちだ!早くしろ、もう間もなく到着されるぞ!」

司令部全体が慌しく、けたたましくざわめく。

演説の為という事もあるが、左翼の長である左大臣の、

突如の来訪が決定した為である。

東方参謀「…全く。これしきの事でうろたえるとは、情けないにも程がある」

東方副司令「仕方ありませんよ。慣れておりませぬからね」

東方参謀「…して、司令はどこに行ったのだ?」

東方副司令「仮眠を取られておりますよ。多忙にて疲れたのでしょう」

東方参謀「仕方あるまい。ワシとお前で段取りを進めるとしよう」

東方副司令「ええ」

東方参謀「それではあちら側を頼む。ワシは内部を準備する」

東方副司令「畏まりました」

間もなく、当方司令部へ一同が到着と相成った。
73 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 23:35:59.50 ID:U/gdp0oo


テクテクテク…

戦士「到着…っと」

左翼長「…昔から変わらねぇな、ここは」

魔道士「来た事あるんですか?」

南方司令「おいおい、このオジサンは元特遊だぜ?」

魔道士「あっ、そうでしたね!」

左翼長「オジサン…」

盗賊「…あの馬車は」

ドドォ…ガチャッ

召喚士「青年兵くん!」

青年兵「召喚士さん!?これはまた早いですね」

召喚士「うん、気になっちゃって。それに……」

右文官「おや、北と南の司令も来たのか」

左翼長「まぁな。朱雀先生のお守りさ」
74 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/23(木) 23:36:37.54 ID:U/gdp0oo
右秘書官「…やはり来たか」

盗賊「…?」

ドドォ…ガチャッ…ザッザッザ

左大臣「これはこれはァ、お早い到着だなァ」

右文官「左大臣殿…っ」

左文官「さて、中へ参りましょう」

左大臣「演説、楽しみにしておるぞ。フッハハハァ」

ザッザッザ…

右文官「せいぜい今の内に、笑っておるがいいわっ!」

右秘書官「青年兵、我らも中で支度を始めよう」

青年兵「はい」

召喚士「青年兵くん、頑張って!」

青年兵「ありがとうございます!」

ザッザッザッザッザ…

召喚士「……」
75 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/23(木) 23:40:44.77 ID:U/gdp0oo
今日はここまでにて!ご支援大変感謝感謝!!
それでは、おやすみなさい!ノシ

>>29-36
やめてください。しんでしまいます
100部は何とかなるかもしれませんが100スレは無理です…

〜オマケ〜

東方司令「……あー疲れた〜」

ガチャッ

女剣士「くーっ…くーっ…すーっ」

東方司令「……」

ヌギヌギッ…ポイポイッ

東方司令「……」

ギュッ…モフモフモフ

女剣士「……う、うぅ〜ん」

〜次の日〜

女剣士「…ふあぁ、あぁ!?」

東方司令「すぴーっ……すーっ」

女剣士「何故…裸!?というより何故同じ布団に…!?えっ、えぇっ!?」
76 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 23:44:01.52 ID:/ztV3TEo
乙ダルヴァ
77 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 23:45:02.78 ID:Dcw2hcko
東方の倫理観で言えば、寝顔を見られた女聖闘士は、その相手を[ピーーー]か愛するかの二択でござる
78 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/24(金) 00:01:21.69 ID:avvcg6DO
>>75

ああ!あっちでリクエストしたことがこっちで!
>>1ありがとう
79 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/24(金) 00:13:01.79 ID:0jsjagDO
>>1乙!
いよいよ明日が本番だな!
80 :めりーくるしみます :2010/12/24(クリスマス) 04:14:02.90 ID:xmBghak0
1乙
五行でも相当な五行じゃなきゃ
魔王にはだめそうだな
81 :めりーくるしみます [sage]:2010/12/24(クリスマス) 05:17:44.59 ID:WuYUz.AO
毎日毎日投下乙んつん。
1ヶ月くらいカキコできなかったんだよ。
って事で1ヶ月分の乙んつんを>>1に贈ります。
82 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 07:28:00.80 ID:J23lrV.0
1乙

なwwwまwwwえwwwらwwwんwww
83 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 08:41:57.01 ID:4U35MgDO
なんだこれ
84 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 09:05:37.42 ID:l26uLsAP
名前欄ww余計なお世話だwwwwバカヤロウ・・・
85 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 09:24:14.20 ID:TxyXySAo
>>1乙だぜ!!
                   _ _     ☆
          ∧  _ - ― = ̄  ̄`:, ..,,::。:+
         , -'' ̄    __――=' ,+,::o;;::・;,  
        /   -―  ̄ ̄ '<;;::・,,::;ゞ;;o;*::.
       /   ノ      ,,;;;<;+::;;。*:,,;;ゞ;;::..: :
      /  , イ )     ;;;*;;;〇;ゞ;*::;;:<;;;*;:;ゞ;;o;
      /   _, \    <;;;;〇;ゞ;*::o,ゞ ;*;;;;*ゞ;*:o
      |  / \  `、  ;;;*;;;〇;ゞ;*::;;;;;*ゞ;*::o, 〇;;; *
      j  /  ヽ  |     : : : : : : llllllll : : : : : :
    / ノ   {  |        ■■■■
   / /     | (_         ■■■
  `、_〉      ー‐‐`        ■■■
86 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 10:11:41.31 ID:.xnyqYYo
乙!
クリスマスイブ楽しんでくるノシ
87 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:25:26.15 ID:K0jdBGwo
キィンキィンッ…ガキキイイィィ…

女剣士「ぬ…っく……くぅ!」

東方司令「……っ」

バッ!!…ヒュンッ…ブオンッ!!

女剣士「はぁ…はぁっ、はぁ…っ」

東方司令「なかなか良い動きだな」

女剣士「はぁ……はぁ…」

東方司令「驚いたよ、わずか数日でこれだけ……」

女剣士「貴女の剣術を見たからこそです」

東方司令「それも才能だ。一見で吸収出来る程の腕を持っているのだ」

女剣士「……ありがとうございます」

東方司令(……カワイイ)

女剣士「お姉様の剣を見て、一撃必殺ではなく小振りに纏める事が出来ました」

東方司令「……」

女剣士「あ、あの…?」
88 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:26:16.46 ID:K0jdBGwo
東方司令「お姉様……」

女剣士「あ、あの…年上のようでしたし…ごめんなさい。師匠の方が良…」

東方司令「いやっ!あ、す……好きに呼ぶがいいさっ!」

女剣士「…ありがとうございます」

東方司令(お姉様……お姉様か…ふふっ)

女剣士「…ふーっ、朝からだいぶ汗をかいてしまいましたね」

チラッ

東方司令「……っ」

女剣士「すみません。お姉様の手まで煩わせてしまい……」

東方司令「…し、仕方ないな。どれ、シャワーでも浴びるとするか!」

女剣士「はい。ご一緒します」

東方司令「……」

女剣士「あ、あの…お姉様?」

東方司令「……はっ!あ、いやいや!何でもない。意識とか失ってないから!」

女剣士「はぁ…」
89 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:27:17.32 ID:K0jdBGwo
東方司令「よ、よし…っ!それじゃあ行こうかっ!!」

女剣士「…何か、息上がってませんか?」

タッタッタッタッタ

東方兵「司令、こちらでしたか!」

東方司令「…?」

東方兵「演説の準備が整いました。至急、正面へお越し下さいませ!」

東方司令「ああ。シャワー浴びてすぐに……」

東方兵「お時間がございません!今すぐお願い致します!」

東方司令「……ボクを汗まみれのまま向かわせるつもりか?」

東方兵「既にご到着なのです!青年兵様だけではございません!!」

東方司令「……?」

東方兵「左大臣様……それに、殿下も……」

東方司令「――っ!!」

東方兵「い、いや…それに加え……」

東方司令「…分かったよ!行けばいいんだろ!今すぐっ!!」
90 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:27:57.94 ID:K0jdBGwo
ザワザワザワ…

東方司令部正門前の広場。通常時においてはただ開けた、

通り道や庭のような場所であるが、今日は様相が全く違っている。

東方副司令「司令部の者は脇に列を作り並びたまえ!」

戦士「うぉ…っ、何だか緊張してきた」

魔道士「ええ…。ドキドキします」

召喚士「…一般の方々も結構いるんですね」

左翼長「俺らみたいな間接的関係者。あとは記者共……」

南方司令「その後ろにいるのが完全な一般客だ」

左翼長「売名ってかアピールの一環だよ」

召喚士「…なるほど」

左翼長「議決権はないが世論を味方に付ける事は色々と重要だからな」

盗賊「……確かにな」

南方司令「さぁ、間もなく始まるぞ」

魔道士「はいっ!」
91 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:30:00.12 ID:K0jdBGwo
ザワッ…ザワザワザワ

東方参謀「静粛に!」

東方副司令「それでは、議会提案側である青年兵殿の演説です」

東方参謀「これ以降、便宜上…議会提案側を『右翼』、他方を『左翼』とする」

東方副司令「では青年兵殿、どうぞ」

スッ…カツカツカツカツカツ

正面壇上に上がる青年兵。まずは一度、眼前を左右に見渡す。

青年兵「東方司令部の皆様、おはようございます」

東方司令「……」

青年兵「図々しくも、三度訪れさせて頂いております」

東方魔道長「……」

青年兵「今回の演説内容について、皆様方は十二分に承知でしょう」

東方副司令「……」

青年兵「なので、私の口から今更、説くような事はございません」

ザワザワ…ザワ…
92 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:31:16.52 ID:K0jdBGwo
青年兵「ですが、これだけは申し上げたい」

東方参謀「……」

青年兵「士官の皆様、己の部下の声に、耳を傾けてみて下さい」

ドヨッ

青年兵「東方を離れたがっている者、戦に出てもっと戦果を上げたい者…
     他部へ配属されれば、その才能を如何なく発揮出来る者…
     心当たりがおありなのではありませんか?」

東方伍長「……」

青年兵「士官の皆様が私欲の為に行っているとは思っておりません。
     ですが、保身の為に行っているのであれば改めて頂きたいのです」

左大臣「……」

青年兵「この再編において、各司令部の増強は明白です。
     そして左翼、右翼による壁も撤廃されるでしょう」

左翼長「……」

青年兵「思い返してください。なぜ魔道兵が此処へ固まったのか。
     それは全て、東からの龍脈によるものだったはずです。
     しかし、龍脈の懸念は解消されました。これからは適材適所にて
     短気決戦で、魔王軍……いや、魔王を倒そうではありませんか!」
93 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:32:00.20 ID:K0jdBGwo
パチ…パチパチパチッ…

南方司令「ブラボー! おお…ブラボー!!」

パチパチパチパチ

戦士「いよっ、素晴らしい!!」

魔道士「感動しましたーっ!」

召喚士「でも…拍手しているのは一般客だけですね」

左翼長「軍の連中は迂闊に拍手なんぞ出来ねぇさ」

盗賊「……」

左翼長「そりゃあそうだろ。ハッキリ喧嘩を売ったわけだしな」

戦士「…だよな。今拍手してる軍人は…右翼寄りって言ってるも同然だもんな」

左翼長「しかも隠す事なくな。青年兵の神輿を担ぐ気マンマンだよ…」

南方司令「ブラボー!」

東方参謀「わーっはっはっは!」

戦士「……なんか、アツイのばっかりだな」

召喚士「う、うん…」
94 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:32:41.67 ID:K0jdBGwo
東方副司令「青年兵殿、以上で宜しいですか?」

青年兵「はい。私からは以上です」

左秘書官「私から…は?」

左文官「誰か…呼んだのか?」

青年兵「それでは、お願いします。殿下」

ザワッ!!

左翼官「何だとぉ!?」

カツカツカツカツカツ…

左秘書官「すっかり油断していた…っ!まさかここで来るとは……」

カツカツカツ…タンタンタン…

左文官「……殿下と…エリート…っ!」

コツコツコツ…ザッ

左大臣「やってくれるじゃあないかァ……小僧どもっ!!」

ザワザワ…ドヨドヨドヨ

皇太子「皆、日頃の任務…大変ご苦労である」
95 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:33:29.91 ID:K0jdBGwo
ワアアァァ

皇太子「先日、視察をさせて貰って……1つ思った事がある。
     それは諸君らの強さを感じた事だ。この東の地で、
     常に龍脈を防ぎ、国を守り抜いてきた諸君らは間違いなく強い」

東方兵「で、殿下ぁ……」

皇太子「その力を、他の司令部…そして、私に貸して頂けないだろうか!」

魔道士「殿下が…我々を……」

左文官「まずいな…。兵卒の心は完全に右翼へ傾いたぞ」

左秘書官「ええ…っ。記者もいる事で国民にも伝わるでしょう…」

皇太子「諸君らには大変苦労をかけている。それは重々
     承知しているつもりだ。だが、これ以上無駄な血を
     流さぬ必要があるからこそ、短気決戦を私は望む!」

左大臣「……ちぃ」

皇太子「軍の再編はその第一歩とも取れるものである。
     諸君等の協力なくして人類の存亡に兆しはない。
     今回の事に於いて、私はそれほど重要だと認識している」

ザワザワ…ザワ…

皇太子「そこに加え、私からこちらの方をご紹介させて頂こう」
96 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:34:50.54 ID:K0jdBGwo
左文官「ま、まだ誰かおるのか…?」

テクテクテク…

東方兵「誰だ…あれは……」

テクテクテク…トントントン…

東方副司令「……東方の…方か?」

皇太子「では、お願いします」

名代「ええ」

エリート「……」

盗賊「馬鹿な…っ!!あ……れはっ」

召喚士「――っ!!」

魔道兵「あの……娘は誰だ?」

ザワザワザワ

東方司令「…ん?知り合いか?」

女剣士「……う、上様…っ!!」

帝「……」
97 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:35:36.82 ID:K0jdBGwo


帝「……晴れ着と言えど、派手すぎないか?」

名代「よくお似合いですよ。すこしくらい派手な方が良いというもの。ですよね?」

エリート「ええ。とても素晴らしいお召し物。上様にも大変似合っております」

帝「……だが、本国の者らの前で話さねばならぬのであろう?」

皇太子「お気になされるな。レディは華やかであればこそだ」

帝「……うぅむ」

エリート「船酔いは大丈夫ですか?」

帝「うむ、しばし休んだお陰ですっかり良くなった。迷惑をかけた」

エリート「いえいえ、こちらこそご無理を申して……」

帝「何を言う。両国の為ではないか。無理などないぞ」

皇太子「感謝する」

エリート「では、そろそろ……」

名代「上様、裾には気を付けて下さいませ」

帝「……馬鹿にするでない。それくらい分かっておる」
98 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:36:50.21 ID:K0jdBGwo
華やかな着物に身を包んだ女性。女性と言っても歳は若く、

東方司令部の正門前に姿を現した少女に一同がどよめく。

エリート「こちらにおわすお方は、東方の女王、帝様であられる」

ドヨッ!!

東方兵「あ、あの女の子が……東方の!?」

左秘書官「なっ、何だとぉ!?」

左大臣「……っ!!」

帝「……ご紹介に与った、帝と申す」

東方司令「あれが東方の…っ」

女剣士「上様……」

帝「皇太子殿下には、直々の訪問に感謝している」

皇太子「……」

帝「先に述べておけば、私は本国の内情を知らぬ。
  だからあまり大層な事は申せぬ。だが、本国には
  先日よりわが東方の危機を救って頂き、大変感謝している」

左翼長「……お前らの事だな」

戦士「どーだかねぇ」
99 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:37:59.59 ID:K0jdBGwo
帝「その恩義に報いる為に、我ら東方は本国との同盟を決めた」

ザワザワッ

記者「こ、これは一大スクープだぞ!!」

帝「今後、東方は軍事、及び経済流通において、
  本国への協力を惜しまないものとする」

東方参謀「……ほぉ」

帝「しかし東方は未だ国内が安定せず、すぐにというわけにはいかぬ。
  これは妖怪の為すところではなく、全て人間同士の争いによってだ。
  私を東方の主と認めぬ反抗勢力が存在するのだ」

青年兵「……っ」

帝「我ら東方は今こそ一枚岩となりて、本国の力になりたい。
  だから、本国も一枚岩となりて、東方に力を貸して頂けないだろうか」

ドヨドヨドヨッ

帝「国というものは、言うなれば『月』。そして『太陽』にも等しい。
  月も太陽も姿は変えど、その存在は一つの大きな光なのだ。
  だから国も、一つの大きな光となりて、世を照らそうではないか」
100 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:41:20.45 ID:K0jdBGwo
ワアァァッ!!

南方司令「ブラボー!いや、ブラバー!!」

テクテクテク…

帝「……大丈夫だったかな?」

皇太子「大変素晴らしい御言葉。感謝致す!」

エリート「ええ…。感動致しました」

帝「…そうかな?」

タッタッタッタッタ

女剣士「上様っ!」

帝「……女剣士?女剣士ではないかっ!」

女剣士「旅立ちより数日、またお顔を拝見出来るとは……」

帝「大げさな奴だのう。ん、そちらの女性は?」

エリート「東方司令殿…!」

東方司令「……う、上様…上様…っ」

帝「……?」
101 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:46:27.89 ID:1fI3v8Eo
東方司令「お持ち帰りぃ〜〜!」
とか言いそうだなwwwwwwww
102 :Are you enjoying the time of eve? [sage saga]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:49:15.05 ID:K0jdBGwo
演説っぽく一台詞に複数行使ってみたんですが…
やっぱり読み辛いですね…控えようと思います

ちょっと偽リア充してきます!
それではご支援ありがとうございました!ノシ
103 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:54:28.98 ID:EvFMmgso
いや十分演説感が伝わった、いいと思うよ

そして1乙
104 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 16:59:56.46 ID:4U35MgDO
汗も拭かずに駆け付けた東方司令くんかくんか
105 :Are you enjoying the time of eve? :2010/12/24(クリスマスイブ) 17:03:47.15 ID:e4yac9so
別に行間あけたほうが読みやすいってこともない
106 :Are you enjoying the time of eve? [行けっ!クリスマスイブ!!]:2010/12/24(クリスマスイブ) 18:13:12.70 ID:WuYUz.AO
>>1乙んつん 楽しいイブの夜を。
107 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 18:36:16.26 ID:8sp9bt6o
いつも楽しいおつおつおつ
舌戦説得wktkすぐるっ!!
108 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 21:01:04.81 ID:JMcrtSY0
おまえらクリスマスだし今の内にリクエストしとけ
僕は魔道士ちゃんのサンタコスが見たいです!!!!!
109 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 21:52:10.50 ID:grE6Kk20
乙です。
いつもワクワクして読んでます。
ありがとう
110 :Are you enjoying the time of eve? :2010/12/24(クリスマスイブ) 22:15:42.34 ID:Q/ORCno0
あれ?なんか地球が揺れてないか????
111 :MerryChristmas!! :2010/12/25(クリスマス) 01:27:48.76 ID:6gP.1sDO
>>1メリークリトリス!
召喚士一行のクリスマスパーティ希望
112 :MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!) :2010/12/25(クリスマス) 03:43:36.23 ID:.Y9okK60
1乙
MerryChristmas!!
113 :MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!) [sage]:2010/12/25(クリスマス) 05:28:49.62 ID:HSnegESO
東方司令「濡れる!!」
114 :MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!) [sage]:2010/12/25(クリスマス) 07:59:26.33 ID:stfBcZMo
昨日入籍してきた俺が>>1
115 :MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!) [sage]:2010/12/25(クリスマス) 08:29:17.17 ID:5.kCS/k0
おめ
116 :sage :2010/12/25(クリスマス) 12:31:06.35 ID:5MIvRhgo
怪奇現象が起きてるなw
117 :MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!) [sage]:2010/12/25(クリスマス) 16:27:48.43 ID:VdcYOWko
114
おめでとう
118 :MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!) [sage]:2010/12/25(クリスマス) 17:44:22.01 ID:aoyNpFEo
>>114お祝い申す
私と入籍記念日が同じだな(キリッ

あっ、いちおつおつ
119 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/25(クリスマス) 21:28:22.12 ID:cOcbpPIo
そろそろここら辺で>>1

120 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/25(クリスマス) 22:03:30.60 ID:6sQvvQAO
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ
121 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/25(クリスマス) 23:58:58.83 ID:op0UHoso
青年兵、皇太子……そして帝による右翼派の演説。

表立った賛同者は皆無なものの、当方司令部全体に激震が走ったのもまた事実。

〜応接室〜

右秘書官「殿下、お元気そうで何よりです」

皇太子「うむ。君達もよくやってくれた」

右文官「いやいや、演説お見事でしたぞ」

皇太子「私は何もしておらぬさ。全ては彼女の力……」

エリート「……」

帝「そうか。此処で世話になっておるのだな」

女剣士「はい。最初から良き師に巡り合えました」

帝「ふふっ。お主は運が良いのだな。…女剣士を宜しく頼む」

東方司令「そそっ、そんなボクは……」

女剣士「改めて、宜しくお願いします。お姉様」

帝「私も稽古をつけて頂きたいものだな。ふふっ」

東方司令「……はわわあぁ」
122 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/25(クリスマス) 23:59:38.47 ID:op0UHoso
テクテクテク

東方兵「これ、関係者以外は……」

左翼長「関係者だよ、バーロー」

東方兵「これは失礼致しました!」

ガチャッ

エリート「…おぉ、左翼長殿に南方司令殿」

皇太子「…召喚士達も一緒か」

召喚士「殿下、お疲れ様でした」

盗賊「上様…っ」

帝「盗賊…。それに皆もか」

魔道士「演説、とっても感動しましたっ!」

エリート「それは良かったです。魔道士さんの心に響いたのであればきっと皆にも…」

魔道士「はいっ!間違いありませんよ。えへへっ!」

盗賊「……」

東方司令(東方の女は…どうなっておるのだ!?)
123 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:00:06.31 ID:EJg7gAUo
テクテクテク

東方兵「これ、関係者以外は……」

左翼長「関係者だよ、バーロー」

東方兵「これは失礼致しました!」

ガチャッ

エリート「…おぉ、左翼長殿に南方司令殿」

皇太子「…召喚士達も一緒か」

召喚士「殿下、お疲れ様でした」

盗賊「上様…っ」

帝「盗賊…。それに皆もか」

魔道士「演説、とっても感動しましたっ!」

エリート「それは良かったです。魔道士さんの心に響いたのであればきっと皆にも…」

魔道士「はいっ!間違いありませんよ。えへへっ!」

盗賊「……」

東方司令(東方の女は…どうなっておるのだ!?)
124 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:00:44.45 ID:EJg7gAUo
〜隣室〜

左文官「ぐぬぬ……」

左秘書官「殿下の帰国は予想してしました。していましたが……」

左翼官「まさか東方の主を連れて来るとは…っ」

左大臣「…それで、どう見る?」

左秘書官「国民や兵卒らの支持は圧倒的に右翼でしょう」

左翼官「士官の一部も共感しておりました…」

左文官「何より本国へ戻れるというのが大きいようです」

左秘書官「やや強引に縛り付けたことが裏目に出ましたな……」

左大臣「泣き言はいいっ!それを何とかするのが貴様らの役目であろう!!」

左秘書官「……仰るとおりにて」

左大臣「此処を落とせば我らに勝ち目はなくなる。どんな手を使ってでも票を取れぃ!」

左文官「はっ!一票でも多く…何が何でも!」

左大臣「ぼやぼやしているなァ!ゆけいっ!!」

左翼官「ははっ!!」
125 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:01:41.80 ID:EJg7gAUo


ジャーッ

青年兵「……」

ジャーッ

青年兵「……おえっ、ごほっ……ごほっ」

ジャーッ…キュッキュッキュッ

青年兵「…………」

フキフキ…カツカツカツ…パタン

青年兵「……あと少し。あと少しだ」

東方副司令「…青年兵殿?」

青年兵「!?…これは東方副司令様」

東方副司令「顔色が優れませんが大丈夫ですか…?」

青年兵「あ、ええ…。少し疲労が溜まったみたいです。大丈夫です」

カツカツカツカツ…

東方副司令「……」
126 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:02:26.62 ID:EJg7gAUo
テクテクテク…

青年兵「…あれ、皆さんお揃いで」

召喚士「青年兵くん」

エリート「どこへ行っておったのだ?探したぞ」

青年兵「すみません。ちょっとトイレへ……」

カツカツカツ

皇太子「青年兵」

青年兵「殿下……っ」

皇太子「ありがとう。よくぞやってくれたな」

青年兵「――っ!!」

皇太子「心より礼を申し上げる。お前のお陰だ…感謝する」

青年兵「……勿体なき…お言葉…っ」

魔道士「青年兵さん…良かったですね……」

召喚士「ええ…」

脱力する青年兵を抱きしめる皇太子。その姿に一同はしばし言葉を止めた。
127 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:06:23.49 ID:EJg7gAUo
午前中の慌しさとは打って変わり、午後は両陣営による資料ベースでのアピール。

右秘書官「……であるからして、再編の手順と致しましては――」



左秘書官「……つまり、再編に伴う損失は大きくこれは――」

〜中庭〜

盗賊「……」

魔道士「……いんですかねぇ、私達こーんなノンビリしてて」

戦士「でもよぉ、余計な事して逆に迷惑になってもしょがねーしな」

ザッザッザ

青年兵「大丈夫ですよ。あとは右文官様達にお任せしましょう」

召喚士「お疲れ様、青年兵くんっ」

青年兵「ありがとうございます」

魔道士「これでひとまず、落ち着いた感じですかね…?」

青年兵「そうですね。まぁ…当方司令部はですけど……」

盗賊「……」
128 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:07:31.36 ID:EJg7gAUo
召喚士「ごめんね、本当は全部一緒に付いて行きたいんだけど…」

青年兵「お気になさらず。お話は聞いておりますよ。ねぇ?」

魔道士「…?」

ザッザッザ

左翼長「そういう事だ。後は政治屋共に任せておけばいい」

南方司令「私達の仕事は、前線で人々を守る事…だろう?」

戦士「…まぁな。頭使うのは性に合わねぇや」

魔道士「そうですよねぇ……あ……っ!」

盗賊「……!!」

召喚士「雪……?」

闇に包まれ始めるずじょうの空より、白く小さな雪がひらひらと舞い注ぐ。

魔道士「綺麗〜っ!」

戦士「どーりで寒いわけだ…」

盗賊「……」

召喚士「雪…かぁ」
129 :クリスマス終了のお知らせ [saga sage]:2010/12/26(日) 00:07:39.24 ID:mX9WOYDO
>>1キテルー!!

あれ?東方司令と盗賊は初対面だっけ?
130 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:08:43.71 ID:EJg7gAUo


東方司令「どこへ行っていたのだ?」

青年兵「すみません。ちょっと外へ」

皇太子「見たまえ、雪が降っているぞ」

魔道士「そうなんですよ〜」

エリート「美しいな……」

ガチャッ

右文官「まもなく開票結果が出るぞ!」

戦士「おっ!」

青年兵「参りましょう!」

皇太子「うむ」

帝「我らも参ろうぞ」

名代「御意に」

魔道士「いよいよ…ですね」

召喚士「ええ…」
131 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:09:58.19 ID:EJg7gAUo
ザワザワザワッ

盗賊「……!?」

皇太子「……」

ザッザッザ

左大臣「これはこれはァ」

エリート「……どうも」

左大臣「其方が東方の女王陛下であられますかなァ?」

名代「如何にも」

左大臣「ごあいさつが遅れ申したァ。左大臣と申します。以後、お見知りおきを」

帝「うむ。こちらこそ」

左大臣「……それではァ、失礼」

エリート「今の男が以前お話した左大臣です」

帝「……成程な」

右文官「おっ、いよいよ発表のようだぞ!」

右秘書官「ええ。さて、どうなるか……」
132 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:10:48.02 ID:EJg7gAUo
ザワザワザワッ

盗賊「……!?」

皇太子「……」

ザッザッザ

左大臣「これはこれはァ」

エリート「……どうも」

左大臣「其方が東方の女王陛下であられますかなァ?」

名代「如何にも」

左大臣「ごあいさつが遅れ申したァ。左大臣と申します。以後、お見知りおきを」

帝「うむ。こちらこそ」

左大臣「……それではァ、失礼」

エリート「今の男が以前お話した左大臣です」

帝「……成程な」

右文官「おっ、いよいよ発表のようだぞ!」

右秘書官「ええ。さて、どうなるか……」
133 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:14:39.86 ID:EJg7gAUo
議会管理を司る審判官の男が、司令部の正面入り口前に現れる。

そしてゆっくり辺りを見回すと、懐より紙を取り出し声をあげて読み始めた。

審判官「これより、当方司令部における士官の発表結果を述べる!」

魔道士「うぅ…緊張したきたぁ……」

盗賊「……」

審判官「総数100。有効票100…無効票なし。まずは右翼……」

召喚士「……」

戦士「さぇて…どうだっ!」

審判官「……41票」

青年兵「――!!」

ドヨドヨドヨッ!!

審判官「左翼、59票。以上が結果となる。尚、この投票において異議のある者は――」

エリート「41……だと…!?」

皇太子「まさか……こんな結果になるとはな」

青年兵「41……41票か……っ」
134 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:16:22.40 ID:EJg7gAUo
フルッ…フルフルフルッ

左大臣「……」

左秘書官「41対……59だとぉ!?」

左文官「バカな…っ!そ、そんなハズは……」

左翼官「……っ」

左大臣「……帰るぞ」

左秘書官「左大臣様…?」

左文官「しっ、しかし……」

左大臣「これ以上、恥をかかせる気かァ!」

左翼官「……っ!!」

左大臣「それに最早、此処に用はない。次へ向かうぞ」

左秘書官「資料と荷物を纏めて下さい。直に発ちます」

左文官「…つ、次はどちらに向かいましょうか……?」

左翼官「距離的な事を考えますると……」

左大臣「……北方…司令部だなァ」
135 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:17:14.98 ID:EJg7gAUo


青年兵「……」

召喚士「青年兵…くん…?」

青年兵「……」

テクテクテク…バシッ!!

エリート「やったな!青年兵っ!」

青年兵「え、あ…あぁ…っ」

戦士「えぇと…一応、勝ちなのか?」

左翼長「前に話したろ。ここで三割取ればいいってな」

召喚士「そういう事ですね」

魔道士「あ、そっか…!41票っていう事はぁ」

盗賊「……四割だな」

右文官「これは……」

右秘書官「…ええ!」

青年兵「我らの…勝ちです!」
136 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:18:21.01 ID:EJg7gAUo


右文官「左翼連中は早々に去ったようだぞ」

青年兵「そうですか…」

エリート「恥をかかぬよう、早々に立ち去ったのさ」

右秘書官「それが通例となっておりますしね」

カラカラカラッ

東方副司令「お待たせ致しました。祝賀会のご準備が整いましたよ」

魔道士「祝賀会…ですか?」

青年兵「そんな…わざわざ……」

右文官「良いのだ。それも通例よっ、なぁ?」

右秘書官「そうです。それも含めて仕事ですよ」

青年兵「……分かりました」

東方副司令「皆様もどうぞ、ご参加下さい」

召喚士「い、いいんですか…?」

東方副司令「もちろんですよ」
137 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:19:14.99 ID:EJg7gAUo
広い講堂は華々しく飾り付けられ、そこへ当方司令部の面々が集う。

テクテクテク

東方参謀「おぉ、来たぞ!」

ワアアァァッ

戦士「うおっ!?凄い歓声……」

魔道士「沢山集まってますね〜!」

シズシズ…

東方兵「おぉ…っ!」

魔道兵「あれが…東方の女王陛下か…っ!」

帝「……いちいち着替える必要あったのか?」

名代「何を仰います。東方の顔なのですから」

帝「そうか?……まぁ、そうだな」

名代「それに、皆の受けも良いようですよ?」

東方兵「……な、なんだか凄く…かわいいな」

魔道兵「あ、ああ…。ありゃ……アリだな」
138 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 00:20:16.73 ID:EJg7gAUo


東方副司令「それでは、祝賀会を始めたいと思います」

南方司令「待ってましたぁ!」

戦士「ノリノリだな…」

左翼長「いいんだよ。主役を盛り上げてやんのが俺らの役目だ」

エリート「そうですよ。それに……」

ガラガラガラッ

魔道士「おぉーっ!おっきなケーキ!!」

盗賊「…凄…い」

東方参謀「メリークリスマース!!」

東方副司令「クリスマスも近いですし、それも兼ねてです」

エリート「そういう事らしい。今日は存分に楽しむといい」

戦士「……そうとなりゃ……飲むぜぇ!!」

南方司令「おーうっ!!」

召喚士「あははははっ!」
139 :クリスマス終了のお知らせ [sage saga]:2010/12/26(日) 00:21:20.89 ID:EJg7gAUo
>>129
並んで改めてみると…って感じです

なんだか重くて重複が…ごめんなさい!
140 :クリスマス終了のお知らせ [sage]:2010/12/26(日) 01:10:52.94 ID:zXiRol2o
東方司令「東方のMS(メス)はバケモノか!」
141 :クリスマス終了のお知らせ [sage]:2010/12/26(日) 01:12:52.00 ID:SgnP63.o
召喚士「メリークリトリス!!」
142 :クリスマス終了のお知らせ :2010/12/26(日) 01:26:34.12 ID:suJvh1go
まったく美形は得だなー
美形は…な………今年もクリスマスに負けた…来年こそは…っ!;;
143 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 08:16:38.38 ID:rZYo3kDO
開票見届けて青年兵ブッ倒れるかと思った
144 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/26(日) 09:05:39.20 ID:GAI8tmYo
青年兵につわりがきたのかと思った……

乙!
145 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 10:35:28.83 ID:XriCBqco
えっ!?青ちゃんが妊娠?
146 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 12:04:55.95 ID:budz1ig0
えっ?赤ちゃんが産まれた?
147 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 12:13:39.99 ID:4FEQQdoo
えっ?俺が父親?
148 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 13:29:42.46 ID:XIapDn.o
えっ?俺が母親?
149 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 13:31:00.92 ID:rALmZqYo
えっ?俺が子供?
150 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 13:31:44.81 ID:rZYo3kDO
えっ?俺が子供?
151 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 13:48:45.56 ID:Va0l81Io
えっ?俺が祖父?
152 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 14:39:19.03 ID:oKwkF12o
なんだこれwwww
しかもふたごか…
153 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 19:35:18.20 ID:EJg7gAUo
クリスマス、いかがお過ごしだったでしょうか?
私は歯医者でした。あはは…

>>144-151
なんぞこれww

↓続き
154 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:36:15.54 ID:EJg7gAUo
ガヤガヤガヤッ

東方副司令「では、本日の主役とも言えるかたがたのご紹介です」

カツカツカツ…

東方副司令「まずは、今議会において船頭を取られた青年兵殿」

青年兵「東方司令部の皆様、まずはお礼の意を申し上げます」

名を呼ばれ壇上に上がる青年兵は、深々と頭を下げる。

青年兵「皆様においては不快な思いもさせてしまい、申し訳ありません」

東方伍長「……」

青年兵「しかし、必ずやこの決断は報われるでしょう」

東方兵「俺は…アンタに付いて行きまずぜぇー!」

青年兵「私はご紹介の通り、船頭に過ぎません。主役は……」

カツカツカツ

皇太子「皆々には大変感謝しているぞ。ありがとう」

ワアアァァ

皇太子「私の為ではなく、本国…そして、世界中の人々の為に力を貸してくれ」
155 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:36:56.94 ID:EJg7gAUo
南方司令「殿下ーっ!」

皇太子「そしてますは此方の方をご紹介させて頂く」

シズシズシズ…

帝「……」

東方兵「おぉ……っ」

皇太子「存じている者もいるであろうが、東方の女王陛下であられる帝様だ」

帝「お初にお目にかかります」

ペコリ

魔道兵「…可憐だ」

東方伍長「……ああ」

帝「我ら東方は今後、本国と共に…人類の為に戦いたいと思う」

ワアアァァ

帝「国は違えど同じ人間。共に歩もうではないか」

戦士「流石だな」

召喚士「うんっ!」
156 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:37:23.66 ID:EJg7gAUo
盗賊「……上様」

東方副司令「では折角の機、存分にご歓談下さいませ」

ガヤガヤガヤッ

東方司令「なるほどな…。キミはあの方の護衛だったのか」

女剣士「ええ」

シズシズシズ

帝「女剣士」

女剣士「上様……」

帝「東方司令殿」

東方司令「は、はいぃ…!」

帝「この者を頼む。この通りだ」

ペコリッ

東方司令「ボ、ボクは……頑張りますぅ!」

カツカツカツ

エリート「東方司令、貴女は今後…どうなさいますか?」
157 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:37:57.36 ID:EJg7gAUo
帝「私は『うよく』の殿下を支持しようと思う」

東方司令「ボクも…当然でありますっ!」

皇太子「助かる」

東方司令「そ、それが…師匠との約束うぅ…」

青年兵「凄い…。酔っているのに素面だ……」

カツカツカツ…

青年兵「東方先生」

東方参謀「…わーっはっはっは!恐れ入ったぞ、小僧!」

青年兵「ありがとうございます」

東方参謀「殿下、ワシもこれからは堂々と右翼を支援させて貰う」

皇太子「派閥嫌いの先生が…宜しいのか?」

東方参謀「派閥は嫌いだが、左大臣は虫が好かぬ」

エリート「心強いお言葉です」

東方参謀「但し、道を間違えるでないぞ?その時は……」

皇太子「分かっているつもりだ。期待に応えよう!」
158 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:38:29.47 ID:EJg7gAUo
ゴクッゴクッゴクッ…カンッ

南方司令「……っはぁ!」

戦士「なかなかイケるクチじゃあないですかい」

南方司令「無論!正義の名において酒などに負けてはいられぬ!」

左翼長「正義派関係ねーだろ……」

カツカツカツ

魔道士「あっ、名代さん!」

名代「楽しんでおられますかな?」

召喚士「どこに行かれてんたんですか?」

名代「司令部内を拝見させて貰っていた」

盗賊「……司令部内を?」

名代「本国に来る機会など早々ないからな」

南方司令「勤勉ですなぁ…!」

左翼長「お前も少しは見習ったらどうだ?」

召喚士「あははっ!」
159 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:39:01.34 ID:EJg7gAUo
シズシズシズ

帝「名代」

名代「上様、お疲れ様で御座いまする」

帝「何処におったのだ、探したぞ」

名代「色々と勉強させて頂いておりました」

帝「そうか。しかしあれだな」

名代「…?」

帝「本国も良い所じゃ。国も…人も……」

名代「…ええ、全くです」

左翼長「ありがとうございます」

南方司令「南は更に良い所ですぞ!」

帝「南…?ほぅ、それは一度訪ねてみたいものだ」

南方司令「是非是非来て下され!一同歓迎致しますぞ」

帝「…うむ。何れ機会を設けよう」

名代「そうですね。他方も是非、訪ねてみたいものです」
160 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:39:47.39 ID:EJg7gAUo


東方兵「青年兵様、どうぞお召し上がり下さい!」

魔道兵「さぁさぁ、たーんと飲んで下され!」

青年兵「ありがとうございます」

テクテクテク…

東方参謀「あっという間に兵らの心を掴んだな」

エリート「東方先生。……ええ、私も些か驚いております」

当方司令部の兵卒に囲まれ、笑顔を見せる青年兵。

その姿を遠目から東方参謀とエリートがグラスを片手に見つめる。

東方参謀「お前はあの男を担ぎ上げるつもりか?」

エリート「さぁ…それはまだ分かりません。彼次第ではないでしょうか」

東方参謀「殿下と青年兵か…。悪くないな」

エリート「ええ。私は神輿になる才能はありませんからね」

東方参謀「あの二人ならお前はその間として適任だな」

エリート「ありがとうございます」
161 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:40:13.85 ID:EJg7gAUo
ガラガラガラッ

東方参謀「さぁ、切り終えたぞ」

盗賊「…よし!」

タンッ!!

召喚士「早っ!」

青年兵「あれ…?東方魔道長様は…」

東方司令「顔を出せるわけがなかろう」

左翼長「奴はあからさまに左翼だからな」

青年兵「そう…ですよね…」

帝「……」

スタッ

盗賊「上様、宜しければどうぞ」

帝「…苺のけーきか。有難う」

盗賊「いえ…」

帝「……うん、美味いぞ。盗賊を食すと良い」
162 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:40:50.97 ID:EJg7gAUo
盗賊「はいっ」

テクテクテク

女剣士「上様、ケーキを……」

帝「ん?おぉ、既に盗賊から頂いてしまったぞ」

女剣士「そうでしたか。それは失礼を…」

帝「構わぬ。折角持ってきてくれたのだ…頂こう」

パクッ

帝「それに、甘い物は幾らでも入るぞ」

女剣士「上様…っ」

タッタッタ…ズイッ

東方司令「よ、良ければ…ボクのも……どうぞ!」

コンモリ

帝「……こ、これはどうも…ありがとう」

東方司令「い、いやぁ〜はははっ!こ、この程度あのその……」

帝「しかし…食しきれるであろうか……」
163 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:41:37.72 ID:EJg7gAUo
スタスタスタ

名代「上様、再三申しておるでしょう」

帝「う……っ」

女剣士「何か?」

名代「ここ数日、菓子ばかり食しておってな」

帝「食事もしっかり摂っておるであろう」

名代「そういう事では御座いません」

帝「むぅ」

名代「とにかく、今宵はもうおしまいになさりませ」

ヒョイッ

東方司令「あ……」

名代「…?」

盗賊「……」

名代「これは、他の方に食して頂きます」

東方司令「……あ、あぁ…っ」
164 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:43:06.44 ID:EJg7gAUo


東方副司令「さて、ここで余興などを一つ…」

ザワザワ…

戦士「余興…?」

魔道士「何でしょうね」

東方副司令「当司令部楽団による、演奏を行います」

召喚士「なるほど…。音楽ですね」

魔道士「おぉーっ、素敵ですねぇ!」

間もなく壇上では楽団が並び立ち、各々の楽器を手にスタンバイする。

皇太子「これが本来のあるべき姿なのだ」

帝「……?」

皇太子「二本の手には武器など携えず、こういう物を持つべきなのだ」

帝「…まことその通り。血で汚れた掌で…楽器や赤子など…」

皇太子「早くそんな世の中を築きたい。貴女のお陰でそれが近づきました」

帝「此方こそ。それが私の宿命であったのだろうな」
165 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:43:53.23 ID:EJg7gAUo
東方副司令「それでは、お願い致します」

カツカツカツカツ…

エリート「…先生!?」

東方参謀「わしの指揮に…付いて来れるかぁ〜!?」

ヒュンッ!!

魔道士「……独創的な指揮者ですね」

戦士「あ、あぁ…」

召喚士「でも、演奏はとても素晴らしいですね」

盗賊「…ああ。素晴らしいな」

帝「いやはやこれはお見事。本国の音楽は甘美よの」

皇太子「うむ。実に良い音色だ」

魔道士「とっても素敵なクリスマスパーティーですね…えへへ!」

召喚士「はいっ!」

細雪の降り注ぐ夜、奏でる音色に合わせ皆の心が一つになってゆく。

目には見えないけど、それは確かに全員感じた事なんだと思う。
166 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:44:21.03 ID:EJg7gAUo


魔道士「ありがとうございました!」

東方副司令「楽しんで頂けたようで何よりです」

召喚士「青年兵くん、本当におめでとう」

青年兵「ありがとうございます!でも、まだ終わりではありませんから…」

右文官「うむ。左翼も後がない…。かなり力を入れてくるだろうしな」

右秘書官「次は…南方か」

東方司令「南方?北ではないのか?奴らは北へ向かったと…」

青年兵「だからこそ南方なのです」

右秘書官「どちらも投票日は一緒です。それであるならば…」

右文官「奴らの向かわぬ方で演説した方が、気も引けるし力も入れられる」

右秘書官「それに、北はそう簡単に篭絡されるとも思っておりませんが…」

左翼長「…そりゃそうだ。奴もいるしな」

南方司令「おいおい、南だってなぁ…」

青年兵「もちろん分かっておりますよ。ご安心下さい」
167 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:45:00.53 ID:EJg7gAUo


名代「それでは、お休みなさいませ」

召喚士「お休みなさい」

帝「盗賊、またな」

盗賊「…はいっ」

東方司令「あ、あの…宜しければボクの部屋で……」

東方参謀「この馬鹿者がぁ!何を言っているか!」

帝「流石にそれは申し訳ない。客室で休ませて頂くよ」

東方司令「……っ」

名代「私はまた司令部内を拝見させて頂きます。それでは、失礼致します」

ザッザッザ…

東方司令「…残念。女剣士、行こ」

女剣士「すみませんお姉様…。上様の護衛に行って参ります!」

タッタッタッタッタ…

東方司令「…………」
168 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:46:02.20 ID:EJg7gAUo
テクテクテク…

魔道士「それじゃ、お休みなさーい」

盗賊「…おやすみ」

召喚士「はい、お休みなさい」

戦士「寝坊すんなよー」

パタン

召喚士「クリスマス…かぁ」

戦士「なーんかみんなでクリスマスってのも…なかったなぁ」

召喚士「最初の頃はもう、無我夢中だったからねぇ」

戦士「だなぁ。とにかく先に進むのが楽しかったし、色んな事したかったもんなー」

召喚士「でも、いいのかな…。最近は……」

戦士「…いいんじゃねーの?」

召喚士「…そう?」

戦士「俺も最近そう思い始めたんだけどさ」

召喚士「…?」
169 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:47:24.59 ID:EJg7gAUo
戦士「前はとにかく魔物ブッ倒して、名を上げて強くなってって思ってたさ」

召喚士「うん…」

戦士「でもよ、経験積んでるうちに分かったんだ」

召喚士「何を…?」

戦士「死んだら終わり……ってな」

召喚士「……」

戦士「だからよ、好きな時に好きな事やるのって大事なんじゃないか?」

召喚士「……うん」

戦士「それによ、どんな道進んだって、近道も遠回りも目的地は一緒だろ?」

召喚士「…戦士」

戦士「…まぁよくわかんねぇけど、そんなカンジ?」

召喚士「いい事言うじゃん…たまには!」

戦士「おいっ!たまには、は余計だろっ!はははっ!」

召喚士「あはははっ!」

戦士「さーて、明日からは別行動だ。頑張ろうぜ、互いにな!」

召喚士「……うん!」
170 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:48:36.36 ID:EJg7gAUo
〜次の日〜

東方司令「……」

青年兵「おはようございます」

東方司令「…ひどい顔だな」

青年兵「資料作りに徹夜で…。司令こそお顔が優れませんが大丈夫ですか?」

東方司令「二日酔いだ、気にするな…」

青年兵(悪酔いしなくても二日酔いにはなるんだ……)

東方司令「それより、東方の陛下は…?」

青年兵「朝方に発たれましたよ。東方に…」

東方司令「なにぃ!?」

青年兵「殿下とエリート様が軍船で送るとターミナルに……」

ガシッ!!

東方司令「何故言わぬ!あっ、痛……っ」

青年兵「な、何故って…司令見当たりませんでしたし…」

東方司令「……はっ!!」
171 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:49:23.25 ID:EJg7gAUo
キョロキョロッ

東方司令「まさか……女剣士も…」

テクテクテク

女剣士「お姉様、お早う御座います」

東方司令「――!!」

ダッ!!…ガバッ…ギュウゥ

女剣士「え…えっ!?」

東方司令「良か…った、本当に良かった…!!」

女剣士「…な、何?」

青年兵「さ、さぁ……」

右文官「おぉ、いたいた」

右秘書官「青年兵、間もなく南へ発つぞ」

青年兵「はいっ、直に向かいます!」

東方司令「もう行くのか」

青年兵「はい。南、西と演説が残っておりますから」
172 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:49:58.90 ID:EJg7gAUo
一つ会釈を残し、青年兵は東方司令、女剣士の元を立ち去った。

東方司令「……不思議な男だ」

女剣士「……?」

東方司令「何の好意も持たぬが…妙に気になる」

女剣士「え…っ!?」

東方司令「それにあの男、どこかで……あ痛たたた…っ!」

女剣士「お姉様!?」

東方司令「す、すまん。部屋まで連れて行って…添い寝してくれ」

女剣士「はい…。えっ!?」

東方司令「大丈夫、ただの二日酔いで直に良くなる」

女剣士「いや……そうではなくて……」

東方司令「あー痛いなー!早く行こうー!」

ガバッ…ギュウウゥゥ

女剣士「は、はぁ……」

東方司令「……青年兵…か」
173 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:50:50.29 ID:EJg7gAUo


東方参謀「おぉ、来たようだな」

青年兵「すみません、お待たせ致しました」

南方司令「向かう所は同じ。共に行こう」

右秘書官「頼もしい限りです」

魔道士「何だか私達まですみません…」

右文官「気になさるな。南方司令殿の任務なのであろう?」

戦士「…まぁな」

召喚士「じゃあ戦士、魔道士さん。お気をつけて」

盗賊「…また…な」

魔道士「はいっ!すぐに合流しましょうねっ!」

戦士「召喚士、死ぬなよ?」

召喚士「……うん、もちろん!」

二人はニッコリと笑顔で拳を突き合わせる。

間もなく、南方へ向かう馬車が東方司令部を出発した。
174 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:51:37.87 ID:EJg7gAUo


左翼長「行ったか」

召喚士「…ええ」

左翼長「さーて、次は俺達だ。行くとしようか」

盗賊「…ああ」

東方参謀「くれぐれも気を付けよ」

召喚士「…?」

東方参謀「左翼の連中は既に司令部へ向かっておるのであろう?」

左翼長「なぁに、案ずるに及ばんさ」

東方参謀「なら良いがな」

召喚士「色々とお世話になりました」

東方副司令「朱雀先生、またお待ちしておりますよ」

召喚士「ありがとうございます」

左翼長「よ−し、それじゃ馬車に乗ってくれ」

盗賊「…ああ」
175 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:52:22.96 ID:EJg7gAUo


北方兵「それでは出発致します」

左翼長「いいぞ、出してくれ」

ドドッ…パッカパッカパッカ

左翼長「…ああは言っても気にはなる。少し馬車を飛ばすぞ」

召喚士「はい」

左翼長「……しかし、召喚士と盗賊がペアか」

盗賊「…?」

左翼長「いや、意外だなと思ってよ」

召喚士「そうですか?」

盗賊「…理想は私と魔道士なんだが」

左翼長「流石に女二人は危ないもんな」

召喚士「かといってとさんと戦士だと、前衛二人ですからね」

左翼長「一番バランスのとれた組み合わせって事か」

盗賊「…だな」
176 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:53:49.18 ID:EJg7gAUo
パッカパッカパッカ…

魔道士「戦士さんと二人って久々ですね」

戦士「あー、前にも一度あったなぁ」

南方司令「そうなのか?」

戦士「もう二年近く前だけどな」

魔道士「あれはマジシャンさん探しの時でしたっけ…?」

戦士「そうそう」

青年兵「覚えてますよ!僕が召喚士さんと初めてあったのもその時でした!」

魔道士「そういえばそうかもですねっ!」

戦士「あれから結構経ったんだなぁ」

魔道士「今度は二人でも…頑張れますよねっ?」

戦士「おうよ。そのつもりで来たんだからな」

南方司令「期待しているぞ!」

魔道士「はいっ!頑張ります!!」

戦士「南…華国と魔物……か」
177 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:54:24.09 ID:EJg7gAUo
パッカパッカパッカ…

召喚士「……」

盗賊「…どうした?」

召喚士「いえ、すみません」

盗賊「……?」

召喚士「盗賊さんは戦士とペアの方が本当は……」

盗賊「!?」

左翼長「あん?何かあんのか?」

盗賊「ないっ!何もないぞ!……何を言い出すのだこのたわけっ!」

召喚士「す、すみません」

左翼長「……あーそういう事か」

盗賊「どういう事だっ!」

左翼長「いいんじゃねぇの?ツーペア同士になるんだし」

召喚士「いやっ、俺と魔道士さんはそういう事ではなく……」

盗賊「私だって!」
178 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:55:06.42 ID:EJg7gAUo
左翼長「但しな、それなりの覚悟は当然持っておけよ」

召喚士「…?」

左翼長「この先生きのこるか死ぬかのどっちかしかねぇ」

盗賊「……」

左翼長「今以上に辛いものになるって事さ……」

召喚士「経験…あるんですか?」

左翼長「……ねぇよ」

盗賊「……」

左翼長「大事なモンを失うのは辛いってこった」

召喚士「…はい。肝に銘じておきます」

左翼長「お前らは大丈夫だろ。無茶しなきゃ問題ねぇ」

召喚士「勇敢に……ですね」

左翼長「そういう事だ。さぁて…そろそろ北関だ。休憩がてら一度立ち寄るぞ」

盗賊「……ああ」

召喚士「はい」
179 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 19:55:56.68 ID:EJg7gAUo

本国においける議会から東方司令部での演説まで、

召喚士達は人間同士の戦いを見届けた。

戦いと言っても血を流すわけでもなく、互いの正義をぶつけ合った舌戦。

しかしそれは間違いなく戦いであって、その白熱した青年兵や皇太子らの想いに、

改めて今後の戦いにおける重要性と立場を身に染みたのであった。



    〜第二十八部、完〜
180 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 19:57:18.92 ID:x0E9T8wo
>帝「……うん、美味いぞ。盗賊を食すと良い」

いいの!?
181 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 19:57:48.62 ID:6Ejer0go
>>1


盗賊「上様、宜しければどうぞ」

帝「…苺のけーきか。有難う」

盗賊「いえ…」

帝「……うん、美味いぞ。盗賊を食すと良い」
                  ~~
俺「はいっ」
182 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 20:42:24.69 ID:qNBboEDO
>>1乙 なんというか……上さまは天然ジゴロですね、東方司令部はみんな骨抜きだし
183 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 21:38:18.89 ID:18IcwE6o
>>1

左翼長「但しな、それなりの覚悟は当然持っておけよ」

召喚士「…?」

左翼長「この先生、きのこるか死ぬかのどっちかしかねぇ」

盗賊「……」

左翼長「今以上に辛いものになるって事さ……」

召喚士「きのこるって…?」

左翼長「……知らねぇよ」

盗賊「……」
184 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/26(日) 22:03:44.88 ID:okrrDrw0
>>1
少し落ち着いてみるんだ・・・
もうクリスマスは終わったんだ・・・
185 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:31:04.77 ID:EJg7gAUo
盗賊「……サンタさん?」

魔道士「はいっ」

戦士「そんなモンいねーって。いつまで信じてんだよ……」

魔道士「います!サンタさんはいますっ!」

召喚士「そ、そうですよね…きっといますよ」

戦士「召喚士、合わせる事ねーぞ」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「いねーいねー。サンタなんてのはおとぎ話だ」

魔道士「もうっ、夢がないですねぇ……」

召喚士「でも、もしいたら何をお願いしますか?」

魔道士「そうですねー」

盗賊「……うーん」

戦士「だーから、サンタなんて……」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「へいへい……」
186 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:31:48.83 ID:EJg7gAUo
〜戦士の場合〜

戦士「今時サンタなんてガキンチョでも信じてねぇっつの……」

ゴロン

戦士「……サンタ…かぁ」

ボフッ

戦士「昔は俺も…信じてたっけなぁ……」

……――

幼馴染『ねーねー戦士くんっ、戦士くんは何お願いしたのー?』

戦士『ぼくー?ぼくはね、お母さん』

幼馴染『お母さん?』

戦士『うん。だってみんなにはお母さんいるでしょ?』

幼馴染『そっかー。戦士くんはママがいないもんね』

戦士『うん。だからぼく、サンタさんにはお母さんが欲しいっておねがいしたんだ!』

幼馴染『へーっ!サンタさん、つれて来てくれるといいねっ!』

戦士『うん!』
187 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:32:21.11 ID:EJg7gAUo
――……

戦士父「…おい、戦士」

戦士「親父…!?」

戦士父「さっきから呼んでるだろ、返事をしろ」

戦士「わ、わりぃ…なんだか寝ちまったみたいで…」

戦士父「今日は起きていろと言っただろ」

戦士「そうだったっけか?」

戦士父「サンタが連れてきてくれたお前の母を紹介するって言ったろ」

戦士「――!?」

戦士父「ほら、来なさい。お前も久々に戦士の顔を見たいだろう?」

戦士「母…さん……っ」

テクテクテク

戦士「――っ!!!!」

戦士父「…どうだ、母さんだ。新しいな」

盗賊「戦士…お母さんと呼んでいいのよ」

ガバッ!!

戦士「…はぁ…はぁはぁっ」

シーン

戦士「夢……だよな。うん」
188 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:32:50.24 ID:EJg7gAUo
〜盗賊の場合〜

侍女「三太さん…?あぁ、ふもとの酒屋の……」

盗賊「違うの!そういう人がいるのだ!」

侍女「えーだから酒屋の息子の……」

盗賊「ちーがーうー!!」

火忍「はっはっは。侍女、お前は知識が疎いな!」

侍女「アンタ知ってるの!?」

火忍「当たり前よ!さんたってのはな、赤い服を着た老人で……」

盗賊「おぉ…っ!」

火忍「齢は60。今年還暦を迎えた都の和菓子屋の亭主……」

盗賊「ちがーう!!」

火忍「えっ?和菓子屋の三太夫さんでは……」

盗賊「……もういい」

侍女「さんたって何者なんですか?」

盗賊「サンタというのは老人で、欲しいプレゼントを持ってきてくれるのだ!」
189 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/26(日) 23:33:27.43 ID:EJg7gAUo
ホーッホーッ

盗賊「……すーっ、すーっ」

コソッ

盗賊「…!!」

ガバッ!!…チャキッ

盗賊「何奴!」

――「……」

盗賊「……あ、赤い服に…白い髭!サ…サンタ!?」

サンタ「……受け取れ」

ポイッ

盗賊「こ、これは…!?」

サンタ「プレゼントだ」

ガサッ

盗賊「こ…れは……」

サンタ「お主の父が買ってお…父から私が譲り受けた一張羅だ」
190 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:34:16.64 ID:EJg7gAUo
盗賊「……はぁ」

サンタ「これを来て父に孝行するが良いぞ」

ヒュバッ!!

盗賊「……」

チュンチュンチュンッ

侍女「ひーめっ!おはよっ!!」

盗賊「……」

侍女「あれ、ご機嫌斜め?」

盗賊「いや…あんまり寝てなくてな」

侍女「駄目ですよー。しっかり睡眠は取らないと〜」

盗賊「サンタが来た」

侍女「嘘っ!?ど、どんな人だったの!?」

盗賊「……忍のようだった」

侍女「し…忍!?」

盗賊「しかもかなりの手だれでどこぞの頭領のようであったよ…ふっ…」
191 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:34:58.02 ID:EJg7gAUo
〜魔道士の場合〜

ゴソゴソッ…ポフッ

魔道士「靴下よしっ!煙突よーし!!」

モゾモゾッ

魔道士「おやすみなさーい!」

ドキドキドキ

魔道士「……ふふっ」

ドキドキドキ

魔道士「…サンタさん、お茶飲んでいくかなぁ」

ドキドキドキ

魔道士「…あっ、何かクッキーとかも置いておいた方がいいかな?」

ドキドキドキ

魔道士「……遅いな。迷子になっちゃったのかな…?」

ドキドキドキ

魔道士「……」
192 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:35:26.39 ID:EJg7gAUo
チュンチュンチュン

魔道士「……」

召喚士「魔道士さんっ!?」

盗賊「……か、顔が…っ」

戦士「大丈夫か…?」

魔道士「……はい」

戦士「結局サンタは来なかったんだな?」

盗賊「…全く。無理をするな」

戦士「盗賊、ちょいと剣の手入れ手伝ってくれ」

盗賊「…うん」

テクテクテク…

魔道士「……は〜あ」

召喚士「……あ、あぁー!」

魔道士「…?」

召喚士「そういえば……」
193 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:35:53.49 ID:EJg7gAUo
魔道士「な、何です…?」

召喚士「こ、これ……昨日渡してくれって頼まれたんですよ」

カサッ

魔道士「……?」

召喚士「何ですかね、変な赤い服の老人でサンタみたいな……」

魔道士「本当ですか!?」

ガバッ…ゴソゴソゴソッ

魔道士「……っ!!」

召喚士「お、おーっ!冬の新作コスメに人気ブランドのマフラーとミトン……」

魔道士「……ふ……ふふっ」

召喚士「よ、良かったですねー魔道士さん!」

魔道士「……ありがとうございます」

召喚士「え…っ?」

魔道士「…サンタさんに、そうお伝えして下さいっ!えへへ!!」

召喚士「ははっ、分かりました……って何で泣いて――!?」
194 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:36:47.32 ID:EJg7gAUo
〜召喚士の場合〜

召喚士「サンタ…ってか、クリスマスかぁ……」

……――

師匠「メリィ〜クスリスマ〜スウウゥゥ!!」

バシッ!!

召喚士「いって……。師匠、もう酔ってますね?」

師匠「阿呆。クリスマスに酒飲まんでどーする!」

召喚士「……はぁ」

師匠「しっかし華のクリスマスにヤローと二人かぁ……」

召喚士「……」

師匠「あのよ」

召喚士「はい?」

ズイッ

召喚士「…な、何ですか!?」

師匠「……お前、端整な顔立ちしてるよなー」
195 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:37:14.31 ID:EJg7gAUo
召喚士「え……えっ!?」

師匠「……二階にあったかな。確か」

召喚士「師匠!?」

師匠「あー。あれだよ、女物の服……」

召喚士「師匠!!」

師匠「ジョーダンだよジョーダン。お前の童貞なんて欲しくも……」

召喚士「ししょー!!」

師匠「がはははっ!!」

召喚士「全く……」

師匠「さーて、もう寝よ。面白くも何ともねー」

テクテクテク…

召喚士「あ……おっ、お休みなさい」

師匠「ふあ〜ぁ……」

召喚士「……俺も…寝るか」

テクテクテク…パタン
196 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:37:44.87 ID:EJg7gAUo
召喚士「……クリスマスかぁ」

モゾッ

召喚士「サンタが居るなら…欲しい物……かぁ」

ゴソッ

召喚士「……ははっ、寝よ」

チュンチュンチュン

召喚士「……ん」

モゾッ

召喚士「……あ、もう…朝かぁ」

ノソッ…テクテクテク

召喚士「……師匠ー」

師匠「ぐおーっ、すぴーっ…がああぁぁ」

召喚士「……ひどいイビキだな」

テクテクテク

召喚士「……!?こ、これは…っ!!」
197 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:38:36.37 ID:EJg7gAUo
ゴチャー

召喚士「…汚ったねぇ。師匠、夜中も飲んでたな……」

テキパキテキパキ

召喚士「サンタがいたら…家事してくれる人が欲しいな。ははっ」

カチャカチャッ…コトッ

召喚士「ん、何だこれ……?」

ゴトッ

召喚士「でっかい箱だなぁ…。何が入ってんだろ」

ググッ…グググー

召喚士「…固…っくて、開かな……いぃ!!」

ドサッ

召喚士「…ダメだ。開かないや…ってか、こんなのあったっけ?」

グイッ…ヨタヨタヨタッ

召喚士「とりあえず……この…っ辺にいいぃぃ……」

ドサッ
198 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:41:39.80 ID:EJg7gAUo
召喚士「……置いとこ。……あっ」

テクテクテク…ガチャッ

召喚士「雪…だ……」

テクテクテク

師匠「ふわあ〜ぁ」

召喚士「あっ、おはようございます」

師匠「おーう。んー?雪かー」

召喚士「ええ。サンタからの贈り物ですよっ」

師匠「…んなロマンチックなモンじゃねーよ。さぶさぶっ」

召喚士「……全く。夢も何もないですねぇ」

師匠「夢なんて見てもしょーがねぇ。現実に生きるだけだよ」

召喚士「はぁ…」

師匠「自分の手で掴み取るんだよ。わーったのか!?」

召喚士「は、はいぃ…っ」

――……
199 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/26(日) 23:44:05.86 ID:EJg7gAUo
以上、21スレ目>>994様リクエストのオマケでした!
クリスマス終わっちゃったけど…すみません

>>180-181
ごめんなさい…お召し上がり下さい…

本日はこれにて!ご支援ありがとうございました!
次回、第29部にてお会い致しましょう!ノシ
200 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 23:56:13.81 ID:xh2Oh.SO
>>1乙乙
201 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/27(月) 00:06:02.02 ID:FBTXcEIo
盗賊「…理想は私と魔道士なんだが」

左翼長「流石に女二人は危ないもんな」

召喚士「かといってとさんと戦士だと、前衛二人ですからね」



とさん・・・謎の前衛キャラが新たに登場!その正体は!?
202 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/27(月) 02:53:08.00 ID:T7oLMqk0
1乙
この組み合わせはほんと久々だなぁ
203 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/27(月) 04:35:07.54 ID:UyWmtUAO
1おつ乙!

>>161
> 左翼長「奴はあからさまに左翼だからな」
なんかワロタww
204 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:44:41.96 ID:0HRLvVco
パッカパッカパッカパッカ…

召喚士「おぉーっ!北関もだいぶ立派になりましたね!」

左翼長「やっと予算が出たからな。ここだけじゃねーぞ?」

盗賊「……?」

左翼長「地獄の壁も突貫で急がせてる」

召喚士「間に合うんですか?」

左翼長「一応、前からそういう計画で進められちゃいるが……」

盗賊「……」

左翼長「魔王軍の妨害が思ったより多くてな。正直五分五分だよ」

召喚士「そうですか…」

左翼長「さぁ到着だ。降りてくれ」

トスッ…テクテクテク

召喚士「ほんと、なんだか久し振りだなぁ…」

盗賊「…だな」

左翼長「おーい何してんだ〜。行くぞー」
205 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:46:23.90 ID:0HRLvVco
〜北関、司令室〜

北関兵「お疲れ様ですっ!!」

左翼長「おーう」

テクテクテク

召喚士「失礼しまーす」

左翼長「しっかし…因果なモンだよ」

召喚士「何がです?」

北関「コーヒーです、どうぞ」

盗賊「……ありがとう」

左翼長「お前らと出あった時、俺はここの左翼長でしか過ぎなかった」

召喚士「そういえば…そうですよね!」

左翼長「それが今や北方の司令だよ…」

盗賊「……あちっ」

左翼長「ガラでもねーのに、重てぇモン背負わせられちまったわ…」

召喚士「でも、いいじゃないですか」
206 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:47:08.25 ID:0HRLvVco
左翼長「良かねーよ。司令の大変さなんてだいたい把握出来んだろ」

召喚士「まぁ、そうですけど…。俺も最初は嫌でしたよ」

左翼長「朱雀先生か?」

召喚士「はい…。でも、なってみて初めて分かりました」

盗賊「……」

召喚士「朱雀先生じゃないと出来ない事って、沢山あるんだな…って」

左翼長「…ほぉ」

召喚士「世界でたった一人じゃないですか。朱雀先生も北方司令も」

左翼長「……まぁな」

召喚士「だからそう思うと、少しやり甲斐湧いてきません?」

左翼長「……沸かねぇな」

召喚士「……」

左翼長「まぁ、でも…言いたい事は分かるよ」

召喚士「…なら…いいですけど」

左翼長「こればっかりは性格の問題だ……はははっ」
207 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:48:48.35 ID:0HRLvVco


左翼長「…よし、そろそろ発つか」

召喚士「はい」

盗賊「……」

ザッ…テクテクテク

召喚士「どうしました?盗賊さん…?」

盗賊「…いや、ここで…色々な者に出会った」

召喚士「……そうですね」

ザッザッザ

召喚士「左翼長さんや騎士長さん。青龍先生に天才さんや魔法剣士さん…」

盗賊「…女侍と盗賊団と出会ったのもここだ」

召喚士「そうでしたね…」

盗賊「……」

召喚士「……行きましょうか」

盗賊「…うん」
208 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:50:02.94 ID:0HRLvVco
昨日の降雪により険しい北の道は往来を更に困難とする。

パッカパッカパッカ…

急ぎで馬車を飛ばした彼らもまた時間を要し、

北方司令部への到着は夜間と相成ったのであった。

〜北方司令部〜

北方兵「司令、ご帰還ーっ!!」

ザッ…ドドォ

左翼長「ご苦労さん」

盗賊「……北方司令部」

召喚士「すっかり夜になっちゃいましたね」

ザッザッザッザ

騎士長「おう、遅かったな」

左翼長「すまんな。雪で手間取った」

騎士長「……来てるぜ」

左翼長「ああ、分かってる。すぐに向かう」
209 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:50:44.81 ID:0HRLvVco
召喚士「…?」

左翼長「左大臣ご一行様だよ。先に東を出たろ」

召喚士「あ…っ、そういえば……」

騎士長「あちらさんも来るのにだいぶ手こずったらしい。演説は明日だ」

左翼長「どっちでもいいさ。結果は見えてる」

騎士長「そりゃそうだけどよ…。万が一って事もあんだろ」

左翼長「奴らもいるんだろ?」

騎士長「奴ら…?あぁ、来てるぞ」

左翼長「じゃあ尚更、問題ねぇよ」

騎士長「……まぁな」

召喚士「お久し振りです」

騎士長「おぉ!……今日は二人か?」

左翼長「南に二人持って行かれた」

騎士長「持ってかれた?」

左翼長「詳しい話は中でする。とりあえず休ませてくれ」
210 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:51:59.66 ID:0HRLvVco


北方兵「それでは、こちらのお部屋を宿泊にご利用下さい」

召喚士「ありがとうございます」

カツカツカツ…

騎士長「大丈夫そうか?」

召喚士「はい、ありがとうございます」

パタン…テクテクテク

盗賊「…お待たせ」

騎士長「そんじゃお疲れのところ悪いが、司令室に来てくれ」

召喚士「はい」

テクテクテク

盗賊「……!?」

召喚士「……っ」

カツカツカツ…

左大臣「……おやァ?」
211 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:53:37.10 ID:0HRLvVco
騎士長「これは左大臣様、どうしましたかな?」

左大臣「自室に戻るところでなァ。それよりも……」

カツカツカツ…

左大臣「…朱雀先生…であったかなァ?」

召喚士「ど、どうも……」

左大臣「今度は北かァ。軍属は大変だなァ……」

召喚士「……」

左大臣「せいぜい頑張ってくれたまえよ、フハハァ」

カツカツカツ…

騎士長「面識あるのか?」

召喚士「話すのは初めてですが……」

盗賊「……」

騎士長「気にするな。元来ああいう方だ」

召喚士「はい」

盗賊「……」
212 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:55:03.49 ID:0HRLvVco
〜司令室〜

騎士長「連れてきたぞ」

左翼長「おう、入れ」

テクテクテク

召喚士「……あっ」

大軍師「ふっふっふ、先日はどうも」

召喚士「大軍師さんに……参謀さん」

参謀「お元気そうで何よりです。此度はお二人のようですね」

盗賊「……ああ」

左翼長「さて、全員揃ったか。とりあえず適当に座ってくれ」

召喚士「…失礼します」

大軍師「現在、北では二つの問題に直面しています」

盗賊「……」

大軍師「一つはご存知の通り、議会演説の件です」

騎士長「さっき左大臣殿に会ったぜ…」
213 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:56:24.32 ID:0HRLvVco
左翼長「演説は明日の午前に行われる。投票はその夜だ」

参謀「演説終了の2時間後、予定では17時を目処としております」

大軍師「こちらはご安心下さい。私と弟で何とか致しましょう」

騎士長「頼もしい限りだ、この兄弟がいればな!」

参謀「買い被りすぎですよ…。私ではなく……」

大軍師「ふっふ。この者がおれば何も心配は御座いません」

ポンポン

参謀「……!?」

大軍師「さて、もう一つの問題ですが……」

左翼長「その為に召喚士と盗賊に来て貰った」

騎士長「話は聞いているな…?」

召喚士「簡単にですけど…」

大軍師「あの者らは一度、贖宥状を発行したにも関わらず反故に致しました」

左翼長「罪を軽くしたのか?」

大軍師「かつて北関での戦いの折、功績がありましたからね」
214 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:57:09.48 ID:0HRLvVco
騎士長「今までの容疑も含め罪を軽くしたんだっけか?」

参謀「執行猶予期間を設けていましたよね?」

大軍師「それをまんまと破りました」

召喚士「なるほど……」

左翼長「そこで例の最北の村での事件さ」

召喚士「黒マントさんの疑いは晴れたんですね」

騎士長「黒マントさん…?」

召喚士「あっ、いや……」

左翼長「前からちょーっと気になってたんだけどよ」

召喚士「な、何でしょう…?」

左翼長「お前ら、女頭目の一派と顔見知りなんだよな?」

召喚士「えーっと、まぁ……」

左翼長「……ツルんでるわけじゃねーよな…?」

召喚士「ま、まさか…っ」

左翼長「……ふーん。ならいいけどよ」
215 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:57:54.78 ID:0HRLvVco


召喚士「…それで、アジトへ行って…というわけです」

大軍師「成程…。そんな事情があったんですね…」

召喚士「あの時はほんと困ったんですよ……」

騎士長「ほほぉ、ならここで恨みを晴らしてやろうぜ」

召喚士「……でも、悪い人達ではなさそうなんですよね」

盗賊「……ああ」

左翼長「そうは言っても犯罪者に変わりはねぇ」

召喚士「それはですけど……」

大軍師「あの、何か目的があると踏んでるのですか…?」

召喚士「それは分かりません。でも……」

参謀「……」

召喚士「そういえば…あの時も何かを探してたな……」

大軍師「何……か?」

召喚士「何だったっけ…っ、確か…そう!本を探してた!!」
216 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 17:58:56.39 ID:0HRLvVco
騎士長「何ぃ!?……っつか、それって…」

左翼長「今回最北の村で盗まれたモンは……」

参謀「……一冊の書物です」

左翼長「他に何か言ってたか!?」

召喚士「……えぇと」

……――

赤サル『俺達ゃな、クライアントから探し物を頼まれてる』

魔道士「探し物ですか…?」

赤サル『あぁ…。とある本なんだがな…』

召喚士「本…ですか」

赤サル『そいつがちょっと厄介で、召喚関連の本なんだわ』

戦士「……なるほどな」

召喚士「だから俺が召喚士だと知って…っ!」

赤サル『そーいう事。数打ちゃ当たる…ってね!』

――……
217 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 18:00:47.75 ID:0HRLvVco
召喚士「…………」

左翼長「……どうした?」

召喚士「俺は…何て事……」

騎士長「だ、だからどうしたんだよ!?」

召喚士「女侍さん達は…召喚関連の本を探していました……っ」

参謀「な、何と…っ!!」

召喚士「そうだ…。何で俺、見落としてたんだよ…っ」

大軍師「……」

左翼長「…ん?」

大軍師「……あ、いえ」

騎士長「そんで女頭目…女侍って言ったか、そいつらが……」

参謀「どうやら西方に潜伏していたのですが、最近戻ってきたという事です」

盗賊「…場所は?」

大軍師「屯田を敷いている北の村の一つです。今は廃墟と化していますが」

召喚士「……なるほど」
218 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/27(月) 19:09:44.96 ID:ExE5tuso
いちおつおつ
リアルタイム遭遇とはついてるな
しかもついに気になっていた伏線が!
うーんwwwktkk
219 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/27(月) 20:05:15.01 ID:oRsX60co
今さらになっちまったが
オマケの開かない箱はどうなったんだ?
220 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/27(月) 20:05:27.18 ID:nC5ubT60
1乙
召喚士たちはやりにくいだろうね
221 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 23:04:03.39 ID:bFmWTrQo
左翼長「とにかくそっちは明日以降だ」

騎士長「ああ。左翼の連中がうろついてる以上、目を光らせておかんとな」

左翼長「だーから、心配してねぇっての」

騎士長「ったく…司令だろ。呑気な事言ってんじゃねぇ」

カツカツカツカツ…

召喚士「あ、あの……っ」

大軍師「はい?」

召喚士「女侍さん達の所在、分かってるんですよね」

大軍師「ええ。それが何か?」

召喚士「大軍師さんが行かれればいいんじゃないですか…?」

大軍師「私もそうしたいのですが、それで下手に逃げられると厄介ですから」

参謀「おそらく次はありません。完全に北から姿を消すでしょうね…」

盗賊「……なるほどな」

召喚士「そこで…顔見知りの俺達を…っ」

大軍師「……ふっふっふ。どうでしょうかねぇ」
222 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 23:04:45.26 ID:bFmWTrQo


カチャッ…コトッ

召喚士「ご馳走様でした」

左翼長「軽いもんですまんな」

盗賊「……お構いなく」

騎士長「さーて明日はいよいよ演説だ。先生方、頼みますぜ」

参謀「先生って……」

大軍師「まぁやれる事はやりますよ…ふっふ」

左翼長「疲れたろ。そんじゃゆっくり休んでくれ」

召喚士「ありがとうございます」

盗賊「……では」

テクテクテク

召喚士「それじゃ、お休みなさい」

盗賊「…ああ、おやすみ」

召喚士「……魔道士さんと戦士、頑張ってるかな」
223 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 23:05:34.91 ID:bFmWTrQo
〜次の日〜

テクテクテク…

召喚士「おはようございます」

左翼長「おう、おはようさん。眠れたか?」

召喚士「ええ。いよいよですね」

左翼長「ああ。朝からバタバタやってんぜ」

召喚士「…あ、ほんとだ」

窓から外を覗き込む召喚士と左翼長。その先では正門前にて、

慌しく演説の準備が行われている。

左翼長「……そーて、そんじゃ演説とやらを聞きに伺いますかね」

召喚士「はい。行きましょう」

テクテクテクテク…

召喚士「……あっ、盗賊さん」

盗賊「……おはよう」

召喚士「もうじき始まりますね」
224 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 23:07:10.23 ID:bFmWTrQo
盗賊「…ああ」

参謀「それでは、まもなく議会演説を始めたいと思います」

ザワザワザワ…

左秘書官「左翼の左秘書官と申します。此度における――」

左文官「……で、あるからして彼らの言い分では――」

左翼官「分かりますか!?どれ程の浪費を意味しているのか――」

召喚士「……」

左翼長「…な。熱の入った弁論だが、全然耳に届いちゃいねぇ」

そう言いつつ、左翼長は周囲の兵卒を見渡す。

召喚士「確かに……」

左翼長「そんなモンさ。奴らが悪いってわけじゃねーんだ」

盗賊「……」

左翼長「武官と文官の考え方、言い分の違いってやつさ」

召喚士「……なるほど」

左翼長「戦場に出て戦もしねぇ奴らが口で言ったって伝わらねぇよ」
225 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 23:08:00.85 ID:bFmWTrQo


参謀「以上が演説となります。なお、ご質問や異議のある方は――」

スッ

参謀「……大軍師殿」

大軍師「お聞きしたいのです。何故屯田は不要とお考えか?」

左文官「何度も申しておるだろう。予算がだな……」

左大臣「不要などとはもうしておらんよ」

左文官「……!?」

ザッ

左大臣「経済にも効果があるものであればァ、是非推奨したい」

大軍師「それはどうも」

左大臣「我らは無意味な戦いを減らしたい。そう申しておるのだァ」

大軍師「無意味……ですか」

左大臣「そう。人の命を軽々しか見てはおらぬかァ…?」

大軍師「……そう見えますか?」
226 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 23:08:54.05 ID:bFmWTrQo
左大臣「見える」

大軍師「…ふっふ。では、軽々しくみているのは貴方達のようですね」

左秘書官「…言葉を慎みたまえ、君は左大臣様の前にいるのだ!」

大軍師「では何故、魔物を野放しにしておく必要があるのです?」

左大臣「じっくりやれば良いと申しておる」

大軍師「それで、人々は平和に暮らせるのですか?」

左大臣「今までもそうしてきた事だ。歴史が証明しておる」

大軍師「それは単に滅亡しなかった、という事です」

左大臣「何ぃ…?」

大軍師「歴史を語るにしては、少々薄識でしたな」

左文官「貴様っ!よくもぬけぬけと……」

大軍師「だまらっしゃい!」

左文官「……っ」

大軍師「どの文献を紐解いても、冒頭の言葉は『恐怖』の一言です」

左大臣「……」
227 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 23:10:10.43 ID:bFmWTrQo
大軍師「はるか古より、魔王による侵攻や蹂躙に人々は怯えました」

召喚士「……」

大軍師「そして人々は恐れおののきながら闇と背中合わせに暮らしてきたのです」

左翼官「しかしそうして生き延びてきた事もまた事実」

大軍師「そうです。そうしながらも我々人類は、力を付けてきました」

左大臣「力…?」

大軍師「領地、武力、兵力……そして、科学力です」

左大臣「……ほぉ。それが今まさに刻だと言うのかね?」

大軍師「今ここで立ち上がり、それが失敗に終わっても…最悪良いと思ってます」

左文官「何…!?」

大軍師「その失敗は次の未来、次の平和へと繋がるのです!」

ワアアァァッ

北方兵「そうだそうだ!俺達はやれば出来る!」

魔道兵「失敗なんぞしてたまるかってんだぁ!」

左文官「ぐ……くっ!」
228 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 23:11:53.79 ID:bFmWTrQo
大軍師「己の…いや、自分達の力を信じぬものに……勝利はない!」

ワアアァァ!!

大軍師「今こそ人類が団結し、勝利を…栄光を掴み取るのです!」

騎士長「…ふっ、流石は大軍師先生だ」

左翼長「……全く、敵には回したくねぇぜ」

左秘書官「……ちっ」

左大臣「…もう良い、行くぞ」

ザッ!!…カツカツカツ…

召喚士「……凄い迫力」

盗賊「…あ、ああ」

北方兵「大軍師様ーっ!!」

魔道兵「我ら北の力、見せてやりましょう!!」

参謀「……兄上」

大軍師「…ふっふ。少しやりすぎましたかねぇ」

口元を緩める大軍師は、手にした羽扇をひらひらと扇いだ。
229 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/27(月) 23:56:26.95 ID:bFmWTrQo


参謀「総数100.有効票100、無効票0」

騎士長「さぁ……来いっ!!」

参謀「右翼……92票、左翼8票」

ワアアァァ!!

召喚士「おぉーっ!!」

盗賊「……すご」

左大臣「……」

左秘書官「…くそっ、結局こうなったか…っ」

左大臣「……次だァ。次こそは勝負をかけるぞ」

左翼官「次は…如何なさいますか?西ですか?」

左大臣「……いや、南だァ。最後に西で右翼の連中と真っ向からぶつかってやろうじゃあないかァ」

左秘書官「…畏まりました」

左大臣「馬車を出せっ!南へ向かうぞ」

左文官「……ははっ」
230 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/28(火) 02:53:08.69 ID:DJM6zoDO
>>1乙っす
大軍師は確かに便りになるけどなぜか時折不安になる
231 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/28(火) 07:51:16.41 ID:.jFSoUAO
毎日投下乙んつん
このまま右翼の勝利……じゃ済まないんだろうけどさ、早く続きが気になるよ。
232 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/28(火) 08:26:52.36 ID:XVv/MBM0
だめだ左大臣のフハハアがフーハハァにみえてしまう
233 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/28(火) 12:11:19.99 ID:t9HXQgAO
>>1は仕事いつまであんの?
234 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/28(火) 13:50:29.11 ID:r38dUd.o
> 左秘書官「…言葉を慎みたまえ、君は左大臣様の前にいるのだ!」

どこのラピュタ王かとww
235 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:08:32.81 ID:YTHhJDEo
ドドッドドッドドッ…

伝令「南方司令部より伝令ーっ!!」

左大臣「!?」

左翼長「どうした!?」

ザッ…タッタッタッタッタ

伝令「議会演説の結果報告を預かってまいりました!」

左文官「何ぃ!?早すぎる…!!」

左秘書官「これはやられましたな…。我らが北へ居るうちに済ませるとは…」

左翼官「殿下が不在なので後日と踏んでいましたが…っ」

左大臣「それで結果はァ…!!」

伝令「…ど、どうぞ」

左翼長「おう」

カサッ

左翼長「……っ!!」

召喚士「……」
236 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:09:15.86 ID:YTHhJDEo
左大臣「だからァ、結果はどうなのだァ!?」

左翼長「…読み上げろ」

参謀「…はっ」

カサッ…

参謀「……右翼…97票。左翼…3票」

左大臣「――っ!!」

ワアアァァ!!

盗賊「……97票!?」

騎士長「おいおい……」

大軍師「いやはや…恐れ入りましたね」

左秘書官「たった……たったの3票だとぉ!?」

左翼官「…急ぎ、西方司令部へ向かいましょう!」

左秘書官「ええ…っ。これ以上先手を打たれるのは非常にまずいです」

左大臣「……っ」

下唇を噛み締め、左大臣は無言のまま馬車へと乗り込む。

左翼派は北方、更には南方にて大敗を喫し、足早に西方司令部へと向かって行った。
237 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:09:45.57 ID:YTHhJDEo
騎士長「左大臣の奴ら、尻尾を巻いて逃げて行ったな!」

左翼長「まぁな。だが『死すれば再びは生きず、窮鼠猫をかむ』って事もある」

騎士長「賢人なお言葉です事…」

伝令「あの……」

左翼長「ん?他にも何か報告か?」

伝令「こちらに朱雀先生がいらっしゃると…」

騎士長「召喚士、呼んでるぞ!」

召喚士「俺ですか…?」

タッタッタ

伝令「朱雀先生ですかっ。こちらを預かってまいりました」

カサッ

召喚士「何だろ…?ありがとうございます」

大軍師「ついでに北の投票結果も南へお伝え下され」

参謀「それと左翼が西へ移動した…という事もですね」

伝令「かしこまりました!それでは失礼致します!」
238 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:10:24.47 ID:YTHhJDEo
騎士長「何だそれ…?」

召喚士「さぁ……」

パラッ

召喚士「あ……っ!!」

盗賊「……どうした?」

召喚士「戦士と魔道士さんからの手紙です!!」

盗賊「…何っ!?」

召喚士「…えぇと……とりあえず無事南方へ到着したようですね」

盗賊「…そうか」

召喚士「演説も無事終えて……えっ!?」

盗賊「…?」

召喚士「青年兵くんが倒れた…!?」

左翼長「…無茶しすぎだ、あのバカ…っ」

参謀「大事ないのですか…?」

召喚士「…えぇ。どうやら過労で倒れたとの事です」
239 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:11:08.70 ID:YTHhJDEo
大軍師「張り切るのも良いですが、身体を壊しては意味がありません」

騎士長「全くだ。まだ西方司令部もあるってのに…」

左翼長「ん?青年兵が倒れたのに演説を行ったのか?」

大軍師「右翼の文官殿と秘書官殿ですかね」

召喚士「…………」

左翼長「どした?」

召喚士「右文官さんと右秘書官さんと……魔道士さん…って」

盗賊「は…っ?」

左翼長「えっ?」

騎士長「何で…?」

召喚士「さ、さぁ……」

大軍師「ふっふっふ。面白い事を考えますねぇ……」

盗賊「…?」

大軍師「魔道士さん、決して口の達者な方ではありません」

召喚士「…はぁ」
240 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:12:00.05 ID:YTHhJDEo
大軍師「ですが本国の議会においての答弁。あれは何でしょうね」

左翼長「……何かあったっけか?」

大軍師「いえ、右翼はおろか左翼の連中まで耳を傾け、何かこう……」

盗賊「……」

大軍師「心惹かれる…言うなればカリスマというやつですかね」

参謀「魔道士さんから…ですか?」

左翼長「あのポワポワした娘からか?そうは感じねぇけどな…」

騎士長「想像が付かん……」

大軍師「…まぁ、とにかく勝ったのです。良いではありませんか」

左翼長「……だなぁ」

参謀「祝賀会の準備を致します」

騎士長「そう言っても俺らしかいねーんだ、簡単でいいぞ」

召喚士「しまったな…。伝令の人、もう行っちゃった……」

盗賊「…返事か?」

召喚士「ええ…。明日にでもお願いしましょうか」
241 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:13:07.49 ID:YTHhJDEo


騎士長「そんじゃ、乾杯ー」

チィンッ!!

主役なき演説の勝利。その祝賀会は当日の夜にひっそりと行われた。

左翼長「だから何度も言ったろ。案ずるに及ばんってな」

騎士長「分かってるよ。でもな、自分の立場を考えろってんだ!」

召喚士「あははっ」

騎士長「えぇと……これで……」

大軍師「右翼371票、左翼429票です」

参謀「残すところ西方司令部の100票ですね」

左翼長「残り80票取ればいい。……勝ったな」

召喚士「でも、結構接戦じゃないですか?」

騎士長「毎度の事さ。ある程度はそう出来上がっちまってる」

召喚士「そうなんですか」

左翼長「そういうモンさ。派閥ってのはよ……」
242 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:14:03.85 ID:YTHhJDEo


騎士長「……いやぁ、久々に飲んだわ」

召喚士「そういえば北方で飲む機会ってあんまりないですよね」

左翼長「そりゃそうだろ」

盗賊「……?」

大軍師「常に魔王軍の侵略に悩まされておりますからねぇ」

参謀「飲んでも嗜む程度。休日以外はなかなか機会がないんですよ」

召喚士「……た、大変ですね」

左翼長「その分出世も早いし給料もいい」

召喚士「はぁーやっぱり司令部によってまちまちなんですね」

盗賊「…だな」

騎士長「渡り歩いてるお前らが一番実感するだろうな」

参謀「当の本人達は他の司令部なんて伝ですからね」

左翼長「まぁそんだけ北方司令部は重要拠点だって事さ」

召喚士「……ですね」
243 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:14:49.06 ID:YTHhJDEo


騎士長「そんじゃお休み」

参謀「あすは9時に会議室までお願い致します」

召喚士「はい。おやすみなさい」

テクテクテク

召喚士「じゃあ盗賊さん、おやす……」

ギュッ

召喚士「…あ、あああのぉ…!?」

盗賊「…ちょっといいか?」

召喚士の裾を引っ張る盗賊は上目遣いで問う。

召喚士「な、何か…?」

盗賊「……部屋へ行こう」

召喚士「!?」

盗賊「…召喚士の部屋で…いい」

召喚士「――!?!?」
244 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:15:29.45 ID:YTHhJDEo


パタン

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「…あ、あのぉ」

盗賊「…ん?」

召喚士「ど、どうしたん…ですか…?」

盗賊「…ん、ああ」

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「そ、そうだ!さっきの手紙見ます?見ましょうかっ!」

盗賊「…うん」

召喚士「えーっと」

ゴソゴソッ…ピラッ

盗賊「……」
245 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:17:03.25 ID:YTHhJDEo
魔道士と戦士からの手紙。それを両手で広げ読む召喚士。

脇から覗き込むように頬杖をつき、盗賊がじっと見つめる。

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「……あ、あのぉ」

盗賊「…ん?」

召喚士「読みます?」

盗賊「…ありがと」

カサッ

召喚士「あっちも任務は明日からみたいですね」

盗賊「…うん」

召喚士(……な、何だこれ!?どうしたらいいんだろ…っ)

盗賊「……なぁ、召喚士」

召喚士「は、はいぃ!?」

盗賊「……あのさ」
246 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:18:37.09 ID:YTHhJDEo
召喚士「な、何でしょうか……?」

盗賊「…魔道士の事、好きなのか?」

召喚士「――!!」

盗賊「…召喚士は魔道士の事…好きなのか?」

召喚士「ななななな、何を言ってて……」

盗賊「…違うのか?」

召喚士「いやっ、えぇと…好きとか嫌いとかではなくてえっと……」

盗賊「……?」

召喚士「盗賊さんは、戦士の事…今でも好きなんですかっ!?」

盗賊「――!?」

召喚士「以前から戦士さんの事好……」

盗賊「私の話はいいだろっ!」

召喚士「だって急にそんな話っ、何かあるんですか?」

盗賊「…な、何もないよっ」

召喚士「じゃあ……あ…っ」
247 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:19:17.42 ID:YTHhJDEo
盗賊「……」

召喚士「もしかして…気遣って……」

盗賊「…別に」

召喚士「……そんな気にしなくていいですよ」

盗賊「……」

召喚士「魔道士さんと一緒がいいとか、そういう事ないですから」

盗賊「……そう」

召喚士「盗賊さんは戦士と一緒が良かったですか?」

盗賊「そんな事言ってないっ!」

召喚士「す、すみません…」

盗賊「……い、いや…気にするな」

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士(……どうしよ…会話が続かないぞこれ)

盗賊「……も」
248 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:20:07.46 ID:YTHhJDEo
召喚士「…え?」

盗賊「…好きか……も」

召喚士「戦士がですか…?」

盗賊「……ち、ちょっとだけ…だぞ?」

召喚士「……ははっ」

盗賊「な、何故笑うっ!?」

召喚士「えっ?あ、すみません……」

盗賊「…い、いや…いいけど」

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「俺も…好きかもしれないです」

盗賊「……!?」

召喚士「あんまり自分自身に問い詰めた事ないですけど…」

盗賊「……」

召喚士「意識しちゃうんですよね…。魔道士さんの事……」
249 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:21:59.11 ID:YTHhJDEo
盗賊「…やっと素直になったか」

召喚士「内緒ですよ?」

盗賊「……分かってる」

召喚士「でも、だからって今すぐどうこうしたいってわけじゃなくて…」

盗賊「……」

召喚士「な、何でそこで顔を赤らめてるんですかっ!」

盗賊「……ど、どうこうって」

召喚士「変な意味はありませんよっ!ただ、付き合ったりとか……」

盗賊「…あ、あー。そうだよね」

召喚士「……何か変な想像してませんでした?」

盗賊「するかっ!たわけ!」

召喚士「す、すみません…」

盗賊「……いえ、気にしないでいいです」

召喚士「……」

盗賊「……」
250 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:22:27.27 ID:YTHhJDEo
召喚士「何だか盗賊さん、明るくなりましたよね?」

盗賊「!?」

召喚士「以前はなんかこう…無表情で固いイメージがありましたけど…」

盗賊「…そ、そうか?」

召喚士「ええ。口数も少なかったですし……」

盗賊「……そうかぁ」

召喚士「やっぱりニンジャの掟とかですか?」

盗賊「……いや」

召喚士「じゃあ、修行の……」

盗賊「……別に」

召喚士「…じ、じゃあ何だろうなぁ〜?」

盗賊「…何もないよ」

召喚士「……そうなんですか?」

盗賊「……ただ、恥ずかしいから」

召喚士「へっ?」
251 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:23:06.28 ID:YTHhJDEo
盗賊「し、初対面の人とかその…っ、恥ずかしいから……」

召喚士「……」

盗賊「……緊張しちゃうし…特にその…異性だと」

召喚士「でも、東方では普通ですよね?」

盗賊「…慣れてるモン」

召喚士「あ、そうか…」

盗賊「……わ、悪かったな」

召喚士「いやっ、別に悪いなんて事はないですよ!」

盗賊「……だって」

召喚士「盗賊さんも意外とカワイイですよね!」

盗賊「――!!」

召喚士「……あ」

スクッ

盗賊「……ね、寝るっ!おやすみっ!!」

召喚士「あっ、え……っ」
252 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:23:34.47 ID:YTHhJDEo
スタスタスタ…バタン!!

召喚士「し、しまった!……怒らせちゃったかな」

勢いよく閉められたドアを呆然と見つめ、召喚士は大きく息を吐く。

召喚士「明日謝ろ……」

テクテクテク…カチャッ…パタン

盗賊「……っ」

テクテクテク…ボフッ

盗賊「……私が可愛いとか……ないよ」

ゴロンッ

盗賊「……」

ゴロンゴロンッ

盗賊「……うーっ」

ゴロゴロゴロッ

盗賊「……お風呂入ろ」

……夜は更けていった。
253 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:24:06.31 ID:YTHhJDEo
〜次の日〜

テクテクテク

召喚士「……あ」
盗賊「……あ」

召喚士「おはようございます」

盗賊「…おはようございます」

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「……あのっ」
盗賊「……あのっ」

召喚士「…どうぞ」

盗賊「…いえ、どうぞ」

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「あ…あのっ、昨晩はその…すみま……」

左翼長「……何してんだお前ら?」
254 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:24:56.11 ID:YTHhJDEo
〜会議室〜

カチャッ

騎士長「朝っぱらからすまんな」

参謀「おはようございます」

召喚士「おはようございます」

左翼長「あれ、大軍師はどうした?」

参謀「朝から各司令部へ伝令やらで……」

騎士長「先に始めててくれってさ」

左翼長「そうか。んじゃ始めるか」

一同は着座し、参謀より手渡された資料に目を通し始める。

参謀「まず、概要を説明致します」

パラッ

参謀「今回の任務における目標はターゲットの捕捉、及び逮捕です」

盗賊「……」

参謀「ターゲットは『女侍』、それに『三人の手下』です」
255 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:25:42.58 ID:YTHhJDEo
騎士長「手下との面識は?」

召喚士「…あります」

参謀「……続いて盗賊団の潜伏位置ですが、そちらの地図をご覧下さい」

左翼長「赤丸のこれか?」

参謀「はい。複数ある北の村の北西にあたる『廃墟の村』です」

召喚士「位置としては北の村から最北の村への途中で西へ…」

参謀「はい。道は未だにありません」

左翼長「見て分かんのか?」

参謀「何とも言えませんね。斥候の報告では難しくはないと…」

騎士長「魔物は?」

参謀「ちらほらいるようですが大した事なさそうです」

召喚士「他に行くとすればどんな道が…?」

参謀「北の港側から迂回すれば西より回りこめそうですが……」

左翼長「東側より険しい道のりになりそうだな」

召喚士「…なるほど」
256 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:26:13.50 ID:YTHhJDEo
参謀「ですので、北の村経由で行かれるのが宜しいかと」

召喚士「分かりました。そうしましょう」

参謀「北の村には寝食出来る環境が整ってます」

盗賊「……ほぉ」

参謀「どうかご無理せず、活用下さい」

召喚士「ありがとうございます」

左翼長「時間や方法は全て任せる。とにかく奴らをとっ捕まえてくれ」

召喚士「…やれるだけの事は…頑張ります」

騎士長「頼んだぞ…!」

盗賊「…うん」

参謀「北の村までは大軍師が向かいます。ご一緒にどうぞ」

召喚士「わざわざどうも…」

左翼長「よーし、それじゃ解散」

騎士長「必要な物があったら言ってくれ。すぐに手配する」

参謀「斥候や兵も出せます。お気軽に申し付け下さい」
257 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:26:45.69 ID:YTHhJDEo
召喚士「いえ…っ、お気遣いありがとうございます」

左翼長「あ、そうだ」

盗賊「…?」

左翼長「ないとは思うがくれぐれも……殺すなよ?」

召喚士「……」

左翼長「何か秘密を握ってやがる。吐かせる必要があるからな」

騎士長「もしどうしても殺る事になったら、手下の三人を始末してくれ」

盗賊「……」

左翼長「頭だけは何が何でも捕らえてくれ。んじゃ、頼むぜ」

パタン

召喚士「……」

盗賊「……行こう」

召喚士「ええ…」

盗賊「…大丈夫。誰も死なないから」

召喚士「はい」
258 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:27:23.82 ID:YTHhJDEo
テクテクテクテク

大軍師「おや、もう終わってしまいましたか」

召喚士「大軍師さん…」

盗賊「…どうも」

大軍師「あ、そうそう朱雀先生」

召喚士「…?」

大軍師「ご返信なさるのならお早めに。もうまもなく伝令が飛びますよ」

召喚士「!?」

盗賊「…は、早く書こうっ!」

召喚士「そ、そうですね!」

タッタッタッタ

大軍師「終わったら、正門の詰所まで持参して下さーい!」

召喚士「ありがとうございます〜!」

タッタッタ…

大軍師「…やれやれ。……ふっふ」
259 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:28:00.90 ID:YTHhJDEo


召喚士「……っと、出来た!」

盗賊「…うぅー」

召喚士「盗賊さん、まだ書いて――!?」

盗賊「…なかなか…纏まらなくて」

召喚士「何枚書いてるんですかっ!?」

盗賊「…もうすぐ…40枚」

召喚士「そ、そんな長くなくていいと思いますよっ!」

盗賊「……そうかなぁ」

召喚士「そうですよ!多くても3枚あれば戦士は大喜びです!」

盗賊「……中途半端だけど、これでいいか」

召喚士「……」

盗賊「…よいっしょ」

クルッ…キュキュッ…ドスンッ

盗賊「……お待たせ。それじゃ行こうか」
260 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:28:26.80 ID:YTHhJDEo


伝令「はい。南方司令部の戦士さんに魔道士さんですね」

召喚士「国軍付けワーカーの二人です。不在の際は司令部の誰かに」

伝令「了解致しました。……えぇと、これは?重要文献か何かですか?」

盗賊「…手紙」

伝令「手紙…?とにかくお預かり致します。えぇと、これも同じ方にですね」

召喚士「それではお願いします」

伝令「では!失礼致します!」

パッカパッカパッカ…ドドッドドッドドッ…

召喚士「これでよし、と」

盗賊「…さて」

召喚士「いよいよですね。任務も久々だなぁ」

盗賊「…確かに…そうだな」

召喚士「頑張りましょう!」

盗賊「……ああ!」
261 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:29:07.44 ID:YTHhJDEo


大軍師「お二人とも、乗馬は出来ましたよね?」

召喚士「はい」

盗賊「…問題ない」

大軍師「道が険しいので馬車ではなく、馬を使いましょう」

召喚士「はい」

北方兵「積荷、完了致しました」

大軍師「ご苦労様です。それでは参りましょうか」

グイッ…トスッ

盗賊「……」

左翼長「俺は北関やら壁の工事やらで行ったり来たりしなきゃなんねぇ」

騎士長「司令部には俺がいる。何かあったらすぐに連絡してくれ」

召喚士「はいっ!」

参謀「では、行ってらっしゃいませ」

盗賊「……行ってきます」
262 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:29:39.09 ID:YTHhJDEo
ドドッドドッドドッ…

騎士長「……」

左翼長「…さーて。俺は午後から北関だ」

騎士長「あぁ。こっちは心配するな、任しとけ」

参謀「屯田の準備も進めておきます」

左翼長「おぉ、そうだったな。やっと演説も終わった事だし…」

騎士長「…二人で大丈夫かねぇ?」

左翼長「ん?アイツらの事か?」

参謀「顔見知りですし大丈夫ではないですか?」

騎士長「まぁそうだけどよ…」

左翼長「慎重と臆病を履き違えるなっ!」

騎士長「……っ!!」

左翼長「お前は心配性すぎるんだよ…。昨日といい今日といい……」

騎士長「自信と慢心を履き違えるなっ!」

左翼長「!?」
263 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:30:34.60 ID:YTHhJDEo
騎士長「お前は無関心すぎだよ」

左翼長「……けっ」

テクテクテク

騎士長「そーいや、ここ最近タバコすってねーなぁ?」

左翼長「…ああ?そうかぁ?」

騎士長「やめたのか?」

左翼長「まっさか…。吸ってるところ見てねぇだけだろ」

騎士長「……あー、久々に吸いたくなってきた。1本くれよ」

左翼長「悪りぃな。さっき切らしちまったんだ…はっはは!」

ザッザッザッザ…

参謀「そういえば司令、しばらく吸ってらっしゃらないですね」

騎士長「あの野郎……。備えてるつもりだろ」

参謀「……備え?」

騎士長「あと2年。その刻まで残された時間は少ないからな」

参謀「……確かに」
264 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:31:40.38 ID:YTHhJDEo
ドドッドドッドドッ…

大軍師「この丘を越えればもう間もなくです」

召喚士「ええ…」

盗賊「……」

〜北の村〜

青年「…おっ、大軍師様が戻って来たぞ!」

ヒゲの男「…ん?誰だありゃ」

屯田兵「見覚えがあるな……」

ドドッドドッ…パッカパッカパッカ

大軍師「皆さん、ご苦労様です。順調ですか?」

ヒゲの男「おうよ!見てくれ、降雪に備えて作物も手入れした!」

青年「今は全員で薪を割って、備えてるところでさぁ」

テクテクテク

ヒゲの男「お客人かい?新しいお仲間かな…?」

大軍師「いえいえ、彼らは優秀なワーカーですよ」
265 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:32:06.96 ID:YTHhJDEo
屯田「アンタら、前の戦いの時にいなかったか?」

召喚士「え、ええ…いましたけど」

屯田「やっぱり!どーりで見覚えがあると思ったよ」

青年「…こ、こっちのカワイ子ちゃんもか!?」

盗賊「……」

コクン

青年「ひえぇ、たまげたなぁ…!」

ヒゲの男「俺らみてぇなはみ出しモンとは見た目から違げぇわな!がっはは!」

大軍師「何を言ってるんです。同じ人間でしょう?」

屯田「出たっ、大軍師先生の口癖!」

青年「はははははっ!」

大軍師「全く…。さて、こちらです」

召喚士「はい。失礼します」

テクテクテク

大軍師の案内で召喚士と盗賊は一件の民家へと入ってゆく。

民家と言っても本国などとは違い、簡易的な木材や石を積んだ、

とりあえず人の住めるような建物、というべきが正しい。
266 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:32:39.32 ID:YTHhJDEo
ガチャッ…ギイィ

召喚士「お邪魔しまーす…」

盗賊「……」

大軍師「どうです?意外と綺麗なものでしょう…?」

召喚士「これ、一から作ったんですかっ!?」

大軍師「ええ。屯田兵の中には元大工や建築に携わっていた者もおりますから」

盗賊「……大したものだ」

大軍師「大半は現地調達で作り上げております」

召喚士「この家ですか…?」

大軍師「いえいえ、村全体ですよ」

盗賊「……!!」

大軍師「そうでなければ屯田の意味がありませんからね」

召喚士「なるほど……」

大軍師「もしこれが各司令部でも実施されれば……」

盗賊「…されれば?」

大軍師「例えば正規兵、彼らにとってはまず鍛錬にもなるでしょう」

召喚士「確かに、毎日働いて鍛えられますからね」
267 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:34:01.07 ID:YTHhJDEo
大軍師「はい。何も毎日剣を振って、書物を読んだからとて強くなるわけではありません」

盗賊「…同意」

大軍師「そして作物や建物を作り上げる。これは大きな事です」

召喚士「自分の手で何かを作り上げるから…ですか?」

大軍師「それも大変素晴らしい事です。命を奪う立場の者が何かを生み出す」

盗賊「……」

大軍師「ですが、そこまで深く考える者は一部のみでしょうね…」

召喚士「…と、すると」

大軍師「実際、戦いが始まれば兵や陣は前線へと移動致します」

盗賊「……ああ」

大軍師「そこでこの経験が生かされる、というわけですよ」

召喚士「……あっ」

大軍師「…流石ですね」

召喚士「前線で陣を立てるのに、役立つわけだ…っ」

大軍師「その通り。一刻を争う陣立…そこに屯田の経験が役立つのです」
268 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:34:39.43 ID:YTHhJDEo
盗賊「…兵糧も確保出来るしな」

大軍師「……これ、ご存知ですか?」

ゴソッ…ズイッ

召喚士「カブ…ですか?」

大軍師「ええ。秋の終わりに種を植えて、越年には収穫ですかね」

盗賊「…鈴菜だ」

大軍師「東方では『スズナ』と申すのですか?」

盗賊「…うん。鈴みたいだから鈴菜」

大軍師「言われてみれば…。成程成程」

召喚士「それで、カブが何か?」

大軍師「この蕪など、行軍時の食糧にもうってつけです」

召喚士「そうなんですか?」

大軍師「球根から葉まで食せますし、種は油も取れますからね」

盗賊「…そうなのか」

大軍師「家畜や騎馬の餌にもなりますしね」
269 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:35:14.71 ID:YTHhJDEo
盗賊「……なるほど」

大軍師「まぁこれも、輪栽式農業の一環ですが……」

召喚士「輪栽式農業?」

大軍師「一年間、畑を休ませる事なく作物を作り続けるのです」

召喚士「そんな事出来るんですか!?」

大軍師「地力を回復させる栽培牧草をするんですよ」

召喚士「な、何です…それ?」

大軍師「ここでは今、春に大麦を植える予定でいます」

盗賊「…?」

大軍師「大麦の後にはクローバーを…そして秋口からは小麦を…」

召喚士「常に畑を稼動させるという事ですか?」

大軍師「はい。無駄なく効率良く収穫する事で地力を低下させません」

召喚士「一年間収穫があれば…かなりの量になりますね」

大軍師「そうです。そしてそれは兵糧、更には軍事費用へと変わります」

盗賊「……」
270 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:35:41.66 ID:YTHhJDEo
大軍師「…おっと、話が長くなってしまいましたね。失礼」

召喚士「いえ…」

大軍師「今日よりここをお使い下さいませ」

召喚士「いいんですか?」

大軍師「暖炉もありますし、寝泊りは不自由しないと思います」

召喚士「……」

大軍師「…何か?」

召喚士「い…いやっ、何でもありません」

大軍師「ここからなら馬を飛ばせば廃墟の村まで1時間もかからないと思います」

盗賊「……馬なしだと?」

大軍師「おそらくですが、お二人なら2時間程度ではないでしょうか」

召喚士「…分かりました」

大軍師「数日前から降雪を観測しております。あまり無理なさらぬよう」

召喚士「はい。深夜になるまでには戻るようにします」

盗賊「…うん」
271 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:36:08.51 ID:YTHhJDEo
大軍師「それでは、私はしばらくこの村に居るつもりですので」

召喚士「何かあれば連絡致します」

大軍師「お願いします」

テクテクテク…パタン

召喚士「……ふーっ」

盗賊「……」

召喚士「とりあえず、身支度を整えましょうか」

盗賊「……だな」

召喚士「寒くないですか?」

盗賊「…大丈夫」

召喚士「……い、一応…薪貰ってきますね!」

盗賊「…うん」

召喚士「……行ってきます」

タッタッタ…パタン

盗賊「……?」
272 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:36:34.98 ID:YTHhJDEo
テクテクテク…

召喚士「二人っきりは流石に気まずい…ってか……」

テクテクテク

召喚士「あの1部屋しかない家に二人で泊まるの!?」

ヒゲの男「おーうアンチャン。どうした?」

召喚士「!?」

ヒゲの男「…おいおい、そんなに強面か?俺って…」

召喚士「い、いえ…っ、すみません」

ヒゲの男「大軍師様から話は聞いてるよ。何か必要かい?」

召喚士「あの、薪を分けて頂ければと……」

ヒゲの男「何だ、そんな事か。お安い御用だ!付いてきなっ!」

召喚士「はい」

テクテクテク…ザッ

ヒゲの男「……ここだ!」

召喚士「蔵…ですか?」
273 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:37:06.28 ID:YTHhJDEo
ヒゲの男「おう。この中に薪やら炭やら入ってる」

召喚士「勝手に持って行ってしまって…いいんですか?」

ヒゲの男「んっ?……がっははは!!」

召喚士「…?」

ヒゲの男「アンチャン!ここは本国や港町とは違うんだぜ!」

召喚士「は、はぁ…」

ヒゲの男「誰の物でもねぇ。ここじゃ全てみんなの物だ!」

召喚士「みんなの……」

ヒゲの男「そう。競争も差別も争いも…ここにはなーんもねぇ!」

召喚士「……っ」

ヒゲの男「みんなで薪割ってみんなで収穫して、みんなで暖をとって飯を食うのさ!」

召喚士「なるほど…」

ヒゲの男「俺もな、昔はそりゃあ誰よりも負けたくねぇって思ってた」

召喚士「……」

ヒゲの男「でもよ、こんな生活してて…ほんっとよーく分かったよ」
274 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 18:38:27.19 ID:YTHhJDEo
上空を見つめながら、ヒゲの男は一つ大きく背伸びをする。

ヒゲの男「こーんな生活が、本当は一番の理想なのかもしんねぇな〜」

召喚士「……ええ」

ヒゲの男「おっと、薪だったな!ちょいと待っててくれ」

召喚士「……あのっ」

ヒゲの男「んー?」

召喚士「何か…お手伝い出来ませんか?」

ヒゲの男「…?」

召喚士「タダで貰うわけにはいきません!仕事させて下さい!」

ヒゲの男「…がはははは!!面白いアンチャンだなっ!!」

召喚士「みんなの物ですから。……あははっ!」

ヒゲの男「…よーし、lそんじゃあ自分で薪割って持っていきな!」

召喚士「はいっ!道具お借りします!」

ヒゲの男「んじゃ、俺は戻んぜ。他に用があったら声かけてくれや!」

召喚士「ありがとうございますっ!」
275 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/28(火) 18:40:05.07 ID:1Q7F2MDO
>>230と話が繋がらないんだが…
276 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/28(火) 18:41:06.33 ID:1Q7F2MDO
あ、>>229
277 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/28(火) 18:42:13.86 ID:YTHhJDEo
こんばんは。進んだと見せかけて全然進んでおりません…わはー

>>230-232
ありがとだぜー!感謝感謝!

>>233
明日まで頑張りまっする!

>>234
気付いてくれてよかったです…スルーされたらどうしようかとあわわ

そいでは、失礼致しますー!ノシ
278 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/28(火) 18:44:10.91 ID:YTHhJDEo
>>275-276
分かりにくくてすみません…

左翼はこれから南へ行こうとしたのですが、
そこへ南からの伝令で演説終わっちゃった。しかも右翼圧勝!

左翼「ばっきゃろー。もういい西行こうぜ西。ゴーウエスト!」
右翼「ざまぁwwはよ帰れー!」

こんな感じです。
279 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/28(火) 18:45:48.15 ID:1Q7F2MDO
そういうことか
申し訳ない乙です!
280 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/28(火) 20:10:26.54 ID:XocZbAAO
1乙

盗賊「抱かれてもいい……」の続きがきたかと思ったのに……
281 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/28(火) 20:14:14.40 ID:tKsPSGoo
1乙乙
このままだと四角関係に発展しそう
いっそもう一人参加させて恋愛五行発動!とか
282 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/28(火) 21:01:07.07 ID:yqE1PyEo
恋愛五行わろす
283 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/28(火) 21:16:58.17 ID:D8LOFmgo
koeiなら
284 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/28(火) 23:23:21.17 ID:3qAgTYAO
この世界の理想は共産主義なの?
285 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 23:28:37.14 ID:7fpkNkco


召喚士「お待たせしました」

盗賊「遅かったな」

召喚士「すみません、薪を割っていたもので…」

盗賊「…?」

テクテクテク…ゴトッ

召喚士「ふーっ。これでよし…っと」

盗賊「…どうする?早速行くか?」

召喚士「そうですね。まだ時間もありますし行ってみましょうか」

盗賊「…うん」

ゴソゴソッ

召喚士「荷物は…こんなもんでいいかな?」

盗賊「……寝泊りするわけではないしな」

召喚士「ですね。それじゃ行きましょうか」

盗賊「…ああ」
286 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 23:29:32.35 ID:7fpkNkco
テクテクテク…

召喚士「馬で行きます?」

盗賊「……どちらでも」

召喚士「今が昼だから……時間を考えると馬がいいですね」

盗賊「…ああ」

グイッ…パッカパッカパッカ

召喚士「まずは道の確認と村の確認だけにしておきましょう」

盗賊「……同意」

召喚士「では……っ!」

グイッ…ドドッドドッドドッ…

召喚士(本当に道もないんだなぁ……)

盗賊(太陽の位置と左右の山の形状は把握)

召喚士(おおよそ10分でこの距離か。次の10分はと…)

盗賊(……あの岩は目印になりそうだな。これなら大丈夫、迷う事はない)

召喚士と盗賊の駆る馬は、ひたすら真っ直ぐに廃墟の村を目指し走る。
287 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 23:30:21.10 ID:7fpkNkco
ドドッ…パッカパッカパッカ…

盗賊「……ここか」

召喚士「そうみたいですね」

〜廃墟の村〜

スタッ…テクテクテク…

盗賊「……ひどいものだな」

召喚士「ええ…。本当ですね……」

一面廃墟と化した『村』だったもの。その惨状に二人は息を飲み、

更にその奥へと続く陰りの向こうへ、重い足を一歩一歩進める、

召喚士「本当にこんな所にいるんですかね……」

盗賊「…どうだろうな」

召喚士「人の気配とかあります?」

盗賊「……いや」

召喚士「……そうですか」

盗賊「…うん」
288 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 23:30:58.09 ID:7fpkNkco
テクテクテク…ザッ

召喚士「……うーん、どこも人が住んでいるような気配はないなぁ」

盗賊「……こっちも…何もなかったぞ」

召喚士「でも、国軍の情報が嘘だとは決して思えないし……」

盗賊「…と、なると」

召喚士「残るは……地下か」

盗賊「…だな」

召喚士「地下へ行けそうな所と言えば……」

盗賊「…あの古井戸か…あっちの丘の辺り」

召喚士「…まずは井戸から調べましょうか」

盗賊「…うん」

テクテクテクテク…

召喚士「……これですね」

盗賊「…これですな」

召喚士「…えぇと」
289 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 23:32:04.68 ID:7fpkNkco
足元に転がる小石を拾い上げ、召喚士は古井戸の中へと放る。

ポイッ…………

召喚士「……ん?何も音がしない」

盗賊「……水が枯渇してるようだな」

召喚士「……行ってみます」

盗賊「…大丈夫か?私が行こうか?」

召喚士「いえ、ここは俺が……」

トスッ

召喚士「この縄…切れないだろうな……」

グイグイッ…スタッ

召喚士「よし、行ってき……」

プチンッ

召喚士「まああぁぁーっ!!」

盗賊「召喚士!?」

ドスンッ!!
290 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 23:32:42.35 ID:7fpkNkco
召喚士「……ってえぇ!!」

ググッ…ヨロッ

盗賊「おーいっ!大丈夫か!?」

召喚士「だっ、大丈夫…です…っ」

盗賊「……良かった」

召喚士「土で埋まって思ったより浅かったです」

盗賊「…今、助けるっ」

ジャラッ…シュルシュルッ

盗賊「……どうだ?」

パシッ

召喚士「ありがとうございます。大丈夫そう……」

盗賊「…引っ張るぞ」

グイッ…グッ…

召喚士「大丈夫ですか…っ?」

盗賊「…重いけど…何とかなる」
291 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 23:33:42.84 ID:7fpkNkco
グッ…グッ…グッ…

盗賊「……っ」

グイイィ!!

召喚士「……っはぁ!!」

盗賊「…お疲れ様」

召喚士「ほんと、すみません……」

ドサッ

召喚士「はーっ、ビックリした……」

盗賊「…縄が駄目になっていたようだな」

召喚士「……本当だ」

盗賊「…もっと用心するべきだった」

召喚士「はは…っ、本当……」

バッ!!

召喚士「……っ!!」

盗賊「……どうした?」
292 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 23:40:48.94 ID:7fpkNkco
召喚士「こ……この縄…っ!!」

盗賊「…?」

召喚士「見て下さい!ここ、何か鋭利な物で切った後が……」

盗賊「わ、私じゃないぞ……っ!?」

召喚士「分かってますよっ。これ…予め切れ目を入れてあったんですよ!」

盗賊「何っ!?」

召喚士「そこまで古くないと思って油断してました…っ」

盗賊「…つ、つまりどういう事だ?」

召喚士「俺達が来る前に、何者かが仕掛けておいたと言う事です」

盗賊「……何の…為に」

召喚士「……あ」

盗賊「え…?」

召喚士「女侍さん達のアジト……」

盗賊「……あぁ!」

召喚士「あそこも色々な罠が仕掛けてあった……っ!」
293 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/28(火) 23:43:02.63 ID:7fpkNkco
盗賊「……と、いう事は!?」

召喚士「やはり…ここにいる可能性が高いですね!」

盗賊「……ああ」

召喚士(しかし……)

盗賊「……?」

召喚士「…あ、これで地下にいる事は間違いなさそうです」

盗賊「…そうなのか?」

召喚士「地下への警告、という意味じゃないでしょうか」

盗賊「……あぁ」

召喚士「命を奪うつもりはなかったようですけどね」

盗賊「……」

召喚士「とにかく、残るはあっちの丘ですね」

盗賊「…うん」

召喚士「丘には民家意外に……」

盗賊「……教会だな」
294 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/28(火) 23:54:38.37 ID:7fpkNkco
恋愛五行……恐るべき禁断の奥義……っ!!

共産主義と言うか社会主義というか…目指すべき道は民主主義なんでしょうけど
魔物との共存によって不安定な情勢があるのではないでしょうか…
すっげぇひとごとのように言ってますがまぁ、こまけぇ事うんぬん…

それでは、ご支援ありがとうございました!明日で仕事収めっ、頑張るぞー!ノシ

〜オマケ〜

カポーン

女剣士「……はーっ」

東方司令「……はうぅ」

女剣士「そういえば……」

東方司令「は、はひっ…何でしょおぉ?」

ボタボタッ…ツツーッ

女剣士「此処は女性が少ないですね」

東方司令「あ、あぁ…。なぜかすぐに異動されてしまってな」

女剣士「そうなんですか?寂しいですね」

東方司令「全くだ。スキンシップを図った矢先にいつも居なくなる…困る…」

女剣士「……はぁ」
295 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 01:07:24.94 ID:BR59hqY0
>>1乙。
何やら大軍師から某駄肉様成分が…。
296 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 02:58:41.06 ID:IFXtvkwo
1乙
駄肉様今日発売だしな
297 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 06:23:53.75 ID:8gIHzPEo
駄肉様懐かしいな
298 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 07:26:52.70 ID:glppmmso
このスレをリメイクしたらラノベが1シリーズかけるなぁ
299 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 08:33:50.36 ID:Q7mUG2AO
>>1

今年は実家へ帰らせていただきます

それまで少しの間お別れだね…愛しの魔導師ちゃん
離れていても寝るときも起きていても僕はずっと君を想っているからね
変な男につかまらないよう気をつけてね
300 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/29(水) 16:48:37.80 ID:2UAFZNgo
>>295-297
駄肉様?

>>298
リメイク…は死ねますね。冒頭だけでおながいします…

>>299
王子「今年もお世話になりました!来年も宜しくお願いします!えへへ!」

↓続き
301 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:49:23.80 ID:2UAFZNgo
テクテクテク…ザッザッ…

召喚士「これか……」

盗賊「……」

二人の前に佇むは、小高い丘の上にひっそりとそびえ立つ教会。

……とは言っても、屋根や戸は半壊し、面影は割れたステンドグラスや

傾きながらもかろうじて残っている十字架程度である。

召喚士「……」

テクテクテク…ミシッ

召喚士「大丈夫かなぁ……」

盗賊「……また、罠があるやもしれんな」

召喚士「…気をつけます」

テクテクテク…

召喚士「何か……ありそうですか?」

盗賊「……いや」

召喚士「……うーん。ここも違うのかな?」
302 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:50:02.36 ID:2UAFZNgo
テクテクテク

召喚士「左右の通路から奥に繋がってますね」

盗賊「…行ってみるか」

召喚士「はい」

テクテク…ザッザッザ

盗賊「……」

ガチャッ…テクテクテク

召喚士「……何ないですね」

盗賊「…地下への階段も見当たらんな」

召喚士「隣の部屋へ移りましょうか」

何に使っていたのかさえも分からぬ様な状態の部屋。

召喚士と盗賊は一つ一つ、それらを警戒しながら調べていく。



召喚士「……何もないですね」

盗賊「…だな」
303 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:50:43.42 ID:2UAFZNgo
ザッザッザ

召喚士「予想が外れたか。でも、村の外とも思えないし……」

盗賊「召喚士っ!!」

召喚士「何かありましたか!?」

タッタッタ

礼拝堂の最奥部分。盗賊がしゃがみ込みじっと見つめている。

召喚士「どうしました!?」

盗賊「…見てくれ」

召喚士「…これは…っ!?」

盗賊「…机の下、うまく隠しているが埃の切れ目がある」

召喚士「机をどかしてみましょう!」

盗賊「…ああ」

ズズッ…ズズズッ

召喚士「……あった」

盗賊「…開けるぞ」
304 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:51:17.78 ID:2UAFZNgo
ギギッ…ドスン

盗賊「……」

召喚士「…大丈夫そうですね」

盗賊「…罠がないという事はつまり」

召喚士「ここが正解……」

シュタッ…キョロキョロ

盗賊「…うん。中も問題ない」

召喚士「奥はどうです?」

盗賊「…一本道だな。風がある…先に開けた場所がありそうだ」

召喚士「行ってみましょうか」

テクテクテク

召喚士「行けっ!サラマンダー!!」

シュイィィン

サラマンダー「…あのな、人様を松明か何かと勘違いしとらんか?」

召喚士「い、いえ…。でもこういう使い方もあるのかなぁ…と」
305 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:51:44.60 ID:2UAFZNgo
サラマンダー「じゃかあしい!」

召喚士「…ご、ごめんなさい」

盗賊「…行くぞ」

スタスタスタ

サラマンダー「仕方ない。今回は巨乳のネーチャンに免じて……」

盗賊「よ、余計な事を申すなっ!」

サラマンダー「へいへい……」

スタスタスタ

サラマンダー「そーいや、今日は二人なんやなぁ」

召喚士「ええ。別行動です」

サラマンダー「…ふーん。まぁどうでもいいけど」

召喚士「……」

盗賊「…ん?」

召喚士「ありましたかっ!?」

盗賊「……多分この奥、空洞になってる」
306 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:52:13.48 ID:2UAFZNgo
フワッ

サラマンダー「ほな、ちょーっと見て来てやるわ」

召喚士「ありがとうございます」

サラマンダーが炎の尾を引き、正面の暗闇を照らしながら舞い進む。

召喚士「……あっ、本当だ」

盗賊「…一瞬見えたな。進もう」

召喚士「ええ」

スタスタスタ

サラマンダー「おーう、部屋になっとるぞ」

盗賊「…気配はないな」

召喚士「確かに……誰かが住み着いている形跡がありますね」

盗賊「……ああ。しかも古くはない」

ザッザッザ…コトッ

盗賊「…ごく最近だな」

召喚士「……」
307 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:52:40.11 ID:2UAFZNgo
スタスタスタ…

召喚士「一人ではないですね。複数です」

サラマンダー「ほー、そんな事まで分かるんか」

召喚士「一人にしては食器の量が多すぎます」

水に付けられたコップを指差し、召喚士はサラマンダーへ答える。

盗賊「…それに毛布や――」

召喚士「!?」

盗賊「……し、下着…っ」

サラマンダー「なるほどなぁ。そーいう物で分かるっちゅー事かい」

召喚士「しかし誰もいないんじゃ仕方ないですね」

盗賊「…待つか?」

召喚士「そうですね。物色するのも悪いですし……」

盗賊「…金目の物もなさそうだ」

召喚士「一度、出ましょうか……」

盗賊「…ああ」
308 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:53:06.90 ID:2UAFZNgo
テクテクテク

召喚士「しかし、待つにしてももうじき日没…」

盗賊「…あまり費やしたくはないな」

召喚士「ええ…」

盗賊「……」

召喚士「もう一度周囲を見てきます」

盗賊「…それなら私が行ってくるよ」

スクッ…テクテクテク

召喚士「盗賊さん!?」

盗賊「…大丈夫。任しておけ」

テクテクテク…シュバッ!!

召喚士「……」

タタッ…タタタッ

盗賊「……」

日は暮れ始め、黒く淀んだ村も、更にその闇を増してゆく。
309 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:53:44.46 ID:2UAFZNgo
召喚士「……はぁ」

教会の階段に腰掛け、そこへと続く道をぼーっと眺める召喚士。

召喚士「……人は人、自分の出来る事を頑張ればいい」

フワッ

召喚士「分かってはいるんだけどなぁ……」

ガサッ

召喚士「――!!」

ガサッ…ガサッ…

召喚士「……誰だっ!」

ザッザッザ

――「人…?驚かせてしまいましたね」

召喚士「……あ、あの…あなたは?」

修道士「私は旅の修道士。遠目から十字架が見えたものですからつい…」

召喚士「あぁ…。そうでしたか」

修道士「…しかし、これではとても祈る事は出来そうもありませんね」
310 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:54:10.67 ID:2UAFZNgo
召喚士「ひどいものです…」

修道士「北にはこのような村が数多く点在致します」

召喚士「ええ…」

修道士「貴方は…旅の方ですか?」

召喚士「え、ええ…っ。まぁそんなところです」

修道士「そうですか。では、貴方にご加護がありますように」

フイッ

召喚士「ありがとうございます」

修道士「それでは、失礼……」

ザッザッザ…ガサッ…

召喚士「……こんな村にも人が来るんだなぁ」

テクテクテク

召喚士「盗賊さん、お帰りなさい」

盗賊「…何か話し声が聞こえたが」

召喚士「旅の修道士がここを訪れて、少し世間話をしてました」
311 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:54:45.43 ID:2UAFZNgo
盗賊「…修道士?」

召喚士「修行の身なんでしょうかね?こんな辺鄙な所まで……」

ザッザッザ…

盗賊「……この臭い」

召喚士「……え…っ?」

盗賊「……特に何もなかったんだよな?」

召喚士「え、えぇ。特に何も……」

盗賊「…なら良い。今日はひとまず戻ろう」

召喚士「そうしましょうか」

スタッ…テクテクテク…

召喚士「とりあえずは村の位置と、潜伏している気配は見つけられました」

盗賊「…ああ。本格的な調査は明日からだな」

召喚士「はい」

召喚士「えぇと馬は……あれ、この辺りに確か……」

盗賊「っ!!」
312 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:56:00.93 ID:2UAFZNgo
召喚士「ど、どうしました!?」

盗賊「…う、馬が」

召喚士「……これは惨い…っ」

二人の足元に転がる馬であったもの。それは無残な姿と変え、

赤い液体と共に、複数の塊となって転がっている。

召喚士「だ、誰がこんな真似を……っ!」

盗賊「…まさか奴らが?」

召喚士「でも、馬を殺す理由がありませんよ」

盗賊「……だな」

召喚士「あとは…あの修道士!?」

盗賊「…なぁ」

召喚士「はい?」

盗賊「…その修道士という奴、人間だったよな?」

召喚士「…え?」

盗賊「…さっきな、戻った時…召喚士以外に魔物の臭いがした」
313 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:56:29.68 ID:2UAFZNgo
召喚士「……っ!!」

盗賊「…本人かは分からん」

召喚士「例えば…あの修道士が魔物退治をして臭いが付いた…とか?」

盗賊「…その可能性もある」

召喚士「…でも、化けていたなら何故あの場で…っ」

盗賊「…ああ。さっき『何もなかった』と言ってたよな」

召喚士「はい…。本当に世間話だけして去って行きました」

盗賊「……」

召喚士「…何か嫌な予感がしますね。とにかく歩いて戻りましょう」

盗賊「…ああ。完全に日が暮れると…厄介だ」

グッ…テクテクテクテク…

召喚士(……何か、何か嫌な感じがする…っ)

盗賊(何事も無ければ良いのだがな……)

召喚士と盗賊は廃墟の村を後にし、来た道を足早に北の村へと戻る。

日没はあっと言う間に訪れ、同時に北方には降雪が始まった。
314 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:57:03.59 ID:2UAFZNgo
〜北の村〜

大軍師「……どうです?お二人は戻りましたか?」

青年「いやっ、見てないですぜ!」

屯田兵「この雪と闇じゃあ捜索も困難ですよ……」

大軍師「……」

ヒゲの男「信じて待つしかねぇな…」

大軍師「確か、二人は昼頃に出たのですよね?」

ヒゲの男「俺が最後に会ったのはそうだな」

青年「馬で行ったみたいだから、雪で足止め食らってんのかなぁ…」

屯田兵「ありったけの松明に火を灯して、村の位置を示します!」

大軍師「頼みます。皆は救護の準備だけ整えておいて下さい」

ヒゲの男「先生はどうなさるんだい?」

大軍師「少し…捜索してきます」

青年「いやっ、それは危険だろっ!大人しく待っていた方が……」

大軍師「彼らは国軍の依頼で任務に出たのです。責任は私にもあります」
315 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:57:30.14 ID:2UAFZNgo
ビュオオォォ…

召喚士「…と、盗賊さんっ!大丈夫ですか!?」

盗賊「…ああ。しかし…視界が悪いな」

召喚士「方向は間違いなく合っているんですが……」

盗賊「…ああ。だが…一向に着く気配がない」

召喚士「10分間での進み具合も…行きと全然違います…っ」

盗賊「…目印も一向に見当たらん。これは何かが…おかしい」

ビュオオオォォ…

召喚士「せめて吹雪が収まってくれれば……っ」

盗賊「……」

ザッザッ…ザッ…

召喚士「周囲の景色が何も見えない…。せめてそれが分かれば……」

盗賊「…召喚士」

召喚士「参ったな……」

盗賊「召喚士っ!!止まれ!!」
316 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:57:57.42 ID:2UAFZNgo
召喚士「!?」

盗賊「…何か来るっ!複数だ!!」

召喚士「魔物…っ!?」

ザザッ…チャキッ

盗賊「…………」

召喚士「…………」

盗賊「……後ろぉ!!」

叫ぶと同時に、盗賊は召喚士の背後へと回り込み、

薄緑にて正面の吹雪を一閃、切り払う。

盗賊「……ちぃ」

――「…グフフ、よく気付いたなぁ」

――「ニンゲン……殺す……」

召喚士「魔物…っ!?やはり複数いる!!」

盗賊「四面、囲まれているぞっ!」

召喚士「な……っ!?」
317 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:58:24.08 ID:2UAFZNgo
猛吹雪の中、召喚士と盗賊の前後から巨体を揺すり、魔物が姿を現す。

その全身は真っ白な毛に覆われ、半人……いや、猿のような顔を持つ。

魔物の群れの名は『イエティ』。雪原地帯に棲む肉食獰猛な輩である。

イエティ「…グフフッ。この状況で逃げられると思うなよぉ?」

盗賊「……」

イエティ「…逃げても…食うけど」

この状況で召喚士は先制攻撃を考える。しかし、その機転はすぐに

自分の胸の内で否定され、盗賊同様、静観の構えを取らざるを得ない。

召喚士(駄目だ。コカトリスもワイバーンも…この吹雪では決定打にならない)

これまで数多の戦いにおいて、強風との相性が悪い事を召喚士は悟っている。

直近の戦い、即ち東方での一戦において夜行と対峙した際も然りであった。

召喚士(……と、すれば)

イエティ「…諦めたかぁ?」

召喚士「行けっ!スフィンクス!!ユニコーン!!」

シュイイィィン…ドズウゥン!!
318 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:58:51.03 ID:2UAFZNgo
ユニコーン「……寒っ!」

スフィンクス「……さぶぅ!!」

イエティ「何だ…コイツらぁ…!?」

盗賊「今だっ!」

単なる偶然に過ぎないが、召喚士のスフィンクスとユニコーンの召喚。

その行為自体が先程、機転を利かせて思いついたそれに相成った。

イエティ「!?」

盗賊「はぁっ!」

ビュオッ…キイィン!!

盗賊「――!?」

イエティ「…なんだぁ?非力なんだなぁ……」

薄緑の一撃はイエティの鋼鉄のような体に、いとも容易く弾き返され、

カウンターによるイエティの右拳をしゃがみ、潜り抜けて盗賊は回避する。

盗賊「……っ」

イエティ「…避けた。猿みたいなヤツ…だ」
319 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:59:17.64 ID:2UAFZNgo
盗賊「…硬いなどというものではない。全く歯が立たんぞ…っ!」

召喚士「盗賊さん、退がって下さい!」

盗賊「すまんっ!」

ザッ

召喚士「ユニコーン!動きを封じてくれっ!」

ユニコーン「あいよっ、やるだけやってやるさーっ!」

召喚士「スフィンクス!敵が動きを止めたら……」

スフィンクス「うんっ!一撃ブチかますんだねっ!!」

ユニコーンが吹雪を切り裂くようにイエティの群れへと突撃する。

それを迎え撃つイエティはすぐさま四散し、雪の中へと身を隠した。

ユニコーン「……見かけによらず…すばしっこいじゃん!」

イエティ「あれ…召喚獣だなぁ」

召喚士「くぅ…っ!ユニコーンでも足止め出来ないのか…っ」

イエティ「あのデカイのも…召喚獣かぁ」

スフィンクス「お兄ちゃん、どーすんの!?」
320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 16:59:43.77 ID:2UAFZNgo
召喚士「……」

盗賊「……止むを得んな」

召喚士「盗賊さん…?」

盗賊「…足止めすれば良いのであろう?」

召喚士「…?」

ゴソゴソゴソッ

盗賊「……ふーっ」

召喚士「それって……雷忍さんの…っ」

盗賊「……雷遁奥義、雷電!!」

バチッ…バチチチッ

召喚士「盗賊さんっ!!」

盗賊「…大丈夫。身を犠牲にするようなものでは…ないっ!」

タンッ!!

イエティ「消え――」

バチィッ!!
321 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:00:10.07 ID:2UAFZNgo
イエティ「痛……っ!!」

盗賊「…次っ!」

全身を稲光に包まれた盗賊は、それを薄緑へと集約し、

目にも止まらぬ早さを以ってイエティの懐へと到達し、雷を帯びた刀身を振り下ろす。

ヒュバッ……バチチッ!!

イエティ「フガッ!!」

召喚士「……い、今だ!スフィンクス!!」

スフィンクス「はーい!!……ぱーんちっ!!」

イエティ「な――!!」

バゴオオォォンッ!!…ゴッシャアアァァ!!

イエティ「…・・吹っ飛んだ…逃げろ」

盗賊「…逃がさぬっ!」

ガクンッ

盗賊「……っ」

イエティ「よ、よく分からんが今のうちに逃げるぞ…っ!」
322 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:00:38.08 ID:2UAFZNgo
ザザッ…ビュオオォォ…

召喚士「逃げた…のか?」

盗賊「……っ!」

ガクガクガク…

召喚士「…!?と、盗賊さん!?」

盗賊「……大丈夫…っ」

ザッザッザッザ…ガシッ

盗賊「…すまぬ、足にきているようだ」

召喚士「無茶しないで下さいよっ!」

盗賊「……あ、ああ。気を付けるとしよう…っ」

スフィンクス「一匹しか倒せなかったー」

召喚士「いいよ、とりあえず窮地は脱したから…」

ユニコーン「この死体どーする?」

ツンツン

召喚士「と、とりあえず放っておこうか……」
323 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:01:04.41 ID:2UAFZNgo
ビュオオォォ…ザッザッザ

召喚士「……あれから…何分、いや…何時間経ったんだ…?」

盗賊「……くっ」

ガクッ

召喚士「盗賊さん!」

盗賊「……だ、大丈夫…だから」

召喚士「ダメですよ!さぁ、掴まって!」

盗賊「…す、すまぬ…っ」

グイッ

召喚士「おぶりますよ?そのまま…乗っかって……」

ググッ…グイッ

盗賊「……ありがと」

召喚士「いえ、それじゃあ行きますね」

ザッザッザッザッザ

盗賊「……っ」
324 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:01:30.65 ID:2UAFZNgo
ビュオオォォ

召喚士「……」

ザッザッザ…ムニュッムニュッムニュッ

召喚士「……」

ザッザッザ…ムニュッムニュッムニュッ

召喚士(こ、これは……)

ザッザッザ…

召喚士(バカか俺っ!そんな事考えてる場合じゃないだろ!!)

ザッザッザ…ピタッ

召喚士「盗賊さん…?」

盗賊「……」

召喚士「寝ちゃったか…。さぁて…困ったなぁ」

辺り一面変わる事のない雪景色。出口の見えない迷宮の様に、

歩き続ける召喚士と盗賊を疲労と不安に突き落とす。

召喚士「……くっそぉ…っ」
325 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:01:56.59 ID:2UAFZNgo
ビュオオォォ…

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「…………」

盗賊「…………」

未だ収まる気配のない雪の猛威の中、雪上には召喚士と盗賊が横たわる。

二人は気を失い、ただ白い景色の中で息をするのみ。

召喚士「…………」

盗賊「…………」

その姿を離れた高地から見つめる男の姿が一つ。

修道士「……」

男は先程出会った人間が倒れている、ただその姿を見つめ、そして笑う。

修道士「……くくっ」

ザッ

その男の姿を背後から見つめる男の姿が更にもう一つ。
326 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:02:23.27 ID:2UAFZNgo
修道士「…!?」

バッ

修道士「……何者っ!?」

ザッザッザ

大軍師「あなた、こんな所で何をしているんです?」

修道士「……」

大軍師「…ふっふっふ。答える必要はないですかねぇ」

修道士「な、何を……」

ビュオッ!!…ドドオオォォッ!!

手にした羽扇を勢い良く扇ぐと同時に、突風が修道士を襲う。

ゴアッ!!

修道士「くぅ…っ!」

大軍師「……貴方、魔物ですよね?」

修道士「……っ」

大軍師「いえ、これも答える必要はないですね」
327 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:02:55.07 ID:2UAFZNgo
修道士「……面白い男だな」

大軍師「それはどうも」

修道士「……単身で虚勢とも思えないですし、今日は退くとしますか」

大軍師「それはどうも」

修道士「では、失礼しますよ」

バッ!!

大軍師「――!?」

修道士「手土産に、貴方の首を持ってしてね」

周囲の景色が突如一変する。その異様な事態は即ち『幻術』。

修道士は法衣を脱ぎ捨て、立ち尽くす大軍師の元へとゆっくり歩み寄る。

道士「……先日といい今回といい、最近は人間が活発で困りますね」

パチンッ……スウッ

僵尸「……」

道士「…さて、楽にして差し上げましょうか」

僵尸の群れは道士の合図と同時に、大軍師へと一斉に襲いかかる。
328 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:03:22.37 ID:2UAFZNgo
ババッ…グオオォォッ

道士「……っ!?」

ヒュオンッ

道士「……な、何だ…!?」

ヒュオンッ…ブオンッ!!

道士「何かが光ると同時に……僵尸達が……」

僵尸「……ッ!!」

ボシュッ!!

道士「……この男ではない…っ。更にその背後」

ヒュンヒュンッ…ザシャアァ!!

道士「……あれだけの僵尸を…一瞬で…っ!」

ザッザッザッザッザ…

道士「……単身かと油断してましたよ」

僵尸を一瞬で始末し、そのツヴァイハンダーを肩に担ぎ、その男は道士へ語る。

天才「…はーっはっはっは!俺様も今来たばっかりだ。運が悪かったな」
329 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:03:49.65 ID:2UAFZNgo
道士「……」

天才「てめぇが親玉か。さて、ちゃっちゃと終わらせるか」

道士「……っ」

天才「…ん?どうした、来ないのか?」

道士「……忌々しい」

天才「あん?」

バッ!!

道士「……」

スゥッ…フォン

天才「なーにが忌々しいだ。そりゃテメェだろ」

ザッザッザ

天才「おーい、生きてっか……」

大軍師「…これはこれは。ありがとうございます」

天才「…何だよ、気付いてたのか」

大軍師「幻術の類は、私には通用しませんよ」
330 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:04:32.83 ID:2UAFZNgo
天才「…ちっ、無駄骨か」

大軍師「いえいえ助かりました。それにしてもどうしたんです?」

天才「あぁ?どうした?……テ・メ・ェが伝令飛ばしたんだろ!!」

大軍師「…いや、それはそうですが…こんな所にいらっしゃるとは」

天才「村に行ったらテメーは外出中。わざわざ探しに来たんだろうが」

大軍師「それはすみません。ついでといっては何ですが……」

天才「あん?」

大軍師「あの二人、お願い出来ませんかね?」

チラッ

天才「……何だよ、死にかけてんじゃんか」

大軍師「ええ。流石に私も二人担いで帰るのは……」

天才「お前は男。俺様が女。異論は…?」

大軍師「……ありません」

天才「…よしっ!さぁ、今すぐ助けに向かおうではないか!」

召喚士と盗賊の救出に向かう二人。辺りは吹雪などなく、粉雪が舞い降りていた。
331 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:05:05.93 ID:2UAFZNgo
パチパチパチ…バチッ

召喚士「……ん」

目を開けると、そこは室内であった。

召喚士「……っ!!」

ガバッ

大軍師「…おや、お目覚めですか」

召喚士「こ、ここは……っ!?」

大軍師「北の村ですよ。災難でしたね…お疲れ様です」

召喚士「……あ、あの…っ」

大軍師「帰路の途中で魔物に襲われたようですね」

召喚士「…そ、そうだ!白い毛むくじゃらの…猿人のような化物に」

大軍師「おそらくそれは『イエティ』ですね」

召喚士「イエティ…?」

大軍師「雪原地帯に生息する乱暴な魔物ですよ」

召喚士「…そうでしたか……あっ!!盗賊さんはっ!?」
332 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:05:32.06 ID:2UAFZNgo
大軍師「ご安心下さい。隣の部屋で眠っておられます」

召喚士「……」

ヨロッ…テク…テクテク…

大軍師「…大丈夫ですか?」

召喚士「俺よりも…盗賊さんは……」

大軍師「目立った傷はありませんでした。外から見た限りですが…」

テクテクテク…カチャッ…

天才「!?」

召喚士「……天才…さん!?」

天才「…違うぞ。俺は濡れた服だと風邪引くだろうから脱がせようと……」

召喚士「盗賊さんは…無事ですか!?」

天才「回復魔法はかけておいた。おそらく疲労と凍傷だろう」

召喚士「……そうですか」

天才「もう一度言うが、俺は濡れた服をだな……」

召喚士「天才さんは…どうしてここに…?」
333 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:06:02.28 ID:2UAFZNgo
天才「……ソイツに呼ばれた」

召喚士「大軍師さんに…?」

大軍師「伝令は出しましたが、呼んだ覚えはないんですがねぇ」

天才「うっせーな!北の港にいたから様子見に来てやったんだろうが!」

大軍師「…ふっふ」

天才「…お前は殺そう」

召喚士「と、とにかく…っ、ありがとうございました!」

大軍師「…しかし朱雀先生ともあろうお方が、意外ですねぇ」

天才「四人いねーと本領発揮しねぇってか?」

召喚士「いや…。それもあるかもしれませんが…吹雪がひどくて……」

大軍師「あぁ、あれは幻術ですよ」

召喚士「幻術!?」

天才「脳裏直接催眠みてーのをかけて、相手の五感をいじくるんだよ」

召喚士「……っ!」

大軍師「幻術を扱う、怪しい修道士の格好をした魔物に会いました」
334 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:06:34.63 ID:2UAFZNgo
召喚士「修道士…!?やっぱり…そうだったのか…っ」

大軍師「お会いしたのですか?」

召喚士「……廃墟の村で…っ」

天才「お人好しだねー。怪しいとか思わねぇのか普通?」

召喚士「いや…思いましたけど、世間話して去って行ったし……」

天才「…貴公、早死にの相が出ておりますぞ!なんつってな。はーっはっは!」

大軍師「とにかく、大事に至らず幸いでしたよ」

召喚士「……すみませんでした」

モゾッ

盗賊「……んっ」

召喚士「盗賊さん…!?」

盗賊「……召…喚士」

召喚士「あっ!無理に起きない方が……」

盗賊「……大丈夫っ」

召喚士「……盗賊さん…っ」
335 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:07:00.85 ID:2UAFZNgo


盗賊「…なるほど。そうだったのか」

天才「そこで颯爽と俺様が助けてやったというわけよ!」

大軍師「…やれやれ」

召喚士「……?」

大軍師「軽食と飲み物を取って参ります」

召喚士「…あっ、俺も行きますよ!」

大軍師「そんなご無理なさらずとも……」

召喚士「いえいえ、タダで貰うわけにはいきませんからね」

大軍師「…ふっふっふ。そういう事ならお願いしましょうか」

召喚士「はいっ!」

テクテクテク…パタン

盗賊「……あの」

天才「あん?」

盗賊「……ありがとう」
336 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:07:27.23 ID:2UAFZNgo
天才「何だ今更……」

盗賊「……いや…その」

天才「感謝と反省は大切な事だ。精進しな」

テクテクテク

天才「そんだけ喋れりゃ大丈夫そうだわな」

盗賊「……あの」

天才「……あ?」

盗賊「…前にも聞こうと思ったんだ」

天才「……?」

盗賊「…貴方は……ムグッ」

天才「…お嬢ちゃん、世の中には知り過ぎない方がいい事もあるんだぜ?」

盗賊「……」

天才「…ま、今日の一件で反省したろ。明日からはもっと慎重にな!」

盗賊「……はい」

天才「はーっはっはっは!反省は大切!」
337 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:07:54.23 ID:2UAFZNgo
カチャッ

大軍師「……」

天才「…何だよ、なんもしてねぇぞ?」

大軍師「…盗賊殿、何か食されますかな?」

盗賊「…いえ」

大軍師「では、せめて温かい物を飲んで下さい」

テクテクテク…コトッ

盗賊「…ありがとうございます」

大軍師「身体が冷え切ってしまってますからね。とにかく暖めないと」

テクテクテク

召喚士「毛布、借りてきました!」

大軍師「召喚士さんもですよ?しっかり暖を取って下さい」

召喚士「はいっ。でももう大丈夫ですから」

天才「まぁまぁ。今日は二人で暖まって寝なさいな」

召喚士「何で二人で寝るんですかっ!」
338 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:08:25.83 ID:2UAFZNgo


召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「…………」

盗賊「…………」

ひらひと舞い散る粉雪の降るの中、部屋には召喚士と盗賊が横たわる。

二人は目を開き、ただ狭い天井の景色を見るのみ。

パチパチパチッ…

召喚士「あの…っ、やっぱり俺…殺気の家で寝……」

盗賊「だ、だったらその…私が」

召喚士「い、いいですよっ。俺が行きますから…」

盗賊「…じ、じゃあ大丈夫」

召喚士「大丈夫?」

盗賊「…ここで…いい」

召喚士「俺も…ですか?」
339 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:08:59.46 ID:2UAFZNgo
盗賊「……うん」

召喚士「……そ、それじゃ盗賊さん寝てて下さい!俺、見張ってますから」

盗賊「…いいよ」

召喚士「……」

盗賊「…寝よう」

召喚士「……それじゃ、なるべく端にいますから」

ゴロン

召喚士(……寝られるワケがない…っ)

盗賊「……」

召喚士「……」

盗賊「…あのさ」

召喚士「は、はいっ!?」

盗賊「…その…ありがとう」

召喚士「いえ…っ。こちらこそ」

盗賊「……ごめん」
340 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/29(水) 17:09:24.11 ID:ZihcLSAo
殺気の家はモンスターが見に来る場所だからですね。わかります。
341 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:09:48.83 ID:2UAFZNgo
召喚士「…盗賊さん?」

盗賊「…私は…弱いな」

召喚士「そんな事ないですよ。俺だって…弱いです…」

盗賊「……」

召喚士「今は弱くていいじゃないですか」

盗賊「……」

召喚士「それに、以前と比べたら…強くなってますよ。ゆっくりと…」

盗賊「……うん」

召喚士「あと2年ですけど…焦らず行きましょう」

盗賊「……うん」

召喚士「俺も頑張ります!はは…っ」

盗賊「…いつも…ありがとう」

召喚士「……いえ…こちらこそ」

盗賊「……すーっ…すーっ」

召喚士「……」
342 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:10:34.76 ID:2UAFZNgo
〜次の日〜

召喚士「……さて」

盗賊「…行くか」

天才「今日は気合入ってんなぁ」

召喚士「昨日たっぷり反省しましたからね」

盗賊「…ああ。反省した」

天才「なんなら付いてってやろうか?」

召喚士「いえ、大丈夫です。やらせて下さい」

天才「…はーっはっは!なんかしらんが吹っ切れたみてーだな」

大軍師「くれぐれもお気を付けて」

召喚士「はいっ。あ……」

大軍師「何か…?」

召喚士「ちなみに…今日の天候は……」

召喚士「…予測では、雪は降りませんよ」

召喚士「…よしっ!」
343 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:11:12.50 ID:2UAFZNgo
ザッ

大軍師「歩きで宜しいのですか?」

召喚士「二頭も潰してしまいましたから……」

盗賊「…気軽だしな」

大軍師「分かりました。それでは頑張って」

召喚士「ありがとうございます。行ってきます!」

盗賊「……」

ペコリ…テクテクテク…

天才「一晩でわりかし成長したな」

大軍師「貴方のお陰かもしれませんね」

天才「流石、俺!」

大軍師「仕事は宜しいのですか?」

天才「…へいへい。そんじゃ俺も帰るとすっか」

大軍師「ありがとうございました」

天才「そう思ってんなら、しっかり返せよ!はーっはっはっは!!」
344 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 17:12:55.95 ID:2UAFZNgo
ザッザッザ

召喚士「……!?」

盗賊「どうした?」

召喚士「…あれって…昨日のイエティ?」

目の前に転がる残骸を、召喚士は指差し問う。

盗賊「…のようだな」

召喚士「……意外と村の近くだったんですね」

盗賊「…幻術か」

召喚士「…何か?」

盗賊「…かつて火焔山でも一度、幻術にかかった事があった」

召喚士「……」

盗賊「…私は馬鹿だっ、何故…気付かなかったのだ」

召喚士「あの状況では気付けませんよ…」

盗賊「……」

召喚士「さぁ、行きましょう。廃墟の村へ……」
345 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/29(水) 18:01:39.92 ID:8yofYCwo
年末なのに、お疲れ様!
あと今年も3日
健康で年が越せるように無理はしないでね
346 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/29(水) 18:11:26.39 ID:2UAFZNgo
納会終わりましたー
いっぱいお菓子貰ってきちゃった…うふふ
347 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 18:19:19.26 ID:2UAFZNgo
〜廃墟の村〜

召喚士「…徒歩でも途中走れば、そんなに距離を感じませんね」

盗賊「…だな」

召喚士「…さて、今日こそはいるかな?」

盗賊「……」

テクテクテクテク…

召喚士「……魔物はいないですよね…?」

盗賊「…うん。気配はない」

召喚士「…慎重に行きましょう。慎重に…っ」

盗賊「…うん」

コソーッ

召喚士「まずは、昨日の教会まで行きましょう」

盗賊「…ああ」

召喚士と盗賊は周囲を警戒しながら、村の奥にある教会へと向かう。

時間も相まってからか、昨日よりは視界も晴れ、不気味な様子はなくなっていた。
348 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 18:24:51.55 ID:2UAFZNgo
〜廃墟の村、教会〜

ミシッ…ギシッ…

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「…中も、人気はなし」

盗賊「…ああ、だが」

召喚士「…?」

テクテクテク…

盗賊「…何者かが訪れた形跡があるな」

召喚士「……っ」

盗賊「…ここ、昨日より埃が少ない」

召喚士「言われてみれば…そんな気もしますね」

盗賊「…行くか?」

召喚士「ええ、行きましょう。地下へ」

盗賊「…ああ」
349 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/29(水) 18:29:09.12 ID:2UAFZNgo
召喚士「……灯り、要りますか?」

盗賊「……いや、いい」

召喚士「見えます?」

盗賊「…見えないけど…五月蝿いからいい」

召喚士「…なるほど」

テクテクテク…

盗賊「……いないな」

召喚士「気配なし、ですか?」

盗賊「…うん」

テクテクテク…

召喚士「……いないですね」

盗賊「……」

昨日と変わらぬ空洞内の一室。

召喚士「…今日も待ち伏せますか?」

盗賊「…昨日の事もある。遅くならない程度にしておこう」
350 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/29(水) 18:39:05.60 ID:2UAFZNgo
では帰ります!今日はこの後飲み会らしいので…
また明日!今年も残りわずかですが最後までがんばりましょー!

ご支援ありがとうございました!ノシ
351 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 20:23:24.69 ID:VCoFaMDO
>>1乙 一瞬天才が女なのかと思ったぜ
352 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 22:41:17.36 ID:KSjniYAO
>>1
雪山症候群思い出した
353 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 22:44:20.21 ID:uSvdgWQo
天才も女装か
股間が厚くなるな
354 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 23:58:51.03 ID:/RnZlDI0
殺気の家・・・

はっ?魔導士ちゃんの千里眼か?
355 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/29(水) 23:59:23.23 ID:/RnZlDI0
殺気の家・・・

はっ?魔導士ちゃんの千里眼か?
356 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/30(木) 00:45:10.65 ID:OFfv6UDO
大事なこと?
357 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/30(木) 01:44:10.76 ID:tZYfOkDO
>>1乙っす
お菓子で喜ぶ>>1可愛いよ>>1
358 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/30(木) 03:16:52.89 ID:zx4OcIoo
一人で天気予報して一人で意気込む召喚士かわいい
ちなみに盗賊おぶって帰るよりはスフィンクスやユニコーンに乗っけてもらったほうが生還しやすかったのではなかろうか
359 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/30(木) 03:24:03.84 ID:c5jpDcQo
積雪状況次第では雪洞を設営して様子を見る
が、幻術の吹雪にハマってるんじゃ役に立たないだろな。
360 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/30(木) 09:01:15.13 ID:TJqVuwAO
盗賊は俺に乗れば良いのに
361 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/30(木) 10:01:23.55 ID:IrLfzYAO
これから先はオサレ先生並の幻術戦ですねわかります
362 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/30(木) 11:42:51.14 ID:uFvXOzMo
誰も>300にツッコミいれない件
363 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/30(木) 16:34:29.68 ID:7Vgz7.AO
>>300は一部ぼやけて見えない
364 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/30(木) 23:08:55.06 ID:t6uO9YAO
↓続き
365 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:23:08.02 ID:QUNhdoAo


召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「……誰も…来ませんね」

盗賊「……うん」

召喚士「仕方ない。帰りましょうか」

盗賊「…そうだな」

テクテクテク…

召喚士「今日も駄目でしたね…」

盗賊「…ああ。あまり時間はかけたくないところだが」

召喚士「明日は夜明けに合わせて来てみましょうか」

盗賊「…そうだな。時間をずらすのも手だろう」

ザッザッザ…」

盗賊「……!?」

召喚士「…どうしました!?」
366 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:24:16.84 ID:QUNhdoAo
盗賊「……いや、何でもない」

召喚士「では、戻りましょうか」

テクテクテク…

二人が立ち去った廃墟の村の入り口。盗賊が微かに気配を感じたその主。

男は完全に姿が消えた事を確認すると、ようやくその顔を見せた。

サル「……確かアイツら」

ザッザッザ

サル「まーったく、嫌んなっちまぜぇ〜。こんな所まで嗅ぎ付けうとはなぁ〜」

テクテクテク…

サル「それにしてもアイツら…何が目的だぁ?」

テクテク…ピタッ

サル「まーさか、俺らを捕らえに…?いや、それとも……」

クルッ

サル「んーふふふふっ、面白くなってきやがった。とにかく報告だ!」

ザッザッザ…タタタタタッ
367 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:24:56.92 ID:QUNhdoAo
〜北の村〜

大軍師「……成程。今日もお会いする事は出来ませんでしたか」

召喚士「すみません…」

大軍師「いえ、お気にせず。お二人こそお時間は大丈夫ですか?」

召喚士「そうですね。正直言うと…あまり長い事、費やしたくはないところです」

盗賊「……」

大軍師「仕方ありません。此度はひとまず……」

召喚士「いえっ、もう一日だけやらせて下さい」

大軍師「此方は構いませんが……」

召喚士「それに、やっぱり中途半端には終わりたくありませんから」

大軍師「……」

盗賊「…頼む」

大軍師「……分かりました。それでは、お願い致します」

召喚士「ありがとうございます」

盗賊「…明日こそ、必ず」
368 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:25:27.62 ID:QUNhdoAo


召喚士「天才さんも結局、もう帰ってしまったみたいですね」

盗賊「…うん」

一つの小部屋に男女一組。しかし離れて就寝する二人は言葉のみをかわす。

召喚士「何か…方法があればいいんですけどね」

盗賊「…奴らも熟練者だ」

召喚士「ええ」

盗賊「…それに稼業が稼業。そう簡単には捕まえられないさ」

召喚士「…ですよね」

盗賊「…根気よく待つしかあるまい」

召喚士「それが唯一の方法ですね」

盗賊「…今のところはな」

召喚士「…それでは、寝ましょうか」

盗賊「…ああ、おやすみ」

召喚士「おやすみなさい、盗賊さん」
369 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:26:31.45 ID:QUNhdoAo
〜次の日〜

まだ日も明けきらぬ早朝。召喚士と盗賊は防寒用の身支度を整え、

北の村より発つ。目指すは当然ながら廃墟の村。

召喚士「今日こそは……」

盗賊「…必ず」

この日、明け方は生憎の雪に見舞われ、気温も著しく冷え込んだ。

しかしながら、夜明けと共に天候は回復し、全国的に晴れ模様と相成った。

ザッザッザ…

盗賊「…着いた」

召喚士「途中で雪が止んでくれて助かりましたね」

盗賊「…ああ」

召喚士「それでは入りましょうか」

〜廃墟の村〜

召喚士と盗賊は並び歩き、一路これで三度目の訪問となる教会へと一直線に進む。

盗賊「……」

召喚士「……」
370 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:27:14.38 ID:QUNhdoAo
ザッザッザッザッザ…

盗賊「……待て」

召喚士「…!?」

ジャリッ…

盗賊「…中に、気配を感じる」

召喚士「!!」

盗賊「……人間…か?」

召喚士「複数…ですか!?」

盗賊「…いや、一人のようだ」

召喚士「……」

タタッ…ザサァ

召喚士「……誰かっ、いるのか!?」

半壊した扉越しに、中へと大声で叫ぶ召喚士。

やがて中からは聞き覚えのある声で返答が発せられる。それは女性の声。

女侍「ふふっ、入りなよ」
371 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:27:46.01 ID:QUNhdoAo
ザッザッザ…

女侍「……久しぶりじゃあないかい」

召喚士「女侍…さん」

女侍「おや?今日は二人かい?」

盗賊「……」

女侍「…あははっ、怖い顔しなさんな。美人が台無しだよぉ〜?」

盗賊「……っ」

女侍「それで、何のようさね?」

召喚士「……今日はいらっしゃったのですね」

女侍「ああ。正確に言うと、待っててアゲたんだけどねぇ〜」

召喚士「女侍さん。あなた達の目的は何です?」

女侍「目的?」

召喚士「はいっ。目的です」

女侍「……あはははは!これは可笑しな事を言うねぇ!」

盗賊「……」
372 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:28:13.38 ID:QUNhdoAo
女侍「目的なんてないよ。強いて言うなら生きる仕事さね」

召喚士「とぼけないで下さいっ!」

女侍「とぼけてなんざいないよぉ。本当の事さ」

召喚士「召喚関連の書物はどうなんです?」

女侍「それはクライアントからの依頼さね」

盗賊「……」

女侍「アタイらがどうこうってモンじゃあないよっ」

召喚士「クライアントは誰なんです?」

女侍「あははっ、言えると思うかい?」

召喚士「……いえ」

女侍「じゃあそういう事さ」

盗賊「……」

女侍「ところでアンタら、どっちだい?」

召喚士「え…?」

女侍「自主的に来たのか、お国の命令で来たのかって事さ」
373 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:28:42.80 ID:QUNhdoAo
召喚士「……両方です」

女侍「両方かいっ。そりゃご熱心な事」

召喚士「……」

女侍「それでそうする?この身柄をしょっ引こうってかい?」

召喚士「…手荒な真似はしたくありません。一緒に来て頂けませんか?」

女侍「行けば有罪、逃げれば有罪……」

盗賊「……」

女侍「それなら誰だって、自由を選ぶだろう?」

召喚士「ですが、きちんと話せば分かって貰えるかもしれません」

女侍「お国の連中はそんな柔らかい頭は持ち合わせちゃいないよぉ」

召喚士「ですが…っ」

女侍「大体、手荒な真似して……アタイに勝てるとでも思っているのかぃ?」

盗賊「…やってみなければ分からん」

女侍「分かるよ。強くなったつもりだろうが…相手の力量くらい量れるんだろう?」

盗賊「……っ」
374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:29:30.60 ID:QUNhdoAo
女侍「虚勢を張るのはやめておきな。アタイは人間だからって手加減は出来ないよ」

召喚士「では、どうすれば宜しいですか?」

女侍「何もしなくていいよ」

召喚士「……?」

女侍「アンタらもお国の連中も、関わらないでくれって事さね」

――「そうは参りません」

突如背後から男の声が聞こえてくる。その男は教会内部へと足を進め、

中央部分で立ち止まり羽扇を突き出し、言葉を続けた。

大軍師「贖宥状を反故にし、罪を重ねた事実は見逃せません」

女侍「…なーんだ、まだそんな事根に持ってるのかい」

教会奥の壇上に腰掛けていた女侍は、飛び降りると同時に指を鳴らす。

パチンッ……ススッ…スススッ

イヌ「……」

キジ「……」

女侍「殺すんじゃあないよ。大切なお客様だ」
375 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:30:08.80 ID:QUNhdoAo
サル「…殺せるかってんだ」

召喚士「サルさん…!?それに、皆さんも……」

盗賊(馬鹿な…っ!ここまで気配を殺せるものなのか…っ!?)

大軍師「根に持つ必要はありませんが、貴女達は法を犯したのです」

女侍「……」

大軍師「その罪は免れませんよ」

女侍「法ったって、そんなものはアンタらが勝手に作ったものだろう?」

大軍師「……」

女侍「アタイらの法にはそんな事、書いてなかったけどねぇ…?」

キジ「ああ、全くさぁ!」

大軍師「今はそのような問答をするつもりはありません」

女侍「理不尽な話だ事。これだから頭の固い連中は嫌いさね」

イヌ「全くね。こっちはいい迷惑ね」

サル「軍人さんよ、今日のところは退いてくれねぇかい?」
376 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:30:42.83 ID:QUNhdoAo
大軍師「……此方も退くわけにはいかんのですよ」

女侍「……」

大軍師「貴女達が罪のない物から盗みを働かない事は存じております」

女侍「……ふぅん」

大軍師「しかし、目を瞑ってしまっては他に面目が立ちません」

女侍「アンタらだって、似たような事してんじゃないのかい?」

大軍師「……」

女侍「そういうところが嫌いだって言ってんのさ」

大軍師「まぁ、お気持ちは分かりますよ」

サル「はぁ?」

大軍師「お見せしたいものがあります。一緒にきては頂けませんか?」

キジ「……?」

イヌ「お頭、罠に決まってるね」

大軍師「それを見て、考えを改めて頂けませんかね?」

女侍「……」
377 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:31:24.14 ID:QUNhdoAo
サル「なーに言ってんだか。そんなんにホイホイ……」

女侍「……いいよ」

サル「そうそう、いいよ……ってぇ!?おいっ!!」

女侍「但し、罠だった時の事を考えて条件がある」

大軍師「何でしょう」

女侍「行くのはアタイとサルも二人」

大軍師「構いません」

女侍「更に、この二人は人質さね!」

グイッ

盗賊「……!?」

召喚士「お、俺らですかっ?」

女侍「コイツらはここでイヌ、キジとアタイらの帰りを待ってもらう」

大軍師「流石にそれは……」

召喚士「……いいですよ」

盗賊「…うん」
378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/30(木) 23:55:43.89 ID:QUNhdoAo
大軍師「朱雀先生…っ!?」

召喚士「それで解決出来るのなら…喜んで」

女侍「献身的じゃあないか。軍人なんかよりよっぽどイイよぉ〜」

大軍師「……」

サル「どーすんだい?コイツらに恥をかかせるってかぁ?」

大軍師「……分かりました。お言葉に甘えましょう」

女侍「よし決まりだ。イヌ、キジ。この二人を頼むよ」

キジ「アイアイサー」

大軍師「すぐに戻ります。申し訳ありませんが……」

召喚士「大丈夫です。大軍師さんに全て、お任せしますから」

盗賊「…ああ」

大軍師「……はい」

サル「さーて、そんじゃ行こうかねっ」

イヌ「二人はこっちに来るね。アジトで待ってるといいね」

召喚士「はい。お世話になります」
379 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 00:44:07.97 ID:m2KPeMDO
続きが気になって眠れん。

明日も仕事なんだがなぁ、どうしたものか。。。

とりあえず>>1
380 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 00:55:30.93 ID:84gCeKEo
1乙 2011年まであと23時間か
381 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:34:36.86 ID:rjSW9lIo


召喚士「行っちゃいましたね」

盗賊「…うん」

キジ「さぁさぁ、自分の家だと思ってくつろぐさー」

召喚士「あ、ありがとうございます」

イヌ「しばらくの辛抱ね。お頭戻ったらすぐに開放するね」

召喚士「……あ、あのぉ」

イヌ「…?」

召喚士「なぜ皆さんは盗人稼業を続けているんですか?」

キジ「…不思議な質問するさー」

イヌ「特に理由はないね。他にする事ないからね」

盗賊「……」

召喚士「でも、ワーカーになったりとか…他にも稼ぐ方法は…」

イヌ「それは駄目ね。国軍のイヌにはなりたくないね」

キジ「ヌがイヌ言ってるさー!アハハハ!」
382 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:35:06.48 ID:rjSW9lIo
召喚士「……」

イヌ「みんなお頭が好きね。だからお頭に付いて行くだけね」

キジ「そうさそうさー!」

召喚士「じゃあどうして女侍さんは盗賊団を…?」

イヌ「さぁ。聞いた事もないね」

キジ「お頭は軍人とか国の偉い人が大っ嫌いさー」

盗賊「……」

キジ「東方の人だから詳しくは知らないさー」

召喚士「そうですか……」

イヌ「でも一つ言える事は、お頭はきっと弱い人を助けたいね」

キジ「そうさそうさー。だからみんなで悪い奴からお宝を盗む。これぞ義賊さー」

盗賊「…義賊」

イヌ「どうせ悪い事して儲けたお宝ね。盗んでも因果応報ね」

キジ「それを貧しい人や弱い人に返してあげる。言うなれば人助けさー」

召喚士「……人助け」
383 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:35:32.72 ID:rjSW9lIo


パッカパッカパッカ…

大軍師「つまり、人助けの為の義賊好意であると?」

サル「そうそうっ。俺達は世の為人の為に仕方なーく、盗みをやってんのよっ」

大軍師「……本当ですか?」

女侍「さぁね〜」

サル「おいおい!せっかく人がフォローしてるってのによ!」

女侍「それで、見せたい物ってのは何なんだい?ウチらだってそう暇じゃあないんだよ?」

大軍師「もう間もなく着きます」

女侍「……」

正午を迎える頃、三人の駆る馬は北の村へと無事到着する。

パッカパッカパッカ…

女侍「…村?へぇ、しっかり復旧してんじゃあなのさっ」

大軍師「ええ。どうです?この村こそが貴女達にお見せしたかったものですよ」

女侍「…村を?」
384 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:36:00.17 ID:rjSW9lIo


大軍師「この村は屯田、即ち弱き者らが築き上げました」

サル「マ…マジかよっ」

大軍師「自分達で作り上げ、自分達で生活する」

女侍「それで、徴兵して戦に駆り出そうってのかい?」

大軍師「それは皆が望んでいる事です。強制ではありませんよ」

女侍「防衛衝動をくすぐってんだろ?結果としちゃ同じ事さね」

大軍師「強制的に行うんと、自発的に行うのでは中身も違いますよ」

女侍「……ふん」

大軍師「事実、彼らの表情をご覧になれますか?」

サル「…ったく、みーんないい笑顔で働いてんぜぇ」

大軍師「そうです。誰に縛られるでもなく、自らがこうどうしているからこそです」

女侍「お国もこれだけの事をやってる。そう言いたいのかい?」

大軍師「そうではありません。我らはほんのきっかけを与えるにすぎません」

女侍「……」
385 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:36:27.98 ID:rjSW9lIo
大軍師「これからの時代はかくあるべき。そうは思いませんか?」

女侍「そう思いたいねぇ」

大軍師「その為にまずは国軍、そして何れは本国と変えていきます」

女侍「アンタに出来るのかい?」

大軍師「私一人には到底無理な話。しかし仲間が居ます。志を同じくとした仲間が」

女侍「だから手を貸せってかい?」

サル「都合のいい話だなぁ〜」

大軍師「共闘しろとは申しません」

女侍「自重しろって事かい」

大軍師「そしてもし、敵の情報を存じていれば……」

サル「渡せってか」

女侍「生憎そんな大層なモノは持ち合わせちゃあいないよ」

大軍師「……それが聞けただけでも結構です」

女侍「…ふん、まぁいいさね。考えておくよ」

大軍師「ありがとうございます」
386 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:37:07.90 ID:rjSW9lIo
テクテクテク…

大軍師「馬は宜しいので?」

女侍「見逃してくれるんだろ?」

大軍師「今日のところは。もし同じ様なことがあれば……」

サル「へいへい。気ぃ付けますって」

女侍「それにこの馬、この村のモノ何だろう?」

大軍師「……」

女侍「軍馬だったら頂戴してもいいとこだけど…それは出来ないよ」

サル「んじゃな!まーた会おうぜ〜!」

シュタッ…タタタタタッ…

大軍師「……」

ヒゲの男「先生、見逃しちまって良かったのかい?」

大軍師「おや、いらっしゃったのですか。まぁ悪い連中ではなさそうですし……」

ヒゲの男「あーいう連中だって私利私欲で好きにやってるわけじゃねぇ。分かってやってくれ」

大軍師「ええ。重々分かっております。今回話をして、更に強く感じましたよ…ふふっ」
387 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:37:48.50 ID:rjSW9lIo
〜廃墟の村、夕刻〜

タタッ…テクテクテク

サル「たっだいまー」

キジ「おかえりさー!」

イヌ「お頭、無事ね?」

女侍「ああ。アンタらも悪かったねぇ」

召喚士「いえ。それで…どうでした?」

女侍「大層立派なモノを見せて貰ったよぉ」

盗賊「……」

サル「そうそう!お前らにも後で聞かせてや〜るからなぁ!」

イヌ「別にいいね」

キジ「別にいいさー」

サル「お、おいっ!そこはお前、聞くところだろ〜がよっ!」

盗賊「……ふっ」

召喚士「…ふふっ、あははっ」
388 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:38:21.57 ID:rjSW9lIo


女侍「さーて、そろそろ出発しよかねぇ」

召喚士「ここを離れるんですか?」

女侍「流石に本国の奴らがあんな事してるんじゃあ、邪魔は出来ないねぇ」

盗賊「…そうか」

キジ「それで、次はどこへ行くさー」

サル「北はもう寒い。俺は南がいいと思うぜ」

女侍「いんや、これからはアジトは要らないよぉ」

イヌ「放浪するね?」

女侍「そろそろ名を売ろうじゃないかい。天下御免の大泥棒ってね」

キジ「それ、いいさー!賛成さ!」

イヌ「世界中で暴れまわってやるね!」

サル「やーれやれ、忙しくなってきやがった!」

女侍「それじゃお前ら、イクよっ!」

サル・キジ・イヌ「おーっ!!」
389 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:39:10.36 ID:rjSW9lIo
テクテクテク…

召喚士「お、お気をつけて!」

サル「あーりがとよ〜!」

女侍「アンタらも頑張るんだよぉ?」

盗賊「…ああ」

召喚士「あっ、そうだ」

イヌ「…?」

召喚士「ここに来る前は…西にいらしたんですよね?」

キジ「そうさー。西はいい所さー」

召喚士「西国…ですか?」

女侍「知ってるのかい?」

召喚士「あ、ええ…。西国の王族とかに知り合いがいまして…」

サル「へぇ〜。大したモンだわ」

女侍「そうかい。本国の奴らに言っといてやんな」

召喚士「……?」
390 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:40:09.96 ID:rjSW9lIo
女侍「西国はいいよぉ。うかうかしてるとあっという間に食われちまうよぉ?」

召喚士「……」

女侍「それじゃ、また会う事もあるかもねぇ」

サル「カワイコちゃんにもヨロシクねぇ!」

キジ「バイバイさー」

イヌ「元気でいるね!」

ヒュバッ…タタタタタッ…

盗賊「……行ってしまったな」

召喚士「…ええ」

盗賊「…不思議な奴らだ」

召喚士「でも、いい人達ですよね…」

盗賊「…うん」

召喚士「……俺らも…戻りましょうか」

盗賊「…だな。お役御免だ」

召喚士「帰りましょう。北の村に」
391 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:40:44.92 ID:rjSW9lIo
〜北の村、夜〜

メラメラッ…パチッ

青年「おっ!戻ってきましたぜ!」

ヒゲの男「無事だったか!お疲れさん!」

召喚士「皆さん…。ありがとうございます」

大軍師「何もありませんでしたか?」

召喚士「ええ。すぐに開放して貰えました」

大軍師「それで彼女らは……」

召喚士「旅立ちました。世界中で暴れまわるって…」

大軍師「……そうですか」

盗賊「…あの村はもはや無人だ」

大軍師「ありがとうございます。それでは廃墟の村も屯田に入りたいと思います」

召喚士「気を付けて下さい。例の魔物、また来るかもしれません」

大軍師「そうですね。お気遣いありがとうございます」

召喚士「いえ…」
392 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:41:25.50 ID:rjSW9lIo
大軍師「此度の件、本当にありがとうございました」

召喚士「いえ…。俺らは結局何も出来ませんでした……」

盗賊「…ああ」

大軍師「そんな事はありません。貴方達が居たからこそ、会う事が叶ったのです」

召喚士「そうですか…?」

大軍師「はい。顔が広いというのも、大変素晴らしい事です」

召喚士「ど、どうも……」

大軍師「では、ゆっくり休んでください。お疲れでしょう」

召喚士「ありがとうございます」

盗賊「…では」

テクテクテク…

大軍師「世界中でか…。ふっふ、これはまた…手間がかかりそうですねぇ」

北を離れ世界中を放浪する事と相成った女侍とサル、キジ、イヌ。

一同の活動や名声は庶民の間に広く知れ渡り、その名を後世へと残す事となる。

後の世では御伽噺とまで発展し、永らく親しまれる事となるがそれはまだ先の話。
393 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 02:42:10.87 ID:rjSW9lIo
ガチャッ…パタン

召喚士「盗賊さん、お疲れ様でした」

盗賊「…召喚士も…お疲れ」

コンコン

召喚士「…?はい」

屯田兵「失礼します。伝令から手紙を預かってます」

召喚士「手紙…?ありがとうございます」

盗賊「…何だろ?」

召喚士「……あっ!戦士と魔道士さんからです!」

盗賊「何っ!?」

カサッ…パラパラパラッ

召喚士「えぇと、レジスタンスの件は解決して……えぇっ!?」

盗賊「どうした!?」

召喚士「レジスタンスのリーダーが……剣士さん…っ!?」

盗賊「…今すぐ南に来いとあるな。……向かおう!!」



〜第二十九部、完〜
394 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/31(金) 02:50:19.35 ID:rjSW9lIo
二十九部おわりですー。次回三十部は戦士と魔道士編です!
2010年もいよいよ残すところあと1日!皆様お疲れ様でした!
最後まで頑張りぬけましょー。というか明日は三日目か…

それでは、おやすみなさいませ〜!ノシ

〜オマケ〜

魔道士「……出番がありません」

戦士「いや、次からやっと俺らの番らしいぞ?」

魔道士「ほんとですかっ!良かった〜」

戦士「そんなに嬉しいか?」

魔道士「もちろんですっ!皆さん私の事なんて忘れちゃってますよきっと…」

戦士「そうなのか?」

魔道士「そうですよ…。戦士さんなんてなかった事になってるかも…」

戦士「!?」

魔道士「いや、きっと泉から綺麗な戦士さんが登場してその戦士さんが既に…」

戦士「!?!?!?」

魔道士「更にはドッペルゲンガーの戦士さんがその綺麗な戦士さんと一緒に……」

戦士「……ややこしい!」
395 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 02:55:15.55 ID:kVfyv1go
別れたところからやるのかな?おつんつん
396 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/31(金) 03:03:09.13 ID:GnzOWoSO
1おつ
戦士と魔道士側がきになってしょうがない
397 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/31(金) 04:28:37.92 ID:jMr7H2DO
ルイズちゃん!
398 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 04:54:48.97 ID:YeCunAAO
いつも乙んつん
年越しそば食いながら本作読みたいな
399 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/31(金) 09:07:04.28 ID:EUoPmsDO
よいお年を>>1に渡してきなさいって




召喚関連の本が気になって仕方ない
400 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 10:30:25.38 ID:7iN2/MDO
いちょつ

今日の昼飯が気になって仕方がない
401 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/31(金) 13:22:58.68 ID:AEPyVTM0
1乙
402 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 15:17:56.40 ID:KqmbpADO
>>1
今年も楽しませてもらった!
良いお年を!
403 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 16:40:19.53 ID:5etGQmMo
いちょつ
いいね、いちょつ
いただきます
404 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/31(金) 20:02:57.64 ID:Xbzs3EDO
>>1
よいお年を
405 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/31(金) 20:32:06.76 ID:nQKOfEAO
今年も>>1
406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:13:31.06 ID:rjSW9lIo
召喚士と盗賊が丁度、北関へと差し掛かった頃、

南へと発った戦士と魔道士、そして青年兵らは大陸港の街へと到着していた。

魔道士「到着です〜!」

戦士「ここも久々な気がすんぜ」

魔道士「そっか。前に戦士さんと来た時は偽者さんでしたもんね」

戦士「…?」

青年兵「思い出深いですね……」

魔道士「え…?」

青年兵「皆さんと初めて会ったのは海峡防衛戦の時でしたよね」

戦士「そういやそうだったなぁ」

魔道士「あの時もこの辺りでは色々ありましたからねぇ」

戦士「俺らもあの時から比べると…だいぶマシになったよな」

青年兵「ええ。僕も一兵卒に過ぎませんでしたからね」

魔道士「私達だって、ワーカーランキングなんかとは無縁の存在でしたよ〜」

戦士「そうそう。貧乏だったしなぁ……」
407 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:14:18.59 ID:rjSW9lIo
テクテクテク…

右秘書官「船の準備が出来るまで、もうしばし待ってくれ」

青年兵「分かりました。何かお手伝いしましょうか?」

右秘書官「いや、それには及ばない。三人で時間を潰していてくれ」

魔道士「うーん…。どうしましょうか?」

青年兵「そんなに遠出する程の時間はないですしね…」

魔道士「あっ、それじゃあバーテンさんの所に行きましょうか」

戦士「そうだな。あそこで時間を潰すとするか」

魔道士「じゃあそうしましょうっ」

テクテクテク…カチャッ…チリチリン

魔道士「こんにちは〜」

ドアを開けると備え付けられたベルがチリチリと音を鳴らし、

店の店主がのそりと起き上がり、顔にかけた新聞を取り頭を掻く。

バーテン「……おーう」

戦士「やる気ねぇ……」
408 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:15:24.45 ID:rjSW9lIo
バーテン「アホか。元から営業時間は夜だろうが」

青年兵「……」

バーテン「おや、お前さん確か…国軍の……」

青年兵「あ、青年兵と申します」

バーテン「そうそう。大活躍みてぇじゃねーか」

そう言いながらバーテンは新聞の一面をパンパンと叩く。

青年兵「あまり嬉しくない盛り上がりですけどね…」

バーテン「そうか?人々の評判はわりかし上々だぞ」

青年兵「それは何よりですが、僕なんかよりも殿下や他の方を…」

バーテン「そうなのか、てっきり頭でも狙ってんのかと思ってたが…」

青年兵「それはそうありたいと思ってますが…目立つのはちょっと…」

バーテン「考えてもみろ。頭になったらもっと目立つんだぞ?」

青年兵「……あ」

バーテン「それに目立つからこそ皆が注目する。目立ってナンボだよ」

青年兵「……成程、ありがとうございます」
409 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:15:54.65 ID:rjSW9lIo
バーテン「んで、今日はどうしたってんだ?」

魔道士「あっ、実はですね……」

これまでの敬意をバーテンへと話す魔道士。

バーテン「……成程な」

魔道士「…と言うわけで、船の準備が出来るまでお邪魔しようかと」

バーテン「はいよ。どうする、コーヒーか?紅茶か?」

戦士「俺はコーヒーをブラックで」

青年兵「あっ、もう一つお願いします!」

魔道士「私は紅茶でっ」

バーテン「んじゃ、ちょっと待っててくれ」

スタスタ…

青年兵「……」

戦士「どした?」

青年兵「……いい絵ですね」

バーテン「だろ?」
410 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:16:23.92 ID:rjSW9lIo
青年兵「これって…かつての皆さんですか?」

バーテン「ああ。知った顔も何人かいるだろ」

青年兵「はい。っていうか…全員知ってるような……」

戦士「このスマートなの将軍のオッサンだぜ」

青年兵「ええ。面影ありますよ」

戦士「マジかよ…。すげぇな……」

青年兵「…あれ?その隣の女性は…?」

魔道士「どなったでしたっけ?バーテンさん」

バーテン「左翼長の妹だよ。兄妹で特遊だったって言ったろ」

戦士「あぁ、そうそう」

青年兵「左翼長妹さんは、退役なさったんですか?」

戦士「そういや俺も会った事ねぇな……」

バーテン「……」

戦士「…あん?」

バーテン「言わなかったっけか?戦死したんだよ」
411 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:16:54.19 ID:rjSW9lIo
魔道士「……っ」

戦士「……そうだったのか」

青年兵「……あれ、こっちの絵って」

戦士「…ああ、これ」

魔道士「これって何ですかっ!失礼な……」

青年兵「上手ですね。画家はどなたなんですか?」

戦士「盗賊が描いたやつだよ、それ」

青年兵「えぇ!?う…うまい……っ」

魔道士「でも、恥ずかしいですよ……」

バーテン「でもその絵、すげぇ評判なんだよな」

魔道士「そうなんですかっ!?」

バーテン「お前さんのファン共が売ってくれって五月蝿くてよ……」

青年兵「ファン…ですか!?」

戦士「そういやいたなぁ…」

バーテン「窃盗まがいの事件まで起きて大変なんだよ」
412 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:17:26.56 ID:rjSW9lIo
魔道士「そ、そんなにですか…っ!?」

バーテン「ああ。……ほれ、お待たせ」

コトッ…カチャッ

魔道士「ありがとうございますっ!」

青年兵「うわぁ……良い香り〜」

戦士「何たってバーテンのオッサンはバリスタだもんな!」

青年兵「バリスタ…!?」

戦士「そうそう。えぇと、何だっけか?」

バーテン「おいおい……」

魔道士「紅茶も美味しい〜っ」

バーテン「そんでよ、演説はどうなんだ?」

青年兵「順調ですよ。いえ、出来すぎかもしれません」

バーテン「何か落とし穴がなけりゃあいいけどな」

青年兵「ええ」

魔道士「そうですね……」
413 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:18:07.94 ID:rjSW9lIo


青年兵「ご馳走様でした」

魔道士「美味しかったですっ」

戦士「そんじゃ行くとすっかね」

バーテン「気をつけてな。そういや、あの二人は別行動なのか?」

戦士「今回はな。二人は北にいるよ」

バーテン「……ここは南北の中間地点だ」

戦士「あん?」

バーテン「何かあれば橋渡しくらいにはなれる。遠慮すんなよ」

魔道士「ありがとうございますっ」

バーテン「青年兵も頑張れよ。無理はせずにな」

青年兵「ありがとうございます。それでは」

テクテクテク…パタン…チリチリン

バーテン「……本当に無理はすんなよ」

空になったカップを手に取り見つめ、バーテンはぽつりと呟いた。
414 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:18:35.71 ID:rjSW9lIo
テクテクテク…

右文官「準備は出来ているぞ。出航しよう」

青年兵「お待た致しました。行きましょう」

右秘書官「お二人も乗り込んで下さい」

魔道士「はいっ。失礼します」

戦士「こっから直で向かうのか?」

右文官「うむ。南方司令部へそのまま入港する」

戦士「随分急ぐんだな」

青年兵「急ぐにはわけがありましてね」

魔道士「わけ…ですか?」

右秘書官「南方司令部へ行けば分かるさ」

戦士「……また何か企んでるって事かい」

右文官「まぁそう言うでない。ほれ、行くぞ」

魔道士「はいっ」

青年兵「では、出航しましょう」
415 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:19:17.50 ID:rjSW9lIo


ザザーン…ザザーン…

魔道士「海ですねぇ〜」

戦士「海だなぁ」

魔道士「いい天気ですねぇ〜」

戦士「いい天気だなぁ」

魔道士「クラーケンですねぇ〜」

戦士「クラーケンだなぁ」

魔道士「えっ!?」

戦士「あぁ!?」

青年兵「各員っ!戦闘態勢!!」

右秘書官「右文官殿っ、船内へ非難致しましょう!」

右文官「う、うむ…っ!」

タッタッタッタッタ…

戦士「…どーれ、久々に暴れるとすっかね」
416 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:19:50.45 ID:rjSW9lIo
ザッ

青年兵「いえ、ここは僕に任せて下さい」

戦士「…そうか?」

青年兵「お二人は大事なお客様ですから」

魔道士「青年兵さん…っ」

青年兵「……出でよっ、リンドヴルム!」

シュイィンッ

魔道士「あ…あれはっ!?」

戦士「リンドヴルム…っ!!使えたのか……」

青年兵「僕だって……ただ頭ばかり動かしてたわけではありませんよっ!」

ザッ

青年兵「リンドブルムの炎と雷なら……っ!」

リンドブルム「……ガオオォォン!!」

青年兵「クラーケンとの相性も抜群だっ!!」

リンドブルムのよる空中からの落雷が、クラーケンの身を焦がす。
417 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:20:37.46 ID:rjSW9lIo
ドドオオォォンッ!!…ガカアアァァッ!!

クラーケン「……グオオォォッ!」

ドズウゥン……バッシャアアァァ!!

戦士「い、一撃ぃ…っ!?」

魔道士「凄い…魔力……っ!」

青年兵「……ふーっ」

シュイイィン

魔道士「青年兵さん!お見事ですっ!」

戦士「全くだ。いつの間にここまで……」

青年兵「皆さんに遅れを取るわけにはいきませんから」

タッタッタ…

右秘書官「ご無事ですか…?」

青年兵「はい。一匹だけでしたから」

右文官「見事な手際よ。さぁ部屋へ…もうじき到着するぞ」

青年兵「はい。そう致しましょう」
418 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2010/12/31(金) 21:21:05.20 ID:rjSW9lIo
フラァ…ヨロッ

青年兵「……っ!?」

戦士「…どした?来ないのか…?」

青年兵「す、すみません…っ。いま行きます」

テクテクテク

魔道士「もうじきですね〜」

右秘書官「……分かりますか?」

魔道士「ええ。潮の匂いというか…気候というか…」

右文官「……ほぅ」

戦士「…ん?どうした青年兵?」

青年兵「いえ…っ、ちょっと疲れがでたみたいで…」

魔道士「大丈夫ですか!?」

右秘書官「少し横になっているといい」

青年兵「そうですね…。そうさせて頂きます…」

戦士「……」
419 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/31(金) 22:37:41.98 ID:Ca6dN2DO
<<1乙!

来年も再来年もずっと楽しみにしてます!!><
420 :以下、2011年まであと268秒。。。 [sage]:2010/12/31(金) 23:55:33.09 ID:j0w9hTs0
今年ももう少し

このスレに出会えた幸運に感謝
また来年もよろしく
421 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2010! [sage]:2011/01/01(クリスマス) 00:06:26.71 ID:vR5vHQAO
あけおめことよろ
毎日ありがとう! いつも楽しませて貰ってます
422 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 00:15:19.48 ID:izNKvIDO
20…10…だと!?(;゚д゚)

あ、いちおつー
今年も楽しみにしていますよー
423 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/01(正月) 00:16:23.08 ID:ysKTN2DO
んでんでんでwwwwwwwwww

>>1今年もよろしく!
424 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/01(正月) 00:18:08.83 ID:A3OBaKo0
あけおめことよろ〜
1の今年がよい年になりますように!
425 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 00:18:10.05 ID:uxzYn1Eo
>>1、今年も体を壊さない程度に、よろしくおねがいします!
後77スレか・・・胸熱
426 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 00:22:02.68 ID:x173Jmwo
>>1とみんなあけおめー!
今年もこのスレにお世話になるよ!
427 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 01:05:19.13 ID:P8i9Ukko
王子以外皆あけおめ〜ことよろ〜
428 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 01:24:00.98 ID:jwrJHQ2o
おっとり刀であけおめいちょつ
今年も支援させていただくwww
429 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 01:35:24.16 ID:1e1b5p2o
なんか一人だけ浮ついたヤツがいるな…
430 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage saga]:2011/01/01(正月) 02:07:49.78 ID:B4y/2f.o
魔道士「明けましておめでとうございますっ!!」

盗賊「……おめでとうございます」

魔道士「今年も宜しくお願いしますっ、えへへ!」

盗賊「…宜しくお願いします」

魔道士「なんだかんだでまた、年を跨いでしまいましたね……」

盗賊「……ああ」

魔道士「今年こそ、今年こそ無事、終わる予定なので…!」

盗賊「…う、うん」

魔道士「今年も皆様のご支援、心よりお願い申し上げますっ!」

盗賊「……宜しくな」

魔道士「それでは最後に、主人公から一言っ!」

召喚士「うえっ!?い、いきなりですか…っ!?」

魔道士「さぁどうぞ!残り僅かですよ…!」

召喚士「えっ、あ…えぇと…皆様のご健勝をお祈りして…えっとぉ……」

魔道士「はい時間切れです!改めて、今年も宜しくですよ〜えへへっ!!」
431 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/01(正月) 02:19:21.95 ID:WIAjUHQ0
1乙
あけましておめでとう!
432 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 02:25:58.40 ID:fpSw0IDO
>>1乙!
あけましておめでとう。
今年も召喚士達の話を見る事を楽しみにしてるぜー

剣士と弓使い好きだし、剣士は前回登場時にリーダーの資質が有りそうな感じだったので今回の話は超楽しみだ!
433 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 03:45:39.87 ID:d2LVPAMo
あけおめ!
現行で見るのは初めてだ!
初支援させてもらうぜー
434 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 05:28:00.54 ID:L8iN5EAO
(´ω`)ノ アケオメコトヨロ〜
>>1いつもいつも乙んつん
435 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 05:51:07.53 ID:u5DH86DO
あけおめことよろー!
今年も楽しませてもらいます!
436 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 09:11:04.12 ID:dosHKu.o
笑ってはいけない召喚士乙乙
437 : 【吉】 [sage]:2011/01/01(正月) 11:45:12.09 ID:T0ALVEUo
あけおめおつ
438 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 13:55:21.81 ID:N474/MDO
魔導士「明け!」

召喚士「おめこ!」

戦士「とよろ!」

盗賊「…抱かれてもいい」
439 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 14:59:55.72 ID:alVx58Uo
>>430
1年で77スレっていくらなんでも張り切りすぎだろwwwwwwwwwwww

もっとじっくり書いてもいいんだぜ
440 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 20:16:35.57 ID:73yhV.AO
今年もよろしくだなぁ
441 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/01(正月) 20:17:27.25 ID:szYrGEDO
で、>>1と初詣行きたい俺はどこで待ってれば良いですか?
442 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:41:35.33 ID:B4y/2f.o
あけましておめでとうございます!
今年も沢山のご挨拶、本当にありがとうございます!励みになりますよ〜

皆様のご健勝とご多幸をお祈りしつつ…

今年のお雑煮は我ながら傑作!うふふ…!↓続き
443 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:42:13.56 ID:B4y/2f.o
召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第三十部〜
444 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:42:43.06 ID:B4y/2f.o
ゴウンゴウンゴウン…ゴゴオォン

南方兵「入港完了です」

海兵「錨を降ろせぇ!」

ザッザッザ…

戦士「到着〜」

〜南方司令部〜

魔道士「う〜ん。南方は冬だけど比較的暖かめですねぇ」

右文官「そうだな。この時期は羨ましい限りだ」

戦士「つーか、南方司令部って港あったんだなぁ」

右秘書官「港と言うよりは簡易的な船着場と言ったものだがな」

テクテクテク…

南方参謀「まぁ失礼ね。必死で作ったって言うのに〜」

魔道士「南方参謀さんっ!」

南方参謀「お久し振り〜!元気ぃ〜?」

魔道士「はいっ!元気ですよーっ!」
445 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:43:17.07 ID:B4y/2f.o
南方参謀「良かったわぁ。あら…?今日は二人なの?」

戦士「ああ。俺と魔道士と、あとは本国の……」

テクテクテク

青年兵「…ご無沙汰しております」

南方参謀「あーら!青年兵クンじゃない!」

右秘書官「顔見知りなのか…?」

青年兵「え、ええ。ちょっと……」

魔道士「それよりも青年兵さん、具合は大丈夫なんですか…?」

青年兵「お陰様ですっかり良くなりましたよ」

右文官「では、世話になるぞ」

南方参謀「あのぉ…。ところで、ウチの大将は…?」

魔道士「あれ…!?そういえば全然見てないですけど……」

船内には居たけどなぁ……」

南方参謀「……みんなは司令部へ行ってて頂戴っ」

戦士「……?」
446 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:43:49.05 ID:B4y/2f.o
青年兵「そ、それではお言葉に甘えて、司令部へ行ってましょうか」

魔道士「そうですね…っ」

〜船内〜

テクテクテク…バンッ!!

南方参謀「……」

南方司令「ぐおぉーっ……があぁ……」

南方参謀「正義のなんたらが聞いて呆れるわ…」

テクテクテク…バシッ!!

南方参謀「起きなさいっ!」

南方司令「……ん、おぉ…南方参謀ではないかぁ」

南方参謀「なーにが『南方参謀ではないかぁ』ですか!」

南方司令「……?」

南方参謀「とっくに着きましたよ!早く起きて頂戴っ!」

南方司令「……おぉ、すっかり爆睡してしまった」

南方司令「早くその格好、何とかしてっ!」

南方司令「…ん?はっはっは!すまんすまん!」
447 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:44:15.90 ID:B4y/2f.o
〜南方司令部〜

右秘書官「失礼致します」

南方副司令「おぉ、これはこれは。おや…?司令と参謀は?」

魔道士「もうじき来ると思いますけど……」

南方弓長「お久し振りね」

戦士「おう、みんなも元気そうで何より!」

南方魔道長「お疲れであろう。ゆっくり休むと良い」

青年兵「そうしたいのは山々なのですが……」

南方副司令「…?」

右文官「実はな、これよりすぐに演説を行いたいと思っておる」

南方副司令「こ、これからすぐに…!?」

右秘書官「ちなみに、北方の天気を伺いたいのだが…」

南方魔道長「おい、今日の天気を教えてくれ」

南方兵「はっ。本日北方は生憎の雪模様との予測です」

南方魔道長「……だ、そうだ」
448 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:44:42.30 ID:B4y/2f.o
青年兵「……いけますね」

魔道士「…?」

右秘書官「おそらくですが、左翼の連中は演説を数日後と見ているはずです」

戦士「そうなのか?」

青年兵「ええ。殿下が東方へ向かい、その足で南入すると踏んでいるでよう」

右文官「そこで逆手を取って、さっさと演説を終わらせてしまうという寸法よ」

戦士「なるほどなぁ」

右秘書官「北が雪なら北へ向かった左翼も進みが遅いはずですしね」

テクテクテク…

南方参謀「……はぁ」

南方司令「皆の者、戻ったぞ!」

南方弓長「おかえりなさい」

南方副司令「…また騒がしくなるな」

南方魔道長「まぁ仕事は捗ったお陰で…粗方片付いたがな」

戦士「……言ってる事…分かる気がする」
449 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:45:43.89 ID:B4y/2f.o


南方参謀「…成程ね、確かにそうかもしれない」

南方弓長「でも、何にも準備してないわよ…?」

右秘書官「簡素なもので結構。そんなに力を入れるわけでもありませんし」

魔道士「そうなんですか?」

右文官「元来右翼派の強い所だ。演説の良し悪しで簡単には転ばんさ」

魔道士「あ、そっか……」

南方副司令「相分かった。では、直に手筈を整えよう。構わんな…司令?」

南方司令「うむ。任せる!」

南方参謀「じゃあみんな、準備に取り掛かって!」

南方魔道長「あいよ」

カツカツカツ…

青年兵「では、こちらも準備を――」

フラッ……ドサッ

魔道士「青年兵さんっ!?」
450 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:46:15.60 ID:B4y/2f.o


青年兵「……ん…っ」

魔道士「青年兵さんっ!」

青年兵「魔道士さん……。それに…皆さんも……」

南方参謀「ちょっとっ、大丈夫!?」

戦士「ビックリしたぜ。いきなりぶっ倒れるんだもんな……」

青年兵「……」

南方参謀「容態はどうなの?」

衛生兵「診断結果としましては、過労によるものかと…」

南方副司令「…と言う事だ。しばらく安静にするんだな」

青年兵「し、しかし……っ」

右文官「演説の事なら我々に任せて、休むのだ」

右秘書官「そうだ。ここで君にもし、何かあったりすればそれこそ……」

南方参謀「……いいわね?」

青年兵「……はい…っ」
451 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:46:42.45 ID:B4y/2f.o
カチャッ…パタン

魔道士「青年兵さん……。辛そうでしたね…」

戦士「俺は思ったより元気そうで何よりだったけどな…」

魔道士「いえ…っ、そうではなく……」

右秘書官「責任感の強い男だからな。悔しいのだろう」

戦士「……あぁ、そっちか」

右文官「かと言って、ここで無理して容態を悪化させては元も子もない」

右秘書官「演説は延期するわけには参りません。我らでこなしましょう」

右文官「うむ、そうする以外あるまい。すぐ準備を再開しよう」

カツカツカツ…

戦士「青年兵抜きで大丈夫かな?」

魔道士「まぁ演説も重視するものでないと、さっき仰ってましたし…」

戦士「俺らが心配してもしゃーねぇか…」

魔道士「……ええ…っ」

戦士「さーてと、ひとまず戻るとすっかね」
452 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:47:09.54 ID:B4y/2f.o
やがて日没が訪れ、南方司令部には松明による明かりが灯り始める。

パチッ…パチパチッ…

戦士「いよいよだな」

魔道士「ええ…っ」

南方司令部正門前へは、おおよそほとんどの南方兵が集まっていた。

それは間もなく行われようとしている演説への参加。ただその一つの為である。

ザワザワザワ…

南方副司令「どいつもこいつもやる気ねぇ顔しやがって……」

南方魔道長「形式的ナモンだってのは、誰もが分かってる事だしな」

南方弓長「だからって、あまり良い風習とは思えません」

南方副司令「そこが問題なんだよ。こんな事を黙認し続けていたら……」

南方魔道長「左翼に付け込まれても、文句言えねぇわな」

南方弓長「そうですね」

南方魔道長「何か変わった事でもあれば良いんだがな」

南方副司令「その為の青年兵だったんだろうがなぁ。何か…変わった事…ねぇ」
453 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:47:43.37 ID:B4y/2f.o
テクテクテク

右秘書官「参りましょうか」

右文官「うむ。演説は右秘書官に任せるぞ」

右秘書官「はい。とりあえずは資料をベースにプレゼン形式で進めたいと思います」

右文官「……ま、妥当ところだろうな」

右秘書官「こういう時、己の性格を憎みますよ」

右文官「……?」

右秘書官「ユーモアの一つでも述べられれば……ってね」

右文官「それが出来ぬから今の勤めをしておるのだ。自分の出来る事をやれば良い」

右秘書官「仰る通りですね」

右文官「どうせ結果は分かっている演説だ。肩の力を抜いていこうではないか」

右秘書官「……時間です。参りましょうか」

右文官「うむ」

過労にて倒れた青年兵抜きでの演説が、今幕を開けた。
454 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:48:09.61 ID:B4y/2f.o
ザワザワ…ガヤガヤッ

南方副司令「ではこれより、右翼陣営による議会演説を行う」

南方兵「いよっ!待ってましたぁ!!」

衛兵「さぁさぁ、盛り上げてチョーダイ!」

右秘書官「……このノリ、これがどうにも苦手だ」

右文官「と、とにかく演説さえ終わらせれば良いのだ」

ザッザッザ…

右秘書官「南方の皆様、此度は演説へのご参加、誠に有難う御座います」

ザワザワザワ…

右秘書官「……で、あるからして今の我々の戦力においては――」

ザワザワザワ…

南方弓長「聞いちゃいないわね……」

南方魔道長「仕方ねぇ。司令と参謀にでも相談してみっか……」

南方弓長「何かあるの…?」

南方魔道長「それを聞きに行くんだよ」
455 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:48:39.99 ID:B4y/2f.o
ワイワイ…ガヤガヤッ

魔道士「……何だか、皆さんあまり聞いてませんね」

戦士「あれじゃねーのか、元々右翼寄りだって話しだし」

魔道士「そっかぁ…。何だか寂しいですね……」

戦士「いいんじゃねーの?興味なけりゃ聞かないわけだしさ」

魔道士「そうですけどぉ……」

戦士「聞いて欲しけりゃ興味ある事を言やいいだけの話だろ」

魔道士「うーん……」

右秘書官「……そこで、屯田の効果によりもたらされるものは――」

南方兵「なんか堅っ苦しい話ばっか何だよな〜」

衛兵「そうそう。もっとこう…パーっと盛り上がる話はないのかねぇ?」

南方兵「左翼よりはマシだろ。でもよぉ…俺、てっきり殿下が拝めると思ってたんだよなぁ」

衛兵「俺も俺も」

魔道士「……う〜ん」
456 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:49:18.63 ID:B4y/2f.o
〜医務室〜

コンコン

南方参謀「どうぞ」

カチャッ

南方魔道長「…失礼しますぜ」

南方司令「おう、どうした?」

南方魔道長「演説、始まってますぜ」

南方司令「知ってるよ」

南方参謀「私はこの子の看病」

青年兵「……え、演説は……どうなのです…っ?」

南方魔道長「別に。順調だよ。淡々とな…」

南方司令「……」

南方魔道長「なぁ、司令」

南方司令「んー?」

南方魔道長「あれでいいのかい?」
457 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:50:19.52 ID:B4y/2f.o
南方司令「……」

南方魔道長「形だけの演説で、本当にいいのかい…?」

南方司令「……」

南方参謀「言いたい事は分かるけど…何か手があるのかしら…?」

ノソッ

南方参謀「ちょっと…っ!?」

青年兵「…ぼ、僕が……演説に…っ」

ヨロッ…ガッシャアァン

南方参謀「無理よっ!まともに立つ事も出来ないじゃないっ!」

青年兵「……っ」

南方司令「誰か、変わりに演説すればいいってわけだな?」

南方魔道長「まぁそりゃ…。まさか、司令…あんたが!?」

南方司令「出来るわけなかろう。そうなると……」

南方参謀「…な、何よっ?」

南方司令「確か……議決権はなくとも、応援演説は出来たよなぁ…?」
458 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:51:16.77 ID:B4y/2f.o


青年兵「……」

南方参謀「貴方の悔しい気持ちは分かるわ……」

青年兵「……」

南方参謀「でも、今はここから見る事しか出来ないの……」

青年兵「……」

南方参謀「貴方はよく頑張った。誰も責めないわよ」

青年兵「この大事な時に僕は…っ」

南方参謀「今は信じましょう。貴方の仲間を」

青年兵「仲間……」

南方参謀「そう。共に行動していなくとも、志同じくとする仲間」

青年兵「……」

南方参謀「仲間って言うのは、どこにいたってそういうものよ?」

青年兵「……っ」

南方参謀「……さ、横になって。窓からでも見えるでしょう?……ふふっ」
459 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:52:09.53 ID:B4y/2f.o


右秘書官「……で、あるからしてうんたら――」

ザッザッザ

戦士「…おう、どうしたんですかい?」

南方司令「ちょっといいか?」

魔道士「私ですか…!?」

南方司令「頼みがある。どうか聞いて貰えないだろうか」

戦士「い、いつになく…真面目だな…っ」

南方魔道長「君に、演説をして貰いたい」

戦士「はぁ!?」

魔道士「わっ、私が…演説ですか!?」

南方魔道長「いいんだな?司令…?」

南方司令「うむ。彼女の言葉は何かこう…心に響くものがある」

魔道士「……!?」

南方司令「議会にてあれだけの票が獲得出来たのも、君の言葉が少なからずある」
460 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:52:39.29 ID:B4y/2f.o
戦士「そ、そうなのか…っ!?」

魔道士「で、でも…何をお話していいものやら…っ」

南方司令「何でもいいさ。思った事を皆に聞かせてやって欲しい」

南方魔道長「票は決している。君達が世界各地を見聞した事でも聞かせてやってくれ」

魔道士「……」

南方司令「……頼む。無理を承知でお願いしたい」

魔道士「…で、でもぉ……本当に出来ますかね…?」

南方魔道長「無責任な言い方かもしれないが、君次第だ」

魔道士「私…次第……」

南方魔道長「だが、出来ぬものに頼むような愚かな行為をするつもりはない」

南方司令「その通りだ。君なら出来ると信じているからこそ、頼む」

戦士「……いいんじゃないの?」

魔道士「戦士さんまで…っ」

戦士「人助けだと思ってさ。何事も経験だろ…?」

魔道士「……うぅ〜」
461 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:53:32.46 ID:B4y/2f.o


右秘書官「……以上にて、終わりと致します。ご清聴有難う御座いました」

ザワザワ…ガヤガヤ

右秘書官「……」

テクテクテク…

右文官「ご苦労。素晴らしい演説であった」

右秘書官「……」

右文官「気にする事はない。右翼が勝てば良い話だ」

右秘書官「……そうですね」

カツカツカツ

右文官「おぉ、これは司令。どうなされた?」

南方司令「頼みを聞いて頂けんかな?」

右秘書官「何でしょうか。まずは先に投票を済ませ……」

南方司令「演説はまだ、終わりではない」

右文官「……!?」
462 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:54:06.78 ID:B4y/2f.o


南方士官「お前らは先に戻ってていいぞ、俺は投票を済ませて帰るっから」

南方兵「へーい。メシ食ってからにすっか」

衛兵「そうだな」

ザッザッザ…ピタッ

南方兵「…な、何だぁ!?」

右文官「え、えー。ここで最後に、応援演説を行いたいと思う」

衛兵「応援演説?」

右文官「……宜しいな?」

コクンッ……テクテクテク

南方士官「……誰…あれ」

衛兵「カワイイ……」

南方兵「カワイイ……」

ザッ

魔道士「あ、あの…始めましてっ。魔道士と申しますっ!」
463 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:54:33.59 ID:B4y/2f.o
ザワザワザワッ

南方兵「何だ何だぁ!?」

衛兵「ちっきしょー右翼の奴ら勿体ぶりやがって!あやうく帰るところだったぜ!」

南方魔道長「……」

魔道士「あ、あのぉ…演説する事になってしまって…えぇと……」

南方兵「ヒューヒュー!いいぞーっ!」

右文官「……結果、変わらんのではないか?」

南方司令「まぁ大人しくみてようではないか。お手並み拝見」

右秘書官「ええ……」

魔道士「私は今、国軍付ワーカーとして働いておりますっ」

南方兵「あの娘がワーカー!?捨てたモンじゃねぇな…っ」

魔道士「ここ、南方だけでなく…色んな地域や国を見てきました」

戦士「……」

魔道士「どの場所にも人と魔物がいて…戦ってました……」
464 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:55:05.22 ID:B4y/2f.o
ザワザワ…ザワ…

魔道士「小さな子供が親を失ったり…大切なお友達が…死んでしまったり…」

衛兵「……」

魔道士「中にはとってもいい魔物さんもいます。でも…ほとんどは悪い魔物です」

南方士官「……」

魔道士「私は、戦いとか…嫌いですけど、大切な友人が亡くなるのはもっと嫌です」

ザワ……ザワ……

魔道士「だから、自分が頑張れば…他の人が救えるのなら戦います!」

南方司令「……」

魔道士「その為に、殿下や右翼の皆さんに力を貸して下さいっ!」

南方参謀「……見える?」

青年兵「魔道士さん……っ」

魔道士「この方達は心から世界を変えようと頑張ってます!だから……」

右秘書官「……」

魔道士「だからその…っ、私達と共に、一緒に頑張りましょうっ!!」
465 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:55:32.03 ID:B4y/2f.o
右文官「……」

魔道士「魔王を倒して、みんなが笑顔で暮らせる世界を…作りましょう!!」

ワアアァァッ!!

魔道士「あ…え……っ!?」

南方兵「…よーし!お嬢ちゃんの為にこの命、右翼に預けようじゃねーか!!」

衛兵「俺ら議決権はねーけどよ、そのぶん前線で見せてやっからよ!!」

南方士官「……アホ。議決権があったって前線で命張ってやるっての!」

魔道士「み、皆さん…っ。ありがとうございますっ!えへへ!!」

ワアアァァッ!!

右秘書官「……これで宜しいのですね」

南方司令「目論見通りで良かったよ。……ブラバー!!」

南方魔道長「確かに言った通りだな。言葉が突き刺さる…そんな感じだ」

右文官「本当に…不思議な娘だ!はははっ!」

戦士「いよっ!いいぞー魔道士〜!!」

魔道士「へ、へへっ……えへへ!!」
466 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:56:09.28 ID:B4y/2f.o


南方弓長「投票集計、終わりました」

南方副司令「それでは、発表する」

カサカサッ

南方副司令「「総数100.有効票100、無効票0」

南方魔道長「結果なんぞ、言わなくても分かるけどな」

南方副司令「右翼……97票、左翼3票」

戦士「うぉ〜っ!圧倒的じゃねぇか!!」

右秘書官「……正直、ここまで偏るとは予想外でした…っ」

南方司令「これも彼女の手柄だ。はっはっは!」

右文官「そうかもしれんな…」

魔道士「やったぁー!戦士さんっ!やりましたよぉ〜!」

戦士「おう!大勝利〜!!」

南方魔道長「…ふっ。不思議な連中だよ…全く」

南方副司令「そうだな。何か特別なものを感じざるを得ないわな」
467 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:56:36.41 ID:B4y/2f.o


タッタッタッタッタ…カチャッ

魔道士「青年兵さんっ!大勝利ですよ〜!」

青年兵「ええ…。伺いました」

戦士「具合はどうだい?」

青年兵「皆さんのお陰で…だいぶ楽になりましたよ…」

右秘書官「これでかなり優位に進められる」

青年兵「北の動きは…どうですか?」

右文官「結果を真っ先に伝令で送ってやったわ。明朝には真っ青であろうなぁ」

右秘書官「北の勝利問題はないはず。残るは……」

南方参謀「西…ね」

戦士「西もあっさり勝利なんじゃねーの?」

南方参謀「そう思いたいけど、ここや北ほど右翼寄りってわけでもないからねぇ…」

魔道士「そうなんですかぁ……」

南方司令「とにかくだ、まずは右翼の勝利を皆で祝おうではないか!」
468 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:57:03.29 ID:B4y/2f.o


南方副司令「では……」

一同「カンパーイ!!」

チィンッ!!

戦士「……かぁ〜!うめぇ!!」

南方副司令「さぁ、ドンドン飲むがいい!」

戦士「あとーんす!!」

南方弓長「貴女もお疲れ様」

魔道士「ありがとうございますっ!」

右文官「いやはやそれにしても、先日といい今日といい…まこと見事であった!」

魔道士「そんな事ないですよぉ〜」

南方魔道長「何か才能があるのかもな。習って身に付くものでもあるまい」

魔道士「家の影響でしょうかねぇ……」

戦士「家…?あぁ、そういや魔道士んとこは商人だったけか」

南方副司令「成程、口が巧いというのは共通点があるな」
469 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:57:36.11 ID:B4y/2f.o
南方司令「……」

南方副司令「どうした?険しい顔して」

南方司令「伝令はもう飛ばしたのか?」

南方弓長「集計直後にさっさと済ませましたけど」

南方副司令「さっき言ったじゃねぇか……」

南方司令「おぉ、そうだったか…。はっはっは」

魔道士「私達の手紙も無事、届くといいですねっ」

戦士「ああ。アイツらにも喜びを分かち合って貰わねーとな」

魔道士「そうですよねっ!」

南方魔道長「遅くとも明日の昼には着くだろう」

魔道士「召喚士さんと盗賊さんもきっと頑張ってますよね」

戦士「まぁな。あの二人なら心配はいらんだろ」

魔道士「確かに…。魔物と戦っても問題なさそうですしね」

戦士「負けて窮地に陥るなんて事はそうそうないだろうしな」

魔道士「わ、私達の方こそ頑張らないとですね…っ」
470 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:58:12.63 ID:B4y/2f.o


カチャッ

南方参謀「具合はどう…?」

青年兵「お陰様でもう大丈夫です」

南方参謀「本当…?とりあえず今日はこのまま寝てなさいな」

青年兵「……すみません」

南方参謀「良かったわね」

青年兵「演説ですか…?はい、これで地盤は全て固まりました」

南方参謀「いよいよってカンジかしらね」

青年兵「……。南方参謀さんも祝賀会へ行って下さい」

南方参謀「貴方一人、置いておけないわよ……」

青年兵「いえいえ、折角の祝い事です。お気にせず」

南方参謀「……そう。何かあったらすぐ、衛生兵に言うのよ?」

青年兵「はい。ご心配りがとうございます」

南方参謀「じゃあ……失礼するわね」
471 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:58:45.53 ID:B4y/2f.o
カツカツカツ…パタン

青年兵「……」

モゾッ

青年兵「……僕は」

コンコン

青年兵「……?」

カチャッ…テクテクテク

魔道士「青年兵さんっ」

青年兵「魔道士さん…!戦士さんも…どうしたんです!?」

戦士「しーっ!……ほれっ」

ポイッ

青年兵「!?」

戦士「大丈夫だって!酒は百薬の長。飲みすぎなきゃいいんだよっ」

魔道士「本当でしょうね…?戦士さん」

戦士「いつまで疑ってんだお前は……」

青年兵「……はっ、はは…っ!あはははっ!!」
472 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 22:59:25.58 ID:B4y/2f.o
ゴクッゴクッ…ゴクッ…

青年兵「……っぷはぁ!!」

戦士「ぷっはぁーっ!!」

魔道士「ぷはぁ〜!……じゃありませんっ!」

青年兵「!?」

魔道士「二人とも飲みすぎですよ、もうっ!」

戦士「へいへい。お固いこって……」

魔道士「青年兵さんもですよっ、病人なんですから……」

青年兵「す、すみません……っ」

魔道士「全く……ぷんっ」

戦士「……召喚士も先が思いやられるな」

青年兵「全くですね……ははっ」

魔道士「なっ、何で召喚士さんが出てくるんですかっ!」

青年兵「え…あっ、いや……てっきりそういうご関係かと……」

戦士「お前はぶっちゃけあいつの事、どうなんだよ?」
473 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:00:00.37 ID:B4y/2f.o
魔道士「だっ、だから何でそんな話になるんですかっ!!」

青年兵「すっ、すみません…!!」

魔道士「もう……知りませんっ!!」

テクテクテク…パタン!!

戦士「あーあ、怒らせちゃったぁ……」

青年兵「僕のせいですかっ!?戦士だって……」

戦士「冗談だよ。全く、素直じゃないねぇ〜」

青年兵「傍から見れば丸分かりなんですけどね……」

戦士「なっ!」

青年兵「……ちなみに……戦士さんと盗賊さんもですよ?」

戦士「はぁ!?」

青年兵「えっ、あ……っ」

戦士「……十分飲んだな?もう今日はおっしまい!んじゃな!」

テクテクテクテク…パタン

青年兵「……ほんと、丸分かりなんですけどね…ははは」
474 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:00:31.31 ID:B4y/2f.o
テクテクテク…

南方副司令「おぉ、いたいた!」

戦士「あん?」

南方副司令「明日の件についてだ。魔道士はどうした?」

戦士「先に戻ったぜ?行ってねぇか?」

南方副司令「しまったな…すれ違いか。先に会議室へ行っててくれ」

戦士「おーう」

スタスタスタ…

戦士「ここか?」

カチャッ…ソーッ

南方弓長「…あら、どうぞ」

戦士「ういっす」

南方弓長「他は?」

戦士「副司令さんが魔道士呼びに行った。あとは会ってねぇ」

南方弓長「そう。じゃあ適当に座って待ってて」
475 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:01:04.31 ID:B4y/2f.o
戦士「うーい」

ガチャッ…ドスッ

南方弓長「何か飲む?」

戦士「んじゃ、コーヒー……いや、水貰おうかな」

南方弓長「水ね、ちょっと待ってて頂戴」

戦士「……」

テクテクテク…コトッ

南方弓長「はい、どうぞ」

戦士「サンキュっす」

ゴクッゴクッゴクッ…

戦士「……?な、何?」

南方弓長「ううん、別に」

戦士「そ、そう…か」

南方弓長「うん」

戦士「……」
476 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:01:32.43 ID:B4y/2f.o
ジーッ

南方弓長「……」

戦士「あ、あの…俺の顔、何か付いてる?」

南方弓長「付いてないわよ?」

戦士「そ、そか…」

南方弓長「……」

ジーッ

戦士「……さっきから…何見てんだ?」

南方弓長「貴方の事見てるだけだけど?」

戦士「ごふっ!」

南方弓長「ちょっと大丈夫!?拭くもの取って来るから…っ!」

タッタッタ…タッタッタ…

南方弓長「もう…。下は濡れてない?大丈夫?」

戦士「す、すまん…!自分でやるからっ、大丈夫!」

南方弓長「いいわよ。動かないで」
477 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:02:00.61 ID:B4y/2f.o
戦士「お、おい…っ!?」

フキフキッ

南方弓長「こっちは大丈夫?」

戦士「え?あ…あぁ」

チラッ…ボインッ!!

戦士「――!!」

南方弓町「……何?」

戦士「い、いやっ……」

ガチャッ

魔道士「お待たせしまし……」

戦士「……あ」

魔道士「……!?」

南方弓長「遅かったじゃない。何してたのよ」

南方副司令「あ、あぁ…。すまん…ってかそっちこそナニしてたんだ!?」

南方弓長「見て分からない?…さっさと始めましょ」
478 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:02:38.13 ID:B4y/2f.o
南方魔道長「……」

南方参謀「な、ナニ!?ナニかあったの!?ねぇ!?」

南方副司令「俺に聞くな」

南方魔道長「全くだ」

カツカツカツ…

南方司令「いよぉ〜!お待たせ〜!!」

南方副司令「何処行ってたんだ!散々探したんだぞ!」

南方司令「いやな、伝令飛ばすのに時間かかっちまって……」

南方副司令「さっき飛ばしたって言っただろおぉ!!」

南方司令「あん?そうだっけか…はっはっは!」

南方魔道長「酔うとタチの悪さが倍増だな……」

南方参謀「はいはい。コントはもういいから座って頂戴っ」

南方副司令「へいへい…」

南方司令「…んで?今日は何の会議だっけか?」

南方副司令「いい加減にしろっ!!」
479 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:03:06.83 ID:B4y/2f.o


南方参謀「戦士ちゃんと魔道士ちゃんに来て貰った理由は分かってるわね?」

戦士「依頼の件だな…?」

南方参謀「そう。司令から話は伺ってるかしら?」

魔道士「何でも華国にレジスタンスがいるとか……」

南方魔道長「また随分簡素な説明だな…」

南方司令「はっはっは。正義はこれで伝わるものよ!」

南方弓長「これ、具体的な資料。目を通しておいて」

カサッ…パラパラッ

戦士「…うえっ、活字は苦手だ。魔道士頼む」

魔道士「ちょっとぉ」

南方参謀「先日あった火焔山での戦いの直後くらいかしらね」

戦士「…?」

南方参謀「あの辺り一帯を拠点とした魔物の集団が報告されたの」

魔道士「な、なるほど……」
480 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:03:47.80 ID:B4y/2f.o
南方魔道長「ところがだ、そいつらの不気味なところは集まるだけで何もしない」

戦士「……ほぉ」

南方参謀「最初はスグリーヴァの軍勢を疑ったわ」

戦士「違うんだよな…?」

南方副司令「うむ。ハヌマーン殿を通して確認したが、兵は進めておらんそうだ」

戦士「つー事は……」

南方弓長「魔王軍の可能性もある、って事」

魔道士「で、でも…何もしてこないんですよね…?」

南方魔道長「それが気がかりなのだ。罠かもしれん」

戦士「何とか確認は取れないのか?」

南方参謀「それが一番厄介な事なのよ……」

南方司令「君達に依頼した理由もそこにある」

南方参謀「奴らは本国領ではなく、華国領に身を潜めているのよ…っ」

戦士「読めたぜ。国軍としちゃ兵を入れられねぇってわけだ」

南方参謀「流石ね。その通りよ」
481 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:04:20.07 ID:B4y/2f.o
戦士「とりあえず調査だけでいいんだよな…?」

南方参謀「ええ、さっき魔道長も言ったように、罠の可能性もあるからね」

南方副司令「それともう一つ」

魔道士「…?」

南方副司令「レジスタンスのリーダーらしき男がどうも……人間のようなのだ」

戦士「……っ」

南方参謀「これもスグリーヴァ軍の斥候にょるおおよその報告でしかないけれどね」

戦士「魔物が言うんじゃ間違いねーだろ」

南方弓長「そうは思いたくないけどね……」

戦士「ちなみにスグリーヴァさんとこの奴らは動かせないのか?」

南方副司令「頼んだのだが法師殿が難しいとな……」

魔道士「法師さんがですか…?」

南方魔道長「華国はつい最近、魔物によって国が乱れたのだ」

魔道士「あ……っ!」

南方参謀「そこへずけずけと魔物を出すわけにはいかないでしょう?」
482 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:05:26.77 ID:B4y/2f.o
戦士「せっかく復興しているところに、不安を煽っちまうもんな…」

南方副司令「ただでさえ相手は魔物の群れ。慎重にいきたいのだ」

戦士「……大体の事情は分かった。やってみよう」

魔道士「はいっ!」

南方参謀「頼もしいわっ!素敵〜」

戦士「ち、近づかなくていいっ!」

南方副司令「どうする?早ければ明朝にでも動けるぞ」

戦士「マジかよ…!善は急げだっ!!」

南方司令「善…正義!いい言葉だ!!」

戦士「……はぁ」

南方弓長「南方司令部、及び赤壁には武具や道具も取り揃えてあるわ」

南方魔道長「馬車と護衛の用意も整ってる」

戦士「至れり尽くせりだな…。ありがたいこった」

南方司令「なーに、こちらがお願いしている立場。お安い御用だ!」
483 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:05:56.84 ID:B4y/2f.o
南方参謀「それじゃ作戦は明日、明朝より早速動くわよっ!」

南方副司令「おう!」

戦士「やってやるぜ!」

魔道士「やってやりますよっ!」

南方魔道長「それじゃ明日に備えて、今日はゆっくり休んでくれ」

戦士「そーさせて貰うわ。ふわぁ〜」

魔道士「お休みなさいっ。また明日〜!」

テクテクテク

南方参謀「私達も最後の下準備に取り掛かるわよっ!」

南方副司令「おうよ、徹夜で仕上げてやるぜ!」

南方弓長「司令はどうします?赤壁まで出ますか?」

南方司令「そうしよう。バックアップも必要になるかもしれん」

南方参謀「私は司令部に残るわ。青年兵ちゃんの事もあるしね」

南方弓長「それでは、司令とは私が同行致します」

南方副司令「うむ。頼んだぞ」
484 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:06:29.23 ID:B4y/2f.o
〜客室〜

テクテクテク…カチャッ…パタン

戦士「……華国か」

立て掛けた戟を見つめ、戦士は歩み寄り、柄を握る。

戦士「……色々と、重いモン背負っちまったな」

スッ…テクテクテク

戦士「旅を続ける事ってのは…そういうモンなのかもなぁ」

ベッドに寝そべり後頭部へ両腕を回すと、戦士はそのまま目を閉じた。

〜客室〜

魔道士「……ふーっ。サッパリしたぁ!」

フキフキフキッ

魔道士「……髪…伸びたなぁ」

フキフキフキッ

魔道士「こういうのって…なんだか時間が経ったって感じるなぁ…」

鏡を見つめる魔道士は、髪の毛をくるくると指で回し、洗面所を後にする。
485 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:06:56.62 ID:B4y/2f.o
スッ…テクテクテク…

魔道士「…はぁ。化粧水っ化粧水っ」

パシャッ…ピチョッ

魔道士「……」

手にした化粧水と乳液をそのままに、盗賊は広い部屋をぐるりと見渡す。

魔道士「盗賊さんがいないって…不思議な感じだなぁ…」

スッ…テクテクテク…

魔道士「いつの間にかそれが当たり前の生活になってるんだもんね…」

グッ…ムニーッ

魔道士「魔道士っ!がんばりなさいっ!!」

両頬をつねりながら伸ばす魔道士はこみ上げてくる笑いとともに手を離す。

魔道士「ははっ!えへへ!!」

カチャカチャッ…コトッ

魔道士「さぁ…明日も頑張るぞーっ!おーっ!」

両手を頭上に上げたままベッドへ飛び込む魔道士は、そのまま目を瞑った。
486 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage saga]:2011/01/01(正月) 23:07:37.74 ID:B4y/2f.o
書き溜め終了ですのよん。それではまた後ほど!ノシ
487 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 23:09:34.92 ID:x173Jmwo
あとーんすって何だろうという疑問ww
乙っ
488 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 02:00:19.10 ID:mXxvXsAO
リアルのハゲの口癖じゃないのかね
489 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 03:07:17.85 ID:x4NUn2SO
あけおめ>1乙!
場違いレスで悪いんだけどさー
今最初から読み直したら
なんか召喚しって朱雀先生になってから
言動が落ち着いたってか消極的になったような

日常会話でも言葉が丁寧だったり上品だったり、戦士が引っ張ったり
前ならリーダーとして主人公として引っ張っていたのに
悔しいよ!俺は悔しいよ!ペニー頑張れよペニー!!
490 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 03:40:04.77 ID:ocg9NMDO
>>1乙!
今年もよろしくお願いします!!
491 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 10:28:53.89 ID:xFeTvbs0

三が日くらい休んでもいいのにな
誤字がひどいぞ
492 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/02(日) 14:10:07.84 ID:W9Mfxk.0
1乙
あとは西方だけか…
493 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:51:16.32 ID:JWbBlRgo
〜次の日〜

戦士「……ふんっ!」

シュバッ…ザッ…ヒュヒュンッ!!

戦士「……ふーっ」

テクテクテク

戦士「…おはようっす」

南方弓長「早いわね。朝稽古?」

戦士「まぁそんなとこ。身体動かしてないと落ち着かなくて…」

南方弓長「無理しないでね」

戦士「どうも…。そっちこそ随分早いんだな」

南方弓長「…あぁ。ウチらは徹夜よ」

戦士「そっか…そいつはご苦労様」

南方弓長「二人の準備が出来たら声掛けて。正門に馬車回すから」

戦士「はいよ」

南方弓長「食事するなら食堂に用意してあるから。じゃあね」
494 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:51:57.77 ID:JWbBlRgo
テクテクテク…

戦士「……」

タッタッタッタッタ

魔道士「戦士さんっ、おはようございます!」

戦士「おはよーさん。メシ食いに行くか?」

魔道士「はいっ!」

テクテクテクテク…

戦士「……おっ?」

魔道士「青年兵さんっ!」

青年兵「おはようございます。魔道士さん、戦士さん」

戦士「もう大丈夫なのか?」

青年兵「はい、この通りバッチリです!」

魔道士「良かったです〜!心配しましたよ〜」

青年兵「衛生兵にはしっかり食事を摂れと叱られてしまいました……」

戦士「そうそうっ。メシはしっかり食わんといかんぞ!」
495 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:52:23.63 ID:JWbBlRgo


青年兵「…そうですか、これから華国の調査に」

魔道士「はいっ」

青年兵「何か、お手伝い出来ればいいんですが……」

戦士「いいよ。病み上がりなんだし、国軍は色々と制限かかるだろ」

青年兵「そうなんですよね…。出来るとしても支援程度しか…」

戦士「だから大丈夫。南方司令部の人達も協力してくれるみてーだし」

魔道士「青年兵さんは演説に集中して下さいっ!」

青年兵「…では、そうさせて頂きますね」

戦士「次は……西か?」

青年兵「はい。おそらく左大臣様らも向かうでしょうし」

戦士「でもよ、西も圧勝なんじゃねぇのか?」

青年兵「いえ、一概にそうとは言い切れませんよ」

魔道士「そうなんですか?」

青年兵「西方の魔道長や魔道兵に会った事はありますか?」
496 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:52:53.30 ID:JWbBlRgo
戦士「…言われてみればねぇな」

魔道士「何かあるんですか?」

青年兵「研究機関がある影響なのかもしれませんが、他司令部より更に…」

戦士「左翼寄り……ってか」

青年兵「そうなんです」

戦士「でもよ、絶対量は変わらんわけだし、問題ないんじゃないか?」

青年兵「北の結果次第ですが、以前も言ったように元が僅差ですからね…」

魔道士「なるほど……」

戦士「油断してっと、ひっくり返っちまうってか」

青年兵「はい」

魔道士「頑張ってくださいね!絶対に…!!」

戦士「応援してんぜ!」

青年兵「はい、ありがとうございます。ではそろそろ失礼します」

戦士「おう。俺らもぼちぼち行くとすっかね」

魔道士「はいっ。行きましょう!」
497 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:53:20.33 ID:JWbBlRgo


戦士「お待たせー」

南方弓長「来たわね。いつでも出発出来るわよ」

魔道士「お願いします〜」

南方司令「うむ、それでは赤壁へ向かうとしようか」

南方参謀「くれぐれも気を付けてね」

戦士「おう」

南方副司令「司令部の事は任せておいて下さい」

南方魔道長「支援の方もな」

南方司令「頼んだぞ!」

南方弓長「いいわ、出して頂戴」

パッカパッカパッカ…ドドッドドッ…

南方弓長「まずは赤壁へ入って、そこで最終準備を」

戦士「了解」

魔道士「うわぁ……緊張してきたぁ〜」
498 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:54:12.47 ID:JWbBlRgo
昼前頃になるだろうか、北方司令部に滞在中の召喚士と盗賊の元へ

南方より一通の手紙が届いた頃、その主らは赤壁へと入砦した。

〜赤壁〜

魔道士「おぉーっ!すっごぉい!!」

戦士「もう完成してんじゃねぇか!」

南方司令「いや、まだまだだ。これはあくまでも中核部分に過ぎん」

戦士「そうなのか…?」

南方司令「うむ。防衛設備は未だ手薄であるし、櫓もない」

南方弓長「それに城壁だって伸びてないでしょ?」

魔道士「あ…っ、言われてみれば途中で途切れてますね」

南方弓長「建設中なのよ。あと一年で完成ってとこかしらね」

南方司令「一年で完成させて貰わんと間に合わんしな」

戦士「……ああ」

南方弓長「さ、中へ入りましょ」

魔道士「はいっ」
499 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:54:50.83 ID:JWbBlRgo
カツカツカツ…テクテクテク…

南方弓長「兵装で良ければそこの保管庫にあるわ。使って」

戦士「うーっす」

カツカツカツ…

ボス「姉御っ!」

南方弓長「首尾はどう?」

チンピラ「順調ッスよ!」

ゴロツキ「あれ…?アンタら確か……!?」

戦士「…あ、街の不良A・B・C」

チンピラ「元だっ!元!!」

戦士「あ、あぁ…」

元ボス「今日は二人…か?」

魔道士「そうなんですよ〜」

元ボス「そうか……」

戦士「…ん?召喚士に用でもあったのか?」
500 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:55:27.89 ID:JWbBlRgo
元ボス「…いや、そういうわけではないんだがな」

元チンピラ「ボス、朱雀先生に会ったらアドバイス貰いたいって言ってましたモンね!」

元ボス「うるせぇっ!」

戦士「ははっ、伝えておくよ」

元ボス「必要ねぇっ!……行くぞっ!」

カツカツカツカツ…

魔道士「行っちゃいましたね……」

南方弓長「放っておいていいわよ。さ、行きましょ」

戦士「そんで、まずは華国に向かえばいいのか?」

南方弓長「そこは任せるわ」

戦士「任せる?」

南方弓長「レジスタンスは一箇所に留まっているわけではないから」

魔道士「そうなんですか?」

南方弓長「ええ。それは中で話すわ。入って」

戦士「……」
501 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:56:02.80 ID:JWbBlRgo
〜会議室〜

南方弓長「お待たせしました。準備は出来てる?」

赤壁長「いつでも……あ、あれっ!?」

戦士「…?」

赤壁長「……そうかぁ。ワーカーってのは君達の事だったのか」

魔道士「私達を…ご存知で?」

赤壁長「私は先日まで、海峡の副長を務めていてね」

魔道士「海峡っ!?」

赤壁長「防衛戦での君達の働きには、心から感謝している。ずっと礼を言いたかったんだ」

戦士「いいすよ…そんな今更……」

赤壁長「そうかぁ…君達が。おや、パーティーは解散したのかい?」

魔道士「いえっ、今は別行動なんですよ〜」

戦士「話せばくなるけどな。他の二人は北方司令部だ」

赤壁長「そうかぁ」

南方弓長「新聞くらい読みましょうよ。はい、無駄話はおしまい」
502 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:56:29.78 ID:JWbBlRgo
カツカツカツ…

南方司令「待たせた。それでは始めようか」

赤壁長「ここ赤壁ではお二人の支援活動を行います」

戦士「……」

赤壁長「とは言っても、国軍は華国へ入る事は出来ません」

南方弓長「最悪の事態、観光で入国は出来るけどね」

南方司令「その場合、団体は不可だ。源泉する必要がある」

赤壁長「ええ。その為赤壁での支援は物資補給、及び回復になります」

魔道士「分かりました」

赤壁長「また、既にスグリーヴァ様への救援も依頼しております」

戦士「……ほぉ」

赤壁長「軍を動かす事はないと思いますが、以前のやりとりで助けは出してくれると…」

南方弓長「あちらもおそらくは少数精鋭でしょうね」

魔道士「……なるほど」

赤壁長「……以上です」
503 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:57:02.60 ID:JWbBlRgo
戦士「……はっ?」

南方弓長「さっきも言ったでしょ?移動している限り拠点も掴めないの…」

南方司令「国境ギリギリまで兵は配置する」

赤壁長「もし本国領内に入るような事があれば、こちらで捕らえます」

戦士「つまり、おびき寄せてもいいってわけか…」

南方司令「その通りだ」

戦士「とにかく早い話、レジスタンスとコンタクト付けりゃいいって事だろ?」

南方弓長「そうよ。出来るわね…?」

戦士「出来るかどうかなんて分かんえぇよ。まぁ、やるだけやってみるさ」

魔道士「が、頑張りますっ!」

南方弓長「命にかかわるような事だけは避けて頂戴」

南方司令「うむ、死んでしまっては元も子もない。生きて戻れ!」

赤壁長「君達なら出来ます。気休め程度かもしれませんが…私は信じている」

戦士「……ありがとよ。そんじゃあちょっくら、行ってみますか」

魔道士「……よーし、頑張りますよ〜召喚士さん、盗賊さんっ!」
504 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:58:26.75 ID:JWbBlRgo


戦士「……わざわざ馬まで手配してくれんのか」

南方弓長「それは勿論よ。距離もあるし」

戦士「ありがたいこった」

赤壁長「一応、赤壁でも特に足の早い二頭を揃えました」

戦士「至れり尽くせりですんませんね」

グイッ…ストッ

戦士「…あ?魔道士?」

魔道士「の…乗れるかなぁ……」

ググッ…ズルッ…グググッ…

魔道士「よい……っしょ!!」

ストッ

魔道士「きゃっ!!」

戦士「あぶねっ!」

魔道士「ご、ごめんなさい……きゃあっ!」
505 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:59:22.59 ID:JWbBlRgo


戦士「…ほれ、せーの」

魔道士「よい…っしょ!」

グイッ…ストッ

南方弓長「本当に一頭でいいの?」

戦士「乗れねぇんじゃしょーがねぇよ」

魔道士「すみません……」

戦士「いや、別にいいけどよ…」

赤壁長「では、武運を祈る!」

南方弓長「頑張ってね!」

戦士「おう、行ってきまっす!」

魔道士「行ってきますっ!」

グイッ…ドドッドドッドドッ…

南方弓長「私達も進軍の準備を進めましょう」

赤壁長「ああ。そう致そう」
506 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 19:59:50.60 ID:JWbBlRgo
ドドッドドッドドッ…

戦士「……大丈夫か?」

魔道士「は、はいっ!」

ドドッドドッドドッ…

魔道士「……あ、あのぉ」

戦士「んー?」

魔道士「私、後ろに回りましょうか?」

戦士「はぁ?危ねぇだろうが」

魔道士「そ、そうですよね……っ」

戦士「何だってんだ?」

魔道士「い、いえ…っ!別に何でもありませんっ」

戦士「……?」

ドドッドドッドドッ…

魔道士(……何だか…恥ずかしいなぁ)

戦士「……なぁ」
507 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 20:00:17.30 ID:JWbBlRgo
魔道士「は、はひっ!」

戦士「……」

魔道士「な、何ですか…?」

戦士「いや、やっぱいいや」

魔道士「何ですか!?気になりますよ…っ!」

戦士「……あのよ」

魔道士「はい」

戦士「…召喚士とは…どうなんだ?」

魔道士「――!?」

戦士「あ、いや…っ。変な意味じゃなくてだな、なんていうかその…」

魔道士「なっ、何もありませんよっ!!」

戦士「……そ、そっか」

魔道士「何言い出すんですか!……もうっ」

戦士「す、すまん……」

魔道士「戦士さんこそ…ど、どうなんですっ!?」
508 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 20:00:45.89 ID:JWbBlRgo
戦士「はぁ!?」

魔道士「盗賊さんと…どうなんですかっ!?」

戦士「どうもこうもねーよ!何言ってんだ」

魔道士「戦士さんが言い出したんじゃないですかっ」

戦士「お、おぉー」

魔道士「盗賊さん……待ってると思いますよ」

戦士「な、何がだよ…っ」

魔道士「戦士さんからの…そのぉ……」

戦士「俺の事はいいんだよっ!自分のタイミングで……」

魔道士「あ……」

戦士「……あっ」

魔道士「……」

戦士「…あのな、言っておくぞ」

魔道士「は、はいっ」

戦士「俺らは今、そんな事をしている場合ですかぁ?」
509 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 20:01:19.20 ID:JWbBlRgo
魔道士「……い、いえ」

戦士「そうですよねぇ?している場合ではないですよねぇ?」

魔道士「……はい」

戦士「魔道士さんは、告白しないんですかぁ?」

魔道士「そっ、そんな事…している時ではありませんっ!」

戦士「……そーいう事だ」

魔道士「……はい。すみません」

戦士「全く……」

魔道士「で、でもですね……」

戦士「まだ何かあんのかよ」

魔道士「盗賊さん…心配だと思いますよ……」

戦士「心配?何が?」

魔道士「だって戦士さん、すごくモテるじゃないですか」

戦士「……どこがだよ」

魔道士「えっ!?」
510 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 20:01:46.33 ID:JWbBlRgo
戦士「女っ気なんて全然ねーだろ」

魔道士「……」

戦士「聞いてんのか?」

魔道士(そっか…。戦士さんて……天然なんだ…っ)

戦士「おーい!」

魔道士「あ、は…はいっ」

戦士「だーから、何が心配なんだよ?」

魔道士「い、いえ…心配は今、解消されました」

戦士「はぁ?」

魔道士「き、気にしないで下さい…えへへ…っ」

戦士「……変な奴」

魔道士「じ、じゃあこの話はおしまいっ!」

戦士「…当たり前だ」

魔道士「さぁー頑張りましょうねっ」

戦士「おーう」
511 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 20:02:21.84 ID:JWbBlRgo
二人の乗る馬は間もなく火焔山の北側へと差し掛かる。

刻は晩となり、召喚士と盗賊が二人からの文を手に恋話をしていた頃である。

ドドッドドッドドッ…

魔道士「あの先に見えるのって…火焔山の辺りですよね?」

戦士「……ああ」

ブルッ

魔道士「どうしたんですか?」

戦士「…いや、今思い出してもよく生きてたなって思ってな」

魔道士「……っ」

戦士「色んな戦場駆け回って、幾多の魔物と対峙してきたけどよ…」

魔道士「ええ…」

戦士「二度と戦いたくねぇって思ったよ。ありゃ……」

魔道士「確かに…強いなんて一言で片付けられない魔物でしたね…」

戦士「でも、あれ以上なんだよな。魔王レベルはよ……」

魔道士「……ええ」
512 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 20:03:04.30 ID:JWbBlRgo
ドドッドドッドドッ…

魔道士「…あっ、ここって……確か」

戦士「……」

〜分かれ道〜

ドドッ…パッカパッカパッカ…

魔道士「何だか…久しぶりですねぇ…」

戦士「……ああ」

魔道士「確か……ここを右に行けば東の……」

戦士「……」

魔道士「戦士さん?」

戦士「あぁ、悪りぃ。んあで、何だっけか?」

魔道士「ここを東に行けばいいんですよね?」

戦士「ああ、そうだ――」

ゴゴゴゴゴゴ…

戦士「!?」
513 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/02(日) 20:03:37.97 ID:JWbBlRgo
バッ!!…ザザッ!!

魔道士「どっ、どうしまし……」

戦士「静かに!……しゃがんで後ろに退がれっ」

魔道士「……っ」

戦士(何だ……今の威圧は…っ)

突如正面より発せられた強大な威圧。

戦士はそれを感じ取り、警戒態勢へと行動を移した。

戦士「……っ」

魔道士「……」

やがれ分かれ道の正面より、馬の蹄が聞こえ始める。

パッカパッカパッカ…

戦士「……この…威圧…っ!」

魔道士「…!?」

戦士「……あんたか」

白馬騎士「……」
514 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage saga]:2011/01/02(日) 20:11:51.21 ID:JWbBlRgo
うおぉー寒いー!!
こんばんは!皆様、お風邪など引かれませぬようご自愛をば

>>487-488
気付いて頂けてあとーんす!

>>489
その辺りに気付いて頂けるなんて嬉しい限りですわん

>>490-492
ありがとうございます!三が日はまったり更新で…
あとは西方です!描写どうしよ…召喚士達抜きになりそうな…
515 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 20:20:37.76 ID:CzIavHco
白馬騎士って誰だっけ・・・
516 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 20:29:14.48 ID:YwbDDvwo
誰だっけ…
517 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 20:35:44.01 ID:pNXQ9/go
ほら、あいつだよあいつ
518 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 21:42:16.86 ID:BX78uVEo
なんだあいつか
519 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 21:45:08.78 ID:Wi/ZSx.o
ほら、お前クラス一緒だっただろ
520 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/02(日) 21:50:28.06 ID:4OvhnZ.0
ほら、あのフナムシって呼ばれてたやつだよ
521 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage saga]:2011/01/02(日) 21:59:58.65 ID:JWbBlRgo
あ、あれ…?
そんな感じの人いませんでしたっけ?ほら、あの……
522 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 22:20:36.54 ID:IqxvWDco
気合ためやジャンプ斬りが得意なあの人じゃね?
523 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 22:34:50.11 ID:K3xhFOUo
ち、ちげーよ・・・
なんだっけ、ほら、お前確か隣の席だったろ?
524 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 22:39:03.32 ID:hfISjn6o
え、ちょ、俺に振るんじゃねぇよ・・・
喋ったこともないって・・・うわ、こっち見てるよあいつ・・・
525 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 22:43:06.40 ID:FdscrUDO
マジかよ・・・こっち見てるなら後ろ向けないじゃんかよ・・・
526 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 23:02:10.44 ID:v.V/jowo
ちょっと・・・お前あいつにこっちみんなっていってこいよ・・・
527 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 23:05:35.96 ID:AbiLb2Mo
おい誰か名簿もってこいよ……
528 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 23:07:01.96 ID:v.V/jowo
>>521
なにまざってんだよwwwwww
529 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 23:09:52.29 ID:.z7vKT6o
おい見てみろよ…
あいつ名簿にのってねぇぞ…
530 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 23:12:37.97 ID:AbiLb2Mo
まじかよ……誰だよあいつ……何か馬乗ってるし……
うわっこっち来た、誰か行けよ……!
531 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/02(日) 23:15:25.37 ID:Zng1JYco
    ∧  ∧
   / ヽ‐‐ ヽ
  彡      ヽ
  彡   ●  ●  
  彡  (      l  
 彡   ヽ     |    ウマー 
 彡    ヽ    l
 / `     ( o o)\
/ __    /´>  )
(___|_(   /<ヽ/
 |       /  ´
 |  /\ \
 | /    )  )
  ヒl    (  \
       \二)
532 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/02(日) 23:33:21.15 ID:X/igcdso
白馬の騎士
533 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 00:04:11.90 ID:6D4lmJ2o
おーれはーアーサー (アーサー!)
白馬の王子〜
534 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 00:41:43.58 ID:OXLbAQo0
君と行こうよ〜 緑の道を〜
535 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/03(月) 02:48:20.99 ID:M/p8s2SO
行こうか君 おいでよ君
536 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 09:37:43.17 ID:XxGv.XU0
どんなやつにも 負けないぞ
537 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/03(月) 12:41:41.12 ID:ghZg2sDO
下々の民共ひれ伏せと〜
538 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 17:18:49.31 ID:/BVUg6DO
加齢臭余裕ですしwwwwww
539 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 17:20:23.80 ID:3ouL.2AO
>>1

ただいま魔導師ちゃん!
短いけど忙しい元旦も無事終えて、再び都会へ舞い戻って来たよ^^
今日からまた毎日毎晩一緒だね…ワクワクが止まらないや!
540 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 18:13:52.74 ID:MxnY97Uo
おい誰だ
>>539にボロ雑巾おいた奴は
541 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 19:13:31.20 ID:oQF5HK.0
>>1あけおめ!今年も楽しませてもらいます。
初詣行っていけコカの書籍化と漫画化とアニメ化とゲーム化をまとめてお願いしてきたぜ!
542 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 19:40:24.97 ID:XxGv.XU0
俺はいけコカとか言っちゃうキモい信者が居なくなるようにお願いしてきたぜ!
543 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 21:54:35.31 ID:nlH37.wo
俺は・・・・俺は・・・何をお願いしたのか忘れちまったぜ!
544 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/03(月) 23:08:19.03 ID:ntwwl6go
パッカパッカパッカ…

白馬騎士「戦士殿、やはり君…か!」

戦士「白馬騎士さん…だっけか」

白馬騎士「覚えておいでか」

戦士「忘れるわけないですよ」

魔道士「今日は一体…どうしたんですか?」

白馬騎士「警備巡回中に覚えのある気配を感じたものでな」

戦士「気配…?威圧なんか出してないぜ?」

白馬騎士「自然と出ている気配の事ですよ」

戦士「んなモン…出したつもりはないんだがなぁ…」

白馬騎士「無意識に出ているは強くなった証拠。覚えにないかな?」

戦士「…?」

白馬騎士「以前と比べ、魔物との遭遇率が減ったいないかい?」

戦士「言われてみれば……そうなのかなぁ」

白馬騎士「奴らは本能で分かるからね。己より強い敵を避けるのさ」
545 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/03(月) 23:09:27.18 ID:ntwwl6go
戦士「なるほどな…」

白馬騎士「それで、華国に何か用かな?」

戦士「華国に…ってわけじゃねーんだけど…」

白馬騎士「事情があるようだな…。聞かせて貰えんか?」

魔道士「それは構いませんよね…?」

戦士「あぁ、まぁ…」

白馬騎士「ここでは何だ、東の城へ行こう」

魔道士「はいっ」

白馬騎士「二人とも、華国は久方ぶりかな?」

魔道士「えぇと、そうですねぇ…。あ、でも戦士さんは……」

戦士「俺はつい先日、邪魔したぜ」

白馬騎士「そうなのか。言ってくれれば良いものを」

戦士「いやぁ…ワケありっつーか、修行の身だったもんでね」

白馬騎士「ほう…。その辺りの話も、是非聞かせて貰いたいな」

真っ白な愛馬に跨るその男は、微笑みながら静かに語った。
546 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/03(月) 23:10:08.96 ID:ntwwl6go
本国や西方、東方ともまた違う独特の建造物。

それらは夜になると、華国の名に恥じぬ華やかさを見せ、人々を魅了する。

〜華国、東の城〜

魔道士「すっごい賑わってますね〜!」

白馬騎士「この国もようやく落ち着き始めたところさ」

戦士「それは何より」

白馬騎士「三男様を主とし、国政もようやくまとまりつつある」

魔道士「三男様も、皆さんもお元気ですか?」

白馬騎士「ええ。仲間も戻ってきてくれましたしね」

戦士「仲間?」

白馬騎士「魔物と結託した国を見限って、去っていった者達ですよ」

戦士「…ほぉ」

魔道士「良かったですね〜!」

白馬騎士「ええ。……さて、入城致しますよ」

魔道士「はいっ」
547 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/03(月) 23:10:41.57 ID:ntwwl6go
〜城内〜

パッカパッカパッカ…ザッ

白馬騎士「まずは、三男様にお会い頂けませんでしょうか?」

魔道士「い、いいんですか…っ!?」

白馬騎士「勿論です」

戦士「俺らは構わないぜ、なぁ?」

魔道士「はいっ!」

白馬騎士「そうですか。では参りましょう」

テクテクテクテク…

側近「白馬騎士殿」

白馬騎士「側近殿。どうかなされたか?」

側近「どうかなされたか、ではない。大将軍ともあろう者が直々に巡察などと…」

白馬騎士「さればこそですよ」

側近「全く…。何かあったら心配するのはこちらの身……おや?」

魔道士「こ、こんばんは〜」
548 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/03(月) 23:11:16.45 ID:ntwwl6go


側近「いやいや、あの時は本当にありがとう」

戦士「礼をされる程の事はしてませんって」

側近「そんな事はない。そなたらが居なければどうなっていた事か…。のう?」

白馬騎士「側近殿の仰る通りですよ」

魔道士「そ、そんな事ないですよ〜」

側近「三男様もさぞ、お喜びになられる事であろう」

白馬騎士「ええ。側近殿、三男様は?」

側近「丁度、謁見の間におられるぞ」

白馬騎士「何かございましたか?」

側近「いや、他の者らが集まっていたところでな」

白馬騎士「そうでしたか。それは好都合」

側近「若文官や老文官殿も喜ぶでしょうな」

白馬騎士「そうですね」

四人は城の最奥に位置する『謁見の間へと』その足を進める。
549 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/03(月) 23:12:21.51 ID:ntwwl6go
〜謁見の間〜

ゴゴッ…ギイイィィ…

白馬騎士「失礼致します」

若文官「おぉ、お戻りになられましたか」

老文官「陛下をあまりご心配なされるな……」

白馬騎士「申し訳ありません」

側近「陛下、お客様をお連れ致しました」

玉座に腰掛ける少年。しかしその姿は以前とは比べ物にならない程、

身体つきは元より、顔つきは凛々しく、王と呼ぶに相応しいそれである。

三男「……客人?私にか?」

白馬騎士「戦士殿と魔道士殿。覚えておいでですか?」

ガタッ!!

三男「…おぉ、そなたらは!?」

魔道士「ご、ご無沙汰しております…っ!」

戦士「お元気そうで何より」
550 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/03(月) 23:12:49.79 ID:ntwwl6go
カツカツカツ

三男「……っ」

戦士「…?」

三男は戦士と魔道士の目の前へ近づくと、突如として頭を下げる。

魔道士「!?」

戦士「ちょ…っ!」

三男「あの時は本当にありがとう。感謝してもし足りないくらいだ」

戦士「い、いや…っ」

魔道士「ききっ、気にしないで下さい!」

三男「……皆も礼を言うが良い。華国の救世主なるぞ」

白馬騎士「……おぉ、そなたらが来ておったのか」

戦士「……?」

ザッザッザ…テクテクテク…

戸惑う戦士と魔道士の前に現れた四人の男。

それぞれが大層強靭な体格を持ち、威風堂々とした出で立ちである。
551 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/03(月) 23:13:26.77 ID:ntwwl6go
まずは一番端に仁王立つ白髭の老人がぽつりと口を開く。

老将軍「…ほぉ、この者らが救世主。若いのう……」

その言葉へ返すように、隣に位置する華やかな衣服に身を包んだ青年が声を発する。

錦将軍「へっへ。見かけで判断すんないジーサン。こいつぁ大した気の持ち主だ」

反対側に立つ虎髭の逞しい男が、隣の男に対し言葉をかける。

弟者「兄者、信じられるか?こーんな若いヤサ男とお嬢さんが救世主だとよ」

声をかけられた男は、長い髭を手で撫でながら戦士と魔道士を見つめ呟く。

兄者「……うむ。二人とも素晴らしい目をしているな」

白馬騎士「彼らこそが先程話した、再び帰参した我が国の将軍です」

側近「彼らにこの白馬騎士を加え、我らは五虎将軍と呼んでおる」

魔道士「五虎将軍……っ」

戦士「…確かに、一人一人がものすげぇ威圧だ…っ」

弟者「折角の客人だ酒宴をもうけようじゃあないか!」

兄者「お前はただ、酒が飲みたいだけであろう?」

三男「弟者の申すこと尤も。すぐに宴の用意をせい」
552 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/03(月) 23:35:43.26 ID:ii73V.AO
>>549
老文官「陛下をあまりご心配なされるな……」

違和感があるのは気のせい?
553 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 00:07:00.01 ID:ndjYa8Uo


弟者「それじゃあ…乾杯〜っ!!」

錦将軍「おぉう!!」

老将軍「…っかぁ!骨身にまで染みるわいっ!」

戦士「……」

魔道士「……」

白馬騎士「…どうしました?飲まれないのか?」

魔道士「あ、ありがとうございます」

兄者「さぁ、貴殿も飲まれよ」

戦士「…ど、どうも」

魔道士「何だか…ご大層な事になっちゃいましたね…」

戦士「ああ……」

三男「皆も客人を持て成せい」

側近「さぁさぁ、どうぞ飲まれよ」

戦士「…は、はは……っ」
554 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 00:11:02.64 ID:ndjYa8Uo
ワイワイガヤガヤ

弟者「それい、勝負じゃーっ!!」

錦将軍「望むところよっ!」

グビッグビッグビッ

老将軍「ワシとて老いてなお盛ん!負けてられぬわ!」

兄者「良かろう。某と飲み比べようではないか!」

グビッグビッグビッ

戦士「……」

魔道士「戦士さん、今日はあまり飲んでないですね」

戦士「…いやぁ、何だか…凄くてな」

魔道士「た、確かに…。わっ、樽ごと…!!」

戦士「それによ、一応任務で来たわけだし…ハメ外し過ぎるわけにゃいかんだろ」

魔道士「ですよね」

戦士「……そろそろおいとますっか」

魔道士「で、ですね…」
555 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage saga]:2011/01/04(火) 00:24:31.83 ID:ndjYa8Uo
うえぇ…眠いー。正月休みも終わり…
寝て仕事に備えたいと思います!それではお休みなさいです!ノシ

〜オマケ〜

魔道士「お正月ーっ!」

盗賊「…あ、おみくじだ」

パラッ

魔道士「これ、何て書いてあるんです?」

盗賊「…えっと、大吉だな。一番良いって事」

魔道士「やったぁ!盗賊さんは?」

盗賊「…私も大吉だ」

戦士「俺のは何だこれ?」

盗賊「…お、女吉!?」

召喚士「俺のは……」

盗賊「……凶。ご愁傷様」

召喚士「え!?凶って何ですか!?ねぇ、盗賊さん…っ!?」

盗賊「……ご愁傷様」
556 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 01:14:33.53 ID:av6lnYAO
>>1おつ
557 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 03:53:50.40 ID:51cjXLw0
          ∧_∧
    ∧_∧  (´<_`  )
   ( ´_ゝ`) /   ⌒i
   /   \     | |
  /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/  FMV  / .| .|____
    \/____/ (u ⊃
   ジャーン!ジャーン!ジャーン!
558 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 06:32:14.53 ID:Y80xPcAO
>>1いつも乙んつん
代わりに明日、いや明後日、もしかしたら来年まで俺が休んであげるよ!

兄者弟者っていったらやっぱり>>557を想像するよね。




ブラクラゲット

559 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 08:58:59.95 ID:4O0y/EDO
>>552
陛下の御心を煩わせるでない、くらいが適当かもしれんね
560 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 09:07:30.28 ID:2/zbG2Yo
>>552
ホモだったら違和感はない
561 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 11:59:23.46 ID:8i8yHADO
そろそろ同一IDさんが

召喚士と盗賊の一夜限りの◯◯

を書くんじゃないかと予想
562 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/04(火) 13:28:43.66 ID:bnzkibQ0
1乙
563 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage saga]:2011/01/04(火) 18:05:39.57 ID:oPA8Kgco
>>556>>562
ありがとうございます!!

>>557
ありがとうございます

>>558
羨ましい…っ!

>>559-560>>552
確かにおかしい…若文官と老文官の台詞入れ替えた時に
変な文章になっちゃいましたね…すみません…

>>561
????

こんばんは!仕事始めシンドイっす…↓続き
564 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:06:12.58 ID:oPA8Kgco
スクッ

若文官「おや、もうお帰りか?」

戦士「そろそろ失礼しようかと…」

老文官「なんと…っ、まだまだ持て成し足らぬぞぉ?」

魔道士「いえいえっ、十分頂きましたよ〜」

戦士「俺らも仕事で来ている身だしな……」

白馬騎士「…確かに。ちなみに宿は?」

戦士「これから駆け込む予定っす」

三男「なれば城へ泊まると良い。悪いようには致さぬ」

戦士「お気遣い有難く。しかし、宿を取ろうかと考えてます」

側近「そうなのか?遠慮ならいらぬぞ?」

戦士「いえね、宿の方が仕事には何かと融通が利くんすよ」

白馬騎士「……成程」

戦士「…と、いうわけで失礼します。続きは四人で来た時にお願いしますわ!」

魔道士「で、では…失礼しますっ。ありがとうございました!」
565 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:06:42.17 ID:oPA8Kgco
テクテクテク…

白馬騎士「四人…か」

側近「…?」

白馬騎士「いえね、戦士殿らしいと思いましてな」

若文官「何がですか?」

白馬騎士「お仲間の二人に気を遣ったのでしょう」

老文官「二人で礼を受けるのは申し訳ないと……?」

白馬騎士「まこと義の漢と言ったところでしょうか」

側近「まるで華国の勇者のようだな」

白馬騎士「ええ。彼もあの漢の意思を継いでおりますからね」

三男「……」

白馬騎士「さ、我らは飲みなおすと致そう。他の将に負けておられません」

老文官「…全くだ。ふっふふ」

弟者「兄者〜ぁ!俺はまだ飲め……うぅっぷ」

兄者「どうした?もう終わりか?はっははは!」
566 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:07:35.95 ID:oPA8Kgco


テクテクテク

魔道士「何だか凄い人達でしたね」

戦士「ああ。ありゃ強えぇなんてモンじゃねぇぜ」

魔道士「「でも…良かったです」

戦士「ん?」

魔道士「華国の皆さんが、また笑えるようになって」

戦士「…そうだな。頑張ってるみたいだしな」

魔道士「私達も頑張らないとですねっ!」

戦士「おう!元気を分けて貰ったし…やってやるかぁ!」

魔道士「やってやりましょーっ!」

戦士「とりあえず宿を取らんとな」

魔道士「そうですねぇ…。えっと、確か……」

戦士「華国の地図か?いつの間に……」

魔道士「さっき買いました!任せて下さいっ、準備万端ですよ!」
567 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:08:20.94 ID:oPA8Kgco
〜宿〜

戦士「ここ…か」

魔道士「ちょっと小さい感じですけど…良さげじゃないですか?」

戦士「とりあえず入ってみるか」

テクテクテク…カラカラッ

戦士「泊まりたいんだが、誰かいるか〜?」

スタスタスタ…

主人「いらっしゃいませ」

魔道士「二人なんですけど、部屋…空いてますか?」

主人「二人ご一緒で宜しければ……」

魔道士「一緒ですか…?」

主人「へい。生憎この時間でしょ?埋まってしまってまして……」

戦士「……どうする?」

魔道士「わ、私は…構いませんけど、戦士さんは……」

戦士「この際仕方ねぇしな。構わんぜ」
568 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:09:07.92 ID:oPA8Kgco
主人「はい。それではお部屋にご案内致します」

スタスタスタスタ…

主人「こちらのお部屋になります」

戦士「どーも」

主人「素泊まりですので、お食事はご自由に」

魔道士「あの、お風呂は…?」

主人「一階に共同浴場がございます。女性は偶数時間です」

魔道士「ありがとうございます」

主人「それでは、ごゆっくり」

スッ…パタン

戦士「……ふーっ」

魔道士「そういえば…戦士さんと二人きりって始めてですかね?」

戦士「そうだっけか?」

魔道士「えぇっと……あれ、布団が一つしかない……」

戦士「お前使っていいぞ。俺はあっちで寝っから」
569 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:09:52.36 ID:oPA8Kgco


テクテクテクテク…カラッ

魔道士「お風呂、いい感じでしたよ〜」

戦士「おーう、んじゃ俺も行ってくっか」

スクッ…スタスタスタ…パタン

魔道士「……はーっ」

六畳一間の中央に、ぽつんと座り込む魔道士。

髪を櫛で梳かしながら、静寂な、その小さな空間をきょろきょろと見渡す。

魔道士「…やば、何だか緊張してきた…っ」

思えば普段より行動を共にし、何気ない、そしてくだらない会話の

やりとりをしているものの、二人きりでの寝泊りなど経験は皆無。

魔道士「……」

好意は持っていても、それは恋愛感情ではなく、仲間としての信頼。

そして頼れる兄のような存在。ただそれに過ぎない。

それでも異性の存在は魔道士の中から拭えるものではない。
570 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:10:42.86 ID:oPA8Kgco
魔道士「……」

カラッ

魔道士「!!」

戦士「……どした?」

魔道士「い、いえ…っ、おかえりなさい!」

戦士「ただいま。いい湯だったぜ」

スタスタスタ…ザッ

戦士「……ふーっ」

魔道士「……」

戦士「……」

魔道士「……」

戦士(……な、何だかいきなり気まずいムードだな)

会話がぱたりと途絶え、戦士もその妙な空気に飲まれるような格好と相成る。

戦士(……いやいやいやっ、普通でいいだろ普通で!俺っ!)

魔道士(ま、まずいなぁ…。戦士さんにも気を遣わせてるかもしれない…)
571 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:12:06.69 ID:oPA8Kgco


戦士「そ、そろそろ寝るか!」

魔道士「そ、そうですねっ!明日も早いですし!」

戦士「ああ。そんじゃあお休み!」

魔道士「お、おやすみなさいですっ!」

モゾッ

魔道士(……な、なんだか私…そっけなかったかなぁ)

戦士(マズイな…。いきなりすぎて違和感あったか…?)

魔道士(ど、どうしよう…。何か言ってから寝た方がいいかな…?)

戦士(大の男が何をうじうじと…。えぇい、らしくねぇぞ俺!ここは堂々とだな…)

魔道士「あ、あのぉ…戦士さん!」

戦士「な、何だ!?」

魔道士「そ、その……寒くないですか?」

戦士「……まぁ、大丈夫かな」

魔道士「…そ、そうですか」
572 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:13:11.31 ID:oPA8Kgco
戦士「…あ、ああ」

魔道士「……」

戦士「……」

魔道士「…あ、あのぉ」

戦士「ん?」

魔道士「……こっちで…寝ますか?」

戦士「いいよ、布団はお前が使えって」

魔道士「あ、いえ…っ。そうではなくて……」

戦士「…?」

魔道士「は、入りま……す?」

戦士「――!?」

魔道士「やっぱり布団がないと寒いんじゃ……」

戦士「な、何言ってんだお前は!」

魔道士「そそっ、そうですよね!ごめんなさいっ!」

戦士「い、いや…っ!謝らなくても……いいけどよ」
573 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:14:34.18 ID:oPA8Kgco
魔道士「……」

戦士「……」

魔道士「…お、おやすみなさいっ」

戦士「お、おう」

魔道士「……」

戦士「……」

魔道士(…うーっ、これじゃあ余計に気を遣わせちゃったよぉ…っ)

戦士(…今の場合は逆に好意として受けておいた方が自然だったのか…?)

魔道士(た、助けてーっ!召喚士さん…っ!!)

戦士(齢30にもなろうかと…女の気遣い一つ出来んとは。情けない……)

魔道士(こんな事じゃあ召喚士さんとなんて……む、無理っ!)

戦士(これじゃあ盗賊にも、そのうち愛想つかされちまうかもな…ははっ)

魔道士(もっと、もっと勉強しなきゃ……っ!)

戦士(戦いに明け暮れるだけが人生じゃねぇってか…。くそ…っ)

恋愛のいろはも皆無ないい年した男女が悶々とする中、夜は更けていった。
574 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:15:51.16 ID:oPA8Kgco
〜次の日〜

魔道士「……うぅ…ん」

モゾッ

魔道士「……っ」

ゴソゴソッ…ノソッ

魔道士「……あれ……戦士さぁん?」

〜華国、東の城の外れ〜

ザッザッザ

戦士「……」

これで何度目になろうか。戦士は華国での

師とも言うべき男の墓前に手を合わせる。

戦士「……」

ザッザッザ

白馬騎士「…戦士殿!?」

戦士「おはようございます」
575 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:16:40.41 ID:oPA8Kgco
白馬騎士「…戦士殿も墓参りか」

戦士「白馬騎士さんも?」

白馬騎士「東の城に居る時は毎朝の掃除が日課でね」

戦士「……そっか。どうりで綺麗だなって思いましたよ」

白馬騎士「…あれから随分経ったな」

戦士「ええ」

白馬騎士「それでも、この国の人々の心には、今尚この男の存在が居る」

戦士「……」

白馬騎士「それは民だけではない。私や…彼らにとってもだ」

戦士「…!?」

ザッザッザッザッザ

錦将軍「おや、戦士と言ったか。貴公も墓参りか?」

老将軍「お主が戟を継いだそうじゃな」

戦士「えぇ…まぁ」

ザッザッザ
576 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:17:36.84 ID:oPA8Kgco
弟者「おっはようさん!どいつもこいつも早えぇなぁおい!」

兄者「起きるのが遅いのだ!馬鹿者めが!」

戦士「……あんだけ飲んだ翌朝なのに…元気だな」

弟者「あんなん飲んだうちに入らんよ」

錦将軍「そうそう。それに3時間も寝りゃ全快だろ」

戦士「……」

兄者「どうした?呆けた顔をして……」

戦士「いや…別に……」

弟者「ほれ、さっさと供え物やらねーと」

老将軍「もう終えたわ、馬鹿者めっ」

弟者「馬鹿だと!?このジジイ…!」

老将軍「おっ?…やるかぁ?」

兄者「これこれ、やめぬか。墓前であるぞ?」

白馬騎士「……これだけ賑やかならきっと喜んでおりますよ。騎都尉殿も」

戦士「……そうだな」
577 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:18:35.72 ID:oPA8Kgco


テクテクテク…カラッ

魔道士「きゃっ!!」

戦士「!?」

パタン

戦士「わっ、わりぃ!!」

魔道士『い…いえっ!』

戦士「……」

魔道士『…んしょ。も、もういいですよ…っ』

カラッ

魔道士「おはようございます。どこ行ってたんですか?」

戦士「ん、あぁ…。騎都尉の墓参りにな」

魔道士「え〜っ!?声掛けて下さいよー!」

戦士「いやぁ…気持ち良さそうに寝てたから……」

魔道士「…もうっ」
578 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:19:39.83 ID:oPA8Kgco
戦士「悪い悪い。さて…と、朝飯でも食いに行くか」

魔道士「そうですねっ。お腹空きました!」

戦士「荷物は全部持ってくぞ」

魔道士「えっ?今日は泊まらないんですか?」

戦士「…今日は……もっといい宿探す」

魔道士「……はい」

戦士「ちなみに……すぐ閉めたから何も見てない」

魔道士「……っ」

戦士「……おっしゃ、行くぞ」

魔道士「は、はいっ!」

戦士「まずは朝食がてら聞き込み!」

魔道士「はいっ!」

戦士「その後は分かれ道を中心に下見だ」

魔道士「おーっ!」

戦士「よしっ、出発!!」
579 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:20:24.71 ID:oPA8Kgco
〜華国、大通り〜

戦士「えぇと……」

魔道士「食事処はあっちに沢山ありましたよ?」

戦士「いいのいいの。情報を得るには……あった。ここよ!」

魔道士「酒場…ですか?」

テクテクテク…ギィ

主人「…いらっしゃい」

戦士「なんか軽く食える物を頼む」

主人「……」

魔道士「朝からやってるものなんですねぇ」

戦士「客はともかく開いてはいるさ。バーテンさんとこだって一応そうだろ」

魔道士「寝てますけどね……」

戦士「…まぁな」

テクテクテク…コトッ

主人「お待たせ」
580 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:21:39.07 ID:oPA8Kgco
戦士「おぉ、美味そう!」

魔道士「本当っ。意外と穴場なんですねっ」

戦士「時にオッサンよ、ちょいと聞きてぇんだが」

主人「?」

戦士「最近この辺りじゃあ魔物が活発らしいじゃんか」

主人「そうかぁ?聞いた事ねーけどな」

戦士「そうなのか?」

主人「随分前に南のほら、火焔山が消し飛んだの知ってるか?」

戦士「…ああ。風の噂で聞いた事あるわ」

主人「あれ以来、ここらの魔物も大人しいもんさ」

戦士「ふぅん……」

魔道士「華国では、魔物はいない…と?」

主人「少なくとも城下の近辺じゃ見ねぇわな」

戦士「そうか…」

主人「何か探ってるのか?」
581 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:22:52.71 ID:oPA8Kgco
戦士「いんや、そーいうワケじゃないんだけどな…」

主人「金か…?」

戦士「ああ。急ぎでまとまった金が必要でな」

主人「ワークショップには行ったのか?」

戦士「時間が掛かるし、大した仕事はなかったな」

主人「……それなら、街外れの賭場に行ってみたらどうだ?」

魔道士「賭場…ですか?」

主人「ああ。あそこならワークショップを介せずに依頼も手に入る」

戦士「…サンキュ。ちょっくら行ってみるわ」

主人「……」

戦士「…な、何だ?」

主人「お代」

戦士「あ、あぁ。すまんすまん…はははっ」

チャリッ

主人「毎度」
582 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:24:05.22 ID:oPA8Kgco
スタスタスタ…

魔道士「賭場……ギャンブルですか」

戦士「食ったら行ってみよう。何か分かるかもしれん」

魔道士「…はいっ」

二人はそそくさと朝食を済ませ、酒場を後にする。

戦士「ごっそさん」

魔道士「ご馳走様でした〜」

テクテクテク…パタン

主人「……駆け落ち……か」

テクテクテク…

戦士「街外れ……って、こっちでいいのか?」

魔道士「ど、どうなんでしょう…。何もなさそうですけど…」

戦士「おっかしいなぁ。聞いた通りに歩いてきたんだけどな…」

テクテクテク

魔道士「あっ!あれじゃないですか!?」
583 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:24:58.89 ID:oPA8Kgco
正面の建物を指差し、魔道士は嬉々として声をあげる。

戦士「……っぽいな」

テクテクテク

戦士「上はただの雑貨屋。て事は……地下、か」

目先の階段見つめ呟く戦士は、そのまま階段を降り始める。

コツコツコツ…コツコツ…

魔道士「…こ、ここですか?」

戦士「……」

ギイィ…

ギャンブラー「ぐああぁぁーっ!!」

魔道士「!?」

賭博人「半だっての!!半っ!!半んんーっ!!」

胴元「……丁。はい残念」

賭博人「ぐああぁぁ!!」

戦士「……大丈夫だな」
584 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:26:17.35 ID:oPA8Kgco
魔道士「へっ?」

戦士「ちょいと邪魔するぜ」

胴元「…?」

戦士「実は、魔物に関する依――」

ギャンブラー「キター!!ローンッ!!」

胴元「静かにしなっ!聞こえないよ!!……それで、何だって?」

戦士「魔物に関する依頼が欲しい」

胴元「……依頼?あたしは仕事の話なんか知らないよ」

魔道士「残念……」

胴元「あの奥にいる親分。あの人に聞いてご覧よ」

戦士「…あれか、邪魔するぜ」

胴元「・・・おいおい。賭場へ入るのに手ぶらかい?」

戦士「……しゃーねぇなぁ」

ジャラッ

胴元「はいっ、両替ありがとさん!」
585 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:27:16.01 ID:oPA8Kgco
テクテクテク

男「王手ぇ!!」

戦士「……」

魔道士「戦士さん…」

廃人「こいっ!こい……っ!!ぎゃああぁぁーっ、ヒフミー!!」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「あ、ああ?」

魔道士「さっき何が大丈夫だったんですか?」

戦士「ん、あぁ。丁半賭博ん時は丁の目で賭場へ入るのがマナー何だよ」

魔道士「えっ、何でですか!?」

戦士「いや…そこまでは知らんけどそういうルール何だよ」

魔道士「へーっ」

戦士「そんな事はどうでもいい。ほれ、あそこにいるのが親分さんだ」

魔道士「……あの人ですね」

戦士と魔道士は賑わい乱れる賭場の、一番奥で酒を交わす男に近づく。
586 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:28:27.90 ID:oPA8Kgco
テクテクテク

戦士「アンタが親分さんかい?」

親分「…あぁ?見ねぇ顔だなぁ」

戦士「初めてお目にかかります。戦士と申しやす!」

魔道士(……な、何故か口調が…っ)

親分「戦士さんかい。俺に何か用かな?」

戦士「実は、ちょいとまとまった金が要り様でしてね」

親分「仕事が。……ここいらじゃあめっきり減ったモンよ」

戦士「そうなのかい?」

親分「治安が良くなっちまってなぁ。こちとら商売上がったりだよ」

魔道士「い、いい事じゃないんですか…?」

親分「……これまた似つかわしくねぇお嬢さんを連れてるねぇ」

ニヤニヤと笑みを浮かべながら取り巻きと共に声をあげる親分。

戦士「まぁね。このお嬢さんを護衛するのがあっしの仕事でしてね」

親分「…ほぉ。まぁ与太話は聞かねぇ事にしとくか。それで…仕事だったな?」
587 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:29:19.84 ID:oPA8Kgco
戦士「あぁ。何かあるかい?」

親分「……おい」

子分「へい」

脇に控える一人の取り巻きが、何枚かの紙束を親分へと手渡す。

親分「……ふーむ。戦士さんよぉ、腕に覚えはあるかい?」

戦士「自分で自信ねぇなんてヤツはこんな所まで来やしませんよ」

親分「がっはっは!!それもそうだわな!!」

ピラッ

親分「……これなんてどうだい?」

戦士「…なになに?調査依頼か」

親分「大きな声じゃ言えねぇが、なんと本国の偉いサン絡みだ」

戦士「……ほぉ」

親分「見たところ本国人っぽいし、丁度良いんじゃあないかい?」

魔道士「これって……」

戦士「……魔物と人間が通じてる可能性がある……か」
588 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:30:11.94 ID:oPA8Kgco
親分「内容が内容だけに、手に負える奴が居なくてねぇ」

戦士「……なるほど」

親分「成功失敗の有無は問わねぇ。失敗すりゃあ金を逃すだけだ」

戦士「分かった。ありがたく引き受けようじゃねぇか」

親分「手付金も無しだぜぇ?」

戦士「構わねぇよ。成功したらまた訪ねるわ」

親分「楽しみにしてるよ。俺の取り分もあるからねぇ」

戦士「へいへい、あんがとさん。行くぞ」

スタスタスタ

魔道士「は、はいっ!あ…ありがとうございましたっ!」

タッタッタッタ…

親分「……変な連中だな」

子分「……つけますか?」

親分「いんや、必要ねぇ。ああいう腐った目をしてねぇ奴は大抵、裏がある」

子分「関わらない方が身の為ですね」
589 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:31:24.94 ID:oPA8Kgco
テクテクテク

戦士「…あ、そうだ」

魔道士「はい?」

戦士「さっき両替しちまったこれ……」

魔道士「賭場の…チップですか?」

戦士「もったいねーし何か遊んでいくか?」

魔道士「でもぉ……ルールとか分からないですよ?」

戦士「簡単なのでいいよ。ちゃっちゃと突っ込んでなくしちまおう」

魔道士「そ、そうですね…。せっかくですし……」

戦士「えぇと、簡単なのは……あれかこれ」

魔道士「サイコロ…?」

戦士「こりゃチンチロリンて遊びだ」

魔道士「変な名前ですね〜」

戦士「サイコロを陶器の中に振ると『チンチロリン』て音がするだろ?」

魔道士「おぉ〜!なるほどですねーっ!」
590 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:32:27.68 ID:oPA8Kgco
戦士「そんじゃチンチロにすっか」

魔道士「戦士さん、やたら詳しいですね?」

戦士「北の港にもこのテのは腐る程あったからなぁ…」

魔道士「ギャンブラーだったんですか!?」

戦士「違う違う。あくまで情報収集の一環だよ」

魔道士「なるほど」

戦士「今日ので分かったろ?裏の情報は裏でしか取れん」

魔道士「ほほーっ。勉強になりますっ」

戦士「…いや、いいけどさ」

親「さぁ、張った張った!」

戦士「…ふぅん。親は固定かい」

親「不満があるなら変わるぜ?」

戦士「別にねーさ。魔道士、適当にコマを張ってくれ」

魔道士「は、はる…?」

戦士「掛け金を出してくれって事」
591 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:33:23.99 ID:oPA8Kgco
魔道士「は、はいっ!それじゃあ……」

スッ

戦士「……二割か。さすが商人の娘。粋な判断だわな!」

魔道士「は、はぁ…」

親「それじゃあ始めるぞ!」

廃人「さぁさぁ!!早く早く!!」

戦士「……イッちまってるな」

親「それっ!」

チリン…チリチリチリッ

親「……ちっ、3かよ」

戦士「ああやって3つ振ってな、二つペアになるだろ?」

魔道士「あっ、残った3が出目って事ですね!」

戦士「やるじゃんか。その通り!」

廃人「次は俺っ!俺ええぇぇ!!」

チリン…チリチリチリッ
592 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:34:20.02 ID:oPA8Kgco
廃人「ぎゃああぁぁ!!またヒフミーッ!!」

魔道士「ヒフミって何です?」

戦士「サイコロが1、2、3の出目になると2倍払わないといけないんだよ」

魔道士「う、うわぁ……っ」

廃人「だ、誰か俺のパンツを買ってくれええぇぇ!!」

合力「はいはい。無一文は出てった出てった」

廃人「いやだああぁぁ!!」

ガシッ…テクテクテク

魔道士「つ、次は私ですね…っ」

戦士「いいか、力いっぱい振るなよ?サイコロを器から落とすな」

魔道士「落ちると…?」

戦士「ションベンっつって問答無用で負け」

魔道士「……気を付けます。えいっ!」

チリンッ…チリチリチリッ…クルッ

魔道士「――っ!!」
593 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:35:44.02 ID:oPA8Kgco
戦士「あっぶね…っ!」

チリチリッ

魔道士「え、えっとぉ……6が……3つ?」

戦士「アラシだっ!!やったぜ!!」

親「にゃにぃ〜!?ちっきしょーっ!」

魔道士「あ、あの…っ」

戦士「3つ同じ出目だとな、アラシって言って掛けの3倍貰えるんだよ」

魔道士「お、大当たりじゃないですかっ!やったぁ!!」

親「ちっ、嬢ちゃんよ…初っ端からツイてんじゃねーか……っ」

魔道士「はいっ!ありがとうございます!えへへ!」

親(……カワイイ)

戦士「よーし、ノッてきたところでもう一丁!」

魔道士「え?まだやるんですか…?」

戦士「なくすのが目的だろうが」

魔道士「あ、そ…そうでしたっ!」
594 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:37:08.69 ID:oPA8Kgco


親「……」

チリッ…チリチリチリ

親「……ちぇっ、ヨツヤかよ」

戦士「おーしおし、相手は4だ。勝てるぞ」

魔道士「あのぉ…負けるのが目的では……」

チリンチリン…チリチリ

魔道士「…あっ!やったぁ!またアラシですよ!!」

戦士「……1が……3つ…っ」

親「にゃ、にゃにいいぃぃ〜!?ピンゾロだとぉ!?」

戦士「1の場合はな、5倍になるんだよっ!」

魔道士「えぇ!?そうなんですか!?」

戦士「おおっしゃあ!さーて、幾ら賭け……」

魔道士「…あ、えっとぉ……なくすつもりで……全部」

戦士「ぜっ、全部だとっ!?」
595 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:38:06.47 ID:oPA8Kgco


親「…素寒貧だ。降りるわ」

魔道士「あ、あのぉ……」

戦士「…うーん。減らすどころか……数十倍になっちまった」

魔道士「こ、こんな沢山どうしましょう?」

戦士「仕方ねぇ。最後はパーっといくか」

魔道士「パーっとですか?」

スタスタスタ

胴元「…おや?さっきのお兄さんじゃあないかい?」

戦士「お陰で助かったよ。ありがとな」

胴元「親分からいいシゴト、貰えたみたいだねぇ?」

戦士「まーな。お礼がてら遊ばせて貰うわ」

魔道士「し、失礼しますっ」

胴元「おや?カワイイお嬢さんが相手かい?」

魔道士「宜しくお願いしますっ!」
596 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:38:57.13 ID:oPA8Kgco
胴元「悪いけど…手は抜かないよぉ?」

魔道士「戦士さん、この『丁半』って、偶数か奇数を当てればいいんですよね?」

戦士「そ。簡単だろ」

合力「さぁさぁ、張った張った!半か…それとも丁かあぁ?」

賭博人「……丁だ!!4連続半だろ?もう続かん!!」

戦士「ほーっ、四連続か。確かにこりゃあ……」

魔道士「半に…全部ですっ!」

ズイッ

合力「ぜぜっ、全部ぅ!?」

戦士「お、おいおい……」

胴元「ず、随分増やしたんだねぇ…。しかしこりゃあちょっと……」

魔道士「だ、駄目ですか…っ?」

戦士「幾らなんでも暗黙のルールってのがなぁ」

テクテクテク

親分「面白い、受けてやりなさいな」
597 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:39:25.82 ID:oPA8Kgco
胴元「親分…っ」

戦士「いいのかい?」

親分「最悪、俺がケツ持ってやるさ」

胴元「よ、よーし!こちとら賭場勤めで15年さね!素人の小娘に負けてられるかいっ!」

魔道士「う、受けて立ちますっ!」

戦士「面白くなってきやがった!」

胴元「……開けるよ」

魔道士「……っ」

戦士「……」

親分「……」

カポッ

胴元「――っ!!」

魔道士「――!!」

合力「…………半!!サブロクの半だぁ!!」

戦士「い…よっしゃああぁぁ!!」
598 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:40:01.73 ID:oPA8Kgco


賭博人「うおおぉぉーっ!!俺の全財産がああぁぁ!!」

親分「アンタら強いねぇ」

戦士「俺じゃねぇって。全てこいつだ」

魔道士「そ、そんな事ないですよっ、ビギナーズラックってやつです!」

親分「仕方ないねぇ。おい、すぐに金を……」

戦士「あーいいよ、金は」

親分「金を捨てる奴は金に泣くぜ?」

戦士「最初のは情報量。あとはあぶく銭だ」

魔道士「こ、これ…どうします?」

戦士「どうしたい?」

魔道士「……そう…ですね」

テクテクテク

廃人「鬱だ……死のう……」

賭博人「俺の全財産……俺の全財産がああぁぁ!!」
599 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:40:49.52 ID:oPA8Kgco
テクテクテク…

魔道士「あ、あのぉ……」

廃人「……」

魔道士「よ、良かったらこれ…二人で……」

賭博人「全財産ん――えっ?」

魔道士「あげますから、お洋服買って今日は帰りましょ?」

廃人「こ…ここっ、これを……俺達…に?」

賭博人「くれる…ってのか…よっ」

魔道士「私達、もう行かなくてはいけないので……」

戦士「だってよ、大事に使えよ。んじゃな」

ゴソッ

親分「本当にいいのかい?」

戦士「あぁ、それが任侠ってモンよ……。行くぜ、魔道士」

魔道士「はいっ!それでは……!」

ザッザッザッザッザ…
600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:41:18.34 ID:oPA8Kgco
合力「……」

胴元「……」

親分「がははは!どうしたい?惚れたか?」

胴元「……ふん、まっさか」

親分「おいおい、ぽかんとした顔してねぇで、場を盛り上げねぇか」

親「…へ、へいっ!」

合力「さぁさぁ!張った張ったぁ!!」

廃人「……こ、これ」

賭博人「こんだけありゃあ……今までの負け分取り返せるぞぉ!」

廃人「は、半分ずつだかんな!」

賭博人「分かってらい!ほ、ほれっ」

子分「…今時、珍しい漢ですな」

親分「全くだ。それに比べ…・・・こりゃあどうしようもないねぇ。がっはっは!」

廃人「……チンチロ…チンチロ…ひひっ」

賭博人「次こそは丁っ!ぜーってえぇ丁だぁ!!」
601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:42:01.80 ID:oPA8Kgco


魔道士「……はぁ」

戦士「どした?」

魔道士「何だか疲れちゃいました」

戦士「パワーっつーか熱気っつーか」

魔道士「凄い所ですね…」

戦士「地下格闘だって似たようなモンだろ」

魔道士「違います!あれは健全な…れっきとしたスポーツです!!」

戦士「……そ、そう」

魔道士「賭博なんかと一緒にしないで下さいっ!ふんっ!」

戦士「は、はぁ……すみません」

魔道士「…それで、依頼はどうなんです?」

戦士「…ああ。こりゃ南方司令部が張った策だな」

魔道士「そうなんですか!?」

戦士「本国から直に華国領内の調査依頼なんて公には出せねーだろ」
602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:42:49.62 ID:oPA8Kgco
魔道士「そっか…」

戦士「だから、裏社会を通じて依頼を飛ばしてるんだよ」

魔道士「なるほど」

戦士「結局食いつくワーカーは居なかったってわけだがな」

魔道士「……」

戦士「……地図だな。今までの目撃ポイントが記されてる」

魔道士「…うわぁ。随分広範囲ですねぇ」

戦士「……不思議だな」

魔道士「えっ?」

戦士「華国っつっても…国境ギリギリしか出没してねぇ」

魔道士「…あ、言われてみれば」

戦士(何だ?何か理由があるのか…?)

魔道士「南だけではなく、北にも出没してますね」

戦士「北…。剣士さんの村とかある方だよな」

魔道士「ええ。そうなりますね」
603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/04(火) 18:43:25.61 ID:oPA8Kgco
戦士「この範囲から察するに、奴らは常に移動してるって事か」

魔道士「…っぽいですね」

戦士「時間かかりそうだなぁ」

魔道士「どうします?」

戦士「今夜は野宿になるかもな」

魔道士「え〜っ?」

戦士「しゃーねぇだろ。張り込みだ」

魔道士「張り込みって…どこでですか?」

戦士「当初の予定通りだよ。一番遭遇率の高そうな所」

魔道士「…分かれ道…ですか」

戦士「どうせ夜にならんと顔出さんだろ。今のうちに身支度整えておけ」

魔道士「はぁい」

戦士「仮眠も取っておけよー?」

魔道士「はぁーい」

戦士と魔道士はひとまず、繁華街へと戻って行った。
604 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage saga]:2011/01/04(火) 18:44:36.02 ID:oPA8Kgco
それでは失礼致します!また明日!!ノシ
605 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 21:03:39.80 ID:9unJS.DO
>>1乙っす
606 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/05(水) 00:39:57.91 ID:17j34gSO
乙です
流石大商人の娘、金の方から寄って来るんだな
607 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 03:48:34.22 ID:9xq5GASO
金「フヒヒヒww……」
608 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 11:39:07.05 ID:TqK.ncAO
毎度>>1乙んつん
これからパチンコ行くから魔道士ちゃん貸してくれ
609 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2011/01/05(水) 17:36:46.74 ID:gZXYw2DO
じゃあ、俺は競馬行くから魔導士ちゃん馬券選んでくれ
610 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:06:41.70 ID:2SvNj6co
〜華国、繁華街〜

戦士「…いよーっし、メシだメシ!」

魔道士「さっき酒場で食べたじゃないですかっ」

戦士「ありゃ軽食。これからは昼食」

魔道士「はぁ……」

戦士「夜は張り込みだ、今の内じゃねーとガッツリ食えねーぞ?」

魔道士「夜食べればいいじゃないですか〜」

戦士「臭いでバレんだろ。相手は魔物だぞ」

魔道士「…・・・おぉー」

戦士「なにが『おぉー』だよ」

魔道士「いえ、以前はそんな事気にもしなかったのに……」

戦士「成長してますからね、い・ち・お・う!」

魔道士「冷やかして言ったわけじゃないですよぉー」

戦士「分かってるよ。ほれ、そこの料理屋にすっか」

魔道士「はいっ」
611 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:08:10.28 ID:2SvNj6co
ガラッ…テクテクテク

料理人「いらっしゃいアル!」

戦士「餃子と餡かけ炒飯、麻婆豆腐に肉野菜炒め。ライス大盛」

魔道士「!?」

料理人「以上でいいアルか?」

魔道士「ち、ちょっと待って下さいっ!」

パラパラパラッ

魔道士「えっと…チャーシュー麺っ、にんにく抜きで!」

料理人「分かったアル」

テクテクテク…ジャッジャッジャッ

魔道士「戦士さんて華国料理、好きですよねぇ〜」

戦士「だって美味いじゃん」

魔道士「いや、まぁ…美味しいですけど……」

戦士「。それによ、なんかこう…内からパワーが湧いてくるって感じ?」

魔道士「華国には特殊な香辛料とか調味料が、沢山ありますからね〜」
612 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:08:56.59 ID:2SvNj6co
テクテクテク…ガチャガチャッ

料理人「はい、お待たせアル」

戦士「おほぉ、美味そう〜!」

魔道士「頂きます〜」

戦士「……んおっ!こりゃうんめぇ!!」

魔道士「餃子1個貰いますねっ」

戦士「おう、食え食え……」

魔道士「……どうしたんですか?」

戦士「…あれ、この味……っ」

魔道士「……?」

戦士「なぁオヤジ、あんたお弟子はいるかい?」

料理人「弟子…?住み込みで働いてたのは何人もいるアルよ」

戦士「…そっか」

魔道士「?」

戦士「ま、いいや!しっかし……美味いなぁ!」
613 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:10:09.34 ID:2SvNj6co


戦士「ごっそさーん」

魔道士「ご馳走様でした!」

料理人「また来るアル」

ガチャッ…テクテクテク

魔道士「…はーっ、お腹いっぱいです」

戦士「さーて、あとは少し仮眠を取って…夜に備えるか」

魔道士「ですねっ」

戦士「宿は多少割高でも、大通りのデカくて綺麗な個室の取れる所にしよう」

魔道士「……はい」

テクテクテク

魔道士「さっきの料理屋さん、行った事あるんですか?」

戦士「いやーないけどさ、北の港にソックリな味の店が……」

魔道士「あっ、だからお弟子さんを聞いて……」

戦士「どうでもいいちゃどうでもいい事だけどよ。世界って意外と狭いもんだよな」
614 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:14:32.05 ID:2SvNj6co
〜宿〜

フロント「…では2名様、別のお部屋でございますね」

戦士「ああ」

魔道士「お願いします」

フロント「こちらがお部屋の鍵でございます」

戦士「どーも」

スタスタスタ

戦士「そんじゃ18時にフロント集合で」

魔道士「分かりました!」

戦士「しっかり休んでおけよ〜」

魔道士「はーい」

テクテクテク…

魔道士「……気を遣わなくてもいいのに」

一足先に自室へと向かう戦士を背後から見つめ、魔道士は微笑んだ。

そして時刻は過ぎ、18時を迎える。
615 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:16:25.72 ID:2SvNj6co


魔道士「お待たせしました」

戦士「今日は軽装でいいぞ」

魔道士「そう思ってバッチリ!防寒だけしっかし整えて来ましたっ」

戦士「偉いっ」

魔道士「えへへ〜!!」

戦士「さーてと、それじゃ…分かれ道目指して出発〜」

魔道士「おーっ!」

戦士「…と、その前に。まずは馬を取りに行かなきゃな」

魔道士「そういえばお城へ預けっぱなしでしたね…」

戦士「ああ」

魔道士「それでは、お城に向かって出発〜」

戦士「おー」

魔道士「……私、乗れませんよ?」

戦士「……分かってるよ」
616 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:17:14.89 ID:2SvNj6co
〜東の城〜

衛兵「こちらの馬ですね?」

戦士「そうそう。おーしおしおし」

衛兵「なかなかの良馬。本国の南方の産駒ですかな?」

戦士「分かるのか!?」

衛兵「この毛ヅヤの良さは天候と気候に恵まれているからです」

魔道士「へぇ〜っ」

衛兵「南方の馬は柔軟性に富んだ、良い馬ですよ」

戦士「でもよ、赤兎には敵わねぇよな…?」

衛兵「――!?……赤兎を…ご存知で!?」

戦士「…ああ。まぁな」

衛兵「あれ程の馬は金輪際見ないでしょうね……」

戦士「そんなにか…」

衛兵「気性は荒いけど、力強くて逞しい。実に素晴らしい馬でした」

戦士「……」
617 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:18:14.84 ID:2SvNj6co
衛兵「おっと、すみません。無駄話でした」

魔道士「いえっ、そんな事…ないですよ」

衛兵「どうぞ」

戦士「…よし」

グイッ…

戦士「乗れっか?」

魔道士「はいっ、何とか……」

ググッ…ストッ

戦士「ところで白馬騎士さんの馬が見当たらんが……」

衛兵「ええ、昼頃お出かけに。またお忍びで巡回だと思いますよ」

戦士「……ふぅん」

衛兵「では、お気を付けて!」

戦士「世話になりました。……そんじゃ!」

魔道士「ありがとうございましたーっ!」

二人の乗る馬が上半身を小さく仰け反らせ、勢い良く厩舎を飛び出した。
618 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:19:08.18 ID:2SvNj6co
パッカパッカ…ドドッドドッドドッ…

戦士「このまま分かれ道まで進むぞ!」

ドドッドドッドドッ…

魔道士「はいっ!!」

ドドッドドッドドッ…

戦士「もし魔物が現れても仕掛けるなよ!防御体勢をとれっ!」

ドドッドドッドドッ…

魔道士「はいっ!!」

ドドッドドッドドッ…

戦士「不審な人間が居たら近づくな!知らせろっ!」

ドドッドドッドドッ…

魔道士「はいっ!!」

ドドッドドッドドッ…

戦士「……さぁ、飛ばすぞ!!」

魔道士「はいっ!!」
619 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:20:04.54 ID:2SvNj6co
街を外れると周囲は完全な闇となり、耳へ入るのも風の音か野鳥の羽音程度。

本国であれば通りすがる通行人の松明などあろうが、ここにはそれもない。

それは即ち、人気がない、という事の証明ともなり得る。

〜分かれ道〜

魔道士「……っ」

戦士「寒いのか?」

魔道士「い、いえっ。改めて見ると…不気味だな……って」

戦士「今更何を言ってんだか……」

魔道士「だから改めてって言ってるじゃないですかっ」

スタスタスタ

魔道士「ちょっとぉ!?」

戦士「大きな声出すんじゃねぇ…っ。早く来い」

魔道士「……っ」

タッタッタッタ

戦士「この茂みで張るぞ。ここにいろ」
620 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:21:22.58 ID:2SvNj6co
魔道士「ど、どこ行くんですかっ!?」

戦士「…馬を離れた所に置いてくるんだよ」

魔道士「そ、そうなんですか…っ!?」

戦士「傍に置いといたらバレちまうだろ」

魔道士「うぅ…っ。早く帰ってきて下さいよ〜」

戦士「……へいへい」

テクテクテクテク

戦士「ここいらでいいか――」

ピクッ!!

戦士「…!?」

普段であれば気付かぬであろう、一瞬の気配。それを感知させたは、

通常よりも警戒心を高めていたせいか、単身だからこその業か。

戦士(今のは魔物の感じじゃねぇ…っ!人のモンだ!)

ササッ!!

戦士(……確か、五虎将軍が言ってたな。威圧が出てるって)
621 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:22:17.32 ID:2SvNj6co
スゥッ…

戦士(ならば…その逆も然り!)

それは性格によるものかもしれないが、戦士は普段からあまり気配を隠さない。

なればこそ、五虎将軍らが述べるように、

威圧とも言うべき気配が、常時発せられている。

戦士(盗賊にだって出来ている事だ、俺だって……)

ッ…

盗賊に於いてはまさに気配を消す事こそ家業、いや、生まれながらにして

染み付いたとも言うべき、本人にとっては至って普通の行為。

毎日の排泄と等しく、気配を消す事は当たり前の行為なのだ。

戦士「…………」

とはいえ、普段より慣れていない戦士は気配を隠す事において非常に困難。

絶ったつもりであっても、微弱ながらそれは周囲に溢れ出す。

戦士(……来るっ!)

それに気付けるは、同じく威圧や気配を調節出来る、そのような存在のみだが。
622 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:23:00.38 ID:2SvNj6co
……ドドッドドッドドッ

戦士(……馬っ!?)

ドドッドドッドドッ…

戦士「――っ!!」

ドドッドドッ…ドドッ……

戦士「……今の……は」

茂みに身を忍ばせた戦士の元を走り去る馬とその主。

その馬は巨体を跳躍させ、そのそそり立つ赤毛の鬣を揺らし、走り去って行った。

戦士「赤兎……っ!?い、いや……それより」

紛れもなく、見間違うわけもない巨馬は騎都尉の愛馬、赤兎。

いや、今は亡き騎都尉の元を離れ、ある男の所有馬と相成っている。

戦士「……け、剣士……さんっ!?」

ガバッ!!…キョロキョロッ

戦士「……っ!」

我に返った戦士は、大慌てで魔道士の元へと走りだした。
623 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:23:51.68 ID:2SvNj6co
タッタッタッタ…ガサッ

魔道士「――!?」

戦士「……はぁ…はぁ」

魔道士「お、驚かさないで下さいよっ!」

戦士「…すまん、行くぞ!」

魔道士「い、行くって……どこに!?」

戦士「いいから来い!」

魔道士「ま、待って下さいって!」

タッタッタッタッタ

魔道士「け、剣士さんが…っ?!」

戦士「ああ…間違いない。ありゃ赤兎だ」

魔道士「乗っていたのは剣士さんなんですか!?」

戦士「顔は見えなかったが、まず間違いないだろう」

魔道士「……っ」

戦士「あれだけの暴れ馬、一朝一夕で乗りこなせるわけがない」
624 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/05(水) 18:25:38.07 ID:2SvNj6co
タッタッタッタッタ

魔道士「な、なるほど……」

戦士「そうなると長期間所有している奴じゃなきゃ無理だろ」

魔道士「……っ」

戦士「それに、剣士さんが赤兎を手放す理由がねぇ」

魔道士「でもっ、何で剣士さんが…!?」

戦士「それを確かめにいくんだよ!」

魔道士「……」

戦士「こんな時間に単身、馬をかっ飛ばすなんぞ普通とは思えねぇ」

魔道士「な、何かあったんでしょうか…!?」

戦士「どうだかな。ほれ、馬に乗れ」

魔道士「はいっ」

戦士「真っ向から追うのは悟られる。少し迂回して行くぞ」

魔道士「お任せします…!」

戦士「……追いつけると…いいがなっ!」
625 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 18:43:29.52 ID:xkdBkMoo
> 魔道士「えっと…チャーシュー麺っ、にんにく抜きで!」

わかります
626 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/05(水) 18:49:54.59 ID:dUFg5oDO
ぽかぽかする
627 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 00:08:07.90 ID:hf6d4uco
いちおつおつなんだぜ
現行幾つか見守っていると
このスレの努力と根気を痛感するな
オスだけど>>1愛してるぜっっ
628 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 00:50:21.95 ID:B3qA56AO
>>1おつ
629 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 03:04:44.63 ID:7Lk4mcSO
>>1乙!
今、まとめ読み返してるけど
1年ちょいの月日はさすがにすごいな!ボリュームたっぷりwwwwww
リアルタイムでは気づかなかった伏線もニヤニヤしながら見ている

ダメ召喚士がクールなまとめ役かつ
地味に大きな将器あふれるキャラに
成長しているんだなと実感したわ
630 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/06(木) 03:46:45.59 ID:EWX9JADO
排泄・・・盗賊ちゃんの排泄・・・ 
ゴクリ
631 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 10:05:06.22 ID:/PAPo6Eo
読み返して思ったが南方では召喚士が、東方では青年兵が女装したんだが
方角と属性が同じなんだよな


つまり残りの司令部で神官とサモナーの女装も見れるわけか
そして4人の女装子が揃った時には5人目の名代子が現れるんだな
オラ、ワクワクしてきたぞwwwwww
632 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 15:09:59.45 ID:j6gOeQko
そこに気付くとはやはり天才か…
633 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 15:15:58.93 ID:y9QITSso
マスク・ド・ジーニアスにそんな趣味が
634 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 17:51:21.91 ID:n8BQA.AO
つまり>>630=マスク・ド・ジーニアスか
635 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/06(木) 18:06:02.66 ID:JlCjllYo
何だかよく分からないけど天才が変な方向に…っ!?

読み返して頂いてるなんて逆に申し訳ないくらいっす!
努力と根気は皆様のご支援で出来てます!オスメス問わず

ちなみに>>631は初めて知りました!伏線として…使えねぇ!↓続き
636 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:06:45.09 ID:JlCjllYo
ドドッドドッドドッ…

戦士「しっかり掴まってろよっ!」

魔道士「……っ」

迂回する、と言っても他に道などあるはずもない。

戦士は南側の森林部に馬首を返すと、木々を縫うように駆ける。

ドドッドドッ…ガサガサガサッ…

戦士(……頼むぞぉ!)

暗闇の中、小枝を避けて突き進むは戦士の乗馬技術も手助けしているが、

普段より馬と携わっていない彼の技術は、一流と呼べるようなものではない。

しかしながらそれを為せるのは、しなやかさを備えた南方馬自身によるもの。

戦士「もっとしっかり掴まって……身を屈めろっ」

魔道士「はい……っ!」

ドドッドドッ…ガサガサッ…ドドッドドッ…

戦士(この速さじゃあ、到底追いつけるとは思えねぇが……)

左腕に備えた盾を眼前に掲げ、戦士は森の中より気配を探る。
637 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:07:46.34 ID:JlCjllYo
ドドッドドッドドッ…

戦士「……」

魔道士「……」

キラッ

戦士「…っ!?」

ググッ…ドドッドドッ…ズザザアアァァ

魔道士「ど、どうし――」

戦士「静かにっ!」

魔道士「……っ」

右方で何かが光った。一瞬の出来事であったが、神経を研ぎ澄ませていた

戦士はそれを見逃す事はなかった。

戦士「……」

魔道士「……」

それはおそらく月明かりに反射した金属、例えば鞘や防具の一部か。

下馬する二人は森の中を慎重に、音を立てず、道へと足を進める。
638 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:08:15.29 ID:JlCjllYo
ガサッ…ザッザッザ…

魔道士「馬は……?」

戦士「鳴き声や気配で悟られたくねぇ。ここに結び付けておく」

魔道士「……はいっ。手伝います」

戦士「大丈夫だ、もう終わる」

キュキュッ…グイッ

戦士「すまんな、ちょいと待っててくれ」

馬「……ブルルッ」

ザッザッザ

この時点で魔道士は、何故、戦士が隠密行動を選択したのか謎であった。

馴染みの深い剣士相手ならば、隠れる必要はないからである。

魔道士「……」

しかし、戦士の強張った表情と、事前に聞いていたレジスタンスの人間。

その二つが作用して、魔道士の口から質問として零れる事はなかった。

戦士にとってもそれは同様であり、現在の行動へと至っている。
639 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:08:49.17 ID:JlCjllYo
ザッザッザ…

戦士「……建物?」

魔道士「お寺…ですかね?」

戦士「……っ!!赤兎だっ」

魔道士「……!!」

分かれ道よりやや北西へと進んだ場所に位置する、古びた小さな寺。

今は使われていないらしく、ところどころに苔や草の蔓が巻きついている。

コソコソッ…ソソーッ

戦士(……もう一頭…?誰かと会っているのか?」

寺の背後から正面側をそっと覗きこむ戦士の目に、馬が二頭並ぶ。

戦士「――っ!!」

一頭は言わずもがな赤兎馬。もう一頭は芦毛の馬。即ち白馬騎士のものである。

魔道士「……っ!!」

戦士(あれは……白馬騎士さんの!?)

戸惑う二人を余所に、寺の中より二人の男が会話を始めていた。
640 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:10:12.09 ID:JlCjllYo


剣士「……は、明……のですね?」

白馬騎士「ああ。……に…………っている」

剣士「安……ました。ならば……」

白馬騎士「……は承知。……だが、私が……」

戦士(…くそっ、途切れ途切れで全然分かんねぇ…っ)

魔道士「……」

ピクッ

戦士「……?」

何かの気配に勘付き、戦士は寺の屋根をゆっくりと見上げる。

戦士「っ!!」

ファサッ

戦士「……いつから…いた…っ」

ガーゴイル「……ケケッ!」

戦士「ちぃ…っ!」
641 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:11:29.20 ID:JlCjllYo
バッ!!…ダダッ!!

魔道士「っ!?」

屋根の上に留まるガーゴイルを目撃し、魔道士は声を上げる間もなく、

その場を走り去る戦士の脇に抱えられていた。

ガーゴイル「逃がすかっ!」

ババッ!!

白馬騎士「何だ…っ!?」

剣士「僕が行きます!」

タタッ…ザザッ

剣士「…ガーゴイル!」

ガーゴイル「人間だ!逃げたぞ!!」

剣士「いい。僕が行く」

ガーゴイル「……ッ」

バサッ…バサァ

剣士「先に戻っていてくれ。それと場所をK-4地点に移すように」
642 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:12:13.77 ID:JlCjllYo
ガーゴイル「…分かった」

バサァ……バサッバサッ…

剣士「……」

ザッザッザ

白馬騎士「人間か?」

剣士「…白馬騎士様。そのようですね」

白馬騎士「……まさか、聞かれたか?」

剣士「…どうでしょう。しかし華国の人間であれば厄介ですね」

白馬騎士「……」

剣士「白馬騎士様はとにかくお戻り下さい」

白馬騎士「任せて…良いのだな?」

剣士「ええ。ここは僕が引き受けます」

白馬騎士「……すまん」

剣士「それでは、明日改めて…」

白馬騎士「…ああ」
643 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:13:05.47 ID:JlCjllYo
ザザッ…パッカパッカパッカ…

剣士「……」

白馬騎士とほぼ同時に、剣士は赤兎の背に跨り、

ガーゴイルの捉えた不審者を追う。

剣士「……はぁっ!」

ドウッ!!

一度の跳躍で空中を闊歩するように、弧を描き飛ぶ赤兎馬。

南方馬とは対称的に、直線的で力強いそれは、元の主を彷彿とさせる。

ドドッドドッドドッ…

剣士「……面倒な事にならねば良いが……」

ドドッドドッドドッ…

剣士「最悪の場合は……っ」

ドウッ

月光に照らされた赤兎が、闇夜の中を駆け抜ける。

それは大空を瞬く間に過ぎ去って行く、赤い彗星の如くであった。
644 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:13:46.46 ID:JlCjllYo
ザザッ…ザザザッ

戦士「…やっべぇ!来たぞぉ!!」

魔道士「も、もう大丈夫ですからっ!降ろして下さいっ!」

戦士「よし、着いた!!」

ザザァ!!

戦士「……紐を……こんのっ」

魔道士「……っ」

戦士「魔道士っ!時間稼げるか!?」

魔道士「……やってみますっ!」

キュイイィィ…

戦士「……解けた!行くぞっ、乗れ!!」

魔道士「は、はいっ!!」

ババッ…グイッ

戦士「振り落とされんなよぉーっ!」

魔道士「……っ!」
645 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:14:35.95 ID:JlCjllYo
ドドッドドッドドッ…

剣士「馬の音…!?こっちか!!」

グイッ…ドドッドドッドドッ…

剣士「単騎か…。偵察――」

ドドオオォォンッ!!…ボゴオオォォ!!

剣士「地面が……っ!?」

赤兎馬「ヒヒイイィィン!」

ドドォ…

剣士「……っ」

赤兎馬「……ブルルゥ」

剣士「土行の魔法か…?」

地面より迫り出した岩の柱を見つめ、剣士は赤兎の手綱を引く。

剣士「……しかし、これで逃げ切れると思うなっ!」

グイッ…ドドッドドッドドッ…

剣士「……見られてしまったからには……っ!」
646 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:15:44.33 ID:JlCjllYo
ドドッドドッドドッ…

白馬騎士「……」

ドドッドドッ…ドドッ…

白馬騎士「……まさか……っ!」

帰路に着く白馬騎士が愛馬の足を止める。

白馬騎士「……っ」

あの場面での不審者による逃亡。それは普通、人間相手ならば

突如頭上に現れた魔物に対し、寺の中に居た彼らへ声をかけるはずである。

白馬騎士「……知っていた…のか!?」

咄嗟の場で逃走という選択肢を取った不審者の考えうる可能性。

それは、既にガーゴイルと彼らの関係を疑っていた者に限るのである。

白馬騎士「……」

その上で、白馬騎士の脳裏に浮かぶ不審者の正体。それは容易なもの。

白馬騎士「……戦士殿、か」

息を飲み込むように呟いた白馬騎士は咄嗟に馬を反転させ、来た道を駆けた。
647 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:16:23.84 ID:JlCjllYo
ドドッドドッドドッ…

戦士「……何とか…あそこまで」

森林を山あいの崖沿いに疾走する馬。その馬上には戦士と魔道士。

魔道士「戦士さんっ!!」

戦士「!!」

ドドッドドッドドッ

魔道士「き、来ましたよ…っ!」

戦士「何だよあの馬は!?……通常の三倍は早いぞ!!」

ドドッドドッドドッ

剣士「…二人……か!?」

ドドッドドッドドッ

戦士「ちっ、仕方ねぇ!しっかり捉まってろよっ」

魔道士「!?」

バッ!!

剣士「何っ!?崖を……!?」
648 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:18:54.00 ID:JlCjllYo
ズザザアアァァ

剣士「……」

急斜面の崖を勢い良く飛び降り、疾走する不審者の馬。

剣士は呆気に取られながらも、しばし崖下を見つめ生死を確認する。

ドドッドドッドドッ…パッカパッカ

白馬騎士「剣士殿っ!」

剣士「白馬騎士さん…!?」

ドドッドドッ…ドドォ

白馬騎士「……逃がしたか?」

剣士「崖を飛び降りました…。まさかそんな事が出来るとは……」

白馬騎士「柔軟性の高い馬なら可能であろうな」

剣士「……」

白馬騎士「それに、鹿が降りられるような崖だ。馬とて……」

騒ぎに呼応して慌てて崖をくだり、その場を逃げる一匹の鹿。

それを見つめ、白馬騎士は剣士へ語る。
649 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:19:31.90 ID:JlCjllYo
剣士「……なれば、赤兎とて」

白馬騎士「いや、いい」

剣士「……?」

白馬騎士「おそらくは華国のものではない」

剣士「…心当たりが?」

白馬騎士「…ああ。明日にでも分かるだろう」

剣士「……」

白馬騎士「とにかく今は、明日の事に専念してくれ」

剣士「……分かりました」

白馬騎士「それと、もし誰かが訪ねてきたら……」

剣士「……」

白馬騎士「その者らも同行させてくれ」

剣士「……?」

白馬騎士「では、失礼するぞ」

再び帰路へと発つ白馬騎士を見送り、剣士もその場を後にした。
650 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:20:08.61 ID:JlCjllYo


戦士「……」

魔道士「……はぁ」

戦士「大丈夫か…?」

魔道士「はい…っ。ビックリしましたけど……」

戦士「…ま、お陰で何とか振り切ったみてぇだな」

魔道士「……でも、凄いですね」

戦士「ああ…っ、お前のお陰だ。偉いぞっ!」

ガシガシッ

南方馬「ブヒヒィ!」

戦士「……さーてと」

魔道士「一度、東の城へ戻りますか?」

戦士「……いんや。このまま向かう」

魔道士「……?」

戦士「…剣士さんの村へな!」
651 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:20:48.77 ID:JlCjllYo


ドドッドドッドドッ…

魔道士「……あ、あのぉ…戦士さん」

戦士「んー?」

魔道士「…やっぱり剣士さんと…白馬騎士さんが」

戦士「目撃情報のあったレジスタンスのリーダーってのは、剣士さんだろうな」

魔道士「……っ」

戦士「ただ、白馬騎士さんの目論見が読めねぇ」

魔道士「ええ…っ」

戦士「でもよ、なんとなく見えてきたぜ。この一件」

魔道士「……そうですか?」

戦士「剣士さんが魔王軍と通じるような人だと思うか?」

魔道士「…思いませんっ!」

戦士「だろ?なら考えうるは一つ。…まぁ、剣士さんの村へ行けば分かるはずだ」

魔道士「……はいっ」
652 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:21:27.54 ID:JlCjllYo
戦士と魔道士、そして二人を乗せる南方馬は休憩を挟みつつ、

夜通し華国を駆け抜け、明け方には剣士らの住む村へと到着する。

パッカパッカパッカ…

戦士「着いたー!ご苦労さんっ!」

南方馬「ブルルウゥ!」

魔道士「あとでたっくさん、ご飯あげますからねっ!」

南方馬「ヒヒイイィィンッ!」

戦士「さーて、行くか」

魔道士「もう帰ってますかね?」

戦士「いや、まだだと思う」

魔道士「じゃあ……」

戦士「先に行って待ってようぜ」

テクテクテク…コンコン

戦士「……」

魔道士「……」
653 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:22:04.00 ID:JlCjllYo
カチャッ

弓使い「はぁ〜い。……っ!!」

戦士「お久し振りっす!」

魔道士「弓使いさんっ!お元気ですか?」

弓使い「戦士くんに……魔道士ちゃんっ!!」

ガバッ…ギュウウゥゥ

弓使い「ちょっとぉ、久し振りじゃない〜!」

魔道士「……ゆみちゅかいしゃん……くりゅしいぃ…っ」

弓使い「…あっ、ごめんなさいっ。!さぁ、入って入って!」

戦士「お邪魔しまーす」

魔道士「…お、お邪魔しますっ」

スタスタスタ

弓使い「幼女ちゃ〜ん、ちょっとーっ」

幼女「はぁーい」

パタパタパタッ
654 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:22:42.29 ID:JlCjllYo
幼女「っ!!」

魔道士「幼女ちゃーんっ!!」

幼女「お姉ちゃーん!」

タッタッタ…ダキッ

魔道士「元気だったぁ!?」

幼女「うんっ!元気だよっ。お姉ちゃんも?」

魔道士「私もだよーっ!幼女ちゃん、ちょっとおっきくなったんじゃない!?」

幼女「うんっ!おっきくなったーっ」

弓使い「今日はどうしたの!?前もって連絡くれれば良いのに〜」

戦士「ちょっと近くまで来たもんでね。ところで、剣士さんは…?」

弓使い「それがまだ帰ってないのよ〜」

戦士「……ふぅん」

弓使い「最近は夜も仕事してるみたいで……」

戦士「へぇ…。大変だなぁ」

弓使い「そんな貧乏な生活してるわけでもないのにね…。さ、座って頂戴っ」
655 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:23:29.48 ID:JlCjllYo


テクテクテク…コトッ

弓使い「ごめんなさいね〜。朝食の準備してたから適当で…」

戦士「お構いなく。こっちこそ朝っぱらからすいません」

幼女「お姉ちゃん見て見て!これ、私作ったのー!」

魔道士「花飾り?上手〜!見せて見せてっ」

弓使い「幼女ちゃんたら、すっかりはしゃいじゃって」

戦士「年齢の近い奴が来て嬉しいんすよ。精神的な……」

魔道士「何か言いましたぁ〜?」

戦士「いーえ。……それで、剣士さんは何を?」

弓使い「それが全く教えてくれないのよ〜」

戦士「……」

弓使い「私ね……思うの」

ズイッ…コソコソッ

戦士(やっぱ弓使いさんも…勘付いて……)
656 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:24:05.29 ID:JlCjllYo
弓使い「剣士ったら、隠れて浮気してるんじゃないかしら…?」

戦士「!?」

弓使い「…それ以外に理由が浮かばないのよ…っ」

戦士「そ、それは…ないんじゃないかなぁ…?」

弓使い「……だってぇ」

戦士「剣士さんはそんな男じゃないっすよ!は、ははっ…!」

弓使い「ワーカーとして普段の依頼で十分生活出来てるのよ〜?なのに……」

戦士「た、鍛錬でも…してるんじゃないかなぁ〜?」

弓使い「…ねっ、戦士くん。お願いがあるのっ!」

ズイッ!!

戦士「は、はいぃ…!」

弓使い「ワーカーとして浮気調査を――」

カチャッ

剣士「ただいまー」

戦士「!!」
657 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:24:55.16 ID:JlCjllYo
テクテクテク…ピタッ

剣士「……戦士…くんっ!?」

戦士「剣士さん、お久し振りです」

幼女「あっ、おかえりなさーい!」

魔道士「……剣士さんっ!」

剣士「魔道士さんも……っ」

弓使い「もうっ、こんな朝っぱらまでどこ行ってたのよっ!」

剣士「ゴメンゴメン、仕事が長引いちゃって……」

テクテクテク…スンスン

剣士「な、何っ!?臭い……?」

弓使い「……匂いは普通ね」

剣士「へ…っ?」

戦士「……あー、帰ってきて早々なんだが…剣士さん」

剣士「ん、何だい…?」

戦士「ちょいとお話があるんだが……」
658 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:26:02.20 ID:JlCjllYo


剣士「二人きりで良かったのかい?」

戦士「…ええ。二人のが都合いいもんで」

家の外に出る戦士と剣士。二人は無言で歩きながら村の入り口へと移る。

スタスタスタ…

剣士「ところで、今日は召喚士くんと盗賊さんは……」

戦士「別行動っす。今日は俺と魔道士の二人、それに……」

スタスタスタ…ザッ

戦士「……この、馬だけっす」

南方馬「ブヒヒイィン」

剣士「……」

戦士「剣士さん、アンタ…昨晩俺らと会ったよな?」

剣士「……」

戦士「赤兎なんて馬、世界に一頭しかいやしねぇ」

剣士「……ふ、ふふっ。あはははっ!!」
659 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:26:49.79 ID:JlCjllYo
戦士「……」

剣士「…なるほど、白馬騎士様の言っていた事が分かったよ」

戦士「……?」

剣士「戦士くん。察しの通りさ」

戦士「…話せますか?」

剣士「もちろん。だが、これだけは約束して欲しい」

戦士「…内容によります」

剣士「弓使いと幼女にだけは言わないで欲しいんだ」

戦士「……」

剣士「とは言っても、もう話してしまったかな?」

戦士「そんなこったろうと思って、まだ話してないっすよ」

剣士「……そうか。ありがとう」

戦士「でも、別の心配した方がいいかもしれないですよ…」

剣士「え…?」

戦士「い、いや…っ。それは…当事者同士で解決して下さい…」
660 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 18:29:53.15 ID:JlCjllYo


戦士「さっきは逃げてすいませんでした」

剣士「いや、こっちこそ。済まない」

戦士「剣士さんだと分かったが、万に一つの可能性も考えて…」

剣士「賢明な判断だと思うよ。僕も同様だったと思うし」

戦士「でも、ここで弓使いさんの話を聞いて、はっきり分かりましたよ」

剣士「……」

戦士「噂されている魔物の群れ、あれは味方だ」

剣士「……」

戦士「そしてそれを統制しているのは、剣士さん…あんたですね?」

剣士「…流石だね。まさにその通りさ」

戦士「しかし、何でそんな手間のかかるような真似を……」

剣士「実は、頼まれてしまってね」

戦士「頼みって……まさか…っ」

剣士「…ああ。白馬騎士様だよ」
661 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/06(木) 18:31:07.13 ID:JlCjllYo
とても中途半端ですがこれにて失礼致します!
ご支援ありがとうございましたー!ノシ
662 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 18:35:11.80 ID:I9cAvJAo
うおー、続きが気になる……!
乙!
663 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 18:56:02.22 ID:B3qA56AO
>>1おつ

思ったが召喚士って近接戦闘用の召喚獣が少ないな。スフィンクスはでかいし、ユニコーンだと馬力に欠ける
664 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 19:45:25.04 ID:9NZVcIAO
毎度毎度>>1乙んつん
665 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/06(木) 19:46:16.75 ID:IKFdRr2o
>>663
そりゃお前、馬なんだから一馬力にしかならんわな。
666 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 19:55:55.80 ID:ISbJ5oMo
そんじゃユニコーンにもバリキってもらうしかあるまい
667 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 20:23:31.03 ID:V/UUkgAO
>>1

最近魔導師ちゃんの活躍がたくさんで、セリフも一つ一つがちいち可愛い…

俺はもうダメかもしれん。幸せすぎてダメかもしれん…
あぁ、いっぱいの愛で潰れてしまいそう
668 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 20:42:54.11 ID:hkklOCwo
ガンダムと源義経の夢の競演わろた
669 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 21:54:26.58 ID:WKoK02AO
シャア専用赤兎馬
670 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2011/01/06(木) 23:04:40.66 ID:xghF1kDO
戦士→義経→陰陽座の組曲『義経』→和のイメージ→盗賊

つまり、盗賊ちゃんは、黒猫様の様に美しい!?
盗賊ちゃんマジ天使!
671 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:29:23.28 ID:9F49RW6o
戦士「……なーるほど。そういう事か」

剣士「これで、全て繋がった…かな?」

戦士「ああ。どーりで顔を見せねぇと思ったよ」

剣士「……今夜、全てが分かるよ」

戦士「…?」

剣士「歴史的な1ページが開かれる瞬間さ」

戦士「ま……さか!?」

剣士「こんな日に巡り合わせるなんて…これも何かの運命なのかもしれない」

戦士「……」

剣士「特に戦士くん。君にも馴染みあるだろうしね」

戦士「……」

剣士「是非、来てくれ。白馬騎士様もそれを望んでおられる」

戦士「俺……が?」

剣士「ああ」

戦士「……っ」
672 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:29:57.22 ID:9F49RW6o
剣士「構わないよね…?」

戦士「……ああ」

剣士「良かった」

戦士「でも、一つ条件がある」

剣士「…条件?」

戦士「弓使いさんや幼女ちゃんにも、きちんと話すんだ」

剣士「……」

戦士「剣士さん、アンタは分かってるのか?」

剣士「……ああ」

戦士「今回だってヘタすりゃ魔物と結託してるって、処刑されてたかもしれねぇんだぞ!?」

剣士「……っ」

戦士「来たのが俺らだったから良かったものの……天才さんとかだったら……」



天才『罪人は魔物共々……死ねぇ!!はーっはっはっは!』

剣士『ぎゃああぁぁ!』
673 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:30:26.68 ID:9F49RW6o


戦士「……こうなってたに違いない」

剣士「……」

戦士「それに、あの二人がどれ程心配しているか……」

剣士「…だから、言えないんだよ」

戦士「……」

剣士「これ以上、彼女達を戦いに巻き込みたくないんだ…」

戦士「剣士さん…」

剣士「だからと言って、俺も一緒に指を咥えて、傍観しているだけなんて出来ない…っ」

戦士「……」

剣士「幾ら味方とはいえ、魔族は魔族。この件についてはあまり関わって欲しく……」

戦士「……」

剣士「ど、どうした…?」

戦士「……手遅れ……かも」

剣士「……へっ?」
674 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:30:54.03 ID:9F49RW6o
クルッ

剣士「――っ!!」

弓使い「……」

幼女「……っ」

魔道士「ご、ごめんなさい…っ!長いから…呼びに……」

弓使い「魔道士ちゃん、あなたの謝る事じゃないわ」

剣士「弓使い…っ。幼女…ちゃん」

ツカツカツカ

剣士「…あ、あの……っ」

弓使い「……」

パシイィン!!

魔道士「……っ!」

戦士「……き、強烈…っ」

弓使い「…人が……どれだけ心配していると思ってるのよっ!」

剣士「……す、すまん」
675 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:31:24.27 ID:9F49RW6o
弓使い「……そうやって……一人で…っ」

テクテクテク…ギュッ

弓使い「……置いて……いかないでよぉ」

剣士「弓使い……」

幼女「剣士さんっ。弓使いさんを泣かしちゃダメッ!」

剣士「幼女ちゃん……っ」

弓使い「手助けは出来ないかもだけど…っ、だけど…心の支えくらい……」

剣士「……」

弓使い「そのくらい……私にも…させてよ…っ」

剣士「……っ」

ギュッ

剣士「…済まなかった。お前の言う通りだ」

弓使い「……バカッ」

戦士「……めでたしめでたし…ってか」

魔道士「はいっ」
676 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:31:58.14 ID:9F49RW6o
テクテクテク

男の子「…お兄ちゃん達、朝から何やってんだぁ?」

女の子「あー知ってるぅ!好きな人とぎゅってするんだよねー?」

弓使い「ち、ちょっと…っ!違うのよっ、これは……」

男の子「へーっ!それじゃ俺もやろーっ」

女の子「し、しょうがないわねぇ…」

男の子「幼女ちゃーんっ!」

幼女「えぇ!?」

女の子「ちょっとーっ!!」

幼女「わ、私はいいからぁ〜!」

男の子「待ってよぉー」

女の子「こらぁーっ!」

魔道士「ふふっ……ふふふふっ!」

戦士「ははははっ!!」

弓使い「ふふふっ!」
677 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:32:29.23 ID:9F49RW6o
〜剣士の家〜

弓使い「…全く、あなたがそんな事してたなんて…ビックリよぉ」

剣士「ごめん……。なかなか言い出せなくて」

弓使い「道理で羽振りの良い仕事だと思ったわ」

戦士「…そんなにいいの?」

剣士「い、一応国家単位の依頼だし……」

戦士「……本国のヤツら…ケチだよなぁ」

魔道士「そんな事ないですよぉ」

弓使い「それで、今夜で終わるのね?」

剣士「一応はね。細々とした雑務はまだまだあるけど」

幼女「じゃあ…オークさんとかも?」

魔道士「そうだよ〜。ここからずーっと南に行くとね、魔物さん達が暮らす国があるの!」

幼女「へぇーっ!すっごぉい!!」

剣士「平和になったら……みんなで行こうな!」

幼女「うんっ!」
678 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:35:30.17 ID:9F49RW6o
それからしばらく、彼らは互いの近況や雑談に華を咲かせ、

時刻はあっという間に夕暮れとなる。



剣士「じゃあ、行こうか」

戦士「うっす!」

弓使い「三人とも、気をつけてね……っ」

魔道士「はいっ!頑張ってきます!」

幼女「……っ」

ナデナデッ

魔道士「大丈夫だから…。心配しないで?ねっ?」

幼女「……うん」

剣士「朝には戻るから。それじゃy行ってくる」

弓使い「行ってらっしゃい!」

幼女「…剣士さん、頑張って!!」

剣士「…ああ!」
679 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 23:36:37.71 ID:ISbJ5oMo
> オークさん

オークさんの奥さんもいるんだろうなぁとモゴモガ
680 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:45:52.45 ID:9F49RW6o
時を同じくして、東の城では慌しい事態を迎えていた。

兄者「……どういう事かな?」

白馬騎士「ですから、これより陛下と共に視察へ向かいます」

錦将軍「おいおい、幾ら大将軍だからって…好き勝手していいとは限らんぜぇ?」

老将軍「皆の申す通りじゃ。ただでさえ近頃、嫌な噂が耐えん」

弟者「魔物がどーたらってやつだろ?」

白馬騎士「……」

兄者「事情があるようだが……ではこうしよう」

白馬騎士「……?」

兄者「我らも共に行く。それなら良かろう」

弟者「おいおいっ、兄者!」

兄者「五虎将が揃っておれば、魔物の百や二百はさほどの問題でもあるまい」

錦将軍「そりゃあそうだがよぉ……」

兄者「それとも…貴公らは陛下をお守りする自信がないとでも?」

老将軍「…仕方がないのぉ。そう致すとしようか」
681 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/06(木) 23:49:58.99 ID:9F49RW6o


側近「陛下……ご進発!」

兄者「各々方は馬車を取り囲むように馬を並べい!」

弟者「あいよぉ!」

ガガッ…ドドォ…

老文官「…宜しいのか?」

側近「白馬騎士殿が頭を下げて頼み事をするなど、かつてあったでしょうか」

若文官「……それほど、大事なのであろう」

側近「ですから、私は彼を信じます」

老文官「…まぁな。一度枯れかけた華国を蘇らせたのは、あの者の功績が大きい事よ」

パッカパッカパッカ…

白馬騎士「……」

兄者「それで、何処へ向かうというのだ?」

白馬騎士「……目指すは、南です」

錦将軍「…南?」
682 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 00:00:05.29 ID:cH.5ZKQo
ただ小さな点でしか過ぎなかったものが、一つ一つ組み合わされ、線となる。

その線が一つ一つ繋ぎ合わされ、一つの大きな丸となる。

この夜、まさに大きな丸が描かれようとしていた。

剣士の言葉を借りるならば、歴史的な1ページ。

ドドッドドッドドッ…ドドォ

剣士「……」

華国、分かれ道を南に降る事しばらく。ここは本国との国境線。

白馬騎士「……陛下、しばしお待ちを」

三男「…うむ」

ひとたび国境線を踏み越えてしまえば、それは侵犯となり国家間の問題となるは必須。

戦士「……」

魔道士「……」

南方は比較的柔軟ゆえ、国境線の見張りなどは置かれてはいない。

しかし彼らはそれを越えようとはしない。それが互いに対する礼儀であるからだ。

華国の領内にて待機する彼らの元へ、ようやく一頭の馬に揺られて、当事者が姿を現した。
683 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/07(金) 00:08:22.48 ID:cH.5ZKQo
残念なお知らせですが…寝ます
ご支援ありがとうございました!それでは、お休みなさい!ノシ

〜オマケ〜

幼女「……」

弓使い「幼女ちゃん、そろそろ寝なさいな」

幼女「うん……」

弓使い「剣士達が心配…?」

幼女「……うん」

弓使い「大丈夫!みーんな強いんだから」

幼女「…うん」

弓使い「それに、オーク達だっているのよ?」

幼女「うん…そうだよね」

弓使い「ねっ?だから寝ましょ?」

幼女「うんっ、おやすみなさい!……あっ」

弓使い「…なに?」

幼女「……早く結婚しちゃいなよ〜!」

弓使い「ちょっと!?何言ってるのよもうっ!」

幼女「ふふっ、それじゃおやすみなさ〜い!!」

弓使い「全くもう……っ!……ふふっ」
684 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2011/01/07(金) 00:16:29.17 ID:5N/LYsDO
>>1乙!
685 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 00:16:53.16 ID:392ruJs0
おやすみ。

女の子かわいいなあ
686 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/07(金) 01:56:53.34 ID:uPrwDISO
>>1おつ

そういや結婚はしてなかったか
687 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 04:27:50.93 ID:8eSCrkAO
毎度>>1乙んつん
688 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 08:36:51.11 ID:yvKf3EDO
>>1乙っす
てっきり剣士と弓使いは結婚しているのかと思ってた
689 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 08:42:43.22 ID:Z/Fpe6DO
>>1
弓使いいいなぁ
そして続きが凄く気になるタイミングで残念なお知らせwwwwww
今年も>>1のじらしっぷりにやられそうだなwwww

続きが気になるけれど核心には触れない書き方上手いね。
今週末の更新楽しみにしてる!
690 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 11:15:24.38 ID:EnY0va.o
>>1はどSだからな
焦らしが上手い///

あっ、いちおつ
691 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/07(金) 11:33:26.71 ID:gsk3Yyw0
1乙
召喚士たちは間に合うのかな…?
692 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 11:39:56.12 ID:17TAVcDO
全部終わったよ報告を北で受けたんじゃなかったっけ?
693 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:30:31.68 ID:WWDKUpMo
錦将軍「……んおっ?誰か来んぞ…!?」

オオォォ…

弟者「…待て、脇にいる連中、魔物じゃねぇのか!?」

老将軍「!?」

ザザッ!!…ジャキッ

兄者「白馬の、これはどういう事だ?」

白馬騎士「お待ち下さい!貴公らはそのまま待機を!」

弟者「待機だぁ!?貴っ様ぁ!陛下の御身に――」

三男「良い、白馬騎士に従うのだ」

兄者「……しかし」

三男「おそらく事情があるのだ……そうであろう?」

白馬騎士「……申し訳ありませぬ……っ」

錦将軍「…ちっ。もし何か起きたら…俺はこの場で貴様を斬る」

白馬騎士「……構わぬ」

錦将軍「……っ」
694 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:31:12.10 ID:WWDKUpMo
パッカパッカパッカ…

魔道士「あ、あの……人達って!」

戦士「……やっぱりそうか」

剣士「あの方が…今件の立案者さ」

パッカパッカパッカ…

戦士「……お久し振りです」

魔道士「お元気そうで何よりですっ、皆さん!」

ザッ

法師「……これはこれは、戦士殿に魔道士殿か」

ハヌマーン「お主らも絡んでおったのか…!?」

戦士「成り行きでな」

マーマン「お前らとも縁があるもんだよホント……」

オーク「オラ、嬉しいです!」

魔道士「ふふっ」

剣士「さぁ、白馬騎士様達がお待ちですよ」
695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:31:41.64 ID:WWDKUpMo
ザワザワザワッ

兄者「……っ!!」

錦将軍「お、おい……あれ…って」

弟者「……次男…様ぁ!?」

老将軍「そろえに加えあの魔物共は一体……!?」

ザッザッザ…

法師「…おや、随分と大人数ですね」

白馬騎士「申し訳ありません。いずれは話さねばならぬ事ですし……」

法師「手間が省ける、というもの…か」

ゴソッ…テクテクテク…

三男「……あ、兄上…っ!!」

法師「…三男か。元気でやっているようだな」

三男「……っ」

タッタッタ…ガバッ

法師「…・・・おぉ、随分と背も伸びたようだなぁ」
696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:32:13.26 ID:WWDKUpMo
三男「兄上っ、今まで何処におられたのですっ?八方手を尽くし探したのですぞ!」

法師「私は罪人だ。最早、華国に戻るつもりはないよ」

三男「以前とは違いますっ!今の華国は……」

法師「昔の花国しか知らぬ男が、今更何か出来るとは思えないさ」

三男「……っ」

法師「それに、皆が戻ってきてくれているではないか」

ザッ

兄者「次男様…。ご無沙汰致しております」

錦将軍「恥を承知で…華国へ戻って参りました」

老将軍「この命、残り少なかれど…華国に骨を埋める所存!」

弟者「どうか、次男様も……華国へっ!!」

ザザッ

法師「頭を上げて立って下さい。私はもう、次男ではないのだ」

兄者「……」

法師「ただ一介の旅の法師。それだけです」
697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:32:55.76 ID:WWDKUpMo
テクテクテク

白馬騎士「法師様、剣士殿です」

剣士「ご無沙汰しております」

法師「華国の乱、以来ですね」

白馬騎士「華国領内における魔物の残党は、全て剣士殿が取り纏めて下さいました」

法師「そのようですね。感謝しております」

剣士「……いえっ」

法師「剣士殿は素晴らしい人物だ。人も魔族も魅せられるのでしょうね」

白馬騎士「ええ。某も以前より将器有り、と感じております」

剣士「そ、そんな事は……」

法師「私は心の眼で貴方を見ているのです。間違いはありませんよ」

剣士「……は、はぁ。ありがとうございます…っ」

法師「では、早速本題に入りましょうか」

白馬騎士「左様ですね。場を移します…こちらへどうぞ」

剣士「戦士くんと魔道士さんも一緒に来てくれ」
698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:34:59.52 ID:WWDKUpMo
戦士「俺らもか!?」

魔道士「お邪魔じゃないでしょうか…?」

剣士「いや、互いの状況を把握している第三者として、都合がいい」

白馬騎士「確かにそうかもしれないな。是非お願いしたい」

戦士「……はぁ、そういう事なら」

白馬騎士「陛下、宜しいですね?」

三男「うむ、任せるよ」

白馬騎士「会談場所はこの先の寺院です」

老将軍「国境の寺か?あれは半壊しておったはずじゃが……」

白馬騎士「ご心配なく。前もって復旧作業を進めておりました」

錦将軍「準備いいなぁ。全て調ってたって話かい」

白馬騎士「貴公らを騙すつもりはなかったのだ。許して頂きたい」

弟者「そりゃあこれからの話を聞いてからだな」

兄者「その通りだ。華国の益とならぬような事であれば……」

白馬騎士「……分かり申した」
699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:35:47.80 ID:WWDKUpMo
合流した一同は、国境からやや北東にあたる寺院へと場を移す。

魔物の来襲と共に半壊した寺院は、復旧作業が進められ、

以前の輝きを取り戻しつつあった。

パッカパッカパッカ…

弟者「…おわっ!?」

先頭を任された五虎将軍の馬が足を止める。

理由は明白。寺院の周囲を忙しなく動き回る者らの姿をみたからである。

錦将軍「魔物の群れが…っ!」

白馬騎士「ご安心をっ!あの者らは味方です!」

兄者「何…っ!?」

バサッバサッ…

ガーゴイル「待ってましたぜ!どうです?だいぶ綺麗になったでしょ」

剣士「やるじゃないか!」

ゴブリン「へへーっ!こういうのは得意!」

白馬騎士「……お分かり頂けたかな?」
700 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:36:40.66 ID:WWDKUpMo
兄者「…不思議な……光景よ」

老将軍「にわかには信じ難いな…っ」

戦士「…たく、頑固だなぁ」

剣士「仕方ないよ。華国はついこの前まで魔物に牛耳られていたんだ」

魔道士「……」

剣士「また騙されているのではないかと思っても、おかしくはないよ」

戦士「…まぁな」

剣士「その誤解を解く為にも、慎重に行動せざるを得なかった」

魔道士「……ですよね…っ」

剣士「僕はともかく、板挟みの立場であった白馬騎士様は辛かっただろうね」

戦士「そうだよな…。下手に国内にゃ持ち込めないし…」

魔道士「一人で…頑張ってらしたんですね……」

剣士「でもようやく、今日で全てが終わるんだ」

戦士「…だな」

剣士「…さぁ、寺院の中へ入ろうか」
701 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:37:19.03 ID:WWDKUpMo
〜国境の寺院〜

弟者「…ほんとに魔物共が寺を直してんぜ…っ」

錦将軍「信じらんね……」

ガーゴイル「屋根はこっちに任せろって」

スケルトン「骨組みは完成したぞー。肉付けを頼むー」

トロル「おーう」

スタスタスタ

白馬騎士「……本堂へ」

法師「うむ」

三男「兄上、私の肩にお捉まりを」

法師「…助かる」

スタスタスタ

白馬騎士「剣士殿、君も」

剣士「……はい」

スタスタスタ
702 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:39:08.71 ID:WWDKUpMo
寺院の階段を登りきった先に、そびえる広々とした建造物。

かつてはここに僧侶が寝泊りしていたと思われる本堂がある。

テクテクテク…

白馬騎士「……」

僧侶「……」

三男「……」

騎士「……」

本堂の中心部に四人の男。その部屋の外に戦士と魔道士。

更には白馬騎士を除く五虎将軍と、ハヌマーンら魔物三匹。

弟者「……」

ハヌマーン「…何か?」

弟者「…いや、魔物と並び立つってのもおかしな感覚だと思ってよ」

マーマン「こっちに言わせりゃ人間と並び立つのも最近まで不可思議だったさ」

兄者「……」

この異様な光景の中、階段はひっそりと幕をあけた。
703 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:39:48.63 ID:WWDKUpMo


白馬騎士「まず、陛下には深くお詫び申し上げたい」

三男「気にするな。華国を思っての事であろう」

法師「詫びるのは白馬ではない。私だ」

剣士「……」

法師「私が提案した話だ。全ての責は私にある」

三男「責などという言い方をなさいまするな。兄上」

法師「三男、分かっていると思うが…彼らの集めた魔物は敵ではない」

三男「そのようですね」

剣士「ここにいる魔物も含め、僕が集めた魔族は、言うなれば投降兵です」

三男「……」

剣士「華国の乱や火焔山の崩壊によって、行く場を失った魔物達なのです」

白馬騎士「中には人間に対して敵意を示す輩もいましたが……」

剣士「そういった者らは華国より去って行きました」

三男「追い払ったと?」
704 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:40:36.90 ID:WWDKUpMo
剣士「いえ、こちらに付いた魔物の数がかなり多く、自然と……」

白馬騎士「留まれば討たれると判断し、他の残党の元へ走ったのであろう」

三男「…成程」

白馬騎士「今なお、華国領内における協力的な魔物らは増え続けております」

剣士「魔族同士で近隣の者らに声をかけ、投降を促しているのです」

白馬騎士「お陰で現在、華国内には敵対する魔物をほとんどみかけなくなりました」

三男「その上で、兄上の動きか」

法師「存じているかは分からんが、私は今、魔族の世話になっている」

三男「……」

法師「ここより南の地に、スグリーヴァなる魔物がいる」

三男「スグリーヴァ……」

法師「彼の者はハヌマーンを始めとする魔族の長。通称、猿王」

白馬騎士「スグリーヴァ様は元来、人間に協力的であったと伺います」

法師「左様。これまでも南方における戦いでは手を貸しておられる」

スッ
705 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:41:11.62 ID:WWDKUpMo
法師「ハヌマーン」

ハヌマーン「……はっ」

法師「中へ」

ハヌマーン「……失礼」

スッ…ササッ…スタッ

三男「……っ」

法師「彼は参謀役とも言うべき男、ハヌマーンだ」

ハヌマーン「お見知りおきを」

法師「スグリーヴァ様は魔王ラーヴァナと古くから敵対しておるのだ」

ハヌマーン「左様。我が主はかつてより人間との共存を望んでおられる」

剣士「……」

ハヌマーン「しかしながらラーヴァナは貴方達を餌としかみておられぬ」

三男「……」

ハヌマーン「そこで対立している、という次第だ」

白馬騎士「スグリーヴァ様が睨みを利かせてくれているお陰でラーヴァナも動けぬ」
706 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:41:54.07 ID:WWDKUpMo
法師「せいぜい小者の群れか腹心単体……」

剣士「しかしスグリーヴァ様も同様…」

法師「鋭いですね、その通り。両者は互いに動けぬのです」

ハヌマーン「どちらかが兵を動かせば、もう一方が間隙を突く」

法師「かと言って、両者が正面から当たれば……双方共倒れ」

ハヌマーン「いや、正直言えばこちらが競り負けるであろうな」

三男「……」

ハヌマーン「だからこそ、人に活路を見出しているという点もある」

白馬騎士「……」

ハヌマーン「かような睨み合いが数百年…いや、それ以上か」

三男「……そ、そんなにもか…っ」

法師「そこで、間接的に外部より動ける兵が欲しいのです」

三男「成程…。それがつまり……」

白馬騎士「剣士殿が集めてくれた彼らです」

剣士「……」
707 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:42:47.88 ID:WWDKUpMo
法師「更には、私やハヌマーンが各地を行脚して集まった者らもいる」

ハヌマーン「これにより、仕掛ける事は出来ぬとも守り切る事は可能…」

白馬騎士「陛下、その上で某の提案をお聞き頂けますでしょうか」

三男「……申せ」

白馬騎士「華国を、人と魔族の共存出来る国家へと形成したく」

三男「っ!!」

白馬騎士「今すぐとは言いませぬ。いや、今すぐなどという事は到底不可能」

三男「……」

白馬騎士「しかし、先の乱で痛感致しました」

三男「……」

白馬騎士「魔族とは、敵にすれば恐ろしいが、味方に付ければさぞ頼もしいと」

ハヌマーン「……」

法師「毒を以って、毒を制す……という事だ」

三男「……っ」

剣士「僕からも……お願い出来ますでしょうか?」
708 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:43:46.75 ID:WWDKUpMo
三男「…?」

剣士「この先、全ての魔王を倒した後…魔族は辛き目に合うのは明白です」

法師「……」

剣士「魔族を統制する王が消えた後、残された魔物はきっと……」

ハヌマーン「そうだな。下等な連中は人間の手によって皆殺しとなろうであろうな」

剣士「だからこそ、救うべきものがなくてはならないと考えます…っ!」

三男「……」

剣士「それも……国単位での話です」

白馬騎士「確かに…。受け入れるべき器を成さなければならぬのかもな」

三男「……皆の申すこと、尤もだな」

剣士「……」

白馬騎士「さすれば……」

三男「今すぐにとはいかぬだろうが、華国を挙げて取り組むとしよう」

白馬騎士「有難き…!!」

ハヌマーン「我が主に代わり、感謝致しますぞ」
709 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:44:27.62 ID:WWDKUpMo
法師「まずは今後の手筈を……」

ピクッ

ハヌマーン「……」

法師「…どうか致したか?」

ハヌマーン「今、何か……」

ガタッ!!

ガーゴイル「た、大変だぁ!」

白馬騎士「!?」

剣士「どうしたっ!?」

ガーゴイル「国境近くにラクシャーサの残党が……っ!」

白馬騎士「何ぃ!?」

法師「……会談を嗅ぎつけられたか…っ」

剣士「…すぐにこの場を離れましょう!」

白馬騎士「ああ。陛下、私のお傍を離れまするな!」

三男「……っ」
710 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:45:05.64 ID:WWDKUpMo
ザザッ…タッタッタ…

ハヌマーン「敵襲だ」

戦士「…おう、聞いたよ」

魔道士「ど、どうしますかっ!?」

白馬騎士「まずは陛下を安全な場所へお連れするのが最優先だ」

弟者「当ったり前だろうが!」

老将軍「全く…。我らが同行していて良かったわい」

戦士「…んで、そっちはうまくいったのかな?」

剣士「……もちろん!」

戦士「…そりゃ良かった!そんじゃああとは……!」

魔道士「追い払うだけですねっ!」

錦将軍「馬車ぁ!急いで陛下をお乗せしろぃ!!」

マーマン「俺らも行くかね」

オーク「法師様を守らなきゃだよ!」

ハヌマーン「ああ、二人は法師殿を頼むぞ!」
711 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:45:43.56 ID:WWDKUpMo
ドドオオォォォォ…

ラクシャーサ「……これを手土産に、ラーヴァナ様の元へ帰参するぞ!」

国境付近にはラクシャーサの残党が大挙にて迫る。

ラクシャーサ「そうでもしねぇと…殺されるだけだっ」

ザッ

ラクシャーサ「いくぞぉ!!」

剣士や白馬騎士、法師らもこの事態を想定していなかったわけではない。

しかし勝ち目のない戦にわざわざ挑んでくるとは考えにくかったのだ。

ラクシャーサ「……ちぃ、もうきやがったのかよ!」

それ程までにラクシャーサの残党は切羽詰っており、使えぬ者は切り捨てる、

背後に控えるラーヴァナの残忍さを痛感する結果となる。

ドドッドドッドドッ…

弟者「おらおらおらぁ!一番乗りだあぁ!!」

錦将軍「させるかぃ!!」

ドンッ!!
712 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:47:56.65 ID:WWDKUpMo
国境を跨ぎ押し寄せる魔物。その群れの中に、いの一番で、

錦将軍の駆る馬が高く跳躍し、飛び降りる。

ザザアアァァ

弟者「にゃろぉ!?」

錦将軍「でりゃああぁぁーっ!!」

フォンッ!!……ズバシュウウゥゥ!!

円を描くように馬上で槍を奮う錦将軍。虎を模した兜の奥から

鋭く光る眼光が、周囲の魔物を捉え、一振りにて数匹を殲滅する。

ラクシャーサ「ひるむなぁ!!いけぇ――」

ザッ

ラクシャーサ「……なっ――」

弟者「どおりゃああぁぁ!!」

ブオッ……ドゴオオォォンッ!!

二番手に飛び込むは、華麗に戦場を舞う錦将軍とは対称的に、

地面をも砕く一撃で魔物を粉砕する、矛を手にした弟者。
713 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:48:44.39 ID:WWDKUpMo
弟者「一番乗りは譲ったがぁ……数なら負けねぇ!!」

錦将軍「そうかぃ!」

ラクシャーサ「…な、なんだコイツら!?えぇい、回り込めっ!」

ザザッ

ラクシャーサ「……!?」

兄者「そうはさせんぞ!」

長い顎鬚を撫でながら立つ兄者の右手には、

一際大きく、そして鋭利な得物が握り締められている。

兄者「この…青龍偃月刀の錆にしてくれるわっ!」

ドズンッ!!

ラクシャーサ「バ…カな……っ」

兄者「ここから先、魔物の一匹たりとも通さぬわ!」

ラクシャーサ「……へ、へへ…っ」

ドシャアァ

兄者「……」
714 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:50:20.27 ID:WWDKUpMo
オオォォ…

戦士「な、なんつう強さだアイツら…っ!」

白馬騎士「あれぞ五虎将軍の真髄よ」

剣士「僕らの出る幕はなさそうですね…」

戦士「あ、ああ……」

法師「三男、きを付けてな」

三男「兄上こそ……っ」

老将軍「よし、陛下が発たれるぞいっ」

ピクッ

ハヌマーン「……!!」

白馬騎士「左の崖上ぇ!!」

戦士「右の…森からもだ!!」

ザザッ…スタッ

ヘルハウンド「……ウウゥゥ」

マーマン「ヘルハウンド!?いつの間に…っ!」
715 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:51:57.92 ID:WWDKUpMo
オーク「法師様!下がって!!」

ジャキッ

白馬騎士「正面から強行突破かと思ったが…こういう事か…っ」

魔道士「……っ」

ヘルハウンド「…ウウゥゥ……グアァーッ!!」

挟撃の形で飛び掛かるヘルハウンド。その先陣を切った一匹が空中で迎撃される。

バシュッ……ズガッ!!

ヘルハウンド「ギャウンッ!!」

戦士「……矢!?」

剣士「…!!」

老将軍「……ふーっ。やれやれ」

矢の主は老将軍。一呼吸とともに手にした弓へ次のやをあてがい、

ヘルハウンドの再攻撃に備えを取る。

白馬騎士「老将軍殿は弓の名手。支援は彼にお任せを!」

戦士「なーるほど、それなら…っ」
716 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:54:26.94 ID:WWDKUpMo
ダッ

ヘルハウンド「……グウウゥゥ」

戦士「…大人しく退いてくんねぇか…?」

ゴゴゴゴゴ…

戦士「今日の俺は気分がいいんだ。来るなら手は抜けねぇぜ?」

ヘルハウンド「……グウゥ、グアオオォォ!!」

ババッ……ザシュウウゥゥ

戦士「……」

情け空しく果敢に挑むヘルハウンドを、戦士は一刀の元に斬り伏せた。

戦士「魔道士っ!三男さんが出るまで時間を稼ぐんだ!」

魔道士「……はいっ!」

ヘルハウンド「……グ、ウウゥゥ」

白馬騎士「……」

ヘルハウンドの群れは一同の威圧に気圧され、その場に立ち往生の形となる

…が、死を覚悟した魔物らの行動は予想外のものであった。
717 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 18:56:48.45 ID:WWDKUpMo
ドウンッ!!…ダンッ!!

剣士「な……っ!?」

戦士「しまった!密集して特攻する気だ!!」

白馬騎士「老将軍っ、陛下を!!」

老将軍「分かっておるわいっ!」

ギリギリッ……バシュッ!!

ヘルハウンド「グガアアァァ!!」

ボシュッ!!…ドドオオォォンッ!!

老将軍「炎じゃとぉ!?」

マーマン「消化なら任しておけぇ!」

魔道士「こちらも……撃ちますっ!」

ドドオオォォンッ!!…バシュウウゥゥ!!

剣士「突破されたぞっ!」

戦士「くっそぉ!!」

ハヌマーン「…これだから……犬は嫌いなのだっ!」
718 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/07(金) 19:08:52.57 ID:WWDKUpMo
ザザッ…ザザザッ

戦士「……くそぉ…速えぇ!!」

剣士「馬車を止めるな!!」

老将軍「ふんっ!」

バシュッ……ドズッ!!

ヘルハウンド「ギャンッ!」

老将軍「狙撃出来ても…一匹ずつでは…っ」

タタタッ

ハヌマーン「…はぁっ!!」

この場でヘルハウンドの速度に追いつけるはハヌマーンの脚力のみであった。

ハヌマーンは上空から如意棒を伸ばすと、そのまま地面へ叩きつける。

ヒュオッ……ズッガアアァァンッ!!

叩きつけられ、はたまた四散する魔物らは馬車より離れ散り散りとなるが…。

ハヌマーン「…しまった!一匹取り付かれたっ!!」

三男を乗せた馬車へ、玉砕覚悟のヘルハウンドが一匹、飛び掛かった。
719 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/07(金) 19:09:55.42 ID:WWDKUpMo
今日は一段と寒いですねー。風邪引かないように気を付けないと…
皆様もお気を付け下さいまし。それでは失礼致します!ノシ
720 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 19:32:28.11 ID:sUNkqSI0
うお
今年も1にお預け食らうんだなぁ
今年もヨロシク
721 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 19:42:14.96 ID:8ClAH8oo
なんつうとこで切りやがる
722 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 20:15:54.83 ID:mdCczQDO
1乙

騎都尉→呂布
兄→関羽
弟→張飛
錦→馬超
老→黄忠

白馬←誰
723 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 20:27:11.76 ID:a2upBUDO
>>1
なんという焦らし方。

流石ドS
724 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 21:26:17.59 ID:qB5xn1Io
>>722
公孫の人じゃね?といいたいけど趙雲のことだと思う
725 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 21:35:56.90 ID:TK/tc.DO
>>722

そこまでわかっていて何故思いつかんw

超雲だろw
726 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 21:48:14.86 ID:xCg9ayEo
大軍師→はわわ
727 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/07(金) 22:14:01.21 ID:b.Vc.6DO
参謀→およよ
728 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 22:35:15.59 ID:zrppgc.o
召喚士→ペニス
729 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 22:37:54.64 ID:8ClAH8oo
さすがにそれはねーわ
730 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/07(金) 23:25:59.71 ID:QeSRJ.DO
良く分かりませんが、ここにメンマ置いときますね
731 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 01:52:49.10 ID:Ef8rptUo
ガオンッ!!

ヘルハウンド「グガアアァァッ!!」

ヘルハウンドが開口し炎がメラメラと鋭い牙の間から漏れる。

そしてその身は燃え盛り、馬車めがけ一直線の火の玉と化し突撃する。

白馬騎士「――っ!!」

馬車が突如飛び跳ねた。軌道を変えたわけもなく、その場で飛び跳ねたのだ。

平坦だった道が突如地形を変え、馬車の周囲のみ隆起した。

剣士「……っ!!」

咄嗟に振り向き背後の魔道士を見つめる剣士。

魔道士「……はぁっ、はぁっ」

目に飛び込んだのは、杖を両手で突き出し、魔法を放ち終えたその姿。

剣士が再び馬車へ目を移した時、ヘルハウンドは強引に軌道を変え、

馬車へと突撃するものの、目測は完全に狂い、御者と馬の背を焼くに留まる。

ハヌマーン「……はぁっ!」

着地と同時に如意棒を薙ぐハヌマーンにより、最後の一匹は息絶えた。
732 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 01:53:50.85 ID:Ef8rptUo
馬「ヒヒイイィィンッ!!」

白馬騎士「御者が……っ!」

法師「まだ生きているっ!オーク、私を彼の者の元へ!」

オーク「わ、分かったです!」

ダッ!!

マーマン「ちぃっ」

ドォンッ!!…ジュウウゥゥ…

マーマン「消化はしたっ!あとは法師さん、アンタに任せるぜ!」

法師「……大丈夫。まだ息はある」

パアアァァ…

魔道士「……良かった…っ」

白馬騎士「陛下っ!!」

剣士「馬が興奮しているっ!落ち着かせねば……っ」

背を焼かれた馬は混乱に陥り、三男を乗せた馬車は暴走を始める・

三男「……く…ぅっ!!」
733 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 01:54:24.21 ID:Ef8rptUo
ガラガラガラッ…ドドッドドッ

戦士「…早く止めねぇと!!」

ハヌマーン「ちぃっ!」

ダッ!!

戦士「ハヌマーン!!左だっ!!」

ハヌマーン「何っ!?」

ヘルハウンド「グロオオォォ!!」

ハヌマーン「…まだ……いるのかぁ!」

バキィッ!!…ヒュオッ…ズガアアァァンッ!!

ハヌマーン「…くそっ、馬車が…っ」

戦士「白馬騎士さんっ、剣士さん!馬で……」

白馬騎士「我らの馬ならば追えるはずだっ!」

剣士「はい!!」

グイッ…ドドッドドッドドッ…

戦士「頼むぜ……っ」
734 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 01:54:59.74 ID:Ef8rptUo
ドドッドドッドドッ…

兄者「……?」

錦将軍「…ありゃあ陛下の馬車じゃねぇか!!」

弟者「何故わざわざこっちに!?」

ドドッドドッドドッ

兄者「魔物を近づけさせるな!」

弟者「おう!!」

錦将軍「何かあったに違いない…。馬車を止めるぞ!」

ラクシャーサ「…うらぁっ!!」

ガキイィンッ!!

錦将軍「テメェの相手をしている暇は…ねぇんだよぉ!!」

ザシュウウゥゥ

錦将軍「……こっちじゃ追いつけねぇ!弟者っ、追え!!」

弟者「……こっちだって…囲まれて…くそぉ!!」

兄者「急げ…っ!!国境を越えてしまうぞ!」
735 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 01:56:03.26 ID:Ef8rptUo
ドドッドドッドドッ

白馬騎士「陛下は!?」

兄者「国境ギリギリまで差し掛かっている!早く止めねば…!」

剣士「……っ!」

鞘から長剣を抜き、ラクシャーサの軍勢へと単騎駆ける剣士。

それに続き、白馬騎士、兄者の二騎も後に続く。

錦将軍「…ダメだっ!国境を越える……!!」

弟者「こんの……クソ共がああぁぁ!!」

ズドオオォォンッ!!

白馬騎士「非常時だ。国境の事を気にしているような場合でなはい」

兄者「…うむ。後に処刑されようが……致し方あるまいっ!」

馬車はやがて国境を越え、本国領内へと暴走しながら突入する。

剣士「僕なら国境を越えようが問題ないはずだっ!」

躊躇なく国境を越え、馬車を前方に捉えた剣士。

だがその目の前には、新たな影が多数姿を現した。
736 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 01:56:59.34 ID:Ef8rptUo
ドドッドドッドドッ…

剣士「――!?」

ドドッドドッドドッ

剣士「……新手…!?そんな……っ」

馬車は瞬く間に無数の影の中へと吸い込まれ、剣士の前より姿を消す。

呆然とする剣士の背後から追ってきたラクシャーサが追い討ちの如く襲い掛かる。

白馬騎士「剣士殿っ!背後だ!!」

剣士「……っ」

失意の為に一瞬の初動が遅れ、剣士は瞬時に間合いを詰められてしまう。

冷徹な者であれば造作もなく対応出来たであろうが、

剣士の良くも感受性の高い性格が、この時ばかりは裏目に出てしまったのだ。

剣士「――!!」

迫る一匹目のラクシャーサを長剣で振り落とし、二匹目ノラクシャーサが

武器を振り上げ、剣士を斬り付けようとするその瞬間、

先程の影からとてつもなく重い一撃の拳が剣士を救った。
737 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 01:57:35.20 ID:Ef8rptUo
…ィィィイ…バゴゴオオォォンッ!!

ラクシャーサ「――!?」

直撃を受けたラクシャーサは空中で粉々になり、地上より姿を消した。

ラクシャーサ「……な、なん……っ」

ザッザッザ

剣士「……ッ!!」

ザッザッザ

南方司令「…はっはっは!正義の使者…参上!!」

南方弓長「援軍が遅れてごめんなさいね。お仲間はこの通り、無事よっ」

剣士「……へ、陛下っ!!」

三男「……っ」

南方弓長「……えっ、今…陛下……って」

南方司令「…こい、悪の手先共っ!!」

ラクシャーサ「……こ…んの野郎っ!!」

ザザッ!!
738 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 01:58:41.25 ID:Ef8rptUo
南方兵「司令を援護しろーっ!!」

魔道兵「撃て撃てぇ!!」

ドドオオォォンッ!!…ズガガアアァァ!!

白馬騎士「……あれは……本国の!?」

兄者「…どうやら味方のようだな」

剣士「助かった……のか」

ドドッドドッドドッ…タタタッ

戦士「みんなっ、無事か!?」

魔道士「あっ!あれって……南方司令部の皆さんっ!?」

白馬騎士「ええ。本国からの援軍のようです」

錦将軍「陛下はご無事か!?」

兄者「……そのようだ」

バゴオオォォッ!!

南方司令「華国の諸君っ、私が許可する!国境を越え…共に戦ってくれ!」

弟者「……ははっ、だとさ!こりゃ…行くっきゃねぇだろ!」
739 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 01:59:57.64 ID:Ef8rptUo
ラクシャーサ「…く…そぉ……くそぉ!」

老将軍「……ふんっ!!」

ラクシャーサ「こんな……事が…ぁ!!」

戦士「でえりゃあぁ!!」

ラクシャーサ「…ち……きしょおおぉぉ!!」

南方司令「…ファイナル…ジャスティスパアアァァンチイイィィ!!」

ズガッグシャメキッドゴオオォォバッギャアアァァンッ!!

南方弓長「……これで終わりかしら?」

魔道士「……みたいです」

南方弓長「任務ご苦労様。うまくいったみたいね」

戦士「…事情は後で話す。とりあえず全員味方だ」

南方弓長「そのようね」

南方司令「……貴方が華国の陛下であらせられるか?」

三男「……如何にも」

南方司令「本国南方司令部所属、南方司令と申します。お見知りおきを!」
740 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 02:01:26.56 ID:Ef8rptUo


南方弓長「…成程、そういう事でございましたのね」

ハヌマーン「本来はそなたらに話を通すが筋というものだが……」

南方弓長「まだ悟られるわけにはいかなったのですものね。仕方ありません」

法師「しかし、これで全ての線が繋がりました」

南方弓長「…ですね。それで司令――」

南方司令「…ほぉ、君らは五人揃っているのか」

弟者「…ま、まぁ」

南方司令「それで……五虎レンジャーだっけか?…くそっ」

錦将軍「五虎将軍だっつの!」

白馬騎士「…な、何か悔しい事でも……っ?」

南方弓長「司令っ!」

南方司令「…?」

南方弓長「それで、どーするんですかっ?」

南方司令「どうする…とは?」
741 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 02:02:28.12 ID:Ef8rptUo
南方弓長「南東国、スグリーヴァ軍、レジスタンス…そして我ら本国……」

法師「……」

南方弓長「南側に集う全ての勢力が実を結んだんですよ?」

南方司令「ああ、そうだな。早速本部へ報告をあげるとしよう」

戦士「これで南は一枚岩になったっつー事か」

魔道士「凄いじゃないですか…っ!」

ザッザッザ

白馬騎士「此度の事はまこと、素晴らしき事」

魔道士「白馬騎士さん」

白馬騎士「人だけではない。魔族もが一致団結したのだ」

戦士「……ああ」

ハヌマーン「これで、ラーヴァナやアンラ・マンユと戦える戦力は揃いつつある」

剣士「ええ。あとは本国の援軍やワーカーが来れば……」

法師「白馬騎士、そして剣士殿…。そなたらのお陰だ本当にありがとう」

剣士「…いえ。僕はただ従ったまでに過ぎませんから」
742 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 02:03:36.13 ID:Ef8rptUo
白馬騎士「南方司令殿」

南方司令「…?」

白馬騎士「これで我らの手土産は整った」

南方司令「……」

白馬騎士「改めて願おう。我ら華国と…手を結んでは頂けぬか?」

兄者「成程。貴公の最大の狙いこそ、それであったか」

法師「聞けば西方も本国と手を結んだそうではありませんか」

戦士「それだけじゃねーぜ」

三男「……?」

戦士「つい先日、東方との同盟も約束したとこだ」

老将軍「東方…とな!?」

魔道士「ええっ。近々正式に締結するんですよねっ?」

南方司令「うむ。だが、同盟に関しては私の一存では申し上げられん」

白馬騎士「……左様であられたか」

南方司令「しかし今件も含め、早急に本部へ連絡致そう!」
743 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 02:04:46.46 ID:Ef8rptUo
白馬騎士「……陛下」

三男「私は無論、賛成だ」

オーク「良かったぁ!」

三男「側近らもおそらく分かってくれるはずだ」

白馬騎士「はい。元より本国との同盟を望んでおられましたから」

三男「……兄上」

法師「…?」

三男「近々、スグリーヴァ様にもお会いいしたいと思います」

法師「……良いのか?」

三男「はい。やはりこちらから出向き挨拶するが筋かと……」

ハヌマーン「願ってもない事。お伝え致そう」

南方弓長「司令、ついでと言っては何ですけど…国境の件も……」

南方司令「もちろん本部に伝えるさ。軍事同盟が為されれば壁は取り除かれる」

白馬騎士「それによって双方、軍事的な協力が可能となりますな」

南方司令「そういう事だ…!はっはっは!!」
744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 02:05:33.26 ID:Ef8rptUo
ザッザッザ

弟者「さぁさぁ」

戦士「……?」

弟者「こうして目出度い事と相成ったわけだ」

錦将軍「その後に待ってるのは……」

弟者「酒宴だろっ!酒宴!!」

兄者「お前らは……」

弟者「なんだ?兄者は飲まないってんだな?」

兄者「……飲む」

白馬騎士「何も今すぐでなくとも…日を改めては……」

三男「構わんではないか」

白馬騎士「陛下……っ」

三男「これだけの皆々が集まる機会、そうそうなかろう」

法師「……」

三男「親睦を深める意味でも良いのではないだろうか?」
745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 02:07:46.37 ID:Ef8rptUo
マーマン「…そういうの、俺は好きだぜ!」

戦士「…かもなっ!」

魔道士「戦士さんまで……。もうっ」

南方弓長「司令、いかが致します?」

南方司令「さぁー飲もうではないか!正義の諸君っ!」

南方弓長「……この人は」

南方司令「幸い、酒も持参しているしな!」

輜重兵「はいっ!」

南方弓長「何で持参しているのよっ!!」

戦士「はははっ!!」

剣士「あははは!!」

南方司令「はっはっは!!」

南方弓長「司令は笑うのおかしいでしょ!」

緊迫した空気は何時の間にか解き放たれ、その場には笑い声が響き渡る。

一同は国境線上に布やマントを敷き、それぞれが自陣内にて互いに酒を交わす不思議な光景の酒宴が始まった。
746 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/08(土) 02:13:50.84 ID:Ef8rptUo
白馬騎士は趙雲ですね。実際とは違って役職一番上ですけど…
連休中に30部終えて31部にいきたいと思います!次はほのぼのぐぬぬで!
ご支援ありがとうございます!それではお休みなさいませ!ノシ
747 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 03:06:25.00 ID:ukT6xLMo
おつ
748 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/08(土) 04:09:33.47 ID:AOaRqADO
↓ぐぬぬのAA
749 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 04:57:12.74 ID:4jiT7HE0
     __
     /。 \
ぐぬぬ>|ノ ゚|
    ノ ゴ ハ
750 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 06:50:16.68 ID:ObS7hASO
>>1おつ〜

またおっさんの舌戦か
751 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 09:47:39.10 ID:UuBIXvQo
 | / | / | ハ∧ |丶
 | / |/  |/ || |
 |/ 。    V |
 |     ノ゚  / |
 |       | |
 |、  ゴ  /| |
 | >    イ||ノ
752 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 11:42:47.24 ID:XrqU0MMo
ハヌマーンのところにスパイとかいたらやばいよね
753 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 23:00:15.79 ID:0mgyiEIo
>>746
白馬騎士は趙雲だったのか

なんとなく字面から西洋っぽいランスとか持った騎士イメージしてたな
754 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 23:04:17.81 ID:hxN9yuko
騎士つったら一般的にはナイトだからな
と考えた瞬間に暴れん坊将軍を思い浮かべるもうやだこの脳味噌
755 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 23:50:19.82 ID:41JenNUo
>>752
法師の心眼でイチコロだろう
756 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 00:53:04.65 ID:0jHpsf2o
>>755
あなるほど
もういっそ本部に法師様連れていって裏切り者見つけたらいいじゃん
757 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 06:17:39.17 ID:WOtqfwAO
怪しいヤツは片っ端から成敗してけば良いよね
758 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 06:28:39.08 ID:sJzDJ2SO

        ジャスティス・アイ
いや、南方司令の 正義の眼 に任せようぜ!

759 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 08:42:32.24 ID:sXSiC7Uo
つーか>>1こないな…
大丈夫かな?
760 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 10:04:19.76 ID:EQrUFuwo
>>1なら俺の隣で寝てるよ
761 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 10:04:31.84 ID:SALtp4Qo
おこせよ
762 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 10:21:05.63 ID:BukfNsDO
寝顔にチュッチュしたいんだろ
763 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 12:29:53.88 ID:kJ/3x5Io
南方司令は「良き眼をした人よ!」とか言いそう
764 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/09(日) 13:35:01.28 ID:V5PJ7ASO
放置プレーだぜ…イヒヒッ・・・・
765 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 14:43:18.08 ID:WOQ.LkYo
>>756
そんな他国の人間に判定なんてさせたら
外国人参政権以上に危険でしょ
やりようによってはいくらでも乗っ取りができちゃう
766 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 15:53:43.15 ID:9SzkhsDO
更新なかったの残念だけどたまには休んだっていいだろうと思う。

たまにはゆっくりしてくれ。
767 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/09(日) 18:19:19.14 ID:O2xQvopSO
南方司令「心眼!ナンポーアイ!」
戦士「魔術かなんかか?」
南方司令「否!これは鍛えぬかれた己の眼力!」



南方司令のイメージがブラボーで固まった
768 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:23:57.67 ID:WZmdOOEFo


錦将軍「おらっ、てめぇ…!!一挙に叩き込めぇ!!」

南方弓長「何やってるのよっ!?踏ん張りなさいよ!!」

弟者「……んぎぎっ」

南方司令「……く……おぉ」

老将軍「そこじゃ!一気に決めろぉ!!」

兄者「華国の意地を見せんか!」

弟者「……んぐっ!!」

南方司令「……おおぉぉ!!」

ダンッ!!

弟者「…どうでぇ。俺の勝ちだろ!」

南方司令「…いーや、私の方が早く飲み終えた!」

弟者「なんだとぉ!?この節穴野郎っ!!」

司令司令こっちの台詞だ!……どちらが早かった?」

戦士「……えーと……引き分け?」
769 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:25:26.67 ID:WZmdOOEFo


テクテクテク

戦士「……はぁ」

魔道士「お疲れ様でした」

戦士「酔っ払いの相手は疲れる……」

剣士「今日くらいはいいんじゃないかな」

戦士「…まぁな。目出度い日なわけだし」

魔道士「でも、人に迷惑かけちゃ駄目ですよっ」

マーマン「人だけじゃねぇ。魔物にもだぞ」

魔道士「お、仰る通りで…!」

戦士「ははっ!違いねぇ!!」

ハヌマーン「しかし、これで解決とはいかぬが…一段落はしたな」

剣士「ええ」

魔道士「解決…ではないんですか?」

ハヌマーン「此度とて察知されて強襲されたであろう?」
770 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:26:02.49 ID:WZmdOOEFo
戦士「……」

剣士「全ての魔物が味方になってくれるわけではないからね…」

魔道士「そっかぁ……」

ハヌマーン「だが、何も悲観的になる事はない」

魔道士「…?」

ハヌマーン「今宵、ようやく体制が整ったのだ」

剣士「ええ。あとは本国が絡んでくれれば…」

戦士「三国同盟……ってか」

ハヌマーン「南さえ安定すれば、我らも北へ進む事が出来る」

マーマン「そん時に本国通って、人間にやられちまうんじゃ意味ねーしな」

剣士「本当は、理由なんかなくとも分かり合えなくてはならないんだけどね…」

オーク「……」

ハヌマーン「今はこれで良い。急いでどうにかなるものでもなかろう」

戦士「……だな」

ハヌマーン「折角の宴だ。今宵ばかりは忘れて、楽しもうではないか」
771 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:27:12.48 ID:WZmdOOEFo
剣士「ええ……」

戦士「意外だなぁ」

ハヌマーン「…?」

戦士「いや、もっとお固い人かと思ってたからよ」

マーマン「オッサンは猿だからな。根はそうなんだろ。はははっ」

ハヌマーン「――っ」

オーク「さぁさ戦士さん、飲むだ」

戦士「おぉ、サンキュ!」

魔道士「剣士さんも飲みましょ!」

剣士「いただきます」

マーマン「こうして人間と飲み食いすんのも悪くねぇなー」

ハヌマーン「人間の酒は薄くて酔えんがな……」

マーマン「メシも美味いとは言えねーしな……」

ハヌマーン「これからはそういった事も考えて生きて行かねばならぬのかもな」

マーマン「……だろうねぇ」
772 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:27:39.17 ID:WZmdOOEFo


テクテクテク

三男「兄上、どちらにいっておられたのです?」

法師「御者は無事だ。華国へ戻ったら医者へ見せると良い」

三男「ありがとうございました。彼には…申し訳ない事を……」

法師「いや、本来ならばお前も含め、どうなっていたか分からぬ」

三男「……ええ」

法師「だが、魔道士殿の咄嗟の機転で窮地を免れた」

三男「あの方はとても責任を感じておられましたが…心から感謝しておりますよ」

法師「うむ。私からも申しておいた。御者は運が悪かったとしか言えぬ」

三男「ええ……」

法師「何も気に病む事はない。そなたも魔道士殿もな」

三男「……はい」

法師「…さ、お前も酒はまだ飲めぬが楽しもうとしよう」

三男「ありがとう。兄上…いえ、法師殿」
773 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:28:16.54 ID:WZmdOOEFo


戦士「……」

剣士「…ぷはぁ!!」

マーマン「いやはや、いい飲みっぷり!」

剣士「……やっとゆっくり出来るぞー!」

戦士「酔ってるな」

魔道士「え、ええ……」

剣士「弓使いーっ!僕はやったぞー!!」

ハヌマーン「弓使い…?」

魔道士「弓使いさんは剣士さんの彼女さんですよ!」

マーマン「…ほー」

ハヌマーン「婚姻は結ばぬのか?」

剣士「……結びたいです」

マーマン「結婚すりゃいいじゃんかよ」

剣士「色々と忙しかったし……今は……」
774 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:28:44.09 ID:WZmdOOEFo
ハヌマーン「今を気にする必要があるのか?」

剣士「いや、でもぉ……」

マーマン「結婚してぇんだろ?互いがそう思ってんならすりゃいいじゃん」

剣士「……」

マーマン「それによ、死んだら結婚も出来ないんだぜ?」

戦士「……確かに」

魔道士「そうかも……」

剣士「……うぅん」

ダンッ!!

南方司令「そうだそうだ!結婚は良いものだぞ!」

戦士「いつの間に!?」

魔道士「南方司令さんは結婚なさってたんですかっ!?」

南方司令「ん?してないよ。副司令がそう言っていた」

戦士「……この酔っ払いは」

剣士「……よし!!」
775 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:29:13.78 ID:WZmdOOEFo
スクッ!!

剣士「…僕は…結婚するぞーっ!」

南方司令「よーし、よくぞ言った!南方司令部が総力を挙げて祝うぞ!」

南方弓長「ちょっと!何、無責任な事言ってるのよっ!?」

マーマン「おーしおし、俺たち魔物も総力を挙げて祝ってやるぞ!」

オーク「オラ、祝いに牛持って来るです!」

魔道士「み、皆さん…っ!?」

戦士「しかしよ、まずは弓使いさんに気持ちを伝えねぇとだな……」

南方司令「善は急げ!宴を終えたらその足で行きたまえ!」

魔道士「えぇ!?」

剣士「……分かりました!僕も男だ!!」

魔道士「え、えぇー!?」

マーマン「……これでフラれたらどうしよ」

ハヌマーン「無責任すぎたかもしれんな…」
776 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:31:29.16 ID:WZmdOOEFo
戦士「ほんとに……いいんすか?」

剣士「もちろん。君達が証人になってくれ!」

戦士「は、はぁ……」

魔道士「そういう事なら…」

南方司令「よーし!ますます目出度い席となったな!飲め飲め――」

ゴゴゴゴゴゴ…

ハヌマーン「――!?」

マーマン「……っ!!」

ゴゴゴゴゴゴ…

兄者「……な、何だ……この威圧、いや…殺気は!?」

戦士「……っ」

法師「スグリーヴァ様!?……いや、似ているが違う…っ」

この場にいるほとんどの者がそのただならぬ気配を一瞬で察知する。

深酒をしていた各々のその様相は、気配の強大さによって瞬時に消し飛んでいる。

そして、禍々しき殺気を放つ気配の主が、上空へゆっくりとその姿を現した。
777 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/09(日) 19:40:33.19 ID:WZmdOOEFo
ゴゴゴゴゴゴ…

戦士「――っ」

戦士は知っていた。その主の存在ではなく、その主の力量を。

戦士「……っ」

ワーカーになり十余年。更にパーティーを組んで3年強。

それまで様々な魔物と対峙し、戦ってきた。

戦士「……こいつ…ぁ」

その中で二度程、同様の威圧感と遭遇した事がある。

ハヌマーン「全員ーっ!この場を離れろぉ!!」

その魔物とは即ち、牛魔王とヤマタノオロチ……。

剣士「……な、何なん――」

上空にはゆっくりとゆっくりと、魔物の姿が形成されていく。

ハヌマーン「……あ…れは……っ!?」

その姿は空を覆うように大きく、雄雄しき獣の姿を模してゆく。

上空で猿面の巨大な魔物が笑みを浮かべ、彼らを見下していた。
778 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/09(日) 20:59:04.89 ID:fhBdDnpH0
剣士…フラグ、フラグ…
779 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 21:50:18.57 ID:c5wuHLqPo
>>778
バカヤロウ
780 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 22:35:19.78 ID:SuNQQkDio
1乙

猿面…?
781 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/09(日) 22:53:29.93 ID:/bUB/Om8o
サルメンではない
サルヅラと読むのだ
782 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2011/01/10(月) 02:14:52.27 ID:UEjm4uTDO
>>1乙!
そろそろ深夜更新来る頃か?
783 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 02:37:00.57 ID:47QCLgJSO
猿面の読み方じゃなくてその猿面がどいつなのかに疑問をもったんだと

だれだろうか
784 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 02:51:18.60 ID:WZmdOOEFo
ゴゴゴゴゴゴッ

錦将軍「何が起きてるんだよ!?」

白馬騎士「分からぬ…っ、こちらからでは動きが……」

弟者「非常事態には違いねぇ。どうすんだ!?」

老将軍「かと言って、本国領内に踏み込むわけには……」

兄者「……陛下、如何なさるか?」

法師「……」

三男「此方からは無理でも、あtらからは可能だ」

弟者「…?」

三男「本国の者らに伝えよ。華国領内に退けと!」

白馬騎士「宜しいので…?」

三男「このような刻に良いも悪いもない。私が許可をすれば問題ないはずだ」

錦「いよぉし、本国の連中に伝えるぞ!」

兄者「弟者、白馬…それに某の三人は陛下と次男様をお守りする」

弟者「おーよ!任しときなっ!!」
785 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 02:52:10.42 ID:WZmdOOEFo
ゴゴゴゴゴゴ…

ハヌマーン「……っ」

魔道士「あ…あれって……スグリーヴァ様!?」

マーマン「違うっ!もっとデケェ!!」

ハヌマーンはその姿を知っていた。

南方司令「……何だ…あれはっ!?」

南方弓長「敵襲ーっ!各員、対空準備!!」

己と同属のその姿。鋭い眼光。荒々しい唸り声。

ハヌマーン「……ヴァーリン……様…っ!」

マーマン「ヴァーリンだって!?」

戦士「知ってんのか!?」

オーク「味方…じゃねぇですよね……っ!?」

ハヌマーン「……ヴァーリン様はかつての猿王…そして……」

魔道士「……っ」

ハヌマーン「スグリーヴァ様の兄にあたる御方よっ!」
786 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 02:52:44.79 ID:WZmdOOEFo
剣士「…あ、兄……っ!?」

魔道士「で、でも…何で……」

戦士「かつてのって…どういう事だよ!?」

ハヌマーン「……」

ザッ

南方弓長「魔道兵っ、対空砲火用意――」

ヴァーリン「グガアアアアァァァァーッ!!」

ビリビリビリビリッ!!

南方弓長「――っ!!」

戦士「な、なんつう……」

ヴァーリン「久しいな、ハヌマーンよ」

ハヌマーン「……」

ヴァーリン「相変わらず貴様は、餌なんぞと戯れておるのか」

ハヌマーン「……ッ」

ヴァーリン「それで、スグリーヴァは未だに理想を追い求めているのかね?」
787 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 02:53:35.94 ID:WZmdOOEFo
ハヌマーン「あの御方は……」

ザッ

戦士「ハヌマーンさんよ、あれは敵なんだな!?」

剣士「一体……どういう……」

ヴァーリン「……人間、貴様等の望みは何だ?」

南方司令「望み…?」

ヴァーリン「我等魔族を、滅ぼす事ではないのかね?」

剣士「違うっ!かつてはそういう考えもあった。だが今は……」

ヴァーリン「……甘い。だから貴様等は何時まで経っても餌いに過ぎんのだ」

魔道士「……っ」

ヴァーリン「一つ、教えておいてやろう」

戦士「……」

ヴァーリン「余はな、この者とわが弟、スグリーヴァの手によって王位を奪われたのだ」

南方弓長「……っ!」

ヴァーリン「卑しき行為で得た王位に居座り、人間共を抱きこみ操っておるのよ」
788 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 02:55:32.32 ID:WZmdOOEFo
魔道士「そ、そんな事……っ!」

ヴァーリン「のう、ハヌマーンよ」

ハヌマーン「……」

ヴァーリン「否定出来まい。クッハハハハァ!!」

剣士「そのような話、信じられるかっ!」

ヴァーリン「好きにするが良い。手遅れになっても知らぬがな」

マーマン「戯言だ!耳を貸す必要はねぇぞ!」

戦士「…当ったり前だ、ハナっから貸してなんぞいねぇ!」

魔道士「……スグリーヴァ様は…優しき方ですっ」

南方司令「どのような背景があるかは知らんが、貴様は悪意が強すぎる」

南方弓長「司令の正義がそう言うんじゃ、私達も従うしかないわねっ」

オーク「…誰も…傷つけさせねぇです!」

剣士「ハヌマーン様、ご安心下さい。この通り…全員が貴方の味方です」

ハヌマーン「……皆…っ」

ヴァーリン「……クッハハハハハァ!!」
789 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 02:58:15.54 ID:WZmdOOEFo
ズオオォォッ

ヴァーリン「安心せい。今宵は顔を見せに参ったまでよ」

スウウゥゥッ

ヴァーリン「貴様等の結託、予想以上に固いと見える。改めよう」

剣士「……」

ヴァーリン「…ハヌマーンよ」

ハヌマーン「……」

ヴァーリン「貴様、随分と小さくなったものよのぉ?」

ハヌマーン「……」

ヴァーリン「弟もさぞ、小さくなったであろうな。それで…戦えるのかね?」

ハヌマーン「ヴァーリン様、貴方はラーヴァナの眷属となられたか」

ヴァーリン「ラーヴァナ様のお力でほれ、この通り…かつての肉体を取り戻したわ」

ハヌマーン「貴方はそこまでして……」

ヴァーリン「最後の通告だ。ラーヴァナ様に歯向かう気であらば、余は貴様等を殺す」

魔道士「……っ」
790 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 02:58:59.54 ID:WZmdOOEFo
ヴァーリン「良いな?最南の地は訪れぬ事だ……クッハハハハァ!!」

スウウゥゥッ

南方弓長「待ちなさいっ!!」

ザザッ!!

南方司令「撃つなっ!!」

南方弓長「!?」

南方司令「敵が逃がしてくれると言うのだ。下手に刺激するな」

戦士「……それが賢明だと思う」

南方弓長「了解……っ」

スウッ

ヴァーリン「いつか餌共に足元を掬われんようにな…クッハハハァ……」

ハヌマーン「……」

ドスの効いた内臓にまで響き渡る笑い声が徐々に小さくなりやがて消える。

それと同時に、上空を覆っていたヴァーリンの姿も、再び闇夜へと姿を戻した。

辺りには静けさが蘇り、ただ呆然と立ち尽くす彼らの姿のみが残された。
791 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 03:11:49.69 ID:WZmdOOEFo


ハヌマーン「元来、我ら一族はヴァーリン様が猿王であられた」

剣士「……」

ハヌマーン「ヴァーリン様は非常に好戦的で、尚且つ野心的な御方だ」

戦士「……それで?」

ハヌマーン「対照的に、スグリーヴァ様は穏和であり、無益な争いを好まぬ御方だ」

魔道士「……」

ハヌマーン「ある日を境に、二人は互いの理念で衝突し対峙する事となった……」

南方司令「ある日……とは?」

ハヌマーン「何百年前になるだろうか。一度、魔王ラーヴァナが人間の手により討たれかけた事があった」

マーマン「…そーいやあったな。百万の兵が最南に押しかけてきたっけか」

ハヌマーン「そう、あの時ヴァーリン様は……」

南方弓長「……」

ハヌマーン「ラーヴァナを討ち、自身が魔王に君臨しようと画策なされた」

白馬騎士「何と……っ!」
792 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 03:15:25.70 ID:RwJj98Iko
深夜更新お疲れ様です
793 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 03:19:41.18 ID:WZmdOOEFo
ハヌマーン「手負いとはいえ相手は魔王。当然猿兵など全てが容易く死んでいくであろう」

オーク「……っ」

ハヌマーン「スグリーヴァ様は、己の利権のみで配下を捨て駒に扱うヴァーリン様が許せなかった」

弟者「そりゃそうだ!そんな話があってたまるか」

ハヌマーン「そこでスグリーヴァ様は、ヴァーリン様追放のご決断されたのだ」

兄者「……成程」

ハヌマーン「元より私はスグッリーヴァ様に使える軍師。あの御方の心中も察していた」

三男「……」

ハヌマーン「そして機を伺い、スグリーヴァ様と私はヴァーリン様を追放する事に成功した」

錦将軍「それが今の形ってわけだ」

ハヌマーン「我が肉体はその際の魔力により、人間程度の大きさになってしまったのだ」

魔道士「スグリーヴァ様もですか…?」

ハヌマーン「うむ。我らとて従来は先程のヴァーリン様と同等程度の大きさであった」

老将軍「何と…まぁ……」

ハヌマーン「しかし、追放したまでは良かったのだが…そこから更に、新たな問題が発生したのだ」
794 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 03:25:58.01 ID:WZmdOOEFo
剣士「…問題…とは?」

ハヌマーン「ヴァーリン様は何と、命を狙っていたラーヴァナの元へ逃げ込んだのだ」

南方司令「何と卑劣な……っ!」

ハヌマーン「更には、我らを反逆者に仕立て上げ、周囲の魔族との敵対関係を築いたのだ」

戦士「!!」

ハヌマーン「身動きの取れなくなった我らは自身の領地を固める事で精一杯であった…」

マーマン「それで人間に手を借りようってかい」

ハヌマーン「いや、人間との共存はスグリーヴァ様がずっと考えておられた事」

法師「成程。だからこそ先程の……」

ハヌマーン「ラーヴァナ討伐の際にも我らは静観を決め込んでいた」

戦士「それが後で裏目に出たってか」

ハヌマーン「ヴァーリン様の讒言により、全てはスグリーヴァ様の所業とな…」

魔道士「ひどい…っ。濡れ衣じゃないですかっ!」

ハヌマーン「ああ。しかし……ラーヴァナの元で肉体までも回復していたとは…っ」

剣士「あれも…魔王の力ですか?」
795 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 03:31:13.81 ID:WZmdOOEFo
ハヌマーン「そこまでは分からぬ。しかしラーヴァナの力を借りているのは間違いないようだ」

南方弓長「厄介ね…」

ハヌマーン「…案ずる事はない」

戦士「…?」

ハヌマーン「再び合間見えるこの日の為に、スグリーヴァ様は待っておられたのだ」

マーマン「勝てるのか?」

ハヌマーン「居城におる同士も含め、我らが全員で挑めば……道連れには出来よう」

魔道士「……!!」

法師「それで…良いのか?」

ハヌマーン「良いのです。全ては我らが一族の問題……」

剣士「……」

ハヌマーン「どちらかが生きる必要などない。ともに清算すべきなのです」

オーク「そんなのって…悲しすぎです」

ハヌマーン「…だから、ヴァーリン様は我らが引き受けるからこそ、ラーヴァナを倒してくれ」

魔道士「ハヌマーンさん……」
796 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/10(月) 03:32:23.35 ID:WZmdOOEFo
なんかマチマチ更新ですみません…
起きたらまとまった時間が取れるかと…では、おやすみなさい

ご支援ありがとうございました!ノシ
797 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 04:59:58.71 ID:vOXXqWTAO
深夜の更新乙んつんであります。
798 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 07:31:38.96 ID:iXmXUIfM0
何と。
奇しくも華国と同じ事を猿王も行っていたとは…
国を離れても国をおもう法師と復讐を狙う猿兄…
お猿の国も人の国もゴタゴタするのはかわりないのか…

ともあれ1乙愛してる
799 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2011/01/10(月) 18:44:53.39 ID:Z4E0TRWDO
いちたんチュッチュ
800 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/10(月) 18:47:12.70 ID:4WNdGC2ho
>>797-799
ありがとうございます。愛情を糧に頑張りますっ!↓続き
801 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:47:52.09 ID:4WNdGC2ho


国境線を挟んで行われる異例の会談。

更に会談者は国王、南を任された司令。更には魔族とこれまた異例。

南方司令「では、我らは直ちに華国による同盟の意志をお伝えしましょう」

三男「頼みます。こちらは弱小国ゆえ、何も出来ぬかもしれませんが……」

白馬騎士「魔物を募っていた事に関して敵意はない。それだけはお分かり頂きたい」

南方司令「うむ。今回の事で全て把握させて貰った」

戦士「……」

法師「我らはスグリーヴァ様の御意志に従い、両国を手助けさせて頂く」

剣士「その上で、これまで華国で募った魔物も遊軍として編入致します」

ハヌマーン「それぞれの橋渡しには、私や法師様が協力致そう」

白馬騎士「華国の再建も整いつつあります。軍備増強させ進めれば……」

兄者「うむ。我らとて魔王軍と戦う際には兵を進められるな」

魔道士「……皆さんが力を合わせて一つになりましたねっ!」

戦士「ああ。召喚士と盗賊にも見せてやりたかったな!」
802 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:48:21.31 ID:4WNdGC2ho


南方弓長「全軍、赤壁まで帰還するわよっ。司令、先に戻っておりますよ」

南方司令「ああ。所用を済ませ次第、すぐ赤壁に戻る」

白馬騎士「誠に有難う御座いました」

南方司令「なに、これぞ正義の務めというもの。はっはっは!」

南方弓長「それでは、失礼致します」

ザザッ…パッカパッカパッカ

ハヌマーン「司令殿」

南方司令「…?」

ハヌマーン「ヴァーリン様の事は我らにお任せあれ」

南方司令「そうさせて貰う。まだ仕掛けてくる様子もなさそうだしな」

ハヌマーン「うむ。おそらくこちらから動かぬ限りは問題ないと思える」

南方司令「了解した!私達は牽制しつつ来るべき日に備えるとする」

法師「頼みます」

南方司令「うむ。正義の元に任せたまえ!」
803 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:48:50.59 ID:4WNdGC2ho


三男「兄上」

法師「私は、華国へ戻るつもりはないぞ」

三男「……」

法師「三男、お前は立派に務めておるではないか」

三男「……」

法師「自信がないのか?」

三男「それもありますが……」

法師「私に気を遣っているのなら、それは間違いだ」

三男「……しかし」

法師「私は自ら、華国を捨てたのです」

三男「それは理由があっての……」

法師「どのような理由があろうと、一度王位に就いたのであれば、それを全うせよ」

三男「……っ」

法師「お前には辛い事を押し付けてしまったと思っている。許して欲しい」
804 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:49:32.56 ID:4WNdGC2ho
三男「……私こそ」

法師「自信がないのなら、後ろを振り返ってみるが良い」

三男「……?」

法師の言葉に従い、三男はゆっくりと背後を振り返る。

三男「……!!」

法師「お前を心から支える、何人もの勇者がいるではないか」

三男と法師、二人の目に映る五虎将軍の姿。

法師「白馬騎士」

白馬騎士「……はっ」

法師「三男を頼みます」

白馬騎士「……」

法師「我が代わりに兄となって、支えてくれ」

白馬騎士「……っ」

法師「任せたぞ」

白馬騎士「……お断り致します」
805 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:50:07.71 ID:4WNdGC2ho
三男「……!?」

白馬騎士「此度、独断にて陛下を危険な目に合わせてしまいました……」

三男「そ、それは……」

白馬騎士「いえ、私の責務です。大将軍を辞任させて頂き――」

弟者「何を勝手な事言ってんだぁ!」

白馬騎士「……!?」

錦将軍「さーれがお前さんのせいだって決めたんだよ」

老将軍「そうじゃ。陛下を危ない目に合わせたは、我ら五虎将の責務」

兄者「お主が居なくなれば、誰が華国をまとめあげるのだ」

白馬騎士「……し、しかしだなっ」

三男「白馬」

白馬騎士「……陛下」

三男「そのような事を申すは、私が許さんぞ」

白馬騎士「……」

三男「頼む。私の右腕となり、華国を支えてくれ」
806 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:50:41.61 ID:4WNdGC2ho
法師「頼むぞ、白馬」

白馬騎士「……この命に代えても…陛下をお守り致しまする」

三男「ありがとう。白馬」

法師「これで私も、安心して旅を続けられるよ」

ハヌマーン「……行きますか」

ザッ

三男「待っております!」

法師「……?」

三男「お近くへ来られた際は…お立ち寄り下され」

法師「三男……」

三男「是非、旅のお話などお聞かせ下さい。……法師殿」

法師「…相分かった。そうさせて頂きます……陛下」

三男「お元気で」

法師「……では、行こうか」

三匹の魔物を連れた盲目の法師は、スグリーヴァの待つ南の地へと去って行った。
807 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:51:15.76 ID:4WNdGC2ho


兄者「さて、我らも戻ると致そう。側近らが心配しておるぞ」

白馬騎士「そう致しましょう」

戦士「そういや司令、アンタはどうすんだ?」

南方司令「無論、お前らに付いて行くよ」

戦士「無論って……意味が分からん!」

魔道士「何か…ご予定でも?」

南方司令「ん?忘れたのか…?」

ガシッ…ワシワシッ

剣士「や、やめて下さい…っ。頭を揺らされると二日酔い……」

南方司令「剣士殿のプロポーズを見届けねばならんからな!」

戦士「……は?」

魔道士「へ…!?」

剣士「……えっ!?」

安堵の戻った彼らの胸に、再び激震が走った。
808 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:51:51.17 ID:4WNdGC2ho
〜華国、東の城〜

パッカパッカパッカ…

錦将軍「凱旋凱旋…とくらぁ!」

弟者「凱旋たって、手柄もなけりゃ迎えもねぇ」

錦将軍「ばっきゃろぃ!己が錦を飾ればそれ即ち凱旋よ!」

弟者「よく分かんね…」

兄者「ほれ、ごちゃごちゃ申してないで早く入城せんか」

老将軍「…むっ、あれは……」

テクテクテク…

側近「陛下はご無事か!?」

三男「私はこの通り無事だ」

老文官「一安心ですわい…。それで、全てうまくいったのかな?」

白馬騎士「はい。本国と親睦を深める事も出来ました」

若文官「何と…っ。それは大きいな……」

白馬騎士「詳しい事は城内にて…」
809 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:52:33.42 ID:4WNdGC2ho
側近「うむ。ささ、殿下はこちらへ」

弟者「俺等も先に行ってるぜ」

スタスタスタスタ…

兄者「…ん、どうなすった?」

剣士「いえ、ここで失礼しようかと思いまして」

白馬騎士「これより祝賀の宴もあるというのに……」

戦士「またかよ……」

剣士「ちょっと…所用がありまして……」

兄者「何と…。それは誠に残念よ……」

魔道士「また今度、改めてお邪魔しますっ」

兄者「うむ。待っておるぞ」

白馬騎士「……剣士殿」

剣士「はい」

白馬騎士「貴公、我が主の下で働いて頂けぬか?」

剣士「…えっ!?」
810 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:53:46.48 ID:4WNdGC2ho
白馬騎士「かねてより貴公には将器有りと感じている」

兄者「確かに。此度の働きからも十分にお見受けする」

剣士「そ、そんな滅相もない…っ!」

白馬騎士「どうか私から推挙させて貰えぬだろうか?」

剣士「い、いえ…っ!僕なんかがとても……」

白馬騎士「……今すぐとは言わぬ。考えて頂きたい」

剣士「……っ」

兄者「騎都尉の役職も空いておるしな…」

戦士「…すげぇじゃんか!」

魔道士「そうですよ剣士さん!」

剣士「…わ、分かりました。考えさせて下さい」

白馬騎士「良い返事を期待しているぞ」

兄者「…うむ。楽しみに待っていようか。はっはっは」

剣士「…あ、あのっ」

兄者「……?」
811 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:54:42.91 ID:4WNdGC2ho
剣士「騎都尉で思い出したのですが…」

白馬騎士「何か…?」

剣士「…この馬を、お返し致したいのです」

白馬騎士「赤兎を…ですか?」

剣士「ええ。これからは頻繁に乗る機会も減るでしょうし…」

白馬騎士「しかし……」

剣士「元より華国の名馬。僕は一時的にお預かりしたに過ぎません」

白馬騎士「…うぅむ。兄者殿」

兄者「…?」

白馬騎士「貴方なら使えこなせよう。赤兎を引き取って貰えぬか?」

兄者「某がか!?……宜しいのか?」

剣士「私は既に所有馬がありますし…」

兄者「……相分かった。では頂戴するとしよう」

剣士「…良かった」

戦士「そんじゃあこれも返しておくかい…?」
812 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:55:25.44 ID:4WNdGC2ho
ズイッ

兄者「騎都尉の戟か……」

白馬騎士「……うぅむ」

戦士「こいつだって、元は……」

白馬騎士「いや、それは戦士殿が引き継いでくれ」

戦士「……は、はぁ」

兄者「馬と違い、使用頻度も高いはず。きっと助けになるであろう」

戦士「…ああ」

兄者「それに、某とて得物は一流と自負しておる」

白馬騎士「兄者殿の得物は『青龍偃月刀』と謳われる素晴らしき槍」

兄者「槍と言うよりは大刀に近いがな。はははっ」

戦士「……ちょいと見せて貰っていいですかい?」

兄者「ああ。構わんぞ」

ヒョイッ…ズシッ

戦士「お、重…っ!!」
813 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:56:10.97 ID:4WNdGC2ho
兄者「どうかね?」

戦士「……確かに、こりゃあ大した逸品です」

兄者「そうであろう?はっはっは」

戦士「は、ははっ。……お返しします」

南方司令「それでは行くとしようか」

魔道士「はいっ!」

白馬騎士「もうじき日も昇ると思います。お気を付けて」

剣士「ありがとうございます。それではまた……」

テクテクテクテク…

南方司令「…さぁ、いよいよ君の番だ!」

剣士「……酔った席とはいえ…何であんな事」

戦士「もうここまできたらビシっと決めましょうぜ」

魔道士「が、頑張りましょうっ、剣士さん!」

南方司令「さぁさ、村は近いのだろう?急ごうではないか」

剣士「足取りが……重い…」
814 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:56:50.38 ID:4WNdGC2ho


ドドッドドッドドッ…

戦士「どうっすか?新しい馬の乗り心地は?」

剣士「うん。兄者さんが乗っていた馬も全然悪くないよ!」

戦士「そっか…。良かった」

剣士「戦士くんの南方馬もなかなか凄いよね」

戦士「まぁ借り物だけどな」

南方司令「良ければやるぞ?」

戦士「いや…。旅にはほとんど使わないし…宝の持ち腐れっすよ」

魔道士「確かに…そうですよねぇ」

南方司令「そうか。まぁ必要な時があれば言ってくれ」

戦士「ういっす」

魔道士「もうじき夜が明けますね……」

戦士「ああ。それに…村ももうすぐだ!」

剣士「……うん」
815 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 18:57:18.07 ID:4WNdGC2ho
朝日が昇り、村には今日も光が訪れる。

弓使い「……はーっ」

剣士の家の前。弓使いが両手を口の前に当て、息を吐く。

弓使い「……」

やや寒そうに方をすぼめ、一睡もせず剣士の帰りを待っていた。

弓使い「……あ…っ」

ザッザッザ…タッタッタ

剣士「弓使い…!?起きてたのか?」

弓使い「お帰りなさいっ。何だか…寝つけなくて……」

剣士「…ただいま」

弓使い「おかえりなさい。……あれ、戦士くんと魔道士ちゃんは?」

剣士「え、えっと……もうすぐ…来るんじゃないかな?ははっ」

弓使い「…?」

剣士「……あ、あのさ…っ」

弓使い「はい?」
816 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 19:02:46.68 ID:4WNdGC2ho
剣士「……えぇと」

弓使い「…な、何よ?なんだか少し…お酒臭いわね…」

剣士「あ、ちょっと…飲まされて…」

弓使い「大丈夫なの?弱いんだから無理しちゃダメよ?」

剣士「あ、あぁ…」

弓使い「それで…何?」

剣士「え、えっと……そのぉ……」

弓使い「……」

剣士「……ちょっと…墓参り行ってこようかな。はははっ」

弓使い「……はぁ」

剣士「先に家の中へ戻っててくれ!」

タッタッタッタッタ

弓使い「……何なの?もう…っ」

テクテクテク…ピタッ

弓使い「…あれ?……魔道士ちゃん…?」
817 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 19:28:04.19 ID:4WNdGC2ho
ドキィッ!!

弓使い「そんな物陰でどうしたの!?」

ソソーッ

魔道士「いっ、いえ…!な、何と言いますかそのぉ……」

弓使い「…?」

テクテクテク

戦士「魔道士ー。落し物見つかったのかぁ?」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「…おっと、弓使いさんか。早いなぁ……」

弓使い「お帰りなさい。何だか寝れなくてねぇ……」

戦士「睡眠はしっかり取らないとお肌に悪いっすよ?」

弓使い「あら、三十路過ぎた女への嫌味かしら?」

戦士「滅相もない!まだまだお綺麗!老け込むには早いっすよ」

弓使い「…ふふっ、ありがと。……あら、そちらの方は?」

戦士「あ、そうそう」
818 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 19:29:40.68 ID:4WNdGC2ho
ザッ

南方司令「南方司令と申す。初めてお目にかかる」

弓使い「始めまして。弓使いです」

戦士「この人は南方司令部の司令だ」

弓使い「え、えぇーっ!?」

南方司令「うむ。そうとも言うな」

魔道士「ど、どうしたんですか?急にそっぽ向いて……」

弓使い「だ、だってそんなお偉い人の前に…す、すっぴんで……」

戦士「別に気にしなくていいと思うけど…。特にこの人の場合……」

南方司令「ん?」

弓使い「す、すみませんっ!どうぞ…お入り下さいっ」

南方司令「ああ、お構いなく。それで剣士君は…?」

弓使い「え、えと…っ、すぐ戻ると思いますので…っ!」

戦士「……逃げたな」

魔道士「逃げましたね……」
819 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 19:30:25.75 ID:4WNdGC2ho
ヒュウウゥゥ

剣士「……はぁ」

一人墓前の前にしゃがみこむ剣士。

剣士「なぁ魔道士、僕は…どうしたらいい?」

コツッ!!

剣士「痛っ!!」

コロコロコロ…

剣士「…小石?どっから降ってきたんだ!?」

頭のてっぺんをさすりながら、剣士は頭上をきょrきょろと見渡す。

剣士「……まさかな」

何もない空から目線を墓へと移し、剣士はほくそ笑む。

剣士「…ありがとう。そうだよな……!」

スクッ…ザッザッザッザ…

剣士「…よしっ!!」

折からの向かい風は、剣士を後押しするように追い風へと変わった。
820 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 19:31:36.63 ID:4WNdGC2ho
〜剣士の家〜

カチャッ

弓使い「……あら?」

幼女「おはよ〜」

弓使い「早いわね。おはよっ」

幼女「うん……話し声…聞こえたから…」

弓使い「起こしちゃったか…。ゴメンねぇ」

テクテクテク

魔道士「幼女ちゃん、おはよ〜っ!」

幼女「…あっ、お姉ちゃん!おかえりなさぁ〜い」

魔道士「起きるの早いねっ、偉い!」

幼女「ほんとっ?えへへへ〜」

弓使い「ど、どうぞ!座って下さいませ」

南方司令「おぉ、すまぬ。気遣い無用」

弓使い「へ、へへぇ〜」
821 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 19:32:47.84 ID:4WNdGC2ho
カチャッ…テクテクテク

剣士「ただいまー」

幼女「剣士さんっ、おかえりなさい!」

剣士「幼女ちゃんも起きてたのか……ただいま!」

南方司令「…あの子は孤児…か?」

戦士「ああ…。北で父代わりの男を失ってな」

南方司令「なるほど…」

魔道士「今は剣士さんと弓使いさんが面倒を見てくれてるんですよ」

南方司令「…まるで、本当の親子のようだな」

幼女を抱きかかえる剣士を見つめ、南方司令は呟く。

戦士「ああ…。元々あの二人も戦災孤児らしくてな…」

南方司令「痛みが分かる…という事か」

魔道士「この村自体もそういう村なんですよ」

戦士「そうそう。村長さんが孤児の為の村を築き上げたんだっけか」

南方司令「……そうか」
822 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 19:36:32.79 ID:4WNdGC2ho
カチャ…コトッ

弓使い「なるほど…そんな事が……」

南方司令「だが、剣士君のお陰もあり…万事うまくいったぞ」

剣士「いえいえ、国軍の皆さんこそ手助け頂きまして……」

南方司令「それに、君らもな」

戦士「…いや、特に何もしてねぇけどな」

魔道士「え、ええ…っ」

南方司令「華国への潜入依頼をしてくれたからこそ動いたのだ」

剣士「確かにそうです。二人のお陰でスムーズに進んだよ、ありがとう」

戦士「そ、そうかな……」

弓使い「でも素敵ね。人間だけでなく魔物まで一丸となって……」

南方司令「これからは新しき時代の幕開けだ」

幼女「そしたらっ、街の中に魔物さんが買い物に来たりするのかな?」

魔道士「あっ、そうかもしれないね〜!」

戦士「……脳内で絵に出来ねぇ」
823 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 19:37:54.25 ID:4WNdGC2ho
スクッ

剣士「……」

弓使い「どうしたの?」

剣士「…弓使い、話があるんだ」

弓使い「はい…?」

戦士「ぶふ……っ!」

魔道士「戦士さんっ!?」

戦士「ごほ…っ、だってよ……まさかここで…」

南方司令「私達は席を外すとしようか」

剣士「いえ、お構いなく。皆さんが証人です」

戦士「…な、何か吹っ切れてるな」

魔道士「え、ええ……っ」

弓使い「い、一体何なの…?」

剣士「弓使い」

弓使い「…は、はいっ」
824 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 19:39:16.00 ID:4WNdGC2ho
剣士「……え、えと…っ」

弓使い「……っ」

剣士「…あっ!そ、そうだ!その前に…っ」

タッタッタ…ゴソゴソッ

剣士「あ、あれ…!?どこに閉まったっけ!?」

魔道士「……剣士さんて意外と…」

戦士「お茶目さん…てか?」

剣士「……えっと……あ、あったあった!」

ゴソッ…タッタッタ

剣士「……弓使いっ!!」

弓使い「は、はいぃ!!」

ズイッ

剣士「……僕と…結婚してくれっ!!」

弓使い「……えっ!?」

剣士「僕と…結婚して下さいっ!!」

弓使い「え、ええぇ〜っ!?」



〜第三十部、完〜
825 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 19:45:25.45 ID:NVMGlwACo
乙!
826 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 19:46:47.13 ID:+lzlGtP8o
827 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 19:48:41.77 ID:DdP9TYxq0
剣士はよくやったな
褒美に死亡フラグを装備する権利をやろう
828 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 19:52:54.91 ID:hFJl2IoDO
乙! 頭の中で召喚子と青年子がてんとうむしのサンバ歌ってるぜ
829 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 19:58:53.72 ID:vWmAuZ9jo
>>819
>剣士「なぁ魔道士、僕は…どうしたらいい?」

830 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 20:16:12.06 ID:Cgu2aVdxo
>>829
幼馴染みの男の魔道士のことだな
かなり初期の話だから読み返してみるといい
831 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 20:27:01.28 ID:wDPq+7Q7o
死ぬかと思ったがそんなことはなかったようだな
剣士に乙
832 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 20:34:32.33 ID:3Gk5SVwAO
魔導士ちゃんはアンデットかわいい!
833 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 21:08:13.09 ID:iXmXUIfM0
>>832

そっちかよ!
剣士将軍!
就職先も嫁も娘もゲットした剣士に幸あれや!
834 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 21:31:12.84 ID:vWmAuZ9jo
>>830
おう…ありがとう

時間あるし読み直してくるよ…
835 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 23:49:52.70 ID:9CKKwjsvo
魔道士(男)の話は1スレ目の中盤だった
なんか俺の記憶では途中で死んだ気がしてたけど戦士達と会った時にはもういなかったんね


それにしても剣士と弓使いコンビはいいよな
大好きだ
836 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 23:51:07.84 ID:OGRzFbRxo
これで剣士にも「俺・・・帰ったら結婚するんだ・・・」フラグを立てる資格を手に入れたな
837 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 23:53:36.75 ID:4WNdGC2ho
カラーンカラーンカラーン…

戦士「おめでとうっ!」

盗賊「…おめでと!」

魔道士「おめでとうございますーっ!」

幼女「おめでと〜!」

弓使い「ありがとーっ」

白馬騎士「まこと、目出度き事よ!」

南方司令「うむ!末永く幸せにな!!」

召喚士「剣士さんっ、本当におめでとうございます!」

剣士「ありがとう、召喚士くん!」

ワアアァァッ!!

召喚士「…………」



――旅を始めて色んな事が、本当に色んな事があったけど、

今日ほど心から嬉しいと思った事はなかったんだ。
838 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 23:55:41.32 ID:4WNdGC2ho
召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第三十一部〜
839 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 23:56:28.24 ID:4WNdGC2ho
〜剣士の家〜

戦士「……」

魔道士「……」

南方司令「……」

幼女「……」

剣士「……弓使い…?」

弓使い「――っ」

剣士「あ、あの……」

弓使い「……何…言ってるのよぉ!」

剣士「えぇ!?」

弓使い「…こっ、こんな…お客様のいる中で…な、何言ってるのよ!?」

剣士「い、いや…っ……あの」

弓使い「――っ!」

スクッ…ダンダンダンッ…パタン

剣士「……あ、あのぉ…っ」
840 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 23:56:57.34 ID:4WNdGC2ho


戦士「…おいおい、弓使いさん…出てこないぞ?」

魔道士「…怒らせちゃいましたかね」

剣士「女心は難しいですね……」

南方司令「……ああ」

戦士「全くだ」

魔道士(……この人たちは…)

幼女「私、呼んでくるよっ」

タタッ…

南方司令「…ま、まさかとは思うが」

戦士「…あん?」

南方司令「…振られ――」

剣士「やめて下さい!そんなわけ…ないですよ!」

戦士「そ、そうだよな……っ」

魔道士(……この人たちは…)
841 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 23:58:14.25 ID:4WNdGC2ho
〜弓使いの部屋〜

コンコン…カチャッ

幼女「……弓使いお姉ちゃん…?」

弓使い「……幼女ちゃん」

幼女「剣士さん達…待ってるよ?」

弓使い「…うん」

幼女「……行かないの?」

弓使い「…うん」

幼女「……」

弓使い「……」

幼女「……あ、のね…」

弓使い「幼女ちゃん」

幼女「は、はいっ」

弓使い「…分かってるのよ。うん、分かってるの」

幼女「……」
842 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/10(月) 23:59:53.60 ID:4WNdGC2ho
弓使い「剣士が…言ってくれるの、ずっと待ってた」

幼女「…怒ってるの?」

弓使い「ううん、怒ってないよ。でもね…怖いの」

幼女「……」

弓使い「いざ、その言葉を聞いたら…色々考えちゃって……」

幼女「……」

弓使い「あ…っ、怒ってるわけじゃないのよ?」

幼女「うん…」

弓使い「いざとなると…その、いいのかな…って思うし…」

幼女「私は…早く結婚してほしいって思うよ」

弓使い「幼女ちゃん……」

幼女「二人はお似合いだもんっ。絶対結婚しないとだめっ!」

弓使い「……ふふっ、ありがとう。幼女ちゃん」

幼女「えへへっ」

弓使い「幼女ちゃんは小さいのにしっかり者ねっ!」
843 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 00:02:17.39 ID:ifQaS/wio
カチャッ

戦士「…あ、出て来た」

ガタッ

剣士「……っ」

弓使い「……剣士」

シズシズシズ

剣士「弓使い…僕は……」

弓使い「……」

ペコリ

剣士「……!?」

弓使い「…ふつつか者ですが、どうぞ宜しくお願いしますっ」

剣士「――っ!!」

魔道士「……良…かった…!!」

戦士「いーよっしゃああぁぁ!!」

南方司令「はっはっはっは!!正義の勝利だぁーっ!!」
844 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/11(火) 00:12:47.48 ID:ifQaS/wio
出だしだけ投下ですみません。続きは夕方に…!
ご支援ありがとうございました!おやすみなさーい!ノシ

〜オマケ〜

皇太子「…結婚?別に急ぐ事もあるまい」

エリート「結婚…?まぁ、機会があれば。今はそれどころでは……」

天才「結婚だぁ!?はんっ、一銭の得にもなりゃしねぇわ!はーっはっはっは!」

魔法剣士「結婚…?興味ない」

賢者「結婚……ふぅ」

ジュニア「結婚なんて…ラヴァーの中から一人なんて選べんよ。ハッハ!」

左翼長「結婚ねぇ…。それどころじゃなかったしなぁ。もう年も年だしどうでもいいや」

バーテン「結婚…?俺は自由に生きる道を選んだんだ。縛られたくはねぇな」

隊長「結婚?ないない。今の職はいつ死ぬか分からん。してらんねぇよ」

火忍「結婚!?……したいです……ひ、姫と」

名代「結婚…。そうですね、良い人でもおれば考えたいところですな」

王子「結婚かぁ……まずは、誰にするかが問題だな!」

サモナー「結婚?…マーメイド以外には考えられないな。そうだ!マーメイド、僕達もけ(ry」

魔道士「え、えーと…以上、現場より独身男性の皆様によるご意見でした…っ」
845 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 00:14:25.62 ID:8KB7INGYo
俺「結婚…?したいけど>>1さんは俺のことをどう思ってるか…///」
846 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 00:17:14.20 ID:ebUfADImo
>>844
流石賢者ぶれないな
847 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga sage]:2011/01/11(火) 00:21:31.88 ID:7WQVxiwDO
>>1乙!

名代も未婚だったのか…
848 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 00:22:03.48 ID:CT2g/ikGo
俺「べ、別に結婚なんて・・・チラッ >>1となんて、結婚したくないし・・・チラチラッ」
849 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 01:18:36.10 ID:YyalFWfWo
主要人物未婚大杉!
魔王のあとは跡取り問題で国が乱れるんですね
850 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 03:10:15.95 ID:P14LT9tAO
>>845
>>1って既婚じゃないの?
851 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 03:37:31.58 ID:hQLI2qDSO
剣士「行け!五虎将軍!!」

主役ついに結婚か。めでたいのう。ひょひょひょひょっ
852 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/11(火) 03:58:41.78 ID:shrx9gvDO
俺も盗賊ちゃんと結婚するぞおおおおおお
853 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 06:03:44.39 ID:ZCJ8+G8AO
三十部完結乙んつん

しかし玉子は生意気だな。ビンタしたい往復で
854 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 07:17:07.44 ID:K8bhr94AO
元婚約者のエリートに結婚したいかどうか聞く魔道士ちゃんは小悪魔かわいい
855 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 07:30:44.27 ID:M1sKA42SO
サモナー懐かしいな。
玄武娘とかどうなったんだろかwwww
856 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 07:54:17.91 ID:LnPULQ8IO
王子ぇ
最近国軍多くで眼鏡と魔法剣士が空気…
あっ、いちおつなんです!
857 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/11(火) 13:36:38.14 ID:3jVKbQkDO
>>1はどう考えても既婚じゃないだろ…
858 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/11(火) 13:53:36.27 ID:jYsdajec0
>>1
30部完結乙
859 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 17:16:36.93 ID:YVRW+suZo
>>857
その言い方はどうかと
860 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/11(火) 18:03:42.14 ID:c6abfZbho
こんばんは。剣士と弓使いは何故か人気ですね!
大して出番もな……ごにょごにょ

>>857
それは良い意味で取ってもいいんで す  か   ね!?

↓続き 
861 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:04:31.03 ID:c6abfZbho


剣士「……っ」

弓使い「……」

戦士「…な、何で沈黙なんだよ…ボソボソッ」

魔道士「し、知りませんよっ……ゴニョゴニョ」

剣士「……そ、そうだっ!」

戦士「!?」

剣士「弓使い、これを……」

スッ

弓使い「…?」

魔道士「おぉ…っ、エンゲージリングですね!」

剣士「…うん。随分前に買ったものだから安物だけどね…」

弓使い「そんな事……っ」

剣士「それに、どこに仕舞っておいたかも一瞬わすれてたよ…ははっ」

南方司令「金額など関係ない。気持ちがこもっておれば良いのだ!」
862 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:05:58.69 ID:c6abfZbho


剣士「……」

弓使い「……」

剣士「…………」

弓使い「あ、あのさ…っ」

剣士「な、何!?」

弓使い「……村長の所へ…報告に行きましょ」

剣士「あ、あぁ…。そうだな」

ソソクサ

剣士「……すみません、ちょっと行ってきます」

弓使い「すぐ戻りますので、くつろいでいて下さい」

戦士「ういーっす」

魔道士「行ってらっしゃいっ」

テクテクテクテク…パタン

幼女「……はぁ」
863 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:06:46.83 ID:c6abfZbho
戦士「……なんつぅか…空気が重い」

南方司令「うーむ……」

魔道士「仕方ないですよぉ…」

戦士「そうだけどよ、見てるコッチも気を遣うっつーか…」

南方司令「かける言葉が浮かばんな」

戦士「そうそう。ここは女性陣がパーっと…」

幼女「えぇ〜!?」

魔道士「押し付けないで下さいよっ!」

南方司令「では、二人が戻ったら男女に分かれてみるとしようか」

戦士「おぉ!ナイスアイディア!」

魔道士「じゃあ…私達は弓使いさんと料理でもしよっか!」

幼女「料理?うんっ、するするー!」

戦士「えっと……俺らは?掃除…?」

南方司令「腕立て伏せでもするか?」

戦士「……はい?」
864 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:07:44.46 ID:c6abfZbho
〜村長の家〜

剣士「朝早くにすみません……」

村長「いやいや、それより二人揃ってどうしたのだ?」

弓使い「…え、えと」

剣士「……この度、結婚する事になりました」

村長「……!!」

剣士「まずは父代わりでもある、村長にご報告をと……」

村長「…そうかぁ。ようやく決心したか」

剣士「……はい」

村長「今か今かと心待ちにしておったのだぞ?」

弓使い「……すみません」

村長「しかしこれで、ようやく腰を据えた生活を送れるなぁ」

剣士「まぁ…はい」

村長「…それで、式の日取りはいつにする?1週間後で良いかの?」

剣士「……えっ?」

弓使い「…えぇ!?」
865 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:08:22.59 ID:c6abfZbho
〜剣士の家〜

戦士「違うんだって、だから腕立てのコツはだな……」

カチャッ…テクテクテク

幼女「おかえりなさーい」

剣士「……」

弓使い「……」

戦士「…お、おい…ますます重い空気になってるぞ!?…ヒソヒソ」

魔道士「……ど、どうしたんでしょうか!?…コソコソッ」

南方司令「どうした?何かあったのか?」

剣士「い、いえ……」

弓使い「……あ、あのね…式をする事に…なったの」

戦士「…何だ、めでたい話じゃねぇか」

剣士「それが…1週間後に……」

魔道士「1週間後ですか!?」

南方司令「随分また、急な話だな…」
866 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:09:53.24 ID:c6abfZbho
弓使い「…何でも、村長が心待ちにしてたって……」

剣士「いつでもいいように、予め準備してたんですよ…」

戦士「…へ、へぇ」

南方司令「我が子のように想っておったのだろうなぁ」

魔道士「…ですね。村長さんも楽しみにしてたんですよっ」

弓使い「それは嬉しいけれど…何もそんな急に…ねぇ?」

剣士「…うん」

戦士「まぁそんだけ楽しみにしてたんだろうなぁ」

魔道士「でも、参加者とか大丈夫ですか…?」

剣士「まぁそれは…。知り合いも多いわけではないし」

弓使い「親族だっていないしねぇ」

戦士「俺達は参加するぜ!」

魔道士「もちろんですよっ!」

剣士「…ありがとう!」

弓使い「……でも、召喚士くんと盗賊ちゃんは間に合うかしら?」
867 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:10:36.45 ID:c6abfZbho


タッタッタッタッタ

戦士「…そりゃそうだよ!ノンビリしてる場合じゃねぇ!」

タッタッタ…ガバッ!!

南方馬「ヒヒーン!」

戦士「かっ飛ばすぜ!この馬なら山あいの町まで…すぐだろ!」

ドドッドドッドドッ…

……――

弓使い『……でも、召喚士くんと盗賊ちゃんは間に合うかしら?』

魔道士『……へっ!?』

戦士『あ……』

魔道士『どどど、どうしましょう!?』

南方司令『伝書を出せばいいのではないかな?』

戦士『それだっ!!魔道士、今すぐ書けっ!!』

魔道士『は、はいぃ!!』
868 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:11:18.62 ID:c6abfZbho
剣士『弓使いっ!紙とペンを!!』

弓使い『山あいの町まで行けば、ワークショップがあるわっ』

魔道士『えぇと…レジスタンスの件は解決しました……』

戦士『前置きはいいから今すぐ来い!って書いとけ!』

魔道士『はいぃ!えっと…今すぐ剣士さんの村にきて下さい!…っと』

戦士『よしっ!そんじゃ行ってくる!』

剣士『一人で行くのか!?』

戦士『手紙出すだけだっ、行ってきます!』

幼女『気をつけてねーっ!』

――……

ドドッドドッドドッ…

〜山あいの町〜

戦士「……ふぃ〜」

テクテクテク…

戦士「この町もひっさびさだなぁ!」
869 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:15:51.40 ID:c6abfZbho
かつて小さな依頼を重ねた村を、戦士は懐かしげに見回す。

戦士「確か…ワークショップはこの辺に……」

テクテクテク

戦士「…おっ?港かぁ…!!」

テクテクテク…

戦士「前はなかったのになぁ…」

スッ

女「最近出来たのよ。今は荷物の運搬のみだけど」

戦士「……はぁ」

女「いずれは人も往来可能になるみたいだけどね」

戦士「…そうか」

女「ほらっ、あの船なんかワークショップのものよ。もう出航するみたい」

戦士「――!?こーしちゃいらんねぇ!サンキュッ!」

ダッ!!

女「…………」
870 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:17:20.21 ID:c6abfZbho
タッタッタ…バンッ

戦士「はぁ…はぁ…はぁ……」

店員「い、いらっしゃいませ…」

戦士「手紙を…頼む!」

店員「…は、はい」

戦士「出航する船にねじ込んでくれ。北行きだ」

店員「や、やってみます……」

戦士「頼む。金はここに置いとくぞ」

チャリチャリッ

店員「あ、ありがとうございました……」

テクテクテク…

戦士「ふーっ、間に合って良かったぜ…」

テクテクテク

男「…おや!?あ、あなたは…!!」

戦士「…?」
871 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:18:17.71 ID:c6abfZbho
男「先日はありがとうございました!あなたは命の恩人だ!」

戦士「…は、はぁ」

男「今日は…朱雀先生はご一緒じゃあないのかな?」

戦士「ま、まぁ…。別行動っす」

男「名高いワーカーともなると、単独での任務もあるわけですな!」

戦士「は、はぁ…」

男「おっと、引きとめてしましましたな。それでは…!」

スタスタスタ…

戦士「…いやはや、朱雀先生も有名になったモンだよ。ほんと」

罰の悪そうな顔で頬をかく戦士は、男を見送ると南方馬の元へと進む。

戦士「結婚式…かぁ。そういや初めて参加するな…」

ピタッ

戦士「……」

クルッ…スタスタスタ…

戦士「…ちょっと…本でも買って勉強しておくか」
872 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:19:06.46 ID:c6abfZbho
〜剣士の家〜

南方司令「…さて、私もそろそろ失礼しよう」

剣士「もうお帰りになられるのですか?」

南方司令「うむ。今回の報告書などもあげなくてはならんしな」

弓使い「す、すみませんっ。大したお持て成しも出来ず……」

南方司令「なに、お構いなく。……剣士くん」

剣士「はい」

南方司令「華国へ推挙の件、いかがするつもりだ?」

弓使い「……っ!?」

魔道士「そ、そういえば…どうするんですかっ?」

剣士「ご好意は大変感謝しておりますが、すぐには……」

南方司令「華国となると、本国の出入りも不自由になるからな…」

剣士「ええ…。当然、華国へ引っ越さねばなりませんし…」

魔道士「あ、そうでうよね……」

南方司令「近い将来、同盟が結ばれれば…それも緩和されるであろうが…」
873 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:19:36.68 ID:c6abfZbho
剣士「現状は何かと制限されますしね…。難しいところです」

幼女「……何のお話?」

弓使い「しっ。後でね…」

南方司令「そこで、一つ伺いたいのだが」

剣士「な、何でしょうか?」

南方司令「我が司令部に来ないかな?」

剣士「…えっ!?」

弓使い「――っ!!」

南方司令「それならば制限もないし、華国へも助力出来る」

魔道士「おぉ…っ。そうですね!」

南方司令「どうだろう?悪い話ではないと思うのだが…」

剣士「しかし、僕のようなワーカーが宜しいのですか?」

南方司令「うむ。つい先日も数名のワーカーが入隊したところだ」

剣士「……」

魔道士「いいお話じゃないですかっ、剣士さん!」
874 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:20:47.76 ID:c6abfZbho
剣士「…そうですね。考えさせて下さい」

南方司令「分かった。返事は急ぐ必要はない。枠があるわけでもないしな」

剣士「…ありがとうございます」

南方司令「では、失礼」

テクテクテク…パタン

剣士「……」

弓使い「……あ…あの、剣士。推挙…って?」

剣士「ごめんごめん、バタバタしてて言いそびれてたよ」

魔道士「華国の将軍にならないかって、白馬騎士さんに誘われたんですよね?」

剣士「そうなんだ。それに加えて国軍からも……」

幼女「よかったね!」

剣士「…うーん」

魔道士「お受けしないんですか…?」

剣士「今の生活もあるし、軽々とは決められないなぁ……」

弓使い「……そうね」
875 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:21:45.47 ID:c6abfZbho


ドドッドドッドドッ

戦士「…おっ?」

南方司令「戻ったか」

戦士「もう帰るんですかい?」

南方司令「ああ。仕事が山積みでな」

戦士「そっか」

南方司令「済まんが後で知らせて貰えんか?」

戦士「ん…?」

南方司令「華国へは私が帰りがけに立ち寄り、伝える」

戦士「…ああ、そういう事ね。了解っす!」

南方司令「前日までに、司令部宛へ連絡をくれればいい」

戦士「了解っす!」

南方司令「頼む。ではまたな!」

戦士「お疲れっした!」
876 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:22:24.75 ID:c6abfZbho


カチャッ

戦士「たっだいまー」

魔道士「おかえりなさい!」

弓使い「ごめんなさいね、私達の問題なのに…」

戦士「気にしないで下さい。俺らが好きで参加するんですから」

剣士「…ありがとう。本当に」

弓使い「もうこんな時間かぁ。お昼にしましょうかっ」

幼女「うんっ!魔道士お姉ちゃん、料理するんでしょ?」

魔道士「そうだねっ!司令さんは帰っちゃったけど…三人で作りましょ!」

幼女「うんっ!」

剣士「それじゃ僕らは……」

戦士「…剣士さん、ちょいといいっすか?」

剣士「…?」

戦士「外、行きません?」
877 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:23:03.74 ID:c6abfZbho


テクテクテク

剣士「…どうしたんだい?」

戦士「一戦、手合わせしませんか?」

剣士「!?……戦士くんとかい?」

戦士「ええ」

剣士「…いいよ、やろう」

戦士「ありがとうございます」

剣士「でも、相手になるかなぁ…」

戦士「……鍛錬してたんですよね?」

剣士「……」

戦士「身体つき見れば分かりますよ」

剣士「…ただじっとはしてられないからね」

戦士「俺も腕を上げたつもりです。胸…お借りします」

剣士「こちらこそ…よろしく!」
878 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:23:43.38 ID:c6abfZbho


ザッ…ジリジリッ

戦士と剣士、両者は剣に模した棒を手に、互いの動きを牽制する。

剣士「……」

戦士「……」

場数や経験では当然ながら、戦士の技量が剣士を遥かに上回る。

戦士(……隙が…みえねぇ)

しかしながら剣士とてかつては数々の場数を踏んできたワーカー。

剣士(…凄い威圧だな。真剣でないとはいえ…これ程か)

両者の『剛と柔』とも言うべき剣術は、勝敗の予断を許さない。

ましてやそれが魔物ではなく、人間同士であるが故にである。

戦士「……っ」

ヒュバッ!!

まず動いたのは戦士。痺れを切らせたわけではなく、様子を伺う為のそれである。

剣士「……っ!」
879 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:24:43.19 ID:c6abfZbho
チッ!!…ガギギイィ

頭上より振り下ろされる木の棒を剣士は避けもせず、

己の持つ棒を水平に構え、まずは正面より受ける。

剣士「……くっ」

戦士「……避けませんね」

剣士「……初手は様子見…だね」

互いの思惑は隠そうともせずいとも容易く互いに汲み取っていた。

戦士「……次は、いきますよ」

剣士「……ああっ」

命のやりとりでないからか、二人は感情を抑えようともせず、剥き出しの状態。

だからこそ相手がどういった動きで仕掛けてくるのか、それが安易に分かるのだ。

戦士「…っりゃ!」

剣士「……っ!」

戦士の二振り目。一度振り上げた棒を再び振り下ろす。

ヒュオッ!!
880 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:25:13.36 ID:c6abfZbho
戦士「……っ!?」

ズガアアァァ!!

その一撃は空を切り、棒の先端が地面を抉り取る。

剣士「……甘いっ!」

垂直に振り下ろされた剣を模したそれを、剣士は逆らわず、

例えるならば風に揺れる草のように柔らかく右方へと回避する。

戦士「…ちっ!」

剣士「…はぁっ!」

ブオンッ!!

ガラ空きとなった戦士の腹部に剣士の一撃が放たれる。

…が、戦士もそれをよく避け、両者は間合いをやや遠ざけた。

戦士「…てっきり二撃目も受けるかと思いましたよ」

剣士「受けた後が怖いからね」

戦士「……っ」

剣士の言葉に息を飲む戦士。目の前の男が言うように、

戦士は二撃目の後に力ずくで圧し倒す算段であった。
881 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:25:42.24 ID:c6abfZbho
戦士(……完全に読まれてるな)

剣士(力では確実に勝てない。かといって…小手先の技術が通用するとは…)

魔物相手であれば考える事もなく、自分自身の力量のみで捻じ伏せるであろうが、

互いに相手を知るが故、どうしても慎重になり思慮へと至る。

戦士(えぇい…。四の五の考えるのは面倒!初動だけ見極める!)

剣士(…来るっ!ここは逆らわず……後の先を取る!)

戦士は一撃を狙いすまし、剣士はそれのカウンターを狙いすます。

どちらも一撃で勝敗が決まる事は分かっていた。

戦士(…あとは…うまく一撃入れられるかだっ!)

タンッ!!

剣士(来た…っ!!……が、これはフェイントか!)

両者の棒が激しく打ちつけられ。その度に鈍い音が周囲にこだまする。

ガゴッ!!…ガギィ…ゴッ!!…ゴッ!!…ガギイィッ!!

およそ十数合。二人は一歩も退く事なく、互いの棒を払いのけては打ち、

打っては迫る棒を払いのけ、またそれを延々と繰り返す。
882 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:26:10.51 ID:c6abfZbho
戦士「……く…っ、ぬぅ…!」

剣士「……っく!」

戦士は見ていた。目まぐるしく動く剣士の剣撃。

その掴みどころのない動きは手首の返しや柔軟さが成している。

戦士「……」

手首が上がれば棒は下がり、手首が下がれば棒は上がる。

剣筋を見極めるにおいて、戦士の探究心が看破を見い出した。

剣士(……目つきが変わった…!?)

戦士「……」

咄嗟の事であったが、剣士は嫌な予感を拭えず攻撃を中止する。

すかさず距離を取ろうと後方へ退がるその瞬間、

戦士「……しっ!!」

剣士「――!!」

戦士は弾く棒をそのまま返し、前進しつつ振り上げる。

その態勢からは剣士がカウンターを放てないと踏んだのだ。
883 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 18:28:06.54 ID:c6abfZbho
ブオォッ!!……ビタァ!!

剣士「……っ」

戦士「……」

剣士の首筋に戦士の棒が触れる。

戦士「……ふーっ」

剣士「……お見事…っ」

戦士「あざっす」

言葉を交わしながらゆっくりと棒を手元へ引き戻す戦士。

同時に深い息をもう一度吐き、それを見た剣士も同様に一息吐く。

剣士「いやぁ、流石だね戦士くん」

戦士「いえ、剣士さんこそ流石っすよ」

剣士「しばらく実戦を離れているからどうにもね……」

戦士「それでその腕前っしょ?…まいっちまうぜ」

剣士「ありがとう、でも今回は完敗だ。参りました!」

戦士と剣士。二人による手合わせの軍配は、ひとまず戦士へと上がった。
884 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:03:44.18 ID:c6abfZbho


テクテクテクテクテク…カチャッ

魔道士「あっ、どこ行ってたんですかぁ?」

剣士「ごめんごめん。ちょっと…ね」

戦士「ああ。ちょっと…な」

魔道士「…?」

弓使い「もうじき出来るから座ってて〜」

幼女「これでどうかなっ?味見してみて〜」

魔道士「……うんっ、バッチリ!幼女ちゃんやる〜!」

幼女「えっへん!」

弓使い「剣士、これ運んでくれる?」

剣士「よしきた、任せて!」

戦士「……ふっ」

魔道士「ニヤニヤしてないで戦士さんも手伝いましょうよっ!」

戦士「……へいへい」
885 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:04:36.03 ID:c6abfZbho


戦士…うおっ、美味そうな匂い〜!」

剣士「今日はとびきり豪華だな…。食べきれるかな……」

弓使い「魔道士ちゃんて本当に料理上手なのね〜」

魔道士「えへへー」

戦士「ある意味それだけが取り得だもんなぁ」

魔道士「何ですってーっ!?」

幼女「えへへへっ!」

弓使い「色々教えて貰えて、ほーんと助かったわ。ありがとっ」

魔道士「いえいえ、お気にせずっ!」

弓使い「魔道士ちゃんの、未来の旦那様が羨ましいわねぇ〜」

魔道士「――!?」

戦士「そうですなぁ〜。まぁ、あっちもなかなか……」

魔道士「どっちですかっ!!早く食べますよ!いただきますっ!」

戦士「い、いただきま〜す…」
886 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 19:05:14.64 ID:27z2jDGJo
そっちに決まってるだろう…
887 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:05:22.56 ID:c6abfZbho
カチャカチャッ…

剣士「…うんっ!凄く美味しいよ!」

弓使い「ほんとっ?良かったぁ〜」

幼女「これはどうっ?これね、私が作ったの!」

剣士「玉子焼きかい?どれ、いただきまーす……んー美味しいよ!」

幼女「やったぁ!」

魔道士「良かったね、幼女ちゃん!」

幼女「うんっ!ありがとーお姉ちゃんっ」

戦士「……」

魔道士「戦士さんはさっきから、何ニヤニヤしてるんです?」

戦士「…え?ああー別にー」

魔道士「……もうっ」

戦士「…んぐっ……おかわり!」

魔道士「早っ!!」

剣士「あはははっ!!」
888 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:06:13.50 ID:c6abfZbho


弓使い「私やるからいいわよ〜」

魔道士「いいからいいから、座ってて下さいっ」

幼女「洗うのくらい私達で出来ますもんねー」

魔道士「ねー」

弓使い「……もう。気を遣わせちゃってごめんね」

戦士「…あー食った」

剣士「いやぁ、美味しかったなぁ」

戦士「ひと運動した後のメシはまた格別ですなぁ」

弓使い「あら、運動してたの?」

剣士「あ、まぁ……」

弓使い「徹夜明けでよくやるわね〜」

剣士「こんな機会でもないと出来ないからね」

戦士「…おうっ」

弓使い「……はぁ」
889 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:06:43.59 ID:c6abfZbho


弓使い「…そろそろお茶にでもしましょうか!」

魔道士「はいっ!」

幼女「準備準備ーっ!」

魔道士「戦士さんっ、寝っ転がってないで手伝って下さいっ!」

戦士「…へーい」

剣士「あ、いいよ。僕が……」

幼女「二人は座ってるのーっ!」

弓使い「……?」

魔道士「……はい、戦士さん運んで!」

戦士「…でかっ!」

グイッ…テクテクテク…トスッ

剣士「…こ、これって……っ!?」

弓使い「ケーキ!?いつの間に……っ!」

幼女「あのね、さっきね二人で作ったんだよー!」
890 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:07:11.14 ID:c6abfZbho
弓使い「――っ!!」

剣士「……」

幼女「ご結婚、おめでとうございまーす!」

魔道士「些細な贈り物ですけど、前祝いですっ!」

戦士「本当におめでとう!」

幼女「戦士お兄ちゃん、何もしてないー」

魔道士「ぶーぶーっ」

戦士「……」

剣士「…ありがとう。すっごく嬉しいよ…!」

弓使い「…ほんとよ、もう…っ。泣かせないでよぉ……」

魔道士「ほら、戦士さん!ティッシュティッシュ!!」

戦士「お、おうっ!」

弓使い「…ふぇ…っ、ふえぇん」

剣士「良かったな、弓使い」

弓使い「……うん、本当にありがとうね…っ」
891 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:07:50.44 ID:c6abfZbho


弓使い「それじゃあ早速、頂きましょう」

剣士「うん、いただき――」

幼女「待ってぇ!」

剣士「!?」

幼女「…実は、このケーキはとくべつなケーキなのですっ」

魔道士「そうなのですっ」

戦士「…何だよ?」

幼女「10個の苺の中に、一つだけとってもからーい苺がありますっ」

魔道士「そうなのですっ!」

戦士「何をやってんだ…お前らは……」

魔道士「お祝いなのでちょっとゲーム感覚でどうかなと思いまして…」

剣士「そ、それは食べられる辛さ何だよね!?」

戦士「剣士さん必死だな……」

弓使い「この人、辛い物得意じゃないのよ〜」
892 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:09:10.10 ID:c6abfZbho


剣士「…じゃあ、僕はこれと……これ!!」

弓使い「私は手前の二つでいいわ〜」

戦士「よーし!俺はだなぁ……」

魔道士「はいっ、戦士さん」

戦士「おいぃ!?何で俺だけ決まってるんだよ!?」

魔道士「…え、別に意味はありませんけど?」

戦士「じゃあ選ばせろいっ!!」

幼女「私はこれとこれー!」

魔道士「あ、じゃあ私は余りのこれとこれねっ」

戦士「だから選ばせろってのおぉ!!」

魔道士「それじゃいただきましょうか!」

剣士「い、いただき……ます…っ」

弓使い「いっただきまーす!」

戦士「選ばせて下さいいぃぃ!!」
893 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:10:00.93 ID:c6abfZbho
パクッ

剣士「――っ!!あ、美味しい……!」

弓使い「…ほんとっ、フルーツ沢山ね!これ美味しーっ」

魔道士「……ど、どうしよう」

幼女「……うぅ」

戦士「自分達で作っただろ…」

パクッ

戦士「お、普通だった」

魔道士「……っ。あ、大丈夫だ〜!良かった〜」

幼女「私もーっ!」

戦士「……んで、俺のこれ……が」

ゴクリッ

戦士「…えぇい!ここは二人の祝いの為に盛り上げ役として――」

パクッ…モグモグ

戦士「……って、平気だぞ!?」
894 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/11(火) 19:10:39.11 ID:c6abfZbho
幼女「――!!!!!!」

魔道士「よよ、幼女ちゃんっ!?」

弓使い「水っ!!水ーっ!!」

剣士「幼女ちゃん!ほら、水飲んで!!」

幼女「――!!」

戦士「……自分で食ってりゃ世話ないな…ははっ」

ゴクゴクゴクッ…ゴクッ

幼女「……はああぁぁ」

魔道士「だ、大丈夫!?」

幼女「うん……泣きそうなくらい…辛かった……」

剣士「全く…。無茶しないでくれよっ」

弓使い「本当よ…。何かあったらどうするのっ!」

幼女「……ごめんなさい」

戦士「……へっ」

魔道士「戦士さん、まーたニヤニヤしてぇ。幼女ちゃんカワイそうですよ?」
895 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/11(火) 19:12:05.25 ID:c6abfZbho
…てか、もう900か。オマケ…どうしようかな…

それでは帰ります!ご支援ありがとうございました!ノシ
896 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 19:12:34.48 ID:e+p+wzsmo


戦士がロリコンに見えてきた…
897 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 19:13:46.08 ID:27z2jDGJo
辛いのか辛いのか(ry
898 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 19:19:58.49 ID:Y4X/4Se+o
幸せなのか辛いのか
899 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 20:31:25.62 ID:tDXNzQCSO
>>1乙!
むこうで剣士と弓使いちゃんの初夜を頼む
900 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 21:50:57.21 ID:Hq+U17Hfo
戦士の敬語がちんぴらっぽい…
901 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 23:18:52.07 ID:K8bhr94AO
辛いさん……
902 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 23:31:38.49 ID:P14LT9tAO
戦士帥`ンピラ
903 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 00:00:41.21 ID:XWw3ZZAvo
剣士と戦士ってかなり実力差あると思ってたけどそうでもないのか
対魔物なら戦士の方が断然強いけどお互いが戦うってなるとそうでもない感じ?
904 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 00:12:36.48 ID:VzbWTDv1o


弓使い「…あー楽しかったぁ」

剣士「二人とも、今日は泊まっていくだろう?」

戦士「いや、そこまでは……」

幼女「えぇ〜!?お姉ちゃん帰っちゃうの〜?」

魔道士「……うぅ」

弓使い「せっかくなんだし泊まっていってよ。幼女ちゃんも喜ぶわっ」

幼女「泊まってけー!」

魔道士「……じゃあ」

戦士「お言葉に甘えるとしますか」

弓使い「それじゃお風呂の準備しなきゃね」

幼女「私、掃除してくるーっ」

剣士「じゃあ僕は水汲んでくるよ。ついでに薪も…」

戦士「そういう事なら俺もっ!」

魔道士「じゃあ、私は弓使いさんと夕飯の準備ですねっ!」
905 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 00:13:05.79 ID:VzbWTDv1o


戦士「剣士さーん」

剣士「……」

スタスタスタ…

戦士「剣士さん?」

剣士「あ、あぁ。薪持ってきてくれた?」

戦士「…これでいいんすよね?」

剣士「うん、ありがとう。あとは水を……」

戦士「どうかしました?」

剣士「…いや、何でもない」

戦士「……」

剣士「……何だか緊張しちゃってさ」

戦士「…あぁ」

剣士「そりゃ多少は考えていたけど、いざ結婚ってなると…どうしていいか…」

戦士「…いいんじゃないっすか?」
906 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 00:13:47.68 ID:VzbWTDv1o
剣士「……え?」

戦士「剣士さんは剣士さんなんだし、今のままでいいんじゃないっすかね」

剣士「今のまま…か」

戦士「俺も未婚なんで偉そうな事は言えないっすけどね…はははっ」

剣士「…ははっ、ありがとう」

戦士「さ、戻りましょうか」

剣士「うん」

テクテクテク…カチャッ

弓使い「おかえりなさい。先にお風呂入ったら?」

剣士「…そうさせて貰おうか。戦士くん、どうぞ」

戦士「…え、なんか…すいません」

弓使い「遠慮しないでー。自分の家だと思って寛いでよ」

戦士「…はぁ」

幼女「掃除終わったよー!」

剣士「よし、それじゃ沸かすとしようか」
907 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 00:14:31.35 ID:VzbWTDv1o


戦士「ふー、いい湯でした!」

剣士「じゃあ僕も入ってこようかな」

幼女「これなにー?」

魔道士「テリーヌっていうの。また今度、作り方教えてあげるねっ」

幼女「やったー!ねぇ、これ美味しいの?」

弓使い「とっても美味しいわよ〜。私も作り方教わっちゃった」



剣士「……ただいまー」

弓使い「おかえり。ちょうどこれからご飯よ〜」

幼女「できたーっ!運んで〜」

戦士「はいよー。ここでいいか?」

魔道士「いいですよ。それじゃ食べましょうか!」

幼女「いただきまーす!」

剣士「夕飯も豪華だなぁ…!いただきまーす」
908 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 00:15:12.94 ID:VzbWTDv1o


剣士「ご馳走様でした。お腹いっぱいだぁ」

戦士「食った食ったぁ!」

弓使い「ほーんと、魔道士ちゃんのお陰ね!」

魔道士「そんな事ないですよー。えへへっ!」

幼女「……」

弓使い「幼女ちゃん、眠くなっちゃった…?」

幼女「…うん、ご飯食べたら…眠くなっちゃったぁ」

弓使い「それじゃお風呂入って寝ましょうか」

幼女「うん」

弓使い「それじゃ三人で入りましょうかっ。ちょっと狭いかもしれないけど…」

魔道士「いいですねっ!そうしましょーっ」

幼女「うんっ」

剣士「それじゃ僕達は……」

戦士「……皿洗いですな」
909 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 00:16:24.70 ID:VzbWTDv1o


カチャッ…テクテクテク

弓使い「なぁに、それ?」

魔道士「洗顔とお肌を引き締めるクリームと……」

弓使い「へぇ、色々あるのねぇ〜」

魔道士「結婚式に向けて弓使いさんも手入れしなきゃですよっ!」

弓使い「そっかぁ…。そうだよね〜」

幼女「わたしもーっ!」

魔道士「それじゃあみんなで使いましょう!」

弓使い「…へーっ、こんなのがあるんだぁ」

魔道士「これは…こうして……」

弓使い「…すっごぉい!へぇ〜!」

魔道士「弓使いさん、本当に何もしてないんですか?…お肌すっごく綺麗ですね〜」

弓使い「そう?ありがと……ふふっ」

魔道士「スベスベして気持ちいい〜っ」
910 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 00:16:57.36 ID:VzbWTDv1o


魔道士「あ、そうだ!」

弓使い「…?」

魔道士「明日、みんなで買い物に行きましょうかっ」

幼女「行きたいーっ!」

弓使い「でも、召喚士君達…大丈夫かしら……」

魔道士「あっ、そうかぁ…。それじゃ全員揃ってから……」

弓使い「うんっ、そうしましょ」

幼女「そうしましょー!」

魔道士「ですねっ、えへへ!」

弓使い「…しかし、魔道士ちゃんこそお肌ツルツル〜」

魔道士「ふふっ、くすぐったぁい」

幼女「えいっ!」

魔道士「あっ、やったなぁー!えいっ、えいっ!」

幼女「きゃははっ!」
911 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 00:17:40.70 ID:VzbWTDv1o


弓使い「……はぁ、サッパリしたぁ」

魔道士「いいお湯でしたー」

幼女「でしたー!」

剣士「さ、幼女ちゃん。寝ようか」

幼女「うんっ。おやすみなさい」

ペコリ…テトテトテト

弓使い「私も眠くなってきちゃったぁ…」

魔道士「私もです……」

戦士「おう、寝ろ寝ろ」

剣士「僕と剣士くんはもう少し飲んでから寝るとするよ」

弓使い「お酒弱いんだからほどほどにね。おやすみ〜」

魔道士「おやすみなさいっ」

戦士「おやすみー」

五人が和気藹々と過ごす中、召喚士と盗賊の手にはようやく手紙が届いたのであった。
912 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/12(水) 00:27:28.58 ID:VzbWTDv1o
話進まねぇー。次回、ようやく主人公が久々の登場か!?
ご支援ありがとうございました!おやすみなさい!ノシ

>>903
実戦になれば戦士が格段に上ですが、
天下一武道会とかならいい勝負ってところでしょうか…
まぁ剣士の場合、個の武力より統率力に優れているとお見受けします

〜オマケ〜

占い師「結婚?……ふぅん。ふぅーん」

白虎長「結婚…?まぁ、焦ってする事もないわよ…ふふふ…っ」

東方司令「結婚?ボ、ボクは興味ないね!ほ、本当だぞっ!」

南方弓長「結婚ねぇ。まぁ…そのうちいい人でも現れるんじゃない?」

女隊員「結婚スか?自分はまだそんな気ないッスね!」

女剣士「結婚…。女同士でも出来るのか…?え、出来ないの?」

女将「結婚ねぇ…。年も年だし……一人の方が気楽ですわぁ」

南方参謀「結婚?うふふっ、そうねぇ〜誰にしようか迷っちゃうわぁ〜」

盗賊「…えっ!?わ、私も言うの!?む、無理…!無理っ!!」

魔道士「以上、現場からお伝え致しましたっ!」

盗賊「…え!?あ、あの…魔道士さんは……」

テクテクテク…

盗賊「ちょっとぉ!?」
913 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 00:30:03.79 ID:x7kWiE14o
>>912
おい、一人変なの混ざってんぞ
914 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/12(水) 00:33:29.55 ID:XWw3ZZAvo
>>912
やっぱり戦士は強いんだよな
安心した

女侍さんも入れてあげてください
915 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 00:36:25.64 ID:/o6nnU3DO
>剣士「僕と剣士くんはもう少し飲んでから寝るとするよ」


これだけを見るとカオスな状況www
916 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 01:38:01.48 ID:WSq9BFaAO
これまだやってたんだ、長いなぁ
917 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/12(水) 03:26:24.95 ID:XxVhRjvDO
そういえば最近ケモナーみないな
918 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/12(水) 05:52:33.57 ID:CYsc4NGX0
1乙
戦士、何にやにやしてんの?
919 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 06:56:20.42 ID:wp+XmdNDP
>>912
上様・・・・・
920 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 08:57:10.61 ID:em8izNCIO
王女様…
921 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 09:00:30.38 ID:euXV3KOVo
あの子ケモナー属性だったのか
922 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 09:11:57.53 ID:chMqYKvDO
ネクロマン様…
923 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 12:21:43.77 ID:h3CccmFAO
かわいそうなウィッチちゃん……
924 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 12:23:19.97 ID:/Yraj7Y5o
ヤマタノオロチ「童貞乙」

師匠「ど、童貞ちゃうわ!」
925 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:12:08.76 ID:+XOakOZJo
〜次の日、船上〜

ザザーン…ザザーン…

召喚士「……ん」

モゾッ

盗賊「…おはよ」

召喚士「…あはようございます。早いですね」

盗賊「…そうか?」

召喚士「今、どの辺りだろ…」

ゴソッ…テクテクテク

召喚士「……あれって三日月島かな?」

盗賊「…そのようだな」

召喚士「昼には港街へ着きます。そこからは馬を手配しましょうか」

盗賊「…ああ。それなら夜までには着くかな」

召喚士「それにしても…何なんだろう」

盗賊「……大事でなければ良いが」
926 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:12:35.67 ID:+XOakOZJo
召喚士「ええ。おそらくそれは大丈夫だと思いますけど…」

盗賊「……」

召喚士「もしそうなら、詳しい記述があるはずですからね」

盗賊「…確かに。すると考えられるのは……」

召喚士「…何か、大きな動きがある直前かと」

盗賊「…だな」

召喚士「剣士さんがレジスタンスのリーダーだったとすると……」

盗賊「…魔物は味方の可能性が高い」

召喚士「その上で、南方での動き……」

盗賊「……スグリーヴァか」

召喚士「俺達が行く意味を考えると…かなりの強敵…!?」

盗賊「……」

召喚士「南方司令部も絡んでいるとすれば…大規模な戦いかもしれませんね」

盗賊「……しかし、そんな話はなかったがな」

召喚士「確かに…。大軍師さんも何も言ってなかったし…」
927 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:13:16.39 ID:+XOakOZJo
盗賊「…北の港だってそんな話題はなかった」

召喚士「……すると、公でない戦いか」

盗賊「…小規模による隠密作戦だな」

召喚士「…ついこの前あった、東方のような感じですかね」

盗賊「……手強いな」

召喚士「ええ…気を抜けませんね。途中、道具を買い揃えてから向かいましょう!」

盗賊「……ああ!」

召喚士「北では痛い目みたけど……」

盗賊「…次こそ、そうはいかんぞ…っ!」

召喚士「……朝食にしましょうか」

盗賊「……だな」

勘違い甚だしい二人を乗せた船は、しばらくの後、本国へと入港する。

結界石や薬草類を買い込んだ召喚士と盗賊。船は再び出港し港街を目指す。

天気は晴れ。視界良好。船は遅れる事なく順調な航海をみせ、

太陽が頭上へ差し掛かった頃には、問題もなく港街へと入港した。
928 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:14:00.58 ID:+XOakOZJo
〜港街〜

召喚士「…えっと、ここからは馬ですね」

盗賊「…うん」

テクテクテク…

召喚士「すみません、馬を二頭借りたいのですが」

馬主「山あいの町までになるが、いいかい?」

召喚士「ええ、構いません。これ…お代です」

馬主「…はいよ。好きな馬を選びな」

テクテクテク…

召喚士「これでいっか」

盗賊「…私はこの子にしよう」

馬主「お代の返しはあっちの駅で受け取ってくれ」

召喚士「はい。大丈夫です」

盗賊「…行こうか」

馬主「毎度どうもー」
929 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:15:16.38 ID:+XOakOZJo
パッカパッカパッカ…

貸し馬とでも言うべきだろうか。大きな町や村に備えられている駅。

それぞれを中継し、町から町への移動を補助する役割を持つ。

召喚士「以前は割高なんで乗れませんでしたよね」

盗賊「…ああ。馬を無くしたら金をまるまる没収だからな」

まず最初に馬を借りる際、馬一頭分に値する金額を馬主に支払う。

これは馬泥棒を防ぐ為の手段であり、馬を紛失、または当人ごと逃亡した場合、

最初に支払った馬一頭分の金額をそのまま保証金とするのだ。

召喚士「それに、魔物も強かったし……」

盗賊「…だな。襲われたらひとたまりもない」

勿論、道中魔物に襲われ、馬を強奪、死亡させてしまった場合も同様である。

駅を繋ぐ官道を通るとはいえ、やはり万が一という事もある。

ある程度の力を持った人間か、若しくはその者を同伴させる他ないのだ。

召喚士「でも、今は俺達も強くなりましたからね」

盗賊「…ああ。この辺りなら魔物が出ても容易いだろう」
930 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:16:16.01 ID:+XOakOZJo
〜山あいの町〜

パッカパッカパッカ…

召喚士「えぇと、駅は……」

盗賊「…あれじゃないか?」

駅。陸路にとって様々な拠点となり、二人が利用した貸し馬や、

手紙を運ぶ伝令やワーカーの休息地、乗換用の馬の駐屯など多岐に渡る。

召喚士「すいませーん」

馬主娘「はーい」

召喚士「お借りした馬、返しにきました」

馬主娘「はい。じゃあ、二頭とも無事なので……」

予め払った代金のうち、賃料を除く額がこの時点で返還される。

馬主娘「毎度っ、ありがとうございました!」

召喚士「…もうすぐ日も暮れそうだなぁ」

盗賊「…急ぐとするか」

召喚士「そうですね。行きましょうか」
931 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:16:57.72 ID:+XOakOZJo
夕日を背に浴びて、二人は剣士の村を目指し山を越える。

召喚士「……荷物減らしておいて良かった」

盗賊「……」

当然ながら剣士の故郷である村などは小さく、駅も道も整備はされていない。

あくまで本国を中心とした拠点を中心に、広がっている。

召喚士「……しかし、冷えてきましたねぇ」

盗賊「…ああ。風邪引かんようにせんとな」

今は中心部より外へ外へと魔物も追いやり、それに追随し道も敷かれている。

その上で各拠点を整備し、結界石が徐々に敷かれているのだ。

召喚士「……あーここって、ゴブリンの群れが棲んでいた所ですね」

盗賊「…スライムもいたなぁ」

ここ近年の努力により、治安や土木作業においてもようやく落ち着きを見せた。

当然、人々が安心して暮らせる為の配慮だが、全ては五ヵ年計画の一環。

大軍を進めるにあたり安全、かつスムーズに行えるよう有事の為の政治。

そこまでの意味合いを汲み取り、道を歩むはごく一部の人間のみである。
932 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:17:42.66 ID:+XOakOZJo
〜剣士の故郷〜

召喚士「……着いたー」

盗賊「…全く、道に迷わなければもう少し早かったものを」

召喚士「すみません…。久々で……」

盗賊「…まぁ、確認しなかった私も悪かったがな」

召喚士「…さ、行きましょうか」

盗賊「…うん」

テクテクテク

召喚士「あった、ここだここ……」

ドアの前に立ちノックをしようとする召喚士の耳に、家の中から笑い声が聞こえる。

召喚士「……?」

コンコンッ

盗賊「……」

カチャッ

召喚士「……あっ」
933 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:19:27.00 ID:+XOakOZJo
弓使い「召喚士くんっ、盗賊ちゃん!」

召喚士「お久し振りです。弓使いさん!」

盗賊「…お久し振りです」

弓使い「待ってたのよ〜!さ、入って入って!」

召喚士「お邪魔します」

スタスタスタ…

剣士「召喚士くんっ!久し振り…!」

召喚士「剣士さんっ!お元気そうで……」

盗賊「…魔道士!……戦士!」

戦士「いよぉ、早かったな!」

魔道士「盗賊さーんっ!」

タッタッタ…ギュウウゥゥ

盗賊「……胸…苦し…」

幼女「待ってたよー」

召喚士「幼女ちゃんも元気そうだね!」
934 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:20:41.02 ID:+XOakOZJo
幼女「うんっ、元気ー!」

剣士「さぁ、座って」

召喚士「失礼します」

戦士「北はどうだった?」

召喚士「…うーん、まぁ一応解決…かな」

戦士「一応…?」

召喚士「色々あってね。バッチリとは言えないかな」

盗賊「…ああ」

魔道士「そうなんですかー」

召喚士「でも、女侍さん達も見つかったし…国軍と分かり合ってくれたみたい」

戦士「…そっか。それは何よりだ」

召喚士「それよりもそっちはどうしたのさ?」

盗賊「…急用か?」

魔道士「え、えっとぉ……まぁ…」

戦士「……ほれ、お二人さん」
935 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:23:57.05 ID:+XOakOZJo


召喚士「…え…えぇ!?」

盗賊「…結…婚!?」

弓使い「……うん」

剣士「そういう事なんだ」

召喚士「…良かったじゃないですかっ!おめでとうございます!」

盗賊「…おめでとうございます」

弓使い「ありがと〜」

戦士「そんで、急遽数日内に式を挙げる事になっちまってな」

魔道士「みんなで参加しようという事なんですよ」

召喚士「……はー」

戦士「ん…?」

召喚士「ん?じゃないよっ、それならそうと書いてくれればいいのに!」

戦士「……書かなかったっけか?」

召喚士「書いてないよ!」
936 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:24:32.91 ID:+XOakOZJo
盗賊「…何かあったかと思い…慌てたぞ」

魔道士「……ごめんなさい」

召喚士「でも良かった。いい知らせでさ」

剣士「すまないね、忙しいところ急に来て貰って……」

召喚士「いえいえ、こちらこそご招待ありがとうございます」

魔道士「明日は結婚式に向けて、みんなで買い物に行きますよっ」

幼女「おーっ」

剣士「お疲れのところ悪いけど……いいかい?」

召喚士「全然構いませんよ。喜んで!」

弓使い「お腹空いたでしょう、今ご飯にするから」

召喚士「あ、お構いなく」

剣士「召喚士君と盗賊さんも今日は泊まって行ってくれ」

弓使い「そうね。でも…この家じゃ手狭じゃない?」

剣士「それなら空家があっただろう。村長に言って借りてくるよ」

召喚士「な、なんかすみません……」
937 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:26:20.15 ID:+XOakOZJo


盗賊「……おぉ」

召喚士「ご馳走ですね」

剣士「昨日に引き続き今日も…」

弓使い「だってせっさく魔道士ちゃんが教えてくれたんだもの〜」

魔道士「実戦あるのみですっ!えへへ!」

幼女「私もがんばったー!」

召喚士「これ幼女ちゃんが作ったの!?」

幼女「そうだよっ、食べて食べて!美味しいんだからっ」

召喚士「うんっ、いただきます!」

戦士「さて、こっちもいただくとするか」

盗賊「…いただきますっ」

魔道士「おかわり沢山ありますからねっ!」

弓使い「魔道士ちゃん、今日は昨日にも増してご機嫌ねぇ〜」

魔道士「そ、そうですか!?別に…普通ですよっ、普通!」
938 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:27:08.99 ID:+XOakOZJo


召喚士「久々に魔道士さんの手料理。美味しいですね」

魔道士「…!」

召喚士「あ、いや…弓使いさんや幼女さんのも美味しいですよ!」

幼女「わーい」

召喚士「ただ食べ慣れてるから久し振りっていうか恋しいっていうか…」

魔道士「……っ!!」

召喚士「こんな料理毎日だったら…幸せですよね〜」

魔道士「――っ!!」

ガタッ…タッタッタッタ

召喚士「ま、魔道士さん…?」

戦士「殺人級だな……」

弓使い「…恐いわね」

剣士「あ、あぁ……」

盗賊「…?」
939 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:27:45.15 ID:+XOakOZJo


召喚士「ご馳走様でした」

剣士「こちらこそ、魔道士さんありがとう」

魔道士「いえ…っ、お気にせず!」

弓使い「空家は真っ直ぐ行って、角を左の家だから」

盗賊「…うん」

戦士「そんじゃまた明日」

幼女「え〜!?お姉ちゃんたち行っちゃうの〜?」

魔道士「また明日会えるから。ねっ」

幼女「はぁ〜い。それじゃ、おやすみなさ〜い」

召喚士「おやすみなさい」

パタン…テクテクテク…

盗賊「……ここかな?」

戦士「っぽいな」

召喚士「それじゃ失礼しようか」
940 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:28:37.14 ID:+XOakOZJo
〜空家〜

魔道士「おぉーっ、広いじゃないですかっ」

戦士「ほーんと。立派なモンだな」

召喚士「い、いいのかな…?こんな家借りちゃって」

戦士「汚さなきゃ大丈夫だろ」

盗賊「…だな」

魔道士「それじゃお風呂沸かしてきまーす」

戦士「俺は薪の準備をしてくるか」

召喚士「水は?一緒に行くよ」

盗賊「…え、えっと…私は……っ」

テクテクテク

召喚士「…ねぇねぇ、戦士」

戦士「ん?」

召喚士「ところで、結婚も大切だけどレジスタンスの件はどうだったの?」

戦士「…ああ、そういやそうだな」
941 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:29:10.97 ID:+XOakOZJo
南方司令部、赤壁、そして華国での経緯を話す戦士。

召喚士は時折、難しい表情を見せながらその一部始終に耳を傾けた。

戦士「……つー事で、ここに来たワケよ」

召喚士「……」

戦士「…理解したか?」

召喚士「うん。そうかぁ、そんな事が……」

戦士「ぶっちゃけこっちもひとまず…って感じだな」

召喚士「……気になるね」

戦士「ん?」

召喚士「その、ヴァーリンって魔物」

戦士「…対峙した身だから分かるが、ありゃ軍団長クラスだ」

召喚士「……そっか」

戦士「ヤマタノオロチやくそデケェ牛のそれとほぼ同等だった」

召喚士「……」

戦士「ハヌマーンさん達が何とかするって言ってた。任せた方がいい」
942 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:29:51.52 ID:+XOakOZJo
召喚士「…そう…だよね」

戦士「…腑に落ちねぇか?」

召喚士「…いや、でも…大丈夫かなって…」

戦士「アイツらだって相当の強さだ」

召喚士「でも、何か思わない?」

戦士「…?」

召喚士「スグリーヴァ様は全てを清算しようと考えてるように思えるんだ」

戦士「それって…自分も死ぬって事か?」

召喚士「……分からないけど、でも…」

戦士「人の事まで気にしてる場合もなくなるかもしれんぜ」

召喚士「……」

戦士「最近よ、思うんだ」

召喚士「…?」

戦士「魔王ってのは魔族を統べる王だろ?」

召喚士「うん…」
943 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:30:32.88 ID:+XOakOZJo
戦士「今まで苦戦した魔物だって、魔王の配下なわけだ」

召喚士「……」

戦士「魔王ってのはどんだけ強いんだって話だよ」

召喚士「そうだよね…。うん、そうなんだよ」

戦士「この先、多分…自分達が戦って生き延びる事に精一杯だと思う」

召喚士「……うん」

戦士「そんな時、手を貸している余裕があるとは思えねぇんだ」

召喚士「……」

戦士「だから、信じるしかないだろ?」

召喚士「……うん」

戦士「それまでに他人を気にかける程、強くなれてる自信もないしな……」

召喚士「…出来る事は…しよう」

戦士「…ああ、もちろんだ」

召喚士「……戦士、ありがとう」

戦士「こっちこそ」
944 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:30:59.49 ID:+XOakOZJo
カチャッ…テクテクテク…

魔道士「遅かったですね、何してたんですか?」

戦士「男同士のヒ・ミ・ツ!…なっ?」

召喚士「…別にそんな大層な事でも……」

魔道士「……」

戦士「風呂入らないのか?」

魔道士「お先にどうぞ」

召喚士「い、いいんですか?すみません……」

戦士「おっし、んじゃひとっ風呂浴びてくっか!召喚士!」

召喚士「うん」

スタスタスタ…

盗賊「…何なんだ?」

魔道士「久々に会って嬉しいんですよ」

盗賊「……久々って、たかが数日…」

魔道士「数日だって…寂しいですよ」
945 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:31:43.80 ID:+XOakOZJo
ザパーン

戦士「……うへぇ〜」

召喚士「ふぃ〜」

戦士「はっはっは!すっかりオッサンだ!」

召喚士「戦士はついに30の大台突入だね!」

戦士「……嬉々として話すな!はははっ!」

召喚士「……」

戦士「…結婚だってさ」

召喚士「結婚…だってね」

戦士「……俺、魔王を倒す目標がちょっと出来たかもしんない」

召喚士「……俺も」

戦士「…!?」

召喚士「…!!」

戦士「…はははっ!頑張ろうじゃないかお互い!!」

召喚士「……そ、そうだね!ははっ」
946 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:33:00.97 ID:+XOakOZJo


戦士「いいお湯でしたよーっと」

召喚士「お待たせしました」

魔道士「それじゃ盗賊さん、行きましょうっ」

グイッ

盗賊「…ち、ちょっと!?」

魔道士「にへ〜っ、盗賊さんとお風呂久し振りーっ」

戦士「……」

魔道士「いっぱい洗っちゃいますからね〜」

盗賊「ちょっ!?」

召喚士「……」

魔道士「いっぱいムニムニしちゃいますからねーっ!」

盗賊「…!?」

戦士「……」

召喚士「……」
947 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:33:33.95 ID:+XOakOZJo
カポーン

盗賊「……はぁ」

魔道士「ちょっと!盗賊さん!?」

盗賊「…ん?」

魔道士「腕がカサカサじゃないですかっ!!」

盗賊「…ああ、凍死しかけたからな」

魔道士「えぇーっ!?」

盗賊「…大丈夫。そのうち戻るよ」

魔道士「ダメですっ!これとこれと…あとこれも塗りましょう!」

盗賊「そ、そんなに…っ!?」

魔道士「嫁入り前のお肌なんですから気にしないとっ!」

盗賊「…よ、嫁入り前…って」

魔道士「……」

盗賊「……」

魔道士「とにかくっ、塗って下さい!はい、これも!」
948 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:34:01.35 ID:+XOakOZJo


召喚士「お帰りなさい」

戦士「飲むか?」

魔道士「いえ、大丈夫です」

盗賊「……」

戦士「どした?何かあったか?」

盗賊「…いや。強いて言うなら肘がカサカサ」

戦士「……何じゃそりゃ」

魔道士「明日も早いですし、もう寝ましょっか!」

召喚士「そ、そうですね」

魔道士「では、おやすみなさい!」

盗賊「…私も…寝るとするか」

召喚士「お、おやすみなさい!」

戦士「んじゃ、また明日なー」

盗賊「…うん、おやすみ」
949 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 18:35:05.49 ID:+XOakOZJo
〜召喚士、戦士の部屋〜

召喚士「……うーん」

戦士「どした?」

召喚士「いや、魔道士さん…何かおかしくなかった?」

戦士「そうか?」

召喚士「うん…。気のせいかな」

戦士「久々だから忘れてんじゃねぇの?」

召喚士「忘れてるって……忘れないでしょ」

戦士「…おやぁ、そうですかー」

召喚士「そういう事じゃなくて、たかが数日で魔道士さんの性格なんて忘――」

戦士「ほほぉーそうですよねー」

召喚士「だーかーらー!!」

戦士「冗談だよ、冗談。とりあえず明日、様子がおかしかったら任せる!」

召喚士「ま、任せるって……」

戦士「そんじゃ俺は寝る!おやすみ!」

召喚士「ちょっと…も〜っ!……おやすみ」
950 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/12(水) 18:40:11.64 ID:+XOakOZJo
おぉ!?ちょうど>>950で一区切り〜!
帰宅後に続きと次スレ立てます(の予定)

本日もご支援ありがとうございましたー!

女侍さんは絶対結婚しないっぽいので外しました
王女と上様は皇族ですし…上様は年齢的にまだ…
ウィッチは忘れてました。ごめんなさい…

>>915
ごめんなさい…剣士、一人で何言ってんだろ…

>>916
コッソリと未だに…今年中には必ず…!
951 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 19:57:40.79 ID:nWegY/PAO
1000部まであるというのに今年中に終わるのか?
952 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 20:18:20.64 ID:ezg5P4GAo
乙!
953 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 22:13:50.39 ID:ga5N/AuCo
召喚士の口調が幼くなってないかい
「ちょっと…も〜っ!」ポカポカ
954 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/12(水) 23:07:15.04 ID:WVLNFigDO
幼くっていうかオカマっぽく感じる
955 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/12(水) 23:08:12.23 ID:en0Vl17oo
また召喚子の出番か
956 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 23:58:14.85 ID:VzbWTDv1o
〜次の日〜

弓使い「お待たせ〜」

幼女「おはよー」

魔道士「おはようございます!幼女ちゃんオシャレー!」

幼女「えへへへ〜」

召喚士「それじゃ行きましょうか」

剣士「うん。どこに行こうか…」

戦士「港街辺りでいいんじゃないか?」

盗賊「…ぎりぎり日帰りで行けるかな」

戦士「焦る旅でもねぇし泊まりでもいいんじゃねぇか?」

召喚士「式の日取りは決まったんですか?」

剣士「村長が知り合いを呼びたいって手配してるから…」

弓使い「早くても三日後くらいじゃないかしら…」

戦士「随分アバウトだな……」

召喚士「う、うん…」
957 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 23:59:16.86 ID:VzbWTDv1o


タッタッタ…

召喚士「どうでした?」

剣士「うん、今日明日は大丈夫だってさ」

魔道士「良かった!それじゃ泊りがけで行けますね!」

剣士「帰ってきてからは衣装合わせとか式の予行とかするってさ…」

弓使い「慌しくなっちゃうわね〜」

魔道士「お手伝いしますよっ」

召喚士「ええ」

剣士「それは大丈夫。みんなはゆっくりしててくれ」

盗賊「……そう…か」

弓使い「幼女ちゃんも式が終わるまではあんまり構ってあげられないけど…」

幼女「大丈夫!料理も習ったし!」

弓使い「それは危ないから……」

魔道士「大丈夫ですよっ、私達がしっかり見てますから!」
958 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/12(水) 23:59:49.96 ID:VzbWTDv1o
盗賊「…それじゃ…行こうか」

戦士「おう」

召喚士「こうしてみんなで出掛けるの…久々ですね」

剣士「あの頃は僕らも必死だったからなぁ…」

弓使い「本当ねぇ」

魔道士「私達もそうでしたよねぇ」

召喚士「ええ……」

幼女「最初は山あいの町まで?」

召喚士「うん。そこから馬で行こう」

戦士「貸し馬か。そんじゃ俺と剣士さんは……」

剣士「そうだね。自分達も馬で行こうか」

弓使い「幼女ちゃんも乗るといいわ」

幼女「ほんとっ!やったー!」

召喚士「それでは…行きましょう!」

魔道士「行きましょーっ!」
959 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 00:00:54.64 ID:3COfzzGro
前述の通り、昨今の施策に伴う整備により、道中危険な事もなく、

七人は無事、山あいの町へと辿り着いた。

〜山あいの町〜

召喚士「すみません。馬をえっと……」

魔道士「三頭お願いします」

召喚士「三頭で足りますか…?」

戦士「…こいつが馬に乗れないかな」

召喚士「そっかぁ…。どうしましょうか…?」

戦士「どうって……お前が一緒に乗せてやれよ」

召喚士「お、俺!?」

戦士「他に誰がいるんだよ」

弓使い「そうねぇ〜」

魔道士「……す、すみません」

召喚士「…い、いえ…っ」

馬を三頭拝借し、一同は一路その先の港街を目指す。
960 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 00:02:09.62 ID:3COfzzGro
パッカパッカパッカ…

魔道士「……」

召喚士「……」

先頭を闊歩する騎上の戦士が後ろを振り返り話す。

戦士「…なんか話題はないのかよ」

その横へ馬を付ける剣士が言葉を続ける。

剣士「そ、そうだね…」

話しかけられた召喚士とその前に座る魔道士。

召喚士「…ど、どんな話?」

魔道士「……」

更にその後方を進む弓使いが、一緒に乗せた幼女と共に返答する。

弓使い「そうねぇ…。じゃあ、結婚の話…とか?」

幼女「どういう話ー?」

最後尾で馬を歩かせる盗賊が慌てて口を開く。

盗賊「…ふ、普通の雑談でいいと…思うっ」
961 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 00:03:27.54 ID:3COfzzGro
他愛ない話を繰り返すうちに、一同はあっという間に港街へと到着した。

魔道士「着きましたー!久しぶり〜っ」

召喚士「あれ、行きは通らなかったの?」

戦士「南方司令部に船着場が出来たんだよ」

召喚士「へぇ、そうなんだ」

剣士「そういう話を聞くと、いよいよ戦いって実感させられるね」

盗賊「……ああ」

弓使い「幼女ちゃん、お尻大丈夫?」

幼女「うん、平気だよー。それよりも最初はどこ行くの?」

弓使い「えぇっと…どうしよう?」

魔道士「まずは化粧品ですっ!」

弓使い「そ、そうなの…?」

魔道士「はいっ!」

戦士「……大変ですなぁ。旦那さん方」

召喚士「…方?方って何!?」
962 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 00:04:41.59 ID:3COfzzGro
〜店〜

店員「いらっしゃいませぇ〜」

魔道士「ほらっ、これですよ!使ったやつ!」

弓使い「…うわっ、高いのね〜」

盗賊「…うん、高い」

弓使い「盗賊ちゃんも使ってるの…?」

盗賊「…使えって…五月蝿いから」

魔道士「うるさいって何ですかっ!もう〜っ」

店員「こちらの商品はぁ〜今冬の新作となっております〜」

弓使い「…でも、ちょっと高いわよね〜」

魔道士「……店員さん」

店員「はい?」

魔道士「安く…なりますよねっ!!」

店員「え…?」

魔道士「なりますよねっ!!」
963 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 00:05:34.36 ID:3COfzzGro


店員「ありがとぉ〜ございましたぁ〜」

弓使い「魔道士ちゃんが値切ってくれたお陰で、すっごく安く買えちゃった!」

魔道士「化粧品て利益率高いから、意外と値引き効くんですよ〜」

盗賊「……流石だ」

テクテクテク

幼女「おかえりー!何買ったの〜?」

弓使い「化粧水に乳液にファンデにアイライナーに…つまり、全部?」

幼女「…よくわかんないけどすごいねっ!」

弓使い「幼女ちゃんは美味しそうなもの食べてるわね〜」

幼女「うんっ、おいもさんだよっ。お兄ちゃん達に買って貰ったのー!」

剣士「みんなの分もあるよ。寒いし食べなよ」

魔道士「ありがとうございますっ」

盗賊「……ん、美味しい」

召喚士「暖まりますよね〜」
964 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 00:08:49.69 ID:3COfzzGro


戦士「えーと…お次は……」

魔道士「私達のドレスとかですね」

召喚士「それじゃ俺等は紳士服の方へ…」

弓使い「また後で合流ね!」

魔道士「1時間後にここで!」

召喚士「宿の手配もしておきます!男女別で二部屋でいいですよね?」

盗賊「…ああ、頼む」

幼女「じゃあねー!」

剣士「うん、行ってらっしゃい」

戦士「さーて、紳士服は…こっちだっけか?」

召喚士「確か…そうだったと思うけど…」

剣士「なんだか申し訳ないね。わざわざ……」

召喚士「何言ってるんですか、こういう事はキッチリしないと!」

戦士「そうそう!」
965 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 00:13:27.08 ID:3COfzzGro
男女それぞれは各自、衣装を購入し再び合流した。

魔道士「お待たせしましたーっ」

テクテクテク

戦士「……また随分な買い物だな」

弓使い「男と違って、女は色々買う物あるのよ。ねぇ〜」

幼女「ねぇ〜」

召喚士「そ、そうですよね……」

剣士「宿はこの先のホテルにしたよ。もうチェックインしてあるから行こう」

盗賊「…うん」

〜ホテル〜

フロント「お食事は個室になりますので、都合の宜しいお時間にお声を……」

召喚士「分かりました。ありがとうございます」

戦士「部屋は…こことそっちか」

魔道士「先にお風呂入ろっか!」

幼女「うんっ、そうするー!」
966 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/13(木) 00:15:26.52 ID:3COfzzGro
ダメだ…全然話が進まない…
すっ飛ばしてるつもりなんですが、ほのぼのもアリ…ですかね?

とりあえずこれにて…!ご支援ありがとうございました!
次スレはまだ持ちそうなので次回に…!
967 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 00:17:24.39 ID:Vjej+G4Fo
おつん
100まであるんだ急ぐことはない
968 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 00:19:01.78 ID:56E32oFuo
戦士のチンピラっぷりが加速してきた

そういえばタルウィってどれくらいの強さなんだろう
ヤマタノオロチと同じ位なのかな
969 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 00:22:56.61 ID:GzMMN6rRo
タルウィ=天才=魔剣士=ふつーの軍団長より上、じゃない?
970 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 00:37:20.02 ID:DGYrzcAKo
1乙!

ほのぼのいいんだぜ!
971 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 00:38:16.70 ID:3xurHMkIO
舌戦もいいがほのぼのも良いねっ
嵐の前の静けさのようであるが
いつも応援してます乙乙
972 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/13(木) 00:56:00.26 ID:cPy82mxAO
ヤマタノオロチは無理矢理起こされて軍団長クラスなのか…
やっぱ強いのね
973 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 00:58:17.98 ID:56E32oFuo
>>969
天才ってそんなに強い?
タルウィは今まででた敵の中で一番強いと思ってるんだけど牛魔王とかにてこずってた天才と同等とは思えない
974 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 01:13:37.18 ID:69ukF4a4o
タルウィの炎をかきけしたマーマンもかなり強いということに
まぁヤツはなにか隠してる様子だけど
975 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 01:18:58.58 ID:PUqAbzRSo
タルゥィは軍団長より少し下だと思ってる
羅刹女とかくらい
ふと思ったがオロチと牛魔王が同程度ということは忍術奥義は2行で五行以上の強さなんだな
976 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 02:23:16.63 ID:9IaR5inSO
5行はまたなにか違うきもするけどなぁ
977 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/13(木) 05:05:09.48 ID:pMuBcsZR0
1乙
今までならバフォメット先生が一番強いんじゃね?
978 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 11:00:37.46 ID:VrSAdwKAO
デュラハンの噛ませ犬っぷりはかわいい
979 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/13(木) 16:23:13.55 ID:An+U0K3DO
サイズ考えるとタルウィじゃないか?バフォメットはあまりでかくなさそうだし
980 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 16:31:15.50 ID:FKCLn+oso
大きさで強さは分からないって
フリーザやセルやロトの紋章のイマジンがいってた
981 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:00:16.04 ID:MII78ze2o
〜風呂〜

幼女「わぁーっ、広いお風呂ー」

弓使い「本当ねぇ。ノーンビリ出来るわぁ」

盗賊「……」

幼女「うわっ!」

弓使い「…盗賊ちゃん、凄いわね…っ」

盗賊「…な、何が?」

魔道士「そうですよーっ。盗賊さんのこれは凶器なのです」

ムニムニッ

盗賊「やめいっ!」

ゴスッ

魔道士「……うぅ。久々のスキンシップじゃないですかぁ」

盗賊「…全く」

弓使い「ふふふっ」

幼女「えへへへっ!!」
982 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:00:42.46 ID:MII78ze2o


剣士「お、来たようだね」

召喚士「夕食どうします?すぐ食べられますよ」

盗賊「…食べよう」

弓使い「そうねぇ。そうしましょうかしら」

戦士「おーし、んじゃ行こう!」

幼女「お〜っ!」

召喚士楽しみですねっ」

魔道士「…は、はいっ」

召喚士「……?」

魔道士「…ほんと、楽しみですねっ」

召喚士「え、えぇ」

魔道士「……ちょっと盗賊さーん、待って下さいよ〜」

タッタッタッタ

召喚士「……」
983 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:01:09.94 ID:MII78ze2o


戦士「あー食った食った」

召喚士「久々に海の幸って感じだったね!」

魔道士「そういえば、前に南東の町で食べた食事処も美味しかったですよね」

弓使い「あそこ美味しいわよね〜。また行きたくなってきちゃった!」

剣士「前とは季節も違って、他の料理も楽しめるしね」

召喚士「帰りに寄って行きましょうか!」

戦士「おぉ、それいいな!」

盗賊「…うん、そうしよう」

弓使い「幼女ちゃんもいい……」

幼女「……うぅん」

弓使い「眠い?もう寝よっか?」

幼女「うん…」

召喚士「それじゃ寝るとしましょうか。また明日…」

盗賊「…うん、おやすみ」
984 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:01:37.15 ID:MII78ze2o


召喚士「……」

戦士「…どしたよ、ボーっとして」

召喚士「え、あ……うん」

窓辺に座り、部屋の中から外をボーっと眺める召喚士。

戦士と剣士は怪訝な表情でその姿を見つめる。

剣士「召喚士くん、何かあったかい?」

召喚士「…いえ、どうなんでしょう」

戦士「なーにワケの分からん事言ってんだよ…」

召喚士「……あ、あのさっ」

戦士「…?」

召喚士「魔道士さん……何かあったの…?」

戦士「へ…?」

召喚士「ここ数日、別行動している間に……」

戦士「…特に何もないと思うけどなぁ」
985 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:02:08.60 ID:MII78ze2o
召喚士「……」

戦士「強いて言うなら…」

召喚士「っ!!」

戦士「賭博にやたら強い事が分かったくらい?」

召喚士「……?」

剣士「魔道士さん、何かおかしい?」

召喚士「……なんだか…余所余所しいというか」

戦士「…お前にだけ?」

召喚士「……うん」

戦士「……」

剣士「……」

召喚士「……何か…気に障る事でも言ってしまったかな…っ」

戦士「…へ、へぇー」

剣士「そ、そう」

召喚士「……はぁー」
986 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:03:29.30 ID:MII78ze2o
戦士「それって多分さ――」

剣士「き、緊張してるんじゃないかな!?」

召喚士「緊張…ですか?」

剣士「結婚式があるから…ねぇ…」

戦士「そっ、そうそう!気にする事ないと思うぜ!」

召喚士「……ならいいけど」

戦士「お前から話し掛けて気を紛らわせてやれよ」

召喚士「…そうだね。そうするよ」

剣士「君達って…何だか不思議だよね……」

召喚士「へ…っ?」

戦士「それは…褒め言葉?」

剣士「いや、別にいいんだけどさ…。さて、寝ようか」

召喚士「…そうですね。明日も早いですしね」

戦士「だな。そんじゃおやすみさん」

剣士「おやすみ」
987 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:04:05.69 ID:MII78ze2o
〜次の日〜

魔道士「ちょっとこれ安くないですかっ!?」

弓使い「本当ね!これは買いかも…!」

剣士「……」

幼女「うわぁー!これキレイ……!」

盗賊「…本当だ。綺麗だなぁ」

召喚士「……」

魔道士「あっ!この香辛料…なかなか手に入らないんですよ!」

盗賊「…へぇ。買っていくか」

戦士「しっかし、チェックアウトしていきなりこの買い物…」

召喚士「別にいいじゃない。たまにはさ」

剣士「まぁそうだね」

戦士「それにしても……」

魔道士「戦士さん、これも持ってて貰えますかっ?」

幼女「剣士お兄ちゃんっ、これ持っててー!」
988 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:05:05.48 ID:MII78ze2o


テクテクテク

戦士「……馬持ってきて良かった」

剣士「帰りは荷物乗せて手一杯だね…ははっ」

召喚士「それじゃ南東の町まで一気に進みましょうか」

魔道士「はいっ!」

弓使い「その前に寄りたい所があるんだけど…いい?」

盗賊「…?」

召喚士「構いませんけど…。この近くですか?」

弓使い「ええ。山あいの町の近くよ」

召喚士「……」

戦士「そんじゃ馬借りてちゃっちゃと行こうかね」

幼女「はーい!」

買い物を済ませた一同は貸し馬を手配し山あいの町を目指す。

途中、弓使いの希望により、南への登山道へルートを変えた。
989 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:05:46.77 ID:MII78ze2o
〜遺跡〜

召喚士「……やっぱり…ここでしたか」

魔道士「……」

弓使い「うん…。どうしてももう一度来たくて」

剣士「僕らが出会って、一緒に任務をこなしたのもこの地だったね」

戦士「…ああ。あの時はほんと、苦戦したよ」

幼女「……盗賊お姉ちゃん?」

盗賊「…ん、ああ」

戦士「どした?」

盗賊「……いや」

弓使い「せっかくだから入ってみよっか……」

盗賊「いや、やめた方がいい」

召喚士「…?」

盗賊「……と、思う」

弓使い「…そうよね。見るだけに留めましょっか」
990 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:06:37.71 ID:MII78ze2o
再び帰路を進める七人は、山あいの町で下馬し、

ここから先は徒歩で南東の町を目指す。

南東の町到着は夕方、間もなく日没を迎えようという頃であった。

〜南東の町〜

魔道士「到着ーっ!」

幼女「到着ー!」

戦士「ちょうど夕飯刻で良かったなぁ」

盗賊「…そうだな」

弓使い「あったあった。久し振り〜」

召喚士「俺らなんて2年以上かな?」

剣士「さぁ、入ろうか」

テクテクテク…カチャッ

戦士「入って早々…この良い匂い!」

魔道士「たまりませんねぇ〜」

盗賊「……ああ!」
991 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:07:47.21 ID:MII78ze2o


召喚士「美味しかったですねぇ」

魔道士「はいっ!やっぱり冬魚は身が引き締まってて美味しいです!」

召喚士「本当ですね!」

魔道士「…あっ、展望台だ!召喚士さん、見に行きましょうっ」

召喚士「はいっ!」

タッタッタッタッタ

戦士「余計な心配だったみたいっすね」

剣士「本当だね。あははっ」

盗賊「…心配?」

戦士「何でもねぇ」

幼女「盗賊お姉ちゃん、私達も展望台行こっ!」

盗賊「…うんっ」

弓使い「戦士くんも行きなさいな!ほらっ」

戦士「お、おう…っ」
992 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:08:30.17 ID:MII78ze2o
魔道士「……う〜ん」

召喚士「魔道士さん、寒くないですか?」

魔道士「ちょっと寒いですけど…大丈夫ですっ」

召喚士「風邪引いちゃいますよ?」

すぼめた魔道士の肩へ、召喚士はそっと上着をかける。

スッ…

魔道士「――っ!!」

召喚士「これで少しは寒さを防げるかと……」

魔道士「あ、あのっ、あの…あ、ありがとうございますっ!」

召喚士「い、いえ……」

魔道士「な、なんていうかその…っ、嬉しいです…っ!」

召喚士「こ、こちらこそ…っ」

コソコソッ

魔道士「あーっ!!」

召喚士「えっ?」
993 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:08:58.24 ID:MII78ze2o
魔道士「何、コソコソ見てるんですかーっ!?」

戦士「…え〜いやいや、なんつーか声掛け辛いムード?」

幼女「そうそうっ」

盗賊「……」

召喚士「べ、別に何でもないのに……」

魔道士「そうですよっ!……もーっ」

戦士「悪かったよ。冬の海ってのも何かこう…いい景色だよな」

盗賊「…ああ。哀愁があるよな」

魔道士「哀愁!?」

召喚士「四季折々の景色ってほんと素敵ですよね」

魔道士「ええ…っ」

テクテクテク

剣士「さて、そろそろ帰ろうか」

召喚士「……そうしましょう」

一泊二日、束の間の休息を得て、一同は帰路に着いた。
994 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:09:58.96 ID:MII78ze2o
〜故郷の村〜

弓使い「明日は色々と忙しいみたいだから…ごめんね」

召喚士「いえいえ、気にしないで下さい」

剣士「明日には詳細が決まると思うから、そしたらまた連絡するよ」

魔道士「お待ちしてまーす!」

幼女「それじゃあ、おやすみなさーい!」

盗賊「…うん、おやすみ」

スタスタスタ…

戦士「さーて、明日はどうすっかね?」

召喚士「二度手間で申し訳ないんだけど、買い物に行かない?」

魔道士「何か買うんですか…?」

召喚士「ほら、やっぱり……」

戦士「…あぁ、そういう事か!」

盗賊「…彼らがいたんじゃ買いにくいものな」

魔道士「おーっ!そうですよっ、そうしましょう!」
995 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:10:32.69 ID:MII78ze2o
時間はあっと言う間に過ぎるもの。

弓使い「…ウエディングドレスって…窮屈なのね…っ」

幼女「お姉ちゃんキレイ〜!」

弓使い「ほんとっ!?ありがと〜」

剣士と弓使いの式は、数日内にて急ピッチで進められ、

牧師「――誓いますか?」

剣士「ちち、誓い…ます」

村長「固いなぁ。もっとリラックスせんか…ほっほっほ」

記念すべきその日はあっと言う間に訪れるのであった。

戦士「…よし、これを南方司令さんに送ってと」

魔道士「当日は私も料理をお手伝いする事になりましたよーっ!」

召喚士「俺も手伝いますよっ!」

戦士「お前は描き終えたのか?」

盗賊「…うん。あとは…仕上げだけ」

そしていよいよ……結婚式当日を迎える。
996 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:11:01.16 ID:MII78ze2o
ワイワイワイ…ガヤガヤ

男の子「…すげー。あれって国軍だぜ!」

女の子「ほんとだー!かっこいいー!!」

ザッザッザッザッザ

南方司令「……おはよう」

召喚士「南方司令!おはようございます」

南方参謀「めでたい席って事で駆けつけたわよ〜」

南方弓長「お久し振りね、朱雀先生」

召喚士「南方参謀さんに弓長さんまで…!」

南方参謀「お祝いに華は付き物でしょお?」

戦士「……」

ザッザッザッザッザ

白馬騎士「これは皆、勢ぞろいで」

召喚士「白馬騎士さんっ!お久し振りです!」

白馬騎士「おぉ、召喚士殿…それに盗賊さんだったか」
997 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:11:30.37 ID:MII78ze2o
盗賊「…お久し振りです」

南方参謀「ウホッ!いい男!」

南方弓長「本国だけでなく華国からもなんて…盛大な式ねぇ」

南方参謀「あら、魔道士ちゃんの姿が見えないけど…」

召喚士「魔道士さんは今日の料理を手伝ってますよ」

南方弓長「へぇ…凄いわね」

南方参謀「貴女も少しは見習わないとねぇ」

南方弓長「…はいはい。どうせガサツ女ですよ」

テクテクテク…

村長「これはこれは、国軍…南東国のお偉い様ですな?」

南方司令「この度はまこと、おめでとうございます」

白馬騎士「おめでとうございます」

村長「いやいや、私はただのしがない村の長」

白馬騎士「しかし、育ての親と伺いましたぞ?」

南方司令「うむ。父も同然ではありませんか!」
998 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:11:59.22 ID:MII78ze2o
村長「いえいえ、彼らはワシなんぞ抜きにしても…立派にやっておる」

白馬騎士「ええ。まことそのように思います」

南方司令「うむ!是非、我が司令部に欲しいものよ」

白馬騎士「!?……貴公、剣士殿は我が国が先に話をだな……」

南方司令「選ぶのは本人次第。それに…彼は正義の味方タイプだ!」

白馬騎士「何を言っているかは分からんが…横取りするつもりかっ!?」

南方司令部「横取りとは失礼な言い草ですなぁ…!」

白馬騎士「……ぐぬぬっ」

南方司令「…むぎぎっ」

南方参謀「ほらほら、今日はそんな話やめましょうよっ」

白馬騎士「…それもそうだな」

南方司令「私とした事が……」

南方弓長「いつもですけどね」

召喚士「ははっ……!?」

戦士「どした…?」
999 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:12:29.57 ID:MII78ze2o
ザッザッザッザッザ…

召喚士「……右大臣様っ!?」

盗賊「えっ!?」

ザッザッザ…ピタッ

右大臣「…このよな所で何をしておるのだ!?」

戦士「…こっちの台詞ですよ」

右大臣「もしや、新郎新婦と友人なのか…?」

召喚士「ええ、まぁ…。右大臣様こそどうなされたのです!?」

右大臣「あぁ、実はな……」

村長「おぉ、よくぞ来てくれました」

右大臣「…全く、急な話で驚いたぞ」

村長「此方とて。まぁこの日を待ちわびていたのだがな」

召喚士「…お、お知り合いですか…?」

右大臣「まぁな。腐れ縁というやつだ」

盗賊「……な、なるほど」
1000 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:16:15.96 ID:MII78ze2o
続きは24スレ目にて!!
次スレもご支援よろしくお願いしますっ!!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1294910073/

魔道士「>>1000ゲットです!えへへ!!」
1001 :1001 :Over 1000 Thread
    ´⌒(⌒(⌒`⌒,⌒ヽ
   (()@(ヽノ(@)ノ(ノヽ)
   (o)ゝノ`ー'ゝーヽ-' /8)
   ゝー '_ W   (9)ノ(@)
   「 ̄ ・| 「 ̄ ̄|─-r ヽ
   `、_ノol・__ノ    ノ   【呪いのトンファーパーマン】
   ノ          /     このスレッドは1000を超えました。
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    `ー─┬─ l´-、      完成させても死にます。
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1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その24 @ 2011/01/13(木) 18:14:33.44 ID:MII78ze2o
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姉貴がウザイから安価でメールする Part18 @ 2011/01/13(木) 17:16:00.60 ID:gaic2sBZo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1294906560/

上条「ベルン国王ゼフィール……お前のそのふざけた幻想をぶち壊す!」 @ 2011/01/13(木) 16:34:09.95 ID:enQTQ4FDO
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暇だし安価で架空の不良チームでも作ってDQN共ビビらそうず! @ 2011/01/13(木) 15:37:50.50 ID:2YCffkwSO
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ホームレスを拾って洗ったらイケメンだった @ 2011/01/13(木) 14:33:21.75 ID:fuxFK6CTP
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眼鏡うp 「焚」一文字で「たきび(キャンプファイヤー)」でよくね? @ 2011/01/13(木) 14:04:52.57 ID:XAKPHVCIo
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浜面「俺は、どんな事してもお前を助けるって誓ったんだよ。インデックス」<br> @ 2011/01/13(木) 08:22:48.00 ID:ffo/1SgAO
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嫁宣言して60分以内に嫁AAにお断りされなければ結婚避難所 @ 2011/01/13(木) 06:25:15.26 ID:oB6sE0azo
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