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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その24 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/13(木) 18:14:33.44 ID:MII78ze2o
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

〜前回までのあらすじ〜

朱雀先生の称号を受け継ぎ、魔王を倒す為、旅を続ける召喚士…。、
パーティー仲間の強くて頼れる二枚目の戦士、いつも明るく笑顔が
可愛い魔道士。スタイル抜群ツンデレな盗賊との冒険はまだまだ続く。
剣士と弓使いの結婚式。その頃、西方では右翼対左翼の最後対決が…!?

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その23)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
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開くと貯金が増えるスレ @ 2024/05/20(月) 21:35:55.08 ID:MOxGLALr0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1716208554/

イケパンみっちん39 このスレには可愛いパンダが居るにぇ! @ 2024/05/19(日) 19:47:17.65 ID:skVyN/3XO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1716115637/

僕の記憶が全て消えても生まれ変わったらまた君を探す @ 2024/05/18(土) 22:27:06.84 ID:7xX40cGt0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1716038825/

グレみんと快楽の座 @ 2024/05/17(金) 22:24:15.47 ID:DUS3Z54Xo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715952254/

【習作】安価コンマでワンピース @ 2024/05/16(木) 21:19:27.48 ID:QUcgFIEu0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715861966/

テンリュデネ・ゾー @ 2024/05/14(火) 20:47:34.15 ID:aewHWgbao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715687253/

薬師とか錬金術とか、田舎とか @ 2024/05/13(月) 23:03:05.43 ID:nAT+1SmNo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715608984/

【安価】刃牙の世界で美少女が活躍するようです @ 2024/05/12(日) 21:23:05.29 ID:vRdDvVa7o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715516584/

2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/13(木) 18:15:18.27 ID:MII78ze2o
◆過去ログ(その1〜22)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
3 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:16:57.54 ID:MII78ze2o
タッタッタ…

魔道士「ひとまず終わりましたー!……って、えぇ!?」

右大臣「おぉ、魔道士。走り回ってどうしたのだ?」

魔道士「右大臣様っ!?」

村長「ワシの旧友でな。息子と娘の目出度い日だ…来て貰ったのだよ」

魔道士「そうでしたかぁ…」

右大臣「まさか、君達がいるとは思ってもみなかったがな」

テクテクテク

南方司令「おや、右大臣様…?」

右大臣「…南方司令部の面々か。どんな繋がりなのだ……」

白馬騎士「こちらの方は…?」

南方参謀「本国の右大臣様。陛下の右腕と呼ばれる御方ですわよ」

白馬騎士「おぉ、初めまして。華国の大将軍、白馬騎士と申します」

右大臣「大将軍とな…!?これはどうも……」

戦士「なんだか…随分と大層な式になっちまったな…ははっ」
4 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:17:29.85 ID:MII78ze2o
ザワザワッ

左右に立ち並ぶ、剣士と弓使いを祝福する者たち。

カラーンカラーンカラーン…

村の奥にひっそり佇む教会の金が、青空の中鳴り響く。

カチャッ…キイイィィ

右大臣「……おぉ」

南方参謀「いい男ねぇ〜」

赤いカーペットの上を、着飾った剣士がややぎこちなく歩く。

カツカツカツ…

男の子「兄ちゃん、おめでとー!」

剣士「ははっ、ありがとう」

女の子「静かにしないとダメなんだよっ!」

男の子「…へーいへい」

一同の祝福を浴びて、剣士は教会の奥にて、新婦を待つ。

牧師「それでは、新婦入場。一同は賛美でお出迎え下さい」
5 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:18:00.22 ID:MII78ze2o
ゆっくりとした牧師の一言で、新婦を迎える皆が賛美歌を奏でる。

教会中に福音が響く中、純白のドレスを身に纏い、この日の主人公が姿を現す。

ザワザワザワッ

魔道士「綺麗〜っ」

白馬騎士「これは美しい……」

弓使いは一礼の後、ゆっくりとゆっくりと剣士の待つ教会の奥へと歩いていく。

背後に大きくたなびいた裾を、幼女が懸命に抱え後に続いた。

ススッ…ススッ…

牧師「それでは……誓約へ移ります」

盗賊「……」

牧師「新郎、剣士よ……」

剣士「はい」

牧師「神と証人の目の前で、新郎は新婦を妻にめとり、今日から将来にむけて…」

南方司令「……」

牧師「良き時も悪しき時も、富めるときも貧しきときも、病める時も健やかなる時も…」
6 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:18:36.90 ID:MII78ze2o
南方弓長「……」

牧師「生命ある限り、妻…弓使いを愛することを誓いますか?」

剣士「はい。いつ如何なる時も、妻、弓使いを愛することを誓います」

牧師「……宜しい。では新婦、弓使いよ」

弓使い「……はい」

牧師「神と証人の目の前で、新婦は新郎を夫とし、今日から将来にむけて…」

戦士「……」

牧師「良き時も悪しき時も、富めるときも貧しきときも、病める時も健やかなる時も…」

召喚士「……」

牧師「生命ある限り、夫…剣士を愛することを誓いますか?」

弓使い「はい。いつ如何なる時も、夫、剣士を愛することを誓います」

牧師「宜しい。それでは、誓いの証を……」

ススッ

剣士がゆっくりと弓使いの薬指へ誓いの証である結婚指輪をはめる。

終えると、今度は弓使いが剣士の薬指へと指輪をはめた。
7 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:19:30.81 ID:MII78ze2o
牧師「では、神の前で近いのキスを……」

剣士「……」

弓使い「……」

ススッ…チュッ

牧師「今ここに、新たな一組の夫婦が誕生した」

幼女「……っ」

牧師「一同、賛美を以って盛大に二人へ祝福を!アーメン!」

ワアアァァ!!

牧師「新郎新婦、退場。二人共…お幸せに」

魔道士「剣士さん、弓使いさん…!おめでとうございますっ!……ぐすっ」

盗賊「……お…めでとっ」

弓使い「ありがとう…本当にありがとうね!」

幼女「剣士お兄ちゃん…弓使いお姉ちゃん……良かったねぇ…ひぐっ」

剣士「ありがとう!」

戦士「いよっしゃー!外で二人を待とうぜ!!」
8 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 18:20:04.08 ID:MII78ze2o
カラーンカラーンカラーン…

戦士「おめでとうっ!」

盗賊「…おめでと!」

魔道士「おめでとうございますーっ!」

幼女「おめでと〜!」

弓使い「ありがとーっ」

白馬騎士「まこと、目出度き事よ!」

南方司令「うむ!末永く幸せにな!!」

召喚士「剣士さんっ、本当におめでとうございます!」

剣士「ありがとう、召喚士くん!」

ワアアァァッ!!

召喚士「…………」

弓使い「よーし……それじゃあブーケトス、行くわよーっ」

南方参謀「絶対に取ってやるわっ!!」

弓使いが背後を向き、勢いよく投げたブーケが、雲一つない青空を舞った。
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/13(木) 18:21:29.56 ID:MII78ze2o
目測誤ってスレ跨ぎというgdgdっぷり…すみません…
24スレ目でも何卒、宜しくです!それではまた!ノシ
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/13(木) 18:29:39.40 ID:F6/BLUYno
>>1乙
ブーケ、誰が取ったんだろなww
結婚式かぁ・・・オレは2回やったが、何度やっても感動するよねww
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 18:32:47.79 ID:FKCLn+oso
乙!
ブーケは当然召喚子だろwwwwww
結婚式したいなぁ

相手いないけどwwwwww
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 18:49:52.72 ID:Vjej+G4Fo
ポスッ

ハヌマーン「…おや?」
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 18:56:56.83 ID:PzANVtWSO
空高く舞い上がるブーケ。一同が空へ目をやると

二人を祝福するかのように白い鳩のつがいと南方司令が飛んでいた

南方司令「ジャスティぃぃぃス!!キャァァァァァァッチ!!!!」
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/13(木) 22:07:37.48 ID:k4LQ3feDO
>>12
>>13
おまえらww
SS・小説スレは本日、移民大会議を行います。(板が新しくなります)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1279375638/

15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/13(木) 22:45:46.31 ID:56E32oFuo
移転すんのか
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 22:53:54.29 ID:f3OfIfmrP
ぶっちゃけ禁書関連のせいだろ
無駄に多すぎ
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 22:54:41.42 ID:/g2N38JRo
書くとそーなるの?

SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 22:56:10.48 ID:vjFpGYAHo
>>1おつ
100スレまであと76スレか・・・胸熱
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

19 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 23:39:04.42 ID:3COfzzGro
何だこれ…お引越し!?
新スレのタイミング悪すぎたなぁ…あははー

えっと、どうすればいいんだろ?
スレ丸ごと板移動?する?ので、少し置いておいた方がいいのかな?
誘導は大丈夫なのかな?なんだか既に色々と移動してるみたいだけど…

まぁいいや。とりあえず新板とやらに移動申請みたいのしてきます!
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

20 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/13(木) 23:42:17.85 ID:3COfzzGro
とりあえず申請してきました!
それでは新板でお会い致しましょう!ご支援感謝!

…ちなみにSS板っていうんですかね、
専用板の場合はageた方がいいのかな…?
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

21 :真・スレッドムーバー :移転
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/13(木) 23:47:10.09 ID:XA88GYxSO
待ってました!
見つから無くてちょっと焦ったけどwwww

しばらくageる
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/13(木) 23:55:03.27 ID:5q/4RNBuo
弓使いはロマサガ2のテレーズのイメージ
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 00:05:45.46 ID:V1bPkrmC0
見つけたヾ(@⌒ー⌒@)ノ
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/14(金) 00:31:50.91 ID:B+DvhxqJo
移転完了か

このスレと後2つくらいのスレしか読んでないから分からないけどそんなに禁書系多いのか
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 02:05:30.50 ID:9Lt1vdofP
上条、美琴、初春、一方、禁書もしくはインデックス、絹旗、麦野、浜面、黒子、佐天、垣根
この辺がスレタイに入ってる奴は全部禁書関連。確認してないけど他にもあるはず
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 02:32:27.69 ID:qK3BFkrIO
新板で乙乙おつ
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/14(金) 03:39:14.00 ID:MbfGRUwDO
新板乙 
コカちゃん以外見てないけど問題になるほど多かったんだね・・・
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 06:29:32.80 ID:mVhvJy6AO
俺も明日は結婚式なんだ…
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 08:21:05.14 ID:qK3BFkrIO
>>29
なんとそれはめでたい
May your love never end!
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 09:19:23.14 ID:UtR+XW3DO
>>1乙っす
スレ見つかんなくて焦った
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 10:05:19.96 ID:RhLMq7ADO
よし引っ越し祝いだ!
飲むぞ、東方司令!
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/14(金) 11:18:32.28 ID:d8XpJkLf0
1乙
引っ越しがあったんだね、やっとみつけた
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 11:39:04.57 ID:B+DvhxqJo
製作ではスレが落ちないのでSS立て逃げが問題になって移転になったって師匠が言ってた
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/14(金) 13:56:14.11 ID:vr0ByAhAO
無事引っ越し完了か

>>34
師匠、天国で暇なんだなww
ということはここは落ちることがあるのかな? コカトリスは心配ないけど
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 14:17:22.12 ID:RhLMq7ADO
とりあえず分散なんじゃない
定住者は自治スレにも目を通しておきましょう
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 17:08:06.75 ID:xFTeFAtAO
師匠ちゃんは幽霊かわいい
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/14(金) 17:50:58.47 ID:labxmYEDO
>>1
やっと見つけたんだぜ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/01/14(金) 17:59:52.10 ID:D+Y1etlxo
こんばんは!
移行までもう少し間を空けた方が良かったですかね…?
よく考えたらスレ丸ごとだから誘導出来ないんですよね…orz
はるばる探して来てくれた皆様!大変感謝感謝でございます!

専用板なのでage投下してみます。邪魔なようならsageにします!
新板にて初投下…ドキドキ!↓続き
40 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:00:27.76 ID:D+Y1etlxo
〜夜〜

魔道士「……」

盗賊「……」

魔道士と盗賊。二人は半分に分け合ったブーケをじっと見つめ、

しばし無言で式の回想、余韻に浸る。

――……

フワァッ

弓使い「やばっ、勢いよく投げすぎた…っ!?」

南方参謀「なぁに!この程度……取ってやるわぁー!」

幼女「私もーっ!」

女の子「幼女ちゃんっ、頑張って!」

ババッ!!

幼女「…んっ!」

女の子「幼女ちゃんのキャンチングー!」

男の子「だが、とどかない!」
41 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:00:59.62 ID:D+Y1etlxo
パシィッ!!

南方参謀「フンッ!」

南方弓長「スクリーンアウトから…見事なリバウンドね」

男の子「させっか!」

グイッ!!

南方参謀「ちょっと!?裾――」

グラッ…

幼女「――っ!!」

魔道士「あぶな――」

南方司令「許せっ、ジャスティスキイィック!アンチエアクラフトバージョン!」

白馬騎士「……すまぬ」

スウッ…バキッ!!…バキャアァ!!

南方参謀「げふぅ!」

盗賊「……あっ」

魔道士「ブーケが…っ!」
42 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:01:29.53 ID:D+Y1etlxo
タッタッタッタ…ポスッ

盗賊「……あ」

魔道士「…あっ」

南方参謀の手よりこぼれたブーケが再び宙を舞い、

慌てて駆け寄った魔道士と盗賊が同時にそれを受け取る。

魔道士「え、あ…ど、どうぞっ!」

盗賊「い、いやっ…魔道士こそ…っ!」

村長「同時であったから、二人で分けると良い」

戦士「い、いいのかよ」

右大臣「分けてはならぬという事もない。別に構わぬだろう」

弓使い「あら…?って事は、次は二人揃って結婚かしら?」

魔道士「!?」

盗賊「!!」

弓使い「相手は誰かしらねぇ〜?」

……――
43 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:02:47.28 ID:D+Y1etlxo
魔道士「……」

盗賊「……」

戦士「…どした?」

魔道士「い、いえ……っ」

白馬騎士「それでは失礼。ご馳走様でした」

剣士「こちらこそわざわざありがとうございました」

村長「もっとゆっくりされれば宜しかろうに…」

白馬騎士「そう致したいのは山々なのですが、先日の件も未だ国内で…」

南方司令「…なるほど」

白馬騎士「今度は華国へ是非、お越し下さい」

右大臣「うむ。近いうちに必ず」

白馬騎士「一同心より出迎えてくれる事でしょう」

召喚士「……」

白馬騎士「剣士殿、弓使い殿。此度は本当におめでとう」

弓使い「ありがとうございます。本当に何とお礼を言っていいか…」
44 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:03:27.50 ID:D+Y1etlxo
白馬騎士「ははっ、それは無用。強いて言うならば剣士殿の良いお返事で…」

南方司令「おっとぉ?」

白馬騎士「…何か?」

南方司令「別に…」

召喚士「ま、まぁまぁ……」

白馬騎士「では…。あ、そうそう…食事も大変美味であったよ」

魔道士「本当ですかっ!?ありがとうございます!」

――……

召喚士「え…っ!?こ、これ…魔道士さんが作ったんですか!?」

魔道士「全部じゃないですよ…っ。専用のコックもいらっしゃいますし…」

コック「いやいや、この子凄いね!ウチで働かないかない?」

戦士「悪いな。うちにとっても大切な戦力なんだ」

盗賊「…そうだ」

コック「うーん、残念……」

魔道士「ごめんなさいっ!機会があればお手伝いしますので…!」
45 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:03:57.62 ID:D+Y1etlxo
南方司令「しかし本当に美味いな…!」

南方参謀「ねぇ〜!料理上手な女はモテるわよぉ〜?」

南方弓長「はいはい。分かりましたよ」

白馬騎士「これは…華国料理!?」

魔道士「先日美味しい華国料理を食べたので…作ってみました」

白馬騎士「…おぉ、これは美味っ!大したものだ…本場の味に勝るとも劣らん」

魔道士「本当ですか!?やったぁ…えへへ!」

戦士「すげぇな。本場の人間を唸らしちまったぜ……」

召喚士「最近、更に腕が上がってない…!?」

盗賊「……上がってる。モグモグ」

右大臣「……親不孝者め」

村長「…どうした?」

右大臣「…逃した魚は大魚であったと言う事よ」

村長「……そうか」

右大臣「…そうだ」
46 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:04:28.14 ID:D+Y1etlxo
……――

白馬騎士「……はぁっ!」

パッカパッカ…ドドッドドッドドッ…

村長「いやいや、漢気溢れる猛者よの」

剣士「ええ、わざわざ僕らの為に単身来て頂けるとは……」

弓使い「ありがたいわね…本当…」

村長「…さて、ワシらはそろそろ戻るとするよ」

右大臣「ご両人、本当におめでとう」

剣士「右大臣様、わざわざありがとうございました」

右大臣「なぁに。こやつの頼みでは断れないからな…はっはっは」

村長「はっはっは」

南方参謀「このご老人は……何者なの?」

召喚士「さ、さぁ……」

村長「それではおやすみ」

右大臣「失礼する」
47 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:05:22.75 ID:D+Y1etlxo
テクテクテクテク…

南方弓長「司令、私達もそろそろ……」

南方司令「おぉ、そうだな」

南方参謀「今日は楽しかったわ。ありがとう」

剣士「こちらこそわざわざ足を運んで頂き、ありがとうございました」

弓使い「今日のお礼は必ず……」

南方司令「構わん。まぁ強いて言うなら南方司令部へ入隊……」

南方弓長「司令っ、行きますよ」

南方司令「…私は待っているぞ!」

剣士「検討…致します」

召喚士「それじゃ…また」

南方参謀「みんなも元気でね。また近いうち会いましょ」

スタスタスタスタ…

戦士「…みんな行っちまったな」

魔道士「ええ…」
48 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:06:02.94 ID:D+Y1etlxo
ピクッ

盗賊「……!?」

召喚士「どうかしましたか……?」

盗賊「……魔物だ!」

召喚士「え…っ!?」

盗賊「……そこかっ!!」

チャキッ

盗賊が薄緑を身構えると同時に、両手を頭上に上げた魔物が姿を見せる。

ザッザッザ

魔道士「あ……っ!」

召喚士「ハヌマーンさん!」

ハヌマーン「驚かせてしまったかな。すまぬ」

剣士「どうしたんですか…?まさか……」

ハヌマーン「噂で耳にしてな。皆で祝いに参ったのだ」

戦士「皆…?」
49 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:07:14.27 ID:D+Y1etlxo
ザザッ

弓使い「――!!」

ハヌマーン「流石にこの数では無関係の者まで驚かせてしまうと思ってな…」

マーマン「ちっと遅くなっちまったわけよ」

ゴブリン「大将っ!おめでとー!!」

コボルト「こっちが奥さんかい?ベッピンだなぁ……美味そう〜」

弓使い「っ!!」

ハヌマーン「やめぬかっ、驚いているではないか」

剣士「みんな……!わざわざ…ありがとう!」

ゴブリン「大将は俺たちの恩人だ!こんぐらいしたいよ!」

コボルト「そうそう!とにかくおめでとうだぜぇ!」

魔道士「こ、これ…みんな剣士さんの……!?」

――「実際はこの数十倍にも上りますよ」

召喚士「!?」

剣士「……法師様!」
50 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:07:49.05 ID:D+Y1etlxo
法師「まことにおめでとうございます」

剣士「わざわざ申し訳ありません。ありがとうございます」

法師「召喚士殿、盗賊殿。お久し振りですね」

召喚士「ええ。法師さんに…みんなも!」

盗賊「…お久し振りです」

ハヌマーン「お主は流石だな。かなり気配を消したつもりであったが…」

盗賊「……」

法師「日中では驚かせてしまうと思い、このような時刻になってしまいました…」

剣士「お構いなく。お越し頂けた事だけで十分ですよ」

法師「…オーク、贈り物を」

オーク「へいです」

ズシッ…グイィ

弓使い「!!」

戦士「うおっ!」

オーク「約束通り…牛連れてきたです」
51 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:08:19.30 ID:D+Y1etlxo
召喚士「な、何頭…いるの!?」

オーク「全部で10頭!1日1頭食べても10日もつです」

剣士「そ、そんなには…食べられないかなぁ……ははっ」

法師「乳牛としても用いる事が出来る牛もいます。ご自由にお使い下さい」

弓使い「でも…こんなに沢山……」

法師「構いません。皆の気持ちです」

ゴブリン「そうそう!俺っち大将の為に一生懸命、牛を追っかけたぜ!」

コボルト「俺も俺も!」

剣士「みんな…」

戦士「ここはありがたく受け取っておこうぜ」

剣士「…ああ。みんな、本当にありがとう!」

ゴブリン「やった!大将に褒められたー!」

コボルト「大将の笑顔が見れりゃそれでいいんすよ!」

召喚士「…良かったですね、剣士さん」

剣士「…ああ。本当に嬉しいよ、ありがとうみんな!」
52 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:08:59.70 ID:D+Y1etlxo


ハヌマーン「…さて、そろそろ戻るとするか」

ゴブリン「えぇ?もう帰っちゃうの?」

マーマン「バーカ、ここは人間の村だぜ?みんなビックリするだろうが」

法師「それに、この村は戦災孤児が集うと聞く」

弓使い「……ええ」

オーク「オラ達の姿見たら…泣いちゃうかもしれねぇです」

コボルト「大将っ、アジトで待ってますぜ!」

ゴブリン「落ち着いたら、来て下さい!」

剣士「ああ、近いうちに行くよ!」

ハヌマーン「では、失礼する」

法師「皆もお元気で」

召喚士「法師さん達も…頑張って下さい!」

魔道士「それでは、また!!」

盗賊「……また」
53 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:12:35.13 ID:D+Y1etlxo


戦士「また…俺達だけになっちまった」

魔道士「…あれ?そういえば幼女ちゃんは…?」

弓使い「先に家へ入ったと思ったけど……」

剣士「もう寝ちゃったのかな?」

テクテクテク…カチャッ

弓使い「幼女ちゃーん?」

盗賊「……」

魔道士「部屋かな?」

コンコン…カチャッ

魔道士「……幼女ちゃん?」

幼女「……あっ、お姉ちゃん」

タッ

弓使い「…ちょっと!?何してるのよっ!」

幼女「何……って、荷物を纏めて……」
54 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:13:32.13 ID:D+Y1etlxo
弓使い「……っ」

ツカツカツカ…パシンッ!!

幼女「――っ」

弓使い「何で……そんな事するのよ…っ!」

幼女「……だって……け、結婚したら…私ぃ…」

魔道士「……っ」

幼女「私……邪魔に…なっちゃうから……」

弓使い「邪魔なんて、一言でも言った!?」

幼女「……だって……だ…ってぇ」

テクテクテク

剣士「幼女ちゃん」

幼女「…ひっ、ひぐ…ぅ……っ」

剣士「改めて言いたい事があるんだ」

幼女「…うっ、ふぐ…ぅ。……ひぐっ」

剣士「幼女ちゃんさえよければ、僕達の養子になってくれないかな…?」
55 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:14:33.88 ID:D+Y1etlxo
幼女「…ひ、ひぐっ……ふえぇ…っ」

剣士「僕は、弓使いと…そして幼女ちゃんと三人で暮らしていきたいんだ」

幼女「……ふぐぅ…っ、ひっく……ひぐっ」

剣士「お父さんのようにはなれないかもしれないけど……」

幼女「……うっ…うぅ…っ。ひっく…っ」

剣士「僕らを親と思って、一緒に暮らしてくれないかい?」

弓使い「……ぐすっ…そうよ。幼女ちゃんは私達の家族なんだから」

幼女「……ひ、ひぐ…う、うああ…うああぁぁ!」

ダキッ

幼女「ごめんなさいいぃぃ!わ、私…二人の事が……」

剣士「……」

幼女「……大好き…だから……ぁ!!」

弓使い「幼女ちゃん……っ!!」

剣士「…ありがとう幼女ちゃん。そして…これからも宜しく」

幼女「うああぁぁん!!」
56 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:15:00.63 ID:D+Y1etlxo


幼女「……ごめんなさい」

召喚士「いや、別に俺らは……」

魔道士「良かったねぇ…幼女ちゃんっ、ひっく……」

盗賊「…ぐすっ」

戦士「さーて、ここでようやく……」

弓使い「……?」

召喚士「俺達からのささやかな贈り物です」

剣士「!?」

戦士「よいしょ……っと」

魔道士「これは剣士さんと弓使いさん。そして……」

召喚士「幼女ちゃんの三人に、俺らからのプレゼントです」

幼女「私……も?」

召喚士「もちろん当然だよ!だって、家族じゃないか…!」

幼女「……!!」
57 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:15:28.81 ID:D+Y1etlxo


幼女「開けても…いいの?」

盗賊「…うん。開けてみてくれ」

カサッ…ガサガサッ

弓使い「……!?」

剣士「これ……」

魔道士「どうですっ?三人お揃いのお洋服ですよ!」

弓使い「うわぁ〜カワイイ!幼女ちゃん、良かったわねぇ!」

幼女「うんっ!剣士お兄ちゃんも…はいっ!」

剣士「ありがと。でも、ちょっと違うかな?」

魔道士「洋服…気に入りませんでした…?」

剣士「いや、そうじゃなくて…。幼女ちゃん、その……」

召喚士「あ……」

幼女「…え?」

弓使い「今日からお兄ちゃんじゃないでしょ…?」
58 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:16:03.83 ID:D+Y1etlxo
幼女「……あ…っ」

剣士「……」

幼女「…あ、開けても…いいかな?……お、お父様…?」

魔道士「……っ」

剣士「…あはは、何だか照れ臭いね。それに、お父様はちょっと固すぎるかなぁ」

幼女「……パパ?お父さん?」

剣士「…な、何がいいかな?」

弓使い「知らないわよぉ。自分で決めなさいな」

剣士「…じ、じやあ…お父さんで……」

幼女「…はいっ、お父さんっ!」

戦士「……良かったなぁ!」

盗賊「…うん、うん…っ!ぐすっ」

幼女「お母さんも…はいっ!」

弓使い「…ふふっ、ありがと!」

召喚士「……ほんと、良かった…!」
59 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:17:12.79 ID:D+Y1etlxo
戦士「はいはい、お次のプレゼントだよ〜」

剣士「え!?まだあるの…?」

戦士「えっと、次は……重っ」

ズシッ

魔道士「あっ、私の選んだやつ!」

弓使い「これは…なぁに?確かに重いわね……」

ガポッ

弓使い「!?」

幼女「あっ、大きなお鍋!」

魔道士「じゃーん!なんと調理器具一式でーすっ!」

剣士「凄い量だね…。なんだこれ?」

魔道士「普通の物から特殊用途のものまで…バッチリ揃えましたっ」

弓使い「すっごぉい…!こんなに使いこなせるかしら……」

幼女「頑張らないとだねっ」

弓使い「…ふふっ、ほんとね!よーし…お母さん、頑張るわよー!」
60 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:17:47.57 ID:D+Y1etlxo
魔道士「あと、ついでにこれも」

剣士「これは…香辛料と調味料?」

召喚士「魔道士さんセレクトに特選調味料セットです」

魔道士「各地で集めた色々なスパイスが揃ってますよっ!」

盗賊「…おぉ、山葵もあるのか」

魔道士「東方で買いました!」

弓使い「ありがとう!色々と使わせて貰うわ〜」

魔道士「はいっ、えへへ!!」

戦士「んじゃ次ー」

ゴトッ

戦士「こいつは俺チョイスの……」

ガラガラッ…ゴトッ

戦士「武具セット!」

剣士「ガントレットに…弓矢!?」

戦士「幼女ちゃんにはこれ」
61 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:18:15.86 ID:D+Y1etlxo
幼女「……?」

戦士「まだ大きいかもしれないが、ロッドだ」

幼女「杖?」

戦士「ああ。杖は魔力を溜めて…ええっと……魔道士、何だっけ?」

魔道士「魔力を溜めて蓄積する事が出来るの」

幼女「へぇーっ」

魔道士「だから、いざ身を守る時は詠唱しなくても杖から魔法が撃てるの」

幼女「…そうなんだぁ」

戦士「これは樹齢数百年の木を使った良質の杖だ」

幼女「それって…凄いの?」

戦士「ああ。魔力を浸透し易いんだとよ」

盗賊「…本当か?」

戦士「……と、武器やのオヤジが言っていた」

幼女「ありがとーっ!大事にするね!」

戦士「いいか?自分達の身を守る時だけ、使うんだぞ!」
62 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:18:51.32 ID:D+Y1etlxo
幼女「うんっ、そうするー!」

剣士「このガントレットは僕に…?」

戦士「そうっす。剣士さんとこの前稽古してて思ったんだが……」

剣士「…?」

戦士「剣士さんの剣術。凄い柔軟なんですよね」

剣士「…そ、そうかな?」

戦士「見てると、手首の動きがとてつもなくしなやかなんだ」

剣士「……凄いな、そこまで見てたのか…っ」

戦士「そこで、大事な手首を守る為のガントレットって事!」

剣士「……なるほど、そういう事か」

戦士「中でも取り回し重視の可動域が広いヤツにしました!」

剣士「…サイズもピッタリだ!ありがとう!!」

戦士「良かった…。これでサイズ違ったらそうしようかと思ったよ…」

剣士「そして、この弓は……」

戦士「当然、弓使いさんのです」
63 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:19:28.12 ID:D+Y1etlxo
弓使い「……」

戦士「これ、すっげぇ汚いっすけど……」

弓使い「戦士くんが使ってたの?」

戦士「ええ。小さい頃から狩猟でオヤジに……」

弓使い「……っ」

戦士「これ、俺の勘なんですけど……」

剣士「…?」

戦士「この弓、多分達人の使ってたヤツです」

弓使い「達人…?」

戦士「今はもう弓を使う事が出来ないんですけど…」

召喚士「もしかして…左翼長さんの…?」

戦士「ああ、多分な。親父のもんにしちゃモノがよすぎる」

弓使い「そんな立派な弓…貰えないわよ……」

戦士「いいんすよ、どーせ中古だし。あ、でも狩猟にはバッチリ!」

弓使い「うーん……」
64 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:19:57.77 ID:D+Y1etlxo
戦士「実戦で使うには相当メンテする必要ありそうですけどね…」

弓使い「本当に…いいの?」

戦士「こっちこそ…こんな中古品ですみません」

弓使い「…じゃあ…遠慮なく貰っちゃおうかしら!ありがとうっ」

戦士「ほんとは新品が良かったんだけど……」

召喚士「良い物がなくて…すみません…」

弓使い「ううん、こんな立派な弓貰っちゃって。本当にありがとうね」

戦士「…よし!最後の贈り物だ!」

盗賊「……うぅ」

戦士「ほれ、唸ってないでお前が渡せ!」

盗賊「……うん」

テクテクテク…スッ

盗賊「……お、おめでとう…ございます」

弓使い「ありがとうっ!何かしら、開けていい?」

盗賊「…駄目です。後で――」
65 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:20:31.61 ID:D+Y1etlxo
魔道士「ぜひ開けて下さいっ!!」

盗賊「えぇっ!?」

剣士「じゃあ…遠慮なく……」

カサッ…ゴソッ

幼女「……うわぁ!!」

剣士「…す、凄いな……っ」

弓使い「これ…誰が描いたの!?」

戦士「コイツ」

召喚士「盗賊さんです」

魔道士「どうです!?似てますよね…?」

剣士「…ソックリだよ!凄い…本当に凄いなぁ!」

弓使い「まるで生きているみたい…っ」

幼女「わ、私…こんなにかわいくないよぉ」

盗賊「……と…とにかくっ、おめでとっ!」

剣士、弓使い、幼女。三人はその肖像画と同様に、笑顔で盗賊に礼を述べた。
66 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/14(金) 18:21:10.14 ID:D+Y1etlxo


魔道士「以上、私達からのお祝いでした〜!」

弓使い「沢山貰っちゃって…本当にありがとうね」

剣士「他の人達からも色々貰ってしまったし…お返しどうしようか……」

幼女「ねーねー、外の牛さん…何?」

召喚士「それじゃ俺らは失礼しますね」

弓使い「あら、もう帰っちゃうの?」

召喚士「空家に戻ります。帰るのは明朝にしようかと…」

剣士「もう少しいたらいいのに……」

戦士「せっかくの新婚生活、邪魔できませんから」

剣士「そ、そんなの…気にしなくても……」

魔道士「家族団欒、三人で過ごして下さいっ!」

盗賊「…じゃあ」

召喚士「また明日。お休みなさい!」

剣士「うん、おやすみ!……今日は本当にありがとう!」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 18:27:48.30 ID:D+Y1etlxo
とりあえずここまでにて。今日はちょっと深夜投下出来ないかもです…
しかしここ最近、内容が薄っぺらいなぁ…
今日分のメモ帳14.6KBとかなってるけど全然そんな感じしない…はぁ

前向きに頑張ります!ご支援ありがとうございました!
新板でも宜しくお願いします!!ノシ
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 18:30:26.90 ID:xxMLW32IO
>>1おつおつ
荒巻氏が製速 GEP自治スレ>>525にて
>SSに最適化して、改行数を今までより伸ばしてあげようかなぁと思ってます。
との発言

テストスレを見ると、1投下80行までに仕様変更されたようだ。
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 18:34:05.00 ID:q6rHl96Co
>>1乙です
全然薄くないよ!!

しかし、相変わらず仕事しててこの量を安定投下できるとは恐るべし…
絶対真似できないわwwwwww
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 21:16:30.93 ID:BgLk8F5D0


ちとばかり遅レスだが
俺達は基本sage進行で>>1は投下後にageをすればいいと思うよ

自治厨ですみません
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 01:20:18.39 ID:MMmsQtzFo
1乙。ニヤニヤが止まらないぜ。



>>70に賛同しておく
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 02:08:21.90 ID:yiYj5HGAO
>>30

ありがと〜!
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/15(土) 03:01:49.97 ID:1i1nRfJvo
>>68
おぉ、そうなんですねぇ!しかし1レスを伸ばしても良いのですが、
今のところ29行、空白除いて15行で固定しているので…
これは読みやすさもそうですが、漫画の1ページのように
1レスずつ区切りよく進めているので…
なかなか15行で収める四苦八苦を個人的にも楽しんで書いてますww

もし読み返して下さっている方がいらっしゃいましたら
その辺も加味して読んで頂くとまた面白い(?)かも…
あと同じキャラの台詞が続かないようにしているとことか…

>>69
ありがとうございますー!なんとか両立で頑張ってます!

>>70>>71
それは良いかもしれませんね!分かりやすいです!
投下終えたら最後にageればいいんですよね!そうさせて頂きます!

>>29>>72
遅くなりましたがおめでとうございます〜!
剣士と弓使いに負けぬ素敵な式を送ってください!
てか、今日が結婚式当日なのでは…!?そんな日まで…感謝!

長文失礼しました!↓続き
74 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/15(土) 03:02:24.75 ID:1i1nRfJvo
〜次の日〜

幼女「……」

膨れっ面の幼女を見つめ、魔道士が苦笑で話し掛ける。

魔道士「また……すぐ会えるから。……ねっ?」

幼女「……うん」

剣士「みんな、本当にありがとう…!」

戦士「こっちこそ!楽しませてもらいました!」

盗賊「…末永く…お幸せに」

弓使い「また遊びに来てね!必ずよ…?」

魔道士「はいっ!」

召喚士「…剣士さん、弓使いさん…お元気で!」

剣士「召喚士君達も…!旅の安全を祈ってるよ!」

弓使い「今度来た時はお礼するからね!」

幼女「絶対だよ!?絶対来てね…待ってるからっ!」

最後に、召喚士と剣士は固い握手で互いの健闘を称えあった。
75 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/15(土) 03:03:00.79 ID:1i1nRfJvo


召喚士「すみません…。何だか本国まで乗せて行って貰って……」

右大臣「構わんよ。どうせ戻るつもりであったのだろう…?」

召喚士「えぇ、まぁ……」

右大臣「さぁ、乗ってくれ」

魔道士「はいっ、ありがとうございます!」

スタスタ…ザッ……パッカパッカパッカ

右大臣「いやはや、実に楽しい式であった」

盗賊「……ああ」

右大臣「華国の大将軍とも知己となれたし、意義があったわい」

戦士「レジスタンスの件も無事完了したし……」

召喚士「南方は手筈が整いつつありますね」

右大臣「うむ。華国との同盟も円滑に進めそうだ」

魔道士「右大臣様」

右大臣「ん?」
76 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/15(土) 03:03:39.21 ID:1i1nRfJvo
魔道士「そういえば、村長さんとはどういったお知り合いなのです?」

戦士「確かに気になるな」

右大臣「……大したものではない。ただの学友よ」

盗賊「…学友」

右大臣「うむ。魔道学校の同期でな。長い付き合いよ」

召喚士「そうだったんですかぁ……」

右大臣「あの頃は二人でよく、将来は国家の為に働くなどと理想を述べていたものよ」

盗賊「……」

右大臣「私は先代の国王に使える大臣の息子。かたや村長は平民の出……」

魔道士「……」

右大臣「本来交わる事のない立場であったが、何故か気が合ってなぁ……」

戦士「……」

右大臣「我らが入学した頃は、空前の入隊ブームであった」

召喚士「ブーム…ですか?」

右大臣「丁度な、伝説が魔王パズズの討伐に成功した頃だ」
77 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/15(土) 03:04:44.79 ID:1i1nRfJvo
魔道士「……っ」

右大臣「彼らが国軍となった為に、こぞって入隊希望者が増えたわけだ」

盗賊「…なるほど」

右大臣「我ら二人…特にあやつなど申し分なく優秀な成績でなぁ…」

魔道士「入隊したんですか?」

右大臣「ところが、ある日村長の村が魔物に襲われた……」

召喚士「!!」

右大臣「生き残った者は…赤子と小さな子供数名のみ……」

戦士「……辛いな」

右大臣「奴は卒業と同時に、安全かつ安定した職に就いた」

召喚士「まさか……その子らの為に…!?」

右大臣「…ああ。そして必死で金を貯め…村を築き上げたのだよ」

魔道士「そんな…事が……」

右大臣「私は本国務めとなってから、あやつを助ける事にしてな…」

戦士「…国からの援助か?」
78 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/15(土) 03:05:46.64 ID:1i1nRfJvo
右大臣「うむ。奴は頑なに断ったが、何とか無理やりな。ははっ」

召喚士「……長いお付き合いなのですね」

右大臣「だから言ったであろう?腐れ縁だとな…はっははは」

魔道士「その子達、今も元気で…?」

右大臣「…さぁなあ。生きておれば50歳弱と言ったところか」

戦士「…きっと無事さ」

盗賊「…ああ」

右大臣「話が長くなってしまったな。すまぬすまぬ」

召喚士「いえ、貴重なお話…ありがとうございました」

右大臣「これからはどうするつもりだ?」

召喚士「まだ…特に決めてはおりません」

右大臣「そうか。たまにはゆっくり羽を伸ばすのも良かろう」

戦士「束の間の…平和ってか」

右大臣「殿下とエリートももうまもなく帰国する。近いうち…また頼むぞ」

召喚士「……はい!」
79 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/15(土) 03:07:26.23 ID:1i1nRfJvo
彼らにとって初めて体験する友人の慶事。

それはただ祝福するに留まらず、彼らを精神的にも成長させた。

守るべきもの。為すべき事を再確認し、四人は再び冒険へと旅立つのであった。

この間もなく後、かねてより続いた議会は右翼の勝利に終わり、

議題である国軍再編成へと動き出す。

しかしそれは、再び本国内を混乱へと招く一つとなってしまった。

時はやや戻り、戦士と魔道士両名と別れた青年兵らは西方司令部へと向かった。

舞台は西方司令部。舞台はここから始まった……。



〜第三十一部、完〜
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 03:30:06.83 ID:7zAHMzeAO
>>1 三十一部完乙んつん
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/15(土) 03:36:59.71 ID:1i1nRfJvo
もの凄く短いですがキリいいのでここまでにて…
ご支援ありがとうございました!それではお休みなさい!ノシ

〜オマケ〜

南方参謀「……あーいたたた」

南方弓長「はしゃぎすぎよ……」

南方参謀「…ところで、ブーケトス以外にもガータートスって知ってる?」

剣士「何です…それ?」

南方参謀「花嫁の左ももに付いているガーターを未婚の新郎が男性に投げるのよ」

魔道士「そ、そんなの本当にあるんですか!?」

南方参謀「あるのよっ、さぁ…やってみて!」

剣士「えっと…ガーターを……」

南方参謀「ちなみにガーターを取る時は、新郎がドレスの中に入り……」

剣士「…本当ですか?」

弓使い「ち、ちょっと…モゾモゾしないでっ!」

南方参謀「手を使わず、口で外すのよ〜」

剣士「――!!」

弓使い「ひゃうっ!く、くすぐったいわよぉ!」

盗賊「……///」

魔道士「///」

南方参謀「取ったら後ろ向きで投げる!」

剣士「……えい!」

南方参謀「取った未婚男性はブーケを受け取った未婚女性と結婚……」

召喚士「うおおぉぉ!!」

戦士「でりゃああぁぁ!!」

南方弓長「それは嘘だけどね。でもガータートスは本当にあるわよ」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 03:49:11.38 ID:Dz/YA6SSo
>>1
いい話だなぁ
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/15(土) 04:10:11.50 ID:QgZi5+mAO
日常パート好きだ
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/15(土) 06:04:55.04 ID:17kpZLm70
>>1
31部完結乙
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 08:36:20.98 ID:mt8jy8EDO
弓長のお茶目惨目wwww
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 09:21:49.82 ID:3e5sajoOo
ガータートスは知らなかった・・・
一つ賢くなったわ
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 10:23:28.54 ID:2eueYdb40
召喚士と戦士必死すぎわろた
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 00:05:46.37 ID:v2CBySX1o
あれ?更新来てない?寂しいな
89 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 00:17:08.24 ID:INNc/vnXo
南方司令部にて戦士、魔道士と分かれた青年兵ら右翼陣営。

彼らは南方司令部より三日月島を目指し出航していた。

〜三日月島、南方司令部〜

西方兵「よーしいいぞーっ、そのまま繋いでくれ!」

ゴゴーン

西方兵「入港完了!出迎え準備ー!」

ザザッ…カツカツカツ

青年兵「……ここが、三日月島」

右文官「青年兵は初めてか?」

青年兵「ええ。実際訪れるのは始めてです」

右秘書官「……おっ」

カツカツカツカツカツ

西方副司令「よくぞいらっしゃいました」

西方参謀「待っておりましたぞ〜ヒック」

青年兵「どうも。お世話になります」
90 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 00:18:18.99 ID:INNc/vnXo
右文官「左翼の連中はまだ来ておらんのかね?」

西方副司令「ええ。伝令の話だと夜の到着予定らしいです」

右秘書官「先回り出来たな。根回しの時間もある」

青年兵「いかが致しますか?」

右秘書官「君はどう思う……?」

青年兵「……夜までに手筈を整え、左翼と同時に演説を行いましょう」

右文官「…うむ。賛成だ」

右秘書官「皆、同じ意見のようだな」

右文官「では、早速対策を取ろうではないか」

西方副司令「お部屋へ案内致します」

カツカツカツカツ…

青年兵「……」

西方参謀「…ああ、あれかい?」

青年兵「何か工事をしているんですか?」

西方参謀「何て言ったっけ?研究機関の……」
91 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 00:19:46.06 ID:INNc/vnXo
テクテクテク…

博士「電話なのら。その線を引いているのら」

青年兵「博士…様」

博士「博士でいいのら」

青年兵「線……ですか?」

博士「うむ。通信の為の線なのら。なかなか大変なのら」

青年兵「海を通すのですか?」

博士「本国と繋ぐ予定なのら。しかしこれがまた一苦労なのら」

右秘書官「海上を通すのですか?」

博士「今はメインを海底…と言っても、地下を掘って通しているのら」

右文官「ほぉ……」

博士「予備として海上にも通すつもりだけど、なかなか苦戦中なのら」

青年兵「それが完成すれば、離れていても会話が……」

博士「そう。伝令によるタイムロスがなくなるのら」

青年兵「画期的ですね」
92 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 00:20:41.79 ID:INNc/vnXo
博士「最終的には本国に交換を置いて、各司令部へ配備するのら」

右秘書官「夢のような話だな……」

博士「夢…?そんな事はないのら。もう一年以内には何とかするのら」

青年兵「出来るのですか…?」

博士「やらなくては駄目なのら。そうであろう?」

青年兵「……確かに」

西方副司令「さぁ、お部屋はこちらです」

青年兵「では博士、また後ほど」

博士「うむ。演説楽しみにしているのら!」

カツカツカツカツ…

右秘書官「ところで、西方司令は?」

西方副司令「右翼と左翼の演説があるって、さっきから司令室で嗚咽してるわよ」

青年兵「……」

西方参謀「がっははは!まぁ司令は放っておいて下され!……ヒ〜ック」

青年兵「……はぁ」
93 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 00:22:09.40 ID:INNc/vnXo


西方副司令「入浴、食事はお分かりになられます?」

右文官「うむ。お構いなく」

西方副司令「それでは、何かありましたらお声を……」

右秘書官「西方魔道長は?」

西方副司令「……地下にいらっしゃるかと」

青年兵「地下?」

西方副司令「魔道兵の詰所です。研究機関の隣にあります」

右秘書官「分かった。ありがとうございます」

西方副司令「……では」

パタン

右文官「魔道兵か…。確か左翼色が強かったな」

青年兵「……西方魔道士長とはどのような方なのですか?」

右秘書官「……夜には分かるさ」

青年兵「……」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/16(日) 00:32:40.37 ID:INNc/vnXo
すいません…ちょっと今週末は忙しくて…
新板になった事ですし久々に安価でキャラを募集しちゃおうかな…

西方魔道長をお願いします!
>>97

では、書き溜めてきます!
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 00:52:22.14 ID:dBpmL3JDO
あれ?
青年兵って三日月島来た事なかったっけ?

西方で同調召喚してたような…

あと>>1乙!
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 00:53:09.65 ID:efKVu+i60
峰不二子的な
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 00:55:37.39 ID:QFL0MBMmo
トトロの婆ちゃん的な
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 00:57:00.89 ID:DAWERJLSO
ひんぬーでどじっこ
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/16(日) 00:57:42.00 ID:/078//bm0
>>97
どうしてくれるんだwwwwwwwwww
100 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 01:03:19.78 ID:INNc/vnXo
>>95
思いっきりすっ呆けてました!!!!ごめんなさい!!!!



>>89
南方司令部にて戦士、魔道士と分かれた青年兵ら右翼陣営。

彼らは南方司令部より三日月島を目指し出航していた。

〜三日月島、南方司令部〜

西方兵「よーしいいぞーっ、そのまま繋いでくれ!」

ゴゴーン

西方兵「入港完了!出迎え準備ー!」

ザザッ…カツカツカツ

青年兵「……三日月島か」

右文官「青年兵は初めてか?」

青年兵「いえっ、以前一度だけ……」

右秘書官「……おっ」

カツカツカツカツカツ

西方副司令「よくぞいらっしゃいました」

西方参謀「待っておりましたぞ〜ヒック」

青年兵「どうも。お世話になります」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 01:22:45.32 ID:EWCy+NCIO
読者の挙式に別の読者のハネムーンに、作品中での挙式に、更に読者の挙式…
なんと言う慶事スレ
もしかして、このスレ読むと結婚できる、のか?
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 02:48:12.11 ID:G6/dqeLAO
なにそれめでたい
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 04:30:03.27 ID:CD05j2ZAO
>>97
めぇぇぇぇいちゃぁぁぁぁぁぁん
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/16(日) 07:49:07.26 ID:3FEsN8fIO
>>97
トトロのDVD買ったばかりの俺になんてタイムリーな

105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 08:34:10.37 ID:Up1ILG/Io
>>97
カンタァ!
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 10:07:32.11 ID:eMqkZgPSO
あいつか。魔導士(78)か
ついに登場か
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 11:10:08.23 ID:IOE66zPAO
魔導士ちゃんはババアかわいい
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 12:18:43.01 ID:vy1rTRrvo
魔導師だな
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 14:15:50.00 ID:DIvGOmU4o
魔導婆か・・・誰得
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 14:39:14.99 ID:nf6wcsVDO
しかも左翼寄りかもしれないという……
いやなキャラになりそう
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 15:19:46.30 ID:pUQyz6+DO
あたしゃ革新派だよ



ドーラになりそうな悪寒
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 16:12:42.22 ID:nNqe1MFVo
ジブリスレがあるときいて
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 16:25:56.14 ID:ri43RYryo
          |,,r''´ ̄ `''‐|_                              ,-‐‐- ,,__,, -‐ 、
         r´``'‐-=-‐'"´`':、                            {,, -‐r‐ 、__r‐、>ノ
           `-ト(ミ)‐(ミ)t,,ri'´         ,, -‐''''''''''‐- 、            lj ̄`- ' l`‐' リ
          ゙i ,,┴‐-,,  'ノ         ,ィ´: : : : : : : : ノ、:\              レ  _,,.`´,,_ l´
              l "''"゙''''''゙ /~        /:::: : : : : : :;' ツ  ゙i: :i,             lヽ     l
            ヽ__∠_|           |::::: : ; ''' ´       l: :l          l__i、,,-‐-,,ノ_
       __ 〉二ヽ/こ-、|_       l  i ,. --、__, -- 、 l ノ     _,, -‐ ''''〉,,- ,,__V_,,-'::l``''‐- 、,,_
   _,, -‐'' _,, -‐''}:::::::○:::::::::l   ⌒゙i- ,,_   `>l‐'、:::::ノ l、::::::ノ〈i  , -‐ '''´  /   l`l:::::::::::○:::::::}   ヽ :::::::`''‐ 、
 /::: ''  '‐--ッ ゙i`‐'´ `''‐''ノ < ̄   `''‐- 、{ j    ' '    /l/      '--‐ッ ゙i `‐ '´  `'‐' }<⌒    ::::::ヽ
/::::: ,    <´   \   /   >    _  \l  -‐ー‐-  l'´        /  \     丿  `>     :::::::l
:::::: :l     `'‐ 、_ y''´_, -‐ '"´     l    } l    `  /l     ,     `'‐ 、,_ \__ /_, -‐''     ,   ::::l
:::  ::l        ``'´           l    rl_`'‐-ー--'__),    l         `‐-/‐''         :l   ::::l
  :::l         ○        __,,,,,, ,-‐''´{‐- ,,_ミv彡_,,-‐l`'‐、_ l            ○         ::l   ::::::l
  :::::l              , -‐''  ̄   /   l`''ッ‐'´' ; \ /    \`''‐- 、,,__                ::l   ::::::l
  ::::::l            /       /     〉' ,'   ',  ヽ  ___〉     \,              :::l    ::::::l
___ :::::l           /     ,    ̄フ  /  ,'    ;    l \_          \           :::::l    ::::::l
   :::::l         /     /    `'‐- /      ;    l_,, -''      l    l            ::::::/‐-   :::::l
   :::::ヽ      ( ノ     /       ,l  ,, -‐''-、'    ,,-l         l    `l ○      ::::::/     :::::l
   l::::::::     /     /     -='´‐' ̄`‐-‐ '''`、_,, -''-‐'         l     ヽ       :::::::l     :::::ノ
   /:::::     /        /    , -、                 , -、     l     ヽ       ::::::l   ::::::ノ
  /:::::    /        l     `- '                 `- '      l     \      ::::::l  _,,-''
  l::::::    /         l                                l       ヽ     :::::::l'´
 l::::::    /          l                                l        ヽ     :::::::l
. l::::::  _,,ィ',, -‐ '''‐-     l                                 l           l     :::::::l
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 19:36:02.98 ID:efKVu+i60
これはこれは左大臣様ご一行さま
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 20:33:06.68 ID:ItCv0KDPo
>>113-114
どうしてくれる
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 20:34:45.67 ID:ILQYcVhKo
>>113-114
おまえらふざけんなww
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 20:57:33.09 ID:F8tPWzIfo
>>113-114の所為で俺の中の左大臣像がムスカになった
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 22:25:08.62 ID:Qa/knZhEo
>>113-114
イメージが左大臣=ムスカで固定されただろうがww
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 22:38:42.49 ID:Ly2Zo0SIO
>>113-114
左大臣=ムスカだった、と、はww
はらいたwwwwww
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 22:55:30.85 ID:YAoZSU1AO
>>113-114
完全にイメージがムスカになっちまったじゃねぇかwwwwww
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 22:59:58.27 ID:3ulkz+jFo
>>113-114
許さない絶対にだ
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 23:02:15.43 ID:ILQYcVhKo
 <丶`∀´>「許さない絶対ニダ」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/16(日) 23:51:33.38 ID:INNc/vnXo
トトロ見直してきました。お婆ちゃん良い人すぎる!
大幅に内容が変わってしまった…まぁ全然構わないですけど

>>101
幸せを呼ぶ駄文です!

>>106-110
噂の魔導師とはこの事だったのか!?

>>113-114
なるほど!!ちょっと見た目若いけどこの絵は安易に想像がww
背後には左文官と左秘書官が!!
124 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 23:52:07.36 ID:INNc/vnXo
〜夜〜

右秘書官「つまりだ、ここをこうして……」

コンコン

青年兵「はい」

カチャッ

南方参謀「……来ましたぜ」

右文案「左翼か」

青年兵「……行きましょう」

右秘書官「うむ」

南方参謀「今しがた入港したところでさぁ」

右文官「先手を打って顔を拝んでやろうではないか」

南方参謀「案内しますわ……ヒック」

右秘書官「演説は明日だが、戦いは既に始まっておるからな……」

青年兵「戦いか…。そうですね」

彼ら右翼陣営から遅れること数時間。左翼陣営がこk、西方司令部へと到着した。
125 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 23:53:01.73 ID:INNc/vnXo


カツカツカツ

南方副司令「ご苦労様です。お部屋へご案内致します」

左文官「痛み入る」

ザッ…コツコツコツコツ

左大臣「いやはやァ、ようやく着いたなァ」

左秘書官「話によると、右翼の連中は既に到着しておる模様」

左大臣「ほぉ、演説を明日に回し、正面からやりあうつもりかァ」

左秘書官「現状はこちらが遅れをとっている形ですからね」

左翼官「ここで追い討ちをかけて…こちらの息の根を止めるつもりでしょうな」

左文官「そう易々と……思い通りにさせてたまるか」

左大臣「……ほれ、来たようだぞ」

ザッザッザッザ…

左大臣「やァやァ、いよいよ……最後であるなァ」

青年兵「……どうも」
126 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 23:53:39.69 ID:INNc/vnXo
左大臣「ここまでの票数がァ、我ら429票に対し……」

青年兵「こちらは371票です」

左大臣「この数字がどういう意味か、分かっておるかァ?」

青年兵「はい」

左秘書官「我らは此処で、残り22票を獲れば勝利」

右秘書官「こちらとてあと80票で勝利確定よ」

左翼官「80獲る自信がおありと?」

右文官「なければ最初から戦ったりせぬわ」

左大臣「フハハハァ!……右文官の言う通りよ」

左翼官「……っ」

左大臣「だがなァ、ここで80票は……簡単にはいかぬぞ?」

右秘書官「承知の上。しかし東方司令部をお忘れか?」

左大臣「……」

右秘書官「貴方達にとっては、意外な結末だったのでは…?」

左大臣「……吠えるわァ。まぁいい」
127 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 23:54:24.37 ID:INNc/vnXo
ザッ

左大臣「明日の演説、互いに頑張ろうではないかァ」

左秘書官「それでは、失礼」

カツカツカツカツカツ…

右文官「焦りはないようだな」

右秘書官「それ程までに…自信があるのか、それとも……」

青年兵「……気にせずいきましょう」

右文官「……」

青年兵「考えれば考えるほど、あちらの思う壺です」

右文官「そうだな。自分達の事に専念しよう」

右秘書官「うむ。青年兵の言う通りだ」

右文官「さて、明日に備えて資料を洗い直しておくとするか」

青年兵「先に戻ってらして下さい」

右秘書官「……どこか行くのか?」

青年兵「ええ。ちょっと……行ってきます」
128 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 23:55:57.27 ID:INNc/vnXo
西方司令部地下。他の司令部と違い、地中に潜む部屋。

ここへは研究機関を始め、幾つかの特殊な機関が存在する。

その一角、魔道機関とでも言うべき所であろうか。

青年兵は単身、その部屋へとある人物を訪ねに向かった。

〜魔道機関〜

青年兵「……ここか」

カツカツカツ

魔道兵「……ん?どなたかな?」

青年兵「始めまして。本国皇太子補佐、青年兵と申します」

魔道兵「本国の…!?あぁ、議会の件で……」

青年兵「はい。あの、西方魔道長はいらっしゃいますか?」

魔道兵「ええ、しばしお待ちを」

カツカツカツ

魔道兵「魔道長、本国の方がお見えです」

奥の本棚から小柄な女性が顔を見せる。女性と言っても年を重ねた老婆と言うべきか。
129 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 23:57:21.54 ID:INNc/vnXo
テクテクテクテク

西方魔道長「…見ない顔だねぇ。どなた様で?」

青年兵「始めまして。皇太子補佐の青年兵と申します」

西方魔道長「殿下のかい?ふぅん、それで…こんな所へ何しにきなすったぁ?」

青年兵「議会の件でお話を……」

西方魔道長「議会…?どうでもいいさね」

青年兵「……?」

西方魔道長「資料は読んだよぉ。何だか…編成やら色々するんだろう?」

青年兵「はい。そのつもりであります」

西方魔道長「悪いけど、あたしゃ興味ないねぇ」

青年兵「……」

西方魔道長「そういうややこしい事はお前さんらに任せるよぉ」

青年兵「しかしですね、どちらが勝利するかで今後の内容が……」

西方魔道長「勝利だ敗北だって、お前さん方は何と戦っているんだい?」

青年兵「……」
130 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 23:58:18.28 ID:INNc/vnXo
西方魔道長「あくまで相手は魔物だろうよ、それを何が勝利だか……」

青年兵「……仰る通り…です。軽率でした」

西方魔道長「やけに素直じゃないかい」

青年兵「……いえ、そういうつもりでは」

西方魔道長「説教するつもりはないけどねぇ」

青年兵「え…っ?」

西方魔道長「頭の固い連中は派閥だとか、本当にいつもいつも……」

青年兵「私はそのようなつもりは…」

西方魔道長「つもりはあろうがなかろうが、みーんなそう見てるって事さぁ」

青年兵「……」

西方魔道長「それで、いつまでやるつもりだい?」

青年兵「……?」

西方魔道長「右翼やら左翼やら、いつまでやるつもりだって聞いてんのさ」

青年兵「…私は……いや、確約は出来ません」

西方魔道長「…?」
131 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 23:58:59.13 ID:INNc/vnXo
青年兵「近いうちにという思いはありますが、確約は出来ません」

西方魔道長「……はははっ、バカ正直な男だねぇ」

青年兵「その為にも……力をお借りしたいのです」

西方魔道長「力…?勘違いしなさんな」

青年兵「…?」

西方魔道長「こーんなバアアに、力なんぞあるもんかい」

青年兵「し、しかし……左翼の……」

西方魔道長「あたしゃね、戦いたくないんだよ」

青年兵「……戦いたく…ない?」

西方魔道長「魔王討伐やら、大規模交戦やら……何人も死んでいった」

青年兵「……」

西方魔道長「しかも、若い奴らが大勢さねぇ」

青年兵「……ええ」

西方魔道長「何だっけ、五カ年計画だっけ?危ない事するんだろぉ?」

青年兵「しかし、被害を最小限に留める上での……」
132 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/16(日) 23:59:30.33 ID:INNc/vnXo
西方魔道長「少なかれ被害は出るんだ、今も変わらないさ」

青年兵「いえ、今よりは遥かに良くなります」

西方魔道長「断言出来るのかい?証明出来るのかい?」

青年兵「……それは」

西方魔道長「とにかく、投票は明日の演説を聴いてから決めるよ」

青年兵「…分かりました」

西方魔道長「それに、下の連中も好きにやらせる。いいね?」

青年兵「はい。そうして頂ければ…結構です」

西方魔道長「……用件はそれだけかい?」

青年兵「ええ、すみません長々と。お邪魔致しました」

西方魔道長「構わんさ。こっちこそ長話しちまったね」

青年兵「いえ、貴重なお話ありがとうございました」

西方魔道長「殿下に宜しくねぇ」

青年兵「はっ。失礼致します」

カツカツカツカツ…
133 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 00:00:07.87 ID:Z9F2ovHMo
西方魔道長「若いからなのか…真っ直ぐな男だねぇ

魔道兵「今のが右翼の…?」

西方魔道長「そうだろうさ。まぁ、興味はないがねぇ」

〜右翼陣営、控え室〜

カチャッ…テクテクテク

右秘書官「おぉ、戻ったか。どこへ行っておったのだ?」

青年兵「西方魔道長へ会いに……」

右文官「西方魔道長!?……あの頑固な婆さんか」

右秘書官「何か…収穫はあったか?」

青年兵「いえ……。他愛ない話のみです」

右文官「だろうなぁ」

右秘書官「さて…と、明日はどうなる事やら……」

右文官「残りは80票。余裕とは言えぬが……」

青年兵「やるべき事をきちんとこなせば、獲れぬ票ではないと思います」

強い言葉を胸に、青年兵ら三名は徹夜で明日のを迎える。
134 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 00:00:59.04 ID:Z9F2ovHMo
〜魔道機関〜

コツコツコツコツ

魔道兵「……!!こ、これは……っ!!」

西方魔道長「…おやおや、久しぶりだねぇ」

左大臣「やァ、これは元気そうで何よりだァ」

西方魔道長「話は聞いたよぉ。明日、演説なんだろう?」

左大臣「あァ。力を駆りたくてなァ」

西方魔道長「さっきの若いのにも話したけど、あたしゃ贔屓はしないよぉ」

左大臣「若いの…?」

西方魔道長「青年兵って子さぁ。お前さんらの相手だろ?」

左大臣「あちらも挨拶にきたのだなァ」

西方魔道長「今時にしちゃあ礼儀のなってる子さねぇ」

左大臣「フッハハハァ。貴女が褒めるとは意外ですなァ」

西方魔道長「別に褒めとりゃせん。当たり前の事さ言ったまでだね」

左大臣「それで、どうするおつもりかなァ……?」
135 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 00:01:38.17 ID:Z9F2ovHMo
西方魔道長「明日の演説次第さね。まぁ余程の事がない限り心変わりはせんよぉ」

左大臣「そのお言葉を聞けただけでも頼もしい。ではァ、明日を楽しみに」

ザッ…カツカツカツカツ…

西方魔道長「……アンタ、何か悪巧みしてるんじゃあないだろうねぇ?」

左大臣「……さァ」

西方魔道長「どんなに内容が良かろうとも、悪事働いてる奴の助けはしないよぉ」

左大臣「心得ておきましょう。フッハハハハァ」

カツカツカツカツ…

魔道兵「……右翼だけでなく…左翼も」

西方魔道長「それだけ切迫しとるんだろ、どっちも」

魔道兵「……成程」

西方魔道長「…全く、胡散臭い男だよぉ」

魔道兵「……」

西方魔道長「さーて、明日に備えて先に休ませて貰おうかねぇ」

あくびをしながら部屋を出て行く西方魔道長。そしていよいよ運命の日が明ける。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/17(月) 00:35:52.41 ID:CFPhtmuDO
>>124-125が全部南方○○になってるなwwwwww

あと、このスレに書き込みすると結婚できるって本当ですか?
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 00:36:55.27 ID:5p35L1Cwo
>>136
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 01:42:29.57 ID:9I9ugWYLo
>>136
ただし、
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 02:18:23.39 ID:Q17m97+DO
>>136
イケメンに
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 02:43:19.23 ID:1My13WYLP
寝取られる
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/17(月) 03:03:41.87 ID:sdHGiOkDO
結局は※ってことですね、わかります
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 07:27:08.80 ID:Dtr6vhpDO
そしてNTR属性ついちゃうんですね…
すんません勘弁してください…
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 08:19:17.25 ID:LZ2GaAt+o
でも大好物
144 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/17(月) 18:31:28.32 ID:fzKRooKTo
〜次の日〜

青年兵「おはようございます」

右秘書官「おはよう。仮眠は取ったか?」

青年兵「はい。大丈夫です」

右秘書官「無理してまた倒れたりしたら……怒られるのは我々だ」

青年兵「…申し訳ありません。でも、本当に大丈夫ですから」

右秘書官「……ならば良い。さぁ、行こうか」

青年兵「はいっ」

カチャッ

右文官「…おぉ、二人とも準備万端だな」

青年兵「おはようございます。どちらへ…?」

右文官「世論調査にな。念の為の最終確認といったところか」

右秘書官「どうでした?」

右文官「9対1で右翼。このまま何もなければ予定通りだ]

青年兵「……了解です」
145 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/17(月) 18:32:02.36 ID:fzKRooKTo
ザワザワザワ…

西方参謀「……あ〜ねみぃ。なんでこんな朝っぱらからやるんだよ」

西方副司令「朝って……もう9時よ?」

西方参謀「9時なんて早朝だよ……ふあ〜ぁ……ヒック」

西方副司令「……」

テクテクテク

西方司令「う、うひえぇ…っ、つつついに…始まってしまったああぁぁ」

西方参謀「当たり前だろうよ、てかアンタ…本国議会出たんだろ?」

西方司令「出ました出ました!私のような者が参加致しました…」

西方参謀「司令が参加しなきゃ誰が出るってんだよ……」

西方司令「……き、君…とか?」

西方参謀「はぁ?何をすっとぼけてらっしゃるんでしょうかぁ?」

西方司令「とととっ、とにかく…平穏に終わって下さいいぃぃ!」

西方参謀「……アイツらに言ったら?」

西方副司令「……もう…ほんとヤダ」
146 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/17(月) 18:32:28.74 ID:fzKRooKTo
テクテクテクテク

博士「…おー間に合ったのらぁ」

研究者「久々に地上へ出たなぁ……」

白衣「たまには出ないと身体が腐りそうだわ。はっはっは」

博士「お前ら……不健康すぎるのら」

テクテクテク

助手「あーら、そういう博士だってあんまり出ないじゃな〜い?」

博士「お前らよりは出ているのら。そんな事どうでもいいのら」

助手「そ・れ・で、博士はどちらに投票したの…?」

博士「……言う必要ないのら。大体聞いてどうするのら?」

助手「決まってるじゃな〜い。博士と同じ方へ挿・れ・る・の・よ♪」

博士「意味が分からないのら」

助手「何でよ〜。愛する男の為に票を投じようってんじゃな〜い」

博士「……議会のシステムを根本的に理解してないのら」

助手「してるってばぁ〜。んもぅ、つれないわねぇ〜」
147 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/17(月) 18:33:01.12 ID:fzKRooKTo
ムギュッ

博士「……」

助手「ど〜ぉ?久々に私のおっぱいは……?」

博士「…凄くどうでもいいのら」

助手「照れちゃって〜」

博士「照れてないのら!お前っ、いい加減に……」

ムギュウウゥゥ

助手「ならば正面からっ♪大きなおっぱいはス・キ・で・しょ?」

博士「……モゴモゴ」

助手「なぁに〜?」

博士「…ぷはっ。おっぱいに興味はないと言っているのら!」

助手「あら〜。博士ってば貧乳派……?」

博士「貧乳にも興味ないのら!もういい加減に……」

助手「……ま、まさか男が好」

博士「違ーう!!」
148 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/17(月) 18:34:04.34 ID:fzKRooKTo


ザッザッザッザッザ

右秘書官「……来たぞ」

ザッザッザ…

左大臣「……おはよう。お手柔らかに頼むぞ」

青年兵「おはようございます。本気で胸をお借り致しますよ」

左大臣「……フッハハァ!威勢の良い事よ」

左翼官「左大臣様、こちらへ」

左大臣「うむ」

ザッザッザッザッザ

右文官「何やら余裕が見えるな」

右秘書官「秘策でもあるのか?いや、そうは思えぬが……」

青年兵「……」

互いの思惑が交差する中、いよいよ最後の演説が始まった。

この投票結果により、本国……そして国軍の行方が決定されるのだ。
149 : ◆1otsuV0WFc [saga]:2011/01/17(月) 18:35:08.69 ID:fzKRooKTo


西方副司令「それでは、議会提案側である青年兵殿の演説です」

ザワザワザワ

青年兵「此度は皇太子殿下に代わり演説をさせて頂きます。青年兵と申します」

魔道士官「……若いな…っ」

西方士官「殿下の側近とも青龍先生の後釜とも謳われているらしい…」

魔道士官「俺だって…本国勤務ならなぁ」

西方参謀「この議会で右翼が勝てば、お前らもチャンスはあるぞ〜?」

魔道士官「参謀様…っ!!」

西方参謀「何でも右翼の連中、国軍再編制を目論んでいるらしいからなぁ」

西方士官「再編制……」

西方参謀「そーすりゃ本国勤務だって……ヒック」

魔道士官「……っ」

西方士官「……た、確かに…そうかも」

西方参謀「…おっと、酔っ払いの戯言だと思って忘れてくれや!…ヒ〜ック」
150 :ageてた…ごめんなさい ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:35:49.84 ID:fzKRooKTo
スタスタスタスタ

西方士官「…ど、どうするよ?」

魔道士官「…ど、どうしよう?」

スタスタスタ…

西方参謀「…さーて、お次は…と。おや……?」

スタスタスタ

西方参謀「こりゃどうも」

西方魔道長「朝っから酒臭いねぇ。まーた飲んでるのかい」

西方参謀「呑むことが俺の仕事ですからな!ガッハハハ!」

西方魔道長「何を言ってんだい!身体壊すよ」

西方参謀「酒は百薬の長ですって。まぁ、控えますわ…ガハハ!」

西方魔道長「どこか行くのかい?」

西方参謀「そろそろお客人が到着するんでね。出迎えですわ」

西方魔道長「……ふぅん、そうかい」

西方参謀「そんじゃ失礼。あ、出来れば右翼に清き一票を!」
151 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:36:16.37 ID:fzKRooKTo
西方魔道長「五月蝿いねっ、あたしゃ自分で決めるよ!」

西方参謀「へいへい!すんません!」

スタスタスタ

西方魔道長「…客人?こんな時に……?」

正門より外へ出て行く西方参謀を見つめながら、首を傾げる西方魔道長。

その背後からは、熱の篭った青年兵の演説が響き渡る。

青年兵「然るに、五ヵ年計画の意味を履き違えないで頂きたいのです!」

西方魔道長「……」

青年兵「今こそ我らが一つにならねば……勝てるものも勝てませぬ!」

西方魔道長「……」

青年兵「これを無謀と言うならばそれは誤り。これは勇敢なる第一歩なのです!」

西方魔道長「……」

青年兵「どうか殿下、そして総司令に皆様のお力を貸して頂きたい!」

西方魔道長「…全く。狙ってんだか知らないけど、誰かさんにそっくりじゃないかい」

間もなく青年兵による右翼陣営の演説が終了した。
152 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:37:04.74 ID:fzKRooKTo


西方副司令「続きまして、対抗陣営である左翼官殿の演説です」

左翼官「まずは此方の資料を見て頂きたい。これによると――」

右文官「……至って普通の演説だな。今までと何も変わりない」

右秘書官「それだけ自信があるというのか……?」

青年兵「とにかく、最後まで見てみましょう」

三人は左翼官の語る演説を、ただじっと耳を澄ませ聞き入る。

左翼官「……であるからして、現存の兵力をもって――」

左大臣「奴等ァ、てっきり支援者でも呼んだかと思ったがァ……」

左秘書官「そうですね。特に見当たりません」

左大臣「それ程自信があると言う事かァ。それとも……」

左秘書官「余裕……なのか」

左大臣「まァ、どちらでも構わん。動きはこちらが先をいっておる」

左秘書官「戦いは常に二手、三手先を読むものですからな」

左大臣「…フッハハハァ。せいぜい、頑張るが良いわァ」
153 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:37:36.48 ID:fzKRooKTo


左翼官「……以上です」

西方副司令「両陣営の演説が終了致しました。尚、投票は……」

西方参謀「あいや待たれい……ヒック」

西方副司令「……?」

西方参謀「右翼の皆様方にお客人ですぞ〜」

ザワザワッ

右秘書官「客人…?何か聞いておるか!?」

青年兵「い、いえ…っ、私は何も…。右文官様は…?」

右文官「私も聞いてはおらんぞ…?どういう事だ…!?」

左大臣「何だァ?まさか……支援者かァ!?」

左文官「しかし、奴らも泡を食ったような顔をしておりますぞ……?」

左大臣「サプライズかァ?……まさかァ」

西方参謀「さぁさ、どうぞどうぞ」

右翼陣営の前へ一人の男が、西方参謀に案内され顔を見せる。
154 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:38:03.20 ID:fzKRooKTo
ザッザッザッザッザ

青年兵「――!!あ、あなたは……っ!!」

右文官「……!?」

青年兵「……神官…様!!」

神官「ご無沙汰しています。確か…青年兵殿でしたか」

右秘書官「神官…!?まさか……西国の…!?」

ザワザワザワッ…

左大臣「何だとぉ!?」

左秘書官「あの男が…西国の宰相…っ!!」

左翼官「神官……殿かっ」

神官「此度はお招き頂き、まことにありがとうございます」

青年兵「お、お招きとは…っ。私は何も……」

神官「……これを」

スッ

青年兵「……手紙…ですか?」
155 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:39:01.63 ID:fzKRooKTo
カサッ

青年兵「……これはっ!!」

神官「エリート殿から頼まれましてな」

右文官「あやつ……遠方から粋な計らいを…っ!」

青年兵「そ、それで…わざわざお越し下さったのですか…!?」

神官「私も今はこの島に滞在しております故、手間はありませんよ」

右秘書官「……それは大変ありがたい!感謝致します!」

神官「いえいえ、私も興味があったものですから」

青年兵「お願い…出来ますか?」

神官「構いません。しかし…何を話せばいいものか……」

右文官「それはもう、お任せ致しますよご自身の想いをそのままぶつけて下され」

神官「そうですか…。では、やるだけやってみます」

テクテク…カツカツカツ

魔道士官「うおっ!?あれって…西国の神官様じゃないか!?」

西方士官「右翼は西国まで味方に付けてんのかよ……っ」
156 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:39:49.68 ID:fzKRooKTo
ザワザワザワ…

神官「始めましての方も多いと思います。私は西国の、神官と申します」

左翼官「……っ」

神官「西国では若輩ながら宰相を務めさせております。
    そして今は、此処三日月島にて建設の統括も行っております」

博士「……」

神官「さて、まずこの地に於いて我が西国が事を為す許可を頂けた事、
    皆様へも感謝の意を述べたいと、常々感じておりました。
    この機を以って、西国代表として深く感謝をさせて頂きます」

西方副司令「……」

神官「まず我ら西国がこの地に足を踏み入れ、さらには領地の
    北部半部を頂けた事。これについては本国の皇太子殿下の
    配慮があってこそのものと感じております」

右文官「……ふぅむ」

神官「殿下やエリート殿とは国政から今後の展望まで、深く議論を
    させて頂き、更にはその内容に大変感銘を受けた次第です」

右秘書官「……」

神官「本国の内情は、当然私の知るところではございません」
157 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:40:28.94 ID:fzKRooKTo
西方司令「……っ」

神官「しかし、私は西国代表として殿下の志に、配慮に感銘を受けて、
    同盟を結ぶべきと判断したのです。共に戦おうと決断したのです。
    どうか、そこだけは皆様にも分かって頂きたいと思います」

左大臣「……ちぃ…っ」

神官「どちらか一方が悪いという事はございません。しかし、私は
    皇太子殿下の寛大なお心に多大なる感謝を致しております。
    だからこそ、殿下を支援させて頂く所存であります」

ザワザワザワ…

神官「また、数年内にて出兵を為さるのであれば、西国は全力を以って、
    共闘させて頂こうとも、既に我が王と私の一致した意見であります」

西方参謀「…頼もしい限りだなぁ……ヒック」

神官「長々と語らせて頂きましたが、以上にて私からの話を
    終了とさせて頂きます。ご清聴、誠に有難う御座いました」

ワアアァァ…パチパチパチ…

神官「…いやぁ、緊張するものですね」

青年兵「ありがとうございました!素晴らしいお話でしたよ!」

神官「いえいえ、これが双方の為となるならば、易いものです」

青年兵「為してみせます……必ずや!」
158 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:41:00.77 ID:fzKRooKTo


左大臣「……ぐぬぬううぅぅ!!」

ワナワナワナッ

左大臣「西だ東だと……忌々しい!」

左秘書官「……いつのまにこれだけのパイプを築き上げたのだ…っ」

左大臣「いるはずだァ。右翼の手足となりて動いている奴がなァ……」

左翼官「……探ってみましょうか?」

左大臣「…あァ。此方に引き込めるならば良し」

左秘書官「出来ぬなら…少し大人しくしていて貰いましょうか」

左文官「そ、即刻調査に乗り出すのだっ!」

左翼官「……ははっ。畏まりました」

左大臣「……本国へ戻るぞ」

左文官「…み、見ていかれないので…!?」

左大臣「結果など見えておるだろうっ!此度の議会は敗北だァ!!」

左翼の誰もが喉元まで出掛かっていた言葉。左大臣は怒声混じりにそれを吐き出した。
159 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:41:31.57 ID:fzKRooKTo


右文官「……勝ったな」

青年兵「…いえ、分かりませんよ。最後まで油断は出来ません」

右秘書官「ああ。左翼の余裕さがどうも気にかかる……」

テクテクテク

西方参謀「…まぁ、今は青い顔してらっしゃるけどなぁ〜ヒック」

右秘書官「参謀殿、こういう事なら予め教えて頂ければいいものを……」

西方参謀「いやいや、サプライズゲストはどうでしたかね?ガハハ」

右文官「心臓が飛び出るくらい驚いたわ……全く」

青年兵「神官様、本当にありがとうございます」

神官「いやいや、正直な事を述べたまで」

青年兵「それが大変、助かりました」

神官「間接的ながら力になれて良かった」

右文官「さぁさぁ、この後は投票です。こちらでお待ちを」

神官「ええ。是非見させて頂きましょう」
160 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:42:18.36 ID:fzKRooKTo
ザッザッザ…

青年兵「西方参謀さんは行かれないんですか…?」

西方参謀「もう一人客人が来るんだ。もうそろそろだと思うんだがねぇ」

青年兵「もう一人…?」

西方参謀「演説には関係ない…いや関係あるか?ま、お前さん方にゃ関係ねぇ」

青年兵「…はぁ。それでは、先に行ってますね」

西方参謀「おーう、酒でも用意しておいてくれやぁ……ヒ〜ック」

ザッザッザッザ…

西方参謀「……さーてと」

〜控え室〜

右文官「左翼の奴ら、早くも本国へ戻るつもりらしいぞ!」

右秘書官「!?……投票結果を見ずにか?どういうつもりだ…っ」

右文官「もしや、本国で何か動くつもりでは……」

右秘書官「いや、それはリスクが大きい。おそらくないと思うが……」

右文官「……っ」
161 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:43:16.88 ID:fzKRooKTo
カツカツカツカツ…

青年兵「……?どうなさったのです…?」

右文官「左翼の連中、本国へ帰るそうだ」

青年兵「もうですか!?随分と性急過ぎませんか…?」

右秘書官「恥じて帰るにしても早すぎる……」

右文官「やはり、何かあるとしか……」

右秘書官「しかし議会で敗北した今、再び議会を起こせるとも思えぬ…」

青年兵「そうなのですか…?」

右秘書官「票数が明確に出ているからな。そう簡単には覆せまい」

青年兵「確かに…。準備期間がない限り…困難ですね」

右文官「それに此度の議会は東方司令部が大幅にひっくり返った」

右秘書官「そう、。今までであれば左翼が優位であったが…今後は違う」

右文官「どちらかと言えばこちらが優位だからな」

青年兵「すると、何か別の手を……?」

右秘書官「……文官殿。我らが追いますか」
162 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:44:15.37 ID:fzKRooKTo
〜正門前〜

西方参謀「……おっ、あれか…?」

ガラガラガラッ…ドドッドドッ…ドドォ

西方参謀「…おぉ、やはりそうか!お待ちしておりましたぞっ!」

ザッ…テクテクテク

西方参謀「ささ、ご案内致します」

テクテクテクテク…

〜魔道機関〜

西方参謀「……失礼」

魔道兵「…珍しいですね」

西方参謀「お客人を連れて参った。西方魔道長は…?」

魔道兵「…しばしお待ちを」

カツカツカツ…

西方参謀「婆さん、お客だぜぃ」

西方魔道長「何だい…?次から次へと……!!」
163 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:44:55.96 ID:fzKRooKTo
ザッ

西方魔道長「……あんた…っ」

学園長「お久し振りね」

西方魔道長「……懐かしい顔だねぇ。まだ生きてたのかい」

学園長「あら、お言葉ね。此方の台詞でもあるのよ…それ」

西方魔道長「そんで、はるばる西方くんだりまで何用だい?」

学園長「東方で演説を見そびれてしまってね」

西方魔道長「西方だってついさっき終わったよぉ」

学園長「あら、そうなの。それは残念ね……」

西方魔道士「……で、あたしに何の用だい?」

学園長「用がないと顔を見に来てはいけない?」

西方魔道長「……それだけかい?」

学園長「折角西方まで来たんだもの」

西方魔道長「……ふぅん、そうかいそうかい」

学園長「まぁ、元気そうで何より。安心したわ」
164 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:46:05.91 ID:fzKRooKTo
西方魔道長「若いのが頼りないからねぇ、まだ死ねやしないさぁ」

学園長「…ふふっ、全くねぇ」

西方魔道長「この後、投票があるんだ。悪いけど長話してる暇はないよぉ」

学園長「はいはい」

スッ

西方参謀「も、もう良いんですかい?」

学園長「ええ。行きましょ」

西方魔道長「……」

学園長「…あ、そうそう」

西方魔道長「……?」

学園長「貴女がどちらに入れようとも、結果は変わらないと思うわよ」

西方魔道長「……」

学園長「行く末の見える人は、きちんと見てるって事」

西方魔道長「……」

学園長「貴女も残り少ない人生、行く末をもう一度考えてみたら?」
165 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:46:34.48 ID:fzKRooKTo
西方魔道長「ふふんっ、忠告として受け止めておくよぉ」

学園長「あら、やけに素直じゃない」

西方魔道長「歳を取ると、素直になるもんさね」

学園長「……ふふっ、そうかもね」

クルッ

学園長「…また会いましょ。生きてるうちにね」

西方魔道長「そうだねぇ。あの世で会っても…仕方ないからねぇ」

学園長「……ふふっ」

テクテクテクテク…

西方魔道長「…全く、あれを動かすなんて大したもんさね」

魔道兵「今のは……学園長ですよね…!?」

西方魔道長「本国は意外と、一枚岩になっとるのかもしれんね」

魔道兵「……」

西方魔道長「……ほれ、投票へ行くよ」

魔道士「は、はい……っ」
166 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:47:14.39 ID:fzKRooKTo
昼食を終えた西方司令部の各士官達。一同は一斉に正門前へと

再び足を運ぶ。それは即ち、投票の為であった。

〜正門前〜

西方副司令「順番に投票して下さい。焦らなくても大丈夫だから」

魔道士官「……」

西方士官「……っ」

助手「……さーて、どうしようかしらねぇ〜」

白衣「左翼だと研究費削られそうなんだよなぁ……」

研究者「右翼だって、軍事費維持の代わりに研究費削ったぜ?」

西方魔道長「……やれやれ。どうしたもんかねぇ」

右文官「…さて、どうなる事やら」

青年兵「……」

右秘書官「勝てる。勝てるはずなのだ……っ」

青年兵「ええ。勝ちますよ…僕らは」

今ここに、全ての士官が投票を終えた。そして発表の刻……。
167 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/17(月) 18:48:11.41 ID:fzKRooKTo


西方副司令「それでは、開票結果を発表致します」

ザワザワザワッ…

西方副司令「総数100。有効票100…無効票なし。それではまず右翼ですが…」

青年兵「……っ」

西方副司令「右翼……89票」

右秘書官「っ!!」

右文官「……89っ!!」

西方副司令「左翼11票。以上が結果となります。投票において異議のある者は――」

右文官「こ……これで、票数は……」

右秘書官「右翼……460票!!」

西方参謀「対して左翼440票。何だかんだ接戦だが…獲ったな!」

神官「皆様の勝利に終わったようですね。おめでとうございます」

右秘書官「……お前のお陰だ。ご苦労だった、青年兵っ!」

青年兵「……や…った、やったぞおおぉぉ!!」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/17(月) 18:51:19.69 ID:fzKRooKTo
以上にて失礼致します!
ご支援まことにありがとうございました!ノシ

>>136

うへぇ、ごめんなさいいぃぃ……
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 19:32:47.23 ID:IYkvo01DO
>>1乙っす
左大臣のせいで召喚師たちに何かあったら左大臣を絶対に許さない
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 19:39:35.32 ID:dWKTq4yao
>>165
魔道士がいるぞ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 19:44:48.73 ID:5p35L1Cwo
              /:::::,r'´      ヽ:::::::::l,
             l:::::::l_,,_    _,,-‐-: :'l:::::::::l
              ゝ::iィ'"`゙`t‐l´ ̄~゙i、:.l:::::::::l
               ゙ビ'--‐i  ゙'‐-‐'': :`'´ i丿
               ゙i    ``     : : : リノ   ハッハッ! 見ろっ!!>>169>>170がゴミのようだ!!
                 ゙i  r--‐ーッ : :r、ノ
                 ゙i ``''''"´ : :/::l'"
               . ゙i、,___/: :l_
               _,,(F-、, _,,-‐''''""´ !、,_
          _,,,..-‐/''´::l゙`-、-V_,,,、、-‐'''"ノ;;;;;;;`゙`'‐ 、,_
    ,,-‐'""´ ̄:::::::::/:::::::,rレ'´  i、ヽ--‐ 丿::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙`'‐-- 、
  ,ィ'::::::::::::::::::::::::::::/_/     i : ヽ ,ィ':::::::::::::::::::l:::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ヽ
 r':::::::::::::::::::::::::::::::::::::,r       i : : l:::::::<⌒ ̄:::::::::::::::::::,i::::::::::::::;;;;;;;;;;ヽ
_l;::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::i          :l::::::::::::::>::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::;;;;;;;;;l
::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::ゝこヽ       :l::_,,,..-‐''´:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;l、
::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::/:::::::ゝ    ,,ィ ''´::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;ヽ
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 21:11:41.75 ID:hNeCcflDO
>>1乙!
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/18(火) 10:32:12.73 ID:svz9Y81B0
1乙
左翼は今さら何をするつもりだ
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 11:28:35.32 ID:DFdnLe5+o
ラピュタ探しに行くんだろ
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/18(火) 19:42:42.40 ID:VDMpWk/AO
復活!!
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 19:49:16.39 ID:f8FQcAcAO
>>1

移転でまさかの迷子になって出遅れてしまった
魔導師ちゃんと会えない時間がこんなにも苦しく、辛いものだとは…
もはや認めざるを得ないでしょう。僕が抱いている、溢れんばかりの魔導師ちゃんへの想いを…っ!!!
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 20:20:40.24 ID:zhs8Vvyx0
来るな。マジで不愉快だ。
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/18(火) 20:27:30.78 ID:VDMpWk/AO
ワロタ
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 03:19:35.51 ID:euf4hR+DO
復活したのかな?
>>1
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/19(水) 03:40:51.16 ID:br74S0QAO
>>1と性年兵に乙んつん
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 07:58:25.94 ID:YIxSyipAO
性年兵と性喚士
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 08:26:20.79 ID:ZnCWV4HIO
>>1乙っす
俺は不人気の左大臣様派になろうかww
何かでかいことやる男だww
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 09:52:52.31 ID:/c9IND9DO
ここはワシに任せて先に行けェ的なポジションの御仁だと思います
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 10:14:30.46 ID:ZyelYN7Co
>>1
思いっきり迷子ってたorz
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/19(水) 12:53:39.40 ID:7NuJEfl4o
昨日は久々の定休日だったようですね

迷子だった皆様、すみませぬ。やっぱり移動するの早かったかな…

↓続き
186 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 12:54:20.21 ID:7NuJEfl4o


右文官「それでは……乾杯!」

右秘書官「乾杯!」

神官「申し訳ありません。何やら私まで参加させて頂いて……」

右文官「いやいや、神官様にはご協力頂きましたし……」

チラリ

西方参謀「……んー、やはり勝利の美酒は格別ですなぁ。がははっ」

青年兵「……は、はぁ」

右文官「何やらよく分からぬのもおりますし……」

右秘書官「さて、盛大に祝いたいところではあるが……」

右文官「うむ。ぼちぼち行くとしようか」

青年兵「もう行かれるのですか?」

右秘書官「やはり左翼のあの手際……気になるのでな」

青年兵「ならばやはり、私も……」

右文官「いや、それには及ばん」
187 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 12:54:49.54 ID:7NuJEfl4o
青年兵「……」

右秘書官「青年兵、君は十分に働いてくれた。しばし休むが良い」

青年兵「……はぁ」

右文官「あとは我らに任せてもおけ。それとも…われらでは頼りないかな?」

青年兵「い…いえっ、そのような事は……」

右文官「ふっふ、ならば何も心配する事はない」

青年兵「…分かりました。それではお言葉に甘えて……」

右秘書官「では、我らこれにてしつれい致します」

神官「はい。殿下やエリート殿にも宜しくお伝え下さいませ」

右文官「では」

青年兵「お疲れ様でした……!」

テクテクテク…

西方参謀「…そんで、お前さんはどうするんだい?」

青年兵「そうですね。三日月島の視察は可能でしょうか?」

西方参謀「視察?かぁー、仕事熱心だねぇ」
188 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 12:55:31.28 ID:7NuJEfl4o
神官「ならば、西国側も視て行かれると良かろう」

青年兵「宜しいのですか…!?」

神官「勿論だ。是非に」

青年兵「それは有難いです。是非、拝見したいと思います」

神官「うむ。用事がなければ明日にでもすぐ…如何かな?」

青年兵「はい。宜しくお願い致します!」

神官「ではそのような手筈で。お待ちしてますぞ」

青年兵「了解致しました」

コトッ

神官「……さて、私もこの辺で失礼致します」

西方参謀「もう行かれるんですかい?」

神官「青年兵殿が視察に来られるのならば、下準備をせねば……」

青年兵「そ、そんなお構いなく……」

神官「ふふっ、冗談ですよ。現場監督はそんな役回りでして、仕事がね」

西方参謀「なーるほど。そいつはご苦労様です」
189 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 12:56:02.02 ID:7NuJEfl4o
神官「それでは明日、お待ちしておりますぞ」

青年兵「はい。宜しくお願い致します」

神官「こちらこそ」

スタスタスタスタ…

西方参謀「お前さんも少し、休んだらどうだ?」

青年兵「……そうですね。急に眠くなってきてしまいました」

西方参謀「全てやり終えて、どっと疲れが出たんだろうよ」

青年兵「ははっ、そうかもしれませんね……」

西方参謀「部屋は三階の突き当たり右奥……」

青年兵「あ、大丈夫です。分かりますので」

スクッ…テクテクテク

青年兵「それではお疲れ様でした。失礼致します」

西方参謀「おーう。お疲れさん!」

テクテクテク…パタン

西方参謀「…頑張るのもいいが、大丈夫かねぇ」
190 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 12:56:31.24 ID:7NuJEfl4o
〜客室〜

青年兵「……ふあ…ぁ」

スタスタスタ…ボフッ

青年兵「やっと……終わったぁ……」

ベッドへ倒れこむ青年兵は、笑顔も見せずぼーっと壁を見つめる。

青年兵「でも……これからだ」

ゴロン

青年兵「これからが…本当の…………」

ゴロ…

青年兵「…すーっ、すーっ……すーっ」

今議会、最終投票結果

南方 投票数100 右翼97 左翼3
西方 投票数100 右翼89 左翼11
北方 投票数100 右翼92 左翼8
東方 投票数100 右翼41 左翼59
本国 投票数500 右翼141 左翼359 

合計 投票数900 右翼460 左翼440
191 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 12:57:02.36 ID:7NuJEfl4o
〜本国、王宮〜

カツカツカツカツ…

執事「おぉ、お戻りになられましたか!お疲れ様でございます」

右秘書官「右大臣様は?」

執事「只今来客中でして。もうしばらくかかるかと……」

右文官「来客とな?これはまた珍しい……」

執事「何でも旧友であられるとか……」

右秘書官「分かった。終わり次第知らせて頂きたい」

執事「畏まりました」

〜右大臣室〜

右大臣「……いやいや、手間をかけましたな」

カチャッ…コトッ

学園長「貴方の頼みだから受諾したのよ?」

右大臣「先生には感謝しておりますよ」

学園長「丁度、学園も受験でしたし…良いリフレッシュになりましたわ」
192 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 12:57:50.30 ID:7NuJEfl4o
右大臣「そう言って頂けると光栄」

学園長「……ふふ。皆、元気でやってるの?」

右大臣「どうでしょうなぁ。歳も歳ですし……」

学園長「私の前でそれを言いますか?」

右大臣「…ははっ、ご尤も」

学園長「しかし…教え子が国の右大臣とはねぇ」

右大臣「先生の教えの賜物ですよ」

学園長「そうかしら?」

右大臣「お、そうそう……」

テクテクテク…ゴソゴソッ

右大臣「これを」

学園長「手紙?何かしら……」

右大臣「村長からです。何でも式を挙げるとか」

学園長「あら、随分遅い結婚なのねぇ」

右大臣「いえいえ、彼がではありませんよ」
193 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 12:58:27.99 ID:7NuJEfl4o
学園長「……それもそうよね。ふふっ」

カサッ…ピラッ

右大臣「彼の者が孤児を保護しているのは存じておられますな?」

学園長「ええ。昔からそうらしいわね」

右大臣「その子らが結婚するそうなのです」

学園長「…そうなの。素晴らしい事ですわね」

右大臣「そこで私にも参加を……と」

学園長「良かったではありませんか」

右大臣「しかし、堅苦しくなりはしませんかね…?」

学園長「彼も嬉しいのよ」

右大臣「……」

学園長「だって、自分の子供達のようなものでしょう?」

右大臣「…まぁ、そうでしょうけれど」

学園長「それに貴方が参加する事で、格式も高く出来なくて?」

右大臣「…確かに新郎新婦共に、ワーカーであるようだし」
194 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 12:59:18.72 ID:7NuJEfl4o
学園長「祝ってあげなさいな」

右大臣「ふぅむ。では、余計な祝いなどは避けて、参加すると致しますか」

学園長「…彼、未だに頑張っているのねぇ」

右大臣「ええ。強い男です」

学園長「本当は、そんな村自体が存在してはいけないのだけれど……」

右大臣「ええ……」

学園長「貴方が助けてあげねばなりませんよ?」

右大臣「心得ておりますよ」

学園長「ならばよしっ。あ……そうそう」

右大臣「…?」

学園長「陛下の容態はどうなのかしら?」

右大臣「……正直、芳しくありませんね」

学園長「そう……」

右大臣「医者の話では数年内との事……」

学園長「……お気の毒に」
195 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:00:04.99 ID:7NuJEfl4o
右大臣「しかし、一時期に比べると今は比較的良くなっておりますね」

学園長「無理なさらないようお伝え下さいね」

右大臣「ええ。今はもう国政からも離れておりますし、大丈夫でしょう」

学園長「そうなの。ならば貴方や殿下が?」

右大臣「そういう事になりますね」

学園長「頑張ってね。皆が笑って暮らせる世の中を……」

右大臣「無論です」

学園長「ふふっ。さぁて、そろそろ戻らなければ……」

右大臣「もう少しゆっくりされれば良かろうに」

学園長「入試の採点もあるし、教頭に怒られてしまいますわ」

右大臣「…そうですか。此度はご無理を申し、誠に……」

学園長「気になさらないで。嫌なら断っているわよ。ふふっ」

コツコツコツコツ…

学園長「それでは、御機嫌よう」

右大臣「先生もお元気で……!」
196 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:00:51.13 ID:7NuJEfl4o


コンコン

右秘書官「はい」

執事「右大臣様、終えられたようです」

右文官「行こうか」

右秘書官「ええ」

カツカツカツカツ…

右秘書官「失礼致します」

右大臣「おぉ、待たせて済まぬ。ご苦労であった!」

右文官「結果はご存知であられるかとは思いますが……」

右大臣「うむっ!見事、よくぞやってくれた!」

右秘書官「ありがとうございます」

右文官「しかし、本当の主役は……」

右秘書官「青年兵です。彼には休暇を与えました」

右大臣「それが良かろう。若いのに…よくやってくれた」
197 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:01:22.10 ID:7NuJEfl4o
右秘書官「ええ…本当に。此度の働きで特進もあるのでは?」

右大臣「さあなぁ…。それは国軍の仕事であるからな」

右文官「そろそろ出向から正式に此方で引き取っては如何です?」

右大臣「うぅむ。殿下やエリートも気に入っておるようだしなぁ」

右秘書官「近日中に国軍へ申請してみましょう」

右文官「それは良い…っ!」

右大臣「二人も今日はゆっくりと休むが良い」

右秘書官「……それがですね」

右大臣「何かあったか?」

右秘書官「左翼の動きがやや気になります」

右大臣「動き…?まだ何か動いておるのか?」

右文官「逆です。こちらが驚くほど引き際が良いのです」

右大臣「……」

右秘書官「すぐに動くとは思えませぬが、殿下帰国までには策を練りたいですね」

右文官「うむ。しかしあちらに動きがないので、今は予防策しか取れぬがな……」
198 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:02:05.65 ID:7NuJEfl4o
〜次の日〜

両陣営が当日中に早々と去った事によって、

西方司令部は既に平常時と同様の姿を見せていた。

青年兵「……おはようございます」

西方司令「お、おはようございます!ゆっくりと寝られましたか…?」

青年兵「ええ、お陰様で。ありがとうございました」

西方司令「め、滅相もない!これでゆっくりとお休み頂けなかったら私は……」

西方副司令「はいはい。おはようございます。朝食の準備、出来てますよ」

青年兵「すみません。早速いただきます」

西方副司令「今日は島の北部に行くんですって?」

青年兵「ええ。西国の視察に伺いたいと思っております」

西方副司令「一人で大丈夫?」

青年兵「はい。その方が気楽ですし…ははっ」

西方副司令「何かあれば言ってね。協力しますから」

青年兵「はい、ありがとうございます」
199 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:03:07.40 ID:7NuJEfl4o


テクテクテク

青年兵「おはようございます」

西方参謀「お〜う、メシは食ったかぁ?」

青年兵「いただきました。ご馳走様です」

西方参謀「ここのメシは美味いけど…肴がないのが困る」

青年兵「はは……っ」

西方参謀「これから北側に行くのかい?……ヒック」

青年兵「ええ。……あれは確か電話の工事でしたね」

西方参謀「そうそう」

青年兵「あれ?北にも伸びてませんか?」

西方参謀「あぁ。試験的なやつだな」

青年兵「…?」

西方参謀「まずは北側の西国と通信出来るか、テストするんだとよ」

青年兵「なるほど……」
200 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:04:04.85 ID:7NuJEfl4o
西方参謀「俺は難しい事ぁ分からんけど、成功すりゃいいな」

青年兵「そうですね。そうすれば情報交換も迅速に対応出来るようになりますし」

西方参謀「だなぁ。何だか…すっげぇ時代になっちまったモンだわな…ヒック」

青年兵「全くですね」

西方参謀「そんじゃ、気を付けて行ってきな!」

青年兵「はい。ありがとうございます」

西方参謀「馬は借りたか?」

青年兵「既に手配致しました」

西方参謀「流石っ、準備万端だねぇ……ヒ〜ック」

青年兵「それでは、行ってきます」

西方参謀「おーう」

ザッザッザッザ…

西方参謀「……ふぅん」

グビッ…ゴクッゴクッゴクッ

西方参謀「…っぷはぁっと。ああいう…先の見える男が将来を担うんだろうねぇ」
201 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:05:02.72 ID:7NuJEfl4o
青年兵は間もなく、馬を飛ばし三日月島の北側へと移動した。

南側とは違い、まだ木々が生い茂る中、西国の男達が忙しなく動き回っている。

ドドッドドッドドッ…

青年兵「……へぇ!思った以上に進んでいるなぁ」

ドドォ…ザッ

青年兵「……あの、すみません」

西国兵「…ん、本国の方かね?」

青年兵「はい。神官様はいらっしゃいますか?」

西国兵「神官様なら中に居ると思うけど」

青年兵「は、入っても…構わないのですか?」

西国兵「…?そりゃあモチロン!何かマズイ事でも…?」

青年兵「い、いえ…それでは失礼致します」

ザッザッザッザッザ

青年兵「……随分とオープンなんだな」

ザッサッ゙…カツカツカツ…
202 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:05:59.58 ID:7NuJEfl4o
青年兵「石造りの内側に鉄と結界石…。かなり強固な作りだな」

神官「一応、島での拠点ですからね」

青年兵「神官様っ!おはようございます」

神官「よくぞいらした。何もない所だが…ゆっくりしていってくれ」

青年兵「お世話になります」

神官「ここは本国で言うところの司令部といったところか」

青年兵「なるほど。軍事拠点ですね」

神官「うむ。しかしそれだけではないぞ」

青年兵「…?」

神官「今後における本国との貿易拠点にもなっている」

青年兵「そうでしたか……」

神官「見えますかな?中央に広場を設けている」

青年兵「本当だ…。ここで何か…?」

神官「いずれはキャラバンのような物を設けて、取引所にしようと思ってな」

青年兵「それは素晴らしいですね…!」
203 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:06:52.11 ID:7NuJEfl4o
神官「軍事拠点内に設置する事で有事の際にも備えられるし……」

青年兵「不正も防げますね」

神官「その通りだ」

青年兵「効率的ですね」

神官「…そして、この北側の部分」

青年兵「随分と道幅が広いですね」

神官「ここは北の港と直結している道だ」

青年兵「……おぉ!」

神官「港からの輸送を円滑に行う為、道も広くしている」

青年兵「なるほど」

神官「出兵や進軍など、軍事的な場合においても効果的だ」

青年兵「確かにそうですね。北側は西国本土と通じますからね」

神官「そういう事です。その分、東西は壁を高くし、出入りも出来ぬ作りになっている」

青年兵「南は…?」

神官「北ほど広くはないが、主に軍事用の道を築くつもりだ」
204 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:07:52.43 ID:7NuJEfl4o
青年兵「西方司令部との……」

神官「うむ。何れは本国領土への出兵もないとは限らぬしな」

青年兵「……」

神官「勿論、援軍として…であるぞ?」

青年兵「分かっておりますよ。ははっ」

神官「東側は海に面しておるので、見張り櫓を兼ねた灯台を設置します」

青年兵「本国にとっても助かりますね」

神官「拠点はひとまず、こんな所であろうか……」

青年兵「一つ気になったのですが…」

神官「何だろうか?」

青年兵「拠点周囲の木々は伐採なさらないのですか?」

神官「……」

青年兵「何かと不便かと思いますが…」

神官「我らの住む西国は、木々がほとんど生えぬ」

青年兵「……っ」
205 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:08:46.20 ID:7NuJEfl4o
神官「気候的なものではあるがな」

青年兵「……」

神官「だからこそ、やはりあるべき自然を必要以上に壊すというのも気が引けてな」

青年兵「そう…でしたか……」

神官「ある意味、緑に囲まれ生活を送るという事は、西国の者にとっては夢」

青年兵「……」

神官「……まぁ、そんな些細な理由ですよ。ふふふっ」

青年兵「いえ、大変素晴らしい事だと思います」

神官「ありがとうございます」

青年兵「本国に住む者としては、なかなか気付きにくい事です」

神官「志は同じでも、環境が違えば手段も違う……という事ですな」

青年兵「…互いに良い部分を用いる事が出来れば、最高ですね」

神官「仰る通りだ。互いに目指そうではありませんか」

青年兵「…はい!是非にも!」

両者はようやく硬い表情を解き、心から笑った。
206 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:09:44.86 ID:7NuJEfl4o


ドドッドドッドドッドドッ…

神官「ここが港です」

青年兵「……おぉ!」

騎乗より前方に見える港に、青年兵は興奮気味に声をあげる。

青年兵「かなりの規模ですね!」

神官「今後は頻繁に船が行き交うであろうからな。大きいに越した事はない」

青年兵「……凄いな。短期間でここまでのものが」

神官「細部はまだまだこれからだが、大筋の物は完成しているよ」

青年兵「ここも自然と融合した作りですね」

神官「ああっ。あとは木々の間を縫うように、市場を配置しようと思う」

青年兵「あの辺りですね?」

神官「日差しも強い故、日陰にもなるしな」

青年兵「良いと思いますよ!いや、本当に素晴らしいと思います!」

神官「私も閑静が待ち遠しいものですよ」
207 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:10:26.27 ID:7NuJEfl4o
青年兵「更には、西方司令部との電話が……」

神官「うむ。近いうちに拠点、更には此処、港まで配備予定だ」

青年兵「凄いですね……」

神官「もし北より魔物の侵攻があろうとも、それさえあればすぐに……」

青年兵「司令部との連動可能ですね」

神官「そういう事だ」

青年兵「…いやはや、素晴らしいものをありがとうございました」

神官「こちらこそ」

青年兵「今度は是非、殿下もお連れ致したいと思います」

神官「それは楽しみ。待っておりますぞ」

青年兵「はい。それでは……」

神官「もう戻られるのか…!?」

青年兵「ええ。お仕事の邪魔にもなってしまいますでしょうし…」

神官「何を仰る。今宵は宴も設ける予定。もっとゆっくして下され」

青年兵「し、しかし……はぁ」
208 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:11:25.12 ID:7NuJEfl4o
〜夜〜

神官「皆の者、本日の勤めもご苦労であった」

西国兵「おー!!」

神官「今宵は本国からの客人、青年兵殿もお見えである」

西国兵「おぉーっ!!」

青年兵「…お、お邪魔します〜」

神官「労いと持て成しを……乾杯!」

一同「乾杯ーっ!!」

西国兵「ささっ、どうぞ!」

青年兵「ありがとうございます」

神官「西国の酒と特産品を揃えました。どうぞご遠慮なく」

青年兵「大変感謝いたします。ありがとうございます」

神官「今日は一通り視察されて、如何だったかな?」

青年兵「予想以上に進んでおり、心底驚きました」

西国兵「我ら西国の者は、団結力が違いまさぁ!」
209 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:12:38.73 ID:7NuJEfl4o
青年兵「皆様の働きが素晴らしいからこそ、これだけ出来るのでしょうね」

西国兵「おぉ、分かりますか!?」

神官「これ、図に乗るでないっ」

西国兵「へへっ、失礼致しやしたっ!」

青年兵「皆、楽しそうに働いておりますね」

神官「ええ。我先にと率先して働いております」

青年兵「良い事です」

神官「西国もようやく、国内も安定し…活気付いてきたところ」

青年兵「……」

神官「つい数年前までは、西高原国の侵攻に怯えながら暮らしておりました…」

青年兵「……っ」

神官「しかしそれもこれも、全ては召喚士殿達のお陰です」

青年兵「召喚士さん…っ」

神官「彼らは西国の『救世主』なのです」
210 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:13:53.73 ID:7NuJEfl4o
青年兵「ええ…っ」

神官「王子もようやく、国王らしくなってきましたしね…ふふっ」

青年兵「国政ですか…?」

神官「いや、ほとんどが軍事ですが……」

青年兵「殿下と似ておりますね」

神官「いやいや、うちのは常に戦場を駆け回っておりますよ……」

青年兵「ご苦労様です……」

神官「ただ、前線に居るだけあって、西国の士気は非常に高いです」

青年兵「そう思います」

神官「それがこういった、戦以外の任務にも影響しておるのでしょうな」

青年兵「相乗効果ですね。良い事です」

神官「青年兵殿も近いうち、西国へいらして下され」

青年兵「ええ、必ず!」

神官「……ささ、飲んでくだされ」

青年兵「ありがとうございます…!」
211 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:14:40.33 ID:7NuJEfl4o


青年兵「ご馳走様でした」

神官「お口に合いましたかな?」

青年兵「ええ!交易規模が増したら是非、購入したいと思います!」

神官「ふふふっ、そんな事ならお送り致しますよ」

青年兵「いえいえ、そこまでは…。自分で買わせて頂きます。ははっ」

神官「ふふっ。……これ、青年兵殿を寝室へご案内せよ」

西国側近「ははっ」

青年兵「すみません。寝る所までご用意して頂いて……」

神官「これから帰るのも手間でしょう。お構いなく」

西国側近「では、ご案内致します」

青年兵「それでは、お休みなさい」

神官「ごゆっくり」

カツカツカツカツ…

青年兵「……?」
212 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:16:03.25 ID:7NuJEfl4o
西国側近「…どうかなさいましたか?」

青年兵「拠点には、地下もあるのですか?」

西国側近「…ああ、作る予定でしたが結局なくなりました」

青年兵「そうですか……」

西国側近「この階段はその時の名残ですよ」

青年兵「なるほど。地下は色々使えますよ」

西国側近「そうなのですか?」

青年兵「食糧の保存庫などにも適しておりますしね」

西国側近「それは素晴らしい!早速、神官様へお伝え致しましょう」

青年兵「ははっ、ただの浅知恵ですよ。それではお休みなさい」

西国側近「……はい。ごゆっくりお休み下さいませ」

テクテクテク…パタン

西国側近「……」

クルッ…テクテクテクテク
213 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:17:02.55 ID:7NuJEfl4o


神官「…ほぅ、地下を?」

西国側近「はい……」

神官「まぁ構わぬ。問題はないであろう」

西国側近「はい。私もそのように思います」

神官「青年兵殿の申すとおり、保存庫にしておこう」

西国側近「では、そのように」

神官「隠すつもりはないが、今は知られたくない」

西国側近「……」

神官「本国へは来るべき時に話せば良いからな」

西国側近「ええ」

神官「では、地下は食糧保存庫として偽装しておいてくれ」

西国側近「…はっ、早速!」

クルッ…タッタッタッタッタ…

神官「…………」
214 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:17:49.64 ID:7NuJEfl4o
〜次の日〜

青年兵「……昨日はありがとうございました」

神官「いえいえ。大した振る舞いも出来ず……」

青年兵「十分過ぎる程ですよ。この御礼は必ず……」

神官「なぁに、気になさいますな。本国からは色々とご協力頂いておる故」

青年兵「そう…ですか」

神官「それでは、お気を付けて」

青年兵「はいっ!近いうちにまた…!!」

クルッ…パッカパッカパッカ…

三日月島北側における、西国の拠点及び港の視察を終えた青年兵。

西国の思いを胸に、今再び西方司令部へと戻って行った。

〜西方司令部〜

青年兵「…ただいま戻りました!」

西方副司令「おかえりなさい。いかがでした?」

青年兵「いやぁ…実に凄い物でした」
215 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:18:52.63 ID:7NuJEfl4o
西方副司令「でしょっ!?私も始めて見た時は驚いたわぁ」

青年兵「本国も負けてられませんね」

西方副司令「ほーんと。あ、そこでなんだけど……」

青年兵「…?」

西方副司令「ここも少し、ちゃんとしたいし〜」

青年兵「…え、ええ」

西方副司令「司令と参謀を入れ替えて貰えないかしら?」

西方司令「ひ、ひええぇぇ!?」

西方参謀「ぶほっ!」

西方副司令「あら、いたの?」

西方司令「ひいぃ……も、もう終わりだぁ!」

西方参謀「お、おいおい…まさか本気じゃないだろうなぁ…?」

西方副司令「あら、冗談よ」

西方参謀「…ったく」

西方司令「はあぁ……もうダメだぁ!投身するしかいないいぃぃ」
216 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:19:52.49 ID:7NuJEfl4o


青年兵「屯田…ですか!?」

西方副司令「ええ。議会が終われば進められるでしょ?」

西方参謀「確かにな。三日月島でも屯田を行えば……」

西方副司令「食糧も確保出来るし、兵の増強にもなるわ」

青年兵「それで、屯田について教示出来る者を…ですね?」

西方副司令「ええ。誰かいるかしら…?」

青年兵「今は大軍師様が一手に引き受けてますからね……」

西方参謀「じゃあ大軍師に来て貰わねぇと無理か…」

青年兵「一応、話は通しておきます」

西方副司令「ごめんなさいね。手間掛けちゃって……」

青年兵「いえいえ、このくらい大した事ではありませんよ」

西方副司令「頼もしいわねぇ。キミが司令になっちゃえばいいのに……」

西方司令「ひ、ひいいぃぃ…っ!」

西方参謀「それ…本音だろ……」
217 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:20:40.04 ID:7NuJEfl4o


青年兵「それでは長い事、お世話になりました!」

西方副司令「いえいえっ。右翼の勝利、改めておめでとう!」

西方参謀「んじゃー元気でなぁ!……ヒック」

青年兵「では、失礼致します」

西方司令「ど、どうか…お許しをおおぉぉ」

青年兵「…は、ははっ」

ザッザッザッザッザ

青年兵「……!?」

西方魔道長「結局勝っちまったねぇ」

青年兵「…ええ、勝たせて頂きました」

西方魔道長「お前さんらだけの問題じゃあないんだ」

青年兵「……」

西方魔道長「世界中の人間を巻き込んでるって事、忘れなさんな」

青年兵「…はい」
218 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:21:36.60 ID:7NuJEfl4o
西方魔道長「ほれっ、勝者は胸張って帰りな!」

青年兵「……はいっ!失礼致します!」

ザッザッザッザッザ

西方魔道長「……ふふふっ。面白い奴じゃあないかい」

博士「ババが気に入るとは、珍しいのら」

西方魔道長「そうかい?お前さんの事だって孫のように思っとるよぉ」

博士「…それは遠慮するのら」

西方魔道長「…ふっふ、そりゃあ残念だねぇ」

博士「……さて、これから忙しくなるのら」

西方魔道長「あたしゃ戦うつもりはないよぉ」

博士「なくても下の者はやるき出てるのら」

魔道士官「…いよぉーし。再編が始まれば…狙うは本国務め…!」

西方士官「……そこで戦果を上げて…出世コースだっ!!」

西方魔道長「張り切りすぎるとロクな事はないよぉ?早死にするだけさ」

博士「…今は士気が高いに越した事はないのら。そのうち限界がみえるのら」
219 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:22:36.39 ID:7NuJEfl4o
西方司令部での演説、そして視察を終えた青年兵は、

単身本国へと戻ったのであった。

〜本国〜

青年兵「……ようやく…戻ってきたぁ」

ザザーン…ザザーン

海兵「入港完了ーっ!」

青年兵「…ご苦労様です」

海兵「青年兵様、お疲れ様です!」

青年兵「ありがとう」

テクテクテクテク…

青年兵「……戻りました」

右文官「…うむ、ご苦労」

右秘書官「視察はどうであったか?」

青年兵「大変有意義なものでした」

右秘書官「それは何より」
220 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:23:19.21 ID:7NuJEfl4o
右文官「機関早々、申し訳ないのだが……」

青年兵「何か…あったのですか?」

右文官「…う、うむ」



青年兵「取材!?」

右秘書官「新聞各紙がどうしても……とな」

右文官「これも右翼の政策アピールとして、何とか受けて貰えぬだろうか?」

青年兵「し、しかし……っ」

右秘書官「畏まる事はない。ただ、己の考えをそのまま述べてくれれば良いのだ」

青年兵「……」

右文官「新聞社も、何もこんな直後に行わなくてもなぁ…」

右秘書官「彼らとしてもホットな話題が欲しいのではないのですかね」

青年兵「……どうしても…ですか?」

右文官「強制はせん。しかし、これも政治の一環であるという事だけは申しておこう」

青年兵「……」
221 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:23:54.21 ID:7NuJEfl4o


記者「いやはや、今回は取材の受諾…まことにありがとうございます!」

青年兵「い、いえ…っ」

記者「では早速、始めさせて頂きたいと思います」

絵師「こちらを向いて頂けますか?あ、そうそう…そうです!いいですねー」

右文官「……すまんな青年兵」

右秘書官「困ったことがあればすぐに申してくれ」

記者「それではまず…今回の政策における――」



青年兵「つまり、国軍全体の再編における相乗効果にて――」



青年兵「ですから、再編と屯田制の推進をですね――」



青年兵「東方司令部の魔道兵を各司令部、及び本国へ――」

記者「……なるほどなるほど!」
222 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:24:38.95 ID:7NuJEfl4o


記者「どうも、長々とありがとうございました!」

絵師「…うんっ、よく描けてる!どうです?問題ありますかね?」

青年兵「……い、いえっ」

記者「本日は取材、ありがとうございました!」

絵師「記事は数日内に掲載出来ると思いますので!」

テクテクテクテク…

青年兵「…はぁ、やっと終わった…っ」

右文官「…ご苦労であった」

右秘書官「何か飲むか?」

青年兵「ありがとうございます。しかし、同じ様な事を何度も……」

右秘書官「どうやら今回は国軍再編を目玉として打ち出したいようだな」

右文官「うむ。インパクトもあるしな」

青年兵「……そのようですね」

右秘書官「あとは…記事になるのを楽しみに待っているとするか」
223 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:25:28.21 ID:7NuJEfl4o
〜二日後〜

右文官「……青年兵!」

青年兵「右文官様、どうなさいました?」

右文官「ほれっ。先日の取材が新聞に載っておるぞ!」

右秘書官「これはまた……随分とまぁ、大々的に……」

青年兵「…な、何だか恥ずかしいですね」

右文官「お主もこれで、一躍時の人だな。わっははは」

青年兵「勘弁して下さいよ……っ」

右秘書官「これからは注目度も高まるな」

右文官「うむ。しかし良い事もあれば悪い事もある。気を付け給えよ?」

青年兵「心得ております」

右文官「まぁこやつの生真面目さなら、スキャンダルもなかろう。わっははは」

右秘書官「その辺は安心ですね」

青年兵「……き、気を付けます」

苦笑しながら、青年兵は新聞をまじまじと見つめた。
224 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:26:09.39 ID:7NuJEfl4o


テクテクテク

青年兵「……っ」

町人「…お、おいっ!あれって……」

女「青年兵様ーっ!!」

青年兵「は、はは……っ」

店主「よぉっ、若き将校!俺達の為にも頑張ってくれよぉー!」

老人「期待しておるぞよ」

青年兵「は、ははっ……頑張ります…!」

スタスタスタ

青年兵「……これじゃあ、気軽に買い物も出来やしないなぁ」

街を歩く青年兵は、やや顔を下げ罰の悪そうな顔で小走りに通り抜ける。

青年兵「たかだが本部へ行くのに…これじゃあ……」

少女「青年兵様ーっ、頑張ってぇ!」

青年兵は、ははは……はぁ」
225 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:26:44.08 ID:7NuJEfl4o
〜国軍本部〜

司令官「……ん、今議会の報告書」

副司令官「目は…通しました」

司令官「それで、再編はどうするつもり?」

副司令官「……」

司令官「君に一任するよ。編成統括としての意見を……」

副司令官「出来ませぬ」

司令官「……なに?」

副司令官「幾らなんでも、勝手に再編などと…不可能です」

司令官「……」

副司令官「我らは五ヵ年計画に基づいて、適材適所にて動いておるのですっ」

司令官「そうだよ。だからこそ…」

副司令官「本国へ…ですか?代わりに出せる人材がおりませぬ」

司令官「……」

副司令官「特に各部署の士官は異動不可。これは司令も存じておられるところ」
226 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:28:20.84 ID:7NuJEfl4o
司令官「じゃあさ、当方司令部だけ何とかしようよ」

副司令官「ですから、それが難しいと……」

司令官「…ならばどうする?」

副司令官「……どうしようも…ありませぬ…っ」

司令官「どうしようもない…だと?」

副司令官「……現状は」

司令官「…どの程度なら出来る?」

副司令官「一年はかかります」

司令官「それは無理な話だねぇ」

副司令官「ですから、不可能だと申しているのです」

司令官「……」

副司令官「本国の連中は急ぎすぎなのです!我らの勝手も知らずに……」

司令官「止む無し…という状況もあったとは思うけどねぇ」

副司令官「事情は事情やもしれませぬが…そう勝手に動かれては……」

司令官「……」
227 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:29:24.98 ID:7NuJEfl4o
コンコンコン…カチャッ

秘書官「青年兵殿、お見えになられました」

司令官「…ん」

カツカツカツ

青年兵「失礼致します」

司令官「ご苦労さん。議会…お疲れ様」

青年兵「ありがとうございます。此度はどのような要件で……」

司令官「副司令、彼にも話してあげてよ」

青年兵「…?」

副司令官「君達、本国の人間が議会を起こす事は至極当然」

青年兵「…ええ」

副司令官「しかし迅速に再編を進めろと言うのは無理な話。いや、筋違いだ」

青年兵「え……っ!?」

副司令官「人事統轄としては本国の要望に応えられぬ、という事だ」

青年兵「なれば、東方司令部の編成のみで……」
228 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:30:09.49 ID:7NuJEfl4o
副司令官「それも現状は困難。適任者が少なすぎる」

青年兵「お待ち下さい!それでは当初の計画とは……」

副司令官「君達の計画はそうかもしれぬが、そんなすぐに動けるわけがない」

青年兵「……っ」

副司令官「せめて一年、いや……半年ほど期間を設けたい」

司令官「半年で出来るのか?」

副司令官「確率は1〜2割とお考え下さい」

司令官「……だってさ」

青年兵「……私は…約束したのですっ!」

司令官「……」

青年兵「東方や……各司令部の皆と……」

副司令官「気持ちは分かるが、不可能に近い要望だ」

青年兵「……ならば…どうしろと?」

司令官「どうしようもないねぇ」

副司令官「とにかく編制は行う。今しばらく時間をくれ」
229 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 13:32:25.17 ID:7NuJEfl4o
青年兵「……」

副司令官「本部での準備も急がせる。それで良かろう…?」

青年兵「……」

司令官「編制が出来ないとなると…困ったものだね」

青年兵「……」

司令官「どうする?」

青年兵「……本国へ……戻ります」

司令官「すまないね」

青年兵「失礼致します……」

トボトボトボ…パタン

副司令官「気の毒ですが……」

司令官「ちょっと…急ぎすぎたのかな」

副司令官「勇み足ですよ。結局現場の分からぬ人間の為す事です」

司令官「……まぁ、そうかもね」

副司令官「……」
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/19(水) 13:34:09.82 ID:7NuJEfl4o
書き溜め終了ー。一旦失礼します!ノシ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 13:43:09.09 ID:KmrSoYavo
おつかれさま!
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/19(水) 13:51:43.90 ID:3HT67wyLo
こんな時間に更新されてるとは
>>1乙
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 17:13:44.17 ID:5VeB2HTAO
>>1おつ
234 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:21:11.73 ID:7NuJEfl4o
〜王宮〜

右文官「今……なんと申した…?」

右秘書官「……本当…なのか?」

青年兵「……確かにそう…仰られました」

右文官「馬鹿なっ!!それでは再編はないと申すのか!?」

右秘書官「しかし……何故また急に……」

青年兵「我らが浅はかだったのでしょうか…?」

右文官「そんな事はない。事前に報告しておる」

右秘書官「我らとてそこまで馬鹿ではない。抜かりはなかったはずだが…」

青年兵「……しかし」

右文官「……っ!!」

右秘書官「ま…さかっ!?いや…そのような事は……」

青年兵「……僕も真っ先に思いましたが、考えられません」

右文官「しかしだな、左翼の仕業以外には考えられぬ」

右秘書官「ええ…」
235 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:22:02.06 ID:7NuJEfl4o
青年兵「しっ、しかし……」

右秘書官「もしそうならば、内通者だと言う事になる」

右文官「司令か副司令か…。はたまた…両方か…」

青年兵「そのようなはずがありませんっ!」

右秘書官「私もそう思うが…しかし腑に落ちぬ……」

右文官「右大臣様のおらぬ時にこのような……」

青年兵「右大臣様は…?」

右秘書官「知人の慶事でな、本国を離れている」

青年兵「……っ」

右文官「どうする…?」

右秘書官「よりにもよって新聞に載った直後ですからな…」

右文官「……待て」

青年兵「……?」

右文官「新聞……っ!」

右秘書官「編制の事ばかり伺っていた……っ!!」
236 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:22:37.62 ID:7NuJEfl4o
青年兵「……まさか、それも全て左翼の仕業と!?」

右秘書官「どうも出来すぎていると思わんか…?」

右文官「うむ…都合が良すぎる。話が出来すぎだ」

青年兵「しかし司令や副司令が内通者だと言うのですか…!?」

右秘書官「国軍の上層部に内通者が居てもおかしくはない」

右文官「左翼との繋がり、いや…左大臣との繋がりは分からないがな…」

青年兵「……信じたくは…ありません…っ」

右秘書官「私とてにわかには信じられぬ。しかし疑いは持った方が良い」

右文官「右秘書官の申す通りよ。警戒を解いては隙を突かれかねん」

青年兵「……」

右文官「ともかく、右大臣様と殿下らの帰国を待とう。話はそれからだ」

右秘書官「私はもう一度本部を訪ねてみよう」

青年兵「私も…お供します」

右秘書官「青年兵、君は休んでいたまえ」

青年兵「いえっ!そうはいきません。是非…共に……!」
237 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:23:14.88 ID:7NuJEfl4o
〜国軍本部、副司令室〜

副司令官「先程も申した通りだ」

青年兵「しかしですね……っ」

右秘書官「事前にお伝えしたはずですが…?」

副司令官「聞いておる。しかし、実行の時期は伺っておらぬ」

右秘書官「縮める事は困難で?」

副司令官「人がいないのだ、人が」

青年兵「……」

副司令官「こちらとて動けるならばすぐにも動きたいところ」

右秘書官「東方司令部の守備は今ほど強固でなくとも良いのです」

副司令官「それは心得ている。逆も問題なのだ」

右秘書官「逆…ですか?」

副司令官「本国へ引き揚げるにしてもあぶれてしまうのだ」

右秘書官「各司令部へは難しいのですか?」

副司令官「屯田を行うのであろう?」
238 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:24:00.49 ID:7NuJEfl4o
青年兵「…ええ、西方司令部もそのつもりのようでした」

副司令官「ただでさえ人が増えるのだ。送り込める人数などたかがしれている」

右秘書官「大いに越した事はありません」

副司令官「いずれはな。今は重荷になる事は明白」

青年兵「……」

副司令官「各司令部の軍事費を圧迫する事は…な」

右秘書官「……っ」

副司令官「殿下や陛下の勅令があれば強行は出来る」

右秘書官「……」

副司令官「しかし、後に支障をきたすのは火を見るより明らかだぞ?」

右秘書官「世論よりも…兵に泣いて貰うというわけですか……」

副司令官「どちらが左翼に対し、付けこまれないかを考えた結果だ」

青年兵「……」

右秘書官「…分かりました。ひとまずは引き下がります」

副司令官「……すまぬが、そうしてくれ」
239 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:25:24.01 ID:7NuJEfl4o


青年兵「やはり副司令が内通者とは思えません」

右秘書官「確かに彼の言動におかしなところは見られなかったな」

青年兵「……はい」

右秘書官「しかし、そうなると残るは……」

青年兵「…司令とて内通者とは考えられません」

右秘書官「まぁな。軍のトップが内通者であるなどとは……」

カツカツカツ

司令官「私がどうかしたかな?」

青年兵「……し、司令っ!!」

司令官「やぁ、また来たのか」

右秘書官「編制の件で…お話が……」

司令官「私が話す事はないよ。全て副司令へ任せてある」

青年兵「……」

司令官「…以上で良いかな?これから外出なのでね」
240 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:28:03.83 ID:7NuJEfl4o
カツカツカツカツ…

青年兵「……」

右秘書官「……謎な…お人よ」

コツコツコツ…

副司令官「全くだ…。その素顔を知る者は居ないと言われている」

青年兵「副司令……」

右秘書官「司令はどちらへ…?」

福司令官「さぁな。誰も知らぬ事だ」

右秘書官「副司令官様でも存じ上げないのですか?」

副司令官「うむ。私はおろか秘書官すらも分からぬ」

青年兵「言われて見れば…頻繁に外出されておりますね」

副司令官「ここ最近も数日ペースで外出しているようだしな…」

右秘書官「問題はないのですか?」

副司令官「するべき事はなさっておるし、割り振るべき仕事は統括に任せてあるしな」

右秘書官「副司令官様が人事、というわけですね」
241 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:29:41.47 ID:7NuJEfl4o
副司令官「うむ」

右秘書官「議会の件、時期は伺っておられなかったので?」

副司令官「編制の有無は聞いたが、具体的な時期は何もなかった」

青年兵「……」

右秘書官「……そうですか」

副司令官「では、失礼する」

青年兵「我らもこれにて失礼致します」

カツカツカツカツ…

青年兵「……」

右秘書官「……ふーむ」

青年兵「やはり二人とも…内通者とは思えません」

右秘書官「確かにな…。まぁ調査は追々進めるとして、ひとまず王宮へ戻ろう」

青年兵「はい」

右秘書官「近いうちに殿下も右大臣様も戻られる」

青年兵「……はい」
242 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:31:11.08 ID:7NuJEfl4o
〜次の日〜

青年兵「おはようございます」

右秘書官「おはよう。さて、今日は一先ず対策を――」

バンッ!!

右文官「……っ」

右秘書官「ど、どうされましたか?」

右文官「……外を!」

青年兵「!?」

タッタッタ…バッ

記者「青年兵さん!編制が出来なくなったとはどういう事ですか!?」

右文官「各、新聞社が嗅ぎ付けたようだ…っ。王宮から出られんぞ…」

記者「編制出来ないとなると、議会の意味がなくなってしまうのでは…!?」

右秘書官「おのれ……っ」

記者「青年兵さん!一言っ、一言お願い致します!」

青年兵「……帰って頂くよう、言ってきます」
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 18:31:54.77 ID:DHnagbAto
あれ?ここっていつから 青年兵「行けっ!ワイバーン!!」 になったの?
244 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:32:08.43 ID:7NuJEfl4o
右秘書官「いや、それは逆効果だ。ここは大人しくしていよう」

青年兵「しかし……」

右文官「記者には我らが対応する。青年兵は王宮内から出るでないぞ」

青年兵「……っ」

右秘書官「早速、参りましょう」

右文官「うむ」

カツカツカツカツ…パタン

青年兵「……っ!」

ダンッ!!

青年兵「……何故…っ、なんだ…!」

右秘書官と右文官による各新聞社への会見により、

早朝から色めき立つ王宮は一応の収拾を見せた。

しかし、午後になり事態は再び急転する事と相成る。

伝令「青年兵殿、国軍本部より辞令をお持ち致しました」

青年兵「……辞令…ですか?」
245 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:33:07.50 ID:7NuJEfl4o
カサッ……パラッ

青年兵「――!!」

右文官「…どうした!?」

青年兵「……どうして…っ」

右秘書官「拝見しても良いかな?」

青年兵「…………」

がっくりとうな垂れる青年兵の手より、右秘書官が辞令を受け取る。

右秘書官「……何っ!?」

右文官「……」

右秘書官「…出向を終え……本部へ帰参だと!?」

右文官「何だと!?このタイミングでか!?」

右秘書官「…此度の事態を収束させる為の配慮のようですが」

右文官「しかも二階級特進……。少佐か……」

右秘書官「まずいな……」

右文官「うむ。これでは議会を餌に昇進したような印象となってしまうぞ」
246 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:34:12.82 ID:7NuJEfl4o
右秘書官「これはやはり、どう見ても左翼が動いているとしか思えんな」

右文官「……うむ。綺麗に事が進みすぎておる」

青年兵「……」

右秘書官「ようやく分かりましたよ。議会で余裕を見せていた彼らの本心が」

右文官「確定ではないがな。こういう事だったとは……」

青年兵「……」

右秘書官「青年兵。君が気に病む必要はない」

右文官「そうだ。青年兵に責任があるわけではないのだからな」

青年兵「…………」

右秘書官「…辞令は明日か。全く…手際の良い事よ」

右文官「こちらの事は我らに任せておけ」

青年兵「……はい」

右文官「殿下や右大臣が戻り次第、反撃する」

右秘書官「君はしばらくこの件から離れて、任務を全うすると良い」

青年兵「……分かりました」
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 18:37:01.47 ID:1kUL5XYN0
そこで青年兵が困りきったところで、主人公の出番ですよ
248 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/19(水) 18:43:09.21 ID:7NuJEfl4o
左大臣「……フッハハァ、いやはや助かったわァ」

??「……私がいなくばどうなっていた事か」

左大臣「感謝しておるわァ。全ては志の為よ」

??「……そうですな」

左大臣「さて、右翼の連中…次はどう出るか、見物だなァ」

??「……」

左大臣「ではァ、また連絡する」

??「……」

議会は右翼の勝利に終わった。しかしそれは本当に、ただの『勝利』でしかなかった。

右翼陣営が殿下とエリート、そして右大臣を待つ中、

青年兵は一人、出向先である王宮を後にするのであった。

闇に蠢く内通者がいよいよ明るみに出始めたが、本当の戦いはまだ先の事……。


〜第三十二部、完〜
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/19(水) 18:48:07.16 ID:7NuJEfl4o
やべ…今回最初にタイトル入れ忘れてた……
とりあえず三十二部終了です!
やっとメンドクサイお話も終わり、次からは…どうしよう
しばらく戦闘がなさそうな予感……

ご支援ありがとうございました!それでは失礼致します!ノシ

>>243>>247
ようやく終了です!次回からは影の薄い主人公が再び登場!?
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 19:17:49.46 ID:br74S0QAO
主人公って……… 誰だっけ?
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 19:23:51.74 ID:J7b5a/TDP
>>250
召喚子
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 19:30:31.68 ID:/c9IND9DO
ムスカ
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 21:03:10.76 ID:/qC6P7Geo
この手際のよさ・・・孔明の罠に違いない
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 00:17:28.96 ID:oZ2w6wOAO
左翼の仕業?とか言ってるけどこれって再編成がすぐにはできないって現場の判断を無視して(調べずに?)、勝手に公約した青年兵側が悪いよな

あと地方の兵は再編成は良い事だけど、本国勤めの兵にとっては、地方に飛ばされるかもしれないから反対するんじゃね?
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 01:35:07.24 ID:priIcLcSO
召喚士同様、青年兵もまた己の未熟さを痛烈に感じて
倒れてしまうか、はたまた立ち上がるか……
どちらの結果になるにしろ
俺はドッペル戦士やウィッチ等の今が気になる
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 03:28:55.53 ID:eOd9/hSTo
俺は玄武娘や朱雀嬢等の今が気になる
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/20(木) 04:23:29.41 ID:qVr2PO7DO
次は王子列伝だな。
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/20(木) 05:55:34.60 ID:GdnWUU4DO
南方司令が怪しすぎる
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 12:27:50.24 ID:VhqKDI0IO
>>258
いやいや一番策と無縁の人だろ

僕は三日月島の地下室が怪しいと思うよ

260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/20(木) 13:17:20.03 ID:8NRTD5h3o
オレは召喚士と魔道士ちゃんの仲が怪しいと思う
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 13:50:36.45 ID:wuOReYuDO
>>258
そういやなんか様子がおかしかった時があったな
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 13:59:17.82 ID:TaOrDHdMo
大軍師じゃね?

っていうかこれ以降予想レス禁止
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 14:04:30.47 ID:IGKvEBgro
わたしだ
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 14:06:47.26 ID:ZSHp+N6/o
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265 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:49:05.79 ID:ODeIxxcMo
本国にて青年兵の一件が勃発する中、同刻、

召喚士ら四人と右大臣は本国へ戻る為、南方司令部へと辿り着いていた。

〜南方司令部〜

魔道士「到着〜!」

戦士「あーケツいてぇ……」

召喚士「ここのところ、ずっと馬か馬車だったもんね」

右大臣「ここからは船だ。安心したまえ」

盗賊「……何だか…騒がしいな」

召喚士「ほんとだ。司令部も忙しそうですね」

右大臣「司令部の中で待っていよう。手配を終えたら知らせてくれ」

従者「畏まりました」

ザッザッザッザ…

魔道士「…あ、南方副司令さんっ!」

南方副司令「!?……朱雀組に…右大臣様っ!」

召喚士「何だか、忙しそうですね」
266 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:49:33.50 ID:ODeIxxcMo
南方副司令「……っ」

右大臣「何かあったのか……?」

南方参謀「大変な事になってるのよ〜」

召喚士「南方参謀さん…。何があったんです?」

南方参謀「本国でちょっとして事件が起きてね……」

盗賊「…事件?」

南方参謀「ええ、議会の件で…」

戦士「議会!?だって議会は勝利に終わったんだろ…?」

魔道士「そう聞きましたよっ!ねぇ、右大臣様…?」

右大臣「うむ。そう報告を受けたが…。何か進展があったのか?」

南方副司令「実は…ですね……」

盗賊「……」

南方参謀「国軍再編が難しくなってしまったのよ…」

召喚士「え……!?」

南方参謀「それに……」
267 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:50:06.79 ID:ODeIxxcMo

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第三十三部〜
268 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:50:33.23 ID:ODeIxxcMo
戦士「はあぁ!?」

召喚士「青年兵くんが……ですか!?」

南方副司令「あぁ。そうらしい」

右大臣「馬鹿なっ!それでは事実上、更迭のようなものではないかっ!」

盗賊「……っ」

右大臣「何故…そのような事になってしまったのだ…っ」

南方参謀「かなり強引に進められたみたいですよ」

右大臣「……左翼か」

南方副司令「現状、何とも言えません……」

南方参謀「ただ、再編にしろ青年兵クンにしろ…人事だから…」

南方副司令「総司令、副司令のどちらかがクロではないかという噂だ」

戦士「もしくは…どっちもってか」

召喚士「……」

右大臣「だが、あの二人が左翼に寝返ったとでも言うのか…っ!?」

南方参謀「考えにくいけど……」
269 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:51:10.96 ID:ODeIxxcMo
右大臣「大体、何故今となって再編が無理だというのだ…っ」

南方副司令「短期間での編制は不可能だと…」

右大臣「不可能!?そんなはずはない…っ。此方からは依頼したのだ」

召喚士「依頼…ですか?」

右大臣「…うむ。議会後すぐに再編出来る様、動いてくれとな」

南方参謀「……どちらにです?」

右大臣「……総司令だ」

戦士「つー事は副司令がクロって事か」

南方副司令「…いや、違うな」

魔道士「え…っ?」

南方副司令「もしそうなら司令が止めに入らねばおかしな話だ」

召喚士「確かにそうですね……」

南方参謀「人事統括といえど、好き勝手出来るわけではないもの…」

戦士「つー事は結局、二人ともって事か?」

右大臣「もしくは…総司令が内通者という事になる」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 17:51:12.67 ID:Dy1DnaA9o
召喚士、幼稚園に入園
271 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:51:37.29 ID:ODeIxxcMo
魔道士「そ、そうなんですか…っ!?」

召喚士「簡単な話です。総司令が情報を制限づればいいだけですから…」

魔道士「あ…っ」

戦士「つまり、再編は伝えたが時期は伝えなかったと?」

盗賊「…だが、両者共…議会には居たではないか」

右大臣「時期は明言しておらぬ…。それは我らの落ち度だ」

南方副司令「まぁ本議会で不明瞭な時期を述べるわけにはいきませんからな」

南方参謀「えぇ、仕方のない事ではあるわね…」

右大臣「だが、本議会での手応えを盾に、演説では強く出てしまったからな」

南方副司令「それなのです。ここも今、その対応に追われていまして…」

右大臣「相当荒れておるか?」

南方参謀「…いえ。そういう意味では静かなものよ」

右大臣「…?」

南方副司令「噂で困惑している士官をなだめているところです」

南方参謀「確かな情報がないので、こちらも収拾は難しいですけれど」
272 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:52:13.34 ID:ODeIxxcMo
右大臣「意外と右翼に対する批判はない、と言う事か…?」

南方副司令「むしろ左翼陰謀説が噂で広まり……血気にかられてますよ…」

南方参謀「まぁ、南方司令部だからなのかもしれないけれどね」

ザッザッザ

南方魔道長「…何にせよ、各司令部も下手に動かぬ方がいい」

召喚士「南方魔道長さん…」

南方魔道長「士官への説明は済ませたぜ」

南方副司令「どうだ?少しは落ち着いたか…?」

南方魔道長「まぁな。本部からの情報がないんじゃあ…互いにどうしようもない」

南方副司令「それもそうだな」

南方参謀「兵卒達の動きはどうなの?」

南方魔道長「怒りの矛先は全て左翼だ。良いんだか悪いんだかな」

右大臣「……そうか」

南方参謀「今議会で両翼の対立が公に露となったからね……」

召喚士「……」
273 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:52:41.19 ID:ODeIxxcMo


タッタッタッタッタ

従者「船のご準備、整いました」

右大臣「…ご苦労。それでは参ろうか」

魔道士「はい」

南方参謀「南の事は任せて下さい」

右大臣「頼む。此方も逐一、連絡する」

南方副司令「それでは、お気を付けて!」

南方魔道長「……お前らもな」

戦士「おう、そんじゃまた!」

召喚士「お世話になりました…!」

盗賊「……お世話になりました」

テクテクテク…スタッ

南方兵「いいぞー!錨を上げろーっ!!」

船は間もなく南方司令部を離れ、本国へと出航した。
274 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:53:23.69 ID:ODeIxxcMo
〜同刻、北の村〜

ザッザッザッザ…

大軍師「……おや、珍しいですね」

司令官「…ん、そうかい?」

大軍師「てっきり、天才さんが来るのかと……」

司令官「…まぁ、たまにはね」

大軍師「しかし、今回は大騒ぎになっておりますね」

司令官「……まぁね」

大軍師「しかし、随分と強引にいきましたね。右翼に勘付かれますぞ?」

司令官「…時間がないからねぇ」

大軍師「……それで、私に何をしろと?」

司令官「分かっているだろう?」

大軍師「面倒事ばかりですねぇ…まぁ、嫌いではありませんけれど」

司令官「……お前ならそう言うと思っていたよ。それじゃ、頼んだよ」

大軍師「…ふっふ。やるだけの事はやってみます」
275 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:53:57.40 ID:ODeIxxcMo
〜本国〜

右大臣「皆、ご苦労であった」

召喚士「こちらこそ。もう行かれるのですか?」

右大臣「事が事だけにな。このまま王宮へ向かわせて貰う」

魔道士「色々とありがとうございましたっ」

右大臣「うむ…ではまた。くれぐれも気を付けてな」

テクテクテク…

盗賊「……何だか…慌しいな」

戦士「ほんと、結婚式の余韻に浸るムードも吹っ飛んじまった」

魔道士「ええ…っ」

戦士「さて、どうする?青年兵にでも会いに行くか?」

召喚士「いや、今はやめておこう。迷惑がかかるだろうし…」

盗賊「…だな」

召喚士「とりあえず宿をとって、休むとしましょう」

魔道士「はい、そうしましょう!」
276 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:54:34.12 ID:ODeIxxcMo
〜宿〜

戦士「……そろそろ手入れせんとなぁ。最近使ってねぇし」

召喚士「……」

戦士「……どした?」

雷切の刀身を目線の高さに合わせ、反りを確認する戦士。

その先に移る無言の召喚士へ、問いかける。

召喚士「…いや、今回の件でね」

戦士「別にお前があれこれ考える必要はないんじゃねぇか?」

召喚士「それはそうだけど……」

戦士「しかし…司令と副司令が怪しいってんじゃ、困ったモンだよなぁ」

召喚士「でも、本当にあの二人が内通してりするかな…?」

戦士「…さぁな。俺もちらっとしか会った事ないしなぁ」

召喚士「うん……」

戦士「…まぁよ、軍の事は軍の連中に任せておこうぜ!それよりメシだ、メシ!」

召喚士「…うん、そうしよっか」
277 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:55:05.82 ID:ODeIxxcMo
〜王宮〜

右秘書官「右大臣様……っ」

右大臣「話は南方司令部にて聞いた。何が起きたのだ…!?」

右文官「我らにも分かりませぬ。気付いた時には既に……」

右大臣「対策も打てず……か」

右秘書官「水面下で動いていたとしか思えません」

右大臣「……それで、殿下とエリートは?」

右秘書官「議会の閉会は存じているはずです。今日中には帰国するかと」

右大臣「左翼の動きは…?」

右文官「調査中ですが、尻尾は見せません」

右大臣「…引き続き水面下で調査せよ。何としても証拠を掴むのだ」

右文官「はい」

右秘書官「あとは…お二人の帰国をまってからですね」

右大臣「青年兵はどうした……?」

右秘書官「既に本部へ戻りました。失意の内に…辛いでしょうね……」
278 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:55:32.45 ID:ODeIxxcMo
〜国軍本部〜

副司令官「急な話ですまないな」

青年兵「いえ」

副司令官「此度の件、収拾を付けるには君を戻す以外なかったものでな」

青年兵「存じております」

副司令官「しかしだ、これまでの働きを評価し…昇進とする」

青年兵「……」

副司令官「おめでとう……とは言えんかもしれんが」

青年兵「それについてお話が…」

副司令官「…まさか、辞めるなどとは申さぬであろうな?」

青年兵「それは全ての責任から逃げる事となります」

副司令官「では、何だ?」

青年兵「私を本国から異動しては頂けませんでしょうか」

副司令「異動…!?一体どこへだ……?」

青年兵「……東方司令部へです」
279 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 17:55:59.99 ID:ODeIxxcMo
〜宿、レストラン〜

戦士「…はーっ。食った食ったぁ」

魔道士「ご馳走様でしたっ」

召喚士「ひとまず本国へ戻ってきましたけど…どうしましょうか?」

盗賊「……モグモグ」

戦士「そうだなぁ。ノンビリするか?」

召喚士「そうだね。そろそろお金も稼がないといけないし…」

盗賊「……やばいのか?」

召喚士「いえ、そんな事はないですけど…これから先、物入りになりそうなので」

魔道士「そうですよね…。防具とかも強化しないといけませんし……」

召喚士「ワークショップへ行ってみましょうか」

戦士「んじゃそうするか。いつ行く?」

魔道士「思い立ったら吉日ですよっ!すぐに行きましょう!」

戦士「うぇ…っ、今からかよ……」

魔道士「今からです!さぁ、行きましょうーっ!」
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 17:59:42.85 ID:LoY05SEDO
>>1乙!
久々にリアルタイムだぜい
281 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 18:00:23.16 ID:ODeIxxcMo
〜ワークショップ〜

店員「いらっしゃいませーっ」

召喚士「すみません残高をみたいのですが……」

戦士「ついでに依頼のリストも頼む」

魔道士「あと、ランキングも見せて下さい!」

店員「少々お待ち下さいませー」

テクテク…ゴソゴソ…テクテクテク…

店員「お待たせ致しました」

盗賊「…思ったより少ないな」

召喚士「最近、贅沢気味でしたからね……」

戦士「…しっかし、依頼も随分と減ったなぁ」

魔道士「これじゃあワーカーも廃業しかねないですねぇ」

戦士「まぁなー。今は多すぎるくらいだから丁度いいんじゃねぇの?」

店員「召喚士様、お手紙を預かっております」

召喚士「手紙…ですか?」
282 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 18:01:49.65 ID:ODeIxxcMo
戦士「誰からだ?」

召喚士「誰だろ……」

カサッ

召喚士「――っ!!」

戦士「ど、どした…!?」

盗賊「…何か…あったのか!?」

召喚士「……サモナーさんからだ!!」

魔道士「サモナーさん!?すると、召喚関連の事ですかっ!?」

召喚士「そうみたいです。とにかく暇が出来たら来てくれと……」

戦士「何か動きがあったのかもな」

盗賊「……どうする?」

召喚士「…そうですね、近いうちにでも」

魔道士「思い立ったら吉日ですよっ!すぐに行きましょう!」

召喚士「えぇ!?い、今からですか…っ?」

魔道士「今からです!さぁ、行きましょうーっ!」
283 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/20(木) 18:04:22.84 ID:ODeIxxcMo


魔道士「……ごめんなさい」

戦士「「そりゃそうだろ。今から西国行きの船なんてあるわけねぇ」

魔道士「…ですよね」

盗賊「…まぁ、いいんじゃないか?」

召喚士「ええ。食後の散歩になりましたよ」

四人は港から見える夜の海を、じっと見つめる。

戦士「…まぁ、ちょいと寒いけどな」

魔道士「……うぅ」

召喚士「き、気にしないで下さい!ほんと……」

魔道士「はい……」

盗賊「……。さ、戻って風呂に入ろうかな」

魔道士「!?……は、入りましょうっ!」

戦士「……ったく。もう元気になりやがった」

召喚士「あはははっ!」
284 :いつも最後にage忘れる→ :2011/01/20(木) 18:15:15.62 ID:ODeIxxcMo
今日は早く帰ってやるううぅぅ!
ご支援ありがとうございました!それでは!ノシ

>>270
〜朱雀組の場合〜

召喚士「センセーっ、同門くんがイジめるー!」
同門「イジめてねーし!チクってんじゃねぇ!」
朱雀嬢「やめてですわ。私の為に争わないでですわ〜」
召喚士「…うっ、センセイーお酒臭い……!」
師匠「あぁ?何泣いてんおお前?…ガハハハ!」

こうですか!?

>>280
ありがとうございますううぅぅ!短くてごめんなさい!
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 18:50:18.82 ID:b5t7bTdIO
今日も乙乙なんだな!
最近ROMってたけど、
>>1の筆力と筆の早さには驚嘆するばかり
愛してるぜ〜
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 19:00:11.11 ID:1whdKAoB0
俺は、青年子が怪しいな。
戦士のドッペルゲンガーが伏線で、実は青年兵の変装はバレバレ。
そして、青年兵のドッペルゲンガー(性別は♀)が青年兵に扮して内部工作。
何より、有る意味百戦錬磨の東方司令が気づかないのがおかしい。
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 19:08:33.63 ID:1whdKAoB0
なっ!?更新ボタンを押したら、消去した筈の昨日の没ネタが勝手に書き込まれた!
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 20:46:39.51 ID:lo43d7xDO
政治が云々のパートが終わって嬉しすぎる
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 22:10:28.03 ID:KBN6A9spo
しかしなんだかんだで依頼を受ける暇も無いな
少し寂しい
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 22:27:22.01 ID:rG7BnUQKo
そのうち召喚士と青年兵の関係が青島と室井さんみたいになっていきそうな気がする
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 22:40:43.55 ID:T1kKxk+2o
いや、マスオとノリスケじゃないかな
勿論、戦士はアナゴさんで
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 23:09:30.75 ID:ZSHp+N6/o
                       ヘ(^o^)ヘ いいぜ
                         |∧  
                     /  /
                 (^o^)/ >>290-291が何でも
                /(  )    思い通りに出来るってなら
       (^o^) 三  / / >
 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三 
 ( /
 / く  まずはそのふざけた
       幻想をぶち[ピーーー]
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 23:27:35.78 ID:a8QQzqRXo
人間側の内部ドロドロすぎて笑えない
大軍師だけは信じてたのに・・・
294 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 00:01:22.16 ID:TIuYAOSvo
〜次の日〜

召喚士「おはようございます」

盗賊「…おはよう」

戦士「そんじゃ行くとしますか」

魔道士「いざっ、西方へ!」

サモナーからの手紙を受け取り、召喚士達一路、西方へと向かった。

それとほぼ入れ違いにて、総司令官と大軍師の二人が、本国へと到着する。

〜国軍本部、総司令室〜

司令官「……つまり、ここではなく東方司令部へ異動したいと?」

青年兵「…はい」

大軍師「何も君が責を背負う必要はないのですよ?」

青年兵「分かっております。しかし、自分なりのけじめをつけたいのです」

司令官「…だってさ」

副司令官「私はまぁ……本人が望むのであれば異論はありませんが……」

司令官「……そう」
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 00:01:25.32 ID:svlQtgnSO
もう何も考えずに>>1の手の平で転がされる事を楽しもうぜ^^
296 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 00:01:53.94 ID:TIuYAOSvo
〜海上〜

戦士「うぅ…っ、寒…っびぃ」

魔道士「防寒しないからですよっ」

戦士「お前…よく平気だな……」

盗賊「…慣れてるからな」

戦士「…あ、そうか。肉が――」

ズンッ!!

戦士「ぐ…ぉ、み…鳩尾……っ」

盗賊「…たわけが」

召喚士「すっごい変な音したっ!?」

魔道士「あっ!あれって三日月島じゃないですか!?」

召喚士「本当ですね…!何か作ってるみたいだ…」

盗賊「…港…かな?」

魔道士「本国と西国の皆さんが頑張ってるんですね〜。また今度、行きましょうね!」

召喚士「ええっ、そうしましょう!」
297 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 00:03:18.40 ID:TIuYAOSvo
〜本国、王宮〜

右文官「間もなく到着なされるぞ。準備は良いかっ?」

本国兵「殿下、ご到着ーっ!!」

パッカパッカパッカパッカ…ドドォ

右秘書官「……」

カチャッ…テクテクテク

皇太子「長きの不在、苦労をかけた」

右文官「殿下、お帰りなさいませ」

右秘書官「東方は満喫なさいましたかな……?」

皇太子「あぁ。十二分に視察させて貰ったよ」

エリート「それよりも、ターミナルで良からぬ事を耳にしましたが……」

右秘書官「……中で右大臣様がお待ちです。話はそちらで」

皇太子「うむ。参ろう」

エリート「……青年兵……っ」

皇太子とエリートは長旅の疲れを癒す間もなく、右大臣の待つ会議室へと向かった。
298 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 00:04:05.59 ID:TIuYAOSvo
〜西方、西の港〜

魔道士「到着です〜!」

戦士「冬だけあって、流石の西方も少し寒いな……」

召喚士「もう少し着込んだ方がいいんじゃない?」

戦士「……そうすっか」

盗賊「…だいぶ道が出来上がっているな」

召喚士「本当ですね。交易ルートも順調に伸びているようですね」

魔道士「それで、どうします?真っ直ぐサモナーさんの所へ向かいますか?」

召喚士「…ですね。西国の王宮へ行ったらどうせ……」

戦士「手厚すぎる歓迎が待ってるぜ…」

盗賊「……うん」

魔道士「そ、そうですよね。このまま真っ直ぐ向かいましょう」

召喚士「みんなが寄りたければ別だけど、やっぱり内容が気になって……」

戦士「俺は召喚士の好きにしていいよ思うぜ。任せるよ」

盗賊「……同意」
299 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 00:07:14.44 ID:TIuYAOSvo
〜国軍本部〜

青年兵「では、失礼致します」

カツカツカツカツ…

副司令官「……それでは私も、東方司令部への手続きをして参ります」

司令官「……ん」

カツカツカツ…パタン

大軍師「…宜しかったので?」

司令官んー?東方司令部かい?」

大軍師「お手並み拝見といったところですか…」

司令官「まぁね。彼に任せてみようじゃないか」

大軍師「その結果次第では……」

司令官「…ん、いよいよだね」

大軍師「安心しました。それでは私も策を打ってくると致しましょう」

司令官「頼んだよ」

大軍師「……ふっふ、お任せ下され」
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/21(金) 00:29:17.93 ID:lA2HakGAO
今日の投下分終わり?
乙トリス。
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 04:17:57.29 ID:EHsYl4DAO
毎度>>1乙んつん
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 08:11:31.23 ID:9zSsGSiIO

大軍師と司令官はきっといいヤツ
いいヤツなんだー
、、、どんだけ裏設定多いのか?>>1の才能に嫉妬//
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 08:23:48.39 ID:tc+bZh/AO
>>1

大軍師だって右翼の応援を何度かやってたし、左翼のスパイってのも違和感あるな

せっかくだから、俺は1乙の手のひらで転がされ続けるぜ!
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 10:17:31.97 ID:qNHUs775o
右翼とか左翼とかって視点ではなく、もっと広い視点で考えてみろよ
なぜそいつがそう動くかとかが一気にわかるだろ?

わかったら以下予想禁止
予想レスする奴はゆとり以下の頭が足らないやつ
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/21(金) 10:44:46.02 ID:NIwWFrLp0
1乙
人間どうしはいろいろと大変だな
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 15:19:38.52 ID:/35Csjtv0
俺の予想だともうしばらく主人公が空気
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/21(金) 16:53:03.90 ID:HNmSXHDOo
おれの予想だとあさっては俺の誕生日
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 16:55:47.88 ID:qNHUs775o
>>307
ちと早いけど、おめでとー!
ハンドルネームMSX ホンダさん
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/21(金) 17:57:30.74 ID:TGA9bHDQo
うおー今日もご支援ありがとうございますです!

>>302
裏設定とか全然考えてないですよ…ごめんなさい…

>>307
魔道士「お誕生日おめでとうございますっ!えへへ!!」

↓続き
310 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 17:58:14.02 ID:TGA9bHDQo
西国における国内の整備は予想を遥かに超えるスピードで進められていた。

これは西高原国、そして西海岸国を併呑し、領土を拡大した事によるもの。

詳しく言えば、その二国における結界石と鉱石発掘により、

商人へ以前より安価な金額での取引が可能となったからである。

これにより西国は、短期間において莫大な利益を得て、

交易ルートの整備や三日月島の設備建設、軍備に充当する事が出来たのである。

また、本国のように政治屋のしがらみがなく、国王自身が軍務に専念している為、

政務については文官が思うように行動出来ている事も一因であった。

〜西端の町〜

戦士「あっと言う間に着いたな……」

召喚士「道も広く綺麗になったから、馬車の行き交いもスムーズになったしね」

魔道士「でも、キャラバンの数とか減ってましたね」

盗賊「…ああ。取引も西国が拠点になったのだろうな」

戦士「そっちの方が楽でいいんじゃねぇの?」

召喚士「…んーまぁ、そうなのかな。商業の事はあんまりよく分からないけどね」
311 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 17:58:58.98 ID:TGA9bHDQo


西端の村から北へ一つ山を登ると、その中に一軒の家が建っている。

そこは何度訪れても幻想的な、自然の恵みに満ちた、まさに隠れ家である。

〜サモナーの家〜

盗賊「……到着」

魔道士「何度来ても、素敵なおうちですねぇ〜」

召喚士「えぇと…サモナーさんは……」

テクテク…ピタッ

召喚士「……いや、泉はやめておこう。玄関玄関……」

テクテクテク…コンコ…ガチャッ

召喚士「!!」

サモナー「うわ…っ!お、おぉ……召喚士くんかっ!」

召喚士「サモナーさん!お久し振りです!」

魔道士「お元気でしたかっ?」

サモナー「うん。君達も元気そうで何よりだね」
312 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 17:59:43.60 ID:TGA9bHDQo
戦士「おうっ!」

サモナー「さぁ、入ってくれ」

盗賊「…お邪魔します」

テクテクテク

サモナー「思ったより早かったね」

召喚士「ええ。色々あったんですが丁度いいタイミングで暇が…」

サモナー「そうだったのか。是非、話を伺いたいな」

魔道士「もちろんですっ!えぇと…何からお話すればいいのかな……」

サモナー「最後に会ったのは三日月島の件だったね」

召喚士「じゃあ、それからの経緯を簡単に……」

四人はサモナーへ今までの冒険の、顛末をありのまま伝えた。

聞き入るサモナーの表情は時として笑い、時として無言になり、まさに一喜一憂。

それはサモナーの想像を更に越えた、濃密な内容から来るものなのかもしれない。

サモナー「…………」

四人の声を胸で受け止めたサモナーは己を恥じるように下唇を噛み締めた。
313 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:00:39.20 ID:TGA9bHDQo


サモナー「……大変…だったね」

戦士「まぁ、それでもなんとか生きてるけどね…」

魔道士「改めて言葉にすると…ほんと凄かったですね」

盗賊「…ああ。あっと言う間の時間だった」

召喚士「俺達の事は一応、こんな感じです」

戦士「本題は…サモナーさん、今日は何の話だい?」

魔道士「もちろん召喚術についてですよねっ!?」

サモナー「召喚術に関する事なんだけど、ちょっとだけ違うかな」

召喚士「……?」

サモナー「一応、召喚術自体も進めてはいるんだけど…まだ不明な点が…」

召喚士「いえ、お構いなく…!」

戦士「んで、本題は?」

サモナー「あぁ、ごめん。実は…そろそろ召喚獣を増やしたくないかなって…」

魔道士「召喚獣ですかっ!?」
314 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:01:48.06 ID:TGA9bHDQo
盗賊「…おぉ」

サモナー「今の召喚獣でも火力は十分だと思うけどね」

召喚士「それは願ってもない話です!確かに思っていたところですよっ!」

サモナー「そうかい?良かった」

召喚士「確かに現状、不満はないですけど…いかんせんバリエーションが……」

戦士「そうか?」

召喚士「最近の戦いで結構、身に染みたよ…」

盗賊「……」

召喚士「例えばコカトリス。五行の外に当たる石化っていう特殊能力だよね?」

戦士「あぁ、だからこそどんな敵にも通用するんじゃないのか?」

召喚士「何もない状態で、直で戦えばね」

魔道士「何もない状態…と言いますと?」

サモナー「……天候か」

召喚士「その通りです。石化はブレスによるものだから、風邪が強いと…」

戦士「そっか…!直撃は難しいわな」
315 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:02:39.35 ID:TGA9bHDQo
サモナー「しかも飛行タイプだ。吹雪では使い物にならないだろうね」

召喚士「……ええ。東方と北で立て続けにありました」

盗賊「……ああ」

魔道士「なるほどですね…っ。敵との相性だけでなくそういう事も……」

サモナー「そうなんだ。だから似たような能力でもタイプの違う召喚獣を…」

盗賊「…持っていた方が…いい」

魔道士「そういう事ですねっ」

サモナー「整理しよう。召喚士くんの手持ちの召喚獣を改めて確認しよう」

召喚士「はい。まず…朱雀がコカトリス。基本精霊は抜きでいいですよね?」

サモナー「うん」

召喚士「次に青龍が……」

サモナー「……えっ!?」

召喚士「……?」

サモナー「朱雀って…コカトリスしかいないの!?」

召喚士「え、は…はい」
316 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:04:24.20 ID:TGA9bHDQo
サモナー「……そうだったのか」

戦士「朱雀先生のクセにな……」

召喚士「いや…っ、今まではコカトリスだけで十分だったんだよ…っ」

盗賊「……まぁ…確かに」

サモナー「ごめんごめん。それで、次は青龍だったね」

召喚士「はい。青龍がワイバーン」

サモナー「……終わり?」

召喚士「はい」

サモナー「……じ、じゃあ次は白虎」

召喚士「白虎は…ユニコーン、スフィンクスですね」

サモナー「最後に……玄武」

召喚士「えぇと、スキュラとシービショップです」

サモナー「……以上…ですか?」

召喚士「ええ、以上です」

サモナー「……」
317 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:05:35.85 ID:TGA9bHDQo


召喚士「……すみません」

サモナー「…いや、別に謝る必要はないよ」

召喚士「やっぱり…少ないですかね…?」

サモナー「…まぁ、召喚士くんの場合…特殊だからねぇ」

戦士「四属性って事?」

サモナー「うん。通常はどれかの属性にならうから、比較的習得も楽なんだ」

魔道士「そうなんですか?」

サモナー「…例えば、国軍では青龍と白虎が採用されているよね?」

召喚士「ええ」

サモナー「これは一つに、召喚獣の多さ、そして使い勝手の良さからきてるんだ」

盗賊「…なるほど」

サモナー「ちなみに青龍と白虎は、その数1000とも2000とも言われている」

戦士「いっ!?」

魔道士「……そっ、そんなにですか!?」
318 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:06:24.93 ID:TGA9bHDQo
サモナー「うん。そうは言っても実際活用されている召喚獣は限られてるけどね」

戦士「でも、2000種類もマスターしたら…恐いものなしだな」

サモナー「いや、一概にそうとは言い切れないよ?」

戦士「そうなんすか?」

召喚士「量が増えれば増えるほど、覚えなきゃいけない事が多いからね」

サモナー「そう。そしてそれが逆に枷となる事もあるわけさ」

魔道士「枷……ですか?」

サモナー「…例えば魔道士ちゃん。君が1000種の青龍召喚士だとしよう」

魔道士「は、はいっ」

サモナー「火属性の魔物が現れました。さて、君は何を召喚する?」

魔道士「え、えっとぉ……水属性の召喚獣を……」

サモナー「1000種の中に水属性は300。さぁ、どれを召喚する?」

魔道士「……あ…っ」

サモナー「そういう事。類似した召喚獣を多数持つ事は、即断を鈍らせる」

魔道士「な、なるほど……っ」
319 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:07:24.88 ID:TGA9bHDQo
召喚士「…そういう事か」

盗賊「…?」

召喚士「国軍であれば人数も多く、召喚獣も分散出来る…っ!」

サモナー「そういう事。まぁ…中には勿論衰退した召喚獣もいるようだけどね」

戦士「その点、朱雀や玄武は数が少ないから一子相伝なのか?」

召喚士「…どうなんだろ」

サモナー「そもそも母体がどれ程いるのか分からないからね……」

召喚士「朱雀や玄武だって、まだまだ未知の召喚獣がいるかもしれないし…」

魔道士「じゃあ、今後新たな召喚獣が発見されるって事も…!?」

戦士「…待てよ?そういや召喚獣ってのは、そもそもどうやって発見されたんだ?」

魔道士「あれ…?確かに、言われて見ればそうですね……」

サモナー「直接会いに行って、直談判するんだよ」

盗賊「!?」

戦士「直接会いに…って?」

召喚士「……あぁっ!!」
320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:08:14.35 ID:TGA9bHDQo
魔道士「へっ!?」

召喚士「満月の夜に……召喚獣の世界へ……っ」

サモナー「うん。つまりはそういう事だね」

魔道士「それじゃあその、召喚獣の世界っに行けば……」

魔道士「召喚獣取り放題って事か?」

サモナー「まぁ難しいところではあるけどね」

盗賊「…難しいのか?」

サモナー「召喚獣の世界へは限られた条件の下、行く事が出来る」

召喚士「満月の夜…限定でしたよね?」

サモナー「そう。それは満月が最も魔力の開放が大きい事に起因しているんだ」

戦士「魔物の力が一番強いのもそうだったよな…?」

サモナー「そしてこの世界における肉体から、精神だけを分離させて訪れる」

盗賊「……」

サモナー「結果、当事者への肉体、及び精神的負担は膨大なものとなるんだ」

召喚士「……」
321 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:08:41.36 ID:TGA9bHDQo
サモナー「短時間であれば大した負担にもならないけれど……」

戦士「なるほどな。長時間の滞在は難しいって事か」

召喚士「よほどの魔力がないと厳しいかもしれませんね……」

魔道士「そっかぁ……」

召喚士(確かに…師匠はかなり…辛そうだったもんな……)

サモナー「だからこそ、昔から召喚士になるには魔道士を経由するんだよ」

盗賊「……」

サモナー「魔道士としてキャリアを積む事で魔力を増やせるからね」

魔道士「なるほどですね…っ」

サモナー「それでも勿論、無理をすれば……死ぬ事だってある」

召喚士(……それも師匠が言ってたな。そういう事だったのか…っ)

サモナー「通常、それは離脱法と呼ばれる手法だけど……」

魔道士「離脱法…ですか?」

サモナー「…うん。でも、ハイリスク故に習得している人は限られてると思うよ」

盗賊「……そうなのか」
322 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:09:42.72 ID:TGA9bHDQo
サモナー「今ではあまり聞く話ではないしね…」

召喚士「だから現存する召喚獣を継承する方法が一般的となったのか…」

サモナー「イメージと正しい能力さえ把握しておけば、リスクはないからね」

魔道士「でも…それは何故、継承可能なんですか?」

召喚士「確か…基本精霊を通じているんですよね?」

サモナー「そう。基本精霊は仲介人のような役割も持ってるんだ」

戦士「仲介人?」

サモナー「まず実際に召喚獣を視覚で認識する。そして次に……」

召喚士「正しい能力をしっかり得て、自分の中でイメージする」

サモナー「五感で召喚獣を感じ取り、それをまた上のレベルで具現するのさ」

盗賊「……第六感か」

戦士「知ってるのか?」

盗賊「……特殊な力だと…東方では言われている」

サモナー「その補佐的な役割を務めるのが基本精霊」

魔道士「だから最初に基本精霊さんを召喚するわけですねっ」
323 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:10:17.66 ID:TGA9bHDQo
サモナー「…まぁ、あくまでこれは通説であって、確定ではないけれどね」

戦士「はー、奥が深い世界だ事…。頭痛くなってくるよ……」

サモナー「前置きが凄く長くなっちゃたけど、本題に移ろうか」

召喚士「あ、はい……すみません」

サモナー「いや、えっと…まず纏めた資料を見て欲しいんだけど……」

ゴソッ…ドササッ

召喚士「こんなにですかっ!?」

サモナー「うん。ちなみにこれはある程度居場所の絞れている召喚士の資料」

盗賊「……こんなに…いるのか…っ」

サモナー「召喚士という職業は特殊だからね」

戦士「特殊だと分かるモンなのか?」

サモナー「結果的にはね。簡単に言うと定住しやすいんだ」

魔道士「定住というと…ワーカーにならないという事ですか?」

サモナー「そういう事だね。一箇所に留まっていても直接依頼が来るって事」

盗賊「……なるほど」
324 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:11:13.25 ID:TGA9bHDQo
サモナー「召喚術というのは、通常の五行ベースの魔法とは毛並みが違うよね?」

魔道士「え、えぇ…っ」

サモナー「例えば解毒の出来る召喚獣を持っていれば、それだけで仕事になる」

戦士「そうか!解毒専門の依頼が、黙ってても入ってくるわけか…っ」

サモナー「うん。効果的なら口コミで広がって、どんどん舞い込んでくるだろうね」

召喚士「そうすれば自ずから旅をしたり、依頼を受けなくても……」

サモナー「そう。仕事に困る事はないのさ」

戦士「すげぇな…。召喚士、お前もやってみたら?」

召喚士「…そ、そうだね。将来の仕事として考えておくよ……ははっ」

サモナー「僕や召喚士くんのようなワーカー出身の召喚士がむしろ珍しいかも…」

魔道士「確かにワーカーで召喚士の方って…あんまり見かけないような…」

召喚士「言われて見ればそうですね。皆、一箇所に定住していたケースが多いなぁ」

サモナー「協力な召喚獣がいれば、ピンポイントの傭兵依頼もあるしね」

戦士「だよなぁ。ワーカー市場にゃ戦士やら魔道士やらは溢れてるもんなぁ」

サモナー「それに召喚士は年齢の高い者が多いからね」
325 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:12:26.81 ID:TGA9bHDQo
盗賊「……冒険には…不向き、か」

戦士「若いのは国軍ぐらいのモンて事か……」

パラパラッ

サモナー「えっと、まずは…四属性説明しようと思ったけど、やめておこう」

召喚士「…?」

サモナー「いやごめん。まさか朱雀がコカトリスだけとは思ってなくて……」

召喚士「……すみません」

サモナー「い、いやいいんだっ、ほんと気にしないで!」

戦士(いい人だよなぁ…サモナーさんて)

サモナー「まずは朱雀から重点的に見ていこうっ!」

召喚士「お願いします」

サモナー「朱雀召喚士は各地に存在するけど、比較的南が多いかな」

召喚士「そういえば朱雀嬢ちゃんや同門さんと会ったのも…南方だったなぁ」

サモナー「同門…?同門ってあの師匠流の…?」

召喚士「ご存知なんですか!?」
326 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:13:23.58 ID:TGA9bHDQo
サモナー「文献だけだけどね。朱雀最高位のフェニックスを専属しているとか…」

召喚士「ええ。一度手合わせしましたが、かなり強かったです」

サモナー「まぁ専属の場合、おそらく譲って貰える事はなさそうだよね…」

召喚士「ええ……そう思います」

サモナー「上位召喚獣は大体専属契約を結んでるからねぇ」

魔道士「そうなんですか!?」

召喚士「上位だと威力も大きいですしね…」

戦士「コカトリスだってそうだろうよ」

魔道士「あ、そっかぁ……」

サモナー「そういう事で上位の資料もあるけど、これは目を通してくれればいいよ」

召喚士「分かりました」

サモナー「まず朱雀だけど…基本的な共通点は飛行タイプがほとんどである事」

召喚士「はい」

サモナー「逆に歩行型は皆無と言っていいかもしれない」

召喚士「ですね。以前、師匠の残した本で見た事があります」
327 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:14:14.54 ID:TGA9bHDQo
サモナー「普及率や入手難度の低いものだと……」

パラパラッ…スッ

サモナー「ますはグリフォン。火力もありバランスがいい」

戦士「朱雀嬢のアレか……」

魔道士「確かにおっきくて強いですよねっ」

召喚士「ええ。但しワイバーンを所有しているので被りますね」

サモナー「そうだね…。あとは……これなんかどうかな?」

盗賊「……ハーピー」

戦士「これも朱雀嬢の持ってたヤツだな」

召喚士「確かにこの手のタイプは所有ぢていないですね」

サモナー「ハーピーはその高速な動きを武器とした召喚獣だ」

召喚士「確かに今後、有効に使えるかもしれません」

サモナー「ハーピーは朱雀の中でも割と所有者が多いと思う」

召喚士「分かりました。えっと、これが地図か」

サモナー「判明しているだけでも数箇所いる。これは問題ないと思うよ」
328 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/21(金) 18:35:39.78 ID:TGA9bHDQo
召喚士「ありがとうございます!」

サモナー「…あとは、ペガサスとか…回復用にフェアリーやカラドリウスあたりかな」

魔道士「でも、回復にはサイービショップさんがいますよね…?」

召喚士「そうなんですよね」

戦士「そのペガサスってのはどんな能力なんすか?」

サモナー「うーん…それが文献にも載っていないんだよねぇ……」

召喚士「載ってない?」

サモナー「所有していると思しき人物の所在は分かっているんだけど……」

魔道士「そんな能力か分からないんじゃ…難しいですね…っ」

召喚士「確かにそうですね……」

盗賊「…何も…なしなのか?」

サモナー「空から無数の流星が拳状になって降り注ぐとか書いてあったけど…」

戦士「なんじゃそりゃ…?」

サモナー「ただでさえ信憑性の低い文献のだったから何とも言えないね……」

召喚士「……そうですかぁ」
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/21(金) 18:36:54.26 ID:TGA9bHDQo
× 魔道士「でも、回復にはサイービショップさんがいますよね…?」

○ 魔道士「でも、回復にはシービショップさんがいますよね…?」
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/21(金) 18:38:24.62 ID:TGA9bHDQo
>>327

× 召喚士「確かにこの手のタイプは所有ぢていないですね」

○ 召喚士「確かにこの手のタイプは所有していないですね」



ぐおぉーくそぅ……ごめんなさい
一旦終了致します!ありがとうございました!ノシ
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 18:39:03.86 ID:nNF6WUPEo
おつおつ
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 18:45:57.61 ID:RGIk5CDm0
>>1おつ
こういう話も好きなんだぜ
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 18:48:34.92 ID:gT19WLxjo
召喚獣周りの話大好きだ
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 18:52:13.83 ID:ZDf7HlyE0
魔翌力=小宇宙だったのか!?
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 19:09:16.27 ID:OiMtTu9No
より強力な魔翌力を注いで召喚すれば、流星は光になるわけですね
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 20:05:05.21 ID:tc+bZh/AO
>>1

そうか、そろそろ職業に聖闘士が追加される時期か

魔王の一人がハーデスってのもこれで読めてきたな
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 20:43:11.23 ID:OJsq9JbAO
蟹の召喚獣ェ……
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 21:31:59.30 ID:t3nLDMfL0
すぐにモンハンの蟹が浮かんだ奴は童貞
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 21:44:40.13 ID:TBDAdclbo
蟹サバイブしか……
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 22:33:20.95 ID:OSLePnQpo
魔王に負けそうになったときに
召喚士が黄金聖闘士になって
俺たちの戦いはこれからだ!
という終わり方をするんですね
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 01:12:25.44 ID:3XdLCjC8o
召喚獣が増えるイベントはわくわくする
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 01:40:32.71 ID:VH/4AcNSO
強い4属性と、特殊条件で式神を召喚できるから
ついつい忘れてたけど意外に数は少なかったんだな
さすが朱雀先生!量より質でございますね!

343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/22(土) 10:36:02.47 ID:0bwb3jc70
1乙
空から無数の流星が拳状になって降り注ぐとか
ペガサスがすごく気になる
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/22(土) 10:39:57.08 ID:hnQOPKtgo
ペガサス・・・流星・・・
昔のマンガを思い出してしまった
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 10:47:39.11 ID:bsOyerwyo
>>343
ヒント:流星k(ry
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 10:49:31.12 ID:c26gqShDO
空から無数の杓が降ってくる
当たった者は「ひでぶぅ」と言って爆発する
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 14:34:22.44 ID:Gu18kLUAO
ペガサスと聞いて

ユニコーンの上位種で、回復や蘇生まで出来るのかな?

とか真面目に考えちゃった少し前の自分をぶん殴ってやりたい
348 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/22(土) 17:40:39.41 ID:QYygOzR+o
サモナー「さて、と…。どうしようか?」

戦士「朱雀は結局、ハーピーぐらいのもんか?」

召喚士……うーん、能力の分からない召喚獣はどうしようもないしね」

サモナー「一応、専属の方も見てみるかい?」

召喚士「ありがとうございます」

魔道士「私達はその間に、他の属性を見てみましょうよっ」

盗賊「…そうだな」

戦士「何かオススメは…?」

サモナー「そうだねぇ。タイプ的な偏りがないのは白虎かなぁ……」

魔道士「白虎ですか…。何かいい召喚獣さん、いるかな……?」

サモナー「使い勝手で言えば、ゴーレムとかフェンリルあたりかな」

盗賊「…フェンリル……海峡の時に見たな」

召喚士「サモナーさん、これって何です?」

サモナー「……これはワルキューレだね」

召喚士「ワルキューレ……?」
349 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/22(土) 17:41:33.66 ID:QYygOzR+o
サモナー「さっきフェニックスを最高位と言ったけど、間違いかもしれない」

召喚士「…?」

サモナー「フェニックスは最上位であって、ワルキューレが最高位という文献もあるほどだ」

魔道士「そんなに強いんですか?」

サモナー「一度の召喚で9体が同時に出るらしいよ」

召喚士「!?」

サモナー「おそらくその分、魔力消費も莫大だとは思うけどね」

召喚士「ど、どんんあ能力なんです…?」

サモナー「えぇと…ある古文書によると、人型の――」

召喚士「人型!?」

サモナー「らしいよ」

魔道士「人型って…シルフさんのような…?」

サモナー「そうなのかな…。女性の人型で背に羽が生えているって……」

盗賊「……ほぉ」

戦士「それすげぇじゃんか!手に入れられねぇのか!?」
350 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/22(土) 17:42:28.91 ID:QYygOzR+o
召喚士「……専属なんですよね?」

サモナー「…うん。それも厄介な…ね」

魔道士「厄介…なんですか?」

サモナー「……」

パラッ

サモナー「はるか南西の密林地帯に住むという……」

盗賊「……」

サモナー「アマゾネスが所有しているんだ」

召喚士「!?」

戦士「アマゾネス…!?」

魔道士「それって確か…女性だけの……」

サモナー「…そう。女性しか入れない男子禁制の村さ」

召喚士「……」

戦士「ただですら専属な挙句、男が入れないんじゃあそいつは無理だな」

盗賊「……ああ」
351 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/22(土) 17:44:07.76 ID:QYygOzR+o


召喚士「えぇと、とりあえずはハーピーがいいかな」

魔道士「私はこの…ゴーレムさんがお勧めです!ねっ、盗賊さん!」

盗賊「…そうだな。防御専門の召喚獣だしな」

戦士「俺はこの…白虎のザントマンあたりがいいんじゃねぇかと思うぜ」

サモナー「敵を眠らせる召喚獣だね。なかなかいいと思うよ」

召喚士「それではこの辺りの資料と持ち主の所在を頂きます」

サモナー「うん。また必要な時は訪ねてくれ」

召喚士「はい。ありがとうございます」

魔道士「やっぱり凄そうな召喚獣さんは、みんな専属なんですねぇ……」

戦士「このジズって奴なんか、強そうなんだけどなぁ…」

サモナー「朱雀の召喚獣だね。風を操る上位のものだよ」

召喚士「確かにこの能力は魅力的ですね……」

サモナー「かつてはベヒーモスやリヴァイアサンと三頭一対のような扱いだったようだね」

戦士「風で敵を粉々に切り裂き…殲滅する。想像もつかねぇな」
352 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/22(土) 17:44:52.43 ID:QYygOzR+o
召喚士「でも風を操るっていうのは飛行タイプにとって効果的だよね」

盗賊「……誰が持っているのだ?」

サモナー「実は分からないんだよね」

魔道士「そうなんですか?あ、確かに何も書いてない……」

サモナー「かなり昔に廃れてしまって、今は居るかどうかも分からないね」

魔道士「…という事は、チャンスなんじゃないですか!?」

召喚士「……ええ。召喚獣の世界に行けさえすれば手に入るかも」

戦士「あとはその手法か」

召喚士「それについては神官さんが別の手法で可能だからね」

魔道士「おぉ!そうですよっ!!」

召喚士「帰りにでも訪ねてみましょうか」

魔道士「そうしましょう!」

召喚士「サモナーさん、本当にありがとうございました!」

サモナー「いやいや、僕だって少しくらいは役に立ちたいからね」

魔道士「良かったですね、召喚士さんっ!えへへっ!」
353 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/22(土) 17:52:11.30 ID:QYygOzR+o


盗賊「…では、行くか」

魔道士「マーメイドさんにもご挨拶していきましょうよっ」

召喚士「ええ、そうしましょう」

サモナー「彼女もきっと喜ぶよ。ありがとう」

スタスタスタ

サモナー「マーメイド、みんなが遊びにきてくれたよ」

魔道士「お久し振りです〜っ

マーメイド「あらぁ、お久し振りねっ」

戦士「元気そうで何よりだ」

マーメイド「うふふっ、元気というのは面白い表現ね。私はサモナー次第だから……」

召喚士「あ……」

サモナー「…まぁそうかもね。僕が元気なら限り、彼女も元気さ」

マーメイド「…ふふっ、そうね」

人間と召喚獣の不思議な恋人同士は、顔を見合わせてにこりと笑った。
354 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/22(土) 17:54:21.46 ID:QYygOzR+o


召喚士「では、失礼します。本当にありがとうございました」

サモナー「まだまだ研究はおわりじゃないからね。また連絡するよ」

召喚士「はい。お待ちしてます」

マーメイド「みんなも気をつけてね」

魔道士「はいっ!」

戦士「そんじゃ、お邪魔しました」

盗賊「……また」

サモナー「いつでも待ってるよ」

テクテクテクテク

戦士「さーて、こうなったら次は……」

魔道士「久々の召喚獣集めですね!」

召喚士「すみません。何だか俺の事になってしまって…」

戦士「気にすんなって!お前が強くなる事は俺らにとってもいい事なんだからよ」

盗賊「…そういう事だ」
355 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/22(土) 18:02:00.88 ID:QYygOzR+o
召喚士「ついでに依頼もこなしつつ、お金も貯めるとしましょうか」

魔道士「そうですね!一石二鳥っ!」

盗賊「…ますはその前に」

戦士「西国の城に寄って、神官さんだな」

召喚士「うん。うまくいけばいきなり大物を会得出来るかもしれない」

魔道士「期待しちゃいますね…っ」

戦士「そんじゃあ張り切って、このまま真っ直ぐ向かうぞー!」

魔道士「おーっ!!」

盗賊「…おー」

召喚士「おーっ!」

一同はサモナーの家を出ると、西端の村を素通りし、真っ直ぐに西国を目指す。

魔道士「あっ、出店だ!あれ美味しそうですよっ!」

召喚士「食べていきましょうか」

本国だけではなく、西方の地においても魔物は少なくなり、人々の往来で道は賑わう。

これはひとえに、西国における、とある男の率いる軍隊によるものであった。
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 18:21:59.43 ID:e5go3OkWo
>>1
西国のとある男の軍隊だと・・・奴の気配がぷんぷんしやがるっ
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/22(土) 18:59:18.56 ID:K0Z+oqNDO
>>1

休日にそんな話しはするもんじゃないぜ
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 20:15:10.36 ID:KIpd54JAO
>>350召喚子フラグktkr
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 20:48:42.57 ID:0v+R2snlo
ザントマン「グランナイツの諸君合神せよ!」
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 21:00:57.44 ID:ObC7OCFa0
召還子+師匠の過去話のフラグがいま立ったな
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 21:38:33.27 ID:agxDBsYDO
ワルキューレがいるならヴァルキリーもいないかな
似たようなものだけど
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 22:10:40.43 ID:3XdLCjC8o
日本語と英語

まぁバハムートとベヒーモスも似たようなもんだけど
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 22:19:24.97 ID:6yUlPJ1qo
カタログ見てるみたいだな
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 00:11:44.22 ID:Vbs3IeMIO
どれどれ
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/23(日) 01:02:20.41 ID:4EevsljDO
>>361
同じ
ワルキューレはドイツ語
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 01:06:40.05 ID:8M63QBC6o
ドイツ語だと
ヴァルキューレじゃなかったっけ?
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/23(日) 01:22:38.20 ID:7X8+b+qF0

ドイツ語だとVの発音は濁らない
ってばっちゃんがいってた
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 01:26:19.32 ID:8M63QBC6o
ドイツ語:Walkure

ただし発音はVa=ファ、Wa=ヴァ
って発音するはず
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 03:02:25.87 ID:qOkHLXjLo
>>361
可変式の召還獣…






イイネw
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/23(日) 03:08:41.93 ID:6L2IPbwSo
「ワルキューレ」は日本でしか通用しないですね
ドイツ語だと「ヴァルキューレ」。英語だと「ヴァルキリー」
個人的には日本語の「戦乙女」が好きです。はい

↓続き
371 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 03:09:07.62 ID:6L2IPbwSo
〜西高原国跡地〜

タッタッタッタッタ

西国兵「魔物の気配、ありません!」

ザッザッザ

王子「はいはいご苦労さん」

西国側近「これが西高原国の城跡ですか……」

王子「西国側近は始めてだったっけ?」

西国側近「ええ。王子の側近を務めてからは、ずっと南征でしたから」

王子「そっか。んじゃお前は?」

西国兵長「私は以前、例の戦いに参戦しておりましたので…」

王子「……そっか」

西国側近「それで、ここを本格的な防衛拠点にすると…?」

王子「うん。北の魔物を迎え撃つにはかなりの兵が必要になるからね」

西国兵長「賛成です。南の拠点同様、北にも置くべきと存じます」

王子「使えるものは何でも使っていこーよ。あははっ」
372 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 03:09:51.92 ID:6L2IPbwSo
ザッザッザッザッザ…

王子「…ふぅん。中はかなりの広さだな。神官の言ってた通りだ」

西国側近「神官様の話だと、財宝や武具なども多数放置されているとか…」

王子「へぇ。よく賊どもが嗅ぎ付けなかったね」

西国兵長「……いや、そうでもなさそうですぞ」

王子「ん…?」

カツカツカツカツ…ザッ

西国兵長「何者かが駐屯していた形跡があります」

王子「ほんとだ」

西国兵長「……財宝も盗まれていますね」

王子「うわぁ…。なーんでさっさと西国へ運ばないかな〜」

西国側近「運びましたよ。しかしとてつもない量なもので…」

王子「ちぇっ。まぁそれなら少しくらい譲ってやってもいっか…」

西国兵長「…本国にいる賊のようですね」

王子「分かるの?」
373 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 03:10:38.21 ID:6L2IPbwSo
西国兵長「いえ、持ち物…と言いますか、捨てていったゴミから想像するに……」

西国側近「確かに食べカスなどは本国の食料ですね」

西国兵長「……衣類もですね」

ペローン

王子「おぉっ!女物の下着!?女盗賊か!!」

西国兵長「そのようで」

王子「……美人かな?」

西国兵長「陛下」

王子「…はいはい。ジョーダンだろジョーダン」

西国兵長「冗談に聞こえませぬ」

西国側近(た、確かに……っ)

王子「とにかく、これなら大いに使えるな。早速復旧を進めよう」

西国側近「了解ですっ!」

タッタッタッタ

西国「大変ですっ!魔物の群れを確認!!北より迫っていますっ」
374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 03:11:20.59 ID:6L2IPbwSo
西国側近「な…っ!?」

王子「はいはい。それじゃあいっちょ、暴れますよー」

西国兵長「各員、戦闘態勢を取れっ!騎馬隊は並列、召喚隊は背後より支援!」

王子「側近はここで支援、兵長は俺に続けっ!」

西国兵長「了解であります!」

タッタッタッタッタ

西国側近「陛下がご出陣なされるぞーっ!親衛隊、白虎兵は後に続けーっ!」

親衛隊「おぉう!!」

タッタッタッタッタ

王子「……数はぁーっ!?」

西国兵「ヘルハウンドがおよそ30ほど……」

王子「…ったく、その程度で呼ぶなよぉ」

西国兵「申し訳ありません!でも、戦いたいかな…と思いまして」

王子「…分かってんじゃん!よぉし、30分以内に殲滅するぞっ!」

西国兵「おぉーっ!!」
375 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 03:12:06.12 ID:6L2IPbwSo
〜西国〜

魔道士「いやぁ、お昼までに着けて良かったですね〜」

召喚士「ええ。昼食も済ませましたし、宮殿へ行きましょうか」

戦士「だな。夜やら食前だと、とんでもない持て成しが待ってるからなぁ……」

盗賊「……ああ」

予め職位を済ませ、四人は西国の城へと向かった。

テクテクテク

戦士「…おっと」

盗賊「……」

戦士「ここへ来たら、しっかりと黙祷してかないとな」

召喚士「……そうだね」

西国の為に散っていった英雄のナが刻まれた碑。召喚士は目を瞑り黙祷する。

それに続き、戦士、魔道士、盗賊が同様に黙祷を始めた。

召喚士「……よし、行きましょう」

魔道士「はいっ」
376 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 03:12:48.49 ID:6L2IPbwSo
〜西国の城〜

ザッザッザ…

門兵「……師匠!?」

戦士「へ…っ?」

門兵「師匠ではありませんかっ!!」

西国兵「何っ!?ほ、本当だ……っ」

召喚士「師匠……なの?」

戦士「師匠…みたい」

門兵「さぁさぁどうぞ!お入り下さいませっ!」

魔道士「あ、ありがとうございます…っ」

西国兵「師匠!後ほど剣の稽古などお願い出来ませんでしょうか!?」

戦士「え、あ……あぁ」

西国兵「ありがとうございますっ!皆、喜びますよっ!」

盗賊「……モテモテではないか。良かったな」

戦士「良くねぇよ……」
377 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 03:13:19.58 ID:6L2IPbwSo
〜来賓室〜

召喚士「……」

盗賊「……」

カチャッ…シズシズシズ

女王「お待たせ致しました召喚士様。皆様もお元気そうで」

召喚士「女王陛下もご機嫌麗しく……」

王女「お姉様っ、ご無沙汰しておりますわ…っ」

魔道士「王女様…!ご無沙汰しておりますっ」

盗賊「……どうも」

女王「今回は如何なされましたの…?」

召喚士「ええ、実は神官さんに用がありまして……」

女王「まぁ、神官に…ですか?それはそれは……」

王女「実は神官様、現在は此処におられないのですよ」

召喚士「えっ!?そうなんですか……?」

盗賊「…えっと、どちらに?」
378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 03:13:52.46 ID:6L2IPbwSo
女王「神官は今、三日月島におります」

魔道士「三日月島にですかっ!?」

女王「ええ。あちらの現場指揮を執っておりまして……」

召喚士「そうでしたかぁ……」

戦士「まさか不在とは…。しまったな」

王女「神官様が戻るまで此方で待たれては如何です?ねぇ陛下」

女王「ええ、そうは良い考えです」

召喚士「いつ頃…戻られるんですか?」

女王「分かりませぬ。不定期ですので……」

召喚士「……」

戦士「それじゃあダメだな…っ」

女王「そうなのですか……?」

召喚士「お、俺らも旅の途中なので……」

王女「そうですわねぇ……。残念……」

召喚士「ほ、本当ですよね…っ、ははは…っ」
379 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 03:23:07.03 ID:6L2IPbwSo


王女「もっとゆっくりなさったら宜しいのに……」

女王「全くですわ。遠慮など無用ですよ?」

召喚士「い、いえいえ…これから色々と巡らなければならないもので……」

魔道士「そ、そうなんですよ…っ、えへへへ…っ」

女王「まぁ、そうですか。それならまた、旅のお話を聞かせて下さいまし」

王女「近いうちに必ずお越し下さいね……?」

召喚士「そ、そうさせて頂きます!」

戦士「それじゃ……」

盗賊「…失礼します」

王女「道中…お気を付けてっ!」

テクテクテク…

戦士「…いやぁ、危なかったな」

召喚士「う、うん…っ」

四人は西国を離れ、再び本国へと入国するのであった。
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 03:56:51.59 ID:CT8xwzGAO
深夜早朝更新乙んつん
玉子ずいぶん生意気だなぁ
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 07:45:50.11 ID:8M63QBC6o
玉子は割らないと価値がないんじゃないか?
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 09:09:25.39 ID:eQaqn+3DO
俺は半熟玉子だ…
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 22:39:40.35 ID:Z39dSZhKo
>四人は西国を離れ、再び本国へと入国するのであった。
なんかここら辺に、召還士一行だけじゃなくて、作者が駆け足にしてるのを感じる
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 22:39:48.09 ID:L/dSREwgo
そろそろここで>>1登場

385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 23:23:17.89 ID:QZmhTiIAO
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/23(日) 23:50:40.75 ID:6L2IPbwSo
こんばんは!

>>383
急いでるわけではないんですが、
道中、然したる事もなく……

〜道中〜

魔道士「あっ花が咲いてる!パンジーと…あれ何ですかねぇ?」

盗賊「あれは水仙だな」

魔道士「スイセン…?あぁ〜聞いた事ありますーっ」

戦士「しっかし地図ってのは誰が作り出したんだろうなぁ」

召喚士「これって凄いよね。上から見たみたいに正確にさ〜」

戦士「召喚獣に乗って、空から描いてんじゃねえの?」

召喚士「まっさか〜。測量士がいるでしょー」



多分こんな他愛ない会話が延々と……

↓続き
387 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 23:51:25.76 ID:6L2IPbwSo
召喚士「えぇ。でもわざわざ南方へ行くより、近場からあたろうかと思います」

盗賊「…北か?」

戦士「北っつーより、鉱山の町と北の港の間ぐらいだな」

魔道士「えっと……このザントマンさんですか?」

召喚士「ええ。ここからそう遠くはないですし、行ってみようと思うんですが…」

戦士「いいんじゃないか?俺、オススメの召喚獣だし!」

魔道士「私も賛成ですっ!」

盗賊「…異論なし」

召喚士「それから、南を目指したいと思います」

戦士「南…?ハーピーか?」

召喚士「うん。あと、ゴーレムもだね」

魔道士「ゴーレムですか?」

召喚士「ええ」

戦士「でもよ、ゴーレムは西方のずーっと南の方に印ついてるぞ?」

召喚士「いや、一人……思い当たる召喚士がいて……」
388 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 23:52:08.94 ID:6L2IPbwSo
盗賊「…顔見知りなのか?」

召喚士「え、えっと……まぁ……」

戦士「譲って貰えそうなのか?」

召喚士「た、多分……」

魔道士「えっと…それではまず、北の港を目指しますか?」

戦士「いや、鉱山の町のが近いだろ」

魔道士「あ、本当だ…。ここからも船が出てる……」

召喚士「鉱山の町から入って、そのまま北を目指しましょう」

戦士「おうっ!」

召喚士「それじゃ、船の手続きしてきます」

魔道士「あっ、私も行きますーっ!」

テクテクテクテクテク

戦士「よーし、久々の召喚獣集め。やる気出てきたぜ!」

盗賊「…あぁ」

そして四人は鉱山の町へと船で向かう事となった。
389 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 23:54:31.45 ID:6L2IPbwSo
〜東方司令部〜

ザッザッザ…

門兵「ご苦労さまです!」

青年兵「……お世話になります」

カラカラカラッ

東方副司令「青年兵殿。お待ちしておりました」

青年兵「本日より東方司令部配属となりました。宜しくお願い致します」

東方副司令「司令室して司令がお待ちです。さぁどうぞ」

青年兵「はい」

〜司令室〜

カラカラッ…コンコンコン

東方副司令「青年兵殿がお見えになられました」

青年兵「失礼致します」

ザッ…カツカツカツ

東方司令「……」
390 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 23:55:56.81 ID:6L2IPbwSo
青年兵「本日付にて東方司令部配属となりました。宜しくお願い致します」

東方参謀「……聞けばお主、自ら志願したそうではないか」

東方魔道長「……」

青年兵「……はい」

東方司令「ケジメ…のつもりか?」

青年兵「それもあります」

東方司令「……奇特な奴だな」

青年兵「……」

東方司令「しばらくは参謀に付いて、務めるがいい」

青年兵「畏まりました。東方先生、宜しくお願いします」

東方参謀「うむ…っ」

東方司令「分からない事があれば、副司令に訊ねるといい」

東方副司令「それでは早速、部屋を案内しましょう」

青年兵「はっ!」

ザザッ…カツカツカツカツ…
391 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 23:57:19.86 ID:6L2IPbwSo
東方魔道長「……私は賛成出来ませんな」

東方参謀「…?」

東方魔道長「今回の件は、あの者が招いた事態です」

東方司令「…ああ」

東方魔道長「その厄介払いを此処で受けるようなものです」

東方参謀「勘違いするでない。あ奴は自ずから此処へ来たのだ」

東方魔道長「それを承認したのは本部です。変わりませんよ」

ザッ…カツカツカツ…

東方司令「……はぁ。面倒な事になんなきゃいいけどね」

東方参謀「お主はどう動くつもりだ?」

東方司令「ボクは関係ないよ。別に何もしない」

東方参謀「……そうか」

東方司令「ボクが動くのは、師匠の指示があった時だけ」

東方参謀「それで、その肝心の師匠は何と…?」

東方司令「何もないよ。だから何もしない。それだけだ」
392 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 23:57:52.64 ID:6L2IPbwSo
〜国軍本部〜

コンコン…カチャッ

秘書官「隊長殿、お見えです」

司令官「…ん」

隊長「失礼します」

司令官「何か用かな?もしかして…今回の事?」

隊長「……まぁ」

司令官「丁度良かった。君らに頼みたい事があってね」

隊長「……何でしょうか」

司令官「…耳を」

隊長「……?」

カツカツカツ

司令官「………………」

隊長「――っ!!」

司令官「…頼んだよ」
393 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/23(日) 23:59:24.85 ID:6L2IPbwSo
隊長「……っ」

司令官「あ、それと…もう一つ」

隊長「は…っ」

司令官「格闘家に、明朝6時…西の広場へ来るように伝えて」

隊長「……?」

司令官「頼んだよ」

隊長「……畏まりました」

司令官「では、宜しく」

隊長「失礼致します」

クルッ…カツカツカツカツ…

隊長「……」

カツカツカツカツ…

隊長「……」

男隊員「隊長ー」

隊長「……」
394 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:00:26.56 ID:GFgzbY+So
女隊員「隊長ーっ!!」

隊長「!!」

男隊員「何ぼーっとしてんだよ…」

隊長「わ、悪いな」

格闘家「それで、何か聞けましたか?」

隊長「…いんや。それよりも任務だ」

女隊員「なんスか!?」

隊長「特遊は本日より、隠密行動に入る」

男隊員「……ほぉ」

隊長「これより伝える任務は一切の他言無用。破られれば即座に全員死罪とする」

女隊員「……うッス!」

男隊員「そんなに重要任務か…っ」

隊長「いいか?絶対に失敗は許されん。よーく聞いておけ」

格闘家「……はっ」

隊長「任務内容は――」
395 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:01:33.49 ID:GFgzbY+So


女隊員「……っ」

格闘家「……」

隊長「……以上だ」

男隊員「マジ……かよ……っ」

隊長「大マジだ。交戦は必要ない。情報と証拠だけを徹底的に集めろ!」

女隊員「了解ッス!」

隊長「それと格闘家」

格闘家「はい」

隊長「お前は明日6時、西の広場へ向かえ」

格闘家「何か…?」

隊長「知らん。総司令直々の命令だ」

格闘家「…了解です」

隊長「深夜のうちに出発するぞ。各員、身支度を整えろ!」

女隊員「はいッス!!」
396 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:02:35.26 ID:GFgzbY+So
〜本国、王宮〜

右文官「失礼致します」

皇太子「うむ、どうした?」

右文官「大軍師様、お越しになられました」

エリート「大軍師殿が…!?一体どうしたのだ……?」

右文官「分からぬ。とりあえず我らに話があると……」

右秘書官「……」

皇太子「…良かろう。応接室へ通せ」

右文官「畏まりました」

カツカツカツカツ…

エリート「青年兵の件でしょうか?」

皇太子「さぁな。とにかく会って、話を聞くとしよう」

右秘書官「殿下、彼の者とてあまりご信用なされますなよ?」

エリート「しかし大軍師殿は議会においても協力的であったではないかっ」

右秘書官「この事態です。誰が敵で味方かわかりませぬ。油断はせぬよう……」

皇太子「皆を疑えと申すのか…?全く、嫌な事だ」
397 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:03:31.39 ID:GFgzbY+So
〜応接室〜

カチャッ

皇太子「すまぬ、待たせた」

大軍師「……いえいえ、こちらこそ突然のご訪問…申し訳御座いません」

右秘書官「……」

エリート「それで、今回はどうなさったのです?」

大軍師「……陛下のご容態は如何ですか?」

皇太子「…うむ。先程も見舞ったのだが……あまり良いとは言えぬな」

大軍師「……左様ですか」

皇太子「以前よりは回復しつつあるが、政務を執るのは最早困難であろうな」

右文官「……っ」

大軍師「では、今後においては実質…殿下が執り仕切ると……」

皇太子「そうなるな」

大軍師「それならば話が早い。本題へと入りましょう」

皇太子「……うむ」
398 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:05:21.32 ID:GFgzbY+So
大軍師「五ヵ年計画に於いては、既に計画の半分が経過親しました」

皇太子「…で、あるな」

大軍師「残す期間は正直、ほとんどが実行期間となります」

エリート「それで、我らにどのような……?」

大軍師「……ある資料をお貸し頂けませんでしょうか」

皇太子「資料…?何だ、申してみよ」

大軍師「王宮に勤めた者達の個人情報です」

右文官「な……っ!!」

右秘書官「大軍師殿、幾らなんでもそれは無理と言うもの……」

大軍師「……やはり…そうでしたか」

エリート「そ、それが一体…何だと言うのです!?」

大軍師「まだ詳しいお話までは出来ませんが……まぁ、炙り出しですかね」

右文官「炙り出し……?」

皇太子「事情があるのだろうが、やはりその話は無理だな」

大軍師「……それは残念です」
399 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:06:15.12 ID:GFgzbY+So
皇太子「……あれは我らとて無用に閲覧出来ぬよう、厳重に管理されている」

大軍師「……ほぅ」

皇太子「王宮が誇る厳重な地下金庫においてな」

大軍師「……?」

皇太子「まぁ一流の盗賊団とて、盗み出すのは難しかろうな」

右文官「……ま、まぁ…確かにあれは厳重ですからな」

大軍師「…ふっふ、そうですか。それを聞いて安心しました」

皇太子「そうか?それは何よりだ」

エリート「殿下」

皇太子「分かっている。今日のところはそれだけかな?」

大軍師「はい。近いうちにまた…ご報告が出来るかと…」

皇太子「…うむ、楽しみにしているぞ」

大軍師「ありがとうございます。……では、此度はこれにて」

ザッ…カツカツカツカツ

皇太子「……」
400 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:07:05.26 ID:GFgzbY+So
エリート「殿下、幾ら何でも……」

皇太子「何がだ?私は何もしておらんぞ……?」

エリート「……全く」

右秘書官「しかしこれで、国軍が何か動いているのは分かりましたな」

右文官「うむ。右翼なのか左翼なのかは置いといたとしてもな…」

エリート「こちらも出来る限りは動いておく必要がありそうですね」

右文官「そちらは我らに任せてくれ」

右秘書官「殿下とエリート殿は政務に専念して下され」

エリート「……はっ。しかし宜しいので…?」

右秘書官「下手な動きをして、巻き込みたくはありませんので」

右文官「そうだな……。大事に至る事とてある」

エリート「賛成ですね」

皇太子「……」

議会が巻き起こした波紋は、波打ち際で大きく跳ね返り高さを増してゆく。

荒れる波は各地で高波となりて、再び中央でぶつかり合うのであった。
401 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:08:02.99 ID:GFgzbY+So
〜鉱山の町〜

魔道士「すっかり夜になっちゃいましたね」

召喚士「とりあえず、宿を探しましょうか」

戦士「鍛冶屋さんとこに泊めて貰うか?」

召喚士「でも、悪い気もするから……」

戦士「鍛冶娘が出てってから寂しいだろうしなぁ…」

魔道士「……」

盗賊「…どちらでも…構わぬぞ」

召喚士「…それじゃあひとまず、挨拶に行きますか」

戦士「おう。そんで様子を見て、邪魔になりそうだったら宿を取る!」

魔道士「そうしましょっか!」

盗賊「…同意」

召喚士「では、早速鍛冶屋さんの所を訪ねてみましょう」

テクテクテクテク

戦士「さーて、いるかな?」
402 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:08:53.48 ID:GFgzbY+So
カチャッ

おかみ「いらっしゃ……戦士くんじゃないかいっ!」

戦士「おかみさん!元気そうで何よりっ!」

おかみ「みんなも一緒かい?一緒だねっ!」

テクテクテク…

鍛冶屋「おぉーっ、皆さんよく来てくれました!いやいやいや〜」

魔道士「ご無沙汰してますー!お二人とも、お元気そうで何よりっ!」

盗賊「……あ、そのエプロン…」

おかみ「もっちろん使わせて貰ってるよ!ねっ、あんた!」

鍛冶屋「いやはや、汚すのが勿体ないくらいだよ。はははっ」

おかみ「ささ、遠慮しないで入っておくれ」

戦士「うっす!お邪魔しまーす!」

魔道士「おじゃましますーっ」

おかみ「今日はあれだろ?もちろん泊まっていくだろ?」

鍛冶屋「うんっ。それがいいそれがいい」
403 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:09:52.11 ID:GFgzbY+So


盗賊「……いただきます」

召喚士「すみません…何だか、いきなり食事まで……」

おかみ「いいんだよ。こっちこそ残り物で申し訳ないねぇ」

戦士「…相変わらず美味いっ!」

おかみ「おかわりはたーんとあるからね!」

盗賊「……頑張ります」

おかみ「それで、調子はどうだい?」

召喚士「まぁ……順調ですかね」

鍛冶屋「武具の調子はどう?」

戦士「あの盾、絶好調ですよ!」

鍛冶屋「本当かい!?いやはや、それは良かった!」

魔道士「私の杖もバッチリですよーっ」

鍛冶屋「あとでまとめてメンテナンスしよう。見せてくれ」

召喚士「す、すみません……」
404 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:10:24.93 ID:GFgzbY+So


鍛冶屋「……」

召喚士「……」

鍛冶屋「……うん。特にひどい状態はなさそうだね」

戦士「……良かったぁ」

盗賊「……ああ」

鍛冶屋「四人共、大切に使ってくれているようだね。ありがたい事だよ」

各々が机の上においた武具を入念にチェックし、鍛冶屋は笑顔で感謝を述べる。

戦士「一応、手入れしてっからなぁ」

鍛冶屋「手入れも巧くなったんじゃない?かなり状態良いよ」

戦士「本当すか!?それはマジで嬉しい!」

鍛冶屋「これなら良い鍛冶屋になれるよ」

魔道士「ですって!戦士さんっ!!」

戦士「将来考えておくかな……」

盗賊「……」
405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:12:51.63 ID:GFgzbY+So


鍛冶屋「それじゃ明日までにはキッチリバッチリ仕上げておくから!」

召喚士「すみません。何から何まで……」

おかみ『えぇーっ!』

盗賊「!?」

魔道士「ど、どうしました…っ!?」

タッタッタッタッタ

盗賊「…何か…あったのか?」

おかみ「あっ、ごめんごめん…。どうも風呂が壊れちゃったみたいでさぁ」

鍛冶屋「どうしたどうした?……点かないのかい?」

おかみ「あんた、ちょっと見ておくれよ」

鍛冶屋「……うーん。罐の連結部分が割れてしまっているね…」

召喚士「……」

鍛冶屋「これは替えが利かないから、修理に時間かかりそうだねぇ」

おかみ「まいったねぇ……。お客さんが来ているってのにさぁ」
406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 00:15:49.25 ID:GFgzbY+So
戦士「いいよいいよ。その辺の宿で風呂借りてくっから」

おかみ「ほんとにごめんよ、なんだか逆に気を使わせちゃったねぇ…」

召喚士「こちらこそ泊めて頂くだけで感謝ですよ」

魔道士「そうですよっ!」

おかみ「そうかい…?すまないね……」

召喚士「それじゃ風呂に行ってこようか」

魔道士「はいっ!」

戦士「ついでに一杯引っ掛けてくるか〜」

盗賊「……はぁ」

鍛冶屋「宿の場所は分かるかい?」

召喚士「はい。大丈夫です」

魔道士「おかみさんも一緒に行きましょうよっ!」

鍛冶屋「それがいいそれがいい!せっかくなんだし、行ってきなよ!」

おかみ「い、いいのかい…?それじゃあ行ってくるよ」

鍛冶屋「留守番は任せておいて!ついでに色々やっておくからさ」
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 01:12:56.72 ID:KYN9YmwAO
おかみさんの裸はあはあ
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 03:30:34.31 ID:qiAFzr1AO
おかみさんの裸はあはあ
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 04:11:07.22 ID:6mHbQVDko
おかみさんの褌はあはあ
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 05:43:48.04 ID:UB8HyelAO
おかみさんの神はあはあ
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 07:40:21.72 ID:IR7ZeQFq0
おかみさんの袖はあはあ
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/24(月) 07:47:51.01 ID:Iyy+pJ0ko
何を求めて此処に来た 答えろー
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 07:48:21.46 ID:PJYausDxo
おかみさんの裸はあはあ
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 09:03:46.21 ID:FtLfmwYRo
悪ノリしすぎだ
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 12:57:30.11 ID:FnH4oegDO
楽しそうだなお前らwww
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 13:27:39.89 ID:TrXTtjxIO
おかみさんの項はあはあ
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 14:34:34.06 ID:FRrMmr8Lo
\              /
 \           /
  \         /
   \       /
     \( ^o^)/   うわああああああああああああああ!!!!!!!!!!
      │  │
      │  │    〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
      │  │  〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
      (  ω⊃〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
      /  \ 〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
     /    \   〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
    /      \
   /        \
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/24(月) 18:13:05.20 ID:pwJ74x8no
流れが全く読めずに続き↓
419 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:13:49.93 ID:pwJ74x8no
〜風呂〜

カポーン

鉱山の町には数多くの宿が存在する。そしてそれは、どの宿も、

入浴のみの利用が可能であり、毎日多数の利用客が疲れを癒しに訪問する。

町人のみならず、鉱山がある故に鉱夫やワーカーの利用者が大半を占めるのだ。

バシャバシャッ…ザバァ……チャポッ

召喚士「……はぁ〜」

戦士「……あぁー」

召喚士「結構、混んでるねぇ」

戦士「鉱山で働く奴らが使ってるからなぁ」

召喚士「そっか」

戦士「寝床はともかく、風呂は入ってサッパリしてぇところだろ」

召喚士「確かにそうだね」

戦士「見てみ、お陰でどいつもこいつもすっげぇ身体付き……」

召喚士「戦士もだけどね……」
420 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:16:14.17 ID:pwJ74x8no


戦士「……アイツ、かなりのワーカーだな」

召喚士「分かるの?」

戦士「ただの鉱夫とワーカーじゃ、鍛え方や使う筋肉が違うからな」

召喚士「……マニアだ」

戦士「中でも無駄に筋肉を付けず、全身バランスよく鍛えてやがる」

召喚士「それがあの人?」

戦士「あぁ……。俺の見立てではかなりの実力者……」

ザバァー

ジュニア「……ふーっ」

召喚士「ジュニアさん!?」

戦士「!!」

ジュニア「あん?おぉ……お前らっ!!」

召喚士「奇遇ですねっ!……って、鉱山だからおかしくないか」

ジュニア「お前らこそこんな所でどうしたんだよ?」

召喚士「ここから北に用がありまして…立ち寄りです」
421 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:16:49.02 ID:pwJ74x8no


ジュニア「……ほぉ。召喚獣のねぇ〜」

召喚士「そうなんですよ」

戦士「いやぁ、まさかジュニアさんだとは思わなかったぜ」

召喚士「戦士の目利き、凄いね!」

戦士「だろっ!」

ジュニア「何だそりゃ?」

召喚士「いや、筋肉の付き方とかでジュニアさんを上位ワーカーって……」

ジュニア「ハッハ!そりゃすげぇ。でも普通に顔見りゃいいじゃねぇか」

戦士「シャンプーしてたから見えなかったんだよ」

召喚士「ジュニアさんは、仕事順調ですか?」

ジュニア「んーまぁな。ちょいと忙しくなってきてってのが本音かな」

戦士「そうなのか?」

ジュニア「穴掘りも急ピッチで進めろって話でな…ハッハ」

召喚士「そうですか……」
422 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:17:26.03 ID:pwJ74x8no
ジュニア「んーまぁ、人もボチボチ帰ってきたり増えたりしてっから大丈夫かな」

ザバァ

召喚士「上がるんですか?」

ジュニア「おーう。明日も早いし……風呂の後は……」

戦士「一杯引っ掛ける!」

ジュニア「…ハッハ!正解っ!!」

戦士「召喚士、俺らもお供すんぞ!」

召喚士「う、うん」

ザバァ…スタスタスタ

ジュニア「なかなかシャレた店があってなー」

戦士「おぉ、楽しみ!」

ジュニア「そういや、嬢ちゃん方は一緒なのか?」

召喚士「ええ。一緒ですよ」

ジュニア「風呂上りの見目麗しき乙女達……たまらんねぇ。ハッハ」

召喚士「……は、はは…っ」
423 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:17:54.88 ID:pwJ74x8no


フキフキフキッ…パンッ!!

ジュニア「酒の前に……まずは、コレよっ!」

ドンッ!!

戦士「……分かってねぇな!漢はどノーマル!!」

ドドンッ!!

召喚士「じ、じゃあ俺はフルーツ牛乳で……」

ジュニア「タオルを腰に巻きぃ〜!!」

戦士「左手をその腰へ添えるぅ!!」

ジュニア「おい、ノリ悪いな。早くやれよ」

召喚士「は、はい」

ジュニア「そしてええぇぇ、一気に乾いた喉へと流し込むううぅぅ!!」

戦士「いただきますっ!!」

ゴクッゴクッゴクッ

召喚士「……いただきまーす」
424 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:18:39.44 ID:pwJ74x8no
ゴクッゴクッゴクッ

ジュニア「……」

戦士「……んっ…んっ」

ムニー

ジュニア「奥義っ、変顔!!」

戦士「ぶほぉっ!!」

召喚士「うわっ!汚いなぁ…もうっ」

戦士「げほっ!ごほごほっ!て、てんめぇ……っ」

ジュニア「ハッハッハ!俺の勝ちだ!!」

戦士「……殺す!」

ジュニア「おっ?やるか…!?おっ?おっ?」

戦士「功績3位だか何だかしらねーが、肉弾なら負けるわけにゃいかねぇ!」

ジュニア「よーし…掛かって来い!!腕相撲ファイトオオォォ!!」

戦士「レデイイィィ……ゴオオォォ!!」

召喚士「……子供みたいな二人だ」
425 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:19:10.79 ID:pwJ74x8no


テクテクテク

召喚士「お待たせしました」

魔道士「意外と遅かったですねぇ」

戦士「…実はな、この人に会ったモンでな!」

バッ

戦士「……って、いねぇ!?」

スーッ…クンクンクン

ジュニア「……はぁ、いい匂い」

盗賊「――っ!?」

魔道士「変態だー!!」

ジュニア「ちょっ!?違っ――」

ドゴッ!!

ジュニア「……ってぇー!!」

おかみ「観念しなっ!この変態野郎っ!!」
426 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:19:42.64 ID:pwJ74x8no


魔道士「ごめんなさい」

盗賊「……ごめんなさい」

おかみ「本当にごめんよ……」

戦士「いや、謝る必要ないんじゃねーか?」

召喚士「う、うん……」

ジュニア「バカ!ちょっとした戯れで脳天唐竹割りされちゃたまらんっての!」

召喚士「自業自得のような……」

戦士「あぁ…」

ジュニア「とにかく、飲みに行くぞー!付き合えー!!」

魔道士「私達もですかぁ…!?」

おかみ「あたしは先に失礼するよ」

ジュニア「おうおう。オバさんは帰りな!」

おかみ「誰がオバさんだってぇ…!?」

ドゴッ!!
427 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:20:25.37 ID:pwJ74x8no
〜バー〜

魔道士「…へぇ〜っ、オシャレなお店ですねぇ!」

盗賊「……ああ」

ジュニア「……」

召喚士「瘤になってますね…」

戦士「さーて何飲もうかな……」

ジュニア「ウィスキー。ストレートで」

戦士「俺はビールでいいや」

召喚士「俺は赤ワインを」

魔道士「私はどうしよう……あ、ピーチフィズで!」

ジュニア「盗賊ちゃんはどうする?」

盗賊「…私は」

戦士「こいつ酒飲めないから」

ジュニア「あ?そうなのか?……じゃあ、サラトガ・クーラーでいっか」

マスター「かしこまりました」
428 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:21:06.99 ID:pwJ74x8no


マスター「どうぞ」

コトッ

ジュニア「では、再会を祝ってカンパーイ!」

チィンッ

盗賊「……これ、酒じゃないのか?」

戦士「ノンアルコールカクテルってやつだ。酒は入ってない」

盗賊「……そうなのか」

召喚士「しかし賑わってますね〜」

ジュニア「鉱山で働く奴なんてのは、酒好きが多いからなぁ…ハッハ!」

チリンチリン

マスター「いらっしゃい」

召喚士「ほら、またお客さんが一人……」

眼鏡「ミルクを一つ」

召喚士「ぶふっ!!」
429 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:21:34.34 ID:pwJ74x8no
戦士「汚ねっ!お前…っ、人の事言え……」

召喚士「げほごほっ!だ、だって……」

咽びながらも召喚士はカウンター脇に座る男を指差した。

魔道士「眼鏡さんっ!?」

眼鏡「……!?」

戦士「こりゃまた…今日はなんて日だよ…っ」

盗賊「……はい、タオル」

召喚士「あ、ありがとうございます」

眼鏡「やぁ、久し振りだね」

ジュニア「ありゃ?お前ら知り合いなんだっけか?」

魔道士「お元気でしたかっ?」

眼鏡「うーん、元気…だったのかな?」

召喚士「この町に戻ってらしたんですね」

眼鏡「うん。つい先日、お呼びが掛かってね」

ジュニア「さっき言ったろ?戻ってきた連中もいるってよ」
430 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:22:04.94 ID:pwJ74x8no
戦士「それが眼鏡さんか…!」

ジュニア「他にもかなり増えて……お陰で大繁盛だな、マスター」

マスター「そうですね」

召喚士「それまではどちらにいらしてたんですか?」

眼鏡「うん。北の調査なんかをね」

召喚士「そうでしたか」

眼鏡「君達はどうだい?」

ジュニア「そうそう。あれから色々あったんだろ?聞かせてくれよ」

魔道士「えっと……」

四人は眼鏡とジュニアの二人に経緯を簡潔に述べた。

ジュニア「…そらまた、随分と忙しいなぁ…ハッハ」

眼鏡「凄いね。あのヤマタノオロチまで倒すなんて…」

魔道士「ご存知なんですか!?」

眼鏡「あぁ、噂には聞いた事があるよ」

盗賊「……ほぉ」
431 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:22:32.75 ID:pwJ74x8no
ジュニア「つーか、お前は何を飲んでるんだよ!」

眼鏡「何って……ミルクだけど?」

召喚士「意外ですね……」

戦士「本人まで犬みたいな感じだな…ははっ」

ジュニア「酒飲めっ!酒を!!」

魔道士「下戸なんですか?無理させちゃダメですよ〜」

眼鏡「下戸…ではないんだけれど、酒が入ると気が荒くなるっていうか…」

ジュニア「……マスター。カルーアミルク一つ!!」

マスター「かしこまりました」

魔道士「も〜っ、ジュニアさんったら……」

ジュニア「ハッハ!せっかくの再会だ、パーっといかんでどうする!」

戦士「…んーまぁな」

召喚士「あ、あのぉ…無理はしなくても……」

眼鏡「いいよいいよ。一杯だけ付き合おう」

ジュニア「そうっ!その意気よ!!……ハッハ」
432 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:23:37.41 ID:pwJ74x8no


戦士「あー飲んだ……」

召喚士「結構飲んじゃったね。魔道士さん、大丈夫ですか?」

魔道士「はいっ!このくらいなら全然ですよ〜えへへ!」

盗賊「……10杯は飲んでるぞ?」

召喚士「ジュニアさん眼鏡さん、俺らはそろそろ戻ります」

ジュニア「何だとぉ〜!?もう少し飲んでいけってんだぁ!」

戦士「……出来上がっちまってるな」

眼鏡「いいよ。彼は僕が抑えておくから」

盗賊「お、抑えて!?」

魔道士「すっごく楽しかったです!」

戦士「また飲みましょうや!」

ジュニア「おーう!…マスター!ウィスキーおかわり〜」

召喚士「……そ、それでは、失礼します」

眼鏡「見せの外まで見送らせてくれ」
433 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:24:05.91 ID:pwJ74x8no
テクテクテク…カチャッ

マスター「ありがとうございました」

魔道士「こちらこそっ。ジュニアさん、。それではまた!」

ジュニア「ハッハ!まったなぁ〜!!」

テクテクテク

召喚士「……あの、眼鏡さん」

眼鏡「…ん?」

召喚士「眼鏡さんは、どちらかに拠点を持ったりはしないんですか…?」

眼鏡「拠点…?寝床って事かな?」

召喚士「ええ……」

眼鏡「特に…予定はないかな」

盗賊「……」

眼鏡「それが何か?」

召喚士「あ、いえ…。戦いの後、いつも姿を眩ませてしまうので……」

魔道士「そうですよっ。寂しいじゃないですかぁ…」
434 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:24:35.37 ID:pwJ74x8no
眼鏡「…ははっ、ゴメン。そういうつもりはないんだけどね」

戦士「しばらくは、この町にいるのかい?」

眼鏡「…そうだね。そうしようかと思ってるよ」

魔道士「本当ですかっ!?」

眼鏡「うん。僕もやるべき事は改めて見えてきたし……」

盗賊「…やるべき事?」

眼鏡「あぁ、うん。自分なりの目標ってやつかな」

召喚士「そうですか……」

戦士「俺らも、少しでも追いつけるように頑張らないとな!」

召喚士「うん!」

魔道士「眼鏡さん、これからも宜しくお願いしますねっ!」

眼鏡「うん。互いに頑張ろう」

召喚士「それでは、失礼します!また近いうちに…!」

魔道士「お元気で!」

眼鏡「うん。みんなもね」
435 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:25:03.22 ID:pwJ74x8no
テクテクテクテクテク…

眼鏡「……ヤマタノオロチが死んだのか」

クルッ

眼鏡「これは……そろそろ……」

ザッザッザ…カチャッ

眼鏡「……おーい」

ジュニア「ん、ん〜?」

眼鏡「起きられるか?」

ジュニア「当ったり前よぉ!まだまだイケるぜぇ〜」

眼鏡「……これはダメだな」

マスター「寝かせておいていいですよ。いつもの事ですから」

眼鏡「そうかい?それじゃ…代金だけ」

チャラッ

マスター「ありがとうございました」

眼鏡「また来るよ。……ミルクを頂きにね」
436 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:25:32.73 ID:pwJ74x8no


魔道士「いや〜結構飲んじゃいましたねぇ」

召喚士「知り合いがいるとついつい盛り上がっちゃいますよね」

盗賊「……」

戦士「何だ?酒飲めなくて不貞腐れてんのか?」

盗賊「…別に」

戦士「お前ってさ、変なところで女っぽいんだよな!カワイイっつーかさ」

盗賊「……っ!」

戦士「……あ、いやっ!?その…性格がっつーか…ほらっ、あれだよ!」

盗賊「あ、うんっ!そ、そうだな…!」

戦士「……」

盗賊「……」

召喚士「はははっ!……あれ?二人ともどうしたの?」

戦士「…別に」

盗賊「…別に」
437 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:26:02.84 ID:pwJ74x8no
〜鍛冶屋の家〜

魔道士「ただいま帰りましたー!」

おかみ「おかえりっ!……変態は大丈夫だったかい!?」

召喚士「え、えぇ……まぁ…」

おかみ「全く…。あーいう酔っ払いとは付き合っちゃダメだよぉ?」

魔道士「は、はい…っ」

召喚士「気を付けます……あ、いやっ…根は良い人なんですよっ」

鍛冶屋「おかえり!」

戦士「手伝おうか、おやっさん」

鍛冶屋「大丈夫大丈夫。手入れだけだから」

戦士「いやぁ、そうは言っても大変っしょ。手伝いますよ」

召喚士「俺もやりますよ!」

鍛冶屋「そうかい?なんだか悪いね。でもそれならオーバーホール出来そうだね!」

魔道士「オーバーホールって何ですか?」

おかみ「あぁ、一回バラして細かくメンテナンスするのさ」
438 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:26:32.49 ID:pwJ74x8no
鍛冶屋「大事なんだよ?定期的にする事で一本の武器をずっと使う事だって出来る」

魔道士「へぇ〜!」

盗賊「……凄いな」

鍛冶屋「武器も防具も、きちんと手入れさえしていれば繰り返し使えるものなんだ」

戦士「そうそう。盗賊の鎖なんてまさにそうだな」

召喚士「確かに…。耐久度はさほどないはずなのに…なかなか壊れませんよね」

鍛冶屋「それは細かなメンテナンスが出来ている事が一つ」

盗賊「……」

鍛冶屋「更には大きな要因として、鎖の繋ぎ目に結界石を挟み込む事で、
     強度を上げているのも要因だね。それから使い方っていうのも重要!
     盗賊さんの腕前によるものだろうけど、引力や無理な方向からの力が
     ほとんど掛かっていない事も貢献しているね。これは彼女の腕だね。
     でも一番なのはやはりメンテナンスが出来ている事。これは――」

召喚士(……し……しまった)

戦士(スイッチ…入っちまったか……)

魔道士「……え、えへへ……っ」

鍛冶屋「そうっ!実は腹部へ装着している事で、その負担を軽減し――」
439 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:28:24.18 ID:pwJ74x8no


おかみ「……無理しないで早く寝るんだよー」

戦士「ういーっす」

鍛冶屋「さーて、始めよっか」

召喚士「はいっ、お願いします」

鍛冶屋「戦士くんは雷切と蜘蛛切をバラしてオーバーホールして」

戦士「了解っ!研磨材あります?」

鍛冶屋「右の引き出しに入っているよ」

召喚士「俺は何をやりますか?」

鍛冶屋「こっちの手伝いをして貰おうかな」

召喚士「はいっ!」

鍛冶屋「じゃあ、まずはこの盾をバラそうか」

召喚士「えぇと、ここを外して……こうか」

戦士「おっ、なかなかいいセンスしてるじゃねぇか!」

鍛冶屋「ほんとほんと!二人ともうちで働いて欲しいくらいだよっ。はははっ」
440 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:34:45.26 ID:pwJ74x8no
〜寝室〜

おかみ「少しはゆっくり出来たかい?」

盗賊「…うん」

魔道士「出来ましたよ〜」

おかみ「工房が騒がしいけど…寝られるかい?黙らせてこようか?」

魔道士「大丈夫ですっ。お構いなく」

盗賊「…うん。いつもの事」

おかみ「あははっ!楽しいようで何より」

魔道士「毎日楽しいですよ〜。もちろん、辛い事もありますけど……」

盗賊「…うん…楽しいな」

おかみ「あの二人、いい男だからねぇ」

盗賊「!?」

おかみ「ああいう男、なかなかいないよ?絶対に逃がしちゃダメだからねっ!」

魔道士「……が、頑張りますっ!」

盗賊「……頑張ります…っ」

おかみ「あははっ!……さぁ、寝ようかね。おやすみっ!」
441 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:38:00.94 ID:pwJ74x8no
〜次の日〜

魔道士「……おはようございます〜」

おかみ「アンタら…徹夜したのかい!?」

召喚士「いえ、仮眠は取りましたよ」

鍛冶屋「二人とも優秀でね、あっと言う間に終わっちゃったよ!」

戦士「そりゃあおやっさんの下で世話になったんだからな!」

おかみ「泣かせる事言ってくれるじゃあないかいっ!」

戦士「あ、そういや鍛冶娘は元気でやってるのか?」

おかみ「ちょくちょく手紙来るけど、まぁ頑張ってるみたいだよ」

鍛冶屋「国軍付となると、なかなか色々あるからね」

召喚士「そうなのか…」

おかみ「さぁ、朝食にするよっ!手伝っておくれ」

盗賊「…はい」

魔道士「三人は座ってて下さいっ」

鍛冶屋「そうかい?じゃあ、座って待っていようかな」
442 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:42:08.80 ID:pwJ74x8no


戦士「いっただっきまーす!」

おかみ「それでこれから北だっけ?」

召喚士「ええ。このすぐ北に行きます」

鍛冶屋「あんな山脈地帯に、人なんて住んでいるものなんだね〜」

魔道士「そんなに険しいんですか?」

鍛冶屋「うん。標高は低いけど冬はかなり厳しいと思うよ」

召喚士「そっか…。標高が低い分、風当たりが強いのかも……」

盗賊「…防寒具を増やした方がいいかもな」

召喚士「そうしましょう」

おかみ「本当に気を付けなよ?何かあったらたまったもんじゃないよ」

戦士「分かってますって。無茶な事はしません!」

おかみ「ならばよし!」

戦士「そんじゃ……おかわり!!」

盗賊「……お、おかわりっ!」
443 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:45:18.41 ID:pwJ74x8no


魔道士「お腹いっぱい……」

盗賊「…うん。食べ過ぎた…かな?」

テクテクテク

鍛冶屋「はい。武具はバッチリ仕上がったよ!」

召喚士「ありがとうございます!」

鍛冶屋「いやいや、二人が手伝ってくれたからさ!」

戦士「いやぁ、それでもやっぱりこの仕上げは…おやっさんにしか出来ねぇっすよ!」

召喚士「それじゃお代を……」

おかみ「お代はいいよ。勘弁してくれよ」

召喚士「いえいえ、こちらこそそういうわけにはいきません」

魔道士「そうですよっ!いつもお世話になりっぱなしなんですから!」

戦士「これじゃ俺らが恥をかいちまう。少しばかりでもいいから受け取ってくれ」

おかみ「……だってさ、あんた…っ」

鍛冶屋「…そうだね。君達の気持ちもあるだろうし、心ばかしだけ頂戴するとしようか」
444 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:47:50.38 ID:pwJ74x8no


戦士「…うっし!バッチリ!!」

おかみ「忘れ物はない?大丈夫?」

盗賊「…うん。ありがとうございました」

鍛冶屋「また困った事があったら寄ってね!待ってるよ!」

召喚士「はい!ありがとうございます」

魔道士「おかみさん、これ…あげます!」

おかみ「あらっ!?昨日風呂で使った…いいやつじゃない?」

魔道士「はいっ。まだストックもあるので…良かったらどうぞ!」

おかみ「高い物なんじゃない?」

魔道士「そんな事ないですよ!」

おかみ「そ、そうかい…?それじゃ遠慮なく……ありがとね!」

魔道士「えへへ!こちらこそお世話になりました!」

召喚士「では、行ってきます!」

鍛冶屋「うんうん。またねっ!気を付けてね!」
445 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/24(月) 18:54:58.14 ID:pwJ74x8no
テクテクテクテク…

戦士「やっぱり、顔見知りが元気な姿見ると、こっちも元気になるよな!」

盗賊「…ああ、全くその通りだ」

召喚士「ジュニアさんや眼鏡さんも元気そうでしたし……」

魔道士「ですねぇ〜。私達も笑顔で頑張りましょう!」

召喚士「眼鏡さん、前よりなんだか表情が柔らかくなった気がしませんでしたか?」

戦士「……あー言われてみれば」

魔道士「何か心境の変化でもあったんですかね…?」

召喚士「……かもしれませんね」

戦士「…どれ、しっかりと防寒もしたし……」

盗賊「…目指すは北の山奥」

魔道士「はりきって行きましょーっ!!」

召喚士「はいっ!!」

馴染みの顔触れと再会し、元気を分けて貰った召喚士一行。

寒さ厳しく、そして道のり険しい鉱山北の山を新たな召喚獣目指し、挑むのであった。
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/24(月) 18:55:41.03 ID:pwJ74x8no
それではひとまずここまで!
ご支援ありがとうございました!失礼します!ノシ
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 19:52:42.43 ID:FnH4oegDO
>>1乙!

久しぶりに眼鏡とジュニア登場したな!
眼鏡は、酔うと元の姿に戻ってしまうのか?
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 20:00:05.78 ID:W3dz+i9DO
>>1乙っす
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 23:59:35.20 ID:i5f7mq4Io
>>1
犬は牛乳を飲むと腹を下しやすくなるという特性があってだな…
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 00:48:12.22 ID:jb7BHXtAO
>>1おつ
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/25(火) 03:20:30.46 ID:PBH6tzDDO
盗賊ちゃんのおまんこは殺人的に臭いのだ 
くんかくんか
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 06:18:19.74 ID:AEgEi6Spo
キモくても愛だけはあると思ったが
愛も品も無くしたか
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 07:44:09.79 ID:8ojXoCUSO
戦士「ウホッいい身体///」
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 08:19:15.27 ID:/rBEKoHDO
召喚士は女の子みたいな体つきなのだろうか
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 08:25:31.42 ID:jtxwR2cro
そうじゃなきゃ女装してもすぐバレるだろうしな。背が低めで華奢なんだろうたぶん
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 10:07:34.98 ID:TM81T7eto
背が低い必要はないけどスリムなんだろうね
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 12:42:02.61 ID:hL1YGXFIO
いちおつおつ
鍛冶娘は今頃どうしてるんだろなあ
いずれ本国で再会か
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/25(火) 12:43:21.13 ID:H/BfapqDO
じゃあ、170前後で細身の中性的な顔立ちをした召喚士が、師匠やコカトリスからペニスなんて呼ばれていたわけか…ハァハァ
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 13:09:57.69 ID:HT3+5zFDO
おまわりさんこっちです
460 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:14:30.28 ID:stc+OzV3o
ビュオオオオォォォォ

戦士「…くそっ、前が見えねぇ……!」

バサバサッ…ザッザッザ…

召喚士「魔道士さんっ!大丈夫ですかーっ!?」

魔道士「……はい!大丈夫ですーっ!」

盗賊「……」

この時期、北西から吹き荒れる寒風は海を渡り、この山脈へと

叩きつけられるようにぶつかる。それは北の高くそびえる山脈地帯にぶつかり、

鉱山北の低いこの山脈へ集約され、吹雪となって猛威を振るう。

折りしもこの日、その現象は厳しさを増し、四人の足取りを重いものとした。

戦士「……なるべく右のぉ!山伝いに進めぇ!!」

先頭の戦士が懸命に声を張り上げ、両足で雪をかき上げながら道を作り進む。

その後を魔道士、召喚士、盗賊の順に、吹雪の中無我夢中で前へ前へと続く。

魔道士「……っ」

山道の左側には何もなく、真下は崖。魔道士はちらりと覗き込み、息を飲んだ。
461 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:14:58.83 ID:stc+OzV3o
ザッザッザッザ…

戦士「……おっ!?」

召喚士「洞穴…っ!!」

魔道士「あそこで休めますかね!?」

盗賊「…待て。魔物や…凶暴な獣がいないとは限らぬ」

戦士「ああ。それに毒ガスとかも在り得るしな」

魔道士「な、なるほど…っ。そうですよね」

召喚士「…どうします?」

ザッザッザ

盗賊「…私が行くよ」

戦士「大丈夫か?」

盗賊「…ああ。その辺の心得は…ある」

魔道士「盗賊さんっ、無理しないで下さいね!」

召喚士「何かあったらすぐに知らせて下さい!」

盗賊「…ああ。行ってくる」
462 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:15:29.13 ID:stc+OzV3o
ザッザッザッザッザ

盗賊「……」

薄暗い洞穴の中を、盗賊は唯一人、灯りもなしに進んでいく。

盗賊(……臭いは正常。有害物質は出ておらぬようだな)

彼女の瞳孔は大きく散瞳し、大きくなった瞳孔径は獣のように暗所の奥を捉える。

通常では為し得ぬ行為ではあるが、彼女の素性を考えれば合点の事であった。

盗賊(魔物や人の気配もない……)

ピクッ!!

盗賊「!?」

バササササッ

盗賊「……蝙蝠か」

咄嗟に身構えたクナイをゆっくりと下ろし、盗賊は再び一本道をしばらく進む。

テクテクテク…ピタッ

盗賊「……行き止まり、か」
463 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:15:58.08 ID:stc+OzV3o
テクテクテクテク

魔道士「あっ!帰ってきました!!」

召喚士「どうでした!?」

盗賊「…問題なさそうだ。休めると思う」

戦士「よし、いばしここで休憩しよう」

テクテク…ザッザッザ…

戦士「うぅ〜寒…っびぃ!」

召喚士「外よりはマシだよ…。吹雪がない分ね……」

戦士「それもそうだわな……」

盗賊「…この辺りでいいだろう」

召喚士「戦士、木炭を」

戦士「濡れてない事を祈るばかりだぜ」

ゴソッ…コトコト

戦士「……よーしいいぜ。魔道士、頼む」

魔道士「はいっ。点火しまーす!」
464 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:16:28.74 ID:stc+OzV3o
ドドンッ!!…ゴオォッ

戦士「……大丈夫そうだな」

魔道士「はぁ〜っ、暖かい〜!!」

盗賊「…どの程度進んだ?」

召喚士「えぇと……」

ガサッ…パラパラッ

召喚士「……半分程度ですかね。もう少し上のようです」

戦士「しかしよ、本当にこんな所に人が住んでるのかねぇ…」

魔道士「確かにそうですよねぇ〜」

戦士「冬の間だけ移動してるなんて事もあるからなぁ」

召喚士「ただ、サモナーさんの資料だと、小さな村が存在するから…」

戦士「遊牧じゃないんだよな?」

召喚士「うん、昔からあるみたい。今もあるとは思うけど……」

戦士「……こんな所でも、人って住めるモンなんだな」

魔道士「凄いですよね……」
465 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:16:59.38 ID:stc+OzV3o
ザッ

盗賊「……行くか」

召喚士「はい。あと半分です。頑張りましょう」

ザッザッザッザ…

戦士「……うお…っ」

ビュオッ…ゴオオォォォォ

戦士「止む気配もなし。……しゃーねぇ、頑張るぞ!」

魔道士「頑張りましょーっ!」

ザッザッザッザッザ

戦士「まさかこんな所に、魔物なんていねぇよな?」

召喚士「……分からない。雪原地帯に棲む魔物もいるみたいだしね」

盗賊「……ああ、しかも凶暴だったな」

戦士「今そんな奴に襲われたら、勝てるか怪しいぜ」

魔道士「で、出ない事を祈りましょう……」

苦笑すらする余裕もなく、四人は吹雪に耐え、山道を延々と進んだ。
466 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:17:29.18 ID:stc+OzV3o


盗賊「……」

召喚士「……」

戦士「おいおい……嘘だろ…っ」

魔道士「道が……ないですよっ!?」

戦士「どうなってんだ!」

召喚士「分からないよっ!地図にはそんなところまで明記してなかったし…」

魔道士「どこかで…道を間違えたんですかね……?」

戦士「いーや、そんなはずはねぇ。脇道なんてなかったはずだ!」

ザッザッザ

盗賊「……」

召喚士「盗賊さん…?」

盗賊「……上だな」

魔道士「う、上……って」

戦士「この絶壁を登るってのかよっ!?」
467 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:18:10.98 ID:stc+OzV3o
ビュオオオオォォォォ

戦士「……っぬ…りゃあぁ!」

ガキィッ!!…グッグッ

盗賊「…クナイ…要るか?」

戦士「おう、2本くれ」

グッ…グッ…グッ…

戦士「魔道士、大丈夫か!?」

魔道士「な、なんとか……登れますっ!」

盗賊「私が先に登って、鎖を垂らす」

戦士「すまん。俺は途中までクナイで道を作って登る」

召喚士「魔道士さんは戦士の後を付いて行って下さい!」

魔道士「はっ、はい!」

盗賊「……よし、行くぞ!」

戦士「召喚士ーっ!全員登ったら合図するーっ!」

召喚士「了解ーっ!下で待機してるよーっ!」
468 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:18:40.98 ID:stc+OzV3o
ビュオオォォォォ…ゴオオォォォォ

戦士「……ファイットオオォォ!」

召喚士「いっぱああぁぁつ!!」

グイッ……ガシィッ

召喚士「……はぁ、はぁ」

戦士「全員…無事だな」

魔道士「……は、はぁ…はぁ。何とか……っ」

ジャラジャラジャラッ…ストッ

盗賊「……高地か」

戦士「どうだ〜何かありそうか?」

盗賊「……いや、何も」

魔道士「はぁ〜。もう少し先ですかねぇ?」

召喚士「距離からすると、かなり進んだと思うんですが……」

ゴウッ!!…バタバタバタッ

魔道士「きゃ……っ!」
469 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:19:07.28 ID:stc+OzV3o
盗賊「……凄い…風だなっ」

召喚士「流石にこんな風が吹く中で、建物があるとは思えない…」

戦士「……つぅ事は…反対側か」

召喚士「…うん。とりあえずこのまま真っ直ぐ反対側を目指そう」

ピクッ

盗賊「……最悪だ」

魔道士「へ…?」

ザザッ…ザザッ…ザザザッ

イエティ「まさか、こんな所でニンゲンに会えるなんて…ね!」

戦士「ちぃっ!」

イエティ「美味しく、イタダク!」

召喚士「イエティ!…戦士、気を付けてくれ!強度が並じゃないぞっ!」

戦士「……了解っ!」

盗賊「……1、2……全部で6匹か。厄介だな」

召喚士「ええ…。でも今回は大丈夫!」
470 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:20:09.96 ID:stc+OzV3o
ザッ

召喚士「魔道士さんっ、火行をっ!」

魔道士「はい……っ!」

キュイイィィィィ…

盗賊「…動きは一度見ている。……次は…っ!」

ヒュバッ!!

盗賊「……ないっ!」

イエティ「早ッ!」

薄緑を左手に持ち替え、盗賊の右手は目まぐるしく印を結んでいく。

シュバババッ…ババッ!!

結び終えると同時に、クナイを握りしめ、大声で叫ぶ。

盗賊「火遁……っ、焔!!」

シュンッ!!……ザクッ…ゴオオォォ

イエティ「ウオォ!アツイー!!」

クナイの深々と突き刺さるイエティの右腕が、一挙に炎へ包まれた。
471 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:20:45.93 ID:stc+OzV3o
ゴオオォォ

戦士「今だっ!一気に叩くぞ!!」

魔道士「はいっ!」

ザザザザッ

戦士「ふん…りゃあぁ!!」

ブオッ!!…ガカアアァァ!!

イエティ「……ッ!!」

戦士「直撃したっつーのによぉ!!」

雷切の稲妻により、わずか刹那のみ硬直したイエティだが、

戦士が追撃をかけるより早く、その態勢を立て直しカウンターに入る。

イエティ「グフフッ!」

ゴウッ!!

イエティ「――ッ!」

真横から吹き付ける突風に煽られ、イエティがよろけた。

召喚士「戦士っ、距離を!」
472 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:21:11.71 ID:stc+OzV3o
突風を起こした主であるレイピアを手に、召喚士が加勢に入る。

戦士「おうっ、サンキュ!」

召喚士「雷行は一瞬動きを封じるのがやっとだ」

戦士「…て事は」

召喚士「おそらく火行以外は……」

戦士「……そうか」

召喚士「前回はスフィンクスで一匹葬ったけど……今回は……」

戦士「……足場か」

召喚士「…うん。山の上だし、不安がある…」

戦士「…だな。召喚士は奴らを引き離してくれ。個別に叩く」

召喚士「任せてっ!牽制するよ!」

戦士「いくぞ!」

召喚士「うんっ!」

ババッ

召喚士「行けっ!ユニコーン!!」
473 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:22:32.98 ID:stc+OzV3o
シュイイィィン

戦士「魔道士!!」

魔道士「はいっ!撃ちます!」

ドドオオォォンッ!!…ゴオオォォ!!

魔道士の放つ炎は四人と魔物の群れへ境界線を敷くように地を駆ける。

イエティ「熱…っつ!なんだぁ!?」

魔道士「次っ…」

ボンッ!!

ユニコーン「目晦ましだよぉ!」

イエティ「!?」

炎の中から突如飛び出したユニコーンが、その角でイエティの腹部を捉え、

刺さらないものの、その一体を一気に後方へと吹き飛ばす。

ガスッ…ズザザアァ

戦士「今だぁ!」

魔道士「はいっ!!」
474 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:24:08.55 ID:stc+OzV3o
ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォ!!

先程より巨大な炎の魔法が、雷切の刀身へと纏い付き、

戦士はそれを地べたに転ぶイエティめがけ宙より振り下ろした。

ザシュッ……ゴオオォォッ!!

イエティ「――!!」

戦士「次ぃ!!」

魔道士「はい!」

着地と同時に戦士は右方を指差す。その先、魔道士の目に飛び込むのは、

右腕を負傷したイエティを鎖で拘束し、力比べの状態で対峙する盗賊の姿。

ザッザッザッザ…ザザッ

同時に戦士と魔道士が走り出す。

盗賊「……っ!!」

ググッ……グイィ!!

イエティ「ウ…オォ!?」

魔道士「撃ちますよっ!!」
475 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:25:14.58 ID:stc+OzV3o
ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォ!!

戦士「おっしゃあぁ!!」

力任せに鎖を曳き、耐え切れずにバランスを崩したイエティ。

その態勢を整える間もなく、頭上より戦士の一刀が振り下ろされる。

ザシュウゥ!!……ゴオオォォ

イエティ「ギ…イアアァァ!!」

ドシャアァ

召喚士「残り四体……!」

イエティ「何なんだコイツらぁ!!」

戦士「退がれっ!!」

盗賊「……っ!」

その言葉に素早く反応し、盗賊は魔道士を抱き抱え後方で伏せる。

ババッ!!

イエティ「ガアアァァァァ!!」

キュイイィィ…ドドオオォォンッ!!
476 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:26:22.79 ID:stc+OzV3o
一匹のイエティが口から放つ猛吹雪。いや、吹雪というよりそれはもはや、

氷のつぶてが針のように飛び交う、致死性を持った技である。

盗賊「戦士っ!!」

戦士「……っ!!」

ズガガガガガッ!!…ギキイイィィンッ

氷霧舞う中、左腕の盾を身体の前に突き出した戦士の姿が浮かび上がる。

戦士「……へっ、へへ…。流石は…炎の盾……っ」

イエティ「……っ!?」

盗賊「ちっ!」

ザザッ

イエティ「く、くそ…っ!」

ザザッ…ザザッ…

魔道士「!?」

召喚士「逃げて…いく…っ!?」

戦士「……っ」
477 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:27:42.91 ID:stc+OzV3o
ザシャッ

召喚士「戦士っ!」

ザッザッザッザ…

戦士「っくぅ!冷てぇ……っ」

盗賊「大丈夫か!?」

戦士「……ああ。だがこの盾じゃ全て防ぐには小さかったな…っ」

召喚士「立てる…?」

戦士「…ああ、わりぃ。だが……」

フルフルフルッ

戦士「ちょいと剣は…握れそうもねぇな」

魔道士「……っ」

戦士「…さぁ、先を進むぜ……っ」

召喚士「……うん」

盗賊「魔道士、行くぞ」

魔道士「…は、はい……っ」
478 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:28:51.24 ID:stc+OzV3o


ザッザッザッザッザ

盗賊「……!?」

魔道士「あれって…屋根じゃないですか!?」

吹雪の中目を細め、崖下の人工物らしきものを見つけた四人。

召喚士「……そう見えますね、行ってみましょうか!」

戦士「…降りられそうか?」

盗賊「…こっち、緩やかな所がある」

ザッザッザ…

戦士「……緩やかっつーか、道みたいになってるな」

魔道士「人が住んでいるんでしょうか…?」

召喚士「かもしれません」

ズザザァ…ザッザッザ…

盗賊「……間違いない」

戦士「ああ。こりゃあ……家だな」
479 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:29:54.42 ID:stc+OzV3o
吹雪荒れる山奥。ひっそりと高地の下に佇む、一軒の民家らしきもの。

召喚士らはゆっくりと近づき、扉を叩いた。

トントン

召喚士「……」

戦士「誰もいないのか?」

召喚士「でも、灯りも付いているし、暖も取っているようだけど……」

カチャッ

召喚士「あ……」

ノックから少し間を空けて、一人の女性がドアの隙間より顔を見せる。

召喚士「あの、すみません……」

女「……はい」

召喚士「この辺りに、召喚士はいらっしゃいますか…?」

女「……」

戦士「…すまねぇ、怪しいモンじゃないんだ。ちょっと人探し……」

――「何をしている」
480 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:30:40.88 ID:stc+OzV3o
四人の背後より一人の男が現れ、声をかける。

盗賊「!?」

ザッザッザ

魔道士「あ、あの……っ」

召喚士「すみません。人探しをしておりまして……」

男「人…?」

召喚士「はい。この辺りに白虎召喚士がいらっしゃると……」

男「……それで?」

召喚士「召喚獣についてご相談が……」

男「ふぅん。……入れ」

魔道士「へ…っ!?」

男「入れ、と言ったんだ。構わないよな?」

女「う、うん…っ」

召喚士「あ、あのぉ…」

男「いいから入れ。俺に用があるんだろう?……召喚獣の事で」
481 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:32:11.20 ID:stc+OzV3o
〜屋内〜

テクテクテク…カチャッ

女「……どうぞ」

魔道士「ありがとうございます」

召喚士「……あの、えぇと…」

男「……山師だ」

召喚士「あの、山師さんが…白虎召喚士なんですね?」

山師「…そうだ」

戦士「…妹さんかい?」

女「……っ」

山師「いいや、赤の他人だ。面倒を見ているにすぎん」

盗賊「……」

山師「便宜上、名乗らせてはいるがな」

女「……山師妹…です」

魔道士「魔道士です。宜しくお願いしますっ」
482 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:33:13.45 ID:stc+OzV3o
戦士「俺が戦士。んでそっちが盗賊と召喚士」

盗賊「…宜しく」

山師「それで、召喚獣とは何の話だ?」

召喚士「山師さんが所有する召喚獣…ザントマンですよね?」

山師「……どこで得たかは知らぬが、随分詳しいじゃないか」

召喚士「そこでお願いがあります」

山師「ザントマンを会得したいと?」

召喚士「……いかにも」

山師「なるほどな」

召喚士「……お願い出来ますか?」

山師「……」

スクッ

召喚士「…?」

山師「そろそろ水をやる時間だろう?」

山師妹「…う、うん」
483 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:34:36.77 ID:stc+OzV3o
山師「少し席を外す」

召喚士「は、はい」

テクテクテクテク

戦士「……病人か何かか?」

盗賊「…かもしれんな」

しばらくの後、二人は再び召喚士らの前へと姿を現した。

テクテクテク

山師「すまないな」

召喚士「いえ。どなたかご病人ですか?」

山師「こいつの姉だ」

魔道士「お姉さん…ですかっ?」

山師妹はただ黙って、二度ほど小さく頷く。

戦士「ひどいのか…?」

山師「寝たきりさ。目も覚まさん」

召喚士「……」
484 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:36:15.59 ID:stc+OzV3o
山師「……さて」

スクッ

山師「ザントマンの件は分かった。明日にでも俺の家を訪ねてくれ」

戦士「明日!?」

山師「今日は所用があるんでな。家はここから道伝いの一番奥だ」

テクテクテク

戦士「お、おいっ…ちょっと」

山師「……」

パタン

魔道士「……行っちゃいましたね」

召喚士「え、えぇ……」

山師妹「……っ」

召喚士「あの……」

山師妹「……っ!」

召喚士「山師さんは一体……」
485 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:36:58.09 ID:stc+OzV3o
山師妹「……っ」

戦士「……召喚士」

召喚士「…うん」

スクッ…スクッ

召喚士「お邪魔しました」

魔道士「お茶、ご馳走様でしたっ」

テクテクテクテク…パタン

戦士「相当な人見知りだな、ありゃ……」

召喚士「うん。あれ以上は失礼だよね」

盗賊「…しかし、どうする?」

戦士「参ったな。まさか日を跨ぐ事になろうとは……」

魔道士「こんな中で野宿したら…死んじゃいますよ!?」

召喚士「……何とかしないとなぁ」

ザッザッザッザッザ

盗賊「……ん?」
486 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/25(火) 18:38:39.08 ID:stc+OzV3o
ザッザッザ…

山師「……何だ、外出か?」

戦士「いやいや、あの家に泊まるワケにはいかんだろ」

山師「この先に村長の家がある。相談でもしてみたらどうだ?」

召喚士「本当ですか!?ありがとうございます」

戦士「……これから狩猟か?」

山師「ああ。この時期は食糧もロクにないからな」

ザッザッザッザッザ

戦士「…だったら住まなきゃいいのにな」

魔道士「色々あるんですよきっと。故郷だってそう簡単には離れられないものですっ」

戦士「……まぁ、それは確かに」

召喚士「ひとまず、村長さんの所へ行ってみましょうか」

盗賊「…だな。それが賢明だ」

戦士「この先って言ってたよな。行きゃ分かるかな?」

辺りが薄暗くなる中、召喚士達は村長の家を目指し吹雪の中を進んだ。
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/25(火) 18:52:37.21 ID:stc+OzV3o
それでは失礼致します。ご支援感謝!ノシ

>>449
さては飼ってますね!?そうなんですよねー

召喚士は華奢ではないですがボクサー体型で
着やせするという事で……
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 18:54:14.61 ID:TM81T7eto

そう考えると召喚士ってイケメンだな
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/25(火) 18:55:30.10 ID:+6FDswfDO
>>1
召喚士はドラクエ4のクリフトだと思うんだ
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 20:09:16.39 ID:eZXaRm9bo
>>1

筋肉隆々の召喚士子・・・・・・


正に脱ぐと凄いんですだなwwwwww
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 21:10:28.70 ID:rcE73IjL0
細マッチョ系ってことだろ?
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 22:15:28.11 ID:jb7BHXtAO
眼鏡さんは魔物だし人間の酒は薄くて飲みにくいからって想像してたわ
493 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 00:05:52.79 ID:9b+uM0Svo
〜村長の家〜

コンコン……カチャッ

村長「……?」

召喚士「こんばんは」

村長「どなたかな?」

召喚士「始めまして。ワーカーの召喚士と申します」

村長「ワーカー。今時珍しいのう。それで、何用かね?」

召喚士「実は山師さんに用があったのですが、外出されるとかで……」

村長「山師……ねぇ」

召喚士「はい。それで明日まで待って欲しいとの事でして……」

村長「成程、泊まり先を探しておるのだな。まぁ、入ってくれ」

召喚士「すみません。ありがとうございます」

村長「さぁ遠慮なさるな。寒かろうて……」

魔道士「お邪魔致します」

戦士「すんません」
494 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 00:08:05.76 ID:9b+uM0Svo


召喚士「……と、いうわけなんです」

村長「成程のう。それはそれは、ご苦労じゃったのお」

魔道士「それで、泊まる所をご紹介頂ければと……」

村長「構わぬよ。ここへ泊まりなさい」

召喚士「えっ!?い、いいんですか……?」

村長「ああ。この辺りには宿なぞないし、野宿も到底出来ぬ」

戦士「それは助けるけど、いいんですかい?」

村長「何も君達が初めてというわけでもない」

盗賊「……」

村長「この付近を尋ねるワーカーはよく泊めたものじゃよ」

召喚士「へぇ、そうなんですか」

戦士「じゃあ……お言葉に甘えるとすっか…?」

魔道士「何だかすみません…本当……」

村長「構わん構わん。気にせず休んでいってくれ」
495 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 00:08:34.98 ID:9b+uM0Svo


村長「部屋はここを自由に使っておくれ」

召喚士「ありがとうございます」

村長「他に何かあるかの?」

盗賊「……特に…ないか?」

魔道士「あの……」

村長「ん?」

魔道士「山師妹さんのお姉さんは、ずっとご病気何ですか?」

村長「……」

召喚士「先程、そう病気だと伺ったもので……」

村長「…いつぞや、一切の眠りから覚めなくなってしまっての」

戦士「眠り…?ずっと眠ったままなのか?」

村長「……うむ」

魔道士「何だか、眠り姫のお話みたい」

戦士「眠り姫?」
496 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 00:09:10.81 ID:9b+uM0Svo
魔道士「童話ですよ。小さい頃、絵本で読んだりしませんでした?」

戦士「絵本なんてなかったし…なぁ?」

召喚士「う、うん…」

魔道士「えぇー!?じゃあ魔物と老人とかも知りません?」

戦士「なんじゃそりゃ?」

魔道士「森に怖〜い魔物が棲んでて、人間を襲って食べちゃうんです」

盗賊「……っ」

魔道士「でも、日頃良い行いをしているお爺さんは、魔物にも教われずに済むんです」

召喚士「善行を積めば徳を得るという教えですね」

戦士「哲学的だなぁ」

村長「まさに眠り姫じゃよ」

召喚士「眠り姫…というのは、その名の通りですか?」

魔道士「はい。眠り続ける姫が王子のキスで目覚めるというお話です」

戦士「…王子の…キス、ねぇ」

魔道士「ロマンチックじゃないですかっ」
497 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 00:12:52.07 ID:9b+uM0Svo
召喚士「どれくらいそのような状態が続いているんです?」

村長「うぅむ…。もう1年、いや…もっとか」

戦士「そんなに…?」

村長「…うむ。あの姉妹もかつては将来を嘱望された魔道士姉妹だったのじゃが…」

盗賊「…そうなのか」

村長「全てはあの、山師と山師姉が婚約を結んでからじゃ…」

召喚士「婚約…ですか」

村長「そう。そのしばらく後からあんな事になってしまった……」

盗賊「……」

召喚士「眠り……か」

村長「ここだけの話じゃがな、皆は山師が何かしたと思うておる」

魔道士「山師さんがですか!?」

村長「そう。奴の持つ召喚獣は、眠りを司るものなのじゃよ」

戦士「……ザントマンか…っ!」

召喚士「……」
498 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 00:13:56.31 ID:9b+uM0Svo


魔道士「それでは、おやすみなさいですっ」

村長「わしは居間の方におるから、何かあったら声を掛けてくれ」

召喚士「はい」

テクテクテク…パタン

盗賊「……」

戦士「さっきの話だが、どう思う?」

召喚士「……うぅん」

戦士「確かにザントマンは、資料によると敵を眠らせる力を持ってるんだよな?」

召喚士「…うん」

魔道士「でも、何で自分の婚約者にそんな事…っ」

召喚士「そこなんですよね。まるで話がおかしい……」

戦士「でもよ、他に原因はあるのか?」

盗賊「…明日にでも――」

ピクッ…ガタッ!!
499 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 00:14:52.97 ID:9b+uM0Svo
戦士「どうした!?」

盗賊「……」

ササッ…

盗賊「……人の気配がしたのだが」

戦士「窓の外か!?……誰もいねぇぞ?」

魔道士「この吹雪ですし、ましてや夜中ですよ…?」

盗賊「……獣か…?」

召喚士「魔物ではないんですね?」

盗賊「…ああ。少し過敏になっているのかもしれぬ。……すまん」

召喚士「いえいえ。とにかく、今日は休んで明日…改めるとしましょう」

戦士「だな。四の五の考えててもしょーがねぇや」

魔道士「山師さんに聞けば、何か解決方法が見つかるかもですねっ」

召喚士「ええ。そうしましょう」

魔道士「それでは、おやすみなさーいっ!」

盗賊「……おやすみ」
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 00:20:59.23 ID:9b+uM0Svo
召喚獣集めとか、よく考えたら新キャラ出さないといけなかった…
あんまり増やすつもりなかったんですが、すみません…

ほんと無駄に多くてすみません…
なんとなく必要な時に設定まとめて下さった方のレスを
ななばつ様で見て頂ければ幸いです…
そしてななばつ様、まとめ更新ありがとう!

では、おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

ゴルリン(俺は知っている……)



ケルベロス『酒だーっ!!酒持ってこーい!!』

ゴルリン『ケルベロス様っ!も、もうその辺にて……』

ケルベロス『うーるせぇ!!酔いはこれからよっ!!』

ゴルリン『ひいいぃぃーっ!!』

ケルベロス『グワーッハッハッハ!!血が滾ってきやがったぜえぇ!!』



ゴルリン(そう言って、一晩で街を三つ程焼け野原にした事もありました……)

眼鏡「ちっ、違うんだよ!あ、あれは…その……ごめんなさい」
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 00:24:23.76 ID:WmYnB30DO
眼鏡wwwwwwおい眼鏡wwwwwwwwww

>>1乙っす!
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 00:39:44.76 ID:N2fFRf4Uo
>>1
これが真相だったら魔法剣士どうすんだろ……

503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 01:34:04.09 ID:OCq15DlAO
>>1おつ

眼鏡と盗賊と白虎長が一緒に酒飲んだら大変だな
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 02:09:24.03 ID:OLSmg/lSO
メガネロス「我の酒が呑めぬか…?フハハッ!地獄で焼け[ピーーー]い!!」
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 08:10:43.09 ID:OSsd4ISDO
>>1
ゲームで言うレベル30くらいかな今って
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 08:35:21.55 ID:2i+oX/kAO
>>505
二回行動できるようになるんですね、わかります
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 10:42:47.08 ID:KoYF9UfXo
ロードスのリプレイがなんたらかんたら
508 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:47:27.38 ID:QcMRLlRAo
〜次の日〜

村長「おはよう、もっとゆっくりしておっても良いのだぞ?」

召喚士「おはようございます。何だか…早く目が覚めてしまって…」

盗賊「…しかし…吹雪は止まぬな」

村長「この時期はいつもこうじゃて。自然には逆らえぬ。仕方あるまい」

召喚士「そうですか…。大変ですね」

村長「確かに大変じゃ。しかしな、生まれた時からこの生活をしておる」

盗賊「……」

村長「それが大変などと思った事はないよ」

召喚士「……すみません」

村長「いや、経験のないものにとっては大変と思うておかしくはなかろう」

盗賊「…越したりしようと思わぬのか?」

村長「生まれ育った地を離れるなど、そう簡単には出来ぬわい…」

盗賊「……なるほどな」

村長「さて、食事にしよう。大した物はないが遠慮せず食して下され」
509 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:47:54.27 ID:QcMRLlRAo


魔道士「いただきますっ」

戦士「こりゃあ…何ですか?」

村長「魚卵の塩漬けじゃよ。食うてみぃ、美味いぞ」

戦士「……ほぉ、こいつはうめぇ!!」

魔道士「本当ですねっ!食感がたまりません〜」

村長「このような地では越冬の為の保存食が欠かせないからのう」

戦士「そうそう!北じゃあ当たり前の事だよなっ」

召喚士「なるほど。塩漬けにする事で、腐敗を防いでいるんですね…」

魔道士「これって…何の卵ですか?」

村長「カドじゃな」

盗賊「カド…あぁ、ニシンか」

村長「もちろんカドも干物にして保存しておる。今、持ってきてやろう」

召喚士「すみません…。なんだか色々と……」

戦士「これはなかなかの珍味だな!酒にも合いそうだ!」
510 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:48:26.96 ID:QcMRLlRAo


魔道士「ご馳走様でしたーっ」

村長「お粗末様じゃ」

戦士「さぁてと、早速山師さんの所へ行ってみるとするか」

召喚士「そうだね」

村長「気を付けなされよ。あの男、いまいち掴みどころがないからの」

盗賊「……」

村長「家は分かるかの?」

魔道士「はいっ。確か道なりにずっと奥…でしたよね?」

村長「うむ。……付き添うか?」

召喚士「いえ、俺らだけで大丈夫です。行ってきます」

戦士「荷物だけすんません、置かせて貰います」

魔道士「では、行ってきますー」

テクテクテク…ガチャッ…パタン

村長「……」
511 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:48:52.25 ID:QcMRLlRAo
ザッザッザ…

戦士「昨日よりは吹雪もマシみてぇだな」

盗賊「…ああ」

魔道士「でも、山師さんて…そんな悪い人には見えませんでしたけどね」

召喚士「ええ…」

戦士「村長が言うんだから、何かあるんじゃないのか?」

召喚士「うぅん……」

戦士「…まぁ、召喚士ってのは…変わり者が多いからな」

召喚士「え!?ちょっと待ってよ、それって俺も入ってるの!?」

戦士「……さぁ。どーだろうなぁ」

召喚士「も〜っ!」

戦士「悪かったな、冗談だよ!はははっ」

魔道士「召喚士さんはそんな事ありませんよっ、ふふっ」

盗賊「……あれじゃないのか?」

召喚士「本当ですね。道が終わって、家が一軒だけある…」
512 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:49:21.93 ID:QcMRLlRAo
ザッザッザッザ

戦士「いるかな?」

トントン

召喚士「……」

カチャッ

山師「……やぁ。入ってくれ」

召喚士「…失礼します」

魔道士「お邪魔しまーす」

盗賊「……」

山師「えぇと、それで――」

ブツンッ

召喚士(……あれ?何だ……!?)

魔道士「ふぁ……っ!?」

戦士「――っ」

盗賊「……」
513 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:49:52.96 ID:QcMRLlRAo
ドササッ

山師「…………」

魔道士「すーっ……すーっ、すーっ」

戦士「……むにゃ」

盗賊「……」

召喚士「…くぅ……すーっ、すーっ」

山師「……」

フワッ…スタッ

山師の横に、大きな袋を背負った老人が降り立つ。

それは人のような外見をしているが人ではない。召喚獣である。

ザントマン「……やれやれ。こういう事は気が引けるわい」

山師「すまんな」

ザントマン「それで、どうするつもりなのじゃ?」

山師「ここからは俺の事だ。関わる必要はない」

吐き捨てるような台詞と同時に、山師はザントマンの召喚を解いた。
514 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:50:23.87 ID:QcMRLlRAo


山師「……」

テクテクテク

山師「恨みはないが……」

ガチャガチャッ…ゴトッ

山師「……」

ザントマンの能力により熟睡する四人に背を向け、引き出しを空ける山師。

心では『そんなはずはない』、と思いながらも、ゆっくりとその顔を振り返る。

スッ…テクテクテク

山師「……っ!!」

テクテクテクテク…チャキッ

山師「……バカなっ!?何故……っ!!」

盗賊「…私には利かない。いや、少しは利いたがな」

山師「ちぃ…っ!」

慌てて引き出しより取り出だしたナイフを体の正面へ身構える。
515 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:50:53.08 ID:QcMRLlRAo
山師「……っ」

盗賊「……」

ザントマンの力によって盗賊が眠りに落ちていた時間はわずか数十秒。

盗賊は気付いてすぐ、起き上がろうとはしなかった。

山師「……くっ!」

ヒュオッ…キィン!!

盗賊「……」

山師と盗賊。傍から見れば暴漢に襲われる女性の絵に見えるかもしれない。

しかし実際は全くの逆。場数を踏んだ前衛の女忍者と一ワーカーでは、

その力の差は歴然であり、山師のナイフは盗賊のクナイ一振りで床に落ちた。

山師「……っ」

盗賊「動くな!」

ピクッ

山師「……」

この形を作る為、盗賊は敢えてすぐ起き上がらなかったのである。
516 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:51:25.75 ID:QcMRLlRAo
盗賊「……何が狙いだ?」

山師「……」

盗賊「…まぁ良い。それよりもまずは……」

チャキッ

盗賊「三人を元に戻せ。出来るな…?」

山師「……戻るさ」

盗賊「…?」

山師「自然と目が覚める。時間はかかるけどな」

盗賊「…どの程度だ?」

山師「10分か30分か…。遅くとも半日以内には覚める」

盗賊「…まことであろうな?」

山師「ああ。だから、そのナイフを降ろしてくれ」

盗賊「…両手を頭の上に乗せ……離れろ」

山師「……」

盗賊の言葉に、山師は黙って従う。
517 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:51:52.27 ID:QcMRLlRAo
ススッ

盗賊「……」

少し距離の離れた所へ三人の身体を移す盗賊。

山師はその姿をただじっと黙って見守っている。

盗賊「……ふーっ」

山師「……」

沈黙の中、ただ時間だけが過ぎてゆく。

山師「…なぁ」

盗賊「……」

山師「まさか眠らないなんて、驚いたよ」

盗賊「…そうか」

山師「何か、耐性でもあるのか?」

盗賊「……まぁな」

山師「そうか……」

盗賊「……」
518 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:52:22.83 ID:QcMRLlRAo


山師「…あまり、警戒しないんだな」

盗賊「……」

山師「自信があるのか……」

盗賊「…お前より…私の方が上だ」

山師「まぁ、そうだろうね」

盗賊「…それに、致命傷を与える召喚獣もないのだろう?」

山師「何でそう思う?」

盗賊「…あれば、入ると同時にそれで攻撃をしているはずだ」

山師「鋭いね。咄嗟に判断したのか……」

盗賊「…殺意がないとみえる。何が目的だ」

山師「……」

盗賊「……」

モゾッ

召喚士「ん…っ……」
519 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:52:50.74 ID:QcMRLlRAo


戦士「……ふあぁ」

魔道士「……すっかり…油断しました」

召喚士「…それで、何が目的なのです?」

山師「……」

戦士「返答次第じゃ……」

召喚士「待ってくれ。山師さんは戦うつもりはないわけだし……」

戦士「でもよぉ…」

召喚士「山師さん、俺らはあなたの敵ではないんです」

山師「それは分かってるよ」

召喚士「だったら……」

戦士「なぁ、アンタがあの…山師姉を眠らせたのか?」

山師「……」

戦士「もしそうなら、何が狙いだ?」

山師「…違う!それは違うのだ。……信じてくれ」
520 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:53:26.30 ID:QcMRLlRAo
召喚士「……」

戦士「信じてくれったって、こんな事されちゃあ……」

盗賊「…多分…違うと思う」

魔道士「え…?」

盗賊「…この者は先程…目覚めるまで最長でも半日と言った」

山師「……」

戦士「じゃあ、何なんだよ!?」

召喚士「正直な話、関連性がないとは思えません」

山師「……」

召喚士「山師さん、あなたでないと言うのなら何が原因で……」

山師「帰ってくれ」

召喚士「……」

山師「帰ってくれないか?君達には関係のない事だろう」

魔道士「で、でも……っ」

山師「頼むから帰ってくれ。そして、もう放っておいてくれ」
521 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:53:54.17 ID:QcMRLlRAo
盗賊「……」

召喚士「山師さん。あなたが口を開いてくれねば、村長や皆も不信を募らせています」

山師「構わんさ。村長達にも関係のない事だ」

戦士「召喚士、もういい。お望み通り帰るとしよう」

魔道士「……っ」

戦士「こいつの言う通り、所詮俺らは部外者だ。構う必要ねぇ」

召喚士「……山師さん」

山師「彼の言う通りだ。ザントマン会得の件は済まなかったな」

召喚士「……」

戦士「ほれ、行くぞ」

魔道士「ちょっと…っ、戦士さん……っ」

盗賊「……魔道士、行こう」

魔道士「……っ」

テクテクテクテク…パタン

山師「…………っ」
522 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:54:20.98 ID:QcMRLlRAo
ザッザッザッザ

戦士「…ったく、何なんだよ畜生…っ」

魔道士「でもやっぱり、何かあるんですよっ」

召喚士「ええ……」

魔道士「このまま…放っておくなんて……」

戦士「でもよ、本人が何も教えてくれないんじゃ……」

召喚士「…仕方ない。山師妹さんの所へ行ってみましょうか」

戦士「そこまでお節介する必要もねぇと思うぞ?」

召喚士「でも、気になるじゃん」

魔道士「そうですよっ。山師姉さんが目覚める解決になるなら…」

戦士「…はいはい。ほんと物好きだよなお前らもよ」

魔道士「乗りかかった船ですよっ。それに会得だって諦めたくないじゃないですか」

召喚士「まぁ、確かに……」

盗賊「…とりあえず…行ってみようか」

戦士「行くだけだぞ?余計な事に首突っ込む事ぁねぇからな」
523 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:55:05.66 ID:QcMRLlRAo
〜山師姉妹の家〜

トントン

召喚士「……」

魔道士「ごめんくださーい」

カチャッ

山師妹「……っ」

召喚士「こんにちは」

山師妹「……」

魔道士「あのぉ、宜しければ…お話させて貰えませんか…?」

山師妹「……」

召喚士「……お姉さんの事聞きました。何か助けになればと思って…」

山師妹「……っ!」

グッ…パタ…ガシィ

戦士「……なぁアンタ、何か…隠してないか?」

山師妹「……っ」
524 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:55:35.28 ID:QcMRLlRAo
召喚士「戦士っ!」

戦士「ドア押さえただけだろ。それに……」

盗賊「…何か…知っているのか?」

山師「…わ、私は……っ」

ザッザッザッザ…

山師「何をしているっ!?」

魔道士「山師さん…っ」

山師「帰れと言っただろう!その子は関係ない!」

召喚士「山師さん、一体何を隠しているというんですか!?」

山師「何も隠してなどいないっ!いいから離れろ!」

魔道士「……っ」

山師「もし出来ぬというのなら……」

ザッ

戦士「……やる気か?……四人を相手に」

山師「……やむを得んだろう」
525 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:56:28.29 ID:QcMRLlRAo
魔道士「ちょっと……っ!」

ザザッ!!

盗賊「来る!魔道士、退がれっ!」

山師「共に立てっ、ザントマン!!」

シュイイィィン

召喚士「あれが……ザントマン……!」

ザントマン「やれやれ……」

再召喚された老人は、背負った袋の口を大きく開く。

山師「山師妹っ!家の中へ入っていろ!!」

山師妹「う、うん…っ」

ゴアッ!!

盗賊「目を瞑れ!!」

戦士「!?」

魔道士「えっ!?目……っ!?」

山師「まさか……そこまで気付いたというのか!?」
526 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:57:15.84 ID:QcMRLlRAo
ザントマンの開いた袋の中より、肉眼では決して見えぬ粉が放出される。

それは追い風に乗り、四人の元へと吹雪に混じり到達する。

ズオオォォッ

目を瞑る瞬間、山師の位置を確認し、走り出したのは戦士と盗賊の二人。

しかしながら戦士はその足を途中で止める。

戦士(……ちぃっ、昨日の凍傷で刀が…っ!)

立ち止まる戦士は、途中で攻撃ではなく構えだけを模し、

山師とザントマンに対して、威圧を放ちかける。

ゴゴゴゴゴッ

山師「……っ!?」

戦士(今の俺に出来る精一杯だ。盗賊、頼んだぜ…!)

ザッザッザ…ザザザッ

山師「何っ!?」

戦士の威圧に気を取られた隙に、盗賊は山師の背後へと回り込む。

右手で抜いた薄緑が振り下ろされ、山師の後頭部を捉えた。
527 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:57:41.70 ID:QcMRLlRAo
ブオンッ!!…ガゴッ……ドサッ

盗賊「……ふーっ」

ザントマン「……く、お――」

シュイイィィン

召喚士「召喚獣の気配が消えた!?盗賊さんっ!?」

盗賊「……待て、一斉に目を開けてはならぬっ」

召喚士「ええ…。戦士、魔道士さん…ちょっと待ってて下さい」

戦士「おう。…頼む」

スウッ

召喚士「……うん、大丈夫」

戦士「よし、俺らも開けるぞ」

魔道士「はい…っ」

スウッ

戦士「……問題なさそうだな」

魔道士「…ですね」
528 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:58:09.47 ID:QcMRLlRAo
ザッザッザ

盗賊「……」

戦士「殺してないだろうな?」

盗賊「…馬鹿を言え」

戦士そんで、どーするよ?」

召喚士「ひとまず山師さんを、家の中へ入れないと……」

ザッザッザ…トントン

戦士「しっかし、目を瞑れって…よく気付いたなぁ」

盗賊「…先程…食らったからな。そこで気付いた」

カチャッ

山師妹「……っ!!」

召喚士「大丈夫。気を失っているだけです」

山師妹「……山師…さんっ」

召喚士「家の中へ入れてあげて下さい。ここでは身体も冷えてしまいますから」

山師妹「……」
529 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:58:36.81 ID:QcMRLlRAo
〜室内〜

メラメラッ…パチッ

山師妹「……」

召喚士「すみません。俺らまで……」

山師妹「……っ」

戦士「…どうだ?」

盗賊「…そんなに強くは打っておらぬし、しばらくすれば目も覚めるであろう」

仰向けに横たわる山師の後頭部へ冷やしたタオルを挟み込む盗賊。

戦士「…そんで、こうなったら話して貰おうじゃねぇか」

山師妹「…………」

召喚士「い、いやっ…あの!もし良かったら、お姉さんの見舞いを……」

目に涙を浮かべる山師妹を見て、召喚士は慌てて口を開く。

魔道士「そうですよっ。私も…お見舞いさせて下さいっ」

山師妹「……っ」

召喚士「無理にとは言いません。……お願い…出来ませんか?」
530 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:59:03.61 ID:QcMRLlRAo
〜山師姉の部屋〜

カチャッ…キイィ

山師姉「……ど…うぞ」

魔道士「失礼しまーす」

小声で部屋の中へと入る魔道士。召喚士がそれに続き部屋内へ足を踏み入れる。

テクテクテク

魔道士「……こちらが…山師姉さん」

召喚士「……」

ベッドの上で眠る色白の女性。心なしかやや頬がこけ、悲壮さを余計に醸し出す。

召喚士「お姉さんが目を覚まさない、何か心当たりは……?」

山師妹「……」

魔道士「別に…病気とかではなさそうですね」

召喚士「…ええ。やはり山師さんのザントマンが関係しているのかな?」

山師妹「……んっ」

召喚士「え…?」
531 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:59:31.17 ID:QcMRLlRAo
山師妹「……あの人は…関係ありま…せん……っ」

魔道士「……」

召喚士「…ならば、誰が関係しているんです?」

山師妹「……」

召喚士「あの人『は』、と仰いました。山師妹さん、あなたが関係しているんですか?」

山師妹「……た…しっ」

召喚士「関係……しているんですね?」

山師妹「……わ…私は……っ、私は……ぁ」

ガクンッ

召喚士「!?」

その場に崩れ落ちる山師妹を支える召喚士。

山師妹「私は……っ、そんな……そんなつもりでえぇ…っ!」

魔道士「……山師妹さん…っ」

召喚士「事情があるようですね。……聞きましょう」

山師妹「ごめんなさいぃ…っ!私っ……お姉ちゃ……!」
532 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 18:59:57.51 ID:QcMRLlRAo


山師妹「……私達姉妹は、この村で生まれ…育ちました」

召喚士「……」

山師妹「姉は16歳の時、魔道学校へ入学し、この村を離れました」

盗賊「……」

山師妹「その間、私の面倒を見てくれたのが……山師さんです」

戦士「なるほどな。身寄りはなかったわけか」

山師妹「…はい。山師さんは私を実の妹のように…可愛がってくれました」

魔道士「なるほど……」

山師妹「でも、私は兄としてではなく……その……」

召喚士「想い人として…見ていた?」

山師妹は黙ってこくりと頷く。

盗賊「…それで?」

山師妹「本当に毎日が楽しくて……幸せでした」

戦士「……」
533 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 19:00:33.92 ID:QcMRLlRAo
山師妹「私はずっと…この村で、ずっと暮らしていけたら…と。そう思ってました」

召喚士「……」

山師妹「でも、山師さんは…ワーカーになろうとしていました」

戦士「ほぉ」

山師妹「出て行って欲しくないと…口にした事もありましたけど……」

召喚士「…決意は固かったわけですね?」

山師妹「だったら、私も手助けが出来るようにと、そう考えました」

盗賊「……」

山師妹「そして二年後、私も後を追うように魔道学校へ入りました」

召喚士「優秀な魔道士姉妹だったって、聞きましたよ」

山師妹「魔道学校での一年は、本当に楽しかったです」

魔道士「お姉さんが三年生で、山師妹さんが一年生ですもんね」

山師妹「ええ…。そして、あっと言う間の一年でした……」

戦士「お姉さんは無事に卒業したんだよな?」

山師妹「……はい。卒業し、この村へと帰ったのです」
534 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 19:01:01.75 ID:QcMRLlRAo
盗賊「……」

山師妹「……それで……それ…で…っ」

戦士「…?」

山師妹「……二人は…ワーカーに…っ」

召喚士「……」

山師妹「私が卒業し……この村へ戻った時には……」

召喚士「二人は…婚約していた、と?」

山師妹「…………」

戦士「…そんで?」

山師妹「二人は、三人で……この村で暮らそうと言いました」

魔道士「ワーカーにはならなかったのですか?」

山師妹「山師さんは結局、召喚獣を一つしか覚えられなかったようで……」

召喚士「断念したと…?」

山師妹「そのようです……」

盗賊「……なるほどな」
535 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 19:01:31.57 ID:QcMRLlRAo
山師妹「結局…村を守る役目も果たす事となり、三人でこの村へ残りました」

召喚士「あの…それで何故、今のような事に…?」

山師妹「……最初は本当に、些細な事でした」

戦士「……」

山師妹「私は、山師さんに教わり…召喚術の練習をして……」

召喚士「まさか……習得したと!?」

山師妹「……」

戦士「マジかよ……っ」

山師妹「本当に……些細なっ、些細な事……っ」

魔道士「まさか……っ」

山師妹「…あの日は、私の誕生日でした」

盗賊「……」

山師妹「三人でお祝いしようって……」

戦士「……」

山師妹「なのに……なのに……」
536 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/26(水) 19:02:10.41 ID:QcMRLlRAo
召喚士「……」

山師妹「二人は…私に黙って出掛け…て…」

魔道士「……っ」

山師妹「私は…それまで抑えてきたものが…ものが……」

戦士「爆発しちまったんだろうな。それで、ザントマンを…?」

山師妹「……本当に、イタズラ半分で…っ」

盗賊「……」

山師妹「でもぉ…っ、何故か……お姉ちゃんは起きなくてえぇ…っ!」

召喚士「…そのまま…眠り続けてしまったんですね?」

山師妹「ひぐ…っ、私……私ぃ……っ」

魔道士「山師妹さん……」

山師妹「う…うぅっ、あぁ……っ!」

戦士「…なるほどな。これで謎が全て解けたわけだ」

召喚士「…うん。それを踏まえると山師さんは……」

盗賊「…おそらく気付いていて、隠したんだろうな」
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 19:03:23.91 ID:QcMRLlRAo
ここまでにて!帰らせていただきますー
本日もご支援感謝感謝!それでは〜!ノシ
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 19:08:57.64 ID:JO7C5m4Xo
乙!

ザントマンが青龍先生の想像してた顔と被った
もう同一人物にしか見えねえ
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 19:12:12.97 ID:ikOt2fJVo

ザントマンってイケメンだよな!
http://happytail.up.seesaa.net/img200510/051001_03.jpg
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 19:19:10.68 ID:hW6nsyBDO
清潔で美しくすこやかな毎日を目指す
ザントマン
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 20:33:14.06 ID:DesOJhlAO
>>1

やっぱり宿で泊まるシーンとかになると毎回毎回思うのが、魔導師ちゃんって脱いだパンツとかどうしてるんだろうって事。

使用後のタオルとか、スリスリしたい
宿の亭主が羨ましいな

542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 21:32:03.40 ID:TFiu+5jno
ちょっと宿屋経営してくる
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 22:44:34.43 ID:hI4xfXfso
今となっては他の召喚士が召喚獣と会話してても何の違和感もないな
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 22:57:49.41 ID:WmYnB30DO
国軍は、召喚獣と会話させないってだけで、他は違うんじゃないか?
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 23:38:51.10 ID:MBblX+QBo
>>540
大正年間だな
ttp://spider-man1965.up.seesaa.net/image/kaologo.JPG
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 08:54:53.37 ID:hf1lB/lSO
朱雀ナイツの諸君よ
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 10:31:33.87 ID:046ehMt/o
>>539-540
お前らwwwwwwww
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 13:12:58.11 ID:A0wYwbm80
1乙
ザントマンは使いがってがよさそうだな
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 18:21:21.01 ID:NZldc3NIO
乙乙なんだぜ
そろそろここで>>1登場
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 18:23:19.84 ID:HZ9yba5ao
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 18:24:41.78 ID:tmQB9cs5o
  __
  /。 \
 |ノ ゚|  <オッスオイラ>>1デゴザンス
 ノ ゴ ハ
552 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:01:50.94 ID:aIv2thjco
ヘタッ

山師妹「…うっ…うぅ……。私っ、どうしたらいいか分か……っ」

召喚士「……」

山師妹「私は……なんて事を……っ」

魔道士「……っ」

山師妹「うああ……あぁ…っ!」

魔道士「……召喚士さん…っ!」

召喚士「!?」

魔道士「……どうにか…してあげられませんか…!?」

召喚士「……」

戦士「どうにかったってよ、どうしようもねぇぞ?」

魔道士「でも……こんなのって、可哀想じゃないですかっ!」

戦士「……出来んのか?」

召喚士「……分からない。せめて、ザントマンの特性が分かれば……」

盗賊「…それは…彼に聞けば良かろう」
553 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:02:34.37 ID:aIv2thjco
魔道士「え…っ?」

盗賊「…起きているのだろう?」

山師「……」

山師妹「山師……さぁん…っ」

モゾッ…スクッ

山師「……」

テクテクテク

山師妹「……っ」

山師「然したる事もない。能力は眠り、ただそれのみだ」

召喚士「睡眠解除の方法は?」

山師「……自然と解ける以外は経験がないな」

盗賊「……」

魔道士「じゃあ…どうしようも……」

召喚士「……賭け…ですね」

山師妹「……っ!?」
554 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:03:02.10 ID:aIv2thjco
山師「どういう事だ?」

召喚士「通常、召喚は本体と召喚獣が互いにリンクをします」

盗賊「……ああ」

召喚士「もしどちらか片方がやられると、それは自然と消滅します」

山師「……それは分かる」

戦士「つまり…どうすんだ?」

召喚士「おそらく、正しい形でリセット出来ていないんじゃないかな?」

盗賊「…どうするのだ?」

召喚士「それを一度、リセットする必要があります」

山師「出来るのか?」

召喚士「……っ」

スッ

召喚士「……山師妹さん」

山師妹「……っ」

召喚士「覚悟は……ありますか?」
555 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:03:30.20 ID:aIv2thjco
魔道士「!?」

山師「命に関わるような事ではあるまいな!?」

召喚士「いえ、それは大丈夫です。しかし……絶対ではありません」

戦士「……」

召喚士「山師妹さんがザントマンを召喚し、それを一度攻撃します」

山師「!!」

召喚士「そうすれば消滅という形で、召喚獣は一度リセットされるはずです」

魔道士「でも…それって……」

召喚士「ええ。山師妹さんの肉体にも影響を及ぼします」

山師妹「……」

召喚士「それは命を奪ったり、や外傷を与えるものではありませんが……」

戦士「魔力を持っていかれて、気を失ったりはするよな」

山師「危険ではないのか?」

召喚士「だから賭けなんです……」

山師「……保証は…あるのか?」
556 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:04:01.49 ID:aIv2thjco
召喚士「俺は何度か経験しています。一時的なものです」

山師「……」

召喚士「それでも、保証があるわけではありません」

山師妹「……っ」

召喚士「やるかやらないかは、お二人が決めて下さい」

山師「俺は……」

山師妹「……やります…っ!」

盗賊「……」

山師妹「私っ、お姉ちゃんを助ける為なら……命なんて……」

山師「…やめろ。そういう事を言うな」

山師妹「……」

召喚士「…どうします?」

山師「本人がやる、と言っているのだ。止めは出来ない」

魔道士「……」

山師「しかしだ、命の危機に及ぶような事があれば、即座に中止するぞ」
557 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:04:27.32 ID:aIv2thjco
召喚士「構いません」

山師「それで、まずは何をすればいい?」

召喚士「山師妹さん、ザントマンを召喚して下さい」

山師妹「……っ」

山師「…出来るな?」

山師妹「……はい」

召喚士「では、外へ行きましょう」

ザッ…スタスタスタ…

盗賊「…先程は…すまなかったな」

山師「構わん。元はといえばこちらが悪いのだ」

盗賊「……っ」

テクテクテク…ザッザッザ

山師「…この辺りでよかろう。では…いいな?」

山師妹「…はい」

召喚士「……」
558 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:05:16.18 ID:aIv2thjco
ザッ

山師妹「…共に立てっ、ザントマン」

盗賊「……」

山師「……」

戦士「……ん?何も起きねぇぞ?」

山師妹「……共に立てっ、ザントマン!」

召喚士「……」

魔道士「……?」

山師妹「…出……ない…っ!?」

戦士「…こういう時は…どうすんだ?」

召喚士「召喚出来ない時は、魔力枯渇か……」

魔道士「精神的なもの…ですね」

戦士「魔力は枯渇してる…わけ、ないよな」

盗賊「……後者か」

山師妹「何で……何でっ、出ないの……っ!」
559 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:06:02.42 ID:aIv2thjco
山師「落ち着け、焦る事はないんだ」

山師妹「何でっ、何でぇ…っ!」

召喚士「山師妹さん、落ち着いて下さい」

山師妹「…うっ、うぅ…っ!」

召喚士「山師さん、今日はやめておきましょう」

山師「それが良さそうだな」

召喚士「とりあえず、一晩様子をみましょう」

山師「分かった」

召喚士「山師妹さんをお願いします。大切なのは…」

山師「心を落ち着かせる事だな。承知した」

戦士「…よし、ひとまず俺らは戻るとするか」

盗賊「…それが良さそうだな」

山師妹「……っ」

山師「すまんな……」

召喚士「…いえ。それでは、また明日」
560 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:06:43.83 ID:aIv2thjco
〜村長の家〜

村長「…………」

メラメラメラッ…パチッ

村長「……そうであったか。そんな…事情がのぅ」

盗賊「……」

召喚士「山師さんも一人で苦しんでいたんだと思います」

村長「話してくれれば…良いものを……」

戦士「話せば彼女が責められると思ったんだろうよ」

魔道士「……ええ」

村長「……それで、二人は?」

召喚士「今日は休んで貰っています」

村長「そうか……。山師姉は何とかなりそうなのかの?」

召喚士「…山師妹さん次第ですね」

村長「……」

召喚士「明日、様子を見て試みてはみますが…」
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 19:07:35.97 ID:NZldc3NIO
リアルタイム遭遇とは乙
いつも投下いただきありがとうございます
562 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:07:50.04 ID:aIv2thjco
村長「そうか。……ありがとう。わしからも礼を言わせて貰うよ」

召喚士「いえっ、まだ成功したわけではありませんから…」

村長「赤の他人の為に、そこまでしてくれる心意気だけで十分じゃよ」

スクッ…テクテクテク

村長「……いける口かの?」

トスッ

魔道士「お酒…ですか?」

戦士「いける口です!」

村長「それは良かった。さて、ちと早いが夕食も兼ねて……」

魔道士「お手伝いしますっ」

村長「よいよい。座っていておくれ」

魔道士「そうはいきませんよ。こんなお世話になっているわけですし…」

召喚士「ですねっ。俺らも手伝います!」

戦士「よーし、力仕事は任せてくれ!」

村長「……若いのに、大した気遣いじゃ」
563 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:08:51.12 ID:aIv2thjco


村長「献立も変わりなく、すまんのお」

召喚士「いえいえ、ただで頂いているだけで十分助かります」

戦士「そうそうっ。これがありゃあ……」

盗賊「…ニシンの卵の…塩漬けか」

魔道士「戦士さん、お気に入りですね…」

ヒョイッ…パクッ

戦士「…ん〜!んめぇ!……そこにコイツで」

クイッ…ゴクッ

戦士「…っかぁ〜!!」

召喚士「オッサンだなぁ……」

戦士「あ?……ん、あれ…!?」

魔道士「どうしました!?」

戦士「……この…酒っ!!」

盗賊「…酒?」
564 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:09:49.00 ID:aIv2thjco
戦士「召喚士!!飲んでみろ!!」

召喚士「……?」

トクトクトクッ……クイッ

召喚士「……っ!!」

戦士「これって……師匠酒…!?」

村長「師匠酒…?なんじゃそれは?」

召喚士「…本当だっ、全く…同じ味…!」

魔道士「ど、どういう事ですか!?」

戦士「なぁ村長、この酒ってのはこの村にずっとあるものなのか?」

村長「うむ、そうじゃ。古くよりこの村で作られておる」

盗賊「……」

村長「それがどうかしたかの?」

召喚士「いえ、実は…以前にも飲んだ事がありまして……」

村長「なんと!?……しかし、それは不思議じゃのお」

魔道士「…?」
565 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:10:42.85 ID:aIv2thjco
村長「この酒は古くからこの村の特産品のようなものじゃて」

戦士「……て、事は」

召喚士「他に、村を出た出身者が作ったなんて事は…?」

村長「こんな奇特な酒、誰も好んで作らんわい…」

盗賊「……」

召喚士「じゃあどうして……」

戦士「何で師匠が作り方知ってんだ?」

村長「作り方を知っている者がおったのか?」

召喚士「ええ、俺の…父代わりだった人が……」

村長「不思議な事もあるもんじゃ…」

魔道士「ですねぇ…。師匠さんはどこで情報を得たんでしょう…?」

村長「……そうじゃ」

盗賊「…?」

村長「かつて一度だけ、作り方を教えた者がおったぞ!」

戦士「何っ!?」
566 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:11:29.72 ID:aIv2thjco


村長「もう数十年も前の事になるかの」

盗賊「……」

村長「その男は召喚士で、旅の途中にこの村を訪れたのじゃ」

召喚士「一人で…ですか?」

村長「うむ。一人であったわい」

戦士「……それで?」

村長「かつてはこの村も、魔物の危機に度々遭わされておってなぁ…」

魔道士「もしかして……」

村長「そうじゃ。その男がこの辺りの主を倒してくれたのじゃ」

戦士「…ほぉ」

村長「それからすっかり、魔物は恐れて…この村には近寄らなくなってのお」

召喚士「師匠……っ」

村長「村中が感謝したものじゃ。皆…英雄のように崇め、心から喜んだ」

盗賊「……」
567 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:12:05.50 ID:aIv2thjco
村長「しかしその男、不思議な事に、一切の礼を受け取らなかったのじゃ」

魔道士「へぇ〜っ」

村長「その代わり、村で持て成した酒の作り方を教えろと……」

戦士「なるほどな…。酒好きの師匠っぽい見返りだわ」

村長「それ以来、この村では召喚士は英雄であり、誰しもが憧れたものじゃ」

召喚士「なるほど…。それで山師さんも召喚士を目指して…ワーカーに…」

村長「まさかそれが……お主の義父であったとはのお」

召喚士「これも、何かの縁かもしれませんね」

村長「うむ。全くじゃわい」

魔道士「流石、師匠さんですね……」

戦士「生前は全然、そんな素振りもなかったけどなぁ」

村長「なんと…っ、すでに没しておるのか…っ!?」

召喚士「ええ…。3年ほど前に……」

村長「なんと……。それはお気の毒な事じゃ……」

召喚士「……飲みましょう。……師匠の為にも」
568 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:12:44.56 ID:aIv2thjco


魔道士「それでは、おやすみなさいっ」

盗賊「…おやすみなさい」

村長「うむ。寒かったら言いなさい。布団をもう一枚出すからの」

召喚士「ありがとうございます」

テクテクテク…パタン

戦士「…いやぁ、何だか不思議な縁もあるもんだなぁ」

召喚士「師匠もワーカーだったわけだし、各地で活躍していたんだろうね」

魔道士「探せばもっと、出てくるかもですねっ!」

戦士「俺らもそういう風に、語り継がれるくらいになりたいわなぁ」

盗賊「……」

召喚士「頑張ろうよ!別にそれが目的ってわけじゃないけどさ」

魔道士「そうですよ!やっぱり喜ばれるって幸せな事ですものっ」

盗賊「…だな」

戦士「よーし!そんじゃまずは……明日、人助けだな!!」
569 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:13:13.04 ID:aIv2thjco
〜次の日〜

ザッザッザッザ…

召喚士「……」

トントン……カチャッ

召喚士「おはようございます」

山師「待っていたよ。入ってくれ」

魔道士「お邪魔します」

パタン…テクテクテク

戦士「それで、どうだ?」

山師「……」

スタスタスタ

山師妹「……お願いします」

召喚士「大丈夫ですか?」

山師妹「…私、やります…っ」

山師「確実、とは言えないが…山師妹を信じよう」
570 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:13:40.81 ID:aIv2thjco
召喚士「……分かりました」

魔道士「が、頑張って下さい……っ!」

山師「では、行こうか」

山師妹「……はい…っ」

スクッ…テクテクテクテク…

召喚士「…じゃあ、お願いします」

山師妹「……はい」

山師「いいか、無理はするなよ?出来る限りで良い」

山師妹「……っ」

盗賊「……」

山師妹「……共に立てっ、ザントマン…!!」

シュイイィィン

戦士「来た…っ!!」

山師「魔力を全てつぎ込むイメージで、そう…そうだっ!」

山師妹「……っ!!」
571 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:14:26.93 ID:aIv2thjco
ズズズッ…

ザントマン「……」

召喚士「それじゃ、いきますよ」

山師妹「……お願いしますっ」

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

シュイイィィン

山師「……コカトリス…っ!!」

盗賊「…いけるのか!?」

召喚士「超至近距離ならば…風の抵抗も問題ありませんっ!」

山師「山師妹っ、ザントマンを抵抗させるなよ!制御するんだ!」

山師妹「……っ」

祈るように両手を組み合わせめを瞑る山師妹。

その横に佇むザントマンは微動だにせず、コカトリスを睨みつける。

コカトリス「……悪く思うなよ」

加速するコカトリスは一挙に石化の吐息を吐き出し、ザントマンを石像と化した……。
572 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:15:19.17 ID:aIv2thjco
ズオオォッ…ゴアアァァ!!

山師「くぅ…っ!!」

召喚士「……っ!」

ビキビキビキッ…ゴガアアァァッ!!

戦士「粉々に……」

盗賊「…砕けた……か」

ゴシャアアァァッ!!…ドドオオォォ…

召喚士「……ふーっ」

山師妹「…………」

フラァッ……ドサッ

山師「山師妹っ!!」

ザッザッザ…ガシッ

山師「……大丈夫だ。気を失っているだけのようだ」

魔道士「良かったぁ……」

召喚士「これで、召喚獣は消滅しました。後は……」
573 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:16:10.23 ID:aIv2thjco
〜山師姉妹の家〜

テクテクテク…スッ

山師「……」

山師姉「…………」

戦士「……どうだ?」

山師「…山師姉、聞こえるか?……俺の声が届くかっ!?」

山師姉「…………」

盗賊「……」

山師「……山師姉……っ」

召喚士「駄目…なのか……っ」

魔道士「そ、そんなぁ…っ」

山師「……ありがとう。いいんだ」

盗賊「……」

山師「……いいんだよ」

召喚士「もう少し様子を見てみましょう。まだ駄目と決まったわけではありません…!」
574 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:16:43.75 ID:aIv2thjco


山師妹「……ん」

モゾッ

山師「気付いたか!?」

山師妹「……山師…さん」

召喚士「大丈夫ですか!?」

山師妹「えぇ…っ。……あ、あの!?お姉ちゃんは……っ?」

盗賊「……」

山師「残念だが……」

山師妹「…そん……な」

魔道士「……っ」

山師妹「お姉ちゃん……っ」

スクッ…フラフラフラ…

魔道士「き、急に立ったら……」

山師「放っておいてあげてくれ。大丈夫さ」
575 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:17:11.23 ID:aIv2thjco
スタスタスタ…パタン

召喚士「……」

戦士「あれから何時間だ?変化はないか……」

山師「今は二人きりにさせてやろう」

盗賊「……そうだな」

召喚士「一晩様子を見て、変化がなければ……」

山師「変化がなければいいんだ。もう、大丈夫だ」

召喚士「……」

山師「所詮は俺の弱さが生んだ事故だ。全て俺の責任さ」

魔道士「山師さん……」

山師「一生かかっても、彼女は俺が見守る。それが償いだ」

戦士「祈ろうぜ…。奇跡をよ……」

召喚士「……ええ」

山師「……」

五人は閉まったままの扉を見つめ、しばし無言で時を過ごした。
576 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:17:39.89 ID:aIv2thjco
〜山師姉の部屋〜

山師姉「…………」

山師妹「……お姉ちゃん」

スッ

山師妹「…ごめんなさい。私……私は……っ」

涙を浮かべ、必死に両手で姉の左手を握る山師妹。

山師妹「私が……あんな事を…っ、馬鹿な事をしなければ……」

ピクッ

山師妹「ごめん……なさ――」

キュッ

山師妹「……?」

キュッ……ギュウゥ

山師妹「――っ!!」

山師姉「…………っ」

山師妹「お姉……ちゃ……」
577 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:18:13.23 ID:aIv2thjco
山師姉「……山師……妹…っ」

ガバッ!!

山師妹「お姉ちゃんっ!?」

山師姉「……っつ」

山師妹「お姉ちゃああぁぁん!!」

ギュウウゥゥ

山師姉「山師妹…?なんだか……大きくなった……?」

山師妹「お姉ちゃあぁん!!ごめんな…っ、ごめんなさいいぃぃ!」

山師姉「……ふふっ、どうしたの…?」

山師妹「…ひぐっ、ひぐうぅ!うっ……!」

山師姉「よしよし…泣かないの。ねっ?」

山師妹「……ひぐっ、ひんっ……ひっ…」

山師姉「なんだか……ずっと夢を見ていたわ……」

山師妹「ひぐぅ…っ、ひん…っ……ひん…っ」

山師姉「私と貴女と山師さん……三人で一緒に暮らす夢……」

山師妹「ひぐぅ…!!うっ……うぅ……」
578 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:19:21.17 ID:aIv2thjco
山師姉「……そうだ」

ググッ…ヨロヨロッ

山師妹「……っ!!」

山師姉「……ごめんなさいっ、何だか…眩暈が……」

山師妹「寝ててっ!ねっ?……立ったりしたら……」

山師姉「大丈夫よ。よ……っと」

フラフラ…テクテクテク

山師姉「……えぇと」

ゴソゴソッ

山師妹「……ひぐっ」

山師姉「あったあった。これだわ」

山師妹「……?」

テクテクテク…スッ

山師姉「……お誕生日おめでとう。はい、プレゼント」

山師妹「――っ!!」
579 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:20:09.15 ID:aIv2thjco
山師姉「ゴメンね。驚かそうと思って、山師さんと二人、内緒で買いに行ったの」

山師妹「……ふ、ふえぇ…っ……うああぁぁ…っ!」

山師姉「もうっ、そんなに泣かないでよっ」

ナデナデ

山師妹「お姉ちゃ……ぁ!!」

山師姉「私……ずうっと寝ていたのかしら?」

ガチャッ

山師「……っ!!」

山師姉「……山師さん…っ」

山師「山師姉……山師姉っ!!」

グッ…ギュウウゥゥ!!

山師姉「…ち、ちょっと……痛いわよ、もうっ」

山師「良かった……っ。本当に……!!」

山師姉「……?」

山師「本当に……っ!!」
580 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:20:59.04 ID:aIv2thjco
テクテクテク

戦士「奇跡は起きたみてぇだな」

召喚士「…うん。でも、奇跡なんかじゃないよ」

戦士「まぁそうだな。狂った歯車が元通りになった…ただそれだけか」

盗賊「……」

山師「良かった……本当に…っ!!」

山師姉「…一体どうしたの!?それに……お客様?」

ササッ

山師姉「ちょっと、お客様が来ているのにこんな格好で…恥ずかしいわよっ」

魔道士「す、すぐに出ますのでっ!ごめんなさいっ!」

ササッ

召喚士「……行きましょうか」

戦士「そうだな。俺らは邪魔になっちまう」

盗賊「…それがいい」

魔道士「……っ」
581 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:21:31.80 ID:aIv2thjco
テクテクテク…ドンッ

戦士「!?」

山師妹「……っ!!」

タッタッタ…バタンッ!!

魔道士「え…えっ!?」

山師「山師妹っ!?」

戦士「な、何なんだ!?」

山師姉「急に飛び出して……」

召喚士「……っ!!」

ダダッ!!

戦士「召喚士!?」

盗賊「まさか死ぬつもりかっ!?」

戦士「何ぃ!?」

盗賊「追うぞ!」

魔道士「は、はいっ!!」
582 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:22:14.08 ID:aIv2thjco
ザッザッザッザッザ

山師妹(これで私は……やっと……)

ザッザッザッザ

山師妹(やっと……死ぬ事が出来る……)

ザッザッザ

山師妹(本当にごめんなさいっ、山師さん……お姉ちゃん……)

ザッザッ…ガシィ!!

山師妹「――っ!?」

召喚士「どこへ行くつもりですかっ!?」

山師妹「離してっ!!」

召喚士「いえ、離しません!」

山師妹「……っ!!」

召喚士「あなたが命を絶っても、喜ぶ人は一人もいませんよっ!」

山師妹「でもっ、私は生きてちゃいけないのよっ!」

召喚士「誰が決めたんですっ!!」
583 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:22:43.60 ID:aIv2thjco
山師妹「!?」

召喚士「誰がそんな事……言ったんです!」

山師妹「……っ」

召喚士「お姉さんも目を覚ましました。これからは三人で暮らせばいいじゃないですか」

山師妹「今更……そんな事出来るわけ……」

召喚士「出来ますよ!二人の事好きなんでしょ!?見守ってあげる事…出来るでしょ!?」

山師妹「……わっ、私…ぃ……」

召喚士「あなたにはその資格があります。そしてそれが償いなんです」

山師妹「う…あぁ……うああぁぁ…っ!!」

ザッザッザッザ

戦士「召喚士っ!」

召喚士「……大丈夫」

魔道士「……良かった…っ」

盗賊「……」

山師妹「私……どうすれば……ぁ」
584 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/27(木) 19:23:17.28 ID:aIv2thjco
召喚士「それはこれから、自分で決める事です」

山師妹「……っ」

召喚士「生きて、自分で償いを見出す事です」

山師妹「うああぁぁ…!!わああぁぁ……っ!!」

戦士「まずいな…。だいぶ錯乱してる……」

召喚士「……」

スクッ

魔道士「召喚士さん…?」

召喚士「……行けっ!ザントマン!!」

シュイイィィン

戦士「おぉ…っ!!」

召喚士の呼び出したザントマンが、無言で山師妹を眠りへと誘う。

盗賊「……」

その場で眠りに落ちた山師妹を抱き上げ、召喚士はザントマンを見つめる。

ザントマンはただ笑って、その場から姿を消した……。
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 19:25:37.16 ID:aIv2thjco
>>549-551
出たwwというか今更ですが…もう少し可愛いAAになりませんかね?><

>>561
こちらこそいつもご愛読、ありがとうございます!

いっぱい書いたわりには三文芝居の昼ドラみたいでワロタ……
ひとまずこれにて。ご支援ありがとうございました!では!ノシ
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 19:38:59.29 ID:HZ9yba5ao


かわいいAAかー



|
|⌒彡
|冫、)
|` /
| /
|/
|
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 19:45:30.21 ID:ZcC5824Uo
      ∧_∧ >>1
   __(  ・ω・)
  / ||/ ⊃ ⊃∧_∧
  |  ||___ノ (     )
  | ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
  |    | ( ./     /
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 20:48:26.24 ID:H1oTEzYDO
かわいい系か…

   |ヽ
   | ゙゙゙゙ッ―、
  ミ´∀`  /
  (丶   (丶ミ
(( ミ     ミ
  ミ     ミ
   ミ=@   ソ
   ∪゙゙~゙^丶)
 いあ   いあ
  ハ_ハ  ハ_ハ
 ミ´∀`ミ ミ´∀`ミ
 c c ミ c c ミ
  u゙゙ヽ) u゙゙ヽ)
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 20:58:11.93 ID:HpPCyk/g0
いや確かに召喚の言葉だけどさ……
召喚士「いぁいぁ!コカトリス!!」
とか違和感しかない
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 21:00:55.33 ID:I4CyK3Mco
                       /i、          
                       / / .|         
                     /   |;,, |         
                  /   .l;;;,,,|            
                  |    |;;;;;|         
                 _,.-一| .i`。-、|。iヽー、      
           _,.-‐'´~ ,へ| `^`  >':::::::\     
          /、 ヽヽ   ンソ       \::::::::::〈 ̄/
          / .l | |   /〜、`、 ^ト‐-一'ン:::/ /ヨ
          / | | | ..:/  人 `ー、    _`フ /ノヽ
          |,-'  | | ..::|       =〒ニ‐  /::::::::::|
.         |  //.:::::|    ―_      /:::::::::::::|
         |' ̄/..::::::/   ノ`ー、/  ̄ー'^´ `ー-'´
.        | ̄...:::::::::::|   / ..:::/
        |...:::::::::::::::::|  / ..:::::/
        ヽ:::::::::::::::::| l  .:.::/
          `ー'´/     L
            /       `ー‐- - 、
              /  ヽ_          /
           / / / `ー―---フ /
        __/ / /       〈 ./
    ,-―^     _ j        / /
   /  -−― ' ̄         / /
.  /  し、             /  L)`ヽ
  L-―'´             /___/
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 21:10:53.66 ID:hf1lB/lSO
>>590
なんであるんだwwwwwwwwww


あ〜なんか>>1に見えてきたなこのAA
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 21:13:43.36 ID:tmQB9cs5o

.      ‐、‐-.,_
      ヽ  ヽ、
         'i   'i,
       ,ノ.,_   |
     < ‘`  !
      ,'=r  ,/
  、.,_,..-'´   /
  `"'''''''''''''"´
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 21:24:08.36 ID:H1oTEzYDO
>>589
なら…

   /l、
   (゚、 。`フ
   」  "ヽ
  ()ιし(~)〜

でどうだ
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 22:31:36.69 ID:VWuPHAWco
  __
  / ^ \
 | ノ^|
 ノ ゴ ハ
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 23:34:03.27 ID:HZ9yba5ao
           ,..-─‐-..、
            /.: : : : : : : .ヽ
          R: : : :. : pq: :i}
           |:.i} : : : :_{: :.レ′
          ノr┴-<」: :j|
        /:r仁ニ= ノ:.ノ|!           _
          /:/ = /: :/ }!        |〕)  ピコッ
       {;ハ__,イ: :f  |       /´
       /     }rヘ ├--r─y/
     /     r'‐-| ├-┴〆    __ '⌒ ☆
      仁二ニ_‐-イ  | |       /^ \ 
      | l i  厂  ̄ニニ¬      |ノ ^|
     ,ゝ、 \ \   __厂`ヽ     ノ ゴ ハ 
     / /\_i⌒ト、_   ノrr- }         
   └-' ̄. |  |_二二._」」__ノ
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 23:47:20.97 ID:g0I3WDIAO
   __|__
  /      \
  | ____ |
  |/ . . \|
 (   ├┤    )
  \____/
  / |  |  \
  6_|_|___ ∂
  (___  _)
    ◯  (⌒)

ずれてたらスマン
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/28(金) 00:00:51.37 ID:+xYG8zVO0
>>590
吹いたwwwwww
598 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 00:14:32.48 ID:oLE1Q3+2o


召喚士「……」

ザッザッザッザ…

山師「はぁ…はぁ……はぁっ」

ザッザッザ

山師「山師妹っ!!」

召喚士「…大丈夫です。気を失っているだけです」

ザッザッザ…ザザッ

山師「……っ」

山師姉「……山師妹…っ」

ギュウゥ

山師「…………」

召喚士「……」

クルッ…ザッザッ…

山師「…まっ、待ってくれ……っ!」
599 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 00:15:06.68 ID:oLE1Q3+2o
ザッザッザ…ピタッ

山師「い……行くのか!?」

召喚士「……ええ」

戦士「もう、俺らは不要だろ」

山師「そんな事は……っ」

召喚士「いえ。他人が出来るのはここまでです。後は……」

山師姉「山師妹!!……山師妹っ!!」

山師妹「…………」

盗賊「……行こう」

山師「待ってくれ!まだ…礼も何も……」

戦士「いいって。礼なら……こいつの師匠が既に受け取ってるよ!」

グイッ…ガシガシッ

召喚士「……痛いよ、戦士…っ」

戦士「ははっ。さぁ、行こうぜ」

魔道士「お元気で…山師さん。……お二人も!」
600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 00:15:40.55 ID:oLE1Q3+2o
山師「……っ!」

ザッザッザッザッザ…

山師「…………」

山師姉「……っ!!山師妹っ!?」

山師妹「……んん…っ」

山師「意識が戻ったか!?」

山師姉「山師妹っ!聞こえる!?大丈夫……っ!?」

山師妹「……お姉……ちゃん…?」

山師姉「良かった……っ、良かっ……」

山師妹「お姉ちゃん……っ、お姉ちゃん…っ!!」

山師姉「……馬鹿っ!心配させないでよぉ……っ!!」

山師妹「ごめんなさいぃ…っ!私…っ、私…ぃ…!!」

山師「……っ」

山師姉「…いいのっ、もう……いいのよ…っ!」

山師妹「う……ああぁぁ…っ!」
601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 00:16:26.59 ID:oLE1Q3+2o
ザッザッザ…テクテク…

村長「……彼らは…行ったのか?」

山師「村長……」

村長「話は全て聞いた」

山師「……ご迷惑を…お掛けしました」

村長「…何故、相談してくれんかった?」

山師「……」

村長「わしらに迷惑がかかる…。そう思うたか?」

山師「……すみません」

村長「しかし……これでようやっと、やっと全てが終わったかの」

山師「……いえ」

村長「……?」

山師「終わりではありません。これからが…始まりです。私達の……」

村長「……そうじゃの。確かにそうじゃ」

山師「……ええ」
602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 00:17:29.57 ID:oLE1Q3+2o


ザッザッザッザッザ

魔道士「村長さん、居ませんでしたけど…大丈夫でしたかね?」

戦士「別に俺らの荷物なんだし、置き手紙もした。大丈夫だろ」

盗賊「……さて、どうする?」

召喚士「ザントマンも会得出来ましたし、ひとまず……」

戦士「バーテンさんのとこらで…パーっといくか!」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「冗談だよ……」

召喚士「ははっ。それもいいけど、とりあえず北の港まで抜けようか」

盗賊「それが良さそうだな。こちらからなら道も緩やかそうだ」

戦士「そうすっか!んじゃあ…北の港でパっと……」

魔道士「戦士さんっ!!」

波乱万丈の末に新たな召喚獣、ザントマンを手に入れた召喚士一行。

更なる召喚獣を得る為、四人は次なる冒険へと旅立つのであった……。



〜第三十三部、完〜
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 00:21:07.52 ID:uMnq1r7Ko
おつおつ!
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/28(金) 00:30:25.29 ID:oLE1Q3+2o
ひとまずここで区切っておきます
ご支援ありがとうございました!

>>586-597
でも私が馬鹿でした。もう贅沢は言いません…
ありがとうございました!



〜次回予告〜

占い師「悲しい姉妹と一人の男の物語は終わった…」

占い師「そして得た…新たな召喚獣、ザントマン…」

占い師「彼ら四人を迎える、次なる人物とは…!?」

占い師「次回、第452話【せめて、人間らしく】」

占い師「この次も、サービス、サービスゥ!」
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 00:31:39.10 ID:kKWjZDPHo
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 00:46:58.50 ID:fyroeLTDO
⊂_丶
  \\ Λ_Λ
   \( ´Д`) >>1乙!
    > ⌒丶
   /   へ\
   /  / \\
   レ ノ   丶_つ
  / /
  / /|
 ( (丶
 | |、\
 | 丿 \ ⌒)
 | |  ) /
`ノ )  Lノ
(_/

       rつ
      / /
    ∧_∧/
    (´Д`) お前らも乙!
    /⌒  丶
   / /   |
   / / 丶  |
 ⊂⌒ノ /  〉
    / / /
   / // /
  / / / /
`/⌒/ ( ヽ
とノ    ̄


もしもしが調子乗ってみたけど、上手くいってるだろうか?
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 00:47:33.46 ID:kdbcfn7DO
まとめで読んで2週間弱……ようやくおいついたぞぉぉぉ

>>1乙すぎる!
新しい召喚獣達wktkだなぁ
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 02:08:17.63 ID:zxTYQoQF0
やっと追いついた…
新年明け読み出したとたんにインフルってしばらく読めなかったから病床でずっともやもやしてたよ…

>>1本当に乙
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 02:20:48.68 ID:C4EvGHoAO
イケメンのほうのユニコーンさんがいつ出てくるのか気になって夜も眠れない
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 02:35:43.49 ID:oToPFdqAO
>>1乙!
何となく今回の話にDQ7的なふいんき(←なぜか変換できない)を感じた
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/28(金) 03:05:08.42 ID:mCRERq2SO
>>1様お疲れ様
リートルードみたいな不思議な話が読みたいかも
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 06:35:28.86 ID:darH9OEDO
レブレサックみたいなのはマジ勘弁
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 08:00:34.20 ID:vH3aChxIO
イケメンの初代ユニコーンはまだかいな?

あっ、いちおつおつ
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 08:43:38.12 ID:dIUulSvAO
>>1

山師妹はうちの爺ちゃんみたいなやつだな

パソコンはきちんとシャットダウンしてから主電源を落としてねって何度説明しても
無理やりコンセント抜いたりして電源切って困らせるんだよ
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/28(金) 09:22:42.40 ID:QfQGG/sOo
>>607-608
今までの全部読んだのかww
どっから誘導されたんだ?
召喚士の世界へようこそ
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/28(金) 12:45:29.55 ID:+t1qR7oU0
>>1
第三十三部、完結乙

617 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:30:58.94 ID:zckLW2Gxo
漆黒の山高帽に燕尾服で身を固めたその男。

手にした十字架のステッキに仕込んだ、細く鋭い刀身を抜く。

戦士「……」

それを受けて戦士は、無言のまま雷切を鞘から抜き、

その鞘を後方へと放った。居合いはなし。真っ向勝負の証である。

ザッ…ススッ

互いの力量を計るかの如く、両者は横に移動し、間合いを取り合う。

対峙する者の力量が尋常ではない。それが共通の思惑。

戦士「……」

踏み込めば一刀に伏せる。しかし伏す事も出来るかもしれない。

戦士の脳裏に風景としてよぎるは、一瞬での決着であった。

その想像を払拭するかのように、男爵は戦士の懐へと飛び込んで来た。

ヒュンッ!!

ゲーデ「うおおおおぉぉぉぉ!!」

戦士「でりゃああぁぁーっ!!」
618 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:31:44.26 ID:zckLW2Gxo


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第三十四部〜
619 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:42:30.09 ID:zckLW2Gxo
鉱山北の山において、ザントマンを会得した召喚士達。

四人は山師と山師姉妹の一件落着を見届け、北進していた。

〜北の港〜

戦士「山での雪が嘘のようだぜ…」

召喚士「海風は冷たいけどね。立地的に降雪もひどくはないよね」

戦士「まぁな…。やっぱそういう所にでかい街ってのは出来るのかもな」

魔道士「そうだと思いますよっ」

盗賊「……それで、次はどうするのだ?」

魔道士「そうですねぇ…。やっぱりゴーレムさんあたりが……」

召喚士「確かに魅力的ですね」

戦士「すると……南か?」

召喚士「うん。番長さんなら顔見知りだし、お願い出来るかもしれないからね」

魔道士「それじゃ、南へ向けて――」

戦士「おいおい、その前に腹ごしらえして行こうぜ。空腹で死にそうだよ」

盗賊「……そうだな」
620 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:43:58.10 ID:zckLW2Gxo
〜レストラン〜

魔道士「いただきまーす!美味しそう〜っ」

戦士「華国料理屋も捨てがたかったが……」

魔道士「話し合うなら狭いお店だと、迷惑掛かりますよぉ?」

戦士「まぁな……」

召喚士「えぇっと……」

バサァ

召喚士「北の港から船で南方の港街に入って……そのまま東の町…かな」

盗賊「……楽でいいと思うぞ」

戦士「あとはその、番長がいるかどうかだな」

召喚士「うん。召喚フェスの時に二回ともいたから、大丈夫だとは思うけど」

盗賊「…一応…調べておくか」

召喚士「そうですね。食事が終わったらワークショップへ行ってみましょう」

魔道士「朱雀嬢ちゃんもいれば、ハーピーも手に入るんですけどねぇ…」

戦士「まぁなー。でも、所在は分からないんだろ?」
621 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:44:30.63 ID:zckLW2Gxo
召喚士「うん……」

魔道士「ワークショップで一緒に調べてみましょうよっ!」

盗賊「…手紙も残しておけば…或いは」

召喚士「…そうですね。そうしましょうか」

ドカドカドカッ…ズダッ

ワーカー「いやぁ〜参った参った」

ロンゲ「まさかアンデッドとは聞いてねーっつの!」

戦士「……ワーカーか?」

召喚士「みたいだね」

四人は後ろの席に腰掛けた二人組みの男の会話に耳を向ける。

と言っても、彼らが自ずと聞き入ったわけではなく、

大声で喚き散らす二人の声が、自然と耳に入ってくるのだ。

ワーカー「んで、どーするよ?」

ロンゲ「どーするったって、あんなん降りるしかねーだろっ」

ワーカー「だよなー。軍の大規模依頼だから、もっと楽かと思ってたのによぉ」
622 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:45:32.67 ID:zckLW2Gxo
盗賊「……戦か」

戦士「みてぇだな。アンデッドか…確かに、ありゃ苦戦するわな」

魔道士「そうですねぇ。合体魔法とかないと倒せないですし……」

戦士「その点、うちは魔道士も召喚士もいるし…安心だわな」

召喚士「……」

盗賊「…さて、行くとするか」

魔道士「そうですね。ワークショップへ行きましょうかっ」

召喚士「…ええ」

スクッ…テクテク…

ワーカー「伯爵だか男爵だか知らねーけど、ありゃあヤベェかもな」

ロンゲ「ああ、ワーカーも国軍も歯が立ちゃしねぇ」

召喚士「……伯爵?」

戦士「おーい召喚士、行くぞー」

召喚士「う、うん…っ」

テクテク…タッタッタ…
623 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:47:02.42 ID:zckLW2Gxo
〜ワークショップ〜

店員「いらっしゃいませ」

戦士「リスト見せてくれ」

店員「はい。お待ち下さい」

魔道士「召喚士さん、何か探しているんですか…?」

召喚士「…さっきのワーカー達が言っていた事、少し気になりまして……」

盗賊「…?」

召喚士「アンデッドで…伯爵って……」

戦士「……おいおい、まさか…っ」

召喚士「でも…っ、俺らが倒してはずなんだけど……」

テクテクテク

店員「お待たせ致しました〜」

戦士「おっ、きたきた。えぇと……」

パラパラパラッ…パラッ

戦士「……いたっ!番長は……おぉ、南にいるみてぇだぞ!」

魔道士「本当ですかっ!?良かったぁ!」
624 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:47:41.27 ID:zckLW2Gxo
パラパラッ…ペラッ

戦士「朱雀嬢は……玄武娘と……所在不明」

盗賊「……」

魔道士「……何もなければいいんですけど」

盗賊「…だな」

召喚士「……あった。これか…っ」

魔道士「…?」

戦士「さっきの大規模依頼ってやつか?」

召喚士「うん。ワーカー募集で100人程度声が掛かってるね」

戦士「100!?随分とまぁ、大掛かりだな」

盗賊「…どこなのだ?」

召喚士「……北方司令部ですね」

戦士「北か。すぐ近くじゃねぇか」

魔道士「……行って…みます?」

召喚士「気にはなるんですよね……」
625 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:48:32.14 ID:zckLW2Gxo
戦士「…まぁ、行ってみるのも手かもしんねぇな」

盗賊「…ああ」

魔道士「だったら折角ですし、依頼を受けて行きましょうよっ」

戦士「おぉ、金も稼げて一石二鳥!」

盗賊「…召喚士は…良いのか?」

召喚士「俺は構いませんよ。元から自分のワガママですし……」

魔道士「そうと決まれば……すみませんっ!」

店員「はい」

魔道士「この依頼を、お願いしますっ!」

店員「畏まりました。お手続き致します。少々お待ち下さいませ〜」

召喚士「…よし、今の内に朱雀嬢さんへ手紙を書いておこう」

魔道士「あっ、私も書きます〜」

戦士「……しかし20過ぎにもなって、可愛らしい字です事……」

魔道士「…うるさいですねぇーっ、汚いよりましですっ!」

盗賊「……どれ、私も」

戦士「お前はやめとけ」
626 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:49:20.62 ID:zckLW2Gxo


店員「ありがとうございました〜」

カチャッ…テクテクテク

戦士「さーて、行き先は変わっちまったけど…行きますか!」

魔道士「目指すは北方司令部っ!」

召喚士「ここからなら夜までには着きますかね」

盗賊「…のんびりとはいかぬが…歩いて行くとするか」

四人は北の港を離れ、一路、北方司令部を目指す。

戦士「なーんか、この辺りも閑散としちまってんなぁ」

召喚士「冬だからじゃないかな?」

魔道士「なるほどぉ……」

召喚士の言った事も間違いではなかった。しかし、実際においては、

女侍の一件以来、北方司令部における不貞な輩の取締りが厳しくなったのだ。

その影響によって、かつては露店やガラの悪い連中で賑わっていた道も、

今はめっきりとその姿を潜め、冬の風と若干の降雪を残すのみである。
627 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:49:47.81 ID:zckLW2Gxo
〜北方司令部〜

テクテクテク

召喚士「…意外と早く着きましたね」

盗賊「…ああ、人気がなかったのが幸いしたか」

魔道士「何だか…忙しそうですね」

慌しく駆け回る兵達。それを四人は邪魔にならぬよう遠目で見つめる。

門兵「下がれ下がれっ!!」

戦士「…?」

ガガッ…ガラガラガラッ…

戦士「なんじゃありゃあ!?」

召喚士「戦闘用の兵器みたいですけど……」

ザッザッザ

騎士長「あれは投石機だ。カタパルトと呼んでいるがな」

魔道士「騎士長さんっ!!」

騎士長「今日はどうしたのだ…?」
628 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:50:21.70 ID:zckLW2Gxo
召喚士「依頼を見て、志願しました」

騎士長「……はっはっは。全く…お前らときたら」

盗賊「…?」

騎士長「こちらが気を遣って声をかけなければこれだ。……おーい!」

クルッ…タッタッタッタッタ

左翼長「お前ら…っ!」

戦士「……おじさん」

騎士長「俺らの気遣いが、すっかり無駄になっちまったぜ」

左翼長「みてぇだな。しっかし…よく嗅ぎ付けてきやがるわ……」

戦士「…なんか歓迎されてねぇな」

騎士長「そんな事はない。大歓迎だ」

左翼長「丁度良かった。今晩、作戦会議がある。飛び入りだが参加してくれ」

召喚士「分かりました」

騎士長「それとすまんな。ワーカーの数が多くて部屋が……」

召喚士「お構いなく。俺らが勝手にきたわけですから」
629 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:51:08.29 ID:zckLW2Gxo


戦士「……おーおー、わんさかいやがる」

テクテクテクテク…

魔道士「ですねぇ。こういう大規模な任務って、久々かも…」

盗賊「……そうだな」

召喚士「今回の敵はアンデッドか……」

戦士「んで、あのワーカー共は、伯爵がどうとか言ってたんだよな?」

召喚士「うん…。聞き間違いでなければね」

魔道士「関連性はあるんでしょうか…?」

戦士「どーだかなぁ。でも、西国からの因縁だしな……」

盗賊「…ああ。見逃すわけにはいかぬ」

召喚士「……はい」

ザッザッザ

参謀「まもなく作戦会議を始めます。各パーティーのリーダーは――」

戦士「おっ、いよいよか。んじゃ頑張ってな」
630 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:51:35.13 ID:zckLW2Gxo
ザッ

騎士長「お前らは全員参加だ」

戦士「げっ、マジかよ……」

騎士長「ほれ、早くしろ」

戦士「へいへい……」

ザッザッザッザ

ワーカー「…おい、アイツら軍の幹部と……」

ヒゲ「国軍付か…?なんだか待遇良さそうだよなぁ…」

垂れ目「いや…っ、おい!あれって……朱雀先生じゃ……」

ザワザワザワ…

魔道士「…な、何だか…凄い視線を浴びているような……」

召喚士「…で、ですね」

騎士長「仕方ねーだろ。それだけの事、やってきてるわけだしなぁ」

盗賊「……」

騎士長「…ほれ、そこだ。入ってくれ」
631 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:52:07.04 ID:zckLW2Gxo
〜会議室〜

召喚士らが入室すると、一瞬どよめきがあがり、再び静寂と化す。

その直後、参謀と左翼長が入室し、騎士長と共に正面の机へと座した。

参謀「それでは、第17次アンデッド討伐作戦の会議を始めます」

召喚士「17次…!?」

騎士長「昨日行われた第15次、及び第16次の戦果を報告する」

ザッ

参謀「魔王軍、死傷は不明。ワーカー4名負傷。2名離脱……」

盗賊「……」

参謀「国軍1名死亡、9名負傷。これが二戦合計での数字です」

戦士「戦果もあったもんじゃねぇな…」

召喚士「……うん」

騎士長「第17次作戦の目標も前回とは変わらん。敵はただ一匹のみだ!」

召喚士「――っ!?」
632 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:52:35.99 ID:zckLW2Gxo
盗賊「……一匹…っ!?」

戦士「すまん。今回から参加の者だ、標的を教えて欲しい」

ザワザワッ

参謀「……敵はアンデッドタイプ、ただ一匹のみです」

召喚士「…他に魔物はいないのですか?」

左翼長「居るには居る。だが、好戦的な奴はその一匹のみだ」

騎士長「不死な挙句、とんでもない強さだ。手に負えん」

盗賊「……」

参謀「そろそろリミットが迫っております。三日以内に何とか……」

戦士「三日?何かあるのか?」

騎士長「視察があるんだよ。屯田のな」

召喚士「……!?」

左翼長「その視察が三日後…。視察者は……左大臣だ」

魔道士「!!」

左翼長「それまでに、何としても敵を追い返さなければならん。何としてもだ」
633 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:53:06.41 ID:zckLW2Gxo


戦士「……結局、具体的な策はなし…か」

召喚士「仕方ないね。その一匹をとにかく退けなきゃいけないんだ」

戦士「不死で、しかも腕っ節もある。どうやって倒すんだよ」

召喚士「……」

魔道士「五行……ですか?」

召喚士「それは駄目ですっ。危険すぎます」

盗賊「……」

戦士「せめて、五行も制御出来るくらいの奴がいればなぁ……」

魔道士「天才さんとか…ですか?」

戦士「こういう時に限って…いねぇんだよなー」

キョロキョロ

戦士「――っ!!」

召喚士「!?」

魔道士「まさか……っ!」
634 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:53:34.47 ID:zckLW2Gxo
スタスタスタ

魔法剣士「……召喚士、と言ったか?」

召喚士「魔法剣士さん!!」

魔法剣士「お前らも来ていたのか」

魔道士「お久し振りです〜っ!私達は今日からですよーっ!」

魔法剣士「奇遇だな。俺もだ」

戦士「他は…?」

魔法剣士「他?あぁ、ワーカーか?俺はいつも一人だ」

盗賊「……」

召喚士「あれから、お元気でしたか?」

魔法剣士「…まぁな。元気と言えばいいかは知らんが……」

戦士「天才じゃないにしろ、これは頼もしい人がいたぜっ!」

魔法剣士「……どうだろうな」

召喚士「……?」

スタスタスタ…
635 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:54:01.17 ID:zckLW2Gxo
召喚士「魔法剣士さん…?」

魔法剣士「偵察がてら外に出る。……また明日な」

スタスタスタスタ…

魔道士「行っちゃいましたね……」

盗賊「……ああ」

戦士「しゃーねぇ。俺らは俺らで、やれる事をしておこう」

盗賊「…もう一度、敵の把握だな」

召喚士「ですね。左翼長さんの所へ行きましょう」

魔道士「はいっ!」

スタスタスタ

〜司令室〜

コンコン

左翼長「おう」

召喚士「失礼します」

騎士長「どうした?」
636 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/28(金) 18:54:27.93 ID:zckLW2Gxo
召喚士「もう一度、敵の戦力と特徴を知りたくて…」

左翼長「…はっはは、勤勉なこった」

参謀「資料、読まれますか?」

盗賊「…ありがとう」

騎士長「敵は人型のアンデッド。当然不死身だ」

戦士「魔法は試したのかい?」

参謀「大したダメージは与えられませんでした」

左翼長「あの魔物、何か探している節がある」

盗賊「…?」

参謀「それに、楽しんでいる様相も見受けますね」

召喚士「楽しんでいる…?」

左翼長「殺戮とかそういう事じゃなくてな。戦闘自体をって事だ」

魔道士「それって……」

戦士「…話す余地があるって事か!?」

召喚士「……それならば、打つ手は一つじゃないね…っ!」
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/28(金) 18:57:31.12 ID:zckLW2Gxo
ひとまずここまでー。お疲れ様でした!ノシ

>>606
お見事っ!

>>607
ありがとうございます!凄すぎる…
活字嫌いの自分には真似出来ません…

>>608
ありがとうございます!完治したようで何よりです!

>>609-616
ありがとうございまーす!ユニコーン人気ですね!
DQ7やった事ないので分からんちんですごめんなさい…
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 19:45:45.24 ID:oUFKD8nWo
>>1

珍しく名前付きが来て山場の戦闘が楽しみ過ぎる
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 20:08:51.47 ID:XUD8Xk4bo
33部34部はなんかTRPG的な匂いがしてワクワクする。
大規模戦闘もいいんだけどね
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 22:35:06.82 ID:OkHvk3CAO
おつおつ。いやはや寒くなってきたね
今日の晩御飯は何かしらん?
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 23:03:48.16 ID:qRfkuI0Io

朱雀先生「召喚士に御座ゐ」

朱雀嬢「これは朱雀先生では御座ゐませぬか」

朱雀先生「貴女にお願いしたい事があって参りました」

朱雀嬢「まあ、何用でせう」

朱雀先生「実はわたくし固化鳥主以外の朱雀をとんと用ゐる事が出来ませぬ」

朱雀嬢「何たる事でせう、朱雀先生ともあろうお方が」

朱雀先生「面目次第も御座いませぬ。 そこで貴女に羽亞惹異を」

朱雀嬢「年端もいかぬ小娘に教えを請おうと? 嗚呼、駄目な御方」くすり
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 23:35:11.86 ID:cX+0efODO
>>641
ワロタ

どうしてそうなったww
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/29(土) 00:21:22.53 ID:SmOqRwPDO
>>641
おっきした
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 02:01:31.91 ID:OR5MRu4To
>>641
やるじゃん。面白いぜ
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 02:51:00.07 ID:qsAMwz9SO
>>641にレス安つければ文明開花の音がすると聞いてやってきました
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 08:48:07.83 ID:FnqHmc8Vo
>>625

>盗賊「……どれ、私も」

>戦士「お前はやめとけ」

わろたw
だけど、戦士は盗賊の手紙をちゃんと読んでいるんだよね?
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 09:01:36.29 ID:XmzYscdqo
スレッドの進行中割りこんで申し訳ありません、お許しください。
今現在、「■SSスレッドをWikiでまとめようプロジェクト!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295189440/
において、SS-WikiにSSの紹介文等を載せるための相談をしております。

さて、今日はその一過程として編集テストを行いました。
その際に、勝手ながらこのスレッドをテストに用いさせていただきましたので報告いたします。
詳細はWikiスレまたはSS-Wikiをご覧ください。
勝手に行った上に事後報告になってしまい、お気に障ったら申し訳ありません。
編集にご不満があれば削除・修正をいたしますので、上記のWikiスレまでどうかご連絡ください
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 09:32:10.72 ID:pJ9L2xiDO
↑なにこれ
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/29(土) 09:44:28.15 ID:sd/ilCupo
>>647の紹介文
かけ出し冒険者の召喚士パーティーが各地を巡り依頼をこなし徐々に成長していく。

最初は駆け出しだったなぁ
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 09:47:43.53 ID:9BvEVfJgo
始めはそういやモンスターの素材売って稼いでたなぁ…
コカトリスさんもペニスっていわなくなったし…シルフちゃんに[ピーーー]っていわれなくなったし成長したなぁ…
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 10:17:34.28 ID:7sRiOejIO
懐かしいなあ
なついなあ
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 10:33:25.74 ID:q8GHGzXGo
抱かれてもいい
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 13:22:37.71 ID:n1zCeNpio
地の文小わろた
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/29(土) 14:21:18.42 ID:Wi3lOFqfo
ギルドレベルが全然あがらなくなってる
月1ペースで上がってたのはほんの2〜3ヶ月前じゃなかったかな
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/29(土) 14:22:05.02 ID:Wi3lOFqfo
誤爆
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 20:29:46.86 ID:n1zCeNpio
そろそろここで>>1登場

657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 20:30:24.03 ID:idy4CnzKo
   , -‐‐'
  l   ̄`ヽ
  ノ_  (・)(・)_   
 ,く > ̄ ̄lヽ   
( ノ    |__)
   ト ┬ イ
   |  └┐┐
    ̄ ̄ ̄
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 20:39:16.36 ID:ItavzRaso
           ,..-─‐-..、
            /.: : : : : : : .ヽ
          R: : : :. : pq: :i}
           |:.i} : : : :_{: :.レ′
          ノr┴-<」: :j|
        /:r仁ニ= ノ:.ノ|!           _
          /:/ = /: :/ }!        |〕)  ピコッ
       {;ハ__,イ: :f  |       /´
       /     }rヘ ├--r─y/
     /     r'‐-| ├-┴〆        '⌒☆
      仁二ニ_‐-イ  | |         , -‐‐'
      | l i  厂  ̄ニニ¬        l   ̄`ヽ
     ,ゝ、 \ \   __厂`ヽ       ノ_  (・)(・)_   
     / /\_i⌒ト、_   ノrr- }     ,く > ̄ ̄lヽ       
   └-' ̄. |  |_二二._」」__ノ    ,,( ノ    |__)
                          ト ┬ イ 
                          |  └┐┐
                           ̄ ̄ ̄
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:18:24.64 ID:PFQCyHnC0
なんか昔みたことあるスレタイだなーと思ったら
2年も続いてんのかコレ
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:34:49.86 ID:WAf/qXWIO
2年てすっげえよな
661 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/29(土) 23:59:01.09 ID:B6JZqt6Xo


戦士「……えぇと、何だっけ?」

召喚士「まず、魔物は大将一人が好戦的……」

四人は司令室を離れ、中央の広場で段を取りながら受け取った資料に目を通す。

盗賊「……」

召喚士「そしてアンデッドでありながらも、腕はかなりのもの」

戦士「得物は?」

召喚士「えっと……剣みたいだね」

魔道士「魔法剣だと厄介ですね」

召喚士「好戦的だけど、本人は楽しんでいる様子がある」

盗賊「…そこが付け入る隙だな」

戦士「うまく説得出来りゃいいけどな……」

召喚士「うん……」

戦士「最悪……」

戦士は反対側の壁を見つめる。
662 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 00:00:02.60 ID:8vI3JnLwo
魔法剣士「……」

戦士「あいつの手を借りてでも、倒さにゃならんな」

盗賊「……だな」

召喚士「三日か……」

戦士「でもよ、左大臣ってのは左翼の大将だろ?何でまた屯田なんか……」

召喚士「何か企んでいるのかもしれないね」

戦士「だったらいっそ、長引かせてもいいんじゃねぇか?」

召喚士「そうはいかないよ。要人が来るっていうのに……」

戦士「……まぁ、そうだけどよ」

盗賊「…敵は…大きいのか?」

召喚士「いえ、人型のようです。全身を黒服で包んだ……」

戦士「居間までの話からすると、アイツじゃなさそうだな」

召喚士「…うん。やっぱりあの時に倒したんだよ」

戦士「…手ごたえはあったもんな。傍目から見てだけどよ」

召喚士「……俺は、記憶にないけれどね」
663 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 00:00:40.16 ID:8vI3JnLwo
〜次の日〜

タッタッタッタッタ

北方兵「いいぞーっ!出せーっ!!」

投石兵「カタパルト!!進軍ーっ!!」

ゴゴンッ…ガラガラガラ…

魔道士「…目の前で見ると…凄い迫力ですねぇ…っ!」

戦士「……ああ。でも、あんなんがアンデッドに聞くとは思えねぇけどな」

ザッザッザ

左翼長「戦士の言う通りだ。物理攻撃のみのカタパルトじゃアンデッドには無効だろう」

召喚士「それでも出すんですか?」

左翼長「ハッタリだよ。脅しくらいにはなる」

盗賊「……」

左翼長「それに、ここでは初の実戦配備だ。テストも兼ねてな」

召喚士「……なるほど」

左翼長「あくまで主体は人間だ。……頼むぞ」
664 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 00:01:14.74 ID:8vI3JnLwo


参謀「……出陣っ!進路は北北西へ10キロ!」

ザザッ…ドドッドドッドドッ

参謀の号令に共鳴し、先頭を行く騎馬がけたたましい唸りと共に出陣する。

更にはその後に国軍の歩兵隊、そして召喚士ら、ワーカーが続く。

魔道士「いよいよですね…っ。頑張りましょう!」

召喚士「……ええ!」

その後ろ、中央にはカタパルト数機と並び、左翼長と参謀が構える。

左翼長「……今日でケリをつける。そのつもりで挑むぞ」

参謀「はっ」

後方に弓隊、魔道隊、プリースト隊が居並び、いよいよをもって司令部を離れた。

第17次討伐作戦。国軍500余名。ワーカー約80名での編成である。

魔法剣士「……」

遠目から見ても、それが本気の証だと分かる力の入れようを模した編成。

そんな事を思いながら、やや離れた場所から魔法剣士は行軍に続いた。
665 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 00:01:41.02 ID:8vI3JnLwo
〜東方司令部〜

青年兵「……視察…ですか?」

東方参謀「うむ。左翼が切望しておってな」

青年兵「それで、私が案内役をですか…?」

東方参謀「お前なら北方にも顔が利くし、何より……」

青年兵「……」

東方参謀「あくまで実務の責任者は大軍師だが、議会での推進提唱はお前だ」

青年兵「……大軍師様の要望ですか?」

東方参謀「まぁそういう事だ。是非、青年兵にとな……」

青年兵「……」

東方参謀「強制ではない。嫌なら……」

青年兵「…まさか、望むところですよ」

東方参謀「そうか。……左翼は三日後に北方司令部へ赴く予定になっておる」

青年兵「畏まりました。私も合わせて北方へ向かいましょう」

東方参謀「……頼んだぞ」
666 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 00:02:22.16 ID:8vI3JnLwo
〜北の平原〜

左翼長「……まさか行軍に半日費やすとはなぁ」

参謀「山岳地帯に現状のカタパルトは不向きですね」

左翼長「報告書をまとめて、研究機関に出しとけ。使い物にならんとな」

参謀「はっ。改良の余地はありそうです。記しておきましょう」

タッタッタッタッタ

斥候「この先、敵の気配はありませんっ!」

左翼長「よーし、このまま北進。ある程度の所で布陣するぞ」

北方兵「はっ!行くぞっ!!」

タッタッタッタッタ…

左翼長「……さーて」

ザッザッザ

戦士「……おじさん、どうした?」

左翼長「敵の大将だが、本当に任せてもいいのか?」

召喚士「…やれるだけの事はやってみます」
667 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 00:03:00.88 ID:8vI3JnLwo
左翼長「……」

戦士「敵は一匹なんだろ?多勢で挑むよりは人数を絞った方がいい」

左翼長「それもそうだな。四人で挑むか?」

戦士「……いや、出来れば一人回して欲しい」

左翼長「……?」

召喚士「魔法剣士さん、ワーカーの方です」

左翼長「一人でいいのか?」

戦士「ああ。あの人の実力は俺らがよく知ってる」

魔道士「功績ランク4位ですからねっ」

左翼長「……アイツか。確かにな、北関でも大した活躍だった」

ザッザッザッ…

参謀「司令、まもなく出発致します」

左翼長「おう。もう少し北進したところで布陣する予定だ」

召喚士「分かりました」

左翼長「布陣後、本営で最後の打ち合わせだ。頼んだぞ」
668 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 00:04:03.53 ID:8vI3JnLwo


ドドッ…パッカパッカパッカ…

盗賊「……だいぶ更けてきたな」

召喚士「ええ。思ったより進軍が遅いですね」

盗賊「…降雪と…兵器のせいかもな」

召喚士「ええ……」

ザッザッザ

魔道士「あっ、魔法剣士さん!」

召喚士「こんばんは」

魔法剣士「……どうするつもりだ?」

戦士「…?」

魔法剣士「お前達の事だ、遊撃するのだろう?」

戦士「……お見通しかよ」

召喚士「出来れば…魔法剣士さんのお力を借りたいと…」

魔法剣士「…構わん。願ってもない話だ」
669 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 00:04:59.75 ID:8vI3JnLwo
召喚士「え…っ?」

魔法剣士「お前達の実力は分かってる」

魔道士「魔法剣士さん…」

魔法剣士「足手纏いにはならん。貴重な戦力だ」

召喚士「……ありがとうございます」

戦士「意外だな…」

魔法剣士「…何がだ?」

戦士「いやな、あんた程の人なら…他人の力なんて借りたりしねぇかと……」

魔法剣士「……かつてはそうだったさ」

盗賊「……」

魔法剣士「しかし、強敵と対峙する度に……実力を思い知らされた」

魔道士「……っ」

魔法剣士「一人で戦う事にも限界があるとな……」

戦士「なるほどな」

召喚士「……俺らもですよ」
670 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 00:05:51.29 ID:8vI3JnLwo


パッカパッカパッカ…

参謀「……敵の気配はありませんね」

左翼長「気味悪いくらいだな。……どう見る?」

参謀「…よほど自信があるようですね」

左翼長「……」

参謀「敵は我らを待っているのだと思います」

左翼長「…だろうな」

ドドッドドッドドッ…

斥候「前方に平原があります!」

左翼長「敵は!?」

斥候「全く見えません」

左翼長「……よぉし、そこに布陣するぞ」

22時頃、北方司令軍とワーカーのおよそ600名程度が、布陣を開始する。

この時、北方司令部を経って既に14時間余りが経過していた。
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 02:05:08.96 ID:+ajKeJIDO
いちおつ乙
672 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:11:57.54 ID:8vI3JnLwo
ザッザッザ…

北方兵「各隊、布陣完了致しました!」

左翼長「ご苦労。これより軍議に入るぞ」

参謀「各隊の隊長、及びワーカーのリーダーを召集して下さい」

北方兵「はっ!」

タッタッタッタ…

北方兵「朱雀先生っ!」

召喚士「…!?」

北方兵「北方司令がお呼びです!本営までお越し下さいませ!」

召喚士「ありがとうございます。それじゃ行きましょうか」

魔法剣士「ああ」

戦士「……さぁて、今回はどうなる事か」

盗賊「……無事、終わらせるさ」

魔道士「そうですよっ!」

四人と魔法剣士は左翼長らの待つテントへと向かった。
673 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:12:57.60 ID:8vI3JnLwo


参謀「それではこれより、明朝の戦闘に関する作戦会議を行います」

盗賊「……」

参謀「今回我が軍は約600名という今までの倍を以って、魔王軍にあたります」

左翼長「これの意味するところ……分かるな?」

召喚士「……」

一同は口にこそしなかったが、その意味を重々承知していた。

それは今作戦において、魔王軍との戦いを終結を意味するものである。

参謀「魔王軍の数は推定300程度。これは今までの戦闘における、あくまで予測です」

ワーカー「今までの戦いっぷりから考えて、倍で叩けるのか?」

一人のワーカーが口を開いた。言葉の意味は言わずもがなである。

左翼長「…通常、敵を殲滅するにあたっては、三倍を要すると言われている」

参謀「しかし今回においても、目標はあくまでも一匹。大将のみです」

ワーカー「……」

参謀「今までは数に頼って、集中攻撃をしかけておりましたが……」
674 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:13:26.61 ID:8vI3JnLwo
左翼長「今回の人数はあくまで囮だ。それに雑魚共を抑える役を務める」

ワーカー「本丸はどうする?」

左翼長「少数精鋭で叩く」

ワーカー「出来るのか?今まで再三、苦汁をなめさせられたってのによ……」

左翼長「……そいつらがやる」

指差す左翼長の右手の先、召喚士ら四人がやや驚いた顔で周囲を見渡す。

ワーカー「……」

魔法剣士「……」

ヒゲ「アンタら……もしや……」

左翼長「そう。あの朱雀先生だ」

ヒゲ「!?」

ワーカー「…ほぉ、噂の朱雀先生ってのはアンタかい」

召喚士「……っ」

参謀「ターゲットはアンデッド。召喚士殿のコカトリスであれば……」

左翼長「ああ。アンデッドを葬った実績もある。そうだろ…?」
675 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:13:55.79 ID:8vI3JnLwo
召喚士「……ええ、まぁ」

ワーカー「それで、俺達は朱雀大先生の盾になれってか?」

召喚士「いえ…っ、それは無用です。お気遣いなく……」

ワーカー「……はーっはっは!俺達じゃ盾にもならんってか!」

ヒゲ「余程、自信があるようだな」

召喚士「そ、そういうつもりでは……」

戦士「召喚士、ほっておけ」

ワーカー「なぁアンタ、上位ランカーだろ?いいのかよ」

魔法剣士「……」

ワーカー「俺達は足手纏いだから不要だとよ」

魔法剣士「……ああ。そうかもな」

ワーカー「!?」

魔法剣士「俺は、彼らのサポートに回る。何か文句があるか?」

ヒゲ「……っ」

ワーカー「…ったく、上位ランカーともあろう方が…死にたくねぇってか」
676 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:14:23.13 ID:8vI3JnLwo
魔法剣士「お前は死にたいのか?」

ワーカー「はぁ!?」

魔法剣士「死にたければ勝手に死ね。俺は死にたくない。当たり前の事だろう?」

ワーカー「……ちっ」

左翼長「揉め事はその辺で止めにして貰おうか」

参謀「ワーカーの皆様には基本、我が軍と共に前衛を務めて頂きます」

左翼長「だが、これは強制ではない。自信のない者は後方支援にあたってくれ」

ヒゲ「……言ってくれるねぇ」

ワーカー「…そこまで言われて…引き下がれるか」

参謀「良いですか?本隊はあくまで、魔王軍の牽制が最優先です」

戦士「……」

参謀「無理して命を落とすような事、なきよう……」

ワーカー「…へいへい。俺だって死にたかねぇよ」

左翼長「それでいい。召喚士らと魔法剣士は遊撃を務めてくれ」

召喚士「……はい!」
677 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:15:11.14 ID:8vI3JnLwo
参謀「敵の動きがない事が気になりますが、明日6時に進軍致します」

魔道士「6時……」

参謀「まず先鋒に騎兵隊と歩兵隊。それにワーカーの皆様」

騎兵長「はっ!」

歩兵長「御意に!」

ワーカー「やってやるかぁ」

参謀「続いてカタパルト隊と弓隊。先鋒とはやや距離をとって下さい」

弓兵長「かしこまりました!」

参謀「続いて続いて司令と私が本隊を率います」

左翼長「その脇を左右からワーカーの残りと魔道兵が進む。いいな」

魔道兵長「ははっ!」

ヒゲ「左右から援護か。それも面白いかもな」

参謀「最後尾に衛生兵とワーカーのプリーストが控えて下さい」

衛生兵長「お任せ下さい!」

左翼長「以上が布陣だ。明朝、陣の北側に集合!解散!」
678 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:15:37.94 ID:8vI3JnLwo


ザッザッザッザ

戦士「具体的な作戦は特になかったな」

召喚士「うん。まぁ、敵の動きが分からないんじゃ立てようがないもんね」

魔法剣士「おそらく直前で通達があるはずだ」

召喚士「そうですね。布陣からすると、臨機応変に動ける作りになってましたもんね」

魔道士「そうなんですか…?」

召喚士「ええ。今までの経験からすると……」

ザッザッザ

左翼長「明日は頼んだぞ」

魔道士「左翼長さん」

左翼長「あともう一つ、改めて確認したい」

盗賊「…何だ?」

左翼長「本当に説得出来る可能性はあるのか?」

魔法剣士「……」
679 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:16:04.00 ID:8vI3JnLwo
戦士「…分からん。ぶっちゃけあってみないと何とも言えんな」

左翼長「……そうか」

戦士「とにかくだ。大将以外はなんとか押さえ込んでくれ」

左翼長「それは任せろ。奴はおそらく単体で行動するはずだ」

魔道士「そうなんですか?」

左翼長「ああ。率いた部隊を統制する様子もない。今までの感じだとな」

盗賊「……」

左翼長「殲滅でも説得でも構わん。なんとか北へ押し込む事が最優先だ」

召喚士「分かりました。やれるだけの事はやってみます」

左翼長「すまんな。本当なら司令部の兵をもっと割きたいところなんだがな…」

戦士「何かあったのか?」

左翼長「壁の建設を急がせてるんでな。人手不足だよ」

魔道士「なるほど…だからワーカーに大量依頼を……」

左翼長「あと一年以内には完成させたいからな」

戦士「五ヵ年計画か…。ご苦労さんだな」
680 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:16:42.33 ID:8vI3JnLwo
左翼長「まぁ今回は俺らの目算が狂っただけさ」

盗賊「…目算?」

左翼長「議会ですっかり編成と増兵があると踏んでたもんでよ」

召喚士「……」

左翼長「本部の連中は現場の事を分かってねぇのさ」

魔道士「……っ」

左翼長「ま、愚痴っててもしょうがねぇ。そんじゃまた明朝……」

戦士「うーっす」

ザッザッザッザ…

召喚士「議会の結果は…色々なところで影響してるな……」

魔道士「みたいですね……」

戦士「良かったのか悪かったのか分からんな」

魔道士「でも、あれがなければもっと……」

召喚士「ええ。もっと状況は悪化していたかもしれません」

盗賊「……」

召喚士「……さぁ、明日は頑張りましょう」
681 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:17:13.48 ID:8vI3JnLwo
テクテクテク

戦士「おっ、テントが増えてる…?」

北方兵「ワーカーの皆様はこちらでお休み頂けますよ」

魔道士「ありがとうございますっ」

召喚士「じゃあ荷物だけ置いておこうかな」

魔道士「召喚士さん、寝ないんですか?」

召喚士「…ええ。多分寝られそうにもありませんから……」

魔道士「寝ておいた方が…いいですよ?」

召喚士「…そうですね。眠くなったらそうさせて貰います」

魔道士「……おやすみ…なさいっ」

召喚士「はい。戦士と盗賊さんも休んで……」

盗賊「…もう少ししたら仮眠をとる。案ずるな」

戦士「俺も寝れそうにねぇわ。どうも戦いの前ってのはダメだな…」

召喚士「……ははっ、俺も。ちょっと散歩でもしてくるよ」

戦士「おーう。俺は酒でも飲んでるわ」
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 03:17:37.29 ID:nd42Ta9AO
>>1深夜投下乙です
683 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:17:51.48 ID:8vI3JnLwo
テクテクテクテク…

召喚士「今のうちに魔力でも練っておこ」

テクテクテク…

召喚士「……あれ?魔法剣士さん?」

魔法剣士「…召喚士か」

召喚士「寝ないんですか?」

魔法剣士「ああ。問題ない」

召喚士「そうですか」

魔法剣士「お前こそ寝ないのか?」

召喚士「何だか寝付けそうにもなくて……」

魔法剣士「……そうか」

召喚士「…横…いいですか?」

魔法剣士「ん、ああ」

テクテク…ストッ

腰掛け剣の手入れをする魔法剣士。その横に召喚士が腰を下ろす。
684 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:18:39.66 ID:8vI3JnLwo
召喚士「…魔法剣士さんも…北の生まれでしたっけ?」

魔法剣士「…お前もか?」

召喚士「ええ。俺は最北の村…この北東あたりの所です」

魔法剣士「そうか」

召喚士「…と言っても、今はもう廃墟と化してますけど……」

魔法剣士「……魔物か」

召喚士「ええ。俺が物心つく前に…」

魔法剣士「家族は?」

召喚士「皆、亡くなったと聞いてます。俺以外…村は全滅だったそうです」

魔法剣士「…………」

召喚士「魔法剣士さんはどの辺りなんです?」

魔法剣士「北関の北東だ。もう形跡すらないさ」

召喚士「……魔法剣士さんも……」

魔法剣士「お前と同じさ。俺も唯一の生き残りだよ」

召喚士「……そう…でしたか」
685 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:20:05.64 ID:8vI3JnLwo
魔法剣士「今でも夢に出てくる。悪夢さ……」

召喚士「……っ」

魔法剣士「両親が俺を納屋に隠し、そのまま死んだ」

召喚士「……」

魔法剣士「妹は俺の名を必死に叫び…助けを求め……死んだ」

召喚士「……っ!」

魔法剣士「一生忘れる事はないさ。あの……顔を……」

召喚士「……記憶がない分、俺の方がましかもしれませんね……」

魔法剣士「…どうだろうな」

ザッ

召喚士「…?」

魔法剣士「お前はどんな魔物にやられたのか、記憶がないのだろう?」

召喚士「……ええ」

魔法剣士「俺は見た。記憶にもある」

召喚士「……」
686 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 03:20:39.90 ID:8vI3JnLwo
魔法剣士「つまりこの手で、仇を討てる」

召喚士「……その為に、魔法剣士さんは…一人で旅を…?」

魔法剣士「…そうかもな」

ザッザッザ

召喚士「……あ、あの…っ」

魔法剣士「…?」

召喚士「どんな魔物だったんです…?」

魔法剣士「聞いてどうする?」

召喚士「もし、見かけたら教えますっ!無理なら…俺が倒します!」

魔法剣士「……多頭の犬…いや、狼のような…キマイラより遥かに大きい化物だ」

召喚士「……」

魔法剣士「まぁもっとも、俺の中で誇張されているだけに過ぎんのかもしれんがな」

ザッザッザッザ…

召喚士「……あ、あの…っ、おやすみなさい…っ」

魔法剣士「……明日はよろしくな」
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 03:29:09.52 ID:8vI3JnLwo
すっかり遅くなってごめんなさいですね
レスいっぱいでありがとうございます〜全部返せないけど…

>>638-640
ありがとーございます!楽しみワクワク出来る展開に頑張ります!
金曜はチゲ鍋でしたよ!作りすぎたけど…

>>641-645
固化鳥主…素晴らしい当て字ですね!これはアリです!

>>646
読んでますよ。多分夜な夜なコッソリと…

>>647-653
おぉーありがとうございます!恐れ多い……
編集とかは皆さんで好きにしちゃって下さい!

>>654-655
天才「まぁ俺様のギルド(単独だけど)は数十年一位キープだけどな!ハーッハッハ!」

>>656-660
なんかまた新しいの来てるー!ww
はい…なぜか2年もやってますです…すみません…

>>671>>682
こちらこそ深夜にありがとうございますー!

では、おやすみなさい!ノシ
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 03:57:38.89 ID:BVW/2SjDO
>>1乙!
総司令、軍師の計画(暗躍?)とか魔法剣士、眼鏡の絡みとか
ジュニア達が鉱山でやってる事とか三日月島での神官の計画とか
気になる伏線がいっぱいあってwwktkしまくりだぜー
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 07:45:06.32 ID:aEIZ0Y1jo
召喚士眠れないならザントマン出せよ
何のためにザントマン取ったんだよおい
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 09:01:48.01 ID:9vbnQD7l0
我慢できなくなった召喚士が……魔道士に……ドゥフwwwwww
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 15:28:38.03 ID:4YuBP+E90
1乙
692 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:25:46.54 ID:8vI3JnLwo
〜明朝〜

朝6時。一同が再び集合し、陣は全て畳まれた。

左翼長「見ての通り、陣は残さん。下手を打てば潰走は必死だ」

ワーカー「何が何でも勝てってか……っ」

参謀「退却は各々の判断に託します。北方司令部まで退いて下さい」

左翼長「カタパルトは守る必要ねぇ。緊急時は放棄して退却しろ」

投石兵「ははっ!」

左翼長「おーし、それじゃ行くぞ。出陣!」

ドドッ…ガガッガガッガガッ…

魔道士「陣は引き払ってしまうんですね」

戦士「不退転の覚悟なんだろ」

召喚士「それに、空の陣を残しておいても、意味はないですからね」

盗賊「…奇襲がないとも…限らんしな」

魔道士「なるほどぉ……」

戦士「…に、してもだ」
693 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:26:12.16 ID:8vI3JnLwo
召喚士「…うん。やや北方司令部から離れすぎではあるけど」

盗賊「…補給戦が縦に長いしな」

召喚士「まぁ、依頼は大規模ですが戦闘自体は割と小さいですし……」

戦士「心配はいらねぇか」

魔道士「左翼長さんの事です、ちゃんと考えてますよっ」

戦士「まぁそうだろうな」

召喚士「ここから東……」

戦士「あん?」

召喚士「丁度、北の村とかの辺りだよね…?」

盗賊「…ああ。そうだな」

召喚士「……なるほど」

盗賊「……そういう事か」

魔道士「……?」

召喚士「いえ、まぁ今回は必要なさそうですけどね。行きましょう」

魔道士「は、はいっ」
694 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:26:57.22 ID:8vI3JnLwo
1時間程北へ進軍した北方司令軍と召喚士らワーカー達。

山を一つ越え、谷へと差し掛かった矢先、斥候が大慌てで戻ってくる。

斥候「敵を確認ー!!アンデッドの部隊、多数です!!」

左翼長「来たかっ!!」

参謀「配置や距離は!?」

斥候「この先の谷間に布陣しております!ほぼ密集です!」

参謀「弓隊は高所に布陣っ、カタパルトは後方で組み立て用意!」

左翼長「先頭は歩兵とワーカー、それに魔道兵で固めろ!」

ワーカー「いよーし、今日こそケリをつけてやるぜ!」

ヒゲ「……おうよ!」

参謀「騎兵は左右より敵を分散して下さい!」

騎兵長「了解!まずは左方よち突破して、敵を分断するぞっ!」

騎兵「おぉーっ!」

ガガッ…ドドッドドッドドッ…

左翼長「…召喚士!」
695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:27:24.95 ID:8vI3JnLwo
召喚士「はいっ!」

左翼長「敵さんの大将は多分、一番奥かそこらだ」

戦士「外見は?」

左翼長「全身黒服の人型だ。見れば分かる」

盗賊「…分かった」

戦士「どうする?」

召喚士「まずは話が出来るか判断したいね」

魔道士「……はいっ」

魔法剣士「本当にやるつもりか?」

召喚士「はい。もし向こうに説得の余地があるならば……」

魔法剣士「…分かった。俺は脇で待機していよう」

召喚士「お願いします」

魔法剣士「お前らの危険を感じたら容赦なく攻撃する。いいな?」

召喚士「……お任せします」

左翼長「よぉし…!全軍、戦闘開始ーっ!!」
696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:27:55.40 ID:8vI3JnLwo
ドドォ…ガガガッ!!

スケルトン「人間だぎゃー!!」

歩兵長「怯むなぁ!敵の足は止まってるぞーっ、突っ込めぇ!!」

ワアアァァ

北方兵「でりゃああぁぁ!!」

ワーカー「うおりゃあぁ!!」

スケルトン「グガアアァァ!!」

互いに突然の装具であったものの、戦況は歴然の差であった。

士気も高く予め編成や作戦を備えておいた人間側が完全に圧倒し、

大将が指揮自体を放棄している魔物側は初撃で混乱を招いた。

魔法剣士「今のうちに背後へ回りこむぞ!」

召喚士「はいっ!」

五人はその間隙を突いて、一挙にアンデッドの群れを突破にかかる。

戦士「気付かれても立ち止まるなよっ!」

魔道士「はいっ!」
697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:28:54.35 ID:8vI3JnLwo
ザッザッザ…タッタッタッタッタ

副官「朱雀先生一行は抜けたようです」

参謀「…よしっ、カタパルト……発射用意っ!」

グググッ…ガゴンッ

左翼長「……撃てぇ!!」

バシュウウゥゥッ!!……ズドオオォォンッ!!

スケルトン「何だぁ!?……グギャアアァァ!!」

左翼長「味方には当てんなよぉ!順番に射出しろっ!」

ドドンッ!!……スドオオォォ…スガアアァァンッ!!

スケルトン「たかが岩だ!邪魔くせ――」

騎兵長「突撃ーっ!!一挙に駆け抜けるぞ!!」

騎兵「おおうっ!」

スケルトン「横からだとぉ!?」

左翼長「……相変わらず、まるで手ごたえがないな」

参謀「ええ…。しかしながら不死というのが厄介です。長期戦ですね」
698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:30:07.47 ID:8vI3JnLwo
タッタッタッタッタ…

戦士「突破したなっ!」

召喚士「うん!」

盗賊「……魔物の気配は…ないな」

魔法剣士「どこかにいるはずだ。油断するなっ」

魔道士「……はいっ」

戦士「一体どういうつもりだ……っ」

召喚士「……」

立ち止まり周囲の岩場を見渡す召喚士。

盗賊「……」

召喚士「…誰かに見られている…?」

盗賊「…気配はない。感じるのか?」

召喚士「分かりません……。そんな気がするだけです」

盗賊「……」

召喚士「気をつけて下さい。何か…異様な感じです」
699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:30:37.18 ID:8vI3JnLwo
ザッザッザ

魔法剣士「……どうだ?」

召喚士「こっちには何も……」

戦士「こっちもだ」

ピクッ

魔道士「……?」

盗賊「…どうした?」

魔道士「こっち……何か空気の流れが違う感じ……」

戦士「……月読か。どんな感じだ?」

魔道士「風向きが…。おそらく、洞窟とかそんな……」

魔法剣士「あれではないのか?」

召喚士「本当だ……っ、洞穴の入り口のようなものが……」

盗賊「……待て」

召喚士「!?」

盗賊「…いる。何かいるぞ。間違いない」
700 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:31:19.36 ID:8vI3JnLwo
戦士「……いよいよい本命か」

盗賊「…おそらくな。単体だ……だが」

魔道士「…?」

盗賊「……気配らしきものはあるが…正体が分からぬ」

召喚士「魔物かどうか分からない…と?」

盗賊「…ああ。気配、としか分からぬ」

魔法剣士「…とにかく行くしかあるまい。他には何もないのだからな」

召喚士「……ええ、行きましょう」

戦士「盗賊、先頭は任せる。俺が後ろを務める」

魔法剣士「いや、最後尾は俺が担う。二人で前を頼む」

召喚士「…ありがとうございます」

ザッ

盗賊「…行くぞ」

戦士「おうよ!」

五人は洞窟らしき入り口に足を踏み入れ、中へと進んで行った。
701 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:31:54.18 ID:8vI3JnLwo
ザッザッザ…コツコツ…

盗賊「……」

魔法剣士「妙だな」

召喚士「…ええっ、洞窟なのに……何故か視界がひらけている…!?」

魔法剣士「…一度出よう。これは罠かもしれん」

戦士「…だな。用心に越した事ぁねぇ」

ザッザッザッザ

魔道士「――っ!?」

盗賊「……馬鹿な…っ」

召喚士「入り口が……ない!?」

魔道士「ど、どこかで道を…!?」

魔法剣士「間違えるはずもない!そんな距離ではないぞ!」

戦士「……罠か…っ」

――『……罠?失礼だな。そんなものではない』

召喚士「っ!?」
702 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:33:02.28 ID:8vI3JnLwo
戦士「何だこの声は!?誰だっ!!」

――『そのまま進みたまえ。それが君等の運命……』

盗賊「……」

――『命においてやり直しは利かぬ。まして……戻る事など断じてな』

魔道士「……っ」

――『さぁ、真っ直ぐ進むのだ。私はそこで待っている』

魔法剣士「……行く以外に、なさそうだな」

召喚士「……っ」

ザッザッザ…ザッザっ…

戦士「何者かしらねぇが…ナメた真似しやがって…っ」

魔法剣士「いつ襲われるとも分からん。油断はするなよ?」

盗賊「…無論」

魔道士「はい……っ!」

間もなく五人は洞窟の突き当たりへとぶつかる事となる。

そこには一人の……いや、一匹の黒い衣装に身を包んだ魔物が立って笑っていた。
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 23:40:30.92 ID:427euyJAO
   __|__
  /      \
  | ____ |
  |/ . . \| >>1乙キッド
 (   ├┤    )
  \____/
  / |  |  \
  6_|_|___ ∂
  (___  _)
    ◯  (⌒)
704 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:46:13.49 ID:8vI3JnLwo
ザッザッザ…ザッ

戦士「……黒い服……あれか」

盗賊「……」

――「待っていたよ」

召喚士「……どういう意味だ」

――「……私の名は『ゲーデ』。男爵とも呼ばれているがね」

ゲーデと名乗る魔物は山高帽を取り、丁寧にお辞儀をする。

召喚士「待っていた、とはどういう意味だ?」

ゲーデ「君等が伯爵を葬ったのだろう?」

召喚士「……」

ゲーデ「私はね、探し……待っていたのだよ。君等の事……」

魔法剣士「……」

チャキッ

ゲーデ「伯爵の仇を討てる……この日をね」

召喚士「……っ」
705 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:50:48.18 ID:8vI3JnLwo
魔法剣士「……」

召喚士「待ってください、魔法剣士さん」

魔法剣士「……」

静止する召喚士の一言に従い、魔法剣士は手にした両手の剣を降ろす。

召喚士「ゲーデ…さん、でしたか。あなたは伯爵の仇を討つために…?」

ゲーデ「そう。それ以外に興味はないし、人間と剣を交える必要もない」

盗賊「……」

ゲーデ「とは言っても、向かってくる輩には手傷を負わせ、命をうばってしまったがね。フッククク」

召喚士「それも魔王の命令ですか?」

ゲーデ「魔王?そんなものに私は興味ないよ」

召喚士「……どういう意味です?」

ゲーデ「私が使える主は、あくまで伯爵様のみ。魔王なぞ関係ない」

召喚士「……」

ゲーデ「外の兵だって私の部下ではないよ。あれは魔王の手下だ」

魔道士「……っ」
706 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:55:31.86 ID:8vI3JnLwo
召喚士「ならば何故、魔王の下に身を寄せているのです…?」

ゲーデ「簡単な事だ。私が魔物だからだよ」

召喚士「……」

ゲーデ「人間と魔物は決して相容れぬ存在。君等も経験あるだろう?」

召喚士「経験?」

ゲーデ「人間同士とていざこざはある」

盗賊「……」

ゲーデ「相容れぬ者同士であっても、同種族ならば共存せねばなるまい」

召喚士「それが秩序です」

ゲーデ「秩序?……フッククク、面白い事を言う」

召喚士「……」

ゲーデ「秩序なんてものは、自分達が生み出した詭弁に過ぎぬだろう?」

戦士「何をゴチャゴチャと……」

ゲーデ「私とて君等と問答するつもりはないよ」

戦士「召喚士、コイツは説得出来るような奴じゃねぇぞ」
707 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/30(日) 23:58:56.75 ID:8vI3JnLwo
ゲーデ「説得…?私を説得するというのか?」

召喚士「あなたが言った事、今は違います」

ゲーデ「……ほぉ」

召喚士「人間と魔物、共存する事だって可能なのです」

ゲーデ「……」

召喚士「あなたは魔王に仕える気はないのでしょう?」

ゲーデ「仕える気はない。しかし不満があるわけでもない」

召喚士「……」

ゲーデ「魔族にとって人間は邪魔な存在であり、餌。これは永遠に変わる事はない」

召喚士「……」

ゲーデ「君等にとっての家畜やゴキブリと同様だ」

戦士「もういい。……やるぞ」

魔法剣士「賛成だな。論じて納得するような奴でもなさそうだ」

ゲーデ「フッククク。つくづく……人間は面白い」

召喚士「……っ」
708 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 00:04:06.08 ID:zU3dRK8uo
ゲーデ「いいですよ。かかってきなさい。勝ち目のない戦いに……」

戦士「……!!」

ダンッ!!

ゲーデ「私がどのような存在なのか分かっているでしょう?」

ヒュインッ…ザシュウゥ!!

ゲーデ「斬られようとも殴られようとも……」

魔法剣士「はぁっ!!」

ダンッ!!……ヒュオッ!!

ゲーデ「死する事はない。滅びぬ事はない……」

盗賊「…ちっ」

タタッ…タタタッ

召喚士「やるしか……ないのか…っ」

戦士「魔道士!援護しろっ!!」

魔道士「は、はい……っ!」

ゲーデ「伯爵の仇……討たせてもらいますよ」
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/31(月) 00:09:49.16 ID:zU3dRK8uo
それではこの辺りにて…ご支援ありがとうございました!
地図を更新してUPしておきました!宜しければどうぞ!ノシ

〜オマケ〜

テクテクテク

青年兵「……?」

キャッキャウフフ

青年兵「司令の部屋……?何の声だ?」

キャッキャウフフ

東方司令「……さぁ、ボクのも洗って…っ」

女剣士「お姉様……。綺麗……」

青年兵「――っ!!」

東方司令「キミこそ……あぁ、いつまでも触っていたい」

女剣士「んっ、くすぐった……」

東方司令「ボ、ボクのと……絡み合って……」

青年兵「……っ!!」

ダダッ…タッタッタッタッタ

東方司令「…絡み合って…ほどけなくなった……」

女剣士「だからシャンプーは離れてした方が良いと……」

東方司令「……キミの髪はさらさらでいつまでも触っていたいんだよっ」

女剣士「……意味が分かりません」
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 00:14:57.66 ID:oSgvqL4Jo
おつおつ











ふぅ
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 00:24:21.61 ID:EPn47pFto
こうして再び青年子になるのであった
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 00:30:06.59 ID:Oh7tNEXAO
また焦らしプレイか。
気持ちいいよおおおおおお!!!!!
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 02:57:42.50 ID:H7n0K/HMo
>>1

盛り上がってきたなwwktk


そしてこのおまけである
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 03:41:06.65 ID:mQ/RfZUDO
主である伯爵もアンデットなのに召喚士たちにやられてるのに関わらずこの余裕・・・何かあるな
洞窟なのは5行やでかい魔法を撃たせないためなのかな?
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 05:06:49.91 ID:ytV20hIAO
毎度>>1乙んつん
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 09:02:16.50 ID:+vxqnPuOo
久しぶりに戦闘か
オレの魔道士ちゃん、頑張れ
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 13:45:18.27 ID:WfjY7TZ/0
1乙
伯爵のときは詩人がこなきゃどうなったかわからんかったしな

718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 15:51:19.00 ID:cTxufxoAo
しかしどんな物語でも爵位持ちのキャラって大体伯爵だな
ドラキュラ伯爵の印象が強いんかね
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 17:33:36.09 ID:r1+mMm7DO
アスタロト公爵

子爵は聞いたことないな
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 17:34:10.50 ID:cxjjm95lo
っていうか、伯爵があの強さだと
公爵のレベルとか考えると…

魔王とか更にその…

っていうか、ヤマタノオロチは伯爵以下の強さだよなぁ…そんなのが源って…

つまり細かいことはいいんだよ!単純に面白ければおk
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 17:38:41.15 ID:+vxqnPuOo
::::::::        ┌─────────────── ┐
::::::::        |   伯爵がやられたようだな….    │
:::::   ┌───└───────────v───┬┘
:::::   |フフフ…奴は爵位ファイブの中でも最弱 …. │
┌──└────────v──┬───────┘
| 1回戦ごときで消えるとは     │
| 爵位の面汚しよ…        │
└────v─────────┘
  |ミ,  /  `ヽ /!    ,.──、
  |彡/二Oニニ|ノ    /三三三!,       |!
  `,' \、、_,|/-ャ    ト `=j r=レ     /ミ !彡      ●
T 爪| / / ̄|/´__,ャ  |`三三‐/     |`=、|,='|    _(_
/人 ヽ ミ='/|`:::::::/イ__ ト`ー く__,-,  、 _!_ /   ( ゚ω゚ )
/  `ー─'" |_,.イ、 | |/、   Y  /| | | j / ミ`┴'彡\ '    `
   公爵          侯爵       子爵     男爵
722 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:28:42.71 ID:peB844cZo
戦闘開始にあたり、五人の思惑は言わずもがな一致していた。

不死の敵に対する対処法は二つ。一つは攻め続け、退却に追い込む。

もう一つは殲滅。但し、後者においては極めて困難なものである。

魔法剣士「はぁっ!!」

戦士「っりゃあぁ!!」

ブンッ…ヒュオンッ!!

殲滅の条件は五行か特殊な形で行動不能とさせる事。

召喚士「……っ」

現状、彼らにとってのそれは、召喚士のコカトリスのみ。

ゲーデ「……」

しかし、ゲーデはそれを知っていた。だから前衛の攻撃になど目もくれず、

常に召喚士の動きから目を離さない。

ゲーデ「……フッククク」

魔法剣士による魔法剣や戦士の付加攻撃を最低限かわし、

あわよくばその身に喰らってでも、召喚士の行動を監視し続けた。
723 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:30:15.18 ID:peB844cZo
数分経ってもなお、ゲーデの動きに変化はない。

盗賊「……こいつ」

戦士「ああ。何やら召喚士を徹底的に警戒してるな」

魔法剣士「わかっているようだな。こちらの手の内が」

戦士「仕方ねぇ……」

ジャキッ

戦士は左手に雷切を握り返すと、右手には戟を持ち、二刀流の形となった。

魔法剣士「……」

戦士「これで四方から攻められる。……魔道士!」

魔道士「はいっ!」

戦士「雷切に雷、戟に風だ!!」

魔道士「……了解ですっ!」

ここにきてゲーデの目つきがやや変わる。

ゲーデ「……」

そしてこの日、初めて手にしたステッキを振り上げた。
724 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:31:09.91 ID:peB844cZo
ゲーデ「フッククク!」

振り上げたステッキをひねり、攻撃へと移るゲーデ。

戦士「!?」

盗賊「はぁっ!」

ジャラッ…ギュルギュルギュッ

脇に身を潜めていた盗賊がその腕を鎖で制御する。

戦士「ナイス!」

魔法剣士「はぁ!」

二刀流の男二人が前後より魔物を挟み撃ちする。

ズバッ!!…スガァ!!

ゲーデ「……ッ」

無論、手傷を負わせた様子もなく、衣服はみるみるうちに復元していく。

戦士「手ごたえは……なし」

魔法剣士「だが、内部の魔力は削ったはずだ」

ゲーデ「……」
725 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:32:01.17 ID:peB844cZo
ググッ…グググッ

盗賊「!?」

パッ…ジャラララッ

ゲーデ「長期戦も覚悟の上か。自信があるのかな?」

召喚士「……」

ゲーデ「それとも……隙を待っているかな」

召喚士「……」

ゲーデ「……いい眼だ」

召喚士「…………」

ゲーデ「私はね、人間は嫌いだが、好きでもある」

魔道士「……っ」

ゲーデ「人間の下らぬ理想論や好き勝手な自己都合……」

盗賊「……」

ゲーデ「そんなものは反吐が出る。慢心以外の何物でもない」

魔法剣士「……」
726 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:32:45.99 ID:peB844cZo
ゲーデ「しかし、人間の持つ感情は好意がもてる。実に良い」

ザッ…スタッ

ゲーデ「伯爵も同様だ。まぁ、伯爵は人間の怒哀のみ好んでいたが」

戦士「さっきからゴチャゴチャと……」

ゲーデ「まぁ聞きたまえ。その点、魔王はそんなもの微塵にも感じない」

召喚士「……魔王」

ゲーデ「分かって貰えたかな?私が伯爵の下にいた理由……」

盗賊「……」

ゲーデ「そして、仇と討ちたい理由が」

召喚士「あなたは人間をどうしたいんだ!?」

ゲーデ「……」

召喚士「魔物をどうしたいんだ!?何故戦う!?」

ゲーデ「先程も言っただろう?魔族だからさ」

魔道士「今は…魔族の皆さんだって一緒に戦おうとしているんですっ!」

ゲーデ「今は、ね」
727 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:33:25.63 ID:peB844cZo
盗賊「…?」

ゲーデ「例えばだ、戦いを終えた時…どうするつもりだ?」

戦士「決まってんだろ。共に暮らしていくさ」

ゲーデ「出来るのかね?」

戦士「…やってやる」

ゲーデ「……そこの君」

魔法剣士「……」

ゲーデ「君は、出来るのか?」

魔法剣士「……」

ゲーデ「肉親を殺された憎き仇と、共に暮らせるのかね?」

魔法剣士「……っ」

ゲーデ「君はどうだ?」

盗賊「…!!」

ゲーデ「愛しき家族――」

盗賊「やめろぉ!!」
728 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:33:52.20 ID:peB844cZo
ゲーデ「……そんなものさ。言っただろう?共存なんて無理な話だ」

召喚士「例え困難な道であったとしても……」

ゲーデ「進むかね?……フッククク、悪くはない」

召喚士「……」

ゲーデ「その道、歩んでみるかね?」

召喚士「…?」

ゲーデ「私はね、永遠の交差点に住まう案内人さ」

召喚士「何…言って……」

ゲーデ「全ての人間の運命を知る、生と死の間の仲介者だ」

戦士「だから何だってんだよ!」

ゲーデ「いるだろう?人間にもそういう力を持った者が……」

召喚士「……!」

ゲーデ「予言の民、つくづく悲しい者達だよ」

盗賊「知ったような口を……っ!」

戦士「盗賊!!」
729 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:34:55.65 ID:peB844cZo
タンッ!!

ゲーデ「話の途中で割り込むなど……行儀が悪いぞ!」

盗賊「!?」

あくまで盗賊は、ゲーデの速さを計算しつつ懐へと飛び込んだ。

占い師を嘲る言葉に逆上した事は確かである。しかしそれ以上に、

ゲーデの速さは一同の予測を遥かに上回るものであった。

魔道士「盗賊さ――」

ノーモーションで繰り出されるステッキでの一撃。

それは盗賊の腹部をかすめ、交差した形で両者の動きが止まる。

シュバッ……ザザァ

戦士「盗賊ーっ!!」

盗賊「……無……傷!?」

ガクンッ

盗賊「……あ……っ」

魔法剣士「ちぃっ!!」
730 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:35:47.71 ID:peB844cZo
タンッ!!

盗賊の異変に魔法剣士がゲーデとの間に入り込む。

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

シュイィィン

戦士「でっりゃあぁ!!」

魔道士「はぁっ!!」

それを合図に一斉攻撃がゲーデへ向けて始まった。

魔法剣士「……魔法剣……三行!!」

右手に炎の剣。左手に氷の剣を携え、更に土行が付加されたそれは、

膨大な魔力が膨れ上がり、巨大な鋏のようにゲーデへ襲いかかる。

ブオッ…シュバアァ!!

ゲーデ「……」

トンッ

魔法剣士「……っ!?」

氷の剣の刀身にステッキの先が触れ、魔法剣士の左腕は動きが止まる。
731 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:36:23.94 ID:peB844cZo
魔法剣士「ちぃ…っ!!」

ブオンッ!!…ズバアァ!!

魔法剣士「――!?」

左を制御された魔法剣士が放った、右による一撃。

ゲーデを肩から袈裟斬りに振り下ろした一撃は無意味なものだった。

魔法剣士「……炎が…っ」

ゲーデ「消えた、か?違うな。頂いたのだ」

魔法剣士「な……っ!?」

ガクンッ

魔法剣士「あ……」

カラン…

召喚士「魔法剣士さんっ!!」

盗賊と同様、その場に膝をつく魔法剣士。その異変に召喚士は、

上空のコカトリスを一挙に急降下させ、ゲーデの頭上より一撃を狙う。

魔法剣士「……だ……めだっ、や…め……」
732 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:37:38.82 ID:peB844cZo
ゴウッ!!…ゴオオォォ

ゲーデ「……来たな」

召喚士「コカトリス!!」

コカトリス「……」

ギュオオォォ

ゲーデ「危ういのは……石化の息!」

タンッ!!

コカトリス「それでかわしたつもりか!」

魔法剣士「……も…どせ…っ」

召喚士「はあぁーっ!!」

魔法剣士「戻せぇ!コカトリスをっ!!」

召喚士「!?」

ゲーデ「……」

向かい来るコカトリスを回避もせず、自ら接近するゲーデ。

その光景と魔法剣士の言葉により、召喚士は咄嗟に決断を下す。
733 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:38:28.43 ID:peB844cZo
ゲ−デ「…フックク」

召喚士「!!」

ブオンッ!!

ゲーデのステッキによる一振りが空を切る。

戦士「……召喚を…解除したのか…っ?」

召喚士「はぁ……はぁ…っ」

クルッ…スタッ

ゲーデ「……ふむ」

召喚士「…何をした」

ゲーデ「……」

召喚士「盗賊さんと魔法剣士さんに何をしたっ!?ただの攻撃じゃない!」

ゲーデ「……フッククク」

ググッ…ザッ

魔法剣士「……魔力を…吸い取ったな?」

魔道士「えっ!?」
734 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:39:38.91 ID:peB844cZo
召喚士「!!」

魔法剣士「そのステッキか?触れただけで魔力を奪い取るとはな……」

ヨロッ

魔道士「盗賊さんっ!」

盗賊「…そやつの言う通りだ。魔力を…奪われた」

ゲーデ「ご名答。その通り」

召喚士「……っ」

ゲーデ「私の攻撃は対象者の魔力を奪い取る」

戦士「……何だとぉ…っ!?」

ゲーデ「良い判断であったな」

ザッザッザ

ゲーデ「あのままコカトリスで攻撃していたら……」

召喚士(召喚分の魔力……全てを奪われていた…っ)

ここで召喚士は初めて、魔法剣士が言い放った言葉の意味を理解した。

召喚士「……っ」
735 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:40:37.83 ID:peB844cZo
ゲーデ「これで分かったかね?私に攻撃は通用しても……」

ザッザッザ…ピタッ

ゲーデ「隙を見せぬ限り、当てる事は困難だぞ?」

魔道士「ど、どうすれば……っ」

ザッ

魔法剣士「全て奪われたわけではない。仕掛け続けるさ!」

召喚士「しかし…っ」

魔法剣士「召喚士、隙をみてコカトリスでとどめをっ!」

ダダッ…タンッ!!

戦士「あの野郎…っ、囮になるつもりか!」

召喚士「…っ!」

魔法剣士「はぁ!!」

ゲーデ「無駄だ!」

魔法剣士「はああぁぁ!!」

ゲーデ「無駄無駄無駄ァ!!」
736 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 18:41:39.10 ID:peB844cZo
魔法剣士の連撃は空しくもゲーデには通じない。

ゲーデ「いつまで続けるきだね?」

魔法剣士「はあ…ぁ!!」

ゲーデ「君は私に二本の剣を同時に当てねばならない」

魔法剣士「く……ぬあぁ!!」

ゲーデ「だが私は、君にこのステッキで触れさえすれば良い」

トンッ

魔法剣士「――っ!!」

ズダンッ…ドシャアァ

魔道士「魔法剣士さん…っ!!」

ゲーデ「そして、コカトリスへの隙さえ作らせぬ」

召喚士「……」

その言葉通り、召喚士はコカトリスを放つ隙を窺っていたが動かなかった。

無言召喚で一撃放てば決まる。たったそれだけの事にも関わらずだ。

ゲーデは無理に攻撃しようとはせず、魔法剣士に対し牽制のみに留めた。
737 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 19:17:35.01 ID:peB844cZo
盗賊「……どうする…っ」

ゲーデ「無駄な考えは捨てるがいい。ましてや、勝とうなどとはな」

魔法剣士「……どうした?もう終わりか?」

ゲーデ「地に這う姿でよく言う……」

魔法剣士「トドメをさせと言っているのだ」

ゲーデ「……」

魔法剣士「仇討ちなのだろう?殺るなら殺るがいい!」

ゲーデ「……何か企んでいるな」

魔法剣士「……」

ゲーデ「そういう輩には近づかぬに限る」

スッ…テクテクテク

魔法剣士「愚弄するか……っ!」

ゲーデ「……君、不思議な男だな?」

魔法剣士「……」

ゲーデ「本当に心から死にたいと望んでいるのかね?」
738 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 19:18:14.66 ID:peB844cZo
魔法剣士「……っ」

ゲーデ「ここで命が途切れれば、仇は討てぬぞ?」

魔法剣士「……」

ゲーデ「それを殺せとは、理不尽で不思議なものよ」

魔法剣士「貴…様……っ」

ゲーデ「プライドか?恥か?そんなものは捨てよ。生きたいのだろう?」

魔法剣士「……貴様っ!!」

ゲーデ「私は確かに、伯爵の仇を討つつもりでいる」

盗賊「……」

ゲーデ「しかし一方的に君等の命を面白可笑しく奪うというのも気が引ける」

戦士「だから何なんだよ!何がしてぇんだ!?」

ゲーデ「ではこうしよう。君等の運命に賭けてみようか」

召喚士「…?」

戦士「賭け?何だそりゅあ……」

ゲーデ「運命の交差点において、生への渇望を見せてみよ」
739 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 19:18:41.82 ID:peB844cZo
召喚士「生への…渇望?」

魔法剣士「茶番に付き合う気はない…!」

ゲーデ「茶番か。後悔するなよ?」

スゥッ

盗賊「…何かする気だぞ!」

召喚士「退がっ――」

フォンッ

戦士「!?」

召喚士「え…っ!?」

魔道士「きゃああぁぁーっ!!」

ゲーデの挙げた右手が合図となり、突如足元の地面が消失する。

魔法剣士「っ!!」

盗賊「……くぅ!!」

ジャラッ…

召喚士「コカ…ト――」
740 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 19:20:52.04 ID:peB844cZo
ヒュウウゥゥ…

落とし穴のように闇へと落ちていく四人。

ゲーデ「……?」

五人目の男は劇を側壁に突き刺し、鉄棒のように身体を回転させ、

上空に待つゲーデの元へと勢いよく飛び跳ねた。

戦士「だっりゃあぁ!!」

ゲーデ「……」

ガシィッ

ゲーデ「大したものだな」

戦士「入った時から異変を感じてたんだ。何かあるってな!」

ゲーデ「だとしても反応出来るものではないぞ」

戦士「現にしてんだから…ちょっとは褒めろや!」

ブオンッ!!

ゲーデ「無駄だと言うのが…分からんのかね?」

トンッ
741 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/01/31(月) 19:22:08.40 ID:peB844cZo
戦士「元より大した魔力じゃねぇ!好きなだけ…くれてやるっ!!」

ゲーデ「……ッ」

ググッ…ズズズッ

戦士「てめぇも……道連れだぁ!!」

ガシィ

ゲーデ「見事だ。まさに生への渇望……」

戦士「つべこべうるせぇ!!」

ゲーデへと必死にしがみ付く戦士は遮二無二まとわりつく。

戦士「他の四人をどうしたっ!!

ゲーデ「案ずるな、殺してなどおらん」

戦士「じゃあさっさと返せ!!」

ゲーデ「彼らは今、懸命に戦っているのさ。己の人生とな」

戦士「はぁ!?」

ゲーデ「仕方ないな……。君の相手は…私がするしかなさそうだ」

そう言いながらゲーデが着地すると、地面は何事も無かったかのように戻った。
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 19:23:13.86 ID:peB844cZo
ところどころ上司に捕まってこんな時間ですこんばんは…
全然進まなかった…ごめんなさい!では失礼しますー
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 19:27:39.04 ID:oSgvqL4Jo
おつおつ
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/31(月) 20:00:17.89 ID:Fi2B1w2L0
一乙
雪は大丈夫か?
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 20:12:11.12 ID:XnuY46RDO
>>1乙っす
魔物側強いの多杉ワロタ
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 22:17:52.05 ID:pINFdHOVo
魔物は強いというより
魔物側の方が攻撃が多彩なんだよな
それにたいして人間側は魔法にしろ武器にしろ直接ダメージを与える方法しかないから
対処も楽
詩人や合体奥義みたいに補助魔法がもっとあればいいんだけどね
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 22:59:11.88 ID:EPn47pFto
物理攻撃が効かないってのはでっかい岩にぶちゅーっとつぶされても生きてるの?
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 23:30:57.71 ID:MNZa2AkAO
>>イチモツ
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/01/31(月) 23:33:32.85 ID:C/hw7QjDO
>>747

切られても服ごと再生される描写があるから、潰れるけど元に戻るんじゃないか?
でも、コカトリスで石化しても復活してきそうだよな……
750 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 00:17:48.72 ID:BzF/9Okio
フオンッ

召喚士(何だ……これ……っ)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

召喚士(え……っ!?)

マジシャン『ハッハ!さぁ、ここからだ!』

青龍先生『……ヒョッヒョッヒョ。よぉく見ておれ』

神官『王子……私は……』

玄武娘『私だって……っ!!』

帝『今……この時を以って――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

王子『だから俺は……戦う!!』

占い師『これが私に出来る精一杯の――』

天才『いるじゃねぇか、立派なヤツがよ……っ』

青年兵『……出陣!!』

師匠『行けっ!コカトリス!!』
751 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 00:18:18.36 ID:BzF/9Okio
フオンッ

盗賊(……真っ暗で…いや、真っ白…なのか!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

盗賊(何が起きて……脳裏に……何かがっ)

影忍『この鎖を……断ち切ってくれぇ!!』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

火忍『いいんです……。これが我らの――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

御館様『なぁ盗賊、私はお前の――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

盗賊(や…めろぉ!頭が……割れるように……っ)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

戦士『盗賊……。俺、俺さ――』

盗賊(……戦士!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…
752 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 00:18:51.95 ID:BzF/9Okio
フオンッ

魔道士(……へ…っ!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔道士(一体……何っ!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

大商家『……無礼を……お許し下され!』

魔道士(お父様……っ!?)

エリート『私は貴女に数々の――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

皇太子『……魔道士、これで君は――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

陛下『…………』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔道士(何なの……何なのよ…っ!やめてぇーっ!!)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…
753 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 00:19:32.84 ID:BzF/9Okio
フオンッ

魔法剣士(……!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔法剣士(何だこれは!?幻覚……?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

眼鏡『……僕は君に……心から――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

詩人『頼む……。彼を、どうか私に――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔法剣士(こんなもの……っ!)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

幼女『お父ーっ!!』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔法剣士(こんなもので……ぇ!!)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…
754 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 00:20:03.58 ID:BzF/9Okio
ブツンッ……ドサッ

召喚士「……う…っ」

モゾッ…グググッ

召喚士「なん……」

キョロキョロ

召喚士「みんな!?……どこなんだここは!?」

スクッ……ザッザッザ

召喚士(幻覚…!?それにしては……)

ズキッ

召喚士「……頭が……痛い…っ」

ヨロッ…ザスッ

召喚士「とにかく……みんなを……」

真っ直ぐ続く、暗闇とも光とも分からぬ一本道を召喚士はひた進む。

召喚士「……みんなを…探さないと…っ」

信じる仲間が待つ、その先へとひたすら真っ直ぐ進み続けた。
755 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 00:21:08.75 ID:BzF/9Okio


コオオォォ…

戦士「……」

ゲーデ「君の運命はどうなのだろう」

戦士「運命?」

ゲーデ「今頃、仲間は己の運命を切り拓いている」

戦士「……」

ゲーデ「まぁ拓けず、力尽きるやもしれんがな」

戦士「てめぇ……」

ゲーデ「そう怒るな。仲間とやらを信じろ」

戦士「……」

ゲーデ「運命は信じるか?」

戦士「……運命なんてものはねぇ。信じるわけねぇだろ」

ゲーデ「…フッククク。そうかそうか、いや…それでいい」

戦士「……」
756 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 00:21:39.61 ID:BzF/9Okio
ゲーデ「運命なんてものはただの道に過ぎない」

戦士「……よく分からんな」

ゲーデ「…フックク。分からぬのに信じぬか」

戦士「分からないから信じねぇんだろうが」

ゲーデ「……それもそうか。君はなかなかに優秀だ」

戦士「…バカにしてんのかテメェ」

ゲーデ「いやいや、褒めているのさ」

戦士「……っ」

ゲーデ「運命は信じぬ君は、宿命は信じるか?」

戦士「宿命?」

ゲーデ「運命は道。道は進む為のもの」

戦士「……」

ゲーデ「しかし道は分かれ、時には立ち止まる事も出来る」

戦士「……はぁ。意味分かんねぇ」

ゲーデ「しかしだ、宿命を変える事は出来ん」
757 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 00:22:46.08 ID:BzF/9Okio
戦士「だから何だっつーんだよ」

ゲーデ「宿命は生まれた時に、既にきまっているのさ」

戦士「……」

ゲーデ「運命は見えても、宿命を見る事など誰にも出来ん」

戦士「あっそ」

ゲーデ「自分の命が終わる時、初めて宿命を知るのさ」

戦士「へいへい。高尚なこって……」

ゲーデ「少し難しかったかな…君には」

戦士「いい加減、召喚士達を返して貰おうか」

ゲーデ「…それは出来ぬな」

戦士「ならば力ずくでも…返して貰うぜ」

ゲーデ「それは一向に構わぬ。構わぬが出来ぬものは出来ぬ」

戦士「……」

ゲーデ「先程も述べたように、彼等は己と戦い、向かい合っている」

戦士「……っ」
758 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 00:24:19.48 ID:BzF/9Okio
ゲーデ「打ち勝ったならば、自然と戻ってくるであろう」

戦士「……」

ゲーデ「それが運命――」

ダンッ!!

戦士「…りゃあぁ!!」

ギキイィンンッ

戦士「さっきからベラベラと…ワケ分かねぇ事を…っ!」

ゲーデ「いずれ分かるさ!」

戦士「……っ!!」

ガキィ!!……ズザザァッ

ゲーデ「人間、お前は何故戦う?」

戦士「決まってんだろ!皆を守る為だ!」

ゲーデ「……人間をか?」

戦士「だけじゃねぇ!志を共にする仲間をだ!」

ゲーデ「……」
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/01(火) 00:43:28.38 ID:BzF/9Okio
此度もご支援ありがとうございました!
めっきり寒くなってきたので、お風邪には気をつけてねっ!

>>718
ヴァンパイアのボスでかんがえた時にドラキュラ伯爵でしたので…
ちなみに余談ですが、ワーウルフは狼男的な感じでした
当時はこんな長引くつもりなかったのではしょったんですけど、
伯爵、狼男、フランケンシュタイン。それを率いる怪物ランドのプリ(ry
そんなキャラ出そうかなと…

>>744
雪降ってたんですか!?こっちは大丈夫でしたよー

>>747>>749
骨なんですぐに復活する感じですかね
ゲームとかでありがちな……

それでは、おやすみなさーい!ノシ
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 00:54:17.89 ID:5LPcyEGpo
おつ
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 01:00:37.81 ID:ZjLkX8tAO
戦士が主人公っぽい(´・ω・`)
行け!召喚士!
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 01:08:55.44 ID:YPZ/XytDO
え?戦士さんが主人公だろ?

763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 03:25:40.47 ID:pOfCoqlAO
>>1乙!
かつてこれ程までにマホトラを使いたくなった敵がいただろうか
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 07:20:30.70 ID:xPLrRtzYo
細々と続いて来た伏線が
徐々に太くなって来たな。

先行き楽しみだ!

>>1乙です。そしてありがとう
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/01(火) 08:05:30.33 ID:GSh0QLQAO
あれ?これ主人公誰だっけ?
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/01(火) 08:10:23.51 ID:Uy2vR0hUP
>>759
プリンセスですね?ありがとうございます。
767 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:25:18.33 ID:z/J7jBLro
ガインッ…ガンッ…ガンッ!!

ゲーデによる魔力の搾取など気にも留めず、攻め続ける戦士。

総魔力が少ない事が逆に幸いし、いくら奪い取られようと、

疲労が限界に達する事はなく、手は止まらない。

戦士「……」

ゲーデ「……」

それでもこの魔物に対して、戦士の攻撃は無意味なものであった。

物理攻撃も通用せず、魔力も奪い取られ、ましてや不死。

戦士自身も自分一人で勝利を得られるなどとは到底、微塵にも考えていない。

ギィンッ!!…ヒュンッ…ブオォッ!!

戦士「……くっ!!」

ゲーデ「……フッククク」

それでも手を休める事はない。仲間を救う、その一身で攻撃を続ける。

戦士「っあぁ!!」

ゲーデ「……」
768 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:26:34.29 ID:z/J7jBLro
ヒュオンッ!!…ブンッ…ガキィ!!

ゲーデ(……不思議な男だ)

戦士「……だぁっ!」

ゲーデ(勝ち目のない戦いを続け、何になるというのだ)

戦士「……っ!!」

ゲーデ(仲間を助けたい、ただそれが望みなのか……?)

戦士「……決まってんだろっ!!」

ゲーデ「ッ!?」

バッ……スタッ

戦士「…っ、はぁ…はぁ……はぁ…」

ゲーデ「…ついうっかり、口に出ていたか」

戦士「……あ?」

ゲーデ(……いや、思考を読んだのか……?)

戦士「……」

その不自然な出来事に、ゲーデは一瞬悩んだが、結論はすぐに出る。
769 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:27:25.34 ID:z/J7jBLro
ゲーデ「君は、相手の思考が読めるのか?」

戦士「まさか。そんな事出来れば戦うに苦労しねぇ」

ゲーデ「…フックク。それもそうか」

戦士「だが、何を考えてるのかは何となく分かる気がする」

ゲーデ「……」

戦士「相手の目を見てるとな、そいつがどんな事考えてるのか分かる気がする」

ゲーデ「……」

かつて召喚士とアイコンタクトをとり、戦闘した経験がふと、頭をよぎる。

戦士「相手を信じるって事が、大切なんだよっ」

ゲーデ「……信頼か」

戦士の強さの秘密はそこにあった。彼は魔物に対しても、心を開き、

それは初対面であろうが、剣を交えている最中であろうが変わらない。

ゲーデ「君は私に対し、心を開いたというのかね?」

戦士「命のやりとりだ。当たり前だろう」

絶対悪であろうとも命を奪う。それに対する礼儀が信頼という形となっているのだ。
770 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:28:04.88 ID:z/J7jBLro
ゲーデ「……」

戦士「それによ、魔物ったって…悪いヤツばっかじゃねぇって知ったしな」

ゲーデ「……」

戦士「魔族にだって魔王に不満があるヤツもいるし……」

ゲーデ「……」

戦士「今の生活に不満のあるヤツ。戦いたくないヤツだっている」

ゲーデ「……」

戦士「戦ってみて、話してみて、そういうヤツは命を奪いたかねぇし…」

ゲーデ「……」

戦士「一緒に戦ってくれるんなら、種族とか関係ねぇじゃねえか!」

ゲーデ「……」

心を開き、それに心を許す者は助け、そうでない者に対しては、

私利私欲抜きで、全力を以ってして相手する。

戦士より優れた者は多数いる。しかし個での強さで言えば戦士が圧倒する。

それが戦士の強さの秘密であり、個での武力が優れる理由でもあった。
771 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:29:01.37 ID:z/J7jBLro
戦士「……お前は魔王に仕えてないんだろ?だったらよぉ」

ゲーデ「何度も言わせるな、魔族と人間は相容れぬ。それが私の価値観だ」

戦士「そんな事は……」

ゲーデ「君は君の価値観を持つ。私は私の価値観を持っている」

戦士「……っ」

ゲーデ「それもまた相容れる事はない」

戦士「……」

ゲーデ「それで良いではないか。双方、損得もない」

戦士「何がそうさせるんだよ…っ」

ゲーデ「答える義務も意味もない。それが運命なのだ」

戦士「運命ってのは変わるんだろうがよぉ!」

ガキイィィンッ

戦士「自分で…言ってたよなぁ」

ゲーデ「……」

戦士「戦ってみて分かるよ。アンタは悪いヤツじゃねぇ」
772 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:29:39.07 ID:z/J7jBLro
ゲーデ「いいや、悪党さ。飛びっきりのね」

戦士「……」

ゲーデ「運命というのはね、変わるものではないよ」

戦士「……?」

ゲーデ「運命は自分で切り拓き、自分で変えるものなのだ」

戦士「…じゃあ、変えればいいじゃねぇか!」

ゲーデ「変えるだけが運命じゃない。受け入れるのも運命だ」

戦士「……何だよそれ…っ」

ゲーデ「…フッククク。君と話していると、本当に不思議に思えるよ」

戦士「…?」

グググッ…バキャアァ

戦士「……ぐ…っ!!」

ゲーデ「君のような輩を好漢と言うのかな」

戦士「…はぁ?」

ゲーデ「……立ちたまえ。気が変わった」
773 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:30:12.86 ID:z/J7jBLro
戦士「……?」

ゲーデ「剣を交えよう。とは言っても、私は死なぬが」

戦士「……」

スクッ

戦士「どういう意味だよ?」

ゲーデ「意味はない、そのままさ。剣を交えたくなった」

戦士「それこそ意味ねーだろ。アンタは死なないんだ」

ゲーデ「だからこそ、やり甲斐があるというもの」

戦士「……?」

ゲーデ「不死と知れば全ての者は逃げる。何故か分かるか?」

戦士「…やるだけ無駄だからだろ」

ゲーデ「その通り。しかしここは特殊な空間、逃げ場はない」

戦士「じゃあ諦めるな。多分、殺してくれるのを待つんじゃないのか?」

ゲーデ「それも正解。普通はそうだろうさ」

戦士「中には無駄な抵抗するヤツもいるだろうがな」
774 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:30:39.97 ID:z/J7jBLro
ゲーデ「そこまで行き着く者は、極々限られる」

戦士「……」

ゲーデ「その中でも最後まで諦めず、ましてや……フッククク」

戦士「……」

ゲーデ「仲間に引き込もうなどと思う輩は…君だけだ」

戦士「……そうかい」

ゲーデ「つまり君は、通常では為しえない運命を切り開いたのだ」

戦士「……」

ゲーデ「だからこそ、運命の分岐に立つ者として、君に機会を与えよう」

戦士「機会…?」

ゲーデ「もし君が、私に一撃与え、伏す事が出来れば君の勝ち」

戦士「……」

ゲーデ「逆に私が一撃与えれば、君は絶命する」

戦士「……っ」

ゲーデ「どうする?この運命、切り拓いてみるか?」
775 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:31:11.75 ID:z/J7jBLro
戦士「…答える必要はねぇな」

ゲーデ「……ほぉ」

戦士「やるに決まってるだろ」

ゲーデ「……フッククク」

戦士「但し、俺が勝ったら召喚士達はすぐに開放しろ!」

ゲーデ「運命を変えるのは自分自身だ」

戦士「……」

ゲーデ「但し、手助けはしてやるか。それで良かろう」

戦士「それで助かるならな」

ゲーデ「…フッククク!心を開くのは良いが、考えた方がいいぞ?」

戦士「……?」

ゲーデ「もしこれが罠だとすれば、君等は全滅だ」

戦士「……そうだな」

ゲーデ「……フッククク」

戦士「……」
776 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:31:41.15 ID:z/J7jBLro
ザザッ

戦士「……」

ブンッ…ゴトッ

ゲーデ「盾を捨てたか。思い切りの良い……」

戦士「どうせ一撃決まれば終わる。小細工なしだ!」

ゲーデ「本当に…不思議な男だ」

戦士「こいつ一本ありゃあいい」

チャキッ

ゲ−デ「では、始めようか」

戦士「……ああ」

ザッ…ゴゴゴゴゴゴ

ゲーデ「まだまだ力を隠していたか」

戦士「……」

ゲーデ「……」

返事もなく無言で威圧を放つ戦士。ゲーデの顔から笑顔が消えた。
777 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:32:11.97 ID:z/J7jBLro
漆黒の山高帽に燕尾服で身を固めたその男。

手にした十字架のステッキに仕込んだ、細く鋭い刀身を抜く。

戦士「……」

それを受けて戦士は、無言のまま雷切を鞘から抜き、

その鞘を後方へと放った。居合いはなし。真っ向勝負の証である。

ザッ…ススッ

互いの力量を計るかの如く、両者は横に移動し、間合いを取り合う。

対峙する者の力量が尋常ではない。それが共通の思惑。

戦士「……」

踏み込めば一刀に伏せる。しかし伏す事も出来るかもしれない。

戦士の脳裏に風景としてよぎるは、一瞬での決着であった。

その想像を払拭するかのように、男爵は戦士の懐へと飛び込んで来た。

ヒュンッ!!

ゲーデ「うおおおおぉぉぉぉ!!」

戦士「でりゃああぁぁーっ!!」
778 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:32:39.02 ID:z/J7jBLro
互いの初動は得物を水平にしての薙ぎ。

それは刀身同士が触れる事も、互いの身体に触れる事もなく空を切る。

身を屈めた両者は見合わせ、互いの思考を読む。

戦士(すっげぇ……っ、動きが止まって見える……)

視界の全てがスローモーションに見え、思考だけが著しい早さで動く。

ゲーデはその場で独楽のように回転し、再び剣を薙ぎ払いに放った。

戦士(……だろうな)

既に動きを読んでいたかの如く、戦士はさも当然のように上半身を逸らせ、

ゲーデの一振りを見事にかわす。

フォンッ!!

ゲーデ「!?」

戦士「……っし!!」

ゲーデの右腕が振り切られる前、つまりは薙ぎのモーション途中で、

戦士の両足が絡みつき、その右腕の動きを奪う。

ゲーデ「な……っ――」
779 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:33:09.65 ID:z/J7jBLro
戦士はそのまま身体を捻り、ゲーデの右腕を関節技のように絡め取る。

ゲーデ「っ!!」

戦士「っだぁ!!」

右腕に比例するように、ゲーデの体が宙で回る。

それを視認すると戦士はすばやく両足を離し、地面へ足をつけた。

戦士「はああぁぁーっ!!」

ゲーデ「おおぉぉーっ!!」

ヒュバッ…ガキイイィィンッ!!

戦士、渾身の一撃もゲーデが宙にて逆さで放った剣により防がれる。

そして次の一瞬は、まさに刹那の判断であった。

ゲーデ「……っ!!」

戦士「……っ」

ゲーデは着地する事なく、その身を上空へと浮遊させる。

羽も持たず人型であるにも関わらず、飛行が可能であるからだ。

ゲーデ「!?」
780 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 18:33:43.83 ID:z/J7jBLro
ゲーデにとってそれは通常の判断だが、戦士にとっては違った。

羽も持たない人型が咄嗟に飛行するなどとは思わないのが普通。

しかし、戦士の脳裏には先程の光景がしっかりとしがみ付いていた。

地面がいきなり真っ暗な落とし穴と化し、ゲーデにぶら下がった出来事が。

ゲーデ「……な…っ!?」

それはまさに心を開いていたからこそ、瞬時の外見に囚われず、

経験則に基づいて行動させた、戦士の本能であった。

戦士「っりゃあ!」

ゲーデが空へ逃げると同時に、戦士も既に宙へ跳躍していた。

三度、今度は空中にて両者の剣がぶつかり合う。

ガギギイイィィ…

戦士「く…うぅ……っ!」

ゲーデ「まだこんな……力が…っ?」

鈍い衝撃音を残し、戦士とゲーデは地上へと落下する。

着地の瞬間、二人の運命が今、決まった……。
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 19:08:19.79 ID:eqt9STdIO
主人公違うなww
でもこの展開、暑すぎて大好きだ
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 19:32:11.97 ID:xTrpKlkXo
さすが主人公…こういう熱い展開だいすきだ
タイトルは戦士「行くぜっ!雷切!!」でしたよね?
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 19:52:10.41 ID:84ynzdOs0
スピンオフの召喚士「行けっ!コカトリス!!」も大好きです
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 19:56:07.40 ID:lW7kPzeZo
「唸れっ!おかみさん!!」

はまだですか?
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 20:22:20.87 ID:O9nlHp8Yo
「イキますぅ!!魔導士ちゃん!」はまだですか
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 20:31:54.29 ID:sZFuoTA9o
「今行くぞ、雷忍」は100スレ目かな
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 20:48:27.73 ID:obKVN5LDO
燃える!燃えまくりだ!
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 20:59:57.30 ID:7FfQLyQDO
熱くなってる所悪いけど結界石の斧はアンデッドにダメージ与えられるはずじゃなかったか
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 21:02:05.47 ID:5VjMnGrno
コカトリス「行けっ! 召喚士!!」
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/01(火) 22:00:51.25 ID:yHrtg9Ig0
>>788
言わないお約束
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 22:06:14.37 ID:mfr5U46J0
眼鏡「Go! Papyi!!」
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 23:22:18.05 ID:6dlxo7r8o
>>788
多分アンデッドじゃなくてイモータル
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 23:33:09.81 ID:WbXuzSKSO
ゲーデ先生には斧でやったらスピードで負けそう
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 23:44:23.04 ID:3rIQhDBAO
>>791サムスピ懐かしいな
795 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/01(火) 23:59:18.75 ID:BzF/9Okio
ズザッ

ゲーデ「ふん……っ!」

十字架を模したステッキ状の剣を振るうゲーデ。

その挙動の最中、ふと目の前の光景に疑問を抱く。

ゲーデ(こやつ……左利きであったか……?)

戦士が眼前で雷切を振るうその軌道、それは今までとは逆の、

つまりは右から左へと流れる軌道であった。

戦士「……」

自由落下の最中、戦士は既視感を覚えた。

それは隊長との特訓風景。その中に似たような場面があったのだ。

向かい合う剣の軌道であれば、再び弾かれるは必死。

ならばこそ、敢えて左手でその軌道を逆とする。

そこで生まれる後の先。幾多の戦いで戦士を助けたカウンターの一撃が生まれる。

ゲーデの右手で放たれた一閃をしゃがんでかわし、戦士はすかさず

ガラ空きとなった、ゲーデの腹部へと左手の雷切を振り上げた。
796 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:00:05.00 ID:ZReGT45co
フォンッ

戦士「…………」

ゲーデ「……」

戦士「……」

ゲーデ「……フッククク、クククッ!」

ザッ

ゲーデ「……見事」

戦士「これで、俺の勝ちだろ」

ゲーデ「……フックククク!!」

戦士「……」

ゲーデ「……ああ、君の勝ちだ」

戦士「……ピンピンして言われてもな」

ゲーデ「まぁそう言うな、勝ちは勝ちだ。私が不死でなくば今の一撃で絶命していたさ」

戦士「それで、約束通り……皆を解放して貰おうか!」

ゲーデ「……ふむ」
797 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:00:32.08 ID:ZReGT45co
戦士「まさか今更、出来ねぇとか言うんじゃねーだろうな?」

ゲーデ「……安心したまえ。私は約束を守るよ」

ザッザッザ

ゲーデ「その辺の低俗な魔物と一緒にしないで欲しいものだな」

戦士「じゃあ早くしろよ」

ゲーデ「もうしたさ」

戦士「……?」

ゲーデ「約束通り、運命の呪縛からは開放した」

戦士「……」

ゲーデ「だが、彼らが歩む道の途中で開放したのだ」

戦士「何だってん――」

ゲーデ「どこで途中下車したかは知らぬ。知るは彼らのみだ」

戦士「はぁ!?」

ゲーデ「約束が違うなどとは言うなよ?」

戦士「……っ!」
798 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:00:58.15 ID:ZReGT45co
ゲーデ「この地へ戻すなどとは、一言も申しておらんのだからな」

戦士「てめぇ……っ」

ゲーデ「生きていればあた会えるのだから、良いであろう?」

戦士「……くっ」

ゲーデ「それに、君等の命を許してやったのだ。安いものさ」

戦士「確かに……生きてんだな!?」

ゲーデ「何度も言わせるな。私は嘘は付かぬ」

戦士「……」

ゲーデ「伯爵もそうであったろう?」

戦士「知るかよ……っ」

ゲーデ「伯爵か……。仇は……討てなかったな」

戦士「……」

ゲーデ「それも運命か……。致し方あるまい」

戦士「もう、襲ってはこねぇんだな?」

ゲーデ「襲って欲しいならそうするが?」
799 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:01:25.79 ID:ZReGT45co
戦士「……まっぴらゴメンだ」

ゲーデ「フッククク!」

ザッザッザ

戦士「なぁ!」

ゲーデ「人間に手は貸さぬ」

戦士「……」

ゲーデ「二度とは言わぬぞ。……フッククク」

戦士「……あんたさ、人間だったんんだろ」

ゲーデ「……何故そう思う?」

戦士「何となくだ。別に理由はねぇ」

ゲーデ「人間だったとしても、それがどうだというのだ?」

戦士「……捨てたのか?」

ゲーデ「捨てて得るものがあるのならば、捨てるかもしれんなぁ」

戦士「……」

ゲーデ「私の話だなどどうでも良かろう。これで終いだ」
800 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:01:53.88 ID:ZReGT45co
戦士「待ってくれ!もう一つだけ……」

ゲーデ「何かね?」

戦士「自分の運命は……見えなかったのかよ……?」

ゲーデ「見えぬ。己の運命なぞ見えたら……面白いかね?」

戦士「……どうだろうな」

ゲーデ「私はつまらぬと思うよ」

戦士「……」

ゲーデ「人生は何があるか分からぬからこそ面白い。違うかね?」

戦士「……そりゃあそうだな」

ゲーデ「つまり、そういう事だ」

戦士「……」

ゲーデ「そうだ、名を聞いていなかったな」

戦士「……戦士」

ゲーデ「戦士…か。では戦士、人生を楽しむが良い。道は切り開くものぞ……」

こだまする笑い声が徐々に小さくなり、しばらくの後、洞窟は漆黒に包まれた。
801 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:02:19.84 ID:ZReGT45co


ザッザッザッザッ…ザッ

戦士「……くそっ」

ゲーデの退却により洞窟は元ある形へと姿を戻す。

灯りもない状態の戦士は、手探り出口を目指し、ようやく明かりの差す一画へと辿り着く。

戦士「……っ」

洞窟の外へ出ると、眩しい日差しが戦士の目に飛び込んだ。

戦士「……召喚士、魔道士」

ザッザッザ

戦士「魔法剣士……盗賊」

ザッザッザ

戦士「必ず、探し出してやる……っ!」

グッ…タッタッタッタッタ…

つい先程まで五人であったパーティーは戦士ただ一人となり、

単身、左翼長らの控える本隊へと足早に向かった。
802 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:03:10.87 ID:ZReGT45co


ゴオオォォ…ドサッ

魔法剣士「……ぐっ!!」

ゴオオォォ…ドサッ

盗賊「……っ」

ゴオオォォ…ドサッ

魔道士「きゃ……っ!!」

ゴオオォォ…ドサッ

召喚士「……っつう!!」

ヨロッ

召喚士「今度は……どこだ!?」

ヨロッ…テク……テクテク

召喚士「みんな…!?おーいっ!誰かーっ!!」

その声は空しくかき消され、周囲には召喚士以外の人影は見当たらない。

目に入るものは、壁のように多い塞がる突風の嵐と一軒の民家のみであった……。
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/02(水) 00:14:59.06 ID:Kkf04s7DO
まさか…寝落ちだと……?

毎回いいところで>>1乙!
804 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:32:55.68 ID:ZReGT45co


ゲーデ「……」

……――

ババ様『予言が全て……人助けになるとは限らんて』

ゲーデ『では何ゆえ、このような力を持って……何もしないと言うのですか!?』

ババ様『使うべき者が使いこなせば良いのじゃ』

ゲーデ『……っ』

ババ様『ただ己の慢心で使うは、ただの偽善じゃ。不幸を生む……』

ゲーデ『私には分かりませぬ!……分かりませぬっ!!』

ドドドドドド…

女『何故……わつぃだけ助けたのよぉ!!』

ゲーデ『……』

女『みんな死んだ……私だけ……何故……っ』

ゲーデ『死にたかったとでも……言うのですか……?』

女『死なせてよぉーっ!夫も子供達もみんな……っ、何で……私だけぇ!!』

ゲーデ『……っ!!』
805 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:37:48.14 ID:ZReGT45co


ババ様『分かったであろう?命を救う事だけが助けではないのじゃ』

ゲーデ『では、見捨てろと言うのですかっ!?』

ババ様『正しき者が使え、と申しておるのじゃ……』

ゲーデ『何が正しいだっ!!目の前の人間が死んでゆく!それを救えぬなど……っ』

ババ様『その意味が分からぬうちは、未熟だという事じゃて……』

ゲーデ『何が予言の民かっ!このような所にひっそりと暮らし……世を捨て……』

ババ様『……ゲーデ』

ゲーデ『私は出来ぬっ!!そんな事は到底……出来ぬっ!!』

運命なんてものは変える為にあるんだ。決して諦めたりするものではない。

死に於いてだって変えられるからこその運命……。

――『違うな』

ゲーデ『!?』

――『死を受け入れるは宿命。決して抗えぬ宿命』

ゲ−デ「……っ!!」

――『そして、余の手によってここで貴様が死するも……宿命』
806 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:41:11.09 ID:ZReGT45co


ザッザッザ

ゲーデ「……」

魔王殿と呼ばれる異質の部屋。ゲーデは久方ぶりにこの地へと赴いた。

ゲーデ「……お久しゅう御座いまする」

――「……何用か?」

アスタロス「…………」

ゲーデ「二人きりで話とう御座りまする」

スッ

アスタロス「……」

――「アスタロス、良い。下がっておれ」

アスタロス「……はっ」

スゥッ…カツカツカツカツ…

ゲーデ「ありがとうございます……ベルゼブブ様」

ベルゼブブ「して、何用か?」
807 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:45:17.23 ID:ZReGT45co
ベルゼブブと呼ばれた人間のような魔物。

しかしながらその肌は赤黒く、眼光はぎらつき、一睨みにおいて通常の人間など気を失うであろう。

ゲーデ「私は……」

ベルゼブブ「……」

そのような化物と呼ぶに相応しい魔王を、ゲーデは最後に選択した。

ゲーデ「……人間に飽き飽き致しました」

ベルゼブブ「……」

ゲーデ「しかし、魔族に対しても同様です」

ベルゼブブ「ほぉ、死ぬか?」

ゲーデ「死にまする」

ベルゼブブ「それで、余に剣を向けるとでも申すか?」

ゲーデ「はい」

ベルゼブブ「無意味な事を……」

ゲーデ「無意味です。しかし、最後はせめて……人間らしく」

ベルゼブブ「……」
808 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 00:53:02.53 ID:ZReGT45co
ゲーデは問答無用に魔王へ飛び掛かる。

今まで己の中に燻っていた、人間としての想い。魔族としての想い。

その葛藤を胸に秘めつつ、伯爵の下、人間であった者に不死の命を与え、

魔族、即ちアンデッドとする事であたかも救いを差し出していた錯覚に誤魔化しを得ていた。

ゲーデ「はああぁぁっ!!」

それが過ちであると知りつつも、為す術もなく、探す術もなくもがき苦しんだ。

それが突如現れた一人の人間と剣を交える事で微かな、ほんの微かな光明を見た気がした。

ベルゼブブ「……」

ゲーデ自身は何も変わらない。それでも、世界は変わろうとしている。

そう感じた時、ゲーデは己の役目や信念、そして自分の運命という名の道の終着を得た。

ゲーデ「――っ」

ベルゼブブ「…………」

ゲーデの肉体はおろか、剣すらもベルゼブブに触れる事はなく、その決着は迎えた。

十字架のステッキが回転しながら床へと、あたかも墓標のように魔王殿の端へひっそりと突き刺さる。

その傍らで、ゲーデの体は霧のように蒸発し、この世からその全てを消失した……。
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/02(水) 00:56:51.65 ID:ZReGT45co
とりあえずここまで!もうちょいで三十四部も終わりですー!
何だかまた、無駄にながくなってしまってすみません…

それでは、ご支援ありがとうございました!おやすみー!ノシ

〜オマケ〜

召喚士「……占いの館?はぁ、最近ツイてないし見て貰おうかな……」

テクテク

召喚士「すみま……うわぁ!!」

ゲーデ「いらっしゃ〜い。フッククク」

召喚士「……めっちゃ…怪しい」

ゲーデ「今日はどうされましたぁ〜?」

召喚士「最近ツイてないんです…」

ゲーデ「例えば?」

召喚士「女装させられたり、主人公の座が怪しかったり……」

ゲーデ「ふーむ、なるほど。それは名前が宜しくない。改名すべきですね」

召喚士「改名!?ど、どうしたら……」

ゲーデ「ペニス」

召喚士「……はい?」

ゲーデ「ペニスに改名すれば運気も急上昇――」

召喚士「いやだああぁぁーっ!!」
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 01:05:47.43 ID:RHJ5wUJAO
ゲーデ! 応答しろ! ゲーデ! ゲエエエエエエエエエエエデ!!
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 01:41:49.21 ID:HMnerUNdo
ゲーデまさかの登場から2日で死亡
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/02(水) 02:17:09.37 ID:UOhmEiGIO
いちおつ

つぎは公爵か?
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 02:35:49.65 ID:Etoq1Z/to
乙!

子爵かもしれんぞ
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 03:45:50.44 ID:dV0yGRNa0
乙です。
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 04:02:57.96 ID:r29QltbRo


熱かった
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 04:28:25.23 ID:l8/Yuj0Bo
1乙
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 08:31:06.78 ID:KkNvvK0AO
ゲーデ「さきよみ!」
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 09:03:28.14 ID:yST0ueiDO
>>809
師匠酒吹いた
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 09:32:15.83 ID:91oKUuY6o
ゲーデ本編はカッコよかったのに
オマケで便利な面白キャラになるとは
何はともあれ>>1乙!
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 09:42:23.83 ID:GVT6MS+DO
戦士の女装はまだですか?
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 10:19:53.63 ID:YKJvgqOIO
さすがに戦士は女装しても女装ってバレバレだろ
822 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 17:15:52.57 ID:H4gYduBMo
伯爵『私はね、人間が大嫌いだ』

ゲーデ『私もです。死して魔族となりて、その思いは強くなりました』

伯爵『人間は平気で嘘をつく。短命の分際で生へ執着する』

ゲーデ『……』

伯爵『魔族化すれば永らくの命を得られ、力を手にする事が出来る』

ゲーデ『だから人間を魔族かすると?』

伯爵『言ったであろう?嘘をつく人間は嫌いだ』

ゲーデ『……』

伯爵『だが正直に欲し、望む者は受け入れる。それが私だ』

ゲーデ『成程』

伯爵『選ばれし人間のみが我等と共に共存する。それこそが理想郷』

ゲーデ『……』

伯爵『強い者だけが生きる。これぞ当たり前の世界ではないか』

ゲーデ『そうかもしれませんね』

伯爵『その時、人々は己の愚かさ、過去の過ちを恥じる事となるのさ』
823 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 17:16:26.28 ID:H4gYduBMo


ババ様『馬鹿だねぇ。まんまと踊らされてさ』

ゲーデ『……』

ババ様『自分でも分かっていたんだろう?過ちなのかもしれないと…』

ゲーデ『今更ですよ……』

ババ様『だから無益な殺生をしなかったんじゃろう?』

ゲーデ『……』

ババ様『伯爵の仇だなんて、本当は礼を言いたかったんじゃないのかい?』

ゲーデ『どうでしょうね……』

ババ様『とにかくいこれで、呪縛から解き放たれたんだ』

ゲーデ『ええ…。ようやくです……』

ババ様『あとは信じて、ゆっくり休む事じゃて……』

ゲーデ『はい、そう致しましょう――』

――……

ゲーデ「戦士…と言ったか。見させて貰うぞ……遠い彼方――」
824 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 17:17:05.23 ID:H4gYduBMo
パアアァァッ…

ベルゼブブ「…………」

スッ

アスタロス「……我が君」

ベルゼブブ「問題ない。最後を見届けてやっただけの事よ」

アスタロス「……」

スゥッ

ネクロマンサー「いやはや、惜しい人材を失いましたな」

ベルゼブブ「そうかね?」

ネクロマンサー「彼はなかなか、面白い思考の持ち主でした故…クククッ」

アスタロス「我が君に於いて、そんなものは無用」

ネクロマンサー「……」

アスタロス「我らとて駒……いや、それ以下の存在に過ぎぬ」

ネクロマンサー「…ククッ、それもそうですねぇ」

瘴気の満ちた部屋から音が消え、再び暗闇が訪れた。
825 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 17:17:46.40 ID:H4gYduBMo


ゴオオォォォォ…

召喚士「どこ……だっ?」

地上である事は間違いなく、傍らには一軒の民家が佇むのみ。

ゴオオォォォォ…

召喚士「……っ」

その民家を中心に、周囲を風の壁が覆いつくしている。

召喚士「何なんだ……っ」

吹き荒れる突風は天高く伸び、その果ては見えない。

ザッザッザ…ゴオウッ!!

召喚士「……うっ!!」

ズザァ

召喚士「近づく事も無理……か」

突風に近づくものの押し返される召喚士。立ち上がりふと、背後を見つめる。

召喚士「……あとは、あの家か」
826 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 17:19:15.45 ID:H4gYduBMo
ゴオオォォォォ…

召喚士「……」

テクテクテク…コンコン

召喚士「……」

ドアをノックするが空く様子もなく、声すらも特にない。

召喚士「……失礼…しまーす」

カチャッ

召喚士「誰か……いますかー?」

民家に人の気配はなく、薄暗い室内が広がっている。

召喚士「……」

カツカツカツ…コツ

召喚士「……何か…いるのか?」

ふと、一番奥の部屋で足を止める召喚士。目の前にある扉の向こうから、

何か気配のようなものを感じ取ったのだ。

召喚士「……っ」
827 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 17:33:59.76 ID:H4gYduBMo
カチャッ…キイィ

召喚士「…………」

カツカツ…カツ…

召喚士「――っ!?」

恐る恐る進む召喚士の足元で何かが動く。

ネズミ「チューッ」

タッタッタ…

召喚士「何だ、ネズミか……」

部屋を足早に出て行くネズミを見送り、召喚士が再びふと振り返ると、

――「何をしている」

召喚士「わあぁぁーっ!!」

突如、前方より老人の声が響き渡った。

老人「ここで何をしている?」

召喚士「……人間…!?」



〜第三十四部、完〜
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 17:41:47.76 ID:FQVioceno
えっ
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 18:15:22.91 ID:qSmgrcLfo
・・・・えっ?
830 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:29:50.30 ID:H4gYduBMo
〜数日前〜

格闘家「……」

『お前は明日6時、西の広場へ向かえ』

隊長の言伝通り、俺は西の広場へ来た。

格闘家「……」

そして今は……朝の7時。

格闘家「……」

総司令はおろか、関係すると思しき者すら来ない。

格闘家「……」

俺は、騙されたのであろうか……。

テクテクテク…

格闘家「……師匠」

天才「いよぉ、待たせたな」

格闘家「いえ。何か用ですか?」

天才「ちょいとお前に頼みがあってな。南に行ってきてくれ」
831 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:30:27.86 ID:H4gYduBMo


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第三十五部〜
832 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:30:54.74 ID:H4gYduBMo
〜北方司令部、現在〜

戦士「……」

あの日、結局本隊へ合流した俺は――。



タッタッタッタッタ

戦士「……っ!!」

左翼長「左っ、弾幕薄いぞ!何屋って――!?」

参謀「戦士殿っ!」

左翼長「無事だったか!んで、大将は?」

戦士「……ああ、やった」

左翼長「…よーし、それならば一挙にケリを着けるぞ!」

参謀「召喚士殿、魔道士殿、援護を……」

左翼長「……他の連中はどうした?」

戦士「……っ」

左翼長「……まさか」
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/02(水) 18:32:06.48 ID:H4gYduBMo
× 左翼長「左っ、弾幕薄いぞ!何屋って――!?」

○ 左翼長「左っ、弾幕薄いぞ!何やって――!?」


左翼長「ばっかやろう!誤字ってるぞっ、何やってんの!!」
834 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:32:35.23 ID:H4gYduBMo


戦士「ああぁぁーっ!!」

バギャアァ!!…ズガアアァァ!!

スケルトン「何だぁコイツわわわーっ!!」

戦士「退けえぇ!!てめぇらの大将は退いたぞ!!」

スケルトン「なにぃー!?」

戦士「もう……戦う必要はねぇんだよおぉ!!」

ガシャアァ!!…ズドォッ!!

スケルトン「グギギ……どうする?」

魔物の群れは戸惑い、顔を見合わせる。

スケルトン「……よし、一旦戻って確認だぎゃ!」

カラカラッ…タッタッタッタ…

騎兵「スケルトンが……退却していく!?」

弓兵「よーし!追撃だぁ!!逃がすかっ」

左翼長「やめろっ!敵は退いたんだ、深追いするな!」
835 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:33:03.62 ID:H4gYduBMo


参謀「消えた……!?」

左翼長「それで、生きてんだろうな…?」

戦士「…多分な。嘘をついてるとは思えねぇ」

左翼長「どこにいるのかは分からんのか?」

戦士「ああ……」

参謀「参りましたね」

左翼長「こっちでも捜索してやる。心配するな」

戦士「…すまねぇ」

左翼長「お前のせいじゃねぇ。悔やむ事ないだろ」

参謀「生きていれさえすれば、また会う事は出来ます」

戦士「……ああ」

左翼長「…よし、ひとまずこちらも退くぞ。進路を北方司令部へ!」

投石兵「ははっ!!」

参謀「……それでは、進軍!」
836 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:52:08.19 ID:H4gYduBMo


戦士「……」

あれから1日。国軍の手を借りて近辺をくまなく探したが、以前行方は不明。

戦士「…どうすりゃいいんだよ……くそっ」

苛立っていても仕方ねぇのは分かってる。

戦士「……よし」

スクッ…テクテクテク

左翼長「おぉう」

戦士「おっと……おじさんか」

左翼長「何だ、外出か?」

戦士「じっとしてても落ちつかねぇしな」

左翼長「護衛は?」

戦士「大丈夫。遠出はしねぇ」

左翼長「……夜までには戻れよ」

戦士「子供じゃないんだ、分かってるよ」
837 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:52:53.24 ID:H4gYduBMo
テクテクテクテク

戦士「……さーて」

たった1日。今までだってなかったわけじゃない。

戦士「今日は……こっちを行ってみっか」

正直なところ、魔法剣士や召喚士は、さほど心配していない。

あいつらにゃあ、一人でも切り抜ける強さがあるからなぁ。

戦士「……」

盗賊は、あの直前……魔力を奪われていた。

戦士「……くそっ」

あれ?何で俺、こんなに苛立ってんだよ……。

戦士「……」

盗賊だってよ、俺なんかよりよっぽど一人でやっていけるじゃねぇか……。

戦士「……しっかりしろっ、俺!」

バシッ!!

よしっ、ゴチャゴチャ考えるだけ無駄!前に進むのみだ!
838 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:53:29.25 ID:H4gYduBMo
〜海峡〜

フォンッ……ドボオオォォンッ!!

海峡兵「何だぁ!?」

門兵「近くの川に何か落ちたぞっ!確認急げーっ!!」

ダダッ

将軍「何事か!?」

海峡兵「下の川に異音が…っ。何かが落下したものと思われます!」

海峡「……?」

海峡兵「いたぞ−っ!人だっ、人が落ちた!!」

門兵「息はあるのか!?」

海峡兵「ああ!おいっ、しっかりしろぉ!!」

将軍「どこの者だ!?軍の者か!?」

海峡兵「いえっ、ワーカーのようですが……」

門兵「!?……こ、この人…っ!!」

盗賊「……う……っ」
839 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:53:58.03 ID:H4gYduBMo
〜西方、南の砂漠〜

ジャリッジャリッジャリッ…ザッ

玄武娘「……朱雀嬢ちゃん〜っ、ちょっと休むですの〜」

朱雀嬢「こんな所で休んでいても、仕方ありませんわ」

玄武娘「お腹空いて動けないですの〜」

朱雀嬢「情けない事言わないで欲しいですわっ」

玄武娘「せめて水を〜」

朱雀嬢「先程、ガブ飲みしたのはどこの誰かしらっ!」

玄武娘「……うぅ」

朱雀嬢「……あら?」

ザッザッザ…ザザッ

玄武娘「何ですの!?食糧ですの!?」

朱雀嬢「……いえ、人が倒れていますわ…っ」

玄武娘「えぇーっ!?こんな所で何で……っ!?」

魔法剣士「…………」
840 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:55:17.95 ID:H4gYduBMo
〜??〜

ドサッ

魔道士「……っ!!」

ムクッ……フラフラッ

魔道士「……うぅ」

召喚士「魔道士さんっ!大丈夫ですか!?」

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「……怪我は…していないようですね」

魔道士「……他の皆さんは!?」

召喚士「分かりません…。そうやら俺達だけのようです…」

魔道士「!!」

召喚士「何か嫌な予感がしますね。ここを離れて外へ――」

ザッ

天才「……待ちな」

魔道士「天才……さん!?」
841 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:56:06.56 ID:H4gYduBMo
〜北の村〜

戦士「結局……こんな所まで来ちまった」

ザッザッザ

ヒゲの男「……?」

戦士「なぁ、大軍師さんているか?」

青年「誰だアンタ?」

戦士「その辺のワーカーさ。それで、大軍師さんは……」

ヒゲの男「アンタ……コカトリスの一味の……」

戦士「おぉ!覚えててくれたかっ!」

青年「あーっ!偽者がどうこう騒いでた奴かぁ!」

ヒゲの男「おいおい、まさか偽モンじゃねーだろうなぁ?」

戦士「待て待てっ!その件は解決した!大軍師さんに――」

ザッザッザ

大軍師「その方は間違いなく戦士殿ですよ」

戦士「大軍師さん!」
842 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:56:53.96 ID:H4gYduBMo
大軍師「今日はまたお一人とは、珍しい……」

戦士「いやぁ、またワケありでしてね」

大軍師「ほぉ、伺いましょうか」

戦士「すんません……」

テクテクテク

大軍師「どうぞ、お入り下さい」

戦士「お邪魔します」

室内に入る戦士へ大軍師は着席を促し、戦士もそれに応じて座る。

大軍師「それで、今回はどうなされたのです?」

戦士「実は……」

ゲーデとの戦いにおける顛末を戦士はありのまま大軍師に話した。

大軍師「……成程」

戦士「それで、あいつらを探してるってわけです」

大軍師「…しかし貴方達も探し物が多いですねぇ……ふふふっ」

戦士「……いやぁ、全くです」
843 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:57:23.68 ID:H4gYduBMo
大軍師「その魔物……ゲーデ、と言いましたか」

戦士「ええ」

大軍師「人生の岐路に立つ者……よく分かりませんね」

戦士「大軍師さんが分からねぇなら、俺なんてさっぱりっすよ」

大軍師「一応、西方司令部か王宮にはあれがありますが……」

戦士「あれ…?」

大軍師「魔物辞典です。まぁ王宮のものはそれにコピーですが」

戦士「!!」

大軍師「ですが、その手の魔物においては、然したる情報もないでしょうね」

戦士「……そうか」

大軍師「ワークショップへは連絡したのですか?」

戦士「ええ。昨日の内に手紙を……」

大軍師「ならば大人しく待つ事ですよ」

戦士「……」

大軍師「果報は寝て待て、と言いますからね……ふふっ」
844 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:58:08.79 ID:H4gYduBMo


戦士「なんか色々とすいません。心配させちまったみたいで」

大軍師「いえいえ、お役に立てず申し訳ない……」

戦士「……何だか、忙しそうですね」

大軍師「ええ。間もなく視察がありますからね」

戦士「ああ、左翼が来るって言ってたっけ?」

大軍師「その為に今回、魔物を追い払ってくれたんでしょう?」

戦士「そーいやそうでしたわ。ははっ」

大軍師「どうです?見ていかれますか?」

戦士「…うーん、それもいいけど…今日中に帰らないとうるさいもんで」

大軍師「…ふふっ、左翼長殿ですか?」

戦士「……ええ、まぁ」

大軍師「心配させても何ですし、残念ですがまたの機会にでも」

戦士「ええ、四人揃って……また来ます!」

大軍師「いつでもお待ちしておりますよ。ふふふっ」
845 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:59:13.09 ID:H4gYduBMo
〜??〜

召喚士「……」

老人「……」

召喚士「……あ、あのぉ」

老人「……」

召喚士「ここは……どこなんです!?」

老人「……北じゃ」

召喚士「北?それに、外のあの…風は……」

老人「お前さん、ここへどうやって来なすった?」

召喚士「……分かりません。気付いたらここに…っ」

老人「分からない?不思議なものよの……」

召喚士「そうだっ!お爺さん、他に誰かいませんでしたか!?」

老人「他…?さぁ、知らぬな」

召喚士「……っ」

老人「仲間とはぐれたか?」
846 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 18:59:56.64 ID:H4gYduBMo
召喚士「……信じて貰えるか分かりませんが……っ」

口調重く、召喚士はここへ来た経緯を目の前の老人に包み隠さず話した。

召喚士「……と、言う事なんです」

老人「……驚く、というより…にわかには信じがたい話だな」

召喚士「俺だって何が何だか……」

老人「……」

召喚士「とにかく、他に誰もいないのならば失礼します」

老人「……」

テクテクテク…パタン

召喚士「……」

家の外は相も変わらず。突風による壁が周囲を覆いつくしている。

それは竜巻の中心部分に居るかのような、言わば台風の目に立つ状態。

召喚士「……さて、どうやって」

カチャッ

老人「……無理じゃよ」
847 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 19:00:33.53 ID:H4gYduBMo
召喚士「……お爺さん」

老人「それを突破して出る事は、不可能じゃ」

召喚士「……いえ」

老人「…?」

召喚士「この壁、どれ程の高さがあるんです?」

上空を見上げ、召喚士は老人に問いかける。

老人「…さぁ、見た事もないわい」

召喚士「……そうですか」

ザッ

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

シュイィン

老人「――!!」

召喚士「コカトリス、上空を……」

コカトリス「何だこれは?」

召喚士「とにかく、どの程度の高さなのか確認して欲しい」
848 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 19:01:41.13 ID:H4gYduBMo
コカトリス「……ふむ、やるだけの事はやってみようか」

ドウッ!!…バシュウウゥゥ…

老人「今のは……コカトリスか!?」

召喚士「ご存知なんですか!?」

老人「つまりお主は……朱雀召喚士か……っ」

召喚士「……はい」

二人はしばし無言のまま見合わせ、しばらくすると再び上空を見上げた。

召喚士「……帰ってこないな」

老人「無闇に続けると、魔力も尽きかねんぞ?」

召喚士「…そうですね」

老人の言葉を受け入れ、召喚士は一度召喚解除を行う。

召喚士「……ふーっ」

老人「……」

召喚士「…行けっ!コカトリス!!」

シュイィン
849 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 19:02:19.80 ID:H4gYduBMo
再召喚されたコカトリスが、再び二人の前へと姿を現す。

召喚士「コカトリス、どうだった?」

コカトリス「かなり上空まで飛んだが、果ては見えぬぞ」

召喚士「……!!」

コカトリス「恐らくお前の魔力では果てまで辿り着けぬかもしれん……」

召喚士「上からの脱出は不可能……か」

老人「かと言って、この風の壁を破る事も不可能じゃ」

召喚士「……コカトリス」

コカトリス「…出来るとは思えんが、やってみるか」

キュイイィィ…ゴオオォォォォ

老人「石化の吐息か……っ!」

召喚士「風ごと…石化して……」

ビキビキビキ…ゴシャアアァァ

召喚士「ダメか……っ」

老人「次から次へと吹き荒れる突風じゃ。一箇所を破るは困難よ」
850 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 19:04:00.50 ID:H4gYduBMo
召喚士「上も駄目、横も駄目。それならば……」

老人「下か?それも無駄じゃ。あっと言う間に風に追いつかれるわい」

呆れたような口調で老人は言い放ち、家の背後を指差す。

召喚士「あれは…?」

老人「ワシが長年かけて掘り続けた穴じゃ。結局意味はなかったがの」

召喚士「……それじゃあ、脱出不能じゃないですかっ」

老人「そういう事じゃ」

召喚士「そういう事って……っ」

老人「とにかく家の中に入りなさい。全てを話すとしよう」

召喚士「……っ」

テクテクテク…パタン

召喚士「お爺さん、ここは一体どういう所なんです!?」

老人「かつてはただの宿泊所であった場所じゃ」

召喚士「宿泊所……?」

老人「そうじゃ。北で狩りを行うワーカー達のなぁ」
851 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 19:04:45.73 ID:H4gYduBMo
召喚士「北というと……どの辺りなんです?」

老人「お主は、どの辺りまで進んだ事があるかの?」

召喚士「……最北の村って分かりますか?」

老人「うむ。大層な召喚士が居た村じゃな?」

召喚士「召喚士…?」

老人「いやいや、古い話じゃよ。それ以上は?」

召喚士「……特に…思い当たりません」

老人「ここはの、さらにずーっと先へ進んだ、言わば魔王軍の領土じゃよ」

召喚士「――!?」

老人「魔王城すら遠目に見える。そんな場所じゃ」

召喚士「そ、そんな……っ」

老人「そう。一歩間違えれば、命などあっと言う間じゃ」

召喚士「まさか…っ、外の風は魔物の……」

老人「いいや。あれは……そう、強いて言うならば逆じゃな」

召喚士「逆…?」
852 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/02(水) 19:06:21.92 ID:H4gYduBMo
老人「あれは人の手が作り出したものじゃよ」

召喚士「!?」

老人「…そして、突破する術も……」

召喚士「人って……誰かが!?」

老人「そうじゃ」

召喚士「どこに…いるんです?」

老人「……今はもうおらぬ」

召喚士「え……っ?」

老人「当人は死んだ。今はもうおらんのじゃよ」

召喚士「死んだ……って……」

老人」あれの正体じゃがな……」

召喚士「……」

老人「あれは召喚獣じゃよ」

召喚士「――っ!!」

老人「召喚獣『クジャタ』白虎でも高等の召喚獣じゃ……」
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/02(水) 19:07:47.47 ID:H4gYduBMo
とりあえずここまでにて!ご支援ありがとうございました!
三十五部はなんだか色々とごちゃごちゃとやってみようと思います
分かりにくかったりあると思いますがすみません!

それでは、失礼致します!ノシ
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 19:08:08.42 ID:LVmukcx8o


「クジャタ」ゲットだぜ!
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 20:17:52.75 ID:KkNvvK0AO
>>1

召還士ってギニュー隊長みたいなやつだな
気に入ったぞその身体!みたいな

てか、離れ離れになってさぞ寂しいだろうな、可哀想に…俺で良ければすぐにでもダイブして寂しさで壊れそうな君の下へ飛んでいってギュッと抱きしめて暖めてあげられるのに…魔導師ちゃん
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 20:35:56.92 ID:XOaTWowso
召喚士は偽乳

まで読んだ
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/03(木) 00:55:42.30 ID:6tveEfIDO
クジャタがわからなくて、ウィキで調べたら、バハムートとベヒーモスが同じ存在だったとか、バハムートって、実は魚って事を今更知ったよ…。

結局、クジャタはでかい牛って事しかわからなかった。
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 02:08:21.10 ID:9HTXZ/CSO
白虎に恵まれている朱雀先生って……
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/03(木) 03:04:09.53 ID:JF2+Tj7DO
僕の白虎も破裂しそうです><
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 03:20:21.25 ID:QRrgMc/Zo
え?お前のチワワがなんだって?
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 03:23:55.89 ID:t5bJPLAPo
クジャタっつーとヴァリガルさんの代わりなイメージ
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 08:10:38.35 ID:urRH4lwAO
クジャータって聞いてもコーヒーフレッシュしか思い浮かばないよ…
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 08:14:44.55 ID:s1tC06JDO
>>862
そりゃスジャータだ。
断食してるお釈迦様にミルクをあげた女だ。
偽乳ではないだろう。
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/03(木) 11:34:51.66 ID:8gY0KBhIO
白虎長「行け!マキバオー」
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 18:25:06.72 ID:oXeGMnjAO
>>1おつ

>>840で召喚士が天才達と一緒にいるみたいになってるけどこれは伏線なの?
866 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:34:20.44 ID:+txmVDANo
召喚士「召喚獣……クジャタ……!?」

老人「そうじゃ」

召喚士「しかしっ、当人は亡くなったと……」

老人「そう。死んだからこそ厄介なのじゃよ」

召喚士「……?」

老人「お主も召喚士ならば、召喚術の心得はあるじゃろ?」

召喚士「まぁ……おそらくは」

老人「召喚術に必要なものは?」

召喚士「……魔力ですね」

老人「そう。魔力を高めれば高める程、効力も強くなる」

召喚士「……はい」

老人「その魔力、練り出すには二通りの方法がある」

召喚士「……」

老人「一つは己の持つ力量。もう一つは?」

召喚士「……命!!」
867 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:34:47.99 ID:+txmVDANo
老人「クジャタの主は、それは大した使い手であった」

召喚士「……」

老人「全ての魔力、そして命を代償に練り上げた魔力を全て……」

召喚士「まさか……」

老人「そうじゃ。あのクジャタを最後の召喚に使った」

召喚士「それで…亡くなったと…?」

老人「あの者が死んでもなお、その効力が切れる事はないのじゃ…」

召喚士「そんな事が…可能なのか…っ!?」

老人「現にああして、存在しておるではないか」

召喚士「……っ」

老人「当人もまさか、これ程長く持つとは思うておらんかったかもしれんがの…」

召喚士「どれ程…経過しているんです?」

老人「5年くらいは毎日数えておったが、もう途中でやめたわい」

召喚士「……」

老人「少なくとも数十年は経っておるじゃろうな」
868 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:35:14.50 ID:+txmVDANo
召喚士「……そんな」

老人「その間、ワシはここより一歩も出られる事はなかった」

召喚士「!!」

老人「まさに隔離された…外とは別世界よ」

召喚士「どうしてこんな事に……」

老人「……当時、狩りをしていた」

召喚士「……」

老人「その時にな、とにかく恐ろしい…とんでもない化物と遭遇した」

召喚士「……」

老人「交戦したが、生き残ったのはワシともう一人」

召喚士「それが…クジャタの主…っ」

老人「そうじゃ。ワシらは何とかこの宿泊所まで逃げ込んだ」

召喚士「……っ」

老人「しかし、手傷を負った彼は……」

召喚士「最後の力で…クジャタを……?」
869 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:35:44.11 ID:+txmVDANo
老人「……その甲斐あってか、魔物は退き…ワシは生き延びた」

召喚士「……」

老人「じゃが、その代償に…この有様じゃよ」

召喚士「……何か、手はないのですか!?」

老人「ワシも最初はもがいたさ。なんとか脱出しようと懸命にのぉ」

召喚士「……」

老人「穴を掘り…召喚獣をぶつけ……」

召喚士「…待ってください?」

老人「…?」

召喚士「召喚獣……って……?」

老人「…ああ、ワシもかつては召喚士だったのじゃよ」

召喚士「!?」

老人「まぁ今となっては魔力も尽き、延命に費やすがやっとじゃ……」

召喚士「そう…だったのですか……」

老人「……うむ」
870 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:36:12.58 ID:+txmVDANo
召喚士「すると、脱出出来る唯一の方法は……」

老人「クジャタの召喚解除を待つだけじゃ……」

召喚士「……」

老人「何年かかるか分からんがの…」

召喚士「……っ」

グッ…

召喚士「……くそっ」

老人「……」

召喚士「こんな事を……している場合じゃないのに…っ」

誰にもぶつける事の出来ない悔しさが召喚士の胸を締め付ける。

老人「……お主は、何故ここにきたのじゃ?」

召喚士「さっきも言ったように…分かりません」

老人「……」

召喚士「魔物と交戦中に幻術のようなもので…そのまま……」

老人「……そうか」
871 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:36:39.08 ID:+txmVDANo


メラメラメラッ…パチッ

老人「……ほれ」

スッ

召喚士「何です?」

老人「ネズミの丸焼きじゃ。美味いぞ」

召喚士「……いえっ、結構です」

老人「……そうか」

眉間に皺を寄せる召喚士を見て、老人は差し出した串をひょいと手元へ戻す。

老人「……他に食べる物はないぞよ」

召喚士「…大丈夫です」

老人「今は冬じゃろ?」

召喚士「ええ」

老人「春からは畑で作物が出来る」

召喚士「……」
872 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:37:05.68 ID:+txmVDANo
老人「冬はこういったものを食して、凌ぐしかないのじゃ」

召喚士「……」

老人「幸い、地面を掘った時に水源は確保出来たしのぉ」

召喚士「雨は降らないんですか?」

老人「ここは竜巻の中心部のようなものじゃ」

召喚士「……なるほど。雲など近寄ることも出来ないわけか」

老人「雨も雪も、気候なぞなーんにも変わる事はない」

召喚士「……」

老人「分かるのは昼か夜か、それだけじゃ…」

召喚士「……」

老人「月の一つだってみえんよ」

召喚士「……そうですか」

老人「外界の景色……死ぬ前にまた拝みたいものじゃ……」

召喚士「……何とか…しましょうよ!」

老人「……」
873 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:38:08.91 ID:+txmVDANo
召喚士「今まではお爺さん一人でした!でも今は、二人です!」

老人「……」

召喚士「二人なら何か手段があるかもしれませんよっ!」

老人「しかしなぁ……。何か方法があれば良いのじゃが……」

召喚士「……」

食事を終えた老人は溜息混じりに空を見上げる。

老人「……月」

召喚士「え…?」

老人「そうじゃ……っ!!月っ!!」

召喚士「……!?」

老人「お主っ、昨日までの月の状態を覚えておるか!?」

召喚士「え、えぇ…。確か半月でしたが……」

老人「満月の日程は分かるか!?」

召喚士「満月…ですか?おそらく4日後……」

老人「おそらく?それでは駄目だっ!確実な日を知りたいのじゃ!」
874 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:38:34.70 ID:+txmVDANo
召喚士「よっ、4日後で間違いないと思います……っ」

老人「……」

召喚士「あ、あの……それが何か……」

老人「お主次第じゃ」

召喚士「へ…っ?」

老人「クジャタに直談判するのじゃよ」

召喚士「あ……っ!!」

老人「お主が白虎界へ行き、クジャタと直談判するのじゃ!」

召喚士「そうかっ!……って」

老人「…?」

召喚士「あの…っ、召喚獣世界への誘導が出来るんですか…?」

老人「基本じゃろ。召喚術の」

召喚士「基本…ですか?」

老人「なんじゃ、最近の若い者はそんな事も出来ぬのか……」

召喚士「…すみません」
875 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:39:00.64 ID:+txmVDANo
老人「良かろう。それならばワシが誘導する。それで良いな?」

召喚士「はい。お願いします!」

老人「やり方は分かっておるな?」

召喚士「以前、2度ほど経験が……」

老人「そうかそうか。それならば話は早い」

召喚士「では、4日後に…?」

老人「うむ。それまでは済まぬが、しばし耐えてくれ」

召喚士「……仕方ありませんね」

老人「じゃが、これでうまくいけば…クジャタを解除する事が出来るやもしれぬ」

召喚士「ええ…」

老人「そうと決まれば……」

召喚士「4日の間、お手伝いですね。家事くらいなら……」

老人「いやいや、まぁそれも有難いが、魔力を練っておくのじゃ」

召喚士「…魔力を…ですか?」

老人「うむ。召喚獣界は相当の魔力を吸い取られるからのう」
876 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:39:33.87 ID:+txmVDANo
召喚士「そっか……」

老人「ワシも魔力が十分であれば、出来たのじゃがな……」

召喚士「大丈夫です。1人で行ってきます」

老人「まぁ、コカトリスを使える程のお主ならば、1人でも――!!」

召喚士「ど、どうしました!?」

老人「何と言う愚かな事じゃ……っ」

召喚士「えっ!?」

老人「コカトリス…っ。そうじゃよ…君は朱雀ではないか……っ!」

召喚士「え、えぇ。一応……」

老人「クジャタの姿を見た事があるか?」

召喚士「…ありません」

老人「駄目じゃ…。朱雀のお主が白虎界へ行く事は出来ぬ……」

召喚士「……」

老人「せめてクジャタの姿でも存じておれば、イメージで何とか……」

召喚士「他の白虎召喚獣では駄目ですか?」
877 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:40:00.30 ID:+txmVDANo
老人「他?イメージのみでは該当の召喚獣でなければ難しいわい」

召喚士「いえ、他の白虎召喚獣を持っているのでは駄目ですかね?」

老人「……どういう意味じゃ?」

召喚士「……百聞は一見にしかずです」

老人「……?」

召喚士「ちょっと外へ…宜しいですか?」

老人「何か…あるのかの?」

テクテクテクテク

老人「一体なんだと言うのじゃ…っ?」

召喚士「これよりお見せ致します」

ザッ

召喚士「…行けっ!ユニコーン!!」

シュイィン

老人「――っ!!」

ユニコーン「…何だ?どこ…ここ…?」
878 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:41:39.26 ID:+txmVDANo
召喚されたユニコーンが颯爽と姿を現し、それを見た老人はただ唖然とする。

召喚士「俺、実は全ての属性を召喚出来るんです」

老人「…………っ」

ザシャッ

老人「そうか……。とうとう…そうかぁ…っ」

召喚士「……?」

老人「…なるほど、よく分かった。これならば白虎界へ行けるであろう」

召喚士「本当ですか!?」

老人「しかしじゃ、直にクジャタの元へ行くわけではない。この意味が分かるか?」

召喚士「あちらの世界で、クジャタを探すという事ですね?」

老人「そういう事じゃ。それ、召喚を解除するがよい」

召喚士「あ、そうだった」

シュイィン

老人「召喚獣界はとてつもなく広いぞ。僅かな魔力でも無駄にするのは惜しい」

召喚士「そうですよね…。分かりました」
879 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:42:18.17 ID:+txmVDANo
老人「あとは、クジャタを探しきれるかどうかじゃな」

召喚士「リミットは…?」

老人「ゲートが閉じるまで丸1日」

召喚士「つまりそれを逃せば……」

老人「召喚獣界から出る事は出来ぬ」

召喚士「……っ」

老人「尤も、魔力が持つならば次の満月にてゲーチは開くけれどのぉ」

召喚士「…自信は…ありませんね」

老人「であれば、無理はせず1日以内に戻る事じゃ」

召喚士「もし間に合わなかったら…?」

老人「ワシも分からんが、魔力枯渇では到底、生きておれまい」

召喚士「……っ」

老人「まず、白虎界へ着いたならば、ユニコーンへクジャタの事を聞くのじゃ」

召喚士「……はい」

老人「お主に協力的であらば、きっと助けになるじゃろうて」
880 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:43:14.08 ID:+txmVDANo
召喚士「……」

老人「さて、とにかく4日後を待つのみじゃな」

召喚士「…はい」

老人「当日、改めて話そう。今は忘れて、魔力の蓄積に専念するのじゃ」

召喚士「蓄積……」

老人「精神が不安定では魔力も弱くなる。平静を保つ事を心がけるのじゃ」

召喚士「…はい」

老人「ワシは寝室に戻るとするよ。他の部屋は好きに使うがよい」

召喚士「あの、お爺さん……」

老人「…?」

召喚士「あなたは一体……何物なんです?」

老人「今は名も忘れ去られた、ただのワーカーじゃよ」

テクテクテクテク…パタン

召喚士「……」

二人の召喚士による脱出劇の一日目が終わった。
881 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:43:54.00 ID:+txmVDANo
〜本国、病院〜

格闘家「……」

何故、こんな事になったのであろうか。

ドクター「やはり外傷も見当たらず、ただ眠っているようにしか……」

格闘家「……」

ドクター「もし、天才さんの言う通りであれば、施しようがありません」

格闘家「……」

ドクター「信じて……待つしかないですね」

格闘家「……はい」

ドクター「では、失礼致します……」

テクテクテク…

格闘家「……」

目の前にある2つのベッド。そこへ横たわる師匠と…魔道士だったか。

格闘家「……」

俺は師匠の帰りをただ、待つしかないのだろうな……。
882 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:44:32.46 ID:+txmVDANo
〜数日前〜

格闘家「……あの」

門兵「……?」

格闘家「南方司令殿は…いますか?」

南方司令部へ着いた俺は、師匠に言われた通り、南方司令を訪ねた。

門兵「司令ですか…?おそらく、赤壁の方へいらっしゃるかと…」

格闘家「赤壁…ですか?」

門兵「ええ、ここより東へ行った所で建設中の城砦です」

格闘家「…なるほど、分かりました」

クルッ…スタスタスタ…

門兵「あ、あのぉ……」

ザッザッザ…

南方魔道長「…どうした?」

門兵「あっ、魔道長殿。国軍本部の方がいらっしゃったのですが…」

南方魔道長「本部……?」
883 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:45:01.61 ID:+txmVDANo
それから俺は、言われた通り赤壁へ向かった。

〜赤壁〜

格闘家「……凄いものだな」

ザッザッザ

南方弓長「…本部の人?」

格闘家「…南方司令はいらっしゃいますか?」

南方弓長「司令?司令なら多分あそこに…」

スッ

格闘家「司令室ですか?」

南方弓長「まぁそんなところかしら。司令に何用?」

格闘家「…言伝と手紙を」

南方弓長「…?」

格闘家「……では」

南方弓長「あっ、大丈夫?案内しようか?」

格闘家「いえ、結構…です」
884 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:45:41.70 ID:+txmVDANo
ザッザッザ…テクテクテク…

南方司令「うぉい!そっちじゃねぇ、そこの壁だって!」

格闘家「あの……」

南方司令「ったく、話をきけいっ!!」

格闘家「あのー」

南方司令「今取り込んでいるっ、後にしろ――」

格闘家「……」

南方司令「お前は確か……誰だっけ?」

格闘家「国軍本部、特殊遊撃隊所属、格闘家と申します」

南方司令「おーっ、そうかそうか。んで、何の用だ?」

格闘家「師匠から伝言と……手紙を」

ゴソゴソッ

南方司令「……ほぉ」

カサッ

南方司令「……成程」
885 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:46:10.37 ID:+txmVDANo
格闘家「……」

南方司令「分かった。どうせ不要なものだ。持って行ってくれ」

格闘家「どうも」

南方司令「ちと待て。今、一筆かいてやる」

テクテクテク…カキカキ

南方司令「これを副司令かl参謀へ渡してくれ。それで分かるはずだ」

格闘家「分かりました。では」

スタスタスタ

南方司令「……ふぅん。いよいよ本腰ってところか」

言われるがまま、俺は再び南方司令部へと戻ったんだったな。

〜南方司令部〜

門兵「あっ、先程の……!」

格闘家「南方副司令か、南方参謀はいらっしゃいますか?」

門兵「ええおりますよ。どうぞお入り下さい」

格闘家「どうも」
886 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:46:55.79 ID:+txmVDANo
〜応接室〜

カチャッ

南方参謀「お待たせ。話があるって聞いたけど」

格闘家「これを……」

南方参謀「南方司令からの手紙?何かしら……」

カサッ…パラパラッ

南方参謀「……っ」

格闘家「……」

南方参謀「…分かったわ。来て頂戴っ」

格闘家「…はい」

〜武器庫〜

テクテクテク…ガチャガチャッ…ギギイイィィ

南方参謀「…えぇと、どこだったかしら」

ゴソゴソッ…ガチャッ…ゴトッ

南方参謀「あったわ!……埃かぶってるけど」
887 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:47:21.49 ID:+txmVDANo


格闘家「じゃあ、お預かり致します」

南方参謀「ええ、頼むわね」

格闘家「はい」

スタスタ…ザッザッザ…

南方参謀「……」

南方魔道長「何だってんだ?」

南方参謀「あら、いたの。……あれよ、あれ」

南方魔道長「あれ?」

南方参謀「近いうちに分かるわよ。ほら、司令の――」

南方魔道長「あぁ、何となく察しはついた。つー事は……」

南方参謀「いよいよ準備期間も大詰めってところね」

南方魔道長「一年…いや、数ヵ月後には大戦の始まりか……」

南方参謀「……生きて、勝ちましょ」

南方魔道長「保証はねぇがな。ま、やるだけの事はやるさ」
888 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:49:20.88 ID:+txmVDANo
依頼を終えた俺は、再び本国へと戻ったんだ。

格闘家「……」

テクテクテクテク

格闘家「…ただいま戻りました」

天才「おーう、ご苦労。手に入ったか?」

格闘家「……この通り」

ゴトッ

天才「…よーしよし。それじゃソイツを本部へ届けてくれや」

格闘家「……俺がですか?」

天才「うるせーな。こっちはこっちでやる事が色々あんだよ」

格闘家「……はぁ」

天才「そんじゃ頼んだぞ!」

タッタッタッタッタ

格闘家「……」

師匠は相変わらず、自由気ままだ。
889 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:50:04.96 ID:+txmVDANo
〜国軍本部〜

格闘家「……総司令を」

秘書官「すみません。生憎、今は外出中ですが……」

格闘家「じゃあこれを、渡しておいて下さい」

秘書官「何ですか、これ?」

格闘家「……まぁ、渡せと言われただけなので」

秘書官「そうですか。あ、そうそう…お手紙を預かっておりますよ」

格闘家「俺に…ですか?」

秘書官「はい。来たら渡して欲しいと」

格闘家「……回りくどいなぁ」

秘書官「何か…?」

格闘家「……いえ」

カサッ

格闘家「……では。二日後にまた来ます」

秘書官「……?」
890 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:51:02.02 ID:+txmVDANo
そして二日後、即ち今日だったな。こんな事になったのは……。

格闘家「……」

西の広場というのは……寒いな。

テクテクテクテク

格闘家「……」

天才「ご苦労ご苦労」

格闘家「三度目は怒りますから」

天才「あぁ?ごちゃごちゃこまけぇヤローだな。金玉ついてんのか」

格闘家「……」

天才「ま、お前のお陰でうまくいったよ。サンキュー」

格闘家「どうも」

天才「さーて、残るはあと――」

フォンッ

格闘家「!?」

天才「あん……?」
891 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:51:31.04 ID:+txmVDANo
ドサッ!!

天才「ぐえっ!」

格闘家「師匠っ!……人?」

天才「…っつぅ!何だってんだよ一体……」

フニフニッ

天才「……何だこれ?」

格闘家「どうみても人かと。突然…振ってきましたけど」

天才「……こいつ……っ」

格闘家「……見覚えありますね」

天才「……」

魔道士「…………」

ペチペチッ

天才「おーい」

魔道士「……」

天才「……息はあるな」
892 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:53:56.69 ID:+txmVDANo
格闘家「外傷も特にないようですが……」

天才「何か術を施されてるのか?」

グッ

格闘家「…どうします?」

天才「とにかくこkじゃ何だ。病院へ運ぶぞ」

格闘家「はい」

スタスタスタ

格闘家「……あの」

天才「あ?」

格闘家「病院へ運ぶのでは……」

天才「運ぶよ。お前が」

格闘家「……」

天才「ほれ、早くおぶって病院へ行くぞ!」

格闘家「……はぁ」

やはり師匠は……自由気ままだ。
893 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:54:38.32 ID:+txmVDANo
〜病院〜

天才「急患だぞぉー!」

看護士「!?」

天才「おっと驚かせちまったか……」

看護士「あ、あのぉ……」

格闘家「すみません、この方を診て頂きたく……」

看護士「!?……は、はい!急患ですねっ」

天才「だーから、急患って言っただろうがよ」

タッタッタッタ

ドクター「お待たせしました!患者はどちらに!?」

格闘家「この方です」

ドクター「意識は…?」

天才「ねぇ。それから、広めの個室を用意してくれ」

ドクター「……?」

天才「あーそうだ、その突き当たりに広い手術室あったろ。そこでいい」
894 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:55:05.61 ID:+txmVDANo


ギイイィィ…ガシャン

ドクター「……」

ススッ…パラッ

ドクター「……目立った外傷もなく、病気のような症状もないですね」

格闘家「……」

ドクター「ただ眠っているだけのように見えますが……」

天才「はーっはっは!それだけ分かりゃ十分!」

ドクター「…?」

天才「やっぱりな。こりゃあ夢魔の仕業だ」

格闘家「夢魔……?」

天才「ああ。夢の中に入り込んで、魔力も精力も吸い尽くす魔物だよ」

ドクター「……っ」

天才「こいつは厄介だな」

格闘家「どうすれば…いいんです?」
895 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:55:32.39 ID:+txmVDANo
天才「コイツの夢の中へ入り込んで、夢魔を倒す」

格闘家「そんな事…出来るんですか?」

天才「出来る。俺はな」

ドクター「何か、お手伝いする事は…?」

天才「とりあえずここを面会謝絶にしてくれ。余計な邪魔が入ると厄介だ」

ドクター「……それだけ…ですか?」

天才「それだけ…です。だってお前らじゃ役に立たねーし」

格闘家「……」

天才「おい」

格闘家「はい」

天才「お前は一睡もせず、俺とコイツから目を離すな」

格闘家「……?」

天才「夢の中にいられなくなった夢魔は表に飛び出す」

格闘家「それを仕留めろと…?」

天才「はーっはっはっは!そういう事よ!」
896 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:56:02.94 ID:+txmVDANo
格闘家「俺に…出来ますか?」

天才「知らん。いざとなったら俺らを起こせ」

格闘家「……はい」

天才「そんじゃ頼んだぜ」

テクテクテク…バサッ

格闘家「…師匠?」

天才「寝る!おやすみ!」

格闘家「……」

ドクター「……」

格闘家「…………」

ドクター「本当に…寝てしまわれましたね」

格闘家「夢魔…。夢の中に魔物とは……」

ドクター「にわかには信じ難いですが……」

格闘家「師匠が嘘をつくとは思えません」

ドクター「そうですね……。一応、もう一度検査しておきましょうか」
897 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:56:34.68 ID:+txmVDANo


格闘家「……」

そして今に至るわけだよな。

格闘家「……」

あれから1時間……。はたしてどうなっているのだろうか。

格闘家「……」

俺に力があれば、師匠の補佐程度にはなったかもしれない。

格闘家「……」

己の無力さに怒りがこみ上げる……。

格闘家「……」

何故、俺は魔力を持たないんだ。何故……助けになれないんだ……っ。

格闘家「……」

もっと強く、もっと強くなりたい。いや、ならならくてはいけない。

格闘家「……」

あと一年程度しかないんだ。魔王……討伐作戦まで……。
898 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:57:02.66 ID:+txmVDANo
〜夢の中〜

ドサッ

魔道士「……っ!!」

ムクッ……フラフラッ

魔道士「……うぅ」

召喚士「魔道士さんっ!大丈夫ですか!?」

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「……怪我は…していないようですね」

魔道士「……他の皆さんは!?」

召喚士「分かりません…。どうやら俺達だけのようです…」

魔道士「!!」

召喚士「何か嫌な予感がしますね。ここを離れて外へ――」

ザッ

天才「……待ちな」

魔道士「天才……さん!?」
899 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:57:45.64 ID:+txmVDANo
ザッザッザ

天才「久し振りだな嬢ちゃん。そいつから離れな」

魔道士「え…っ!?そ、そいつ……って?」

天才「その朱雀先生もどきからだよ」

魔道士「へっ!?」

召喚士「天才さん…!?一体、何を言って……」

天才「おーおー、気安く人様の名前を呼ぶんじゃねーよ」

召喚士「……っ!?」

天才「そいつは魔物だ。いいから離れろっ!!」

召喚士「一体……な、何が……」

魔道士「召喚士さん…っ」

召喚士「魔道士さん、俺の後ろに…退がって下さい!」

天才「魔道士っ!早くこっちへ来い!!」

召喚士「お前こそ魔物だな…!?化けの皮を…剥がしてやる!!」

魔道士「……っ!!」
900 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/03(木) 18:59:06.78 ID:+txmVDANo
天才「…図に乗るなよ…夢魔の分際でよぉ…!!」

不敵な笑みを浮かべる天才は右手で引き摺る大剣を身体の前へ起こす。

召喚士「く…っ!!」

ザザッ

魔道士「召喚士さんっ!」

召喚士「…やるしか…ないのかっ!」

天才「……ブッ殺す!」

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

シュイィン

暗闇に響く掛け声と共に、コカトリスが召喚士の頭上へと姿を現す。

天才「そこまでやるかよ……っつーか……でけぇなおい!」

召喚士「コカトリス!天才さんの偽者を倒すんだ!!」

天才「ちっ。……ちょうどいい、コイツの斬れ味……試してみるか」

迫り来るコカトリスを睨みつけ、天才は手にした大剣を振りかぶる。

天才「……この……ツヴァイハンダートライのなぁ!!」
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/03(木) 19:02:31.70 ID:+txmVDANo
こんばんはー。今日もお疲れ様です!

>>857
そうなんです!最初悩んだのですが
召喚獣バハムートだと竜のイメージが強いと思って竜にしました

>>865
つまりこういう事でした!ややこしくてすみません…

今回はオマケどうしようかな…。何かあればお願いします
週末に>>950差し掛かるようなら頑張ってみますです!

では、失礼致します!ご支援感謝感謝!ノシ
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 19:43:23.99 ID:QRT/SIZ3o
銀の手はちゃんとシャールさんに付けてやってくれ
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/03(木) 20:10:13.75 ID:9jLpWOLGo
魔道士ちゃんは天才にもフラグ立ててるんだっけか
全くこの子は
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 20:15:13.02 ID:DaIk93UFo
同一IDに期待せざるを得ない
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 23:39:04.74 ID:oXeGMnjAO
>>1おつ

夢魔とは想像つかんかったわ
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 23:46:37.79 ID:zGp9LzDIO
>>891
魔導士ちゃんをフニフニッて!!
天才、どこをフニフニッしたんだ〜!!

>>1乙です
格闘家の一人称もいいねっ!
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 01:18:26.80 ID:P8mfwwgOo
魔道士「召喚士さんはいないのよ!」
ピコーン!龍神烈火拳
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/04(金) 02:39:54.69 ID:ZH2DCpmDO
俺のとこにもサキュバスちゃんが来るように祈りつつ寝よう
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/04(金) 03:23:16.01 ID:uFj2uOESO
魔法剣士は銀の手装備で二刀流か
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/04(金) 05:56:37.17 ID:gsVSQaYI0
1乙
いい召喚獣がたくさん手に入りそうだな
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 07:28:03.95 ID:l0AMUCKSO
このパーティー召喚士だけモテないよな
女装すれば話しは別だが
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 07:42:45.80 ID:ry90sERbo
召喚士は魔道士ちゃんにモテてる段階で、他の単なるモテより格上









ただし粒揃いな戦士はリア充すぎ万死に値する
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 07:53:33.32 ID:nNpohdbAO
>>1

おまけは魔物側の魔物同士の恋物語を希望

てか、魔物ってどうやって子孫と言うか、同族増やすんだろう…?
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/04(金) 08:03:43.39 ID:RvtahdVAO
考察はまた今度にしような
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 09:25:27.10 ID:k5GSKHgDO
俺が書いたら濃厚なNTRになりそうな展開だなぁ
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 12:33:09.45 ID:XIiX69Weo
>>915
需要すらないから安心しろ
917 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:48:49.12 ID:2ZiLQH9uo
〜海峡〜

盗賊「…………」

ピクッ

盗賊「……っ」

衛生兵「気付いたっ!?大丈夫……っ!?」

盗賊「…ん……!?」

パチッ……ガバッ

衛生兵「起きられる?大丈夫…?」

盗賊「……こ…こは?」

衛生兵「ここは海峡よ」

盗賊「海峡……!?」

ヨロッ…スタッ

盗賊「…海峡……何故?私は……」

衛生兵「一体何があったの?」

盗賊「……」
918 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:49:25.46 ID:2ZiLQH9uo


将軍「ひとまずは、無事で何よりだ」

盗賊「…ありがとう…ございます」

将軍「聞けば、空から突如降ってきたとの報告」

海峡兵「はいっ!私は間違いなく見ました!」

将軍「何があったのだ…?」

盗賊「……」

出された紅茶を一杯すすり、盗賊はゆっくりと一部始終を口にする。

海峡兵「……っ!!」

将軍「なんと……っ」

盗賊「…何故…ここへ来たかは分からぬ」

海峡兵「一体…どういう事なのでしょうかね?」

将軍「そのゲーデとかいう魔物、運命やら人生やらと言っておったのだろう?」

盗賊「……ああ」

将軍「ここへ来たのは、君の運命なのかもしれぬな」
919 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:50:12.84 ID:2ZiLQH9uo
盗賊「……」

将軍「何か重要な事があるのかもしれん。ふははっ」

海峡兵「……将軍っ、そんな楽観的な事言わないで下さい」

将軍「……むぅ」

軽い気持ちで発言した将軍であったが、あながち間違いではない。

この日の出来事において、後に起こる大戦果に繋がるとは、

盗賊はおろかこの時点ではまだ誰も知る由はなかった。

将軍「とにかく、今日は1日ここで休むといい」

海峡兵「そうですね。是非、そうなさって下さい!」

盗賊「…しかし」

将軍「皆が心配か?案ずるな、むしろ1日置いた方が良いと思えるが」

盗賊「…?」

将軍「他の者もきっと同様なのであろう?ならば今頃……」

海峡兵「そうですよ、ワークショップに連絡がいくかもしれませんし」

盗賊「…なるほど…確かにそうだな」
920 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:50:57.39 ID:2ZiLQH9uo


衛生兵「…うん。傷は特にありませんね、大丈夫」

盗賊「…ありがとうございます」

衛生兵「但し、魔力が枯渇してますから。しばらくは気を付けて下さい」

盗賊「…分かりました」

スクッ…スタスタスタ…ガチャッ

盗賊「…!?」

兵長「!!……お、お身体は…大丈夫で…!?」

盗賊「……え、えぇ」

兵長「良かった……っ。盗賊さんがいらっしゃったと聞いて…慌てましたよ」

盗賊「…?」

兵長「あ、覚えて…らっしゃらないですよね……ははっ」

盗賊「……ああ、いつぞやの時の」

兵長「決死の突破で白虎長様を救った姿……感動したものです」

盗賊「……ど、どうも」
921 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:51:46.82 ID:2ZiLQH9uo
兵長「何かお手伝い出来る事があれば、何なりと!!」

盗賊「…ありがとう…ございます」

兵長「では、失礼します!」

カツカツカツカツ…

盗賊「……」

私は、今回の戦いでも……役に立てたのだろうか?

テクテクテクテク…

結局、自分のせいで皆をこのような目に合わせてしまった……。

盗賊「……」

占い師を蔑まれ自制心を抑えられなかった自分を悔やむ盗賊。

かつての盗賊であればいとも思わず感情を露にする事もなかった。

それは召喚士、魔道士、そして戦士と出会い、旅をする事で生まれた感情。

盗賊の笑顔は何も全てが良い方向に進むものではなかった。

テクテクテク…ザッ

悔しいし今回の事は反省する。でも私は、感情を再び得た事に……恥はない。
922 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:55:07.97 ID:2ZiLQH9uo
テクテクテク…

盗賊「……」

皆と再会したら……謝ろ。うん。

盗賊「……?」

ザッザッザ

盗賊「…いつのまにか…こんな所まで」

橋を抜けた先、考え事をしながら盗賊は森の手前まで歩いていた。

盗賊「……確か」

その森はかつて、北での戦いにおいて一度訪れた場所……。

盗賊「……っ」

当時の記憶が蘇り、盗賊の身体に緊張が走る。

キラッ

盗賊「!?」

森の木陰の隙間、盗賊は何かが光るのを目撃する。。

優れた洞察力と視力の為せる技。それが光の主をすぐに捉えた。
923 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:56:02.31 ID:2ZiLQH9uo
盗賊「……今のは!?しかし……っ」

タタッ…

この森に踏み込んだ上位ワーカー三人は……帰ってこなかった。

ザッ…

そして、魔法剣士や……コカトリスまでが一撃で粉砕された。

ザッ…

魔力も枯渇している私が、勝てるなどとは……。

ザッ

盗賊「……っ」

違うっ!これは無謀なんかじゃない!勇敢だっ!!

ザッザッザ…タタタッ

確認しなくちゃいけないんだっ!今、ここで……私がっ!!

ガサッ…タタタッ…

盗賊「勝てなくたっていい。諦めずに進む。……それが私だっ!」

強い口調で自分に言い聞かせる盗賊。同時に、北の森へと足を踏み入れた。
924 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:56:46.04 ID:2ZiLQH9uo
ズガアアァァンッ!!

コカトリス「はあぁっ!!」

ドゴオオォォッ!!

天才「ちぃ……っ!!」

ヒョイッ…ズザザアァ

召喚士「…なんてすばしっこいんだ…っ」

魔道士「召喚士さん…っ」

召喚士「魔道士さん、援護を!」

魔道士「で、でも…っ」

召喚士「あれは一見、天才さんの姿をしていますが……」

魔道士「……っ」

召喚士「惑わされてはいけません!偽者ですっ!」

魔道士「……」

ザッ

魔道士「……わ、分かりました…っ」
925 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:57:50.76 ID:2ZiLQH9uo
ブオンッ!!…ヒュンッ!!

天才(バッカヤロー!実際のコカトリスはこんなクソデカくねぇだろうがよっ!)

コカトリス「おおぉぉ!!」

天才(あいつん中でどんだけ過大評価されてんだよ…っ)

ググッ…バゴオオォォンッ!!

天才(それにあのツラ……」

召喚士「コカトリス!左から回り込むんだ!」

天才(どんだけ美化されてんだっつの……)

魔道士「……撃ちますっ!」

天才「!?」

キュイイィィ…ドドオオォォンッ!!

天才「――っ!!」

ゴアオオォォッ!!

天才「炎やら石化やら……いい加減に……しやがれえぇ!!」

グオッ……ドズウウゥゥンッ!!
926 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 17:59:19.13 ID:2ZiLQH9uo
天才「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

召喚士「……」

天才(なんとかしねぇと…こりゃやべぇぞ)

召喚士(……だいぶ息があがっているようだなぁ…クックク)

通常よりも巨大かつ尋常でない強さを持つコカトリスと、それを操る主。

これはどちらも魔道士の脳内における想像上のものに過ぎない。

召喚士(…ククッ、もうそろそろ…邪魔者には立ち去って貰うとするかい)

しかしながら魔道士の想像上において、召喚士とコカトリスは美化されており、

外見や能力においてオリジナルのものより遥か超越してものを有している。

召喚士「魔道士さん、土と雷をっ!」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士の姿を模すその正体は夢魔、『インキュバス』。

当事者の夢の中へ入り込み、その命を吸う卑劣な魔物である。

召喚士「行けっ!ワイバーン!!スキュラ!!スフィンクス!!ユニコーン!!」

天才「くそったれええぇぇ!!」
927 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 18:00:35.90 ID:2ZiLQH9uo
シュイイィィンッ…ドドオオォォ

天才「……っ」

総勢五体の召喚獣が天才の前に立ちはだかる。

召喚士「…さぁ、一気に決めてやるぞ!魔物っ!!」

魔道士「す、凄い……っ!」

天才「流石にこりゃ…シャレにならんな」

ボッ…ボボボッ

天才「……五行……土ぃ!!」

ドドオオォォンッ!!…ズガガガガッ!!

魔道士「きゃあーっ!!」

召喚士「逃がすかっ!!」

ゴウッ!!

魔道士「……っ」

シュウウゥゥ

召喚士「…くそっ、逃げられたか!」
928 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 18:01:27.13 ID:2ZiLQH9uo
ザッ

魔道士「召喚士さん……っ」

召喚士「魔道士さん、追いましょう」

魔道士「で、でも…一度ここから出た方が……」

召喚士「いえ、それこそ敵の思う壺です。危険ですよ」

魔道士「そう…なんですか…?」

召喚士「ええ。あいつ……どこに行ったんだ…っ」

キョロキョロ

魔道士「天才さんの偽者…ドッペルゲンガーですかね?」

召喚士「…ドッペル…ああ、そうかもしれませんね」

魔道士「だったら…話せば何とか……」

召喚士「それは危険すぎますよ。近づかずに倒した方が賢明です」

魔道士「……」

召喚士「…さぁ、奴を追いましょう!」

魔道士「…は、はいっ!」
929 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 18:02:15.52 ID:2ZiLQH9uo
ザザッ

天才「…ふーっ。撒いたとは思えねぇが」

ズザッ

天才「ひとまず作戦タイムだ」

漆黒の空間内、壁と壁のようなものの間で天才は息を潜める。

天才(夢魔だけに集中出来りゃあ何とかなるんだが……)

ズズッ…

天才(なんとかアイツが気付いてくれりゃ……)

ズズズッ

天才「何っ!?」

バゴオオォォンッ!!

スフィンクス「見ぃ〜つけた!」

天才「ちぃっ!」

ババッ

スフィンクス「ダーブールーパーンチッ!!」
930 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 18:03:51.41 ID:2ZiLQH9uo
天才「いい加減……ウゼェんだよおおぉぉ!!」

キュイイイィィ

スフィンクス「――っ!?」

天才「……五行……聖っ!!」

カッ!!……ドドオオォォォォ…

天才「はぁ……はぁ…はぁ…」

パラパラパラッ…ゴトッ

天才「こんなところで…無駄な魔力使いたかねぇんだよ…。くそ…っ」

ザッザッザ

召喚士「スフィンクスを…一撃か…っ」

魔道士「……っ」

天才「……作戦は、遮二無二頑張れってか」

コカトリス「はぁ!!」

天才(頼む魔道士っ!気付いてくれ……!)

ユニコーン「てやーっ!」
931 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 18:04:32.04 ID:2ZiLQH9uo
天才(微々たる違和感で構わないんだ……っ!)

スキュラ「グガアアァァ!!」

天才(お前なら分かるはずだっ!そうだろ……っ!!)

ワイバーン「ガアアァァーッ!!」

天才「魔道士ーっ!!」

魔道士「!!」

天才「五行…水!!」

ドドオォォン…ギキイイィィン!!

ワイバーン「――ッ!!」

天才「五行ぉ……火!!」

ドドオオォォンッ…ゴアオオォォッ!!

スキュラ「グギイイィィ――!!」

天才「五行……っ」

グクンッ…ズザッ

召喚士「……よし、とどめだ…っ!」
932 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/04(金) 18:05:23.76 ID:2ZiLQH9uo
ザンッ…ゴウッ!!

ユニコーン「はあぁーっ!」

コカトリス「ふんっ!!」

天才「……」

片膝立ちの天才がにやりと微笑んだ。

キュイイィィ

天才「風と火を得たこの……」

ゴゴゴゴゴゴ…

天才「ツヴァイハンダーに……」

シュバアアァァッ!!

天才「俺様の……三行でええぇぇ」

魔道士「あの……光は……っ!!」

召喚士「五行……っ!!」

光り輝く大剣の一振りにより、二匹の召喚獣は消滅する。

天才「……ふーっ、残るは……てめぇだ」
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 18:37:00.54 ID:b/Clw50Po
>>930
聖行使ってる…
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 18:41:05.08 ID:aSOYe7D8o
聖行ってなんだっけ…
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 18:46:32.65 ID:RZBc2hBa0
召喚士…
影の薄さに耐え切れず、とうとうこんな凶行に…
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 19:18:35.15 ID:K0t2LRMDO
なるほど凶行は新たな行か
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 20:16:49.64 ID:nNpohdbAO
>>935
なかなか新しい解釈だな

なるほど
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 22:02:29.80 ID:6aa9PnVAO
戦士が夢魔にかかったら爆乳の盗賊現れそうだ
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 23:22:24.84 ID:0mCVkntAO
じゃあ盗賊が夢魔にかかったらどんな戦士が……
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 23:47:24.32 ID:3CUiFj+tP
颯爽登場!銀河美少年!な戦士
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 02:01:00.04 ID:5uYvgw8j0
グルグル思い出したww
942 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:16:57.84 ID:dFIkhkwso
召喚士「なっ……」

天才「……」

功績ランク一位である天才。その称号に相応しい力量を彼は当然持っている。

武力と魔力、両面において圧倒的であるにも関わらず、

回りくどい戦い方をした事には理由がある。

天才「さぁ、どうする?そっちからくっか?」

召喚士「……っ」

一つは、第三者である魔道士の夢の中である事。

召喚獣を無視し、宿主である召喚士さえ倒してしまえば、

襲い掛かる複数の召喚獣も消滅する事は無論、承知の上である。

天才(魔道士……お前自身が……)

魔道士「…………」

ここは魔道士の夢の中。つまり夢魔をここで殺してしまっては、

二人は一生、夢の世界へ閉じ込められてしまうのだ。

現実ではそう、ただ眠っているだけのような状態……。
943 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:17:40.43 ID:dFIkhkwso
天才(お前自身が……気付くづくんだっ、頼む……っ)

二つ目の理由。それはある現象を魔道士へ見せ付ける為。

召喚士「……ならば」

魔道士「……っ!!」

天才「……く…っ」

ある現象。それは言わずもがな……五行。

天才(五行は魔物にゃ使えねぇ……っ!その事に……気付くんだ!!)

魔道士「…………」

天才の願いが通じたわけではないが、魔道士はふと、異変に気付く。

魔道士「……っ」

召喚士「やってやる……やってやるさ!」

魔道士(何で……)

天才「……っ」

魔道士(何で、敵である天才さんが五行を……!?)

召喚士「行くぞっ!!」
944 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:18:15.33 ID:dFIkhkwso
魔道士(それに召喚士さん……っ)

天才「……ちぃ!!」

魔道士(何で、召喚獣があれだけやられたのに……)

召喚士「行けっ!コカトリスー!!」

シュイイィィン

天才「俺はこれ以上なああぁぁ」

ザッ

天才「魔力……使いたかねぇんだよおぉーっ!!」

キュイイィィ…

召喚士「――っ!?」

天才「……お……前…っ」

ザッザッザ

魔道士「……」

ザッザッザ…ピタッ

険しい表情の魔道士が、天才と召喚士の間に割って入り立ち止まった。
945 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:18:52.30 ID:dFIkhkwso
〜北の森〜

盗賊「……はぁ……はぁ」

ザッザッザ…ザザッ…スタッ

盗賊「……!?」

ピクッ

盗賊(何か……いるっ!?)

ズゾゾゾゾッ

盗賊「……っ!!」

ザザザザザ…

盗賊「な…んだ、こいつは……っ!!」

森の影が集まり、一匹の化物の姿を形成する。

盗賊「……くう…っ!!」

チャキッ

身構えるものの盗賊の本能では既に悟っていた。直感的に勝てる相手ではない事を。

バフォメット「……ファファファ」
946 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:19:25.56 ID:dFIkhkwso
ザザッ

盗賊(何なんだコイツは……っ!!)

バフォメット「…………」

盗賊「くっ……!!」

バフォメット「…………」

盗賊「……っ」

バフォメット「…………」

盗賊「……」

ザザッ…スススッ

盗賊(仕掛けて…こないのか…?)

バフォメット「…ファファファ」

盗賊「……ならばっ」

ザッ

――「待つんだ。手を出してはいけない」

盗賊「……!!」
947 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:19:55.24 ID:dFIkhkwso
〜夢の中〜

召喚士「魔道士…さん!?」

魔道士「召喚士さん、何か…おかしくないですか?」

召喚士「え…?」

魔道士「だって、何だか変ですよ…っ」

召喚士「変…?」

魔道士「え、ええ…っ」

召喚士「変…って、何が変なんですかっ!?」

魔道士「……っ」

天才「そりゃあ変だよなぁ」

魔道士「天才…さん……」

天才「そう。変なんだよ……何もかもがなぁ!」

召喚士「貴様っ!何を言って……」

天才「魔道士ぃ!!」

魔道士「は、はいっ!」
948 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:20:24.54 ID:dFIkhkwso
天才「分かってるはずだ」

魔道士「……」

天才「俺様かこいつ、どちらかが偽者」

魔道士「……っ」

天才「いいか?ここはお前の心の中だ。結論はお前自身で決めろ」

魔道士「……結論」

天才「そうだ。お前が自分で答えを見つけ出すんだ!」

魔道士「答え……」

天才「よーく考えろ」

召喚士「魔道士さん!魔物の罠にかかっては駄目ですっ!」

天才「お前の好きな召喚士って奴は……こんな男だったか?」

魔道士「……っ」

天才「お前の愛した召喚士は、こんな男だったのかぁ!?」

魔道士「わ……私……っ」

召喚士「くぅ……っ!!」
949 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:20:54.90 ID:dFIkhkwso
ザスッ

天才「俺はここから一歩も動かん。だからてめぇも動くんじゃねぇ!」

召喚士「何を馬鹿な事を……っ」

天才「ほぉ、まぁいいけどな。だが、動けば認めるだけだぜ?」

召喚士「……」

天才「俺が偽者です……てなぁ!」

召喚士「ちぃ…っ」

天才「さ、ちゃっちゃと済ませようや」

ツヴァイハンダーを地面え突き刺し、天才はその場で胡坐を掻き始める。

魔道士「…………っ」

召喚士「魔道士さん、惑わされては駄目だっ!」

魔道士「……わ、私……っ」

召喚士「魔道士さんっ!!」

魔道士「……最初に…あれ?って思ったのは…天才さんが土行を撃った時でした」

召喚士「――っ!?」
950 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:21:22.47 ID:dFIkhkwso
グッ

魔道士「私の…自分勝手かもしれませんけど……」

召喚士「魔道士さん……!?」

ググッ

魔道士「召喚士さんは、いつも……守ってくれましたっ!」

召喚士「……」

魔道士「あの時召喚士さんは、私を放って……天才さんに追撃を……」

召喚士「……」

天才「へっ、功を焦ったのと…保身が裏目に出たな」

召喚士「違うっ!あの時は逃がすわけにはいかなかったしそれに……」

天才「…それに?」

召喚士「あの時は守るまでもない…攻撃だったから……っ」

天才「ほーっ、この俺様を前にして…守るまでもない攻撃だっただと?」

召喚士「あ、あぁ…っ」

天才「ワーカー、いや…世界一強いこの俺様の攻撃がか?」
951 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:22:25.45 ID:dFIkhkwso
召喚士「例えそうだとしても、それは天才さんの話だ!貴様のような魔物……」

天才「いい加減、往生際が悪いぜ。インキュバスさんよぉ?」

召喚士「……」

魔道士「インキュバス……!?」

天才「通称、夢魔。夢の中に入って精気を吸い取る下種な魔物だよ」

召喚士「それは……お前だろうっ!」

天才「決めるのは俺様じゃねぇ」

魔道士「……」

天才「よーく見て、よーく考えるんだ」

魔道士「……」

天才「アイツ、あんなに足長かったか?」

魔道士「……」

天才「顔はあんなに切れ長で、目もあんなデカかったか?」

魔道士「……」

天才「コカトリスはあんな巨大で強かったか?あのヒョロ僧の……」
952 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:24:02.89 ID:dFIkhkwso
魔道士「……言いすぎです」

天才「…すまん」

魔道士「でも、私……決めました!」

天才「……」

魔道士「私の好きな召喚士さんは召喚士さんであって……」

召喚士「魔道士さん……!?」

魔道士「召喚士さん、あなたではありませんっ!」

召喚士「……」

魔道士「やっぱり…何か変です。あなたは偽者ですか…?」

召喚士「……っ」

魔道士「もしそうなら……召喚士さんの姿形を……偽って……」

ゴゴゴゴゴゴ

天才「…おぉう、すげぇ威圧……」

魔道士「私はあなたを……許しませんっ!!」

召喚士「――!!」
953 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:25:36.44 ID:dFIkhkwso
天才「…決まったな」

召喚士「……はぁ」

ザッ

召喚士「…まさか、第三者が夢の中まで潜り込んでくるとはねぇ」

魔道士「!?」

召喚士「信じられないわ。ったく」

天才「入り込み易い対象者で幸いだったわ。はーっはっはっは!」

魔道士「く……っ!」

天才「やめとけ。ここで倒しても意味はねぇ」

召喚士「そういう事。アンタらはしばらく夢の世界で遊んでなっ!ヒヒッ!」

ブシュウウゥゥ

魔道士「霧…!?」

天才「現実世界へ逃げ出すつもりだ!」

魔道士「!?」

天才「追う必要はねぇ、あっちにゃ罠を張ってある。……使えるか分からんけどな」
954 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:26:02.44 ID:dFIkhkwso
ボシュウウゥゥッ}!!

魔道士「消えた……!?」

天才「戻ったみてぇだな。俺らも戻るか」

魔道士「どうやって戻るんです!?」

天才「自力で目を覚ますしかねぇ。頑張れ」

魔道士「えっ!?」

天才「そんじゃあなー!」

ボシュウウゥゥッ!!

魔道士「ちょっと……っ!天才さん!?」

シュウウゥゥ

天才「やっぱり……居心地いいわな」

ウウゥゥゥゥ…

魔道士「目を覚ます……」

スゥゥ

魔道士「……ど、どうやればいいんだろ」
955 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:26:31.51 ID:dFIkhkwso
〜病院〜

シュウウゥゥ

格闘家「!?」

バシュウウゥゥッ

格闘家「……来たかっ」

仰向けに寝る魔道士の頭上へ、悪魔の顔をした魔物が徐々にその姿を見せる。

夢魔「……ふうぅ」

格闘家「待っていたぞ」

夢魔「ちっ、待ち伏せかい……」

格闘家「覚悟しろ」

夢魔「仕方ねぇ。お次はお前さんの中へ潜り込むとしようか!」

フォンッ

格闘家「させるかぁ!」

迫る夢魔へ対し、正拳突きを繰り出す格闘家。

しかしそれは、空中を飛び交う者へは効力もなく、簡単にかわされる。
956 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:27:01.45 ID:dFIkhkwso
格闘家「!?」

夢魔「ヒヒッ、遅い遅い!」

ヒュオンッ

夢魔「貰ったぞ!」

格闘家「しまっ――」

ズズッ

夢魔「……ヒヒッ」

ズズズッ

夢魔「……ん?」

ズズズズッ…ズルゥ

夢魔「な、何だ……っ!?」

格闘家「……っ」

夢魔「コイツ、一切の魔力を持っていないのか!?」

格闘家「離……れろっ」

夢魔「それに……何と言う精神力か……っ」
957 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:27:28.57 ID:dFIkhkwso
格闘家「離れろぉ!!」

バシィッ!!

夢魔「くぅ…っ!!」

ガシャッ…ガラアァンッ

格闘家「……ふーっ」

夢魔「……ひ、ひぃ…っ」

格闘家「観念しろ…化物め」

夢魔「くそ……っ」

ダッ……ドスン

夢魔「……?」

天才「いよぉ」

夢魔「――!!」

天才「ベッドが引っくり返ったお陰で…目が覚めたぜ」

格闘家「師匠っ」

天才「寝覚めは……最悪だがなぁ!」
958 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/05(土) 02:28:09.53 ID:dFIkhkwso
夢魔「や…やめ……っ」

ガシィ

天才「さっきは随分と魔力を消費させてくれたなぁ…?」

夢魔「たっ、助――」

天才「喋るな。無駄な事だ」

キュイイィィ

夢魔「ん――!!」

天才「……死ね」

ドドオオォォンッ…ズガアアァァッ!!

天才「……」

シュウウゥゥ

格闘家「……師匠」

天才「心配すんな。無事だ」

格闘家「いえ、それもありますが…ここ病院ですので……」

天才「…ああ。こんな穴ぐらい国軍で何とか出来んだろ。はーっはっはっは!」
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 02:40:37.54 ID:umyWG74AO
( ゚Д゚)<1乙
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 02:52:15.84 ID:P7VxLCvAO
>>1おつ
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/05(土) 02:54:02.48 ID:dFIkhkwso
こんばんはー!週末いかがお過ごしでしょうかっ!

>>913
このオマケはちょっとキッツイ内容になりそうな…
グロというか鬱と言うか……

>>933
うわっ、本当だ…!ごめんなさいいぃぃ
>>930は金か木あたりで…死んじゃうよ、天才…

それでは寝ちゃおうかな…すみません、おやすみなさいです!ノシ

〜オマケ〜

魔道士「えっ?召喚士さんのイメージですか?そうですね……えっとえっと、
     まず、顔は端整な顔立ちで、さらさらヘアーに睫毛も長くって、
     あっ瞳も大きくてかわいい感じですよね!それから……あ、そうそう!
     鼻もすっとしてて笑顔が爽やか、全体的に細いんですけど、実はですね
     二の腕とかすっごい逞しくて男らしくて……でもでもっ、ムキムキマッチョとか
     そういうのでは全然なくて、なんていうか引き締まった感じ?ですかねぇ……
     でも、指とか細くて長くて、女性みたいですよね。凄い綺麗なんですよね!
     ウェストとかもすっごい引き締まってて……見習えって感じですよね……
     性格はもう文句付けようがないですよね、はい。もうめっちゃくちゃ優しいですし、
     いざとなると凄く男らしくて…でも、普段はとっても物腰柔らかくて、真面目で…
     気遣いとか礼儀ももの凄いキチンとしてて、見習うところいっぱいって感じ!
     頭も凄く良くて、色んな事知ってますし、作戦とかそういうのもぜーんぶぜーんぶ、
     召喚士さんがパパっと一瞬で立ててくれちゃったりするんですよっ!えへへっ!
     召喚術の腕前も一流ですよ!何と言っても朱雀先生ですからっ!でもでもっ、
     朱雀以外にも白虎も青龍も玄武も全部召喚出来ますし、魔法もレイピアとかを
     媒介に使えますし、剣術や武術、それから鍛冶や料理の腕前もすっごく上手なんです!
     また、召喚士さんの作ったペスカトーレ……食べたいなぁ……美味しかったもの!
     またとは言わず……そ、その……っ、毎日食べたい……かな?なんて……ふふっ」

天才「……とか思ってんじゃねぇだろうなぁ?」

魔道士「ま、まさかっ!!流石にそこまでは想ってませんって……へ、へへっ」
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 02:55:39.46 ID:VvevxulSO
そういや陛下も魔翌力が全くないような………
はっ!わかった!陛下と格闘家は同一人物だっ!(キリッ
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 03:05:25.49 ID:fkmHWxj1o
殿下じゃないっけ?
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/05(土) 04:55:40.65 ID:e9DVE3TIO
殿下だろ
陛下は魔翌力絶倫だろ
どこぞに隠し子こさえるくらいだし
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 15:20:42.30 ID:eSg0kDiCo
精力=魔翌力なら俺だって王族になれるな
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 16:29:30.20 ID:VvevxulSO
>>963-964
すみません。素で間違えてしまいました石化されてきます…orz
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 16:33:55.45 ID:tL6ZXh6DO
金の針をケツに刺せと天才が言うのです
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/05(土) 16:39:47.62 ID:qd5QUQ0ho
夢の中って設定で、サザンアイズ思い出したオレはおじさんですか?
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 22:39:55.16 ID:C+smhCkBo
そろそろここで>>1登場

970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 22:41:04.43 ID:VOdDMgCho
     ,   λ,..,,λΨ ,
   /i\/ -ω-ヽ|/i\   パタタタ
   ⌒⌒l::.:...    o⌒⌒
      `'ー---‐´l
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 23:14:01.61 ID:vfhLJQJ1o
せ、戦士!戦士じゃないか!!
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 00:00:09.34 ID:Alj+/UBjo
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 01:22:22.59 ID:Cz6CFlhAO
もし良かったらおまけでそれぞれの夢魔の場合をネタ風に見てみたい
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 02:08:01.53 ID:sBrLPPLAO
師匠とマジシャンは似たような夢見そうだな
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 08:10:13.68 ID:Wj34PMCGo
師匠の夢にマジシャンが出て
マジシャンの夢に師匠が出るんだな
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/06(日) 09:59:04.79 ID:/WV+A6zDO
お互いに女取られて悔しい思いをする夢ですね、わかります。
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 21:30:26.78 ID:q17lz+4m0
ここで>>1登場

978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 21:35:36.50 ID:Alj+/UBjo

            ∧,,,∧
           ( ´・ω・) 
       ____(____)__
      / \    旦   __\
     .<\※ \____|\____ヽ
        ヽ\ ※ ※ ※| |====B=|
        \`ー──-.|\|___l__◎..|ヽ
          ̄ ̄ ̄ ̄| .| ̄ ̄ ̄ ̄|
               \|        |〜
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/06(日) 22:15:16.54 ID:erGEVc570
        __           
            /。 \  
           |ノ ゚|
      ____ ノ ゴ ハ__
      / \    旦   __\
     .<\※ \____|\____ヽ
        ヽ\ ※ ※ ※| |====B=|
        \`ー──-.|\|___l__◎..|ヽ
          ̄ ̄ ̄ ̄| .| ̄ ̄ ̄ ̄|
               \|        |〜
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 22:29:54.71 ID:PUyY84Q5o
ttp://vippic.mine.nu/up/img/vp26396.gif
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 22:31:17.29 ID:e2yk2qGHo
そろそろこの流れやめてくれないかな
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 22:40:51.62 ID:2aBqtIzVo
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/06(日) 23:15:43.74 ID:yjJxiF5bo
〜トウゾクノバアイ〜

盗賊「……っ」

キョロキョロ

盗賊「……どこだ……ここは?」

テクテクテク

――「おい」

盗賊「!?」

ビクッ…ザッ…

盗賊「……戦士」

戦士「盗賊、どうした……こんな所で」

盗賊「……一体何が」

戦士「俺も分からぬ……何がどうなっているのか……」

ザザッ

戦士「盗賊っ、危ない!」

盗賊「……!?」
984 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:16:34.93 ID:yjJxiF5bo
グイッ…ザザァ…

戦士「盗賊、大丈夫か?」

盗賊「…あ、ありがと」

(お姫様抱っこ中)

戦士「盗賊、俺はお前に何かあったら……」

盗賊「……」

戦士「俺は、冬に凍る湖のように…この胸は閉ざされる事だろうな……」

盗賊「……っ」

戦士「お前の…野に咲く一輪の花のような、その笑顔を……」

盗賊「…せ、戦士……っ」

戦士「そう。お前が一輪の花ならば、俺はその脇でお前を支える木のようなものだ」

盗賊「……う、うん///」

戦士「共に日の光を浴び、共に雨に打たれ……そして共に枯れてゆく……」

盗賊「戦士……」

ギュッ
985 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:17:32.37 ID:yjJxiF5bo
〜センシノバアイ〜

戦士「……おーい」

ザッザッザ

戦士「誰かーいねぇのか〜?」

ザッザッザ

戦士「…おっ、盗賊!」

盗賊「おうっ、戦士か!」

戦士「ここは一体どうなってんだ?」

盗賊「さぁな、こっちも聞きたいところさ」

戦士「…ちっ、出口は見当たらずか……」

盗賊「みたいだな…。しかし…どこなんだここは!?」

戦士「分からん。何か特殊な空間みてぇだが……」

盗賊「仕方ない。戦士っ、とにかく進むぞっ!」

戦士「おうよっ!」

ザッ…タッタッタッタッタ
986 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:18:01.63 ID:yjJxiF5bo
戦士「何か気配は…?」

盗賊「特にないっ!戦士、そっちはどうだ!?」

戦士「……何も見当たらんな」

タタッ…ザザァ

戦士「おわっ!」

ドシンッ

戦士「急に止まるなって……」

盗賊「す、すまんすまん……」

グイッ…バイイィィン

戦士「……」

盗賊「…どうした?」

戦士「いやっ、何でもない」

盗賊「…ああ、これか。デカイだけで邪魔だ。なんなら触ってみるか?」

戦士「何故そうなる!?」

盗賊「いや、てっきり興味あるのかと。ないなら別にいいが……」
987 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:18:32.56 ID:yjJxiF5bo
〜ショウカンシノバアイ〜

召喚士「……何かおかしい。ここは…何かが……」

ザッザッザ

召喚士「!?」

魔道士「召喚士さんっ!」

召喚士「魔道士さん…!?」

タッタッタ…ギュッ

魔道士「私……とっても怖かったの……」

召喚士「魔道士さん……」

魔道士「召喚士さん、もう…傍を離れないでね……っ?」

キュッ

召喚士「…もちろんです。とにかくここから脱出を…っ」

魔道士「召喚士さん……頼もしい……」

召喚士「ま、魔道士さん…っ!?」

魔道士「やっぱり…召喚士さんて尊敬しちゃいます」
988 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:19:03.63 ID:yjJxiF5bo
召喚士「!?」

魔道士「もっと……くっ付いてていいですか…?」

召喚士「い、いや…っ、まぁ…構いませんけど……」

魔道士「…ふふっ」

ギュウウゥゥ

召喚士「――っ」

魔道士「行きましょ」

召喚士「は、はい…っ」

魔道士「……えへへ!」



大軍師「以上が三名による夢魔に関する実験結果です」

司令官「…ん。駄目だね。確実に全滅だよこれ」

大軍師「……ですねぇ。困ったものです」

司令官「…ま、あとは夢魔に会わない事を祈るだけだねぇ」

大軍師「…全くですね。ふっふ」
989 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:19:31.45 ID:yjJxiF5bo
〜マジシャノバアイ〜

マジシャン「……はぁ、こりゃあ夢魔だな」

ザッザッザッザ

マジシャン「……よりにもよって」

プリースト「…マジシャン」

マジシャン「お前かよ……」

プリースト「あら、私じゃ不服?」

マジシャン「不服じゃねーけどさ、あるだろ…なんつーか…」

プリースト「自身の初恋を否定するわけ?」

マジシャン「だーかーらー。そういうのはさ、こう…しまっておくものだって事よ」

プリースト「……ふふっ、貴方らしからぬ発言ね」

マジシャン「…ハッハ。俺は至って紳士だっての」

プリースト「ふふっ、そうかだったかしらね」

マジシャン「おいおい。まぁ…いいや」

ザッ
990 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:20:00.93 ID:yjJxiF5bo
マジシャン「これ以上俺の思い出、いじくるんじゃねぇよ」

プリースト「……」

マジシャン「選ぶ人選間違えたなぁ」

ゴゴゴゴゴゴゴ

プリースト「……っ」

マジシャン「こーいうのはなぁ、やっていい事と悪い事があるんだよ…っ!」

プリースト「!?」

マジシャン「……消えな」

ドドオオォォンッ!!…ズッガアアァァンッ!!

プリースト「な…ぜ……っ」

マジシャン「……ま、会えて悪い気はしなかったぜ。……ハッハ」

シュウウゥゥ

マジシャン「今度はゆっくり会おうや・・・あっちでな」

プリースト「……ふふっ、そうね。待ってるわよ…いつまでも」

マジシャン「……ああ。すぐ…いくさ」
991 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:20:30.66 ID:yjJxiF5bo
〜シショウノバアイ〜

師匠「……あーん?」

ザッザッザ

師匠「何だここは?」

ザッザッザ

師匠「――!?」

プリースト「……久しぶりね、師匠」

師匠「…プリースト…なのか!?」

プリースト「…あら、以外…誰に見えるのかしら?」

師匠「……あーそういう事かよ」

プリースト「…?」

師匠「サキュバスか。全く…めんどくせぇ奴に化けやがって」

プリースト「…非道い物言いね」

師匠「阿呆。死んだ人間に化けても意味ねーだろ」

プリースト「ふふっ、冷たい男」
992 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:21:04.65 ID:yjJxiF5bo
師匠「…がははっ!冷てぇときたか!まぁ、あながち間違いでもねぇか」

ポリポリ

師匠「……とにかく、簡便してくれや」

プリースト「…?」

師匠「俺はなぁ、こーいうのが大っ嫌れぇ何だよっ!!」

プリースト「――!?」

師匠「行けっ!コカトリス!!」

シュイイィィン…ゴゴオオォォッ!!

プリースト「どうし……」

師匠「…すぐ会いにいってやっからよ」

プリースト「……ふ、ふふ…っ」

師匠「魔剣士連れて……すぐに行くから…待ってろよ」

プリースト「……ええ、待ってるわ」

師匠「…全くよぉ、いいんだか…悪いんだかだよ。……ガハハ!」

プリースト「悪い事なんて……ないわよ……ふふっ――」
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/06(日) 23:24:54.79 ID:yjJxiF5bo
本編は25スレ目より!引き続き宜しくお願い致します!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 23:31:06.29 ID:AWn7N+oUo
師匠とマジシャンかっこよすぎる
995 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/02/06(日) 23:41:33.39 ID:yjJxiF5bo
〜ちなみに賢者の場合〜

賢者「……?」

ザッザッザ

偽賢者「…ふぅ」

賢者「…何と美しい……ふぅ」

偽賢者「君こそ大変に美しい…ふぅ」

賢者「まさに理想の者に巡り合えた……ふぅ」

偽賢者「私もだ…この胸の高鳴り…ふぅ」

賢者「まるで夢のよう……ふぅ」

偽賢者「見れば見るほど……ふぅ」

賢者「しかし…私は私。君を愛でる事は難しい…ふぅ」

偽賢者「なんと…。私であるが故の苦悩か……ふぅ」

賢者「済まぬが……消えて貰いたいな。ふぅ」

偽賢者「そうか。残念だ……ふぅ」

賢者「散り際も美しくある。それが格別に至高足るものかな……ふぅ」
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 23:43:13.95 ID:w2Q9H46go
賢者はブレナイな
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 23:58:33.24 ID:dCpM1hsxo
埋め
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 00:00:54.16 ID:Qk2m7WKIo
賢者うめ
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 00:04:03.61 ID:0b9aN1awo
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 00:04:29.93 ID:ohY2qjgWo
魔道士ちゃん魔道士ちゃん魔道士ちゃん!!!


・・・・ふぅ
1001 :1001 :Over 1000 Thread
    /|\
     |::::0::::|    
    |`::i、;;|
    |;;(ヽ)|
    //゙"ヘヘ
    //   ヾ、
    ! !    l |
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厨二能力やるからそれ使って戦え @ 2011/02/06(日) 23:49:37.18 ID:KhKbm/mWo
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ステイル「…何をやっているんだい?」 @ 2011/02/06(日) 23:46:01.57 ID:e9xNWLYDO
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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その25 @ 2011/02/06(日) 23:23:08.11 ID:yjJxiF5bo
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凶華様と凛の子のry @ 2011/02/06(日) 23:04:08.45 ID:eFI6CV12o
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VIP-World TRPG 灰色のくま2ch版 Part685 @ 2011/02/06(日) 22:08:17.26 ID:bHVcz9Kzo
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グレみん常勝理論 Season11 @ 2011/02/06(日) 21:20:11.40 ID:rk3lYStao
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ラピスと黒猫 @ 2011/02/06(日) 21:06:17.26 ID:PsRczLZVP
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一方通行「イヤだ」part2 @ 2011/02/06(日) 21:03:24.70 ID:cHjyVjzzo
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