このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/23(水) 18:19:02.83 ID:YVPYbLUmo
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

〜前回までのあらすじ〜

朱雀先生の称号を受け継ぎ、魔王を倒す為、旅を続ける召喚士。、
パーティー仲間の強くて頼れる二枚目の戦士、いつも明るく笑顔が
可愛い魔道士。スタイル抜群ツンデレな盗賊との冒険はまだまだ続く。
国王崩御。その波紋は大きく、本国は混乱の事態を迎えるのだった。

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その26)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/23(水) 18:20:41.68 ID:YVPYbLUmo
◆過去ログ(その1〜25)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
◆過去ログ(その1〜24)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
3 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 18:29:36.52 ID:YVPYbLUmo


エリート「さて、どうするか……」

右大臣「陛下……陛下ぁ……っ」

エリート「…父上、貴方が気丈に振舞わずどうするのですっ」

東方参謀「今は放っておいてやれ。気持ちはわかるであろう」

エリート「先生、それは分かりますが、今は悠長な事を言っている場合ではないかと」

東方参謀「……ふぅむ」

カツカツカツ

皇太子「私とエリートで手続きを進めるぞ」

エリート「殿下……」

皇太子「ん、どうした?」

エリート「……いえ」

皇太子「落ち込んでなどいられないさ。今動かずにどうする」

エリート「……その通りです」

皇太子「一先ず、着替えさせてくれ。すぐに戻る」
4 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 18:30:24.69 ID:YVPYbLUmo
エリート「私も、仕度をして参ります」

カツカツカツカツ

東方参謀「殿下も、ご立派になられたものだ」

エリート「ええ。だからこそ私は、最後まで付き従います」

東方参謀「そうだな」

エリート「だから、今だけはそっとしておいてあげましょう」

東方参謀「……」

エリート「辛くないわけがないのです。実の……父親なのですから」

カツカツカツカツ…

皇太子「…………」

カツカツ…カチャッ…パタン

皇太子「……」

ズズズッ…ドサッ

皇太子「父上……。私は……っ」

部屋に入るや否や、皇太子は壁にもたれかかり、倒れるように泣き崩れた。
5 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 18:31:07.05 ID:YVPYbLUmo


青年兵「……」

戦士「偉い事になっちまったな……」

魔道士「……私……私ぃ……っ」

盗賊「…魔道士、君のせいじゃないよ」

召喚士「そうですよ。気にする必要はありませんよ」

魔道士「でっ、でも……陛下を……っ」

戦士「これから、どうなっちまうのかな」

青年兵「どうにもなりませんよ」

戦士「…?」

青年兵「殿下が跡をお継ぎになられて、事態は収束です」

戦士「……そりゃ…そうだがな」

召喚士「……」

タッタッタッタッタ

召喚士「……?」
6 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 18:35:18.03 ID:YVPYbLUmo
カチャッ

魔道士「……っ!!」

大商家「……っ」

魔道士母「……へ、陛下は……っ」

一同が沈黙する中、かろうじて青年兵が首を横に振る。

大商家「そ、そんな……っ」

魔道士「何で……お父様とお母様が…!?」

魔道士母「……右大臣様、陛下は……っ」

右大臣「……す、すまない…っ。私は無力だ……」

大商家「……陛下」

魔道士「どうしてお二人がここへ……」

右大臣「……君に、話をせねばならぬ」

大商家「……宜しいのですか?」

右大臣「……ああ。最早、明かさねばならぬ状況だ」

召喚士「……明かす?」
7 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 18:43:00.24 ID:YVPYbLUmo
カツカツカツ…

エリート「間もなく殿下もお見えになられます。そうしたら…宜しいですね?」

右大臣「……ああ」

召喚士「あの、俺達は……」

エリート「一緒に聞いてくれ。全く関係のない話でもない」

盗賊「……?」

エリート「殿下が来る前に、玉座へ移るとしましょう」

右大臣「……分かった」

エリート「青年兵、皆を案内してくれ。私は文官を招集してくる」

青年兵「畏まりました。……皆様、参りましょう」

召喚士「う、うん……。魔道士さん、行きましょう」

魔道士「……っ」

ゾロゾロゾロ…

右大臣「エリート。お前にも、あとで話がある」

エリート「……?」
8 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 18:58:06.27 ID:YVPYbLUmo
ザワザワザワッ

右秘書官「……陛下が……崩御!?」

右文官「そっ、そんな……」

エリート「皆、うろたえてはならぬぞ。今こそが一致団結し、本国の為に……」

カツカツカツ…

皇太子「すまぬ、待たせた」

エリート「殿下、大丈夫ですか?」

皇太子「何がだ?私は至って問題ない」

東方参謀「……」

皇太子「集まってくれた諸君、既に話はきいていると思うが……」

右大臣「……」

皇太子「先程、我が父である国王陛下が崩御なされた」

右秘書官「……っ」

皇太子「これより即座に、国民への発表と戴冠式の手筈を……」

ガチャッ…ギイイィィィィ
9 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 19:03:59.24 ID:YVPYbLUmo
召喚士「……!!」

皇太子「……」

右大臣「……貴……様っ」

カツカツカツカツ

左大臣「此度はァ、大変な事となったなァ」

エリート「……遅かったですね」

左大臣「あァ、色々と資料に手間取ってなァ」

右大臣「資料!?貴様、何をぬけぬけとっ!!」

左秘書官「えらく興奮気味ですが、何かありましたか?」

右大臣「……くっ」

左大臣「なぁ右大臣、お前にはまんまと欺かれたなァ」

右大臣「貴様こそ魔物を使い……よくもっ!!」

左大臣「……フハハァ!話が読めんなァ。何を言っておるのだァ?」

エリート「左大臣様、それで?」

左大臣「陛下の……跡継ぎの事よ」
10 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 19:07:03.00 ID:YVPYbLUmo
戦士「跡継ぎ…!?」

盗賊「…殿下では…ないのか?」

エリート「……ちっ」

左大臣「私の部下がなァ、面白い発見をしてなァ」

カツカツカツカツ

左翼官「資料室で拝見したもののレポートです。ご覧になられますか?」

皇太子「結構だ」

左大臣「……フハハァ。どうやら、右翼も事態は把握しておられるのかなァ?」

右大臣「回りくどいぞ!本心を申せ!!」

左大臣「……本心、ククッ!!」

クルッ

左大臣「右翼の連中なぞに用はない。用があるのは……」

カツカツカツ

左大臣「……貴方です。お迎えにあがりましたァ、魔道士……王女」

魔道士「――っ!!」
11 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 19:10:56.58 ID:YVPYbLUmo
ドヨッ…ザワザワザワ

右文官「……今……なんと」

大商家「……くっ」

戦士「魔道士……」

盗賊「……王女…と、聞こえ……」

召喚士「…………」

魔道士「……っ」

左大臣「貴方はァ、商家の娘などではありません。王家の姫君なのです」

エリート「左大臣様おやめ下さい。このような刻に非常識ですぞっ」

左大臣「非常識?……ならばァ、何十年もの間ァ、公にもせず隠す事は常識なのかね?」

右大臣「……貴様は……分かっておらんのだ」

左大臣「何がだァ?そんなものに分かるも分からぬもあるかァ!!」

タッタッタッタッタ…バンッ

隊長「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

青年兵「……隊長殿?」
12 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 19:14:16.58 ID:YVPYbLUmo
カツカツカツ

隊長「このような場に飛び込み、咎めは後でお受け致します」

皇太子「構わん。急用か?」

隊長「……総司令が……脱獄、逃亡致しました」

ザワッ!!

右大臣「何だとぉ!?」

隊長「……っ」

カツカツカツ

隊長「何故、持ち場を離れた!?」

青年兵「……申し訳ありません」

皇太子「彼を責めないでやってくれ。火急の言を伝えてくれたのだ」

隊長「火急……?」

右大臣「……陛下が、崩御なされた」

隊長「――っ!?」

皇太子「このような刻に、何という事だ……っ」
13 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 19:19:58.47 ID:YVPYbLUmo
青年兵「……殿下、申し訳ありません。本部へ戻らせて頂きます」

皇太子「こちらこそ、すまんな」

隊長「騎士団長には既に命を発してある。現場指揮はお前が執れ!」

青年兵「はいっ!」

召喚士「お、俺達も……」

左大臣「駄目だなァ。貴様らは此処に残るがいい」

戦士「……何でだよ」

左大臣「まだァ、話が終わってはおらぬ」

魔道士「……」

戦士「さっきから何なんだよ、魔道士が……王女とか……」

左大臣「言葉の通りだァ。そのまま受け止めるが良い」

盗賊「……」

魔道士「わ、私は……っ」

大商家「……今までのご無礼を……お許し下さいませっ!」

バッ

魔道士母「隠し通す為とは言え、あのような生活を……」
14 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/23(水) 19:25:14.09 ID:YVPYbLUmo
魔道士「お父様……?お、お母様……?」

右大臣「……全ては私が悪いのだ。彼らや陛下に非はないのだ」

魔道士「えっ、いや……だって……」

エリート「……今までの数々のご無礼、お許し下さいませ。魔道士王女」

皇太子「……すまぬ」

魔道士「みんな……何を言ってるの……?」

左大臣「分かったかね?君はァ、姫君なのだよ。この……本国のね」

魔道士「嘘……よ……っ」

左大臣「そして、我ら左翼が支持する……後継者であらせられるのだァ」

魔道士「嘘よっ!!ねぇ、そうでしょう!?召喚士さんっ!!」

召喚士「…………」

魔道士「嘘よおぉーっ!!だって、だって私はあぁ……っ!!」

召喚士「……魔道士……さんっ」



 〜第四十一部、完〜
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/23(水) 19:26:16.47 ID:YVPYbLUmo
それでは失礼致します。前スレご支援感謝感謝!
27スレでも宜しくお願い致しますです!!ノシ
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/23(水) 19:31:08.26 ID:Un4fFKENo
かなしいはなしや
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/23(水) 20:06:21.39 ID:9yd0+GP6o
>>1
続きが気になって仕事が手につかない
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/23(水) 20:34:03.39 ID:J3Zzdf3AO
>>1おつ
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/23(水) 21:47:14.43 ID:e3GFJlyNo
いちおつ
妻の出産よりも続きが気になっちゃう
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 21:48:55.61 ID:1bIwfWOEo
>>19
おいwwww
そばにいてやれwwwwwwww
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/23(水) 22:14:15.26 ID:hoxfPseDO
>>19
お前結婚の時もここにいただろw

>>1
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 23:25:53.76 ID:seF9jzmDO
>>1
新スレおめでとうございまーす!
前スレの最後が絶妙な間の消化で感動したww

そして続きの展開が気になり過ぎてヤバい!
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/23(水) 23:31:17.44 ID:qoA2dwrDo
>>19
結婚、ハネムーン、出産
どんだけこのスレと結婚生活をともにするんだよwwwwww

あ、>>1おつです
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/23(水) 23:31:34.00 ID:qoA2dwrDo
>>19
結婚、ハネムーン、出産
どんだけこのスレと結婚生活をともにするんだよwwwwww

あ、>>1おつです
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/23(水) 23:34:02.38 ID:qoA2dwrDo
あ・・・二重レスすんません・・・
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 23:54:25.88 ID:Hd7z7MLDO
>>1

魔道師ちゃん・・・
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/03/24(木) 00:10:27.14 ID:Y32FID9AO
>>19
子供の名前はハヌマーンだよな?
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/03/24(木) 00:18:34.87 ID:YzAgZOUW0
>>21
結婚式の時にいたのは、自分ですw
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 00:22:36.81 ID:wCygI4hDO
虎火鳥栖でいいんじゃね?
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/24(木) 01:05:22.48 ID:Oxwci7QAO
いちおつ愛してる

マジ続きが気になりすぎる
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/24(木) 02:26:42.61 ID:/oKl7uzDO
>>1(・ω・`)乙 これは乙じゃなくてポニーテールなんだからね!
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/03/24(木) 03:29:39.86 ID:yIrP58e70
>>1
1日一度はここを見ないと調子が出ない体になってしまった…

責任とってよね>>1乙君///
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/03/24(木) 06:32:00.21 ID:+3/NNMqV0
1乙
いつもありがとう!
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 11:26:31.93 ID:vHM2j+qDO
>>1乙っす
35 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:45:46.19 ID:uTobbTdPo
王宮内の騒動など知る由もなく、本国は静寂な宵に包まれていた。

フォン

道士「……ククッ」

闇から闇へ。魔物はその姿を北へ北へと進ませる。

いつものように任務を追え、静かに、速やかに帰還する。ただそれだけの事であった。

ピクッ

道士「……?」

魔物の移動が止まる。いや、何かの気配を感じ取り、移動を止めたのだ。

道士「……下?」

建物の並ぶ街中を抜け、郊外に出た矢先の事。

結界石が敷き詰められた城壁の、効力が最も弱い部分に差し掛かった頃であった。

道士「移動して……背後かっ!!」

それは即ち、龍脈上。道士の背中に佇む地下へと続く坑道への出入り口。

道士「……ッ!!」

そこから姿を現すは、上位ランカーと謳われる二人の男であった。
36 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:46:52.74 ID:uTobbTdPo
ザッザッザッザッザ

ジュニア「ハッハ!本国着いて早々、魔物のご歓迎かよ」

眼鏡「このような所に、何をしている?」

道士「く……ッ!!」

ジュニア「おっと動くなよ?」

キュイイィィ

眼鏡「……返答次第では、殺す」

ジャキッ…スタスタスタ

道士「……カアァ!!」

ドンッドンッドンッ!!

ジュニア「な……っ!?」

間合いを詰めるジュニアと眼鏡の前に、突如地面から魔物が現れる。

僵尸「……」

ジュニア「眼鏡っ、左右に散って迎え撃つぞ!!」

眼鏡「……ああ!」
37 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:47:40.00 ID:uTobbTdPo
ザザザッ…タンッ

ジュニア「この程度の使い魔で……やれると思ってのかぁ!?」

キュイイィィ…ドドンッ!!

先程から手に溜めていた魔力が、一気に爆発する。

僵尸「ギイイィィーッ!!」

その白い閃光は、赤みを帯び始めると発火し、容赦なく僵尸の全身を飲み込んだ。

ジュニア「やっぱりコイツら……ゾンビかっ」

ゴオオォォ

ジュニア「コイツらの弱点は火だ!!」

眼鏡「分かっているっ!!」

ザザッ…ダダッダダッダダッ…

僵尸「――!?」

犬「ガウウゥゥ!!」

立ちはだかる僵尸めがけ、眼鏡の左右より無数の犬が飛び掛かり、

その身を食い千切り、僵尸は次々とその場へと崩れ落ち始めた。
38 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:48:08.89 ID:uTobbTdPo
眼鏡「さぁ、離れていておくれ」

犬「ウワンッ!!」

キュイイィィ…

眼鏡「はあぁーっ!!」

全ての犬が後退するのを見届けると、眼鏡は両手で長剣を握りしめ、

激しく燃え盛るその刀身を勢いよく、水平に振り払った。

ブオォンッ!!…ゴアオオォォ!!

ジュニア「すっげ……っ」

眼鏡「追うぞ!」

ジュニア「あん!?あっ、あの野郎……逃げやがったかっ!!」

眼鏡「こっちだ!」

ジュニア「分かるのか!?」

眼鏡「臭いで分かる。下種な瘴気だ」

ジュニア「本当、犬みてぇな奴だな」

眼鏡「……あはは、そうかもしれないね」
39 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:48:48.16 ID:uTobbTdPo
ザザザザッ

道士「……ッ」

最初に感じた気配。その殺気とも言えるべきものに、道士は恐怖を感じていた。

道士(……あれは、人間などのものではない……っ)

ザザザザザッ

道士(あれは……)

シュバッ!!

道士「――ッ!?」

眼鏡「……逃げられると、思うなよ」

道士(そう、これは……魔族の――)

シュバッ…ボトッ…コロコロコロ…

眼鏡「…………」

スタッ

ジュニア「うっわ……。問答無用だな」

一閃の下に斬り落とされた道士の頭部を見下ろし、ジュニアは苦笑した。
40 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:49:21.74 ID:uTobbTdPo
道士「……グ……ウゥ」

眼鏡「まだ終わりではない。こいつは不死だ」

首のない体を眼鏡が掴み挙げ、ジュニアへと突き出す。

道士「や……めろぉ……っ」

ジュニア「はぁ、五行は使いたくないんだよなぁ……」

ポウッ…キュイイィィ

ジュニア「あんまり魔力高めると死んじゃうし。……ま、こんなモンでいっか」

道士「やめ――」

眼鏡「やめろと言った人間を、お前は何人殺してきた?」

道士「私を殺したところで、何も変わらんぞおぉ!!」

ジュニア「首だけのくせに、元気だこと」

道士「フッ、フフフフハハハハ!!」

ジュニア「あん、頭おかしくなっちまったか?まぁいいや……そんじゃな」

ドドオオォォンッ!!…バシュウウゥゥゥゥ

道士「国王暗殺の任は終えたのだあぁ!我が命、とうに不要の事よ!フッフハハ!!」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/24(木) 18:50:32.23 ID:fWQUTFGAO
>>1

ジュニア&眼鏡…そこに俺が加わればイケメン五行が発動し、世界中の幼女が孕むと言う…
伝説は本当だったのか……っ!!
42 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:50:59.29 ID:uTobbTdPo
シュウウゥゥゥゥ…

眼鏡「……!?」

ジュニア「……おい」

ザッザッザ

ジュニア「今、なんと言ったぁ!?」

道士「明日になれば分かるさ、貴様らの王はああぁぁ」

ジュニア「……っ」

キュイイィィ…

道士「私がああぁぁ暗――」

ドドオオォォォォンッ!!

体に続き、道士の頭部も同様に、五行の光に包まれ消滅した。

眼鏡「…………」

タッタッタッタッタ

犬「ワンッワンッ!」

ジュニア「陛下を……暗殺……だとぉ!?」
43 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:51:47.78 ID:uTobbTdPo


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第四十二部〜
44 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:52:57.25 ID:uTobbTdPo
〜国軍本部、地下牢〜

隊長「……まぁ、こんな状況だ」

決して破壊などされるはずもない、頑強な牢獄。

その内側から何者かが無理矢理こじ開けた、無残な形跡だけが残る。

青年兵「壊せるものなんですか……っ」

隊長「無理だな。常識で考えりゃ設計上、人の手には皆無に等しい」

青年兵「……」

隊長「設計は総司令だ。おそらく、己の魔力限界で破壊出来る作りになってたんだろ」

青年兵「何のために……」

隊長「こういう時の為か?まぁ、それにしちゃ出来過ぎだよ」

青年兵「魔力……」

隊長「厳密にゃ五行だな。まぁ、仕組みはよう分からんが」

青年兵「結界石で固められたこの牢を……抜けるなどと……」

隊長「んで、その後の状況はどうなんだ?」

格闘家「……」
45 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:54:03.60 ID:uTobbTdPo
……――

ズズウウゥゥゥゥ

国軍兵『何の音だ……!?』

衛兵『地下……じゃないのか……?』

国軍兵『地下って、まさか総司令!?』

カツカツカツ

格闘家『そこにいろ。俺が見てくる』

国軍兵『格闘家様っ!』

タッタッタッタ…ササッ

格闘家『…………』

司令官『「あー。隠れなくてもいいぞ』

格闘家『!?』

司令官『お前を付けておくたぁ、副司令も捨てたモンじゃねぇな』

格闘家『……いえ、青年兵様の命令です』

司令官『そっちか。ふぅん、こりゃ楽しみになってきた』
46 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:55:52.14 ID:uTobbTdPo
格闘家『……あの』

司令官『お前の、無口なところが好きだぜ?』

格闘家『……?』

司令官『ふんっ!!』

ドグゥッ!!

格闘家『がは……っ!!』

司令官『油断しすぎだよ、バーカ』

クルッ…タッタッタッタッタ

格闘家『……ぐ…くっ!』

ドシャッ

格闘家『な、何をしようと……言うのです…っ!?』

――……

格闘家「……と、言うわけです」

隊長「情けねぇ。それでも特遊の一員かよ」

格闘家「申し訳ありません」
47 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:56:57.49 ID:uTobbTdPo
青年兵「とにかく、追うしかありませんね」

隊長「しかし、街中に騎士団を配備している。到底逃げ切れるとは思えんぞ?」

青年兵「いえ、算段が無くば、こんな無謀な真似をするとは思えません」

隊長「じゃあ何か?隠し通路でもあるってのかよ」

青年兵「ありますよ」

隊長「何っ!?」

格闘家「そうかっ、地下水路!!」

青年兵「その通りです。おそらく、もう本国を離れていると思われます」

隊長「畜生……っ、人の事言えた立場じゃねぇな。俺もヤキが回ったもんだわ」

ザッ

隊長「青年兵殿、手遅れかもしれんが出動命令を!」

青年兵「……分かりました。特殊遊撃4名、直ちに総司令捕縛へ向かって下さい」

隊長「了解っ。行くぞ!!」

格闘家「はい」

タッタッタッタッタ…
48 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:58:04.98 ID:uTobbTdPo
〜王宮〜

左大臣「……」

魔道士「…………」

左大臣「流行の服はァ、お嫌いですかなァ?」

魔道士「…………」

左大臣「それとも王女様ァ、先程のお話……ご理解頂けておりませんのかなァ?」

魔道士「……すかっ」

左大臣「……?」

魔道士「何で、私がこんな事……っ。何なんですかっ」

左大臣「それがァ、しきたり……いやァ、この国での決まりだからですよ」

魔道士「そんな事……今更、王女とか……」

左大臣「全く、亡き陛下と右大臣にはァ、失望致しますなァ」

魔道士「そんな……」

左大臣「とにかく貴女はァ、我らの支持する後継者なのですよ。フハハァ!!」

魔道士「……っ」
49 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 18:59:40.53 ID:uTobbTdPo
〜数刻前〜

右大臣「な、何だとぉ……っ!!」

左大臣「聞こえなかったのかね?かの右大臣も、耄碌したものよなァ」

エリート「陛下の後継者は皇太子殿下、それで問題はないはずです」

左大臣「まぁ待て。それは改めて、話そうではないかァ」

右大臣「改めるも何もあるものかっ!」

左秘書官「まぁ落ち着いて下さい。では、会議室へ移ろうではありませんか」

エリート「ここでは問題があると?」

左秘書官「そうではありません。不要な方々も多い、という事です」

東方参謀「不要?」

左大臣「殿下と王女、それにワーカーの諸君らは下がって良いぞ」

召喚士「……?」

左秘書官「ここからは文官の仕事です。どうぞお引取り下さい」

戦士「お引取りって……」

召喚士「戦士、行こう。それでは失礼致しました」
50 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 19:01:02.64 ID:uTobbTdPo
戦士「おいっ、召喚士!!」

召喚士「邪魔になるだけだ。俺らは戻ろう」

戦士「……あのなぁ」

盗賊「…戦士、行くぞ」

戦士「……ちっ」

魔道士「あ……っ」

スタスタスタ

皇太子「魔道士、我らも下がるとしよう」

魔道士「……っ」

皇太子「彼らと、居たいのかな?」

魔道士「……」

皇太子「構わんぞ。但し、あとで呼ばれるだろうから、王宮内に居てくれ」

魔道士「……すみません」

ペコリ…タッタッタ

皇太子「……荷が……重いな」
51 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 19:01:31.07 ID:uTobbTdPo
テクテクテクテク

戦士「……もう頭ん中がどうにかなっちまいそうだぜ」

盗賊「…うん」

戦士「何なんだよ、魔道士が王女だとか陛下が崩御だとか……」

召喚士「……」

戦士「挙句に総司令が内通者で逃亡しただぁ?次は何だ、魔王でも攻めてくるってか?」

召喚士「戦士、もうやめ――」

タッタッタッタッタ

魔道士「皆さんっ!!」

盗賊「…魔道士?」

魔道士「はぁ、はぁ……っ」

召喚士「魔道士さん、いいんですか?」

魔道士「……はい。今は、一緒に居させて下さい」

戦士「いや、まぁ…俺らは構わないけど……なぁ?」

召喚士「……うん。もちろん」
52 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 19:02:37.61 ID:uTobbTdPo
〜会議室〜

エリート「ではすみませんが、左大臣殿らのお話を伺いたい」

左秘書官「先程、左大臣様が述べたように、我らは魔道士王女を擁立する」

右文官「貴様らは国家に反逆すると言うのかっ!?」

左文官「何だとぉ!?言葉に気を付けよっ!!」

左翼官「宜しいですか?一先ずはこちらの資料をご確認下さいませ」

右文官「……資料資料と、文字で見たところでどうなる事か」

左翼官「百聞は一見に……とも言いますぞ?」

右文官「……ぐぬっ」

カサッ

左翼官「陛下が崩御された今、早急に跡継ぎを決定し、戴冠式を行う必要がございます」

右大臣「だからそれは、殿下が即位すれば済む事であろうっ!」

左秘書官「ところが、ここにきて何故か、もう一人候補者が出てしまいましたからね」

エリート「失礼だが、貴方達は常識というものを知らないのですか?」

左秘書官「……と、申されますと?」
53 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 19:03:56.99 ID:uTobbTdPo
エリート「皇太子殿下は第一王子。それがどういう意味か分かっているのですか?」

左翼官「直径の王族で長男。何も問題が無ければ王位継承権一位という事ですね」

エリート「ならば結論は出ているではありませんか」

右文官「そうだ、余計な混乱を招く必要がどこにあるっ!」

左翼官「私の言葉では伝わりませんでしたかな?」

右秘書官「……?」

左秘書官「左翼官殿は『何も問題がなければ』、と申したのです」

右文官「問題があるとでも言うのかっ!」

エリート「……くっ!!」

左大臣「気付いたかね?そう、想像通りだァ」

左翼官「皇太子殿下は、魔力を持っておられません」

右大臣「……っ」

左翼官「例え男子で、継承権が一位であろうとも、それは最早……論外なのです」

右文官「いい加減にしろっ!無礼にも程があるぞ!!」

左文官「無礼なのはそちらであろうがっ!!」
54 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 19:04:52.81 ID:uTobbTdPo
左秘書官「古来より、絶対的な魔力を持ってして王族は成り立ってきたのです」

右秘書官「時代が違います」

左秘書官「それはどうでしょうか。王族は国の象徴。時代などかん系ありません」

右秘書官「だが、魔力など今は王族が率先する時代ではない」

左秘書官「亡き先代とて、パフォーマンスには利用されておりましたよ?」

右秘書官「パフォーマンスであろう?それならば別の手段とて取れるではないか」

左秘書官「魔法とは目に見える強さ。殿下は如何にして国民に示すのです?」

右秘書官「……っ

左秘書官「まさか罪人を、自らの剣で錆にでもなさると……?」

右大臣「もう良い。しかし魔道士王女は女性であり、まだ若い」

左翼官「それは偏見です。そちらこそ時代が違うのでは?」

右大臣「刻が来れば、禅譲すれば良い。それまで殿下が……」

左翼官「禅譲するならば、最初からでも問題はありませんよ」

右大臣「…………」

左翼官「それに、こんな事は古より度々、起こっている事なのです」
55 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 19:05:39.09 ID:uTobbTdPo
パサッ…スッ

左翼官「ご存知かと思いますが、本国の歴史は古い」

エリート「……」

左翼官「数代前の女王陛下。彼女もまた、同じような境遇でした」

左大臣「落胤である王女がァ、病弱な殿下を押し退けて即位したァ」

左翼官「ご存知でしょう?鉄の女王と呼ばれた有名な御方ですから」

右大臣「ケースが違う。殿下は魔力が使えないというだけであってだな……」

左翼官「だから、それgは重要だと我らは申しておるのです」

エリート「魔道士王女は政務の一切を存じ上げておりません。それでもですか?」

左秘書官「その為の我らです」

右文官「ふざけるな!それでは王女は……ただの傀儡ではないか!!」

左秘書官「人聞きの悪い事を申されますな」

右大臣「そうやって……本国を牛耳るつもりか……っ」

左大臣「聞こえは悪いがァ、結果的にそうなっても致し方あるまいなァ」

右大臣「貴様という男は……っ」
56 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 19:06:09.78 ID:uTobbTdPo
左大臣「フッハハハァ!!右翼よ、とんだ茶番であったなァ!!」

エリート「……」

左大臣「今まで必死に殿下を支え、我らを封じ込めてきたと言うのに……」

右文官「……くっ」

左大臣「まさかここにきて、落胤が発覚するとはなァ!!」

エリート「一応聞きますが、本人が辞退した場合は……」

左翼官「辞退は一向に構いませんよ」

カサッ

左翼官「これも歴史にある事です。辞退したケースもございますから」

右秘書官「……」

左翼官「辞退は出来ますが、それは認められません」

左秘書官「王族の血を覆す事は出来ませんよ」

左大臣「お前も分かっておるのだろう右大臣?だからこそ……」

右大臣「……」

左大臣「赤子の段階で、魔道士王女を隠したのだァ」
57 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 19:07:02.62 ID:uTobbTdPo
左秘書官「当然、即位後の政務放棄は可能です」

エリート「代行は貴方達が為さるという事か」

左秘書官「ご名答です」

左大臣「皮肉なものよ。なァ、そうであろう?」

エリート「……」

左大臣「今まで右翼の為に働いてきたワーカーが王女」

右文官「く……っ」

左大臣「それが左翼擁立の王女となり、右翼と戦う羽目に遭う」

右秘書官「……」

左大臣「自ら守ってきた皇太子殿下にとどめを刺す、というわけだァ!」

右大臣「…………」

左大臣「確かに殿下の支持率は国民の間で非常に高い。高いが、どうであろうなァ?」

左翼官「朱雀先生のパーティ。今や押しも押されもせぬ実力者らしいですね」

左秘書官「国民の支持も大変高いものでした。新聞にも載ったそうで」

エリート「……ちっ」
58 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/24(木) 19:08:44.73 ID:uTobbTdPo
左翼官「更に男性の大半は、魔道士王女の支持に流れると見て良さそうですしね」

左文官「うむ。器量も良く毅然とし、外見にも申し分はない」

左大臣「民はこう考えるはずよ。『絶大なる魔力を持つ女王陛下の誕生』、となァ」

右大臣「……馬鹿げている……っ」

左大臣「そして『小覇王と武勇名高き殿下は、女王補佐に適任』……となァ」

エリート「……」

左大臣「目を瞑ると、その光景が鮮やかに浮かぶではないかァ。フハハハハァ!!」

左翼官「お分かり頂けましたかな?」

左大臣「右大臣よ、恥じるが良い。長年の間、隠蔽した報いが来たのだからなァ!」

右大臣「私が……っ」

左大臣「あの時隠さねば、その間に手をうてたやもしれぬものを…フハハァ!!」

右大臣「陛下……お許し下され……っ」

左大臣「楽しみにしておる事だなァ!フッハハハハァ!!」

カツカツカツカツ…パタン

右大臣「陛……下ぁ……」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/24(木) 19:12:46.73 ID:uTobbTdPo
いよいよ明かされる秘密!全然ワクワクしない展開!情けなや…
たくさんの>>1乙ありがとうございます!!それでは失礼致します!!ノシ

>>19
お願いですから奥さんに付いていてあげて下さいいぃぃ!!

>>22
それはおそらく偶然です!!

>>32
頑張って、毎日書きます!

全レス出来なくてすみません!!ちゃんと全部読んでます!!感謝!!
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/03/24(木) 19:23:07.55 ID:QudYfxyko
>>1愛してる

召喚士の内心のゴゴゴゴ…具合にwwktk
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/03/24(木) 21:11:06.94 ID:OX+Alq050
>>1乙!

魔導士「パフォーマンスとして、左翼一派を焼き払いますね!えへへっ!」
左大臣「ぬわーっ!!」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/24(木) 21:58:38.76 ID:+dDScG8AO
乙!

なんか左翼が勝ち誇ってるけど、魔道士が「皇太子に王位を譲る」って発言すればそれまでなんじゃねえの?
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/03/24(木) 22:11:44.01 ID:hImq+OHbo
>>1

何で左翼がこんなにヒャッハーしてるのか自分が低脳すぎてわからん
魔導士が右大臣とかエリートとか殿下に任せるって言ったりして終了じゃないのか
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/24(木) 22:56:57.88 ID:VlUWgYPAO
王政ってのはそういうもんなんだよ
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/25(金) 05:16:56.69 ID:Swd+qOGSO
普通に相手にしなきゃ済む話だろ
「嘘よおぉーっ!!だって、だって私はあぁ……っ!!」
じゃねえよボケ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/25(金) 08:31:32.78 ID:9TRkjGMAO
魔導師ちゃん(78)の出番か……
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/03/25(金) 08:39:45.06 ID:VcV53gTi0
>>66
……!?
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 09:05:15.98 ID:LwQKULm3o
話が展開しないから無理やり不自然にするしかないんだ。
普通に小説読んでてもいやこうすればいいだろって思う時があるだろうけど、今回もその例だろう。
現実的にするとつまらないからね、あくまで娯楽。
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/25(金) 09:36:49.12 ID:WILPRqodo
>>65
いや、普通に親だと信じていた人が違ったってだけでもけっこうショックだろ
即座に相手にしないという判断を下せる奴の方が非現実的
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/03/25(金) 09:39:45.78 ID:sgoTl+6Eo
現実も個人の意志で決められることではないだろ
独裁国家じゃないんだから

しかも皇太子の支持率が激減するのはほぼ確定だろ
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 09:53:59.30 ID:Tx5dsN1DO
>>1
議会がある国で王とはいえ左翼全無視とかしたら大問題過ぎるだろ。
王に強行な人事権とかは無いだろうし、左翼が先に魔道士を擁立しているし、
右翼は過去に魔道士を隠匿というか捨てている様な物だから、今更後見するのも難しそうだし
魔道士を捨てた事に関わっていた事を公開されたら、右大臣とかは失脚してしまうだろう。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/25(金) 10:08:40.73 ID:45feFNl4o
お前ら向こうに行ってきて思う存分議論でもしてこい
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 12:15:47.74 ID:6WhBQVzDO
今まで親だと思ってた人に土下座された挙げ句敬語で謝られるとかトラウマになりそう
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/25(金) 12:51:22.77 ID:i+koe8SS0
感想と野暮の区別くらいつけろよ
まぁ、ゆとりには無理か(苦笑)
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 13:31:42.74 ID:ehwQAiK3o
俺が魔道士ちゃんちゅっちゅして慰めておくから
おまいら落ち着け
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/03/25(金) 14:07:46.82 ID:KAeAAoLLo
>>75
召喚士「…」

                ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/25(金) 14:12:10.01 ID:q6wP1+3DO
王家は魔法使いの血筋じゃないの?
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/25(金) 17:51:34.78 ID:2x+gjCRDO
>>77
もう一回読んだ方が良いと思うの

前に誰かも書いていたけど>>1が盛り上がる分には構わないって言っているんだから
いちいち目くじらたてる必要はないのでは?
気持ちはわかるけど嫌ならスルーすればいいだけだし
少なくとも雑談の流れに悪態が入っている方が気分悪い
まあ、雑談は読んでないんだけども、どちらも一歩引こうってことだ
ここまで書いてきてくれるんだし気分よく書いてもらいたいじゃないか
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/25(金) 18:34:32.03 ID:kpGQrEV4o
チラ裏
80 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 18:53:12.82 ID:fQE5rY9Jo
〜控え室〜

戦士「……」

盗賊「……」

召喚士「……」

魔道士「…………」

控え室に漂う重い空気。普段の明るい会話はなく、ただただ沈黙が続く。

入室から何分経ったであろうか、ようやくこの状態を打破しようと彼は試みる。

召喚士「……なんだか、妙に納得」

盗賊「……?」

戦士「何がだよ」

召喚士「いや、魔道士さんが……王女様だった事」

魔道士「……」

盗賊「…納得…納得か。そうだな」

戦士「あー、分からんでもない」

魔道士「……!?」
81 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 18:53:59.03 ID:fQE5rY9Jo
召喚士「なんて言うかその、魔道士さんて……お姫様っぽいなぁって」

魔道士「へっ!?」

戦士「分かる。お嬢様って感じじゃないんだよなぁ」

盗賊「…うん」

戦士「おしとやかなのがお嬢様って感じだもんな」

魔道士「!?」

戦士「食い意地はってるし、よく喋るし、おてんばだし」

魔道士「そんな事ないですよっ!」

盗賊「…いや、結構当たってる」

戦士「お前もだろ、東方の姫様よー」

盗賊「……うぅ」

魔道士「そうですよっ!」

戦士「でも、それが魔道士なんだよな」

盗賊「…うん。魔道士は魔道士だよ」

召喚士「はい」
82 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 18:55:07.20 ID:fQE5rY9Jo
ポロポロポロッ

戦士「おわっ!何泣いてんだよっ!!」

魔道士「……だってぇ、意味が分かりませんよぉ……っ」

盗賊「だ、だからだな……っ」

召喚士「魔道士さんがいると、元気になれるんです」

魔道士「……?」

召喚士「魔道士さんの笑顔を見ていると、笑顔になれるんです」

魔道士「……ぐすっ」

召喚士「そういうのって、誰にでもあるわけじゃない気がするんです」

戦士「ああ。俺もそう思う」

盗賊「…特別な力だ」

魔道士「…そんな事……ないです」

戦士「あのほら、なんだっけ…議会の時とかもそうだよな」

魔道士「…?」

戦士「青年兵がぶっ倒れて、お前の演説でみんな、心打たれてた」
83 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 18:55:56.29 ID:fQE5rY9Jo
魔道士「……」

召喚士「やっぱりそれは、生まれ持って持ち合わせているものなんだと思います」

魔道士「……っ」

召喚士「あっ、でもだからといって……」

魔道士「分かってます」

召喚士「え…っ?」

魔道士「ありがとう……ありがとうございますっ」

盗賊「……」

魔道士「三人とも、ちゃんと私を名前で呼んでくれてる。だから……」

戦士「そりゃそうだ。俺達にとっちゃ、お前は王女でもなんでもねぇ」

盗賊「…言ったろ?魔道士は…魔道士だよ」

召喚士「ええ。魔道士さんは……俺らの大切な仲間ですから」

ポロポロポロポロッ

魔道士「ふ……ふえぇ……っ」

戦士「だから、いちいち泣くなって!!」
84 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 18:56:28.92 ID:fQE5rY9Jo


魔道士「それじゃ、行ってきます」

召喚士「はい」

テクテクテク…ピタッ

魔道士「……私、どこにも行きませんから」

戦士「俺達だって、どこにも行かねーよ」

盗賊「…待ってるぞ」

魔道士「きっと……きっとすぐ、戻ってきますからっ!」

召喚士「……はい!」

テクテクテクテク…パタン

戦士「……しかし、そうは言ったものの、これからどうすっかねぇ」

盗賊「……無理に連れて行くわけにもいかんしな」

戦士「俺らまで国家なんたらで捕まっちまうよ」

盗賊「…しばらくは…大人しくするしかあるまいな」

召喚士「……ええ」
85 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 18:57:26.06 ID:fQE5rY9Jo
〜会議室〜

テクテクテクテク

右秘書官「右大臣様のご容態は?」

エリート「眠りについた。精神的な疲労であろう」

右文官「……」

エリート「だが、正直…父上はよもや期待できん……」

右文官「……くそぉ!」

ダンッ!!

右文官「左翼の奴ら、何が今更…後継者問題だ!」

右秘書官「そうは言っても現実問題、これは大事ですよ」

エリート「防ぐ手立ては本当にないのですか……?」

右秘書官「ない……でしょうね」

エリート「……」

右秘書官「後継者一位に問題が生じる場合、特例として二位が即位するものとする」

右文官「左翼の奴らはおそらくこの、特例を謳ってくるであろう」
86 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 18:58:37.16 ID:fQE5rY9Jo
エリート「王女が拒否した場合は?」

右秘書官「無理です。そのような権利はありません」

右文官「そうだっ、王女の出自において証明するものなくば、擁立自体……」

カツカツカツ

東方参謀「それは無理だ。奴ら、全ての調べを済ませておるようだわ」

エリート「東方先生……それに……」

大商家「……」

魔道士母「……申し訳…ありません」

エリート「いえ、別に貴方達が悪いわけではありません」

右文官「やはり…調べは既に…?」

東方参謀「うむ。資料室の記載を参考に、各所から取り纏め済みのようだ」

右文官「まさか…資料が残っているとはな……」

東方参謀「いや、隠蔽…とまでは言わんが、普通には分かるものではない」

右秘書官「よくもまぁ、調べあげたものです」

エリート「……」
87 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 18:59:17.90 ID:fQE5rY9Jo
東方参謀「やはり、魔道士王女の即位には問題があるのか?」

右秘書官「時代が悪かったです。今や王宮内の主要な者らは、皆……左翼派です」

右文官「国軍に力を入れ過ぎた結果がこれか……っ」

エリート「仕方ありませんよ。落胤が発覚するなど誰も思っておりませんでしたから」

東方参謀「魔道士王女が即位すれば、政務の実権は左大臣……か」

右文官「こうなれば腹を括って、一度即位した後……譲位すると言うのは?」

右秘書官「単純な王位の移行という意味合いでは無論、可能ですよ」

エリート「それでは駄目なのですよ」

右文官「……?」

エリート「議会の時に経験されましたよね?」

右秘書官「議会の際は、本国と国軍全体においての投票でした」

東方参謀「政策においては、国軍は関係ない。単純な本国のみのものとなる」

右秘書官「議会の際の、本国での投票数……覚えておられますか?」

右文官「……っ」

右秘書官「……左翼、359票に対し、右翼141票です……っ」
88 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 18:59:55.07 ID:fQE5rY9Jo
右文官「――っ!!」

エリート「この数字の意味するところ、分かりますか?」

東方参謀「これではどんな政策でも通ってしまうぞ」

右秘書官「そういう事です」

右文官「王女の一存で止める事は……いや、不可能だな」

右秘書官「まず標的にされるは……」

エリート「五ヵ年計画でしょうね。このままでは潰れますよ」

右秘書官「そして、それは即位とほぼ同時のタイミングで提案されるはずです」

エリート「それが譲位では間に合わない理由ですよ」

東方参謀「王女が譲位し、廃位の後に殿下が即位。はたして何日かかる事か…」

右秘書官「その間に五ヵ年計画の主要な計画は凍結されるでしょう……」

右文官「もはや……手立ては……」

東方参謀「のこされた手は……」

エリート「……」

東方参謀「継承者が……居なくなる事よ」
89 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 19:01:23.63 ID:fQE5rY9Jo
〜控え室〜

コンコン…カチャッ

左翼官「王女、左大臣様がお呼びです」

魔道士「……」

召喚士「俺らも、一緒に……」

左翼官「分を弁えたまえ」

戦士「もし魔道士に何かあったら……許さねぇぜ」

左翼官「我らはそんな、魔物じみた事は致しませんよ。無礼にも程がある」

盗賊「…せめて、送らせてくれないか?」

左翼官「……まぁ良いでしょう。どうぞ」

スクッ…テクテクテクテク

魔道士「……っ」

左大臣「……やァ、王女。少しは落ち着かれましたかなァ?」

魔道士「……」

左大臣「おい、王女を部屋へ案内しろ。すぐに行く」
90 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 19:02:05.52 ID:fQE5rY9Jo
左翼官「はっ。それでは王女、参りましょう」

魔道士「……」

スッ…テクテクテク

召喚士「……魔道士さんっ」

魔道士「……」

召喚士「待ってますから。頑張って下さい!」

魔道士は何も言わず、ただ力強く頷き、去って行った。

左大臣「フハハァ、ご苦労な事であったなァ」

召喚士「……」

左大臣「……そうだァ。礼をせねばならぬナァ」

カツカツカツ…

左大臣「受け取りたまえ、これは心ばかりのお礼だァ」

戦士「こんなもの……っ」

左大臣「お前らのお陰で、魔道士王女の名声はとても高いものになったァ」

盗賊「……くっ」
91 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/25(金) 19:02:40.75 ID:fQE5rY9Jo
左大臣「国民を納得させるに……十分な程になァ!」

召喚士「……そんなつもりで、旅してきたわけじゃありませんから」

左大臣「結果論だよ。どこぞの村娘であらばァ、我らも骨を折るとろこだがァ……」

ジャラジャラジャラッ

左大臣「かの朱雀一派とあらばァ、国民とて即位に納得してくれるものよ」

ジャラジャラッ…チャリッ

左大臣「ではァ、元気で旅を続けられよ。フッハハハァ!!」

カツカツカツカツ…

戦士「召喚士、こんな金受け取る必要ねぇぜ!」

盗賊「…ああ。こんなものの為に…魔道士と旅してきたわけではない!」

召喚士「……行きましょう」

盗賊「……!?」

召喚士「王宮に居ては魔道士の迷惑になります」

戦士「あのなぁ……」

召喚士「今は、行きましょう……今は」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/25(金) 19:06:14.17 ID:fQE5rY9Jo
この度は混乱を招いてしまい、申し訳ございません
精進し、今以上に努めさせて頂きます

本日もご支援ありがとうございました!
それではまたあとで!失礼致します!ノシ
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 19:08:08.26 ID:R0nYIsVDO
>>1が気にすることじゃあない
これからも楽しみにしてるから

乙乙
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/25(金) 19:21:34.91 ID:7RWj3rBAO
心底どうでもいい自分の意見の押しつけ合いで>>1を悲しませるお前らを俺は絶対に許さないぞ!
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/25(金) 19:42:56.00 ID:qvwSQ7/AO
>>1おつ
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/25(金) 20:45:13.72 ID:Pq62+reAO
色んな解釈があったっていいじゃない。人間だもの
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 21:33:19.87 ID:rvqWitHIO
>>1乙です
とりあえず左翼が魔導士になんかしたら五行ぶち込んでもいいよな
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/03/25(金) 21:50:49.11 ID:vfjvCZTM0
西国編の頃にもこんな意見でもめてたような気がするが
1が作る物語を楽しませてもらってる立場なんで1がやりたいようにしたらいいのです。

クライマックスの予感が現実のものとなり、この物語がずーっと続けばいいなとおもうけど、これは1の物語見届ける

まぁなんだ1乙愛してるよ
けど王子てめーは駄目だ!
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/25(金) 22:24:33.97 ID:nlAb2ssMo
>>1おつ

左翼一派がますますムスカ色を増している
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 00:44:09.55 ID:D1/3oJnDO
>>1乙っす
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/26(土) 03:39:17.44 ID:tozip7/AO
いちおつ愛してる


お前らゆとりか?物語に何の矛盾もないだろが…
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 04:07:21.72 ID:9TWMrt7SO
ゆとりゆとりうるせえな


1おつ
こんな面白い展開はなかなかないぜ
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/26(土) 04:11:09.49 ID:os8T+7cAO
>>1乙!

この状況を解決する方法は一つ。
俺と魔道士ちゃんが駆け落ちして、誰も知らないどこか遠い所へ行くしかないな
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 07:43:14.63 ID:LZMY4vkx0
では、召喚士はオレが・・・
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/03/26(土) 08:05:32.87 ID:gBS1Z3pOo
>>103-104
あれ?お前らが駆け落ちすれば万事解決じゃね?
106 :104 :2011/03/26(土) 10:34:43.08 ID:LZMY4vkx0
オレは構わないけど・・・
>>103くんが何ていうか・・・///////
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 12:07:38.99 ID:I+iTsNzSO
おいまて
>>103 さん ならどうする
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 13:35:41.48 ID:TO3+4+/DO
どうする? ア イ フ ル ー
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2011/03/26(土) 16:29:26.62 ID:q5TMOdsAO
>>103なら俺の隣で寝てるよ
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/03/26(土) 16:32:28.93 ID:qmHWS1JAo
上がってたから更新来てるかと思ったらホモスレだったござる
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/03/26(土) 18:46:59.32 ID:fqSV0+OO0
今こそ言える!届けこの思い!

1乙愛してるよ!

ずっとついて行くよー!
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) :2011/03/26(土) 20:53:38.73 ID:cncNJuXNo
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 22:52:01.39 ID:ZsZsOP6Ko
そろそろここらで>>1登場
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 22:57:22.27 ID:UkbfP8Jdo
│↑
└┘
      ,一-、
     / ̄ l |   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ■■-っ < んなーこたーない
    ´∀`/    \__________
   __/|Y/\.
 Ё|__ | /  |
     | У..  |
115 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/26(土) 23:32:04.86 ID:TL5k8iIHo
〜玉座の間〜

エリート「「居なく……なる!?」

右文官「まさか王女を!?そのような真似が出来るわけなかろうがっ!!」

東方参謀「そうよ。つまりは万策尽きたという事だ」

右秘書官「……」

エリート「即位の後、譲位するとすれば、日数は?」

右秘書官「略式にしたとしても、一月は要するでしょうな」

エリート「政務の廃案など紙一枚の手続き……」

右秘書官「陛下の印を保留しても、稼げる時間は1週間程度」

エリート「つまり、最低でも4つ近くの計画が潰される事になる」

東方参謀「問題ない……などと、口に出来るものではないな」

カツカツカツカツ

皇太子「事は済んだのかな?」

エリート「殿下……っ!!」

皇太子「その様相では、まだのようだな」
116 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/26(土) 23:33:22.55 ID:TL5k8iIHo
エリート「ご安心下さい。必ずや殿下の身に……」

皇太子「構わんよ。そんな気を遣う必要はない」

エリート「……」

皇太子「王家に生まれた身。しきたりには従うさ」

右秘書官「全ての計画が終わってしまうかもしれないのですぞ?」

皇太子「大丈夫さ。あとは仕上げだけだ。もう止める事など出来ないよ」

右文官「……」

皇太子「それに、今もなお現場で戦っている者達、彼らはそんなにヤワではないさ」

エリート「殿下……」

皇太子「何度も言うが、左翼とて国民を思っての事。無茶な政策は取らん」

右文官「しかし、左大臣が内通者である事は確定的ですぞ!?」

東方参謀「それは国軍が動いてくれる。心配するな」

皇太子「ああ、気にする事もなかろう。……さて、と」

エリート「……どちらに?」

皇太子「今日は疲れたな。君達ももう休むといい、明日にしよう」
117 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/26(土) 23:34:27.13 ID:TL5k8iIHo
カツカツカツカツ…

右文官「殿下……っ」

右秘書官「気丈に振舞っておられるが、内心……辛いであろうな」

エリート「……」

右文官「御労しや……」

エリート「……寝てなど、いられませんな」

東方参謀「ん?」

エリート「殿下があれだけ頑張っておられるのです。寝てなどいられませんよ」

右秘書官「仰る通りだ。徹夜で対策をねるぞ」

右文官「よぉし……やってやりますかっ!こうなったら三日でも四日でも!」

東方参謀「ワシは寝るぞ、そんなに起きていられるか」

右文官「なんと薄情な……っ!!」

東方参謀「馬鹿者が。きちんと頭を働かせるには、適度な睡眠も必要なのだ」

エリート「先生の仰る通りですよ。もちろん必死にならねばなりませんが……」

エリート「こちらが潰れては元も子もありませんよ。さぁ、頑張りましょうか!」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/27(日) 00:42:16.67 ID:qA3JAIlAO
これは>>1おつでいいのかな?せっかくの休日だし休んでくだされ
119 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 01:02:40.70 ID:jpxVP+umo


左大臣「いい加減、事情は理解して貰えましたかね?」

魔道士「……」

左大臣「まァ、良いでしょう。せめて食事くらいは摂って下さいませ」

魔道士「……」

左大臣「……ではァ、失礼致しますぞ」

カツカツカツ

左大臣「まさかとは思いますがァ、王宮内からの外出はお控え下さいませ」

魔道士「…………」

カツカツカツカツ…パタン

魔道士「……全然……分からないよ」

テクテクテク…トスッ

魔道士「王女とか実の父とか……整理着くわけないじゃない……」

ウズウズウズ

魔道士「……魔道士、落ち着きなさいって。……はぁ、外の空気でも吸ってこよ」
120 :>>118感謝!投下まちまちなので週明けにでもまとめ読み下さいませ ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 01:03:41.97 ID:jpxVP+umo
テクテクテクテク

魔道士「……あっ」

皇太子「……」

魔道士「殿下…」

皇太子「丁度良かった。付き合って貰えるかな?」

魔道士「……はい」

皇太子の誘いに魔道士応じ、二人は塔のテラスへと移動した。

カチャッ…サアアァァ…

皇太子「どうだ?街も良く見えるであろう?」

魔道士「ほんとだっ、素敵ですねぇ!」

皇太子「……敬語は止してくれ。兄妹でないか」

魔道士「……」

皇太子「受け入れられない……かな?」

魔道士「…はい。いきなりの話で…自分でも何が何だか分かりません」

皇太子「無理もない。そして、済まないと思っている」
121 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 01:05:12.40 ID:jpxVP+umo
魔道士「そ…そんなっ、殿下が謝る事ではありませんよ!」

皇太子「いや、私にも責任はある。それは事実だ」

魔道士「そんな事……」

皇太子「なぁ、魔道士」

魔道士「……?」

皇太子「女王陛下となる気は……ないか?」

魔道士「!?」

皇太子「勿論、左大臣の言いなりになれ、というわけではない」

魔道士「分かっています。分かっていますけど……私には無理ですよ……っ」

皇太子「……」

魔道士「商家の娘で、魔法学校の成績も落ちこぼれで……」

皇太子「……」

魔道士「名前も小さい、ただのワーカーだったのに……」

皇太子「今は本国でも名だたるワーカーじゃないか」

魔道士「それはっ、他の皆さんのお陰です。私なんて何も……」
122 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 01:06:17.08 ID:jpxVP+umo

皇太子「王宮にもな、新聞や各種情報は入ってくるのだ」

魔道士「……?」

皇太子「朱雀先生のパーティーは、四人それぞれが活躍していると聞いているぞ?」

魔道士「……っ」

皇太子「高魔力を用い、五行全ての魔法を高度に駆使する魔道士とな」

魔道士「……買いかぶりです」

皇太子「本当に、即位する気はないというのだな?」

魔道士「……ありません」

皇太子「どうしてもだな?」

魔道士「ありません。出来るわけないですっ」

皇太子「……そうか。分かった」

魔道士「……?」

皇太子「ならば魔道士、その命……私に預けてくれ」

スラッ……チャキッ

魔道士「……っ!?」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 01:36:37.85 ID:FG8V7tbDO
ひぃ……


あ、>>1
124 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 02:26:58.46 ID:jpxVP+umo
〜宿〜

召喚士「それじゃ、おやすみなさい」

戦士「おう」

盗賊「……大丈夫か?」

召喚士「ええ、俺は別に……大丈夫ですよ?」

盗賊「…そうか…なら、いいけど」

召喚士「盗賊さんこそ、久々にゆっくり入浴できるんじゃないですか?ははっ」

盗賊「……そうだな」

戦士「んじゃ、おやすみ」

召喚士「おやすみ。また明日」

テクテクテクテク

召喚士「……」

スッ…テクテクテク

召喚士「大丈夫なわけ……あるもんか」

長すぎる夜はようやく終わった。そして朝日と共に、波紋は本国全土……いや、世界中へと広がる。
125 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 02:32:57.21 ID:jpxVP+umo
〜王宮前、朝〜

記者「陛下が崩御っ、そして跡継ぎの……落胤の噂は本当なのですかっ!?」

老人「陛下ぁ……っ。ついに、このような時が来てしまうとは……っ」

女性「落胤って噂は本当だったんだねぇ……」

男「どうなっちまってるんだよっ!?総司令は内通者だって言うし…陛下は……」

ザワザワザワ

東方参謀「いやはや、大混乱だな」

エリート「何もかもがいっぺんに起こって、これでは収拾が着きませんよ」

東方参謀「国軍の事は国軍に任せておけば良い。お前らがやるべき仕事は……」

エリート「分かっております。しかし、昨晩も結局……結論は出ず……」

東方参謀「自信を持て。右大臣がああなっては、お前がやらねば誰にも出来ぬ」

エリート「……ええ。泣き言は言ってられません」

タッタッタッタッタ

右秘書官「たっ、大変ですよ!!」

エリート「……?」
126 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 02:50:37.52 ID:jpxVP+umo


左大臣「だからなァ、我らは落胤であらせられる、魔道士王女を正統なる後継者と支持するものである」

記者「陛下は……ご病気で亡くなられたのですよね!?内通者との関係は……」

左大臣「陛下は病死だ。しかし、内通者の調査もこれから本格化していくものである」

左秘書官「国軍のトップが氾濫分子なのです。国軍の人事も総入れ替えする必要があるかもしれません」

左大臣「ともかく、近日中に後継者を選定し、国民への発表もさせて貰う」

タッタッタッタッタ

左翼官「左大臣様っ!!」

左大臣「ん?何だァ?」

左翼官「……っ」

左大臣「すまんなァ、急用のようだァ。また後ほど…改めて説明させて貰う」

記者「左大臣様!最後にもう一つ……っ!左大臣様っ!」

テクテクテクテク

左大臣「全く。五月蝿くて敵わんなァ。それで、何用だァ?」

左翼官「……で、殿下と王女が……失踪致しました!!」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 05:31:47.47 ID:RKo162/DO
>>1
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/27(日) 08:22:26.82 ID:zi6E96WAO
召喚士「行け!コカトリス!!」
左大臣「ぎにゃーーー!」

勝った!第一部完!
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 08:49:56.32 ID:8ruD/N2Io
>>128
ごめん、笑いどころがわからない
解説頼む
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 12:43:43.44 ID:VQuAwP0IO
俺も頼む
すまんな、読解力がなくて
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 13:26:29.06 ID:FG8V7tbDO
ジョジョ3部で車に乗った敵が主人公轢いたページのラストの台詞のパロディ。
面白いかどうかは別として笑い所はそこ。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/03/27(日) 13:45:52.98 ID:JY8M1pBko
許してやれよ
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 20:33:40.68 ID:1lQP/ZjDO
辛辣すぎわろた
いや>>128はつまらないが
134 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:30:00.60 ID:jpxVP+umo
タッタッタッタッタ…バンッ!!

左大臣「どういう事だァ!!」

右翼一同の集う会議室に左大臣の怒声が鳴り響く。

右文官「こちらの台詞だ!!貴様等の所業であろうがっ!!」

左大臣「何だとぉ……!?」

エリート「右文官殿、お気を静めなされ」

左翼官「貴方達もご存知ないと仰られるのですか?」

エリート「私もつい先程、伺いました」

左大臣「どういう事だァ?ならばァ、あの二人が勝手に出ていったとでも言うのかァ?」

エリート「……」

右秘書官「本当にご存知ないと言うのであらば、そういう事になりますね」

左大臣「……クッ!」

左翼官「捜索は既に出しておられるのですか?」

エリート「ええ、国軍にも依頼済みです」

左大臣「……良いかァ?もし何かあってみろ!!責任は取って貰うぞ!!」
135 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:30:39.90 ID:jpxVP+umo
ダンダンダンッ…バタンッ

右文官「何が責任だ!こちらに押し付けるつもりかっ!」

右秘書官「今はそのような事を申している場合ではありません」

エリート「……」

右秘書官「エリート、本当に……知らないのだな?」

エリート「……ええ」

右秘書官「……そうなると、自主的に出て行ったという事か」

エリート「魔道士王女が画策するとは思いません。おそらくは……」

右文官「殿下か……」

一同は俯きながら頭を抱え、大きく溜息をつく。

右秘書官「ともかく、左翼が動き出す前にこちらが片を付けなくてはな」

エリート「その通りです。それに、お二方に万が一の事があらば……」

右秘書官「あるわけなかろう。殿下の事だ、考えがあっての行為であろう」

右文官「無論よ、好転せねば……本国は未曾有の危機に曝されるぞ」

エリート「……殿下、何を考えておられるのか……っ」
136 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:31:47.44 ID:jpxVP+umo


皇太子「ん?いや、何も考えておらんよ」

魔道士「……」

皇太子「たまにはこう、外に出るのも良いものではないか。ははっ」

魔道士「でもっ、こんな事したらエリートさん達に怒られてしまいますよっ」

皇太子「構わんさ。その時はその時、今はこの時間を有意義に楽しもうではないか」

魔道士「私、てっきり考えがあっての事かとおもってましたよ……」

皇太子「ははっ、すまんすまん」

魔道士「それで、これからどうするんですか?」

皇太子「どうしようかな。実は何も考えていない」

魔道士「……」

皇太子「こらこら、そんな顔をするな」

魔道士「だってぇ……」

皇太子「兄妹親睦を深めるという事で、ぶらり旅にでもするか」

魔道士「……もーっ」
137 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:32:39.63 ID:jpxVP+umo
〜本国郊外、西の平野〜

ザザッ

女隊員「こっちは異常なしッス」

隊長「異常なしじゃ困るんだよ。くっそぉ、どこに行きやがった」

男隊員「そっちは?」

格闘家「……いえ、何も」

隊長「ったく、特遊揃ってこれとは……情けないにも程があるぞ」

男隊員「なーにを他人事みてぇに。あんたが隊長だろうがよっ」

隊長「分かってるっつの。さぁて、こうなったら……」

格闘家「……!?」

女隊員「どうしたッスか?」

格闘家「……来るっ!」

ザッザッザッザッザ

隊長「――っ!!」

男隊員「あ……れは……っ!!」
138 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:33:25.94 ID:jpxVP+umo
ザッザッザッザッザ

隊長「な……んで……っ」

カランッ…カラカラカラッ

女隊員「これって……司令の……」

天才「探してたのはコイツだろ?」

隊長「……」

天才「その仮面くれてやるよ。受け取りな」

格闘家「師匠……」

天才「残念ながら総司令は俺がぶっ殺した」

男隊員「な――っ!!」

天才「でもまぁ、その仮面さえありゃ証拠になんだろ」

隊長「……討伐までは言われてないぞ」

天才「あぁ?じゃあこれは何だよ」

ポイッ…パシッ

女隊員「ワーカーへの……依頼ですか?」
139 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:34:34.56 ID:jpxVP+umo
天才「中身100回黙読しやがれタコ」

カサッ

隊長「――っ!!」

天才「俺には確かに『裏切り者の総司令を殺せ』、そう届いたぜ?」

男隊員「バカな……」

天才「副司令様、直々によ」

隊長「こっちにゃそんな話、届いてねぇぞ!」

天才「独断なんじゃねーの?……ったく、しっかり管理しろよなぁ」

男隊員「つまりどういう事なんだ?青年兵経由じゃなく副司令が動いてんのか?」

天才「指揮系統が乱れてんだろ」

格闘家「それは……」

天才「有事の際に指揮系統が一元化しなきゃ、どうしようもねぇだろうが」

隊長「そりゃもっともだが、口出し出来る立場じゃないだろ」

天才「ハーッハッハ!そりゃそうだわな、たかがワーカー如き…こりゃ失礼」

格闘家「……」
140 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:35:32.79 ID:jpxVP+umo


天才「んじゃ、手柄はくれてやったからな。そんじゃな」

男隊員「あ、あのよ……っ」

天才「あん?」

男隊員「総司令は本当に……」

天才「まさか、俺が匿ってるとでも言いてーのか?」

男隊員「そうじゃ……ねぇけどよ……」

天才「なんなら……試してみっか?」

ゴゴゴゴゴゴ

女隊員「――っ!!」

男隊員「い…いやっ、やめておくわ……っ」

天才「あーそうそう」

振り向き様、天才は特殊遊撃の4人に、Vサインを示す。

天才「総司令はあと……2回蘇る」

隊長「……?」
141 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:37:33.43 ID:jpxVP+umo


ザッザッザ

女隊員「隊長、さっきのってどういう意味ッスか?」

隊長「……知らん」

天才と別れ国軍本部へと戻る特殊遊撃隊。足取り重く、口数も少ない。

仮面のみとなった総司令であった者。その重責が肩に圧し掛かる。

男隊員「あと2回。どういう意味だ?」

格闘家「……」

隊長「そのうち分かるさ。ともかく、今はこれを……」

カシャッ…

隊長「……青年兵へと届けよう」

女隊員「副司令じゃないんスか……?」

隊長「お前だって事態は分かってるんだろ?それに俺らの指揮官は青年兵だ」

男隊員「ヒャハハ!隊長の言う通りだぜ」

隊長「これで、好転すればいいがな……っ」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/03/27(日) 23:37:49.70 ID:snma9JfHo
いくつマスク持ってんだよ
143 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:38:39.85 ID:jpxVP+umo


盗賊「…しっ」

ヒュバッ…シュンシュンッ…シュタッ

盗賊「……ふーっ」

スタスタスタ

召喚士「精が出ますね」

盗賊「……召喚士」

召喚士「おはようございます。邪魔してしまいましたか」

盗賊「…いや、気にするな。お前こそ早いな」

召喚士「ちょっと外の様子を見に……」

テクテクテク

戦士「うーす。早いなお前ら」

召喚士「おはよう」

戦士「こんな中庭でまで朝稽古かよ。気合い入ってんなぁ……」

盗賊「……今日からは……3人だからな」
144 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:39:57.06 ID:jpxVP+umo
戦士「あのなぁ、別に魔道士は――」

召喚士「きっと帰ってくるよ。それまでは3人で頑張ろう」

盗賊「……ああ」

戦士「……」

テクテクテクテク

フロント「召喚士様、で宜しかったでしょうか?」

召喚士「あ、はい。何でしょうか?」

フロント「ロビーのお客様がお見えです」

戦士「客?」

フロント「国軍の方でしたが……」

召喚士「……分かりました。ありがとうございます」

フロント「それでは、失礼致します」

戦士「国軍って……誰だ?」

盗賊「…とにかく、行ってみよう」

召喚士「……ええ」
145 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:42:08.40 ID:jpxVP+umo
テクテクテクテク

盗賊「!?」

召喚士「青年兵くん……!?」

青年兵「おはようございます。連日申し訳ありません」

召喚士「いやいや、それより一体……」

青年兵「……魔道士さん、いや……魔道士王女は、来られておりませんよね?」

召喚士「え…?う、うん。魔道士さんに何か……?」

キョロキョロ

青年兵「……こちらへ」

召喚士「……?」

テクテクテクテク

戦士「何なんだってんだ?こんな人気のない所で……」

青年兵「今朝。殿下と王女が……失踪なされたそうです」

盗賊「――っ!!」

戦士「何ぃ!?」
146 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:44:37.58 ID:jpxVP+umo
召喚士「……い、一体なぜ……っ」

青年兵「両翼ともに存じ上げないそうです。おそらくはご自身にて……」

戦士「まさか、二人揃って逃げたってのか?」

青年兵「可能性は……否定出来ません」

盗賊「…しかし、一体どこへ行くというのだ?」

青年兵「書置きも手がかりも全くなく……正直、検討もつきません」

召喚士「魔道士さん……」

戦士「それで、俺らにどうしろってんだ?」

青年兵「いえ、もしやこちらに来られているのかと……すみません」

召喚士「いや、気にしないで。でも俺らは本当に何も知らないんだ」

青年兵「……ありがとうございます」

盗賊「…何か…手伝うか?」

青年兵「いえ、事を公には出来ませんので、国軍親衛隊が極秘に動いております」

戦士「……」

青年兵「どうか、この事は今しばらく内密に願います」
147 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:46:28.98 ID:jpxVP+umo
召喚士「……うん。もし何かあったら、すぐに報告するよ」

青年兵「感謝致します」

戦士「しっかし……何が何だかもう訳が分からんぜ」

青年兵「すみません。正直、僕らも混乱しております」

召喚士「総司令は見つかったの?」

青年兵「……いえ、それがまだでして」

盗賊「……そうか」

青年兵「司令の事です。考えがあっての行動だと踏んではおりますが……」

召喚士「魔道士さんや殿下もきっとそうだよ」

戦士「ああ。即位問題だかの時間稼ぎとかじゃねーの?」

青年兵「そうですね。だと良いのですが……」

盗賊「…信じよう…魔道士達を」

青年兵「そうですよね、そう致しましょう。それでは、失礼致します」

召喚士「うん。青年兵くんも大変だろうけど、気をつけてね」

青年兵「ありがとうございます。召喚士さん達もどうか気を付けて」
148 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:48:46.19 ID:jpxVP+umo
スッ…テクテクテクテク

戦士「……そうかぁ。魔道士と殿下がねぇ」

盗賊「……どう見る?」

召喚士「正直、検討もつかないですよ」

戦士「やっぱり即位云々の話だよな?」

召喚士「だと思うけど、目的はともかく……行く場所なんて……」

戦士「そうだよな。王族なんぞ、外出すりゃすぐに目立っちまうぞ?」

盗賊「……ああ」

戦士「あとは、馴染みの奴に何とかすがるしかないよなぁ」

盗賊「…馴染み。可能性は?」

召喚士「……バーテンさん、剣士さん、南東国、東方……ぐらいですかね」

戦士「……どこも怪しい」

盗賊「…ああ。しかし可能性としては国外の方が安全と考えるだろうな」

召喚士「そう思います。そして深い縁があるとすれば……」

盗賊「……東方か」
149 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:50:08.22 ID:jpxVP+umo
〜東方、東の城〜

ワアアァァ

名代「……なかなかしぶといものですね」

帝「……ああ」

鬼丸「兵糧攻めとか回りくどい事してんねーで、さっさと強行突破しちまおうぜ?」

名代「駄目だ」

鬼丸「何でだよ!?その方が短期間でバシっとだな……」

名代「力で押す事ばかりが戦ではない。それが人間の戦い方だ」

鬼丸「……」

帝「いいか鬼丸、兵糧攻めというのは、あくまで被害を最小限に留める戦術なのだ」

鬼丸「そうかぁ?」

名代「ここ数日の動きを見て分からぬか?投降者の数…枚挙にいとまがないぞ」

帝「それはつまり、敵の数が減る上に、こちらの数が増えるという事だ」

鬼丸「なるほどなぁ。ただ減らすだけじゃねぇって事か!」

帝「そうだぞ。それが戦上手というものだ」
150 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:53:09.87 ID:jpxVP+umo
ドドッドドッドドッ

伝令「ご注進ーっ!!」

名代「どうした!?」

伝令「本国より伝令っ!!本国の国王陛下が崩御との事!!」

帝「っ!!」

名代「それで、本国は何と申しておるのだ!?」

伝令「いえっ、第一報のみにて……詳細は追ってご連絡するとの事です!!」

鬼丸「何だ、あっちの王が死んだのか?」

帝「……そのようだな」

鬼丸「すると、どうなるんだ?」

名代「先日参られた殿下が、本国の王となるであろう」

鬼丸「んじゃ、何の問題もないじゃねーか。代わりの王がいるんだろ?」

名代「まぁ……それはそうなのだが……」

鬼丸「結局よ、誰が王になったって……やる事は決まってんだ。変わんねーよ」

帝「……そうだな。鬼丸、お前の言う通りだ」
151 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:53:39.31 ID:jpxVP+umo
ザザザザッ…スタッ

火忍「…………」

戦士父「……何だ?」

火忍「…いえ、大した身のこなしだと思い、驚いているところです」

戦士父「いやいや、皆には敵わぬよ。それに随分と歳も取った」

火忍「……」

下忍「あそこが、東の城の裏門です」

火忍「成程な。噂どおり、脱出用の隠し門てわけだ」

下忍「しかしこの包囲の中、突破出来るとは思えませぬが……」

火忍「いーや、兵糧攻めももうかなりの日数だ。そろそろ敵さんの底も尽きるはず」

戦士父「ここまで降伏しないと言うならば、最後まで徹底抗戦の構えであろうな」

火忍「……もしくは、既にポックリいっちまってたりしてな」

戦士父「……ん!?」

火忍「何か出てくるぞっ!」

木々の間に隠れた裏門がゆっくりと開き、茶色い馬がひょっこりと顔をだした。
152 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:54:11.62 ID:jpxVP+umo
パッカパッカパッカ

火忍「来たっ!!東の大名だ!!」

下忍「……我らは周囲を固めますっ!」

シュバッ…シュバッ!!

火忍「戦士父殿、宜しいか?」

戦士父「……ああ、いつでも」

チャキッ

火忍「では……いざ――」

戦士父「待てっ!!」

火忍「!?」

戦士父「上を……」

火忍「……?」

フォンッ…シュイイィィ

火忍「あ……れは……っ!!」

戦士父「魔物か……」
153 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:55:50.09 ID:jpxVP+umo
スタッ

東の大名「あ…あわわわわっ」

夜行「おやおや?どこへ行くってんだい?ヒヒッ!」

東の大名「もっ、もはやこの城もおしまいじゃあ!わ、わしは逃げるぞぉ!!」

夜行「やれやれ。逃げるって、どこへ行くってんだい」

東の大名「あ、あんたらが匿って……いやっ、代わりにあいつらを蹴散らしてくれ!」

夜行「……おやおや、何か勘違いしちゃあいねぇかい?」

ザッザッザ

東の大名「ひっ、ひいぃ!!」

夜行「こちとらね、お前さんがどうなろうと……知ったこっちゃあないんだよ」

衛兵「大名様!お下が――」

ブンッ!!……ボトッ…ゴロゴロゴロッ

東の大名「ひひっ、ひいいぃぃーっ!!」

夜行「騒ぐなって。一撃で楽にしてやるから……ヒヒッ」

東の大名「いやじゃっ!!いやじゃああぁぁーっ!!」
154 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:57:07.71 ID:jpxVP+umo
ブンッ……ザシュウウゥゥ

夜行「…………」

東の大名「ぎっ、ぎひひっひひいいぃぃー」

ジョロロロ…

夜行「……誰だい?余興に割り込んじゃあ…いけないねぇ」

ザッザッザ

戦士父「……」

火忍「…ちっ、何でこんな下衆の助けに…小便まで漏らしてやがる」

戦士父「その者を後方へ」

火忍「了解した!……戦士父殿!!」

戦士父「……」

火忍「その妖怪……不死ですぜ。直に退却を!」

戦士父「…承知した」

夜行「……ほぉ、殺り合おうってのかい?」

戦士父「……」
155 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/27(日) 23:59:29.65 ID:jpxVP+umo
夜行「仕方ないねぇ……」

ジャキッ

夜行「この大刀……かわせるかいっ?」

グオォッ!!

戦士父「大刀なら……見慣れているさっ!!」

夜行が大きく振りかぶる大刀を潜り抜け、戦士父は槍を捻る様に突き出す。

夜行「――ッ!?」

戦士父「はああぁぁ!!」

シュゴオォッ!!……ドヴォッ!!

槍は夜行の右肩を抉るように貫き、右腕もろとも大刀を後方へと吹き飛ばした。

戦士父「ふううぅぅ……っ」

夜行「……やるねぇ」

ザッザッザッザッザ

夜行「まさか、腕ごと弾き飛ばされるとは……予想外予想外。ヒヒッ」

先程、一刀の下に絶命した衛兵から槍を奪い取る夜行。
156 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 00:00:03.96 ID:hmqvJLnzo
夜行「…ヒヒッ、こりゃあいい槍だねぇ」

戦士父「……」

チャッ

夜行「さーて、これで間合いは一緒。続きと行こうかねぇ」

ズズッ…ズブブブブッ

戦士父「……っ」

夜行「腕の再生見ても、顔色一つ変えないとはねぇ……」

ザッザッザ

夜行「あんた、戦い慣れてるね。こりゃ楽しめそうだね」

両者が構える槍の穂先が触れる程の間合いにまで近づく。

夜行「……」

戦士父「……」

ヒュオッ!!…ガキンッ…チュインッ…ガキイイィィ!!

夜行「……ヒヒッ、こりゃあ思った以上だ」

戦士父「……っ」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/28(月) 00:31:27.25 ID:hmqvJLnzo
本日ここまでにて!
多数のご支援ありがとうです!
それではおやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

火忍「……」

戦士父「…何か?」

火忍(…くっ、この人が姫様の義理の父に……っ)

戦士父「…?」

火忍「はっ!俺は何を諦めているんだ……!?」

戦士父「……一体、どうしたというのだ?」

火忍「諦めたら…そこで試合終了じゃないか!バカッ、俺のバカッ!」

戦士父「……あの」

火忍「戦士父殿っ!貴方の息子には…負けませんからね!!」

戦士父「…すまん。全くもって意味が分からん」
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/28(月) 00:40:23.98 ID:4QkBD4+AO
>>1おつ


天才「私の戦闘力は53万です」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/03/28(月) 00:40:40.88 ID:0bgjfqLX0
火忍……そろそろ諦めようぜ?

今日も今日とて>>1乙
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 03:09:37.56 ID:7W09gqBDO
>>1乙っす
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/28(月) 14:04:16.65 ID:FLCwjRIAO
相変わらず大量投下乙んつんです。
162 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:25:23.01 ID:RuOqXbTYo
ババッ

夜行「全部弾き返すたぁ、大したモンだねぇ」

戦士父「……」

初手の攻防は、互いの長得物が激しくぶつかり合い、相殺に終わった。

これを良と取るは夜行。悪と取るは戦士父。

戦士父(……あの槍をへし折るつもりでしかけたのだ)

ザザッ…チャキッ

戦士父(それが……この結果はどうだ)

夜行「さーて、二回戦といこうかねぇ」

ヒュバッ!!

戦士父(こいつの実力も然る事ながら、この槍の強度……っ!)

ガキイイィィンッ!!…ググググッ

戦士父(……間違いない。ゾディアック!!)

夜行「…ヒヒッ、顔色が優れないねぇ」

戦士父「…………」
163 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:25:59.59 ID:RuOqXbTYo
グググッ…ザスッ

戦士父「……ちっ」

夜行「押し返す力は、持ってないみたいだねぇ」

戦士父とて決して貧弱なわけではない。むしろ人間からすれば強靭な部類に属する。

しかしながら魔族のそれとは非にならない。夜行の強大な肉体から繰り出される、

単純な力。それは努力でどうこうなるというものではない。

夜行「人間てのは、脆弱だねぇ」

戦士父「だから美しいし、経験にもなる」

夜行「へぇ」

戦士父「こんな言葉を知っているか?」

夜行「……?」

戦士父「押して駄目なら……引いてみろ、ってな!」

クンッ…ガクンッ

夜行「何……ぃ!?」

戦士父「これが魔物には存在しない……経験というものだっ!」
164 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:26:48.35 ID:RuOqXbTYo
勢いよく槍を手前に引き戻し、夜行はバランスを大幅に崩した。

夜行「う……おっ、こんな子供騙し……」

そもそも夜行はその身を以って飛行が可能である。

たかがバランスを崩された程度では、何ら影響にも及ばない。

戦士父「……」

しかしそれは戦士父も把握していた。だからこそ仕掛けたのである。

夜行「ヒヒッ。残念だったなぁ!」

こちらが身を引けば、夜行は必ずそれに乗じ、攻撃に転じるであろうと。

ブオンッ!!…ギュルルルッ!!

夜行は前のめりに体を崩すと、その重心、反動を利用して槍を振り下ろした。

相手は身を引き、態勢を整える前の動作。到底、回避は不能と思われた。

だが、夜行の予想とは全く異なる結果が今、眼前にて展開されているのだ。

夜行「――ッ!!」

戦士父「まぁ、そうくるだろうと思ったよ」

夜行の振り下ろした槍の柄を、戦士父の十字槍が穂先で挟むように捕らえていた。
165 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:27:15.84 ID:RuOqXbTYo
夜行「何だ……これは……っ!!」

戦士父「はああぁぁーっ!!」

両手で捻るように繰り出された十字槍。それを戦士父は逆方向へと再び捻り突く。

ギュルルルルッ!!

夜行「!?」

回転する十字槍により、当然、そこに挟み込まれた夜行の手にする槍も捻られる。

バチイイィィッ!!

回転に耐える事の出来なかった槍が、空中へと大きく弾き飛ばされた。

夜行「ち……っ!」

夜行はその槍を拾うべく、慌てて宙へと跳躍する。

……が、時既に遅く、槍は目の前の人間へと所有権を移した。

戦士父「……うっりゃああぁぁぁぁ!!」

夜行「――!!」

それぞれの手に握られた槍が、夜行めがけ突き出される。

ビュオッ……ドドズウウゥゥゥゥッ!!
166 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:27:47.77 ID:RuOqXbTYo
戦士父「……」

夜行「……ぐ…ぬっ」

ドサドサッ

二本の槍による突きで、夜行の両腕は吹き飛び、無残にも地面へと落ちた。

夜行「……ヒヒッ」

ヒュバッ……スタッ

夜行「いやぁ、まいったまいった」

戦士父「……」

夜行「槍の特性を即時に判断し、絡め取るたぁ、大したモンだねぇ」

戦士父「そういうお前は、やりは不得手のようだな」

夜行「ひひっ、普段使わないものはどうも駄目だわな」

後方へ跳躍し、間合いを取った夜行は、真横に突き刺さる大刀をちらりと見つめる。

夜行「……ぬうぅ!」

ズググッ…バシュシュッ

戦士父「不死と言うのは、便利なものだな」
167 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:28:21.68 ID:RuOqXbTYo
再生した両腕を見据え、戦士父は呆れた口調で話す。

夜行「便利だろ?お前も仲間になるんなら……こんな力、貰えるぜ?」

戦士父「いや、遠慮しておく。気味が悪い」

夜行「ヒヒッ。俺からしちゃあ、人間の方が気味悪りぃや」

ジャキッ

夜行「それじゃあ……三回戦といこうかねぇ」

戦士父「……」

シュバッ

夜行「ん……っ!?」

火忍「火遁っ、焔ぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴオオォォォォッ!!

夜行「ちぃ――」

下忍「はあぁ!!」

ボボンッ!!…バシュウウゥゥゥゥ

火忍「戦士父殿っ、退きますぞ!」
168 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:29:23.85 ID:RuOqXbTYo
戦士父「……」

火忍「さぁっ!」

タタッ

下忍「我らも退くぞっ!四散っ!!」

ババッ…タタタタタッ

夜行「く……っ、この程度の……目晦ましでぇ」

シュウウゥゥゥゥ

夜行「……」

複数の下人が投げた煙球が徐々に晴れていく。

夜行「……気配が消えた。こりゃあ、ただの目晦ましじゃあないねぇ」

周囲は微かな煙と鎮火しかけた小火が燻るばかりである。

夜行「今日はここまでかな。……やるねぇ」

スッ

夜行「こないだの奴といい、人間もちょっとは楽しめそうだぁね。ヒヒッ」

不気味に笑う夜行は、そのまま北の空へと消えて行った。
169 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:30:17.50 ID:RuOqXbTYo
タタタタタッ…ズザザッ

火忍「……撒いたか」

ヒュン…ヒュン…ヒュン…スタッ

下忍「ご無事で!?」

火忍「お前らも……全員無事のようだな」

戦士父「……」

火忍「……しかし、あれ相手に御見逸れ致しました」

戦士父「いや、運が良かっただけさ」

火忍「……?」

下忍「火忍様、上様がお呼びに御座りまする」

火忍「上様が……?よぉし、一度本陣へ戻る!」

下忍「ははっ!」

シュババッ…タタタタッ…

火忍「さて、我らも参りましょう」

戦士父「……ああ」
170 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:30:55.30 ID:RuOqXbTYo
タッタッタッタッタ

火忍「……只今、戻りました。何か御座いましたか?」

名代「戦士父殿もご一緒ですね?」

ザッザッザ

戦士父「…ええ、ここにおります」

帝「……本国の陛下が、崩御なされたそうだ」

戦士父「――!!」

名代「合戦中ではあるが、一度都へ戻るつもりです」

帝「そなたらも共に来るが良い」

鬼丸「戻るって、ここはどーすんだよ?陥落まであとちょっとじゃねーか」

名代「包囲だけなら、我らが居なくとも部将や侍大将にも務まる」

鬼丸「えぇ〜?んんだよ、つまんねーなぁ」

火忍「それならば。……おい」

下忍「はっ」

ザッザッザ…ドサッ
171 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:31:30.67 ID:RuOqXbTYo
東の大名「ひぎゃあ!どどっ、どこなんだここは!?目隠しを外してくれいっ!」

名代「これは……っ!」

火忍「目隠しを外せ。縄は解くなよ?」

下忍「はっ」

グイッ…シュルシュル

東大名「ぶっ、無礼者がっ!ワシを誰だと……」

帝「…やぁ、久し振りだな」

東の大名「――っ!?」

帝「部下を見捨てて、己だけ脱出とはな。不届千万にも程がある!」

チャキッ

東の大名「ひいいぃぃ!!」

帝「今すぐここで首を刎ねられるか、無血開城するか……好きな方を選べっ!」

東の大名「しししっしますううぅぅぅぅ!!」

名代「切腹するか?」

東の大名「ちちっ、違うぅ!降伏しまっ、しますうぅ!!」
172 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:32:30.23 ID:RuOqXbTYo


ザワザワザワザワ…

名代「食事は万遍なく行き渡るように配るのだぞ」

火忍「怪我人はいないか?いたら申告してくれ」

下忍「全ての開錠、完了致しました」

帝「うむ、ご苦労であった」

名代「これで、全て終わりましたね……」

帝「……ああ」

城主の降伏により開門された東の城。そこから出てくる徴発に近しい形で

連れてこられた、足軽とも呼べぬ半農の者達。

空腹に耐えかね、ふらふらと我先に場外へ飛び出し、食糧に飛びつく。

帝「……辛い思いをさせてしまったな」

鬼丸「でもよ、言うとおり……踏み込んでたらコイツら殺すところだったんだよなぁ」

名代「少しは戦というものが分かったか?」

鬼丸「……まぁ、従うだけさ。難しい事は俺の担当じゃねぇわな!グハハッ!!」
173 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:34:28.80 ID:RuOqXbTYo


名代「では上様、勝ち鬨を」

帝「うむ。今ここに、東の大名は我らに降伏した。戦は我らの勝ちだ」

足軽「おぉーっ!!」

帝「これにて東方は……統一された。皆の者、ご苦労であった」

足軽「おぉーっ!!」

帝「被害を最小限に留められたのは、皆の努力の賜物である」

足軽「おぉーっ!」

帝「次はいよいよ……魔王の討伐。しかし今は、ゆっくりと休むが良い!」

足軽頭「えいっ、えいっ、おー!!」

足軽「えいえいおーっ!!」

名代「さて、我らは一旦、都へ戻ると致しましょう。事後処理は任せたぞ」

部将「ははっ、御意に!」

帝「では、参ろうか」

戦士父「……ええ」
174 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:35:26.79 ID:RuOqXbTYo
〜本国、中央広場〜

召喚士「……」

戦士「でもよ、本当に東方に行くかね」

盗賊「…どういう意味だ?」

戦士「だってよ、東方は交戦中なわけだろ?」

召喚士「そうらしいよ」

戦士「殿下だって長い事滞在してたんだし、邪魔になるんじゃねーか?」

盗賊「…だが、事情が事情。無碍には出来ぬだろう」

召喚士「東方側はそうですが、確かに殿下の心中を考えると……」

盗賊「…可能性は…低いか?」

召喚士「かも、しれませんね」

戦士「そんじゃ、東方以外だと…どこだ?」

召喚士「本国内に留まるとは思えないしなぁ」

盗賊「……やはり他国。だとすれば……」

戦士「……南東国あたりか?」
175 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:37:09.55 ID:RuOqXbTYo
〜南東国、東の城〜

老文官「まことかっ!?」

白馬騎士「…ええ。つい先程、本国からの伝令が届きました」

三男「……そうか」

若文官「弔問に出向く必要がありますね」

白馬騎士「ええ。まぁ、こう言っては何ですが…丁度良い機会ですね」

側近「それは、本国の視察も兼ねて…と言う意味合いですかな?」

白馬騎士「はい。本国の技術は、我らの想像を遥かに上回るものです」

兄者「……確かにな」

白馬騎士「いくら技術を伝授されても、有効活用出来ねば、なんら意味はありません」

老将軍「百聞は一見にしかず……という事じゃな」

三男「うむ。それではすぐに、弔問の手配を致せ」

若文官「ははっ」

三男「白馬。お主も同行せよ」

白馬騎士「仰せのままに」
176 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:38:29.35 ID:RuOqXbTYo
〜本国、中央広場〜

盗賊「…しかし南東国とは…それ程親密とは思えんが」

戦士「東方ほどじゃねーよなぁ」

召喚士「同盟も組んだばかりだしね。ようやくこれからって時だし」

戦士「まぁ、だからこそってのはあるかもな」

召喚士「…うーん」

盗賊「……」

召喚士「国政でもないのに訪問したとしても、あまり意味はないんじゃないかな」

戦士「そりゃそうだけどよ……」

召喚士「それに、どのルートを使っても、南方司令部に押さえられちゃうんだよね」

盗賊「…言われてみれば…そうだな」

戦士「南東国もないとすれば、残るは……」

盗賊「…西方か」

召喚士「三日月島は西方司令部もあるけど……」

盗賊「……互いの連携はまだ、取れておらぬ……か」
177 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:39:36.20 ID:RuOqXbTYo
〜三日月島〜

神官「…………っ」

副官「な、何と……?」

神官「本国の国王陛下が亡くなられたそうだ」

副官「っ!?」

神官「これから本国は忙しくなるぞ」

副官「我らとして、為すべき事は!?」

神官「先ずは早急に、王子……陛下と連絡を取れ」

副官「はっ」

神官「それから、本国へ出向く手筈も整えておけ。いつでも動けるようにな」

副官「ははっ」

神官「いよいよ……始まる」

副官「始まるとは……」

神官「本国が一つとなった刻、それが始まりだ。我らも遅れを取るわけにはいかんぞ」

副官「はい!」
178 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:41:01.68 ID:RuOqXbTYo
本国だけではなく、各国にまで広がる波紋。しかしそれは国王の崩御だけに留まり、

現在における本国の動きはまだ、届いていない。

届けばその騒動は大混乱を招く事は容易に想像がつき、とても手に負えるものではない。

〜本国、街外れ〜

テクテクテク

皇太子「どうだ?いかにもワーカーっぽいであろう?」

魔道士「どこでそんな服、買ったんですか?」

皇太子「以前にお忍びで出掛ける機会があってな。取っておいたのだ」

魔道士「まぁ、確かに……傍から見ればワーカーのようですけど」

皇太子「そうであろう?これなら容易に見つかりはしないさ」

魔道士「でも、他国には行かないんですよね?」

皇太子「これは本国の問題だ。他国に迷惑はかけられんよ」

魔道士「まぁ、そうですよね」

皇太子「それに、国軍の連中とて、それは真っ先に浮かぶであろう」

魔道士だから、その裏をとって……」

皇太子「灯台下暗し、という事だ」
179 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:41:32.63 ID:RuOqXbTYo
ザッザッザ

天才「ふーん」

魔道士「!?」

皇太子「……厄介な者に、見つかってしまったな」

天才「厄介?失礼な奴だな」

魔道士「……」

天才「しっかし、殿下と王女が揃って駆け落ちとはねぇ……」

魔道士「ちっ、違います!!」

天才「ハーッハッハ!冗談だっつーの」

皇太子悪いが、ここは見逃してくれ」

天才「見逃すも何も、俺様にゃ関係ねぇ話だ」

魔道士「……」

天才「んで、どうするつもりなんだ?」

皇太子「このまま、ワーカーとして旅するのも良いかと思ってな」

天才「ぶははっ!!そりゃいいわ!!」
180 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:42:06.99 ID:RuOqXbTYo
魔道士「ちょっと、やめて下さいよ……もうっ」

天才「剣の腕はそこそこあんだし、絶大な魔力も手に入ったから丁度いいかもな」

皇太子「なんなら、仲間になるか?」

天才「なーんでこの俺様がお前らの尻拭いしなきゃなんねーんだよ。アホか」

魔道士「天才さんっ、失礼ですよ!?」

天才「あぁ?殿下が嫌で逃げ出して来たんだろ?じゃあ一般人じゃねーか」

魔道士「そんな事……」

天才「実績もねぇ一般人にトップランカーの俺様がはなしかけてやってんだ」

魔道士「……」

天才「むしろ、そっちに感謝するんだな!ハーッハッハッハ!」

魔道士「……ひどいっ」

皇太子「気にする事はない。事実だ」

魔道士「でもぉ……」

天才「ところでよ、これからどーすんだよ?」

皇太子「私も、魔道士が即位する事が、一番望ましいと考えている」
181 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:43:18.73 ID:RuOqXbTYo
魔道士「ですから私は……」

皇太子「しかし、本人とて今まで生きてきた人生というものがある」

天才「そらそうだ」

皇太子「私の事はどうでもいい。魔道士の事をなんとか……」

天才「お前は、王女様なんかになりたくねぇって事だな?」

魔道士「……はい」

天才「お前が拒否ったせいで、本国が乱れてもだな?」

皇太子「そういう聞き方は好ましくないな」

天才「事実を言ったまでだろ。我侭で血筋が選べるかよ」

魔道士「……っ」

皇太子「魔道士が気に病む必要はない。今まで、大商家の娘として生きてきたのだ」

天才「それが急遽、お姫様だもんな。そりゃ敵わんわなぁ」

魔道士「…………」

天才「…なーるほどな。お前らの覚悟は分かったよ」

魔道士「……?」
182 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:44:04.82 ID:RuOqXbTYo
天才「俺様が良い事を教えてやろう」

皇太子「……何かな?」

天才「殿下は『王の手紙』、ってのを聞いた事があるか?」

皇太子「…いや、初耳だな」

天才「そりゃそうだろうな。あくまで保険みてぇなモンだし」

魔道士「あの、お手紙なんですか……?」

天才「亡き陛下が、こういう時の為に書き記した遺書だよ」

魔道士「えぇっ!?」

皇太子「そんな物が……あるのか……」

天才「勿論、極秘裏にな」

皇太子「それは一体誰が持っているのだ?右大臣か?」

天才「んなワケねーだろ。極秘裏っつったろうが」

皇太子「……」

天才「見つかったが最後、そんな危ねぇモンが王宮内にあるわけねーだろ」

魔道士「じ、じゃあ……」
183 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:45:00.76 ID:RuOqXbTYo
天才「思い当たる節はねーか?」

皇太子「残念ながら……ないな」

天才「かぁ〜。これだから凡人どもは……」

魔道士「すみません……」

天才「いいか?お前ら二人が世話になった、重要機関があんだろうが」

魔道士「……?」

皇太子「まっ、まさか……っ!!」

天才「行ってみ。あのババア……おそらく知ってるぜ」

魔道士「…え、えっと……?」

天才「あーだがな、王の手紙を手に入れても、すぐには動くな」

皇太子「何かあるのか?」

天才「両翼慌てふためいてる。国軍もな。少し落ち着くまで待ってろ」

皇太子「成程。承知した」

天才「それに……ちょいと一仕事せにゃならんからな」

魔道士「一仕事…ですか?」
184 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:45:55.84 ID:RuOqXbTYo
天才「気にすんな。コッチの話だ。聞かねー方がいいぜ?」

魔道士「……っ」

天才「ま、しばらくは本当に旅でもしてろよ」

皇太子「……」

天才「戦力はいんだろ。ババアの孫でも連れてけ。あ、でももう一人くらい欲しいわな」

魔道士「あの……何の話かさっぱり……」

天才「おーおー、王女付きの家系がいるじゃねーか。一報入れといてやるよ」

魔道士「天才さんって……何者なんです……?」

皇太子「知らないのか?彼は……」

天才「おうコラ!そういうのは野暮ってモンだぜ?」

皇太子「……と、言う事らしい」

魔道士「教えて下さいよっ。イジワル……!」

天才「ハッハッハ!嫌でもいずれ分かる。そん時は……」

魔道士「……」

天才「……ま、いいか。そんじゃ頑張れよ」
185 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/28(月) 18:47:07.19 ID:RuOqXbTYo
テクテクテクテク

魔道士「ちょっとぉーっ!」

皇太子「気まぐれな輩だ。だが、それが彼の良いところでもある」

魔道士「そうですか〜?」

皇太子「さて、それでは行くとするか」

魔道士「陛下のお手紙を入手しに……ですか?」

皇太子「ああ。しばらくは二人きりだが、頼むぞ」

魔道士「やっぱり……他の方には頼めないですよね……」

皇太子「ああ。いかに事情を知っていようと、これは危険すぎる」

魔道士「……」

皇太子「朱雀先生に会いたいか?」

魔道士「――!?そ、そういうつもりじゃ……っ」

皇太子「ははっ。悪かった」

魔道士「もう…っ。それであの……どこへ?」

皇太子「……魔道学校さ。学園長に会いに行くぞ」
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 18:50:00.84 ID:RuOqXbTYo
それではここまでにて!
ご支援ありがとうございました!ノシ
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 19:01:17.90 ID:0Ywef/jDO
>>1
ついに天才まで謎のベールが
ババアの孫も王女付きも全くわからないけど楽しみだ
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/03/28(月) 19:24:56.02 ID:NH66dRnSo
天才のベールというかなんというかだな
伏線回収ってたのしい
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/28(月) 20:34:25.24 ID:I81n6DYVo
>>1

>>187
今更言われても天才は登場時からずっと謎多すぎだろ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/03/28(月) 21:19:31.22 ID:PUK/CUhS0
天才を自称する愉快なオッサン……まさかな
腹巻きはないな
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 21:42:14.97 ID:0Ywef/jDO
謎のベールが明らかになるのかって意味だったんだすまん
勝手に伝わると思っててすまんかった
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/28(月) 22:12:28.97 ID:6Kqi97CHo
話をまとめると面白いということですね
メガネクィッ
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 22:16:06.52 ID:BrTObHBCo
ゾディアックは東の大名が持ってたのか
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/29(火) 00:45:44.95 ID:74t47MlAO
>>1おつ
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/29(火) 02:09:30.83 ID:Z7oyqEYDO
俺の股間のゾディアックはいつ取りに来るんだ?
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/29(火) 02:12:40.83 ID:1o5SZv/AO
いちおつ愛してる

しかし本当に毎日楽しみでしょうがない
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/29(火) 09:28:35.50 ID:3IhEdkmqo
>>195
戦士父に取りにきて欲しいのか?
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/03/29(火) 12:46:16.58 ID:j83nqmNoo
こんなフニャフニャでゾディアックとは・・・
199 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:30:11.83 ID:JmZMxM0Yo
正午前、王宮内において会見が開かれた。

但し、それは殿下や右翼陣ではなく、左大臣主体の左翼によるものである・

左翼官「早朝の発表にもありました通り、昨晩、陛下が崩御なされました」

ザワザワザワッ

記者「それで、今後はどうなるのです!?殿下はいつ、即位なさいますかっ?」

左翼官「その事についてですが……」

スクッ

左大臣「諸君もご存知の通り、殿下は生まれ持って、魔力を持ち合わせておらぬ」

記者「ええ、それが何か……?」

左大臣「よって、我々は殿下がご即位なされるものを、適当ではないと判断する」

記者「しかし、殿下がご即位為さらねば一体誰が……」

左大臣「……じつはなァ、それについても重大な発表をせねばならぬ」

ドヨドヨッ

記者「……発表?」

左翼官「どうか驚かずにきいて頂きたい。実は――」
200 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:30:47.95 ID:JmZMxM0Yo
〜会議室〜

ダンッ!!

右文官「どういう事だ!!断りもなく勝手に会見などと……っ!!」

エリート「……」

右秘書官「早々に誇示したいのですよ。王女の存在をね」

右文官「……身勝手な」

カツカツカツカツ

左秘書官「身勝手とは、失礼ですね」

右文官「貴様らっ!会見中ではないのか!?」

左文官「左大臣様と左翼官殿に任せておけばいい。我らにも別の仕事がある」

エリート「別の仕事…?」

左秘書官「改めて、女王陛下誕生に向けての話を詰めようかと思いまして」

右文官「何…っ!?」

左秘書官「皆様もご着席下さい。このまま此処で行いますので」

その一声を合図に、王宮や経済機関に勤める幹部らが会議室へと入室する。
201 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:31:43.75 ID:JmZMxM0Yo
ズラズラッ…カツカツカツ

エリート「……!?」

左文官「王女は国政について、これから勉強せねばならぬ」

左秘書官「その為には、われらがしっかり補佐する所存」

右秘書官「……くっ」

ズラッ…スッ

高官「……」

左秘書官「さて、まずは戴冠式の手筈だが……」

右文官「勝手に話を進めるでない!」

左文官「ならば退出したら如何かね?」

右文官「……っ」

左秘書官「王女付の世話役は、代々それを生業とされている……双子父殿」

双子父「うむ。よもや我が代ではないものと思っていたが……」

右秘書官「右文官殿には、作法や所作のご指導を」

右文官「うむ」
202 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:32:14.46 ID:JmZMxM0Yo
左秘書官「そして左大臣様と左翼官様、更に私で国政の指導を……」

エリート「その間の施策はどうするのです?」

左文官「それは決まっておろう。我ら金融機関が代行する」

右文官「それでは国政を牛耳ると言うのか!?」

左文官「人聞きの悪い事を申すでないわ」

エリート「貴方達は、本当に分かっておられるのですか?」

左秘書官「……」

エリート「左大臣様の意向を、本当に把握しておられるのですか?」

左秘書官「我らは国家運営の為の礎を築くに過ぎん」

エリート「それで何千、何万の人々を危険に晒す事になるのです」

左秘書官「ならば、五カ年計画で一人も死者を出さないとでも言うのか?」

エリート「その先にあるものを話しているのです」

左秘書官「人間の命を平等に考えているとは思えぬ発言だな」

エリート「魔王を倒さねば、この世界が何百年と続くのです」

左秘書官「しかし現に、人々はそうやって暮らしているのだ」
203 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:35:22.45 ID:JmZMxM0Yo
エリート「いずれは脅威を取り払わねばなりません」

左秘書官「……」

エリート「魔王軍は、必ずや人間を滅ぼします」

左秘書官「だが、人間は生きている」

エリート「時代が変わったのです」

左秘書官「……?」

エリート「魔王軍に、人間が多数介入しております」

左秘書官「確証がない。それは最早、推測の域でしかない」

エリ−ト「内通者が多数おるのです。明らかに魔王軍の動きは変わっております」

左秘書官「左大臣様が、そうとでも言うつもりか?」

エリート「……身近に居ながら、何故……気付けんのです」

左秘書官「外に居る者が、何故分かるか」

エリート「…………」

左秘書官「…………」

左文官「とにかくだ、まずは失踪した殿下と王女の身柄を確保せねばならん」
204 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:36:28.60 ID:JmZMxM0Yo
エリート「国軍が動いております。近いうちに必ずや」

左文官「早急に頼むぞ。後継者不在など、それこそ国家の大事であるからな」

エリート「……」

左秘書官「各々には改めて、分担の資料をお配り致します」

右秘書官「我らはどうすれば宜しいのです?」

左文官「右翼の連中は、国軍の整理でもしておるがいい」

右文官「何……っ?」

左文官「貴様らが言う内通者が出たのであろう?全く、困ったものよ」

左秘書官「それではお疲れ様でした。また明日、改めて」

ガタガタッ…カツカツカツカツ

左文官「せいぜい大人しくしておる事だ」

左秘書官「では、失礼致します」

カツカツカツ…

右文官「……くそっ!」

エリート「……」
205 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:37:15.70 ID:JmZMxM0Yo
カツカツカツ

高官「困った事になりましたな」

エリート「高官殿」

高官「彼らもかつての私と同様です。耄碌しているのですよ」

エリート「左大臣と密な二人は正直、説得の余地はないでしょうね」

右秘書官「しかし、今日集まった幹部の中には、疑問を抱いている者もおるようだ」

エリート「はい。どう見ても焦りすぎです。そこに矛盾を感じているのでしょう」

右秘書官「遠回りだが、個別に説くしかないか……」

エリート「加えて、何とか殿下を即位させる手立てを考えねばなりません」

右文官「八方塞がりか……。困難を極めるな」

エリート「やるしかありませんよ。やらねば……人間は滅びます」

右秘書官「…だな。こうなれば一人でも多く、こちらに味方を引き入れるしかあるまい」

右文官「各司令部にも連絡して貰い、協力を仰ごう」

右秘書官「ええ。各国にもです」

エリート「……まずは……あの人か」
206 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:38:22.90 ID:JmZMxM0Yo
〜国軍本部、資料室〜

大軍師「はっくしょん!」

参謀「珍しいですね、隊長でも崩しましたか?」

大軍師「いや、この埃はちょっと敵わんな」

参謀「確かに。それに、誰かが噂しておるのやもしれませんね」

大軍師「噂?……私のか?」

参謀「そろそろ要請がかかるのではありませんか?」

大軍師「……ふっふ。そうかもしれないな」

参謀「しかし……このような、重箱の隅を突く真似をする事になろうとは……」

大軍師「何れはせねばならなかった事。前倒しだと思えば楽なものさ」

参謀「はぁ」

大軍師「さて、これで最後……と」

参謀「これで本当に……」

大軍師「内通者は一人で十分です。不要な方には……退いて頂きましょう」

参謀「……っ」
207 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:39:32.28 ID:JmZMxM0Yo
〜本国、郊外〜

テクテクテクテク

盗賊「…本当に本国を離れても…いいのか?」

召喚士「ええ。留まっていても何も始まりませんから」

戦士「…まぁな。ブラブラしてた方が、情報入るかもしれないしな」

召喚士「うん…」

盗賊「…しかし、どこへ行くのだ?」

戦士「まずは手短なところからがいいんじゃないか?」

召喚士「俺もそう思う」

盗賊「……と、いう事は」

召喚士「バーテンさんの所ですね」

戦士「だな。そこで今後の計画を立てようじゃねぇか」

盗賊「…ああ」

召喚士はにこりと笑顔を見せ、戦士と盗賊も笑みを返す。

しかしそれは、どこか寂しげな、そんな笑顔であった。
208 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:44:43.72 ID:JmZMxM0Yo
ザッザッザ…

青年兵「……」

隊長「……」

〜国軍本部、作戦室〜

スッ

隊長「天才からだ。お前の手柄にするといい」

青年兵「司令は……」

隊長「死んだ。その仮面が証拠だ」

青年兵「……」

隊長「どうした?暗い顔だな……?」

青年兵「殿下と魔道士王女が失踪致しました」

男隊員「何ぃーっ!?」

隊長「本当……なのか……っ?」

青年兵「間違いありません」

隊長「どうなってんだよ……っ」
209 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/29(火) 18:48:37.23 ID:JmZMxM0Yo
青年兵「現在、騎士団長様指揮の元、捜索にあたっております」

隊長「合流しろってか?」

青年兵「お願いします」

女隊員「国外へ出た可能性は……ないッスか……?」

青年兵「有り得ます。有り得ますが、今は国内優先でお願いします」

隊長「……分かった」

青年兵「それともう一つ」

隊長「……?」

カツカツカツカツ

大軍師「ある人物を、徹底的に追って貰えませんかね?」

隊長「……大軍師か。それで、ある人物とは……?」

大軍師「決まっているでしょう?」

隊長「……?」

大軍師「……左大臣殿です」

隊長「――っ!!」
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/29(火) 18:52:45.60 ID:cZy0ec5AO

――っ!?
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/29(火) 18:55:48.11 ID:JmZMxM0Yo
震災ですっかり忘れてましたが年度末でしたやばいですね…ひぃひぃ
それでは帰宅します。仕事お持ち帰りなので来れなかったらごめんなさい!ノシ
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/29(火) 19:19:10.51 ID:3IhEdkmqo
>>1
双子父とか登場しただけでネタバレしててワロタ
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage ]:2011/03/29(火) 21:18:21.90 ID:XHvcX7Fk0
乙です。
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/29(火) 21:49:17.25 ID:i0g1CoOAO
>>201
>>201
>>201
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/03/29(火) 21:54:08.59 ID:+EfiLJoHo
一乙
双子父って双子姉妹の父親だよな
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/29(火) 23:10:09.25 ID:NXtgDVqu0
212、214
うぜぇ
217 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 00:15:59.86 ID:u+eopvAYo
再び訪れる夜。その喧騒は普段のものとは違い、いつもにも増して激しさを持つ。

それは当然、王宮内で起きた一連のものに基づいていた。

その然るべき張本人とも言える二人は、本国東側へと足を運んでいた。

〜魔道学校〜

魔道士「ふぇ〜っ、やっと着いたぁ……」

皇太子「疲れたか?徒歩ですまんな」

魔道士「いえいえっ、徒歩でないとばれちゃいますからね!」

皇太子「うむ。陸路は当然ながら、おそらく海路も絶たれているであろうな」

魔道士「……なるほどぉ。国外へも行けそうにありませんね」

皇太子「まぁいいさ。国外へは毛頭、行くつもりもないしそれに……」

魔道士「…?」

皇太子「国外へ逃げたと踏んでくれれば、こちらとして好都合だ」

魔道士「…あえて国内に残ったんですね?」

皇太子「木を隠すなら……という事さ」

魔道士「なるほど……っ」
218 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 00:16:38.77 ID:u+eopvAYo
テクテクテク…ザッ

皇太子「いやぁ、何年振りだろうか」

魔道士「殿下も通ってらしたんですかっ!?」

皇太子「当然さ。王家のものも代々、魔道学校へは通う風習でな」

魔道士「そうでしたかぁ……!!」

ザッザッザ

皇太子「このような夜分では、学園長も居らぬかもしれんな」

魔道士「でも、結構遅くまで残っていらっしゃるみたいだし……」

皇太子「そうなのか?」

魔道士「ええっ。この前来た時は遅くまでいらっしゃいましたよ」

皇太子「なかなか大変だな」

魔道士「ですねぇ。学生の時はちっとも気にした事なかったですよ。えへへ」

テクテク…ザッ

警備「……ん?」

魔道士「こんばんは〜」
219 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 00:17:34.86 ID:u+eopvAYo
警備「何だ……?」

皇太子「すまんが、学園長に会いたいのだが」

警備「誰だアンタら?」

魔道士「え、えっとぉ……」

皇太子「旧友さ」

警備「…………」

魔道士「え、えっと……魔道士とその兄が来たとお伝え下さいっ!」

警備「……待ってろ」

ザッザッザ

魔道士「…ふぇ〜。思いっきり疑ってましたねぇ」

皇太子「まぁこのような夜分に、ワーカー二人だからな」

魔道士「会えると……良いですけど」

待つ事しばらく、先程の警備が校内より戻ってきた。

警備「入っていいぞ、学園長室にいらっしゃる」

魔道士「やった!ありがとうごxざいます〜えへへっ!」
220 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 00:18:39.26 ID:u+eopvAYo
皇太子「では、失礼する」

ザッザッザッザ…

警備「……どっかで見た事あるんだよなぁ。誰だっけか」

ザッザッザ

魔道士「うまくいきましたねっ!」

皇太子「話が早くて助かったな」

魔道士「本当ですね」

皇太子「やはり、学園長は何か知っているようだな」

魔道士「え……っ?」

皇太子「君が兄妹と言っただろう?」

魔道士「え、えぇ。でないと…殿下の名前を出すわけにはいかないですし…」

皇太子「君に兄が居ない事は知っているはずだな?」

魔道士「あ……っ」

皇太子「それをすんなり受け入れるという事は、私達の関係を知っているという事だ」

魔道士「なっ、なるほど……!!」
221 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 00:21:26.06 ID:u+eopvAYo
〜学園長室〜

コンコン…カチャッ

魔道士「こんばんはー」

皇太子「失礼する」

学園長「……」

魔道士「ご無沙汰…してます。遅くにすみません……」

皇太子「……」

学園長「やはりこの刻が来てしまったのね…。どうぞ、お座りになられて」

皇太子「うむ」

スッ…ストッ

学園長「お飲み物は紅茶で宜しいかしら?」

魔道士「あ…あのっ、お構いなくっ!」

皇太子「我らも悠長な時間はないものでな。気になさらず」

学園長「……そう」

皇太子「さて、時間もない事だし、単刀直入に申し上げる」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/03/30(水) 00:23:32.78 ID:2Ebdeib6o
ageちゃダメダメ
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/03/30(水) 01:34:44.70 ID:EWGtCREAO
>>1おつ
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 01:40:54.11 ID:ekUhBepDO
魔翌力の一切を持たない皇太子って学校で何やってたんだろうか・・・ 
皇太子っての隠してたらやっぱぼっちの便所飯なんだろうか
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/30(水) 02:39:07.65 ID:dtxaeL7AO
>>1おつ

学校といっても護衛みたいなのはいるだろうし、そういうのと食ってたんじゃね
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 09:14:25.02 ID:y/3d858IO
お前らと違って価値があるんだ
友達になろうとするやつはごまんといるだろ
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 09:45:08.38 ID:GI5/Ci6To
>>1

>>224,225
とはいえ肩身は狭かっただろうな
魔法学院なのに魔法が使えないどころか魔翌力がない
実技は参加できないから学科のみだし学んでも戦場で使える知識が得られるかどうかも怪しい
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/03/30(水) 11:04:37.41 ID:UUCWDkhW0
それでも仲良くやっていけるのが皇太子の人格
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 12:36:41.10 ID:hoI2AlZIO
魔法が使えないからこそ、
魔法をよく知り、魔道士達の運用を
人一倍上手にできないと。
それに、魔法学校がいわゆる
学習院のような存在だったとか?
そんなことを、勝手に想像しているw
230 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:27:46.04 ID:s5D7Nj62o
学園長「……」

皇太子「我が父、国王から預かった手紙を頂戴したい」

魔道士「天才さんから聞きました。『王の手紙』があるって……」

学園長「……やっぱり、そうよね」

魔道士「…?」

学園長「貴方達二人がここへ来た。その意味は一つしかないわ」

皇太子「やはり、事情はご存知のようだな」

学園長「私もこういった職に就いてから、長いから」

スクッ…スタスタスタ

皇太子「それは?」

学園長「金庫よ。ちょっと特殊だけれど」

魔道士「…?」

学園長「結界石で出来ていて、最初に魔力を流し込むの」

皇太子「……」

学園長「それで封が為されて、再び開けたい時はまた魔力を与えれば良いの」
231 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:32:39.07 ID:s5D7Nj62o
魔道士「そんな事が……出来るんですか?」

学園長「貴方は出来ると思う?」

魔道士「え……?」

学園長「人間、何でもやってみなくちゃ分からないものよ?」

魔道士「……」

学園長「王女なんて、誰もなりたくてなるわけではありませんからね」

魔道士「……」

学園長「出来るか出来ないかではなく、貴方のハートが決めるものよ?」

魔道士「……はい」

学園長「ごめんなさいね。お説教じみてしまったわね」

スタスタスタ

学園長「はい」

皇太子「……魔力で封をしてあるのではないのか?」

学園長「ふふっ。長生きすると、どのくらいの魔力を流したかなんて忘れてしまうわ」

皇太子「……」
232 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:34:16.32 ID:s5D7Nj62o
学園長「だから、最初から魔力なんて流し込まなかったわ」

皇太子「それでは誰にでも開けられてしまうではないか」

学園長「でも、こんなご大層なものなら、頭を悩ますと思わない?」

皇太子「成程。魔力前提でありながら、あえて手を付けなかったのか」

学園長「それに、私にもしもの事があったら……」

皇太子「…?」

学園長「貴方が開ける事……出来なくなってしまうじゃない」

皇太子「……先生は昔から、変わらないな」

学園長「そう?」

皇太子「ああ、優しい指導者の鏡さ」

学園長「ふふっ。褒めても何もありませんよ。さぁ、お開けなさいな」

皇太子「……うむ」

グッ……カチャッ

魔道士「……こ、これが……っ」

皇太子「……」
233 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:35:06.13 ID:s5D7Nj62o
周りを結界石で覆われた特殊な小箱の蓋が、ゆっくりと開く。

その中にやや黄色がかった一通の手紙が寝かされていた。

コトッ…カサカサッ

皇太子「……」

まじまじとその手紙を読む皇太子に、魔道士は息を呑み声をかけた。

魔道士「ど、どうですか……っ?」

皇太子「……読んでみるか?」

魔道士「はい…っ」

パサッ

魔道士「…………」

受け取った古手紙を熟読し、魔道士は目を丸くした。

魔道士「……っ」

皇太子「難しい事は何も書いていない。ただシンプルな遺言さ」

魔道士「…………」

皇太子「内容は3つ。それも至極、当たり前のものだ」
234 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:35:43.36 ID:s5D7Nj62o
魔道士「……」

皇太子「1つ目。自分の身に何かあった場合は、私に譲位する……と」

学園長「ええ、それが彼の意思……」

皇太子「二つ目。魔道士、君が君の意思で王家に戻るというのならば……」

魔道士「……」

皇太子「その時は特例として、君に譲位するとの事だ」

魔道士「わ……たし……」

皇太子「……」

魔道士「出来る出来ないとかじゃなくて……」

学園長「……」

ポロポロポロッ

魔道士「召喚士さん達と……一緒に居たい……っ」

皇太子「ああ。それは我侭ではない。君が選択した、人生だ」

魔道士「……はい……っ」

学園長「それで、3つ目は何かしら?」
235 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:37:02.06 ID:s5D7Nj62o
皇太子「3つ目。魔道士が譲位を拒否した場合は、直ちに議会を開会し……」

魔道士「……っ」

皇太子「王宮内にてそれを承認する事」

学園長「あら、陛下の意思では決められないの?」

皇太子「歴史あるしきたりだからな。易々とそんな事は出来ないさ」

魔道士「ひっく……。でも、議会だなんて……」

皇太子「今回は国軍抜きの議会だしな。だが、父上が最後に残した事だ」

魔道士「……」

皇太子「おそらく、何か手はあるのだろう」

学園長「そうかしらね。結局、最後はみんなの良心にかけたように思えるけれど」

皇太子「……そうかもしれんな。そうであってくれれば良いが」

魔道士「……ぐすっ」

皇太子「ともかく、この手紙……確かに預からせて貰うぞ」

学園長「ええ。元より貴方の物ですからね」

魔道士「良かった……」
236 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:38:17.15 ID:s5D7Nj62o


皇太子「いやぁ、夜の校内というのは、あまり心地良いものではないな」

魔道士「え、ええ……。殿下も怖いですか?」

皇太子「それは勿論だ。昔から苦手でな」

魔道士「そうなんですか?」

皇太子「……あの頃は、どれだけ努力しても全く魔法が使えなくてな」

魔道士「……っ」

皇太子「夜遅くまで残って頑張ってみたりもしたものだ」

魔道士「そうでしたか……」

皇太子「まぁ、それを口実に友人と遊んだり――」

ガタッ!!

魔道士「きゃあっ!!」

皇太子「!?」

――「こんな時間に何をしているっ!!」

皇太子「……?」
237 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:39:10.36 ID:s5D7Nj62o
カツカツカツ…

魔道士「……あっ」

皇太子「水の……お前か!?」

水の先生「……?」

魔道士「水の先生っ!私ですっ、魔道士ですよ!!」

水の先生「おぉ、どうしたのだ。不審者かと思ったぞ全く……」

魔道士「ごめんなさい……」

水の先生「いいか?いくら知った人間とは言え、夜分に校内でうろつくなど……」

皇太子「……くっく、はっはっは」

水の先生「……?」

皇太子「私だよ水の。気付かんか?」

水の先生「――!?」

ガシッ

水の先生「皇太子……っ、お前かぁ!!」

魔道士「え……えっ!?」
238 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:47:04.57 ID:s5D7Nj62o
水の先生「全く気付かなかったぞ!何でまたこのような所に……」

皇太子「そういうお前は変わらないな。はははっ」

魔道士「あ、あの……お知り合い?」

皇太子「さっき話した悪友さ」

水の先生「おいおい、人聞きの悪い事を言うなよ」

皇太子「そうか?事実だと思うが」

水の先生「お前こそよくもまぁヌケヌケと……」

皇太子「はははっ。では、お互い様という事だな」

魔道士「……」

皇太子「しかしお前が魔道学校で指導する身になるとはな」

水の先生「自分自身、驚いているさ。そういう皇太子殿下は相変わらずらしいじゃないか」

皇太子「ああ、どうも魔法は才能がないらしい。こればかりは仕方ないさ」

水の先生「しかし本当にいいのか?一国の殿下ともあろう御方がこのような所に……」

皇太子「……まぁ、今だけはな。そのうち分かるさ」

水の先生「……?」
239 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 18:57:27.84 ID:s5D7Nj62o


水の先生「何だ、もう行ってしまうのか?」

皇太子「急ぎで学園長に用があっただけでな。すまん」

水の先生「そうか、まぁ、仕方ないな」

皇太子「今度、ゆっくりと同窓会でも開こうではないか」

水の先生「おぉっ、それはいいな!!」

皇太子「皆、元気でやっていれば良いがな……」

水の先生「……ああ。死んだって奴も何人かは耳にしたけれどな」

皇太子「申し訳ないと思うよ」

水の先生「お前が気に病む必要がどこにある。責任感が強すぎなんだよ」

皇太子「……そうかな」

水の先生「とにかく、お互い頑張ろうじゃないか。もうじき終わるんだろ?」

皇太子「ああ。終わるよ……いや、終わらせるよ」

水の先生「期待してますよ、皇太子殿下!」

皇太子「ははっ、プレッシャーをかけないでくれ」
240 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/30(水) 19:00:38.08 ID:s5D7Nj62o


皇太子「いやぁ、恥ずかしいところを見られてしまったな」

魔道士「まさか水の先生と同級生とは思いませんでしたよ〜」

皇太子「本当に良い奴でなぁ」

魔道士「仲……良さそうでしたもんねっ」

皇太子「最初は王族というだけで、皆も恐縮して……なかなか話す機会もなかったよ」

魔道士「……」

皇太子「しかしある日、あいつが積極的に話しかけてくれてな」

魔道士「へぇ〜」

皇太子「それ以来、皆とも打ち解ける事が出来て、本当に感謝しているよ」

魔道士「水の先生、優しいですもんねっ」

皇太子「ああ。あいつは今でもああやって、敬語など使わず接してくれる」

魔道士「あ……」

皇太子「本当に私は、良い友人だと思っているよ」

魔道士「……素敵な事です。えへへっ!」
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/30(水) 19:02:16.98 ID:s5D7Nj62o
はああぁぁ全然進まないぃ!それでは帰ります…
ご支援ありがとうございました!ノシ
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 19:14:58.35 ID:HYOCJV6DO
いやいや、こうして毎日?投下するだけでもすごいことですよ!感服します。

243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/30(水) 21:05:23.90 ID:EWGtCREAO
>>1おつ
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 22:16:47.77 ID:/+sKb7UDO
おまけリクエスト
〜お花見〜
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/30(水) 22:38:51.92 ID:8+o1qp6AO
>>244
自粛しろ
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 23:40:42.44 ID:HYOCJV6DO
>>224
いきなりリクとか…>>1への負担とか考えようよ…
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 00:27:04.34 ID:3E0FIC2I0
春だからな。
春厨がわいてきてるな
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/31(木) 04:05:59.84 ID:Qkp+0dMAO
そこまで叩かれるような事か?
今までにも何度もあったし、>>1自身も割と寛容的だろ
強制なんてしてないしただの願望。やるもやらないも>>1が決めるだけ
流れで言ってるんだとしても>>245は本気じゃなくただのネタだろ。石原的な意味で
長々とどうでもいい事書いてしまって申し訳ない。気になったからちょっと言いたくなった

要するに>>1乙いつもありがとう
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/03/31(木) 04:15:24.18 ID:k5r+0Ydfo
>>248
どこ立て読み?
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 09:18:38.25 ID:VqGHuSmDO
春だししかたないね
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/03/31(木) 10:49:23.51 ID:XCAWsrCAO
マジレスきめえ
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 17:34:27.03 ID:JjQh2Pwx0
1はイイ奴だぞ。お前も言っている通り寛容なんだ。
時間あったらわざわざ書いてくれるかもしれない。
だからこそ見ている俺達は負担かけずに1の物語を読みたいんだ。
毎日の更新だって大変だぜきっと。
感謝しなきゃ。それが見るほうのルールだと思うぜ。
せっかくここまで続けてこれたんだ。
1応援してちゃんと結末見届けようぜ!

と、賢者タイムのオレが言ってみる・・・・ふぅ
253 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:15:06.01 ID:PqgjVUlwo
〜バーテンの店〜

カチャッ…チリチリン

バーテン「……おう」

召喚士「こんばんは」

バーテン「今回は魔道士ちゃんかい」

盗賊「……」

バーテン「全く。お前らも落ち着かないもんだな」

戦士「好きでやってるわけじゃないよ」

バーテン「そりゃそうだわな。んで、今回は何だってんだ?」

召喚士「実は……」

バーテン「まぁ座れ。何か飲むか?」

戦士「適当にお願いします」

バーテン「適当って……まぁいいや。アルコールなしでいいな?」

盗賊「……うん」

バーテン「そんで、魔道士ちゃんが何だって?」
254 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:15:52.62 ID:PqgjVUlwo
バーテンの淹れたコーヒーが、心地よい香りとともに湯気をくゆらす。

カチャッ…コトッ

バーテン「……本当かよ……っ」

召喚士「ええ。俺らも……全く知りませんでした」

バーテン「落胤とはな……。何かある娘だとは思ったが……」

戦士「ビックリだよ。何たってこのパーティーじゃ二人目だぜ?」

盗賊「わ、私は……っ」

バーテン「そうか、盗賊ちゃんも東方の姫様だったっけか」

盗賊「…しかし、私のそれとは事情が違う」

バーテン「まぁな。陛下崩御のニュースは飛び込んで来たが…まさかなぁ」

戦士「ああ、こんな事になるなんて思いもよらなかったぜ」

バーテン「んで、どうすんだ?」

召喚士「……」

バーテン「このままってわけにもいかんだろ」

召喚士「……実は」
255 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:16:31.10 ID:PqgjVUlwo


バーテン「何ぃ!?殿下と二人で失踪しただぁ!?」

戦士「……ああ」

バーテン「何を考えてやがるんだ……っ」

召喚士「分かりません。でもあの二人の事です。考えがあっての事かと……」

バーテン「魔物の仕業じゃないんだろうな…?」

召喚士「それはないと思います」

バーテン「断言出来るのか?」

召喚士「左翼か魔道士さんを担ぎ上げています。おそらくは……」

バーテン「成程。それを阻止すべく動いてるって事か」

召喚士「ええ……」

バーテン「ともかく、事態は急だが……部外者は静観するしかないってか」

盗賊「…ああ。下手に手出し出来ぬ」

バーテン「そうとなりゃ、信じて待つしかないな」

召喚士「……はい」
256 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:17:08.95 ID:PqgjVUlwo
〜魔道学校、学園長室〜

皇太子「何だか申し訳ないな」

学園長「一国の主を、野宿させるわけにはいきませんよ」

魔道士「でも、ご迷惑になりませんか……?」

学園長「メイドも貴方にまた会いたいと、前に言ってましたよ?」

魔道士「ほ、本当ですか……っ。嬉しいけど恥ずかしいなぁ……へへっ」

学園長「表は目立つといけませんから、うらに馬車を用意します」

皇太子「うむ。先に行くとしようか」

魔道士「はいっ!」

学園長「私もすぐに参りますから」

テクテクテクテク…パタン

学園長「……ふーっ」

サアアァァ

学園長「……?」

いつのまにか開いていた窓から風が入り込み、カーテンがひらひらと揺れる。
257 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:20:07.32 ID:PqgjVUlwo
学園長「……お行儀が悪い事」

スタッ

天才「正面から入ったら鉢合わせんだろうが」

学園長「全く。相変わらずねぇ」

天才「ババアこそ変わらねーなぁ。不老不死にでもなったか?」

学園長「貴方に言われたくないわよ……ジジイ」

天才「ハーッハッハ!そりゃそうか」

学園長「それで、わざわざ二人の護衛?」

天才「バーカ。何でお路柄がそんな事しなきゃなんねーんだよ」

学園長「ひねくれてるわねぇ。合流して同行すれば良いじゃない」

天才「だから違げぇって言ってんだろババア」

学園長「……まぁいいわ。それで、何用?」

天才「お前の孫を付けてやれよ」

学園長「それは構わないけれど、すぐ王宮へ戻るんじゃないの?」

天才「本国がまだ浮き足立ってる。収拾までにもうちょい時間が必要だ」
258 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:21:57.94 ID:PqgjVUlwo
学園長「国軍が何とかすれば良いんじゃないの?」

天才「聞いてねーのか?総司令は死んだぞ」

学園長「……はぁ」

天才「気のない返事すんなっつーの……」

学園長「それで、何日かかるのかしら?」

天才「俺に聞くな。王宮内次第だ」

学園長「3日もあればいいかしらね」

天才「そんな遅くはならんだろ。右大臣が動いてるみてーだし」

学園長「議会、開くんでしょう?勝ち目はあるの?」

天才「知らん」

学園長「無責任ねぇ……」

天才「あのなぁ、俺様は……」

学園長「あの二人にもしもの事があったら……許さないわよ?」

バチバチバチッ

天才「……おぉ怖っ」
259 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:22:29.84 ID:PqgjVUlwo
ザッ

天才「安心しろ。議会は右大臣と大軍師が何とかしてくれる」

学園長「貴方は?」

天才「俺は本丸叩きだよ。汚ねぇ仕事は俺一人で十分だ」

学園長「そうやって、また十字架を背負っていくのね……」

天才「…バーカ。罪を重ねてるだけだ」

学園長「……。あっ、そろそろ行かなくっちゃ」

天才「おー待て待て。俺の本題を聞けってんだよ」

学園長「あら、二人の護衛で来たのではないのね」

天才「だから、最初からそう言ってんだろうがっ」

学園長「はいはい。それで何しから?」

天才「教頭はどこに行った?」

学園長「教頭先生……?あぁ、昨日からお休みを取っているわよ?」

天才「……ちっ。遅かったか」

学園長「教頭が……どうかしたの?」
260 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:23:22.86 ID:PqgjVUlwo
天才「どこまでお人好しなんだよ……」

学園長「……」

天才「あれは左翼……いや、左大臣の手下だ」

学園長「……そう」

天才「やっぱり、疑っちゃいたみてぇだな」

学園長「この部屋の鍵は、私か教頭しか持っていませんからね」

天才「王の手紙でもパクろうとしてたのか?」

学園長「それは大丈夫。気付かない場所に置いておいたから」

天才「ほぉ。そんな場所があるのか?」

学園長「……そこよ」

天才「はぁ!?……食器棚じゃねぇか!!」

学園長「ええ。紅茶の葉を入れた器、ちょっと似ていると思わない?」

天才「……ハーッハッハ!その為にこのティーセット一式揃えたってか!」

学園長「固定概念に囚われてはいけないという事。何事もね」

天才「流石はかつての大魔道士様。狡猾さは衰えてねぇわ」
261 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:24:41.81 ID:PqgjVUlwo
学園長「でも、厄介なものを盗まれてしまったわ」

天才「……?」

学園長「一冊だけね、名簿が足りないのよ」

天才「名簿?あぁ、卒業生とか在籍してたとかのアレか」

学園長「魔道士さんの時の物が一冊……ないの」

天才「別に今更だろ」

学園長「一般人が見れば、なんの変哲もない物だけれども……」

天才「……」

学園長「私自身はいいの。でも、ここや他の人に危害が加わるのを見過ごしては…」

天才「めんどくせー」

学園長「……っ」

天才「わーったよ。教頭は何とかすっから、ここはテメーで守れ」

学園長「そういう優しいところ、好きよ」

天才「気持ち悪りぃな。ババアの好意なんて要らねえっつーんだよ」

学園長「ふふっ、そういう照れ屋なところも好きよ。ジジイ♪」
262 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:25:28.17 ID:PqgjVUlwo


魔道士「あっ、来ましたね!」

テクテクテク

学園長「ごめんなさい。遅くなっちゃったわね」

皇太子「いやいや、遅くまで大変だな」

学園長「これが仕事ですからね。もう慣れたわ」

皇太子「教師の鏡であるな」

学園長「ありがとう。さて、行きましょう」

魔道士「はいっ」

テクテクテク…ストッ

学園長「それじゃ、出して頂戴」

執事「はい」

パッカパッカパッカ…

皇太子「そういえば……」

学園長「…?」
263 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:27:14.05 ID:PqgjVUlwo
皇太子「学園長の孫はどちらにいらっしゃるのかな?」

学園長「魔道学校にいるわよ。たまに」

魔道士「たまにですか?」

学園長「普段はどこをほっつき歩いているのか……。全く、定職にも就かずふらふらと」

魔道士「そうなんですかぁ」

学園長「それが何か?」

皇太子「うむ。貴方の孫を仲間にと、進言を受けてな」

学園長「明日は魔道学校へ来ると思うわ」

皇太子「そうか。ならば、直接伺ってみるとしようか」

学園長「ひねくれ者だから失礼がないといいですけれど……」

魔道士「……?」

学園長「まぁ、流石に電化と王女相手に無礼はないわね」

皇太子「今はただの旅人だ。殿下も何も礼など無用さ」

魔道士「そうですよっ、私だって……王女じゃありませんからっ」

学園長「……ふふっ、そうかもしれないわね」
264 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:28:16.06 ID:PqgjVUlwo
〜本国、経済機関〜

カツカツカツ…

左秘書官「このような夜分に、何用か?」

教頭「左大臣様に面会を……」

左秘書官「明日に致せ。何時だと思っておる?」

カツカツカツ

左大臣「構わん。申せ」

左秘書官「左大臣様!?」

左大臣「悪いがこやつはァ、お前より格上だぞ?」

左秘書官「――っ!?」

教頭「お目通り、感謝致します」

左大臣「あァ。王女の話は聞いたなァ?」

教頭「驚きましたよ。まさか、あの魔道士であったとは……」

左大臣「見つけられなかったようだなァ」

教頭「一縷の望みで探しておりましたが……」
265 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:28:59.85 ID:PqgjVUlwo
スッ

左秘書官「これは……?」

教頭「魔道士王女の代の名簿です」

左大臣「最早、。不要であったなァ」

教頭「王族ゆえ、魔力の資質が高い者を当たっておりました……」

左大臣「……」

教頭「まさか、卒業後に開花するとは……」

左大臣「……おい」

教頭「はっ」

左大臣「魔法に疎いわけではないがァ、専門家としての意見を聞きたい」

左秘書官「応えられる範疇にて」

左大臣「魔道学校に通い、資質の全くなかったものがァ」

教頭「……」

左大臣「卒業後、いくらワーカーになったとはいえ、開花するなど有り得るのかァ?」

左秘書官「資料に基づくもののみで話せば、前例は聞いた事がありません」
266 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:29:57.33 ID:PqgjVUlwo
教頭「左秘書官殿に同じく、存じ上げません」

左大臣「……あそこの学園長、一枚噛んでおったかァ!」

教頭「しかし、そのような素振りは見当たりませんでしたが……」

左大臣「馬鹿者がァ!裏をかいたつもりがァ、裏をかかれておったのだァ!」

教頭「な、何と……っ」

左秘書官「つまり……あえて才能がないと見せていた……っ!?」

左大臣「それがァ、一番しっくりくる結論ではないかね?」

教頭「……学園長っ」

左大臣「まさか左翼の伝統長き魔道学校で……裏をかかれるとはなァ」

教頭「申し訳御座いません……」

左大臣「貴様のせいではない。頑なに靡かなかった学園長を……

左秘書官「……」

左大臣「無派閥と放置したァ……こちらに落ち度がある」

左秘書官「確かにあの学園長になってからというもの、無所属者が多かったが……」

左大臣「東方参謀に教師ども。皆ァ、無派閥に見せた右翼よっ!」
267 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:30:45.40 ID:PqgjVUlwo
教頭「片付けましょうか?」

左大臣「今更ではあるがァ、これ以上余計な動きをされるのは目障りだなァ」

教頭「……御意に」

左秘書官「では、名簿は確かに預かります」

スッ…カツカツカツ

左大臣「こんなものも、最早無用の産物……」

パラパラパラッ

教頭「では、失礼致します」

左大臣「あァ。手段は選ばぬぞ。人間を捨てても構わぬ」

教頭「宜しいのですか?」

左大臣「どうせもう間もなく、人間の世界は終わりだァ」

教頭「……御意に」

スゥッ…カツカツカツカツ…

左秘書官「あの者も、魔族の洗礼を……?」

左大臣「……あァ。限られた我らの仲間だァ」
268 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:31:43.13 ID:PqgjVUlwo
左秘書官「……成程」

左大臣「魔族化の後はァ、貴様より格上だぞ?」

左秘書官「…そ、そのようで」

パラパアラパラッ

左大臣「王女の経歴など、既に資料室で調査済よ……」

左秘書官「もう少し早ければ、事もスムーズでしたな」

左大臣「……まァ、そういうものだろう」

パラパラッ…パラッ

左大臣「……?」

左秘書官「……どうなさいました?」

左大臣「魔道学園の理事、気にも留めなかったがァ、いつから変わったのだァ?」

左秘書官「さ、さぁ。それは理事である左大臣様の方がお詳しいのでは……」

左大臣「右大臣に青龍先生に院長。それに新聞社社長……これは分かる」

左秘書官「……」

左大臣「この……村長というのはァ、何者だァ?」
269 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:33:15.72 ID:PqgjVUlwo
左秘書官「……左翼官殿に確認させましょう」

左大臣「……」

左秘書官「左大臣様?」

左大臣「ん、あァ。早急に頼むぞ」

左秘書官「はっ。失礼致します」

カツカツカツカツ…

左大臣「……クソッ、何故こうも裏をかかれておるのだァ……っ」

グシャッ

左大臣「これが予言の民の力なのかァ?認めん、そんなものは認めんぞ……っ」

〜学園長の屋敷〜

テクテクテク

学園長「ただいまー」

タッタッタッタ

メイド「お帰りなさいませっ」

魔道士「こんばんはーっ」
270 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:34:45.68 ID:PqgjVUlwo
メイド「!?」

皇太子「世話になる」

メイド「――っ!!」

学園長「急に泊まる事になってしまってねぇ」

メイド「……だ、だからっ!お客様がお見えになられるのならばご連絡をとっ!」

皇太子「すまない。急に世話になる事と相成ってな」

メイド「い、いえっ!お客様のせいではございませんよっ」

魔道士「また、お世話になりますね!」

メイド「は、はい!すぐにご準備を!」

タッタッタッタッタ

学園長「ごめんなさいね、慌しくって。さぁ、お寛ぎになって」

魔道士「お邪魔しまーす!」

皇太子「荷物はこのここに置いて構わないかな?」

学園長「ええ、王宮ほど広くはないですけれど、自分の家だと思って下さいな」

皇太子「……ありがとう。感謝するよ」
271 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:35:22.95 ID:PqgjVUlwo


メイド「……え、えっと」

学園長「だから、殿下よ」

メイド「…………」

皇太子「始めまして……かな?」

メイド「殿下と申されますと……で、殿下……ですか!?」

皇太子「あ、ああ」

メイド「――っ!!」

学園長「魔道士ちゃんは会った事、あるわよね」

メイド「え、ええ……っ」

学園長彼女がその義妹。つまりは王女ね」

魔道士「そ、そんなつもりはありませんけれど……」

メイド「…………」

クラッ…ヨロヨロ

メイド「な、何が……何だか……はうぅ」
272 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:36:24.85 ID:PqgjVUlwo
〜本国、王宮〜

エリート「……ふーっ」

右文官「少し休んだらどうだ?疲労が溜まっておるのではないか?」

エリート「……大丈夫です。休んでいるわけにはいきませんから」

右文官「しかしだな、お前が潰れては……」

右秘書官「右大臣様の容態は?」

エリート「それが……」

右文官「……?」

エリート「さきほど外出したらしく、まだ戻っていないようです」

右文官「何!?このような時にどちらへ……っ」

エリート「分かりません。しかし……責任を感じていたようですし……」

右秘書官「まさか……」

エリート「何もなければ良いのですが……」

右文官「不吉な事を申すでないっ。何もあるわけなかろう」

エリート「……ええ。父上はそんなに、弱くはありませんよ」
273 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:37:18.21 ID:PqgjVUlwo
〜経済機関〜

カツカツカツ

左翼官「お待たせ致しました」

左大臣「うむ。それで、何者か分かったのかァ?」

左翼官「はい。どうやら右大臣様の旧友のようで……」

左大臣「旧友?」

左翼官「はい。魔道学校では学友だったとか」

パサッ

左大臣「…………」

左翼官「今は南東国に程近い地にて、孤児の為の村を為しておるようです」

左大臣「……どうも怪しいなァ」

左翼官「……?」

左大臣「まぁ良い。ご苦労であった」

左翼官「……はっ。失礼致します」

左大臣「……」
274 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:39:09.69 ID:PqgjVUlwo
〜双子家〜

双子父「……ただいま」

双子姉「あら、お父様」
双子妹「おかえりなさい」

双子母「随分とお疲れね。お忙しいの?」

双子父「知っておるだろう?陛下が崩御なされてな……」

双子姉「それが何か」
双子妹「大変なのですか?」

双子父「それだけなら苦労せんのだが、王女の存在が明らかになってな」

双子母「まぁっ!殿下にご兄弟が……!?」

双子父「異母妹のようだ。それで我が家に白羽の矢が立ってな……」

双子母「私達の代では、王女付などないと思っておりましたわ」

双子父「……と、いうわけだ。二人は明日、私と共に王宮へ行って貰うぞ」

双子姉「……へぇ」
双子妹「王女様かぁ」

双子姉「一体どんな方かしら?」
双子妹「……楽しみ♪」
275 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:40:02.07 ID:PqgjVUlwo
再び迎えた朝。遅ればせながら落胤の騒動が世界中に走る。

〜東方、都〜

家老「上様っ、一大事ですぞっ!!」

ダッダッダッダ

帝「何だ、朝から慌しいな」

家老「本国からの伝令が……っ」

帝「……どれ」

カサッ

帝「……これは……まことなのかっ!?」

名代「どうなさいましたか?」

家老「魔道士殿が……陛下の隠し子であられるそうじゃ」

名代「魔道士と申されますと……あ、あの……っ!?」

帝「……何という事かっ」

名代「それで、何が問題なので?」

家老「どうも本国は、後継者問題で揺れておるようじゃ」

帝「……こちらからも動く必要がありそうだな」
276 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:41:17.12 ID:PqgjVUlwo
〜南東国、東の城〜

白馬騎士「馬鹿なっ!!」

三男「……」

若文官「私とて疑いたい話です。しかしこれは信用足りうる公文書……」

弟者「魔道士っていやぁ、あの……?」

錦将軍「そんな話なかったぜ?」

老文官「今になって発覚したようだ。当の本人も知らぬ事のようじゃ……」

兄者「それで、今後どうなるというのだ……?」

側近「その件で今、本国は混乱中のようでして」

白馬騎士「早急に確認を取る必要がありますね」

若文官「しかし、一体誰に話を通せば良いものか……っ」

老将軍「それならば白馬の。あの者ならば適任ではないのか?」

白馬騎士「……剣士殿か。分かりました、確認してみましょう」

三男「良いか、何があろうと我らは本国の盟友。忘れるでないぞ」

白馬騎士「……無論です。魔王軍の好きにはさせませぬ!」
277 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/03/31(木) 18:43:29.93 ID:PqgjVUlwo
〜西方、西国の城〜

王子「……帰ってきて早々、何だってんだ?」

神官「こ、これを……っ」

プルプル…カサッ

王子「本国から?面会だったらもうしばらく――」

ガバッ!!

王子「どういう事……っ!?」

神官「本国の陛下崩御について、今日はお話するつもりでした」

王子「魔道士……さんが……!?」

神官「たった今……届いた伝令です」

王子「魔道士さんが……王女様ぁ!?」

王女「お姉様がっ!?やはり、素晴らしい方だとは思っておりましたが……」

女王「我らと同様、王族の身であらせられたのね」

王子「……そうか、そうだったのか……っ」

神官「本国はかなり混乱しておるようです。こちらも情報収集を急ぎます」
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/31(木) 18:53:21.21 ID:PqgjVUlwo
ひとまずここまでー!多数のご支援ありがとうございます!
リクもお気軽にどうぞ!出来る範囲になちゃいますがあしからず
お花見いいですねー!明るく楽しくなるよう頑張ります!
それでは失礼します!ノシ
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 19:03:07.72 ID:ZeMjC1+DO
>>1乙乙
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/31(木) 19:39:47.17 ID:6wUadRoAO
>>1

王子はサソリの毒でも喰らって砂漠の真ん中で息絶えろ
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/31(木) 19:50:19.36 ID:B1O/R7ZAO
>>1おつ
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 20:55:59.75 ID:rb3LCQkDO
王子「魔導士お姉ちゃん!これで僕らを隔てる身分の壁はなくなったね♪」
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/01(金) 02:43:48.29 ID:qicsRC8AO
なんというマスター・ノーグ
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/01(金) 03:59:14.32 ID:kq+OPvl4o
>>1
王子はもう許してやれよ
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 04:05:38.18 ID:fPumL+XSO
未だに王子ネタがうけるとおもってるあたりびっくりだなぁ

1乙
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 07:15:21.19 ID:R0jf1K/DO
玉子?
何それ、おいしいの?
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 13:21:14.70 ID:ArHiO89DO
玉子はうまいよ
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 15:01:31.70 ID:5j9QGQ5DO
主子うまー
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/01(金) 17:48:12.48 ID:oR7oSUJYo
召喚士「今日は大事なお知らせがあります」

魔道士「私達、結婚します!」

召喚士「……えっ?」

魔道士「えっ?」

〜やり直し〜

召喚士「今日は大事なお知らせがあります」

魔道士「はい」

召喚士「これまで2年近く、だらだらと続けさせて頂きましたが……」

魔道士「はい」

召喚士「新年度を向かえ、作者都合により更新が大変厳しくなりました……」

魔道士「はい……」

召喚士「急で大変申し訳ありませんが、今日で……」

魔道士「エイプリルフールですね?」

召喚士「……あ、あの……っ。先に言ったら……」

魔道士「……あっ。……続き……です↓」
290 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 17:53:48.73 ID:oR7oSUJYo


東方司令「あの時のワーカーが王女であったとは……それはもう驚いたさ」

南方司令「ただの少女ではないと思っていたが……まさか、と言ったところさ」

西方司令「はああぁぁ……っ。わ、私はなんという恐れ多い数々の愚考をああぁぁ」

青龍先生「ひょっひょ。長生きはしてみるもんじゃ。こんな事が起きようとはのぉ」

白虎長「いや、だって……あの、魔道士ちゃんがよ?」

占い師「信じるとか……そんなレベルで図れるものじゃないわよ……っ」

博士「まぁ、予想だに出来るようなものでもないのら。ただ、驚いたのら」

左翼長「全く。まさか、の一言だよ」

参謀「私だって最初に聞いた時は、ただ驚愕するあまりでした」

騎士長「これからどう接していけばいいのか……悩んじまうよなぁ」

大軍師「事実は事実。これを如何に受け止めて受け入れるかが問題なのですよ」

これは後の取材に応じた国軍一同の発言によるものだが、

この時点での混乱は前述の各国における混乱同様、国内においても、

全く予想外の出来事であり、浮き足立っていたのは事実であった。一部を除いて。
291 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 17:55:06.26 ID:oR7oSUJYo
〜魔道学校〜

パッカパッカパッカ

学園長「それじゃ、私はこのまま仕事に入るわね」

皇太子「うむ、色々とすまんな」

学園長「来賓室を自由に使って頂戴。孫もそちらへ行くよう伝えておきますから」

魔道士「お孫さんの名前は何と言うのですか?」

学園長「あら、そうよね。ごめんなさい。孫は――」

ドオオォォン

魔道士「!?」

皇太子「何の音だ?」

学園長「学園の反対側のようだけれど……」

魔道士「あ、あれ……っ!!」

声をあげ魔道士が指差す先、建物の一画より黒煙が上がっている。

学園長「……っ!!」

皇太子「何かあったようだな。行くぞ!」
292 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 17:55:44.88 ID:oR7oSUJYo
ダッ!!

魔道士「殿下っ!?」

学園長「仕方ないわね。後を追いましょう」

魔道士「はいっ!」

タッタッタッタッタ

皇太子「…………」

タッタッタ

皇太子(……王族だからとか、そんなものは関係ないのだっ。命とは平等なもの!)

ザザッ

皇太子「……」

教頭「こんな所にいらしたのですか……殿下」

皇太子「君は……」

タッタッタッタ…

学園長「教頭!?」

魔道士「教頭先生っ、ご無事で――」
293 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 17:58:40.23 ID:oR7oSUJYo
グイッ

魔道士「!?」

皇太子「退がるんだ、どうも……普通ではない」

学園長「この騒ぎは一体、何なのです?」

教頭「……」

現場に急行した3人の前に立ちはだかる教頭。彼は微動だにする事なく、

無表情のまま横へ左手を上げ……魔法を放つ。

キュイイィィ…ドドオオォォンッ!!

学生「――っ!?」

皇太子「しまっ――」

ズガアアァァッ!!

教頭「……!?」

逃げ惑う学生に放たれた教頭の魔法。それを突如現れた魔法の壁が弾いた。

学園長「……私の目の前で、生徒は一人も傷つけさせませんよっ!」

教頭「……ククッ」
294 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 18:00:44.07 ID:oR7oSUJYo
魔道士「教頭……先生……!?」

皇太子「……貴様、魔物か」

教頭「いや、人間ですよ。たった今まではね!」

学園長「皆さんっ、早くお逃げなさい!!」

学生「きゃああぁぁ!!」

教頭「実力行使の許可は頂いた……」

ズズッ…ズググッ

魔道士「かっ、身体が変化して……っ!?」

教頭「ようやくだ、ようやく……素晴らしき力を得られるのだ!」

グググッ…ベギィ!!

教頭「魔族化……そして、不死と言う名のなああぁぁーっ!!」

目の前に立つ人間だった男が、徐々に魔物の外見へと変化する。

顔はおぞましい髑髏のように変わり、皮膚は赤みが消え灰色がかる。

教頭「……ブハアアァァ!!」

それは『ワイト』と呼ばれる、アンデッドの魔物であった。
295 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 18:04:23.99 ID:oR7oSUJYo
魔道士「う……うぅ……っ」

学園長「……っ」

皇太子「気をつけろ、奴は最早、人間ではない」

学園長「ええ」

教頭「……ここにいる人間は、皆殺しだ」

魔道士「……っ!」

教頭「我らが同胞として、魔王様に忠節を誓うが良いわっ!」

ボコボコボコォッ!!

皇太子「な……っ!?」

教頭「さぁ、喰らうが良いわっ!!」

グール「……グ、ウゥ」

学園長「こ、この数では……っ」

皇太子「くそっ、先に生徒を避難させるぞ!」

ダッ…ズシャッ

皇太子「!?」
296 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 18:05:38.72 ID:oR7oSUJYo
教頭「逃がしませんよ……?」

皇太子「貴様の相手は後だ!」

教頭「何を仰います。大将同士、死合いましょうよ……ククッ」

皇太子「……分かった」

カランッ

皇太子「ならば、私の命と引き換えに、生徒らを逃がしてやってくれ」

教頭「……ほぉ」

魔道士「殿下っ!!」

皇太子「君らも早く、生徒を避難させるんだ!」

学園長「何を言っているのっ!貴方は一国の……」

皇太子「そんなものは関係ない!命は皆、平等だ!!」

学園長「……っ」

皇太子「これからの時代を担う若者だその多数が私の命で救えるのなら安いものよ」

魔道士「殿下……」

パチパチパチパチッ
297 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 18:07:59.71 ID:oR7oSUJYo
教頭「……さて、茶番劇はもう宜しいかな?」

皇太子「……」

教頭「圧倒的な戦力を持ちながら、貴方一人の命で見逃せなどと……」

スッ

教頭「愚の骨頂にも程があるっ!!」

キュイイィィ

教頭「死になさい」

ドドオオォォォォンッ!!

冷たい空気を纏った氷の魔法により、右腕が吹き飛んだ。

皇太子「……っ!!」

教頭「……貴様……ぁ」

校舎の二階部分より魔法を放った主を睨みつけ、教頭は吹き飛んだ腕を抑える。

水の先生「何をしているっ!早く剣を拾うんだ!!」

皇太子「助かった、すまん!」

水の先生「学園長っ、魔道士!生徒達を安全な場所に!」
298 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 18:08:48.03 ID:oR7oSUJYo
学園長「水の先生っ。え、ええ……そうねっ!」

ヒュバッ……スタッ

水の先生「皇太子、いくぞ!」

皇太子「ああ、援護を……頼むぞ!」

教頭「貴様程度の魔力でえぇ!!」

着地と同時に走り出す水の先生と、並走する皇太子。

その前にて悠々と構える教頭は、再生した右腕を突き出し、魔力を高める。

水の先生「1……2……」

教頭「はああぁぁ!!」

皇太子「今だっ!!」

ババッ…ドドオオォォンッ!!

教頭「な……っ!?」

左右に分かれた二人が、白煙の中、教頭の頭上より姿を現した。

水の先生「全力で……叩き込めっ!!」

皇太子「はあぁーっ!!」
299 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/01(金) 18:15:48.46 ID:oR7oSUJYo
氷結した皇太子の長剣が教頭の頭部へと振り下ろされる。

ブオッ……ズシャアアァァッ!!

教頭「グ……ギギ……ッ」

鈍い斬撃の音が響くと同時に、教頭の身体がよろめき、体勢を大きく崩す。

水の先生「次っ!!」

皇太子「はぁ!!」

ブンッ…ガギイイィィッ!!

水の先生「まだまだぁ!!」

皇太子「あぁっ!!」

ビュオッ……ガギギイィッ!!

皇太子「今の内に行けっ!!」

魔道士「……で、でもっ」

学園長「今は二人を信じましょっ。そう簡単にやられたりしないわっ」

魔道士「……っ」

タッタッタッタッタ
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2011/04/01(金) 18:55:42.02 ID:EkDiS6VAO
>>289

う…うそだぁぁあああああああああああああいああああいああああああああああああああ
うわああああぁぁああああぁあぁぁああいあああああああああああああああああアアアアアアアアアイアアアアアアアア
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/01(金) 20:09:13.71 ID:txl4oqJAO
フールとは騙す方なのか、それとも騙される方なのか

なんにせよ>>1
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 20:17:31.63 ID:Wx5t48d40
1乙
びびった
オレの戦士に会えなくなるかと思ったら涙がでてくらぁ
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/01(金) 21:19:57.84 ID:bb6kGDFDO
1乙
毎日更新ありがとうございます
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/02(土) 02:47:29.01 ID:JPQJGi/AO
いちおつ
悪い冗談はやめてくれ心臓止まるわ
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 03:26:07.29 ID:/vZYHcPDO
>>1
一瞬マジでびびったぜ!!!!
>>1の話を最後まで読みたいから、身体に気をつけて無理はしないペースで頑張ってください。
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/04/02(土) 10:09:07.98 ID:ex37+tLwo
泣きそうになったじゃないかww
>>1乙
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/04/02(土) 10:27:46.67 ID:Xm4XOn+Zo
ヌクモリティ
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/02(土) 11:03:05.05 ID:i4HQhB4go
>>1乙

ところで私事で恐縮ですがHDDのデータが消えてしまいこのシリーズのdatファイルも消えてしまったのですがどなたか上げてはもらえませんか
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 11:17:42.70 ID:yiGtCZuXo
普通に>>2から取得できるよ
vipのはロダにあげました
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 12:01:54.67 ID:2ZH+fdIHo
datで管理したがるんなら取得方法くらい調べとこうぜ
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 17:28:52.97 ID:XSCASjjIO
一乙ラブリー愛してる!
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 18:00:22.41 ID:65lklnMIO
一瞬皇太子に変なフラグたったかとおもった
313 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/02(土) 23:51:39.98 ID:Q+fQRRwGo
教頭「……」

水の先生「さぁて、どうする?」

教頭「たった二人で……やり合おうというのかね?」

水の先生「ああ。俺らで十分だわな、皇太子!」

皇太子「ああ、そうだな」

教頭「――っ!!」

ドゴオオォォンッ!!

教頭「なめるなよ!貴様等如きに……」

キュイイィィ…

教頭「やられるとでもぉ、思うてかぁ!!」

水の先生「来るぞっ、かわせ!!」

皇太子「分かっているっ!!」

ババッ

逆上する教頭の両腕から、黒光りを帯びた雷撃が周囲へ落ちる。

教頭「貴様等に魔族化など不要つ、灰にしてくれるわぁ!!」
314 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/02(土) 23:52:15.63 ID:Q+fQRRwGo
ダダッ…ザザザザッ

皇太子「望むところよっ、毛頭……魔族化など望んでおらん!」

水の先生「ああ、その通りだ!!」

教頭「後悔させてくれるわああぁぁ!!」

ドドンッ…ドドンッ…ドドオオォォンッ!!

水の先生(……そうは言っても、俺も皇太子も……っ)

チラッ

皇太子「……ちっ!」

ババッ…スタッ…タタタッ

水の先生「かわすのがやっとか……」

教頭「チョコマカと逃げ回りおってぇ……!!」

皇太子「水のっ!!余計な事は考えるな……っ!!」

水の先生「!?」

皇太子「我らの役目は……生徒らを無事、避難させる事であろうっ」

水の先生「……ああっ、そうだな!」
315 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/02(土) 23:52:47.79 ID:Q+fQRRwGo
教頭「クッハハハハ!!」

水の先生「……?」

教頭「そう易々と……逃がすわけがなかろうがっ!!」

水の先生「忘れたのか?」

教頭「あぁ?」

水の先生「校内は結界石で守られている。魔物の侵入は不可能だ!」

教頭「……私がここで、どれ程の時間を過ごしたと思うておるかぁ!!」

グアッ

教頭「そんな事は百も承知!!だからこそ……」

皇太子「!?」

教頭「グールを使ったのだ!!校内へ辿り着く前に……殺す!!」

水の先生「どういう事……」

教頭「グールをただの人形だと思うなという事だぁ!!」

叫びと同時に教頭は頭上に両手を広げ、構える。同時に足元より、

再び複数体のグールが土の中より姿を現した。
316 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/02(土) 23:53:13.43 ID:Q+fQRRwGo
ズググッ…ドシャアァ

水の先生「またか……っ」

教頭「クックククク!!」

皇太子「……」

教頭「こやつらの身に着けている物に見覚えはないかね?」

水の先生「……?」

皇太子「馬鹿なっ!?あ、あれは……っ」

教頭「そう。国軍……魔道兵のものよっ!!」

水の先生「――っ!?」

教頭「つまりこやつ等は、アンデッドでありながら魔法も会得しているという事っ!」

水の先生「まずいっ!!学園長――」

教頭「おっと、逃がしはせん……。貴様等もグールの餌食となるがいいっ!!」

皇太子「こう囲まれては脱出は困難。ひとまずは……」

水の先生「やるしかないか……。しかしこの数、何とかなるものか……っ」

教頭「さぁ、死ぬがいいっ!!」
317 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/02(土) 23:53:39.90 ID:Q+fQRRwGo


タッタッタッタッタ

魔道士「っ!!」

学生「うっ、うわああぁぁ!!」

グール「グガアアァァーッ」

魔道士「やあぁーっ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォッ!!

グール「ギイアアァァーッ!!」

魔道士「早く逃げて!!」

学生「あ、あああ……っ」

学園長「校内へお逃げなさい」

学生「……っ」

ガバッ…タッタッタッタッタ

学園長「それにしても……凄い炎ね」

魔道士「あれから……頑張りましたから」
318 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/02(土) 23:54:52.20 ID:Q+fQRRwGo
学園長「……」

魔道士「ここで食い止めましょうっ!」

学園長「そうね」

魔道士「さぁ、かかってきなさい!」

グール「……グウゥ」

魔道士の威圧に気圧されたのか、グール達の動きが突如止まった。

グール「……グギィ」

魔道士「……?」

学園長「魔道士さんっ、退がって!!」

魔道士「え……っ!?」

キュイイイィィ…

魔道士「魔法っ!?」

グール「グ……ウガアアァァ!!」

ドドオオォォンッ!!

魔道士「きゃあぁーっ!!」
319 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 01:33:41.48 ID:lymar0u0o
学園長「まずいっ!!」

ダッ

グールの群れが放つ雷の魔法。それは魔道士と学園長の頭上を飛び越え、

校内へと走る生徒らの元へと撃ち放たれる。

魔道士「あぁ――」

学園長「……まだよっ!!」

キュイイィィ

学園長「はあぁ……っ!!」

煌く学園長の両掌から白光を帯びた無数の線が飛び交う。

それはグール達の放った魔法より、更に早い速度で生徒らの元へと迸り、

巨大な円を描き、あたかも盾のような形状と化した。

グール「――ッ!?」

バキイイィィッ!!…ドドオオォォォォンッ

魔道士「あれは……魔法結界!?」

学園長「……ふぅ、間に合ったわね」
320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 01:37:44.81 ID:lymar0u0o
グール「グウゥーッ!!」

学園長「はぁっ!!」

ドドオオォォンッ!!

グールらと学園長の魔法の攻防が続く。

学園長「……っ」

本国でも魔法力は随一と謳われた学園長ではあるが、

やはり高齢か、徐々に魔力の限界が近づき始める。

魔道士「学園長……っ!!」

学園長「生徒は……避難した……っ?」

魔道士「あ、あと少しで……」

学園長「もう……っ、頑張ってよ……私の魔力っ!」

グール「グガガカアァ!!」

学園長に比べればさほど強くはないグールらの魔法。

しかしながらそこは元国軍の魔道兵と言ったところか。数で増している彼らは、

単身、懸命に結界をはる学園長へ非情とも言える猛威をもって攻撃を仕掛け続ける。
321 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 01:40:27.28 ID:lymar0u0o
学園長「くう……ぅ!」

魔道士「……学園長っ!」

ダッ

魔道士はたまらず、学園長の援護へと走った。

学園長「駄目よっ、生徒の身を守って!!」

魔道士「でも……っ」

学園長「いいからっ!!」

その時、グールらの一部が雷から新たな魔法へと手段を替える。

グール「ギキィ!!」

キュイイィィ…ドドオオォォンッ!!

魔道士「きゃっ!!」

地面が隆起し、多数の幹や枝が魔道士と学園長を取り囲む。

学園長「しまった……っ!身動きが!!」

魔道士「学園長っ、上から……っ」

グール「キャハアアァァ!!」
322 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 01:44:10.58 ID:lymar0u0o
魔道士「させないっ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオオォォ!!

学園長「早くこの……木を何とかしないとっ」

魔道士「私が……っ」

学園長「魔道士さんっ、後ろ!!」

魔道士「!?」

ドドオオォォンッ

魔道士「集中できない……っ」

学園長「こちらも……結界で精一杯……」

次々と迫る魔法を跳ね除ける。それだけでも高等な技術と言えようこの中で、

身動きを封じるように囲まれた土行のそれを打破する事は困難であった。

魔道士「何とか……方法を……っ」

学園長(結界を一度解除すれば、生徒らに危険が及ぶ……。どうすれば……」

その時、木の枝の一画から火の手が突如上がり始めた。

魔道士え……っ!?」
323 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 01:46:42.43 ID:lymar0u0o
ゴアオオオォォ!!

魔道士「っ!!」

学園長「敵!?違う……っ、これは……」

ザザッ

火の先生「学生は皆、校内へ入りましたぞ!」

魔道士「火の先生!!」

学園長「魔道士さん、先に脱出してっ」

魔道士「は、はいっ!」

ガバッ…タッタッタ

火の先生「魔道士っ、大丈夫か!?」

魔道士「助かりました!でも、まだ学園長が……っ」

火の先生「なぁに、任せておけ!お主は殿下と水の援護へ戻れ!」

魔道士「!?」

火の先生「生徒が避難した今、ここはワシと学園長で十分防げる!」

魔道士「……わ、分かりました!」
324 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 01:49:38.29 ID:lymar0u0o
ダッ

火の先生「5分……いやぅt、3分凌げ!」

魔道士「……?」

火の先生「奴がすぐに駆けつける!それまで……」

魔道士「奴……?」

学園長「……孫よ」

魔道士「!!」

学園長「……全く、あの子はいっつも遅刻なんだから」

魔道士「分かりました……やってみます!」

タッタッタッタッタ

火の先生「さぁ学園長!このまま一気に片付けますぞぉ!!」

学園長「ええっ。魔道学校の力……見せてやりましょう」

火の先生「そぉら、かかってくるがいい!!」

学園長「手加減は……しないわよっ」

グール「グガガァーッ!!」
325 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 01:51:59.36 ID:lymar0u0o


ガキイイィィンッ…バチィッ!!

皇太子「……っ」

教頭「さぁ、どうしました?もう鬼ごっこは終わりですかな?」

水の先生「まだまだぁ!!」

教頭「ふんっ」

キュイイィィ…ガカアアァァ!!

水の先生「ぐわあぁーっ!!」

皇太子「水のっ!!」

教頭「ククッ、貴方と何年……一緒に過ごしたとお思いかな?」

ドシャッ…ズズッ

水の先生「ぐ……くっ」

教頭「手の内は全て、把握済みですよ……水の先生」

ザッザッザ…ザッ

教頭「……では、死になさい」
326 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 01:54:26.69 ID:lymar0u0o
キュイイィィ……ドドオオォォォォンッ!!

教頭「――っ!?」

皇太子「……魔道士っ!!」

魔道士「はぁ…はぁ……はぁ……っ」

教頭「……性懲りもなく、戻ってきたか」

皇太子「何故、戻ってきた!?」

魔道士「生徒さんなら……みんな大丈夫です!」

皇太子「……」

魔道士「あとはお二人だけ……」

皇太子「退くわけにはいかぬな」

水の先生「……あ、あぁ。ここまでやられて……黙っていられるかっ」

教頭「しつこい奴等ですね。まぁいいでしょう」

スッ

グール「……ググゥ」

教頭「三人まとめて、片付けてしまいなさい」
327 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 02:00:38.71 ID:lymar0u0o
皇太子「魔道士っ、炎を!!」

魔道士「はいっ!!」

キュイイィィ…ドドオオォォォォ!!

皇太子の手にする長剣が灼熱の炎へと染まりはじめる。

教頭「ちぃ……っ」

皇太子「すまんな……。土に還ってくれ!」

ズバシュッ!!…ゴアオオォォ

グール「ギイアアァァーッ!!」

ズシャアァ

皇太子「はあぁーっ!!」

次々と襲い掛かるグールを、炎の剣で一刀の下に斬り伏せていく皇太子。

炎に包まれ灰と化すかつては人間であった魔物。その消滅を眉間に皺を寄せ、

無念の表情で一人一人を見送る。それは即ち、魂を開放するに同じであった。

その隙を突いて皇太子を狙うグールにおいても、魔道士と水の先生の援護で徐々にその数を減らした。

水の先生「……まだ、この程度の事は出来るっ!」
328 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 02:10:25.33 ID:lymar0u0o
教頭「…………」

魔道士「やあぁ!!」

水の先生「でっりゃあぁ!!」

皇太子「……次っ!!」

教頭「……くそっ、くそっ、くそおおぉぉ!!」

ゴゴオオォォッ!!

魔道士「っ!?」

水の先生「魔力が……上昇している!?」

教頭「貴様等如きにワイトと化した……この私がああぁぁ!!」

ズザァッ…キュイイィィィィ

教頭「負けるわけが……ないのだああぁぁ!!」

皇太子「まずいっ!!」

水の先生「全魔力を撃ち放つつもりか……っ」

教頭「死ねええぇぇーっ!!」

――「……させないよ……ふぅ」
329 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 02:13:14.63 ID:lymar0u0o
教頭「――なっ!?」

膨大な魔力を練りこみ、一挙に解き放とうとした教頭。

しかし、突如足元に現れた魔法陣により、その魔力をかき消される。

教頭「力が……消え……」

ザッザッザ

皇太子「あれは……っ」

水の先生「ようやく来てくれたか…!!」

魔道士「……賢者さんっ!?」

ザッ

賢者「……面倒な事は嫌いだ……ふぅ」

教頭「貴様……っ」

賢者「これでもう魔法は使えないよ……ふぅ」

教頭「くっそおおぉぉーっ!!」

ガバッ!!…ダンッ

教頭「ならばぁ!!魔物と化した肉弾で貴様を……潰すぅ!!」
330 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 02:16:37.74 ID:lymar0u0o
魔道士「賢者さんっ!!」

賢者「やれやれ。これはどうしようもないな……ふぅ」

迫り来る教頭の攻撃をかわすでもなく、賢者は無表情のままその攻撃を受ける。

受けるといっても防御するわけでもなく、ただその攻撃を棒立ちで待つのみであった。

教頭「ハーッハハハハハアアァァ!!」

グオッ……ザシュウゥッ!!

魔道士「――!?」

皇太子「くそっ!!」

賢者「……ごふぅ」

鋭くとがった教頭の右腕が賢者の腹部を容易く貫く。

教頭「……バカめっ、よけもせぬとは自殺願望か?」

賢者「……」

キュイイィィ…パアアァァ

皇太子「あれは……」

水の先生「回復魔法!!」
331 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 02:20:13.93 ID:lymar0u0o
魔道士「すご……っ。水があっという間に癒えて……」

賢者「……悪いが、よけるまでもないのさ……ふぅ」

教頭「そうだったな、貴様は賢者であったな」

ズボォ…ビシャッ

教頭「だが、知っているぞ」

賢者「……」

教頭「賢者は攻撃と回復、どちらの魔法をも駆使する事が可能」

賢者「……そうだよ……ふぅ」

教頭「しかしそのスイッチの為、攻防の間にラグが生じるっ!!」

ヒュオッ…ズボォ!!

教頭「つまりはぁ!攻撃し続けておればぁ、貴様は手出し無用っ!!」

賢者「……だから?」

教頭「その間に……あの3人を殺す」

再び腹部を貫いた右腕をそのままに、左腕に魔力を溜める教頭。

教頭「奴等葬った後にぃ……貴様を!!」
332 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/03(日) 02:23:26.01 ID:lymar0u0o
ガシッ

教頭「……?」

賢者「悪いね……ふぅ」

キュイイィィ…

教頭「な……に……!?」

賢者「僕を、世間の常識で……」

教頭「何故っ、攻撃魔法が……!?回復魔法を使っているのではないのかあぁ!?」

賢者「比べないでくれ……ふぅ」

教頭「やっ、やめ……っ!!許し――」

賢者「さよなら……ふぅ」

ドドオオォォォォンッ!!…ガカアアァァァァ!!

魔道士「あれは……五行の光……っ」

水の先生「完全に……消滅した……」

皇太子「何と言う魔力の使い手かっ」

賢者の撃ち放った聖行。それは微弱ながら教頭を消滅させるに十分な一撃となった。
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/03(日) 02:42:11.88 ID:ZWtoHYhAO
ワクワクテカテカ
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 02:46:53.92 ID:AK1IWMl1P
ワイトワイトコウ300シュ200
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/03(日) 02:50:53.43 ID:nRYgiY960
賢者は俺らの希望の星だな。
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/03(日) 02:54:52.13 ID:UnI+iLvAO
いちおつ

リアルタイムに見てる奴大杉ワロタwwww
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/03(日) 02:58:07.09 ID:ybRIRKnao
ふぅ…
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 03:11:03.90 ID:lRKdDV0Vo
>>1
賢者強すぎ!というか回復魔法すげーな!
よくあるRPGの設定だと「自己の生命力を最大限に引き出す」為、致命傷では回復出来ない事が多いけど
賢者の回復はまさに魔法だな!

…ふぅ
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/03(日) 05:20:15.78 ID:3hywo0l2o
>>1

ふぅ…
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/03(日) 08:43:47.31 ID:1Wghd/PAO
>>1おつ
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/04/03(日) 09:29:47.13 ID:KpSoub1b0
いちょつごふぅ
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/03(日) 10:54:50.45 ID:+WMKY8ZAO
なんという賢者無双
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 12:24:26.66 ID:R9bLQIKDO
ふぅ…

>>1
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/03(日) 18:51:47.01 ID:W3+aEIGAO
>>1おふぅ…
345 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 00:21:14.79 ID:TFj1pllFo
オオォォォォ…

賢者「……ふぅ」

水の先生「倒した……のか……」

皇太子「そのようだな」

タッタッタ

魔道士「賢者さんっ、大丈夫……」

賢者「問題ない……ふぅ」

ザッ…スタスタスタ

皇太子「しかし、あの男も教師の一人なのか?」

水の先生「ああ。学園長の孫さ」

皇太子「何っ!?」

魔道士「じ、じゃあ……天才さんの言ってた孫って……」

皇太子「……道理で、大した男だ」

水の先生「俺達も校舎へ向かおう。まだ完全に終わったわけではないからな」

魔道士「……はいっ」
346 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 00:22:10.85 ID:TFj1pllFo
タッタッタッタッタ

魔道士「あぁっ!?」

水の先生「学園長!!」

学園長「……く……くうっ」

火の先生「いいところに来てくれた!手を貸してくれっ!」

皇太子「!?」

水の先生「あの塊は……!?」

ザッザッザ

賢者「魔力同士が均衡し、燻っているのさ……ふぅ」

魔道士「あ、あれが全部……魔力!?」

人間側と魔物側、双方の間に浮かぶ巨大な球体。

さまざまな色を発し、空間は歪み、時に火花を散らし、時に雷鳴を轟かせている。

皇太子「あんなものが降りかかってきたら……」

水の先生「結界石などお構いなしに……全てが消し飛ぶぞっ!」

魔道士「ど、どうすれば……っ」
347 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 00:23:00.95 ID:TFj1pllFo
賢者「押し返す以外に方法はないね……ふぅ」

水の先生「押し返すとは言っても、劣勢……」

火の先生「だから、手伝えと申しておろうっ!」

魔道士「……やりましょう!」

水の先生「私はおろか、魔道士と賢者が加われば……っ」

賢者「仕方ない……ふぅ」

キュイイィィィィ

火の先生「おぉっ!押し返し始めたぞ!!

学園長「このままっ、一気に……」

ザザッ!!

火の先生「なぁっ!?」

皇太子「あれは……先程のグールかっ!」

水の先生「まだいたのか……っ」

グール「ゲギャアアァァーッ!!」

残党のグールが加わり、押し始めた魔力は再び、劣勢へと傾く。
348 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 00:23:44.97 ID:TFj1pllFo
火の先生「馬鹿もんっ、押されておるぞ!気合い入れんかっ!!」

水の先生「……文字通り、腐っても元国軍の魔道兵か」

魔道士「くうぅ……っ!」

グール「グガガアアァァ!!」

学園長「やられて……なるものですかっ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

賢者「手強いね……ふぅ」

水の先生「賢者がいてこれか……。アイツら、大したもんだよ」

火の先生「死してなお、これ程の魔力……」

水の先生「生前にかなりの鍛錬を繰り返したのだろうな……」

火の先生「ああ。魔王を倒す事を夢見てなぁ」

水の先生「賢者っ、それで全力なのか!?」

賢者「さっき、結構な魔力を消費したからね……ふぅ」

水の先生「何か……決め手があれば……」

皇太子「……私が行こう」
349 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 00:25:43.14 ID:TFj1pllFo
魔道士「!?」

水の先生「皇太子!?」

バッ

皇太子「……」

ザザザッ…タッタッタッタッタ

水の先生「何してるっ!?戻るんだ!!」

皇太子「奴らは今、魔法で全力を注いでいるっ!」

ザザッ…チャキッ

皇太子「つまり、剣による攻撃に於いては……」

ズバシュッ…ドシュッ…ズババッ!!

皇太子「隙だらけだっ!!」

グール「グギャアアァァーッ!!」

皇太子「はあぁーっ!!」

ザシュッ…ドシュッ…キィン…ザシュウウゥゥ

皇太子「……次ぃ!!」
350 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 00:26:24.81 ID:TFj1pllFo
火の先生「殿下……っ!!」

魔道士「え、援護を……っ」

水の先生「駄目だっ!」

魔道士「!?」

水の先生「今ようやく、魔力が均衡したのだ。一人でも抜ければまた押される」

魔道士「……っ」

水の先生「それに奴とて、魔法が使えないなりに、自分の出来る事をしているのだ」

学園長「……」

水の先生「今は皇太子を信頼し、魔法に集中するんだ!」

魔道士「……はいっ!」

賢者「……しかし、困ったねぇ……ふぅ」

学園長「あと少しっ、少しでいいから魔力があれば……」

ブウウゥゥン…キュイイィィィィ…

魔道士「え……っ!?」

水の先生「あ……れは……っ!!」
351 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 00:29:22.15 ID:TFj1pllFo
宙で均衡し燻っていた魔力が、徐々にグールの群れへと押し返し始める。

学園長「何……故っ!?」

火の先生「……あやつらっ!!」

その押し返す力は校内の至る窓から輝きを放ち、球体へと伸びていた。

学生「先生方が頑張ってるんだ……っ!俺だって……」

女学生「助けになるか分からない。でもっ、私だって将来は魔道士にぃ!!」

ドドオオォォンッ

学園長「あの子達……っ」

水の先生「バッカやろう……。危険だって言うのに……」

火の先生「……こんの、馬鹿者がぁ!!」

学生「――!?」

火の先生「いつも言っておるだろう!?魔法は心の強さっ!!」

女学生「……っ!!」

火の先生「もっと気合いを入れて、感情を高めんかぁ!!」

学生「……はいっ!!」
352 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 00:33:24.54 ID:TFj1pllFo
空が白く光っていた。

賢者「……ふぅ」

魔法の巨大な球体は生徒らの援護により、一気に校外へと弾き出された。

水の先生「皇太子っ!!戻れぇ!!」

皇太子「……ああっ」

いつのまにか淀んだ色は、球体から消え去り、煌びやかに輝いていた。

火の先生「うおおぉぉーっ!!」

学園長「これで……おしまいよっ!!」

そして球体は、グールの群れが身構える、その頭上に降り注いだ。

グール「ギギャアアァァァァ――」

魔道士「……っ!!」

空が白く光っていた。

その白い光に包まれ、軍服を着た元魔道兵達が包まれていった。

表情は変わらなかったし、言葉も発す事はなかった。

だが、彼らから『ありがとう』、という想いが確かに発せられていた。
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/04(月) 07:50:49.60 ID:YYMUiltDO
おつ
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/04/04(月) 08:25:27.81 ID:5plelkT0o
>>1おつ
はらはらさせられるなぁ
355 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:26:31.88 ID:McVc3/fDo
コオオォォォォ…

学園長「…………」

皇太子「終わったな」

魔道士「……ええ」

ドサァ

火の先生「ふはぁ、しんどいわい……っ」

水の先生「まさかこのような所まで狙われるとはな……」

皇太子「これは由々しき問題だな」

魔道士「……?」

皇太子「まさか、実力行使で挑んでくるとはな」

水の先生「魔王軍も本気って事か?」

皇太子「いや、今まであれだけ秘密裏に進めていたのだ……」

魔道士「つ、つまり……?」

皇太子「これは焦り、だな」

魔道士「焦り……」
356 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:26:57.59 ID:McVc3/fDo


皇太子「さて、行くとしようか」

水の先生「おいおい、まだ1時間も経ってないってのに……」

皇太子「うむ。しかし、本国の方も気になるのでな」

学園長「賢者、貴方は殿下にお付きなさい」

賢者「断る権利はなしか……ふぅ」

皇太子「すまんな、短い期間だが宜しく頼む」

魔道士「賢者さんが居れば、怖いものなしですよっ!」

賢者「……ふぅ」

皇太子「再度仕掛けてくる事はないと思うが、くれぐれも気を付けてな」

火の先生「ええ。生徒は校内へ避難したし、他の先生方も出勤するでしょうから……」

水の先生「もう大丈夫だろう。俺達の学園だ。あとは任せてくれ!」

皇太子「うむ。すまんな」

水の先生「何を言っている、自分のすべき事をしているだけさ」

皇太子「……」
357 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:27:26.96 ID:McVc3/fDo


水の先生「それじゃ……またな」

皇太子「ああ」

魔道士「行ってきます!」

学園長「賢者、二人をしっかりね」

賢者「……お婆様の頼みだ、分かっているよ……ふぅ」

水の先生「生きて必ず会おう。そして……」

皇太子「同窓会、誘ってくれよ」

水の先生「無茶言うなよっ、国王陛下になるんだろ?こっちから誘えるものか」

皇太子「そうか、ならば王宮で催すとしようか」

水の先生「それも……キツイな」

皇太子「それでは失礼するぞ」

バサッ…ザッザッザッザ

火の先生「殿下っ、人目だけでも振り向いてやって貰えませんかっ!?」

皇太子「……?」
358 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:27:59.41 ID:McVc3/fDo
クルッ

皇太子「……っ!!」

ワアアァァァァ

学生「殿下っ、殿下っ、殿下ー!!」

女学生「私達も頑張りますからっ!!」

水の先生「あいつら……っ」

皇太子「……頼もしい限りではないか」

魔道士「ええ……!」

皇太子「あの子らの暮らす世を平和にする為にも、頑張らねばならんな」

魔道士「はいっ!」

ザッザッザッザッザ

魔道士「それで、これからどこへ……?」

皇太子「先程の魔物、おそらくは学園狙いではない。我らを狙ったのであろう」

魔道士「!?」

皇太子「一箇所に留まるのは危険だ。それに……他の地も何もなければ良いが……」
359 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:28:33.06 ID:McVc3/fDo
〜剣士の村〜

パッカパッカッカ

少年「おっ、立派な馬車だ!きっと金持ちだぜ!」

少女「村長のお客さんかなぁ?」

カチャッ…テクテクテク

少女「こんにちはっ!」

右大臣「おぉ、こんにちは。元気かな?」

少年「おうっ!おっちゃん何者だい?村長に用?」

右大臣「ああ。村長はいるかな?」

少女「家に居ると思うよー!」

右大臣「そうか、ありがとうよ」

テクテクテクテク

右大臣「……」

コンコンッ…カチャッ

村長「……!?」
360 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:29:01.51 ID:McVc3/fDo


右大臣「すまんな、急な来訪で」

村長「いや、構わんさ」

カチャカチャッ…コトッ

村長「それで、今日は一体どうしたというのだ?」

右大臣「……」

村長「陛下が亡くなったそうだな。その件についてか?」

右大臣「……もう伝わっておったか」

村長「こんな田舎の村にまで入っている。おそらくは全土に伝わっておるよ」

右大臣「そうか……」

村長「何か深刻な事態のようだな」

右大臣「……かつて、お前に預けた箱を覚えておるか?」

村長「箱……あぁ、随分前に預かったな。確か誰にも知られてはならんと……」

右大臣「ようやく必要な時が来た。それを貰いにきたのだ」

村長「……あの箱、一体何なのだ?」
361 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:29:58.25 ID:McVc3/fDo
右大臣「あれは世界をも変える力を持つ、危険なものだ」

村長「……」

右大臣「さぁ、あまり時間がない。頼む」

村長「……ついてくるが良い」

スクッ…テクテクテク

二人は村長の家を離れ、村外れにある小さな教会へと向かった。

右大臣「ここに……?」

村長「お前の頼みだ。決して知られる事のないように保管しておるよ」

右大臣「……ありがたい」

村長「こっちだ」

テクテク…ザッザッザ

村長「礼拝堂の壇の下。少し安直やもしれんがな」

右大臣「!?」

ズズッ…ゴトンッ

村長「……これだったな」
362 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:30:27.72 ID:McVc3/fDo
コトッ

右大臣「……おぉ」

村長「これはどういった物なのだ?」

右大臣「……亡き陛下の意思を記したものよ」

村長「!?」

カチャッ…

村長「紙の束……手紙かっ!?」

右大臣「重臣へ一人一人向けた、陛下の想いを込めた直筆の手紙よ」

村長「何と……っ」

右大臣「陛下ほど人の和というものを重んじた方もおらなんだ……」

村長「……」

右大臣「こうなる日が来る事も全く考えてなかったわけではない」

カサッ

右大臣「自身亡き後に生じる派閥問題、後継者争い……」

村長「その時を見越して……これを……っ」
363 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:31:03.22 ID:McVc3/fDo
右大臣「そういう事だ。陛下の御心を知れば皆とて――」

バンッ…カツカツカツ

右大臣「――っ!?」

左秘書官「そういう事でしたか……」

右大臣「貴様……っ」

村長「な、何事だ……!?」

左秘書官「左大臣様の命により、このような辺境の地へ来てみれば……」

カツカツカツ…コツ

左秘書官「何やら、面白い事になっておりますね」

右大臣「貴様には関係のない事であろうっ!」

左秘書官「……ふっふ、クッハハハハ!!」

村長「!?」

左秘書官「どうでしょう、それを大人しくお渡し頂けませんかね?」

右大臣「馬鹿な事を申すなっ!」

左秘書官「大人しく渡せば、痛い目は見ずに済みますよ?」
364 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:31:33.30 ID:McVc3/fDo
村長「右大臣、これは……っ」

右大臣「……っ」

左秘書官「左大臣様から、魔族化解禁の承認は得ている」

カツカツカツ

左秘書官「しかしね、私も手荒な真似は極力したくはないのですよ」

村長「どうせ渡したとしても、村を滅ぼすつもりなのだろう!?」

左秘書官「お望みとあらば……」

村長「貴様は……人ではない!恥を知るがいいっ!」

左秘書官「人ではない……クハハッ、それは褒め言葉ですね」

右大臣「貴様らは何をそこまで……」

左秘書官「左大臣様のお考えは存じ上げません」

右大臣「……」

左秘書官「しかし、あの御方が魔物と通じていると知った時、衝撃が走りましたよ」

村長「何じゃとぉ……っ!」

左秘書官「人と魔物が共存するこの世界、必要な物は……戦い!」
365 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:32:46.34 ID:McVc3/fDo
右大臣「……」

左秘書官「人は戦う為に武具を生み出し、魔物を狩る」

村長「……っ」

左秘書官「そして失えば再び作り上げ、それを売り、そして買う」

右大臣「何を……」

左秘書官「経済を発展させ、町を築き生活を始める……」

カツカツ…カツ

左秘書官「そして魔族はそれを遅い、人間は再び町を作り直す」

右大臣「何を言っている!何が望みだっ!」

左秘書官「この卓越した経済!それを操る事こそが我らのようなものにとって……」

カツ…ザッ

左秘書官「至福の時とは思えませんか!右大臣殿っ!」

右大臣「お前は狂っておる……。人間の命を何だと思っているのだ」

左秘書官「人はいずれ死にます。魔族のようにはいかない」

右大臣「だから守るのであろうっ!!」
366 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:33:25.43 ID:McVc3/fDo
左秘書官「守ったところで直ぐに死ぬっ!!」

ザッ

左秘書官「……このようにね。クククッ」

村長「――っ!!」

教会の扉から光が入り込む。そこに立つ数人の国軍兵、であった者。

彼らの右手には鋭い剣。そして左手には……小さな子供達。

少年「離……っせよぉ!お前ら国軍だろ!?」

少女「やだよぉ、降ろしてっ!!」

村長「やっ、やめろぉ……やめてくれっ!!」

左秘書官「さぁ、大人しく箱を渡す気になりましたかね?」

右大臣「……っ」

左秘書官「守ってみせるのでしょう?人間の命とやらを」

右大臣「……下衆が」

ポイッ…ゴトゴトゴトッ

右大臣「約束しろ、村の者らには手を出さぬとな」
367 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:38:24.55 ID:McVc3/fDo
左秘書官「……」

カツカツカツ…コトッ

左秘書官「これが箱……。ククッ、確かに頂きましたよ」

スゥッ

左秘書官「引き揚げるぞ」

ゾンビ「……」

ザッザッザッザッザ

村長「まっ、待て!!」

ザザッ…タッタッタッタッタ

村長「子供達を……解放しろっ!!」

右大臣「箱は渡したぞ!!」

左秘書官「……」

クルッ

左秘書官「……不愉快だな」

右大臣「!?」
368 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:39:02.56 ID:McVc3/fDo
左秘書官「もっと絶望的な顔を見せて下さいよ」

ザッザッザ

左秘書官「最早、打つ手なしなのですよ?貴方達……右翼はね」

ザッザッザ

左秘書官「何故、いつまでも諦めぬのか。何故、そのような顔でいられるのか」

右大臣「諦めたらそこで終わりだからじゃよ」

左秘書官「……」

右大臣「一抹の希望がある限り、諦めるわけにはいかんのだ!!」

左秘書官「……おい」

ザッ

ゾンビ「……」

左秘書官「この思想家に現実を突き付けてやろう」

村長「!?」

左秘書官「……まぁ、元よりそのつもりではあったがね」

右大臣「くっ!!」
369 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:39:38.40 ID:McVc3/fDo
左秘書官「辺境の村が1つなくなったところで、また作り直せば良いだけの事です」

村長「たっ、頼む……やめてくれっ!!」

左秘書官「その方が、経済も豊かになる。フッククク」

ゾンビ「……」

左秘書官「……殺れ」

ゾンビ「……ギヒッ!」

右大臣「――っ!!」

村長「やめ――」

ドドオオォォォォンッ…シュウウゥゥ

左秘書官「……?」

ゾンビ「……グ……ギャアアァァ!!」

抱え挙げた少女を突き刺そうと、ゾンビが長剣を振りかざした途端、

その両腕が吹き飛び、煙を上げて地面へと落ちる。

左秘書官「何が……起きた……!?」

それは魔法によるもの。その主は剣を向けられていた少女であった。
370 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:40:09.17 ID:McVc3/fDo
右大臣「何と……っ」

村長「……幼女!!」

幼女「……許せない」

ストッ…テッテッテ

幼女「みんなを……離しなさいっ!!」

キュイイィィィィ

左秘書官「ちぃ……っ!!」

ドドオオォォォォンッ!!…ゴアオオォォォォ

ゾンビ「ギヒアアァァーッ!!」

ボトボトボトッ…ズシャアアァァ

幼女「みんなっ、大丈夫!?」

少女「けほけほっ!」

少年「さっすが幼女ちゃん!助かったぜぃ!」

幼女「早く離れてっ!」

少年「おうよっ!みんな、逃げるぞー!」
371 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:40:40.52 ID:McVc3/fDo
タッタッタッタッタ

左秘書官「ガキがぁ……っ」

幼女「はああぁぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ガカアアァァァァ

右大臣「炎の次は落雷っ、しかも何という魔力か……っ」

幼女「みんなには、近づけさせないんだからぁ!」

ドドオオォォンッ!!…ズガアアァァァァ

左秘書官「ぐ……がああぁぁ!!」

ブスブスブスッ…ヨロッ

左秘書官「く、くく…っ。肉体が持たぬ……」

ズザッ

幼女「はぁ……はぁ……っ」

左秘書官「躊躇なく攻撃してくるとは。子供は無邪気なものよ……ククッ」

村長「なっ、何だ!?」

左秘書官「良かろうっ、どうせ肉体は持たぬ。私は……人間をやめるぞおぉ!!」
372 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:41:22.11 ID:McVc3/fDo
グアッ…メキメキメキッ…ボゴォッ!!

右大臣「魔族化かっ!!」

幼女「えっ、えぇ!?」

村長「幼女っ、お前も早く逃げるんじゃ!!」

右大臣「……っ!!」

左秘書官「……さぁ、楽には殺さんぞ。己の無力さを痛感するがいいわっ!!」

ザッ

左秘書官「まずは……この箱を消し去ってくれるわ」

右大臣「――っ!!」

左秘書官「クッハハハ!!灰と化すが良いわぁ!!」

フォンッ!!

左秘書官「何ぃ!?」

風を切る音と共に、一本の矢が左秘書官の腕を射落とす。

ドシュッ!!……ゴトンッ

右大臣「箱が……っ!!」
373 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:41:57.21 ID:McVc3/fDo
タッタッタッタ…ガシィッ

左秘書官「貴……様ぁ!よこせっ!!」

ヒュオンッ…ドスドスッ!!

左秘書官「ぐうっ!?……な、何だ……この矢は!?」

――「結界石でこさえた鏃よ。そう簡単には抜けないでしょう?」

ザッザッザ

左秘書官「何者だぁ…?」

村長「お、お主……っ」

幼女「……お母さんっ!!」

弓使い「幼女、下がっていなさい」

幼女「いやっ!」

弓使い「!?」

幼女「私も……戦うっ!」

弓使い「あなたねぇ……」

幼女「……」
374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:42:30.97 ID:McVc3/fDo
弓使い「……分かったわ。でも、後ろに下がってて頂戴ね」

幼女「うんっ」

弓使い「そして、お父さんの援護をお願いねっ!」

幼女「うんっ!!」

ガバッ!!…ジャキッ

剣士「はあぁーっ!!」

左秘書官「何ィ――!?」

突如背後から現れた剣士は、そのまま剣を振り下ろす。

虚を突かれた左秘書官は回避するコトが出来ず、その一撃を肩に受けた。

ザシュウウゥゥ

村長「やったか!?」

剣士「……いやっ、この手ごたえ……やはり不死か」

左秘書官「……グ…ヌヌゥ」

ヨロッ……スタッ

左秘書官「まだゴミが居たのか。全く気付かなかったわ……」
375 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:43:19.99 ID:McVc3/fDo
ザザッ

剣士「村長っ、右大臣様!ご無事でっ!?」

右大臣「かたじけない……っ」

村長「ま、まだ子供達が……」

剣士「それならばゴ安心下さい」

村長「……?」

パッカパッカパッカパッカ

白馬騎士「子供達は我が騎馬隊が無事、保護致しました」

村長「お、おぉ……!!」

右大臣「あれは南東国の……!!」

剣士「残るは貴様だけだ」

左秘書官「……クッフフフフ。小賢しい、実に小賢しい!」

グアッ

左秘書官「不死となったこの私相手に……どう戦うというのかねっ!!」

剣士「……っ」
376 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:43:47.66 ID:McVc3/fDo
ブオッ…ドズウウゥゥゥゥン!!

剣士「……」

左秘書官「ほらほらっ、逃げてばかりではどうにもなりませんよっ!!」

剣士「…………」

左秘書官の言う事は、あながち間違いではなかった。

剣士や弓使いの通常攻撃では、致命傷を与える事は難しい。

可能な手段はあくまで、幼女の援護を受けての魔法付加。

幼女「たあぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴオオォォォォォ

剣士「っりゃああぁぁ!!」

ズバシュッ!!…ゴアアァァァァッ

左秘書官「再生に無駄な魔力を消費しますが、この程度、大した事はありませんよ!」

剣士「……っ」

炎による魔法剣を浴びせるも、左秘書官の胸部は即座に再生し、

再び反撃へと転じる。剣士はそれを冷静に、そして器用に回避する。
377 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:44:40.44 ID:McVc3/fDo
ヒュッ…スタッ…タッタッタッタ

左秘書官「さぁさぁ、どんどんいきますよぉ!!」

キュイイィィィィ…

弓使い「幼女っ!」

幼女「はいっ!」

ビュオッ…ドドオオォォォォン

魔法を放とうと身構える左秘書官の両手に氷の矢が突き刺さる。

ガギキキイイィィ

左秘書官「……」

剣士「はああぁぁーっ!!」

ザシュウウゥゥ

左秘書官「だから、無駄だと言っているでしょう……」

ズザザァ…スタッ

剣士「……はぁはぁ……はぁ」

左秘書官「それとも、私が再生不能になるまで、魔力を削り続けますか?」
378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:45:28.71 ID:McVc3/fDo
剣士「……くっ」

左秘書官「三日三晩戦い続ければ、それも可能やもしれませんねぇ」

右大臣「確かに、左秘書官の言う通りだ……っ」

村長「だがっ、どうする!?」

右大臣「アンデッドを完全に葬り去るには、五行の力以外にない」

村長「……っ!!」

右大臣「だが、我らの魔力ではおろか、あのような少女では……」

村長「負担が大きすぎる!微弱な五行でも命にかかわるぞ!」

右大臣「分かっておる。だからこそ八方塞がりなのじゃ……っ」

村長「ならばっ、奴が言うように三日三晩戦い続けろと!?」

右大臣「…………」

パッカパッカパッカ

白馬騎士「さぁ、お二方もお退き下さいませ」

村長「儂はこの村の長。おめおめと逃げるわけにはいきませぬわ」

白馬騎士「しかしですね……」
379 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:46:07.54 ID:McVc3/fDo
村長「この村は我が命。直せば良いやもしれぬが、そんな簡単なものではない」

白馬騎士「……」

村長「それに、ここに住まう者らは我が家族も同様。失えば取り戻せるものではない!」

右大臣「その通りだ」

白馬騎士「……」

右大臣「時に白馬騎士殿、貴公は魔法を扱えるかな?」

白馬騎士「……氷の魔法であれば、多少は」

村長「どうするつもりだ?」

右大臣「残す手は、合体魔法以外あるまい……っ」

村長「どうやって……」

右大臣「私とお前、そして白馬騎士殿」

村長「それに、幼女と……弓使いか?」

右大臣「剣士殿を媒介に、それで仕掛けるしかあるまい」

村長「そんな間に合わせの五行で成功するものかっ」

右大臣「他に手はないのだっ」
380 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:46:37.40 ID:McVc3/fDo
村長「魔力を均一に押さえ込まねば……暴走するぞ」

右大臣「……」

村長「そしてしくじれば、それは媒介者の元へ、全て跳ね返る……っ」

右大臣「……」

白馬騎士「……剣士殿なら大丈夫でしょう」

村長「……?」

白馬騎士「あの者の強さはその柔軟性にある」

村長「ど、どういう事かな……?」

白馬騎士「微量の誤差ならきっと、修正可能なはずですよ」

右大臣「……どうする?決断はお主が下すが良い」

村長「……っ」

右大臣「この村や、彼らはお前自身も同じなのだろう!?」

村長「……剣士っ、弓使い……幼女!!」

剣士「!?」

弓使い「な、何っ!?」
381 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:47:38.26 ID:McVc3/fDo
剣士「……行くぞっ!」

幼女「えっ!?」

弓使い「でもっ、魔物が……」

白馬騎士「突撃ぃーっ!!」

騎馬兵「おぉーっ!!」

ドドッドドッ…

左秘書官「何だ……?」

村長の呼び掛けに応じ反転する剣士らと同時に、白馬騎士の号令にて

騎馬隊が入れ替わるように左秘書官へと一気に突撃する。

白馬騎士「しばしの間で良い!華国騎馬隊の意地を……見せてやれっ!」

騎馬兵「おおうっ!!」

ドドッドドッ…ガキイィィン

左秘書官「何かするつもりだな……?小賢しいっ!!」

騎馬兵「進ませるかっ!!足止め程度なら……我らとてっ!!」

左秘書官「無力な蟻のような分際で……生意気な口を叩くなぁ!!」
382 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:48:37.09 ID:McVc3/fDo
ドドオオォォンッ!!

剣士「!?」

白馬騎士「振り返るな!」

剣士「……っ」

タッタッタッタッタ…ザザッ

右大臣「良いか、時間がない。手短に話すぞ」

弓使い「……」

右大臣「奴はアンデッドと化している。倒すには五行以外にない」

幼女「……っ」

右大臣「剣士、君を媒介として他の者で同調五行を放つ」

村長「おそらく、完全に均一するとは思えぬ」

白馬騎士「剣士殿、最終調整は君自身の魔力で均等化してくれ」

剣士「……僕に、出来るでしょうか?」

白馬騎士「君なら出来る。間違いなくな」

剣士「……」
383 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:49:29.81 ID:McVc3/fDo
右大臣「良いか、奴は狡猾な男だ。チャンスはたった一度きり」

白馬騎士「私が水行を担当します」

弓使い「私は……風以外、自信がないわ……っ」

村長「儂が金行……雷を引き受けよう」

右大臣「幼女ちゃん、君は?」

幼女「じゃあ……土」

右大臣「では、私が火。これでいこう」

白馬騎士「合図はいかがなさるので?」

村長「弓使い、お前がまず、矢を空へ放ってくれ」

弓使い「……?」

村長「それが着地を合図に、一斉に放つ」

弓使い「……分かりました」

村長「魔力は一番弱いと思われる、弓使いにベースを合わせるぞ」

右大臣「では各々、準備にかかってくれ」

幼女「……う、うんっ!」
384 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:50:01.19 ID:McVc3/fDo
ザザザッ

左秘書官「そうらっ、ひとたび当たれば……死に繋がるぞぉ?」

騎馬兵「くそっ、弄びやがって……っ」

左秘書官「そろそろまとめて消し去ってくれようか!」

騎馬兵「ただで……死ぬかってのおぉ!!」

左秘書官「無力だなっ、己の無力さを噛み締めるがいいわっ!」

白馬騎士「散っ!!」

騎馬兵「――!?」

左秘書官「何だ……っ?」

白馬騎士の叫び声は号令の合図。その指示に従い、各騎馬兵は

即座に四方へと散開し、一斉に騎馬を反転させる。

白馬騎士「爆っ!!」

白馬騎士「はああぁぁーっ!!」

ジャキジャキジャキッ…ドシュシュシュシュッ!!

剣士「一斉投擲!?」
385 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:50:30.85 ID:McVc3/fDo
左秘書官「目晦ましか何かのつもりか……?」

白馬騎士「今ですっ!」

ザザッ…ギリギリギリッ

弓使い「……んっ!」

ビシュッ!!

弓使い「頑張って!」

剣士「ああ、君達もっ!」

幼女「うんっ!」

タッタッタッタッタ

左秘書官「勝てぬと分かって逃げ出したか……」

タッタッタッタ…

左秘書官「ん……?」

剣士「……」

左秘書官「(一人だけどこへ向かうつもりだ……?)

キュイイィィィィ
386 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:50:58.38 ID:McVc3/fDo
左秘書官「何っ!?……あれは……五行かっ!!」

ババッ

左秘書官「いや、待てよ。あの男……そうか、そういう事か。ククッ!」

クルッ

左秘書官「貴様の剣を媒介に、五行を撃つつもりだなぁ?」

剣士「――っ!?」

村長「しまった……読まれたっ!!」

右大臣「構わんっ!もうじき矢が……」

剣士「弓使いぃーっ!!」

弓使い「!?」

そして弓使いの放った矢がぽとりと地面に突き刺さる。

右大臣「撃てぇーっ!!」

ドドオオォォォォンッ!!

左秘書官「……手遅れだ」

剣士の目の前に移動した左秘書官の両手から、赤黒い闇の炎が放たれた。
387 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:51:37.71 ID:McVc3/fDo
ズガガアアァァァァッ!!…ドドオオォォォォ…

村長「け……剣士……っ」

左秘書官「フッククク!!ハハハハッ!!」

黒煙の中から崩れた土の壁と共に、人影が浮かび上がる。

左秘書官「何……っ?」

ガラガラガラッ…ゴトン

剣士「……ぐ……ふっ」

左秘書官「な、何故だ!?至近距離で……バカなっ、直撃のはずだっ!」

剣士「……よ、幼女……っ」

右大臣「!?」

村長「幼女っ、お前……咄嗟に切り替えたのか……っ」

幼女「……ごめんな……さい」

白馬騎士「人の命には変えられんさ」

左秘書官「ククッ、しかしこれで……策は尽きたというわけだな」

剣士「……どうかな」
388 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:52:55.10 ID:McVc3/fDo
左秘書官「何……っ?」

攻撃をかわす刹那、必死で叫んだ弓使いの名。

その叫びだけで両者の間には、想いが伝わっていた。

弓使い「……」

ギリギリギリッ

村長「!?」

右大臣「こぼれた四行を……矢で……!?」

白馬騎士「あの矢は最初に放った……」

剣士「拾って投げるだけで精一杯だった……攻撃の回避も……」

フラッ

剣士「助かったよ……ありがとう、幼女」

幼女「お父さんーっ!!」

左秘書官「させるかああぁぁ!!」

ザクッ…ガクンッ

左秘書官「……?」
389 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:53:50.35 ID:McVc3/fDo
踏み出そうとした己の右足を、突如封じる長剣。

剣士「倒れこむくらいはまだ……出来るさ」

秘書官「――ッ!!」

最後の力、とは最早言えないかもしれない、剣士の一撃。

その場に倒れこみながら突き刺さった剣は、左秘書官の身動きを封じ込めた。

弓使い「……っ!!」

剣士より受け取った四行の魔法が付加した矢を、弓使いは放つ。

バシュウウゥゥ!!…キイイィィィィンッ

左秘書官「……ちぃ」

最初は事の起こりに焦りを生じた左秘書官であったが、その頭脳はかつて

経済機関で培われてきたもの。咄嗟に、そして冷静に状況を判断する。

左秘書官「……」

それは四行である事を踏まえた上での防御。相当の魔力を失う事は必須だが、

五行ではない分、完全消滅には至らないと判断したのだ。

そして、その選択は結果、失敗に終わった。
390 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:54:32.37 ID:McVc3/fDo
ィィィイイイイ…

左秘書官(…………?)

迫り来る矢を見つめ、左秘書官は違和感を覚えた。

左秘書官(何だ、あの……周囲に漂うものは……っ)

イイイイイイ…

左秘書官「……バカなっ!?ま、魔法だとおぉ!?」

四行の矢を追うように、周囲に付随する魔力。それは左秘書官の見据える、

弓使いの更に後方、教会の脇から流れていた。

キイイィィィィ…

――『……れた……かな』

弓使い「……えっ?」

左秘書官「光が……五行の光――」

ボシュンッ!!…ズシャアアァァァァ!!

五行の光を形成した矢は、紙を貫くように左秘書官を突き破り、消失した。

それと同時に発生した光の柱へ吸いこまれる様に、左秘書官も、消失した。
391 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:55:02.73 ID:McVc3/fDo


剣士『…………』

――『おーい』

剣士『……くっ』

――『生きてるか?』

剣士『……魔道士!?』

男『やっと、君らに力を貸せた』

剣士『何を言ってる。君にはいつも力に……』

男『……いや、ずっと心残りだったんだ』

剣士『そんな事はないさ、僕の方こそ……』

男『いいや、剣士。君は立派に頑張っているさ』

剣士「僕はただの……臆病者さ』

男『でも、再び立ち上がったじゃないか。僕とは違う』

剣士『お、おいっ!!魔道士!?』

男『弓使いを泣かせるなよ?その時は化けて出てやるからな。はははっ――』
392 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:55:48.23 ID:McVc3/fDo
剣士『待てっ、待ってくれ!!魔道士――』

ガバッ

剣士「……っ!?」

村長「おぉ!!気付いたかっ!!」

幼女「うっ、ひぐぅ……うわああぁぁんっ!!」

ガバッ

剣士「幼女……痛っつぅ!!」

村長「これ、まだ傷は癒えておらんのだ。抱きつくでない」

弓使い「……良かった。無事で良かった……っ」

白馬騎士「剣士殿、まことに見事であったぞ。貴殿の力があってこその勝利だ」

剣士「勝った……のか……」

弓使い「でもっ、無茶はしないでよぅ……」

剣士「弓使い……。ちょっと、泣かないでくれよ……っ」

弓使い「だって、そんな事言ったってぇ……」

剣士「君に泣かれると……彼に叱られてしまうからね……」

弓使い「……?」
393 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 18:56:51.84 ID:McVc3/fDo


騎馬兵「……問題ありませんっ!死者はおりません!」

白馬騎士「負傷者も数名程度。皆、無事のようだな」

剣士「しかしこれ程の被害で済むとは……っ」

右大臣「全て、彼女のお陰だ」

剣士「彼女……?」

スクッ…テクテクテクテク

女「始めまして、たまたま通りかかったもので」

剣士「……?」

女「魔物の気配を感じて来たのだけれど、既に戦いは……ごめんなさいね」

右大臣「この者が皆の治癒を施してくれたのだ。無論、君の治癒もな」

白馬騎士「我が隊の者も大いに助かりました。ありがとう」

女「いいえ、この程度の事しか出来ませんから」

剣士「え、えっと……お名前は……」

女賢者「功績ランク5位、女賢者と申します。うふっ♪」



〜第四十二部、完〜
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/04(月) 18:58:20.75 ID:McVc3/fDo
ひとまずここまで!それでは失礼致します!
ご支援ありがとうございました〜!ノシ

細かいので別にいい気もしますけど…
>>384
×白馬騎士「爆っ!!」
×白馬騎士「はああぁぁーっ!!」

○白馬騎士「爆っ!!」
○騎馬兵「はああぁぁーっ!!」
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/04(月) 18:59:56.42 ID:o7XWYsB7o
>>1おつ

秘書官に針でぷつぷつ魔翌力が尽きるまで突っつくのを
想像してワロタ
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 19:08:33.37 ID:8i9fFu1DO
>>1乙!
弓使い一家が好きすぎてダメだ!!
幼女が戦っているのを見て、戦場でおとうと戦ってたのとか思い出したり
弓使いの普通のワーカーレベルなのに頑張って戦っている姿とか
みんなから貰った結界石の矢が役に立ったりとか見てて胸熱過ぎた。

そして極めつけで魔道士まで出てくるとか……

うん、なんか花粉症が酷くなってきたし帰ろう
大量更新お疲れ様!
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 19:20:59.96 ID:PVTYZZPe0
右大臣かっけーな!濡れた!!!
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 20:23:05.65 ID:1W0EVhrDO
女賢者か…
…ぅふ…
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/04/04(月) 21:20:38.93 ID:hcBKLiVU0
いちょつうふ

チラ裏なんだが
ふと左秘書官戦で
村長「ふむ……使いたくはなかったが……仕方あるまい……」
的展開があるかと期待してしまったそれだけです
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/04(月) 21:57:23.16 ID:iCn75o2Jo
女賢者が『うふっ♪』によって俺の脳内でおネェキャラに…
この怒りは左大臣に向けとくわ
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/04(月) 21:58:31.33 ID:77H9gIuxo
女 の 賢者…だと?
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 22:15:42.95 ID:UV0zml42o
魔導師△
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 22:34:48.63 ID:OknFpN1DO
いちおつ

もう四十三部かぁ
これって魔王倒すまでがプロローグだっけ?
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/04/04(月) 23:27:26.19 ID:eBFTyRaPo
魔王倒してプロローグ終わり

それから始まる召喚士と魔道士の二人の生活に戦士と盗賊が来て楽しく騒いだり
朱雀嬢が来て修羅場ったりする話が本編
405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 23:46:11.28 ID:TFj1pllFo


トテトテトテ…コトッ

幼女「はいっ、どうぞ」

女賢者「ありがと」

幼女「お姉さんは、賢者なの?」

女賢者「そうよ〜」

幼女「やっぱそうなんだ、すごーい!」

女賢者「そんな事ないわよ〜。攻撃と回復、両方出来れば誰でもなれるもの♪」

幼女「それが……難しいと思う」

テクテクテク

弓使い「綺麗な人ねぇ」

とても上位ワーカーには見えないよ」

弓使い「……ええ」

幼女「あははははっ!」

女賢者「うふふっ♪」
406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 23:48:02.54 ID:TFj1pllFo


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第四十三部〜
407 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 23:49:50.54 ID:TFj1pllFo


村長「ほっ、本当なのか……っ!?」

右大臣「うむ。本当の事だ」

村長「道理で……躍起になって襲ってくるわけだ」

右大臣「まさか、ここまで実力行使してくるとは思わなんだがな……」

村長「それにしてもあの……魔道士の少女が」

白馬騎士「華国でも大騒ぎですよ……」

右大臣「すまない。語るわけにはいかなかったのだ……っ」

白馬騎士「お気持ちは分かりますよ」

右大臣「……」

白馬騎士「後継者争いで国が荒れる事は……断じてあってはならないのです」

右大臣「……経験かね?」

白馬騎士「あのような悲劇は……二度と……」

村長「それで、この箱で解決致すのか?」

右大臣「してみせるさ。この真なる……王の手紙で」
408 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 23:50:58.12 ID:TFj1pllFo
〜バーテンの店〜

戦士「……はぁ」

バーテン「どうした?溜息なんぞ吐いて」

戦士「なーんか、ジッとしてるってのも……どうなのかな〜ってよ」

バーテン「何も動く事ばかりが戦いじゃねぇんだぞ」

戦士「そりゃ……そうだけどよ」

バーテン「お前も他の二人見習って、ちったぁ何かしたらどうだ?」

戦士「見せの手伝いはごめんだぜ」

バーテン「お前になんぞ頼むかって」

戦士「へいへい」

スクッ

バーテン「どこ行くんだ?」

戦士「外で剣でも振ってくるわ。鈍っていけねぇ」

テクテクテクテク

バーテン「……ったく」
409 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 23:52:14.04 ID:TFj1pllFo
テクテクテク

戦士「……おーっす」

召喚士「戦士。どうしたの?」

戦士「ちょいと素振りでもかましておこうかと思ってな」

召喚士「そっか。頑張るね」

戦士「こんな時にゃ、そのくらいしか出来んからなぁ」

召喚士「……うん。無力だよ」

戦士「全くだ」

盗賊「…だが、それが私達の…今の力だ」

召喚士「盗賊さん」

テクテクテク

戦士「何だ、お前も素振りか?」

盗賊「…もう終わった」

戦士「あっそ……」

盗賊「…召喚士は…何してるんだ?」
410 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/04(月) 23:54:43.30 ID:TFj1pllFo
召喚士「ええ、これを……」

戦士「召喚術の本と、サモナーさんのレポートか。真面目だねぇ」

召喚士「そんな事ないって。必要だから読んでるんであって……」

戦士「別に読みたくない?」

召喚士「勉強とか苦手何だよ……っ」

盗賊「…意外だな」

戦士「ああ。全然そうは見えん」

召喚士「やっぱり、身体動かしてる方がいいよ」

テクテクテク

バーテン「そんじゃ、身体動かしてきたらどうだ?」

召喚士「……バーテンさん」

戦士「何させる気だよ?」

バーテン「阿呆。てめぇらの師匠の墓くらい、綺麗にしておきやがれ」

召喚士「あ……っ」

バーテン「ついでに家ん中も埃まみれだろ。ほれ、掃除してきな」
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/05(火) 00:05:39.63 ID:5FrbZXe2o
ちょろっとですが冒頭だけ…それでは、おやすみなさいです!ノシ
弓使い一家の人気は相変わらずで嬉しい限りです!

>>403-404
ちょっとww

〜久々すぎるオマケ〜

戦士「……あー」

召喚士「ど、どうしたの!?」

戦士「なんか……久々すぎてなにやってたか忘れた」

召喚士「えぇ!?」

戦士「もう何でもいいか……。ふわ、寝よう寝よう」

召喚士「ちょっと!?これから一番大変な時なんだよ!?」

戦士「だってよー出番ねーし……。盗賊なんかほれ」

召喚士「!?」

盗賊「な、何でございましょーか!?」

戦士「……完全に別キャラになっちまってるぞ」

召喚士「……っ」

盗賊「元からこういうキャラだもんっ!ぷんすかっ☆」
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/05(火) 00:37:48.64 ID:oxmrPC/40
>>411 ワロタwwww
やっぱり盗賊が一番好きだww
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 00:55:38.15 ID:nvH/FaHzo
>>1
久しぶりといえば麻雀編は俺達の戦いはこれからだ!な流れでいいのか?
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/05(火) 01:31:17.19 ID:wMay/cjAO
>>1おつ

左大臣ファミリーがハリポタの死喰い人みたいだな
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 03:12:15.09 ID:8YAJF1FSO
いちおつ!

ダンデVS魔王を見て、魔王討伐とか無理だろwwwwwwとか思ったが
だんだん五分に持ち込める感がでてきたな

それにしても「魔導師ちゃん」の人は無事なのか自重してるのかが気になる
いるとキモいけど、いないとキモいけど気になる
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/05(火) 03:28:35.29 ID:ol/kZhUDO
女賢者とか俺得 
魔王軍に捕まって監禁凌辱とか考えただけど汁でちゃう
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/04/05(火) 08:42:44.18 ID:RvquDo1to
五行の力があれば、原発も消し飛ばせるだろうか
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 09:15:34.84 ID:XbGYnMSDO
たまには黒騎士三人のことも思い出してあげてください……
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/05(火) 15:24:29.30 ID:2f+J6vdAO
どこぞのは書籍化漫画化だというのにこっちときたら(笑)
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/04/05(火) 15:43:43.90 ID:oNo2xWhlo
漫画になっても読まねえわ
ドラマCDなら考える
421 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:27:27.11 ID:ysIh2Tobo


召喚士「それじゃ、行ってきます」

バーテン「おーう。頼んだぜ」

戦士「そんじゃあ行くとするかね」

盗賊「…ああ」

召喚士「戦士も盗賊さんも、付き合わなくていいんだよ?」

戦士「こんな所でボーッとしてるより全然マシ」

バーテン「ああん?」

盗賊「…本も…返したいしな」

戦士「それに、そろそろ仕入れておかないとな」

召喚士「……?」

戦士「ほれ、これだよこれ」

ズイッ

召喚士「……師匠酒、ね」

戦士「そういう事!」
422 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:28:16.35 ID:ysIh2Tobo
テクテクテク

召喚士「何だか、師匠の家も久し振りだなぁ」

戦士「そうだな。本当は月1くらいで手入れしないといけないんだろうけどな」

盗賊「…うん」

召喚士「まぁ、師匠も分かってくれるんじゃないかな」

盗賊「…?」

召喚士「今、自分達がやらなくちゃいけない事」

盗賊「…ああ、そうだな」

戦士「全部落ち着いてからにすっか。寂しがらなきゃいいけどな、はははっ」

召喚士「……さぁ、一気に登ろっか!」

戦士「おーし、真っ直ぐ突っ切るぞ!今の俺らなら素通りもいいとこだろっ」

盗賊「……ビリは…罰ゲーム」

戦士「よーし乗った!」

ダダッ!!

召喚士「ち、ちょっと!?……ずるいっ!!」
423 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:28:45.33 ID:ysIh2Tobo
〜剣士の村〜

コンコン…カチャ

剣士「お茶のおかわり、要りますか?」

村長「良いところに来た」

剣士「……?」

右大臣「これからの方向性を決めようと思ってな」

剣士「僕も……何か?」

右大臣「うむ。ひとまず私は、本国へ戻ろうと思う」

白馬騎士「私は此度、剣士殿を通じて本国を訪ねるつもりであったのだ」

剣士「なるほど……っ。それでこの村へ……」

右大臣「しかし今は、大変に危険な状態だ。謁見相手も居らぬでな」

白馬騎士「ええ、その件につきましては、日を改めたいと思います」

村長「その際には剣士、君が本国まで案内を頼む」

剣士「僕が……ですか?」

村長「お主以外に橋渡しの出来る者など居らんじゃろ」
424 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:29:32.99 ID:ysIh2Tobo
剣士「……分かりました」

白馬騎士「それともう一つ」

村長「……?」

白馬騎士「我が国の兵を、こちらの村へ駐屯出来ませんか?」

村長「何と……っ」

白馬騎士「このような騒ぎがあったのでは、村の者も不安がる事でしょう」

右大臣「うぅむ、更なる追っ手が来ないとは限らぬしな……」

白馬騎士「流石に村の者だけでは支えきれないと存じますが……」

右大臣「……良かろう。私が許可する。頼めるだろうか?」

白馬騎士「はい。本国のお力になれる機会です。願ってもない事ですよ」

村長「有難い……!」

剣士「感謝致します」

白馬騎士「それでは、ひとまず騎馬隊をこのまま駐屯させ、後ほど増援を送ります」

右大臣「……さて、私は本国へ戻り……手筈を整えるとするか」

剣士「……」
425 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:30:20.49 ID:ysIh2Tobo
〜本国、平野〜

テクテクテク

皇太子「のどかなもだな」

魔道士「はいっ、だいぶ暖かくなってきましたからね〜」

賢者「……」

皇太子「どうした?」

賢者「……気楽なものだね……ふぅ」

皇太子「そうか?気張り過ぎてても良くはないぞ?」

賢者「まぁ、いいけど……ふぅ」

魔道士「それで、これからどうしましょうか?」

皇太子「そうだな、出来れば本国内へ入りたいところなのだが」

賢者「……難しいだろうねぇ……ふぅ」

魔道士「でもっ、いつまでも逃げ回っているわけにはいきませんよ……?」

皇太子「それはそうだが、どうしたものかな……」

賢者「……?」
426 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:31:02.01 ID:ysIh2Tobo
ピクッ

皇太子「……どうした?」

賢者「何か来るね」

魔道士「ま、魔物ですか……っ!?」

賢者「……そんな気配だ」

皇太子「周囲にそれらしき姿はない。つまり、あの正面の森か」

魔道士「どうします……っ?」

皇太子「ひとまず物陰で様子を見よう。迂回して森に入るぞ」

タッタッタッタッタ

皇太子「……どうだ?」

賢者「……魔物のような、そうでないような」

皇太子「……?」

賢者「変な感じだね……ふぅ」

皇太子「……っ」

賢者「かなり近いよ、もう見える」
427 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:32:12.32 ID:ysIh2Tobo
ガサッ…ザッザッザ

魔道士「あぁ――っ!!」

皇太子「!?」

ザッ

ジュニア「……お?」

眼鏡「君は確か……」

魔道士「ジュニアさんに……眼鏡さんっ!?」

ジュニア「魔道士ちゃんっ!!ってか……殿下ぁ!?」

皇太子「ワーカーの者か。すまんがここは……」

眼鏡「一体、何をしているのかな?」

魔道士「実は、色々と事情がありまして……」

眼鏡「聞かせて貰っても……良いかい?」

魔道士「えっとぉ……」

皇太子「……構わんぞ。信頼のおける者達なのだろう?」

魔道士「は、はいっ!」
428 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:32:48.05 ID:ysIh2Tobo


眼鏡「…………」

ジュニア「……マジ……かよっ」

魔道士「マジ……みたいです」

皇太子「分かって頂けたかな?」

眼鏡「しかし、今のままで状況が改善するとは思えないな」

皇太子「無論、承知している。だが、それは私達にはどうにも出来ぬ事だ」

ジュニア「……」

皇太子「既に動いてくれている。我らはそれを信じて待つだけさ」

眼鏡「……成程」

ジュニア「しっかし、魔道士ちゃんが王女だったとはねぇ……ハッハ」

魔道士「私だって未だに信じてませんよ……」

ジュニア「ハッハ……あぁっ!!」

魔道士「!?」

ジュニア「お尻触って……すみませんでした……」
429 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:33:15.55 ID:ysIh2Tobo
魔道士「……いやっ、別にいいですよ。よくないですけど」

ジュニア「あぁーっ!!」

眼鏡「何なんだ、騒がしい奴だな」

ジュニア「おいっ、本国内に入る方法があるじゃないか!!」

皇太子「何?」

眼鏡「……ああ、あれを使うのか」

魔道士「な、何です……?」

ジュニア「信じて、付いて来て貰えますか?」

皇太子「無論、助力頂けるならこちらとて願ったりだ」

ジュニア「分かりました。では、向かいましょう」

皇太子「頼む」

スクッ…ザッザッザ

眼鏡「……何か?」

賢者「……君、面白いね。何者だい?」

眼鏡「……」
430 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:33:51.75 ID:ysIh2Tobo
〜剣士の村〜

右大臣「それでは、色々と世話になった」

弓使い「こちらこそ」

幼女「気を付けて下さいっ」

右大臣「ありがとう。君達もな」

剣士「はい。華国の方々もいらっしゃいますし、大丈夫だと思います」

村長「……死ぬなよ?」

右大臣「……ふっ。この歳になって、死など恐れるものかよ」

村長「……」

右大臣「だがな、まだやるべき事は残っている」

村長「……うむ」

右大臣「老兵は死なず、ただ消え去るのみよ」

村長「……それで、良いのか?」

右大臣「まだまだヒヨッコだと思っていたが、何も心配は要らなかったさ」

村長「……」
431 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:34:18.88 ID:ysIh2Tobo
パッカパッカパッカ…

剣士「右大臣様、大丈夫ですかね?」

村長「責任感の強い男だ。心配は無用じゃろう」

剣士「……」

村長「その強い責任感で、何もかも背負わなければ良いがな……」

テクテクテク

女賢者「それでは、お邪魔しました♪」

剣士「あっ、もうお帰りで?」

女賢者「ええ、元より旅人の身ですから」

弓使い「本当にお世話になりました。ありがとう」

白馬騎士「我が隊の者らも大変世話になった。感謝します」

女賢者「いいえ、お気になさらず。それでは……うふっ♪」

テクテクテクテク

幼女「さよーなら〜!!」

剣士「……」
432 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:35:03.63 ID:ysIh2Tobo
〜師匠の家〜

戦士「到着〜っ!!」

盗賊「……私が一番だな」

タッタッタ

召喚士「ねぇっ、ズルくない?」

戦士「コイツに言えよ、急に走り出したのは盗賊だぞ?」

盗賊「……」

召喚士「さすが忍者……汚い」

盗賊「つっ、つべこべ言うなっ!本気で勝ちたければコカトリスを使えば良かろうっ」

召喚士「あ……っ」

戦士「そうだぜ。コカトリスに乗りゃひとっ飛びじゃんかよ」

召喚士「それ、アリなの……?」

盗賊「…勝利に貪欲ならば…思いつくはずだ」

戦士「お主、まだまだ修行が足りぬな。はっはっは!」

召喚士「……腑に落ちないっ。でも返す言葉がない」
433 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:35:43.76 ID:ysIh2Tobo


戦士「そんじゃ、俺は酒蔵に行ってくるわ」

召喚士「うん。俺らは先に墓へ行ってるね」

戦士「師匠酒持ってきたら、すぐ行くわ」

テクテクテク

召喚士「俺らも行きましょうか」

盗賊「…うん」

テクテクテク

召喚士「……あれっ?」

盗賊「…想ったより綺麗だな」

召喚士「ええ、てっきり雑草とかひどいかと思ってましたけど」

盗賊「…冬だからかな?」

召喚士「うーん、俺はマジシャンさんが手入れしているものだと思ってました」

盗賊「…気候の問題かな?」

召喚士「……?」
434 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:36:36.60 ID:ysIh2Tobo
テクテクテク

盗賊「…ほら、墓の周りだけ草木が生えていない」

召喚士「あぁ、海からの冷たい風が……通り道になっているのかも」

盗賊「……」

召喚士「それじゃ簡単に手入れして……」

ザッザッザ

戦士「コイツで弔うとしますか」

召喚士「どうだった?」

戦士「メンテ要らずの酒だけあるぜ。なおもコクが出ていて旨い」

盗賊「……飲んだのか」

戦士「味見せにゃ分からんだろっ」

召喚士「あははっ」

盗賊「…ほらっ、早く手入れするぞ」

戦士「へいへい」

召喚士「じゃあ、反対側は俺がやるね」
435 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:37:07.53 ID:ysIh2Tobo


戦士「……ま、こんなモンだろ」

召喚士「うん。いいと思うよ」

戦士「そんじゃ……」

キュポッ…トクトクトクッ

戦士「さぁ、たらふく飲んでくれよ」

盗賊「……」

召喚士「……よし、それじゃいよいよ家の中を掃除しますか」

戦士「うん。行ってらっしゃい」

盗賊「…行ってらっしゃい」

召喚士「え……っ?」

戦士「忘れたのかよ?……罰ゲーム」

召喚士「……」

盗賊「…埃が払われたら…入るから」

召喚士「…………」
436 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:37:39.84 ID:ysIh2Tobo
テクテクテク…ガチャッ

召喚士「……っ!!」

戦士「どーだぁ?」

召喚士「ごほごほっ!これは思った以上にキツイ……っ!」

盗賊「…ファイト」

召喚士「……もういいです。行ってきますよ」

テクテク…パタン

戦士「ちょっとからかいすぎたかな?」

盗賊「…仕方ないな、手伝うか」

戦士「ハナっからそのつもりだったんだろ?」

盗賊「う、五月蝿いっ!たわけっ!」

テクテクテク…カチャッ

戦士「おーい、召喚士――」

召喚士「うおおぉぉぉぉーっ!!」

ババババッ…テキパキテキパキッ
437 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:38:05.98 ID:ysIh2Tobo
戦士「…………」

盗賊「…………」

ザザザザアアァァ

召喚士「……ふーっ。あ、二人共どうしたの?」

戦士「……いや、エプロン姿……似合いますね」

盗賊「…うん」

召喚士「へっ?」

戦士「手伝うまでもなさそうだな。流石、召喚士」

召喚士「いや、流石の意味がよく分からないけど」

盗賊「…本片付けてくる」

戦士「あっ、俺のも頼むわ」

盗賊「…何だこれは?」

戦士「武具辞典」

召喚士「あぁ、そういえば。もう要らないの?」

戦士「一通りの知識は頭に叩き込んだし、何より貴重な武具は載ってなかったからな」
438 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:38:36.25 ID:ysIh2Tobo
盗賊「……?」

戦士「ゾディアックとか、その辺の事だよ」

盗賊「…なるほど」

召喚士「結局、有意義な情報はなかった感じ?」

戦士「いや、武具についての知識はそれなりに得たし、役立ったよ」

召喚士「……そっか」

戦士「他にも面白そうな本あるかもな」

召喚士「掃除が終わったら、ゆっくり見てみようか」

盗賊「…じゃあ、ついでに整理しておくよ」

テクテクテク

戦士「そんじゃ、家の中は任せるわ」

召喚士「どこ行くの?」

戦士「上〜。屋根と煙突の中、掃除してくるわ」

召喚士「うん。気を付けてね」

テクテク…パタン

召喚士「……よーし、一気に頑張るぞ〜っ!!」
439 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:39:06.35 ID:ysIh2Tobo
〜本国郊外〜

魔道士「こ……こは!?」

眼鏡「本国内の地下水路へと続く入り口さ」

ジュニア「つい最近、ようやく掘り進んで繋いだものだ」

皇太子「……と、いう事は」

ジュニア「本国と鉱石の町を繋ぐ、トンネルです」

魔道士「あ……っ!!これって、電話の……」

眼鏡「そういう事」

皇太子「成程。ここなら国軍の手も回らぬか」

ジュニア「絶対、とは言い切れませんけどね。特に本国内に入れば……」

眼鏡「地下水路に手を回されている可能性もある」

皇太子「……」

賢者「どうするつもりかな……ふぅ」

皇太子「行く価値はありそうだ。念の為、夜まで待つとしよう」

魔道士「はいっ!」
440 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:39:34.20 ID:ysIh2Tobo
〜師匠の家、夕方〜

戦士「盗賊〜。釘取ってくれー」

盗賊「…投げるぞ」

ポイッ

召喚士「そっちはどう?」

戦士「おーう、あとはここの補修で完――」

ガンッ

戦士「いってぇ!!」

盗賊「…余所見しているからだ、馬鹿っ」

召喚士「だ、大丈夫!?」

戦士「ハンマーで指叩いちまっただけだ。心配すんな」

召喚士「だ、だけって……」

戦士「おーし終わり!これで屋根の雨漏りも隙間風もないはずだ!」

召喚士「さっすが戦士っ!!」

戦士「おうよっ、任しとき!」
441 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:40:06.00 ID:ysIh2Tobo


グツグツグツ

召喚士「もうじき出来るよ〜」

戦士「ん〜っ、いい匂いだ」

盗賊「…うん」

召喚士「魔道士さんには負けるけどね、ははっ」

戦士「……」

盗賊「……」

召喚士「あっ、ごめん……」

盗賊「…いや、別に…謝られても」

戦士「ああ。俺らは別に……なぁ?」

盗賊「…でも、魔道士の料理も恋しいな」

召喚士「ええ」

戦士「もうちょっとの辛抱だろ。気にしたら負けだ」

盗賊「……うん」
442 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:40:42.11 ID:ysIh2Tobo
テクテクテク

召喚士「はいっ、お待たせ!」

戦士「おぉ、美味そう!!」

盗賊「……ビーフシチュー?」

召喚士「ええ、多分食べられると思いますけど」

盗賊「…だ、大丈夫だ!匂いが間違いない!」

召喚士「!?」

戦士「あん?何だそれ?」

盗賊「…あとで読もうと思って」

召喚士「あっ、何でしたっけこれ。あの有名な戯曲の……」

戦士「ふぅん。どんなんだっけ?」

召喚士「争う両家の男女を描いた恋の話で……有名じゃん」

戦士「知らん。つーか、こっちは絵本か?」

召喚士「魔物と老人。眠り姫……あっ!!」

盗賊「…雪山で聞いたから…気になってな」
443 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:41:15.26 ID:ysIh2Tobo
戦士「面白いのか、これ?」

盗賊「…さぁ」

戦士「まーいいや、そんな事よりメシだメシ!」

召喚士「うんっ、冷めないうちに食べちゃってよ」

盗賊「…いただきます」

戦士「……おぉ」

盗賊「……おぉーっ」

召喚士「な、何っ?」

戦士「うまい!」

盗賊「…うんっ!」

召喚士「良かったぁ〜。結構心配だったんだよね」

戦士「そして久々のコイツ!」

ドンッ…キュポン

戦士「……ぷっはああぁぁ!!染みるぅ〜!!」

盗賊「……オッサン」
444 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:41:51.77 ID:ysIh2Tobo


召喚士「はぁ、食べたし飲んだねっ」

戦士「ああ。ちょいとばかし贅沢しちまったな」

召喚士「お風呂どうする?」

盗賊「…先にいいぞ」

召喚士「じゃあ準備してきます」

戦士「おうっ」

盗賊「……」

戦士「んで、面白いか?」

盗賊「…自分で読むがいいさ」

ポイッ…パシッ

戦士「……魔物と老人、ねぇ」

ペラッ

戦士「あるところに、魔法も使えない、か弱いお爺さんがおりました」

盗賊「声に出さなくていいっ!静かに読めっ!」
445 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:42:34.35 ID:ysIh2Tobo
戦士「おーおー手厳しいです事」

盗賊「…あのなぁ」

テクテクテク

召喚士「戦士、先に入ったら?」

戦士「おっと、そんじゃひとっ風呂浴びてくっかぁ!」

タタッ

盗賊「……っ」

召喚士「どうかしたんですか?」

盗賊「…いや、何でもないよ」

召喚士「さて、と薪の用意してきます」

盗賊「…ああ」

召喚士「もう春とは言え、流石に夜になると冷えますね」

盗賊「…うん」

召喚士「……それじゃ、行ってきます」

盗賊「……気を付けてな」
446 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:43:16.74 ID:ysIh2Tobo
〜本国郊外〜

ジュニア「さーて、それじゃ行きますか」

皇太子「うむ」

眼鏡「僕はここで待機していよう」

ジュニア「すまん、何かあったら頼む」

眼鏡「まぁ、何かあったらまずいんだけどね」

賢者「それじゃあ僕も残るとしようか……ふぅ」

皇太子「では、我ら3名が先に入るとしようか」

魔道士「はいっ」

ジュニア「30分後、異常がなければ地下水路への入り口で集合だ」

眼鏡「……分かった」

タッタッタッタッタ

眼鏡「……それで、さっきの話の続きかい?」

賢者「……君、魔物なのかな?」

眼鏡「そうだとしたら?」
447 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:43:46.44 ID:ysIh2Tobo
賢者「……別に。何もないよ……ふぅ」

眼鏡「……」

賢者「不思議なものだね。外見も人間のそれなのに……ふぅ」

眼鏡「外見を模す事が出来る魔物なんて、少なくないよ」

賢者「……そう」

眼鏡「気配では決して、分からないと自負してたんだけどなぁ」

賢者「気配なんて分からないさ……ふぅ」

眼鏡「じゃあ、どうして気付いたのかな?」

賢者「……君に流れる魔力、人間のものじゃないからね……ふぅ」

眼鏡「へぇ、そんな事まで分かるのか。凄いな」

賢者「知りたくもないんだけどね……ふぅ」

眼鏡「……まぁ、安心してくれ。僕は君達の味方さ」

賢者「だろうね。悪い感じはしないよ」

眼鏡「そういうところが好きなんだ。人間のね」

賢者「……ふぅ」
448 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:44:17.82 ID:ysIh2Tobo
タッタッタッタッタ

魔道士「……」

ジュニア「ここを抜ければ地下水路です」

皇太子「……うむ」

タッタッタ…ザザッ

ジュニア「……」

キョロキョロ

ジュニア「……特に何もないみたいですね」

皇太子「そうか」

魔道士「良かったですねっ」

皇太子「国軍にしては手緩いな」

魔道士「へ……っ?」

皇太子「総司令が居らんとは言え、警備網が軽いとは思わんか?」

ジュニア「……まぁ、確かに」

皇太子「大軍師や青年兵が指揮しているはずなんだがな」
449 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:50:58.38 ID:ysIh2Tobo
魔道士「確かに、あの人達ならここだって気付きそうなものですけど……」

皇太子(知っていながら、あえて外した……?)

ジュニア「罠、か?いや、それはないな」

魔道士「……?」

皇太子「魔物や犯罪者ならいざ知らず、我らを捕らえれば良いだけの話」

ジュニア「いちいち罠を張り巡らせる必要はないって事さ」

魔道士「なるほど…っ、言われてみれば……」

ジュニア「まぁ、先に進んでみれば分かるって事ですね……ハッハ!」

皇太子「ああ、行くしかあるまいな」

魔道士「……よぉしっ!」

ジュニア「ひとまず港側へ抜けて、身を潜めましょう」

皇太子「そうだな。しかし、何処へ身を寄せるとするか」

ジュニア「……木を隠すなら森の中ですよ」

魔道士「……?」

ジュニア「とにかく、あの二人が来るまでここで待機したましょうや。ハッハ」
450 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:51:48.75 ID:ysIh2Tobo
ドドッドドッドドッドドッ

王宮兵「開門っ、開門ーっ!!」

ギギイイィィ…パッカパッカパッカ…

右秘書官「……」

カチャッ…テクテクテク

エリート「このような刻に何処へ行かれていたのですっ、父上!!」

右大臣「……すまんな、どうしても必要だったのだ」

エリート「……?」

右秘書官「ともかく、王宮内へ戻りましょう」

右大臣「左翼の動きは?」

エリート「特にありません。殿下と王女についても未だ行方不明です」

右大臣「……そうか」

エリート「幾つか対策案を考えました。目を通して頂けますか?」

右大臣「分かった。こちらも見て貰いたいものがある」

エリート「……?」
451 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:52:34.40 ID:ysIh2Tobo
〜会議室〜

右文官「おぉ、右大臣様!心配致しましたぞ!」

右大臣「すまんな、どうしても知られたくなかったものでな」

エリート「……」

テクテクテク…パサッ

右秘書官「それでは改めて、資料をお配り致します」

右大臣「……」

エリート「まず、基本的な概要ですが……」

右大臣「駄目だ、これでは時間が掛かりすぎる」

エリート「……」

右秘書官「しかしですね、今は時間を稼ぐ事でしか防ぐ手立ては……」

右大臣「五ヵ年計画はどうする?」

エリート「当然、スライド致します。それ以外には……」

右大臣「駄目だな、時期は絶対にずらせないのだ」

エリート「何故ですっ!?内通者が存在する今、時期など……」
452 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:53:26.57 ID:ysIh2Tobo
右大臣「確かに筒抜けやもしれぬ。しかし、それは前から分かっておる事」

エリート「……?」

右大臣「何も内通者だけが、有利なわけではないのだぞ」

右文官「そっ、それは一体……」

エリート「内通者を泳がせ、逆手を取っていると……?」

右大臣「……そこまでは知らんよ。国軍の者にでも聞くが良い」

エリート「……」

右大臣「それにだ、五ヵ年計画は最低限の被害に基づいた作戦なのだ」

右秘書官「……?」

エリート「……予言、ですか」

右大臣「そうだ」

エリート「では父上、どうすれば良いと申されるのか?」

右大臣「その為に私は、はるばる足をを運んだのだよ」

エリート「……?」

右大臣「これを見て欲しい」
453 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:54:00.86 ID:ysIh2Tobo
コトッ

右文官「これは……?」

右大臣「我らは、王の手紙と呼んでおる」

エリート「王の手紙?」

カチャッ…ドサッ

右大臣「陛下がこれをしたためたのは、何年前であったかなぁ」

スッ

右秘書官「……?」

右大臣「お主宛にだ、受け取るが良い」

右秘書官「へ、陛下が私に……ですか!?」

右大臣「これは右文官宛。そしてこれは……」

パサッ

右大臣「エリート、お前宛だ」

エリート「……っ」

右大臣「各自それを読んで、陛下の思いを汲み取ってくれ」
454 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:54:26.85 ID:ysIh2Tobo
右秘書官「…………」

右文官「…………」

エリート「…………」

右大臣「陛下の思い、伝わったか?」

右文官「……へっ、陛下ぁ」

右秘書官「……ここまで私達の事を想って……っ」

エリート「……っ」

パサッ

エリート「亡き陛下の国を愛する、そして憂う気持ちは重々に伝わりました」

右大臣「……」

エリート「しかし、これで全てが変わるとは思えません」

右大臣「……」

エリート「殿下の思いを無碍にしようと言うわけではありません。しかし……」

ガチャッ…カツカツカツ

大軍師「……どうも。お忙しいところ失礼致しますよ。ふっふ」
455 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:54:58.26 ID:ysIh2Tobo
エリート「大軍師殿っ!?」

大軍師「此度は、大変な騒ぎにとなってしまいましたね」

右大臣「何用か?」

大軍師「現在我が国は、国と軍のットップ二人を失うという、危機に陥っております」

右文官「そうだ。だからこそ我々が……」

大軍師「実は、先日より独自に調査している資料がありまして」

カツカツカツ…パサッ

大軍師「本部の資料室における物なので、表面上のみの資料ですが」

右秘書官「こ、これはっ!!」

右大臣「……っ」

大軍師「お役に、立ちますかね?」

エリート「……あった」

大軍師「……?」

エリート「王の手紙に……これが付けば、威力は倍増なんてものではないっ」

大軍師「ほぉ、そうやらお役に立てそうですね」
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/05(火) 18:55:19.82 ID:vlGz7qnAO
>>1
逃避行パート面白いな
戦士一行もとりあえず元気そうでなにより
そして今が一番の狙い時なのに現れない魔導師ちゃん(68)の人…>>415のせいで気になり始めてきたわ
457 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/05(火) 18:55:31.03 ID:ysIh2Tobo
右秘書官「そうかっ、確かにこれは脅迫にも近いやもしれんが……」

エリート「……父上」

右大臣「……」

エリート「貴方のものもありますが?」

右大臣「……そうか」

エリート「これを放てば貴方も消えますよ……?」

右大臣「……構わん」

エリート「!?」

右大臣「私の事など気にするな。構わずやってくれ」

右文官「右大臣様……っ」

エリート「……分かりました。では、お言葉に甘えましょう」

大軍師「王の手紙……ですか。成程、確かに……効果的ですねぇ」

エリート「よしっ、すぐに準備を始めてくれ!」

右大臣「あとは……あの二人が戻ってくれば……」

エリート「左大臣の野望もこれまでです」
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/05(火) 19:00:39.72 ID:ysIh2Tobo
とりあえずここまでにて!多数のご支援、本当に感謝!
それではお疲れ様でした!失礼致しますー!ノシ

>>456
ありがとうございます!
多分あの方は…ワーカーとしてあちらの世界に…
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 19:04:07.87 ID:GzURcyVDO
>>1
確かに日常パートなんかもそうだけど、>>1の話は戦闘以外も面白いのが凄いよな−


そして魔導師の人は確かに気になるな…
無事だと良いんだけどね。
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 19:20:57.58 ID:pkx02iKDO
>>1
いい加減投下中にレスするのやめようよ
流れ見てわかるっしょ
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/04/05(火) 19:36:25.98 ID:oNo2xWhlo
ごめんごめん
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage ]:2011/04/05(火) 20:07:41.35 ID:AvqfLo0V0
乙です。
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 22:41:55.03 ID:2QNf++yeo
>>460
お前こそいい加減読者様卒業しろよ
流れ見ればわかるっしょ
スレは黙ってみるような所じゃねえよ
レスがどれだけありがたいか、SS制作者総合スレにでも行って訊いて来い
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 23:15:00.12 ID:w1VnzpISO
レスは大事だろうけど投下終わってからでよくね?


て意味じゃね?
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/05(火) 23:19:19.17 ID:FmBT9JPho
まぁ書いてる人によるけど
俺は投下中はやめて欲しいな

他の人が読みにくくなるしね
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/05(火) 23:32:15.58 ID:Xsld7BaAO
[田島「チ○コ破裂するっ!」]途中で止められるの嫌だろ?
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/05(火) 23:36:19.62 ID:IZ9qkEFUP
はいはい、何度もあがった話題だからしたい人にはさせて強制しないようにね
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/06(水) 00:09:09.69 ID:E0Zuh3jDO
レスに文句はつけないけど投下中の時に待ってほしいのは確か
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 00:13:42.52 ID:a0ORKbhDO
投下されてるのかとぬか喜びしたじゃないか…
議論はどうでもいいからsageてくれ
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/06(水) 02:42:15.18 ID:HZBiw4Djo
つNG
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 07:03:17.90 ID:VckleTnz0
投下中レス=空気よめない=ゆとり
自治厨=空気よめない=ゆとり


どっちもクズwwだっせーww
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/06(水) 09:50:23.65 ID:hhX+36YAO
眼鏡さんからはそこはかとなくホモ臭がする
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 11:25:51.30 ID:wMNjaxVDO
変に伸びてると思ったら
どうでもいい討論だったでござる
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 11:51:18.93 ID:DC0fbyuDO
違うよ眼鏡さんは女の子なんだよ
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 13:18:34.37 ID:RkOO3NFDO
将来は眼鏡の似合う巨乳美少年に…
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/06(水) 13:21:29.62 ID:qWsKClU0o
巨乳美・・・少・・・年・・・・・・?
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 13:36:49.75 ID:LDYQLK5DO
…高見盛
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 17:16:36.45 ID:2TGYedneo
伝説の魔族、モーニングアッパードラゴン誕生の瞬間である
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 17:48:18.63 ID:gCyHSyMDO
此処だと支援とかもいらんしな
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/06(水) 17:49:48.38 ID:jBGsahRzo
要は限度を守れってこった
481 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:35:31.78 ID:owmiQAUUo
〜地下水路〜

ジュニア「……遅っせえなぁ。何やってんだアイツら」

皇太子「……」

ジュニア「俺、ちょっと見てきます」

魔道士「お、お気を付けてっ!」

ジュニア「ハッハ!ありがと!」

スクッ…タッタッタッタッタ…

皇太子「……彼は、上位ランカーだったかな?」

魔道士「はいっ。ジュニアさんは鉱石3位の。あと、眼鏡さんも2位の方ですよ」

皇太子「そうか。まだ若いのに大したものだな」

魔道士「……ええ」

皇太子「……ん、どうした?」

魔道士「あ、いえ……っ」

皇太子「何かあるなら遠慮せず申してくれ」

魔道士「……私、殿下が跡を継ぎたくないのかと思ってました」
482 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:36:39.68 ID:owmiQAUUo
皇太子「……どうして?」

魔道士「だって、私でもいいなんてそんな――」

皇太子「確かに事実だ」

魔道士「……」

皇太子「私は元来、魔力を持ち合わせてはおらぬ」

魔道士「……」

皇太子「それが引け目でな。正直、悩んだものさ」

魔道士「殿下……」

皇太子「まぁしかし、歳を取ると半ば諦めと言うか、受け入れと言うか」

魔道士「でしたら……」

皇太子「そこへ魔道士、君がの存在が明るみに出た」

魔道士「――っ」

皇太子「ようやくこの、呪縛から逃れられると思ってしまったよ」

魔道士「……」

皇太子「だがな、君の姿、そして眼を見て、正直戸惑いを覚えた」
483 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:37:53.78 ID:owmiQAUUo
魔道士「戸惑い……?」

皇太子「君の、ワーカー、国、そして人を愛する気持ち」

魔道士「そ、そんな事は……っ」

皇太子「いや、それが意志として伝わった。己の為すべき事が分かっているのだ」

魔道士「そこまで……考えた事、ありませんよ」

皇太子「考えていなくとも、自然と認識して行動しているのだろう」

魔道士「……難しいです」

皇太子「それを感じた時、自分はなんて幼稚なんだと思ったよ」

魔道士「……」

皇太子「ならなければならぬ立場に居ながら、それを拒絶し……」

スクッ

皇太子「挙句、大切な者らまで危険に晒すような真似をしてしまった」

魔道士「でもっ、殿下のお考えは間違ったものではないと思いますっ」

皇太子「……」

魔道士「人って、悩んで考えて、それで生きているんだと思います……っ」
484 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:38:55.97 ID:owmiQAUUo
皇太子「……」

魔道士「絶対に正しい事なんてないんじゃないかって……そう思います」

皇太子「魔道士、君は本当に優しいのだな」

魔道士「!?」

皇太子「君と旅を出来て良かった。心から礼を言うよ」

魔道士「こっ、こちらこそっ!」

皇太子「己を見つめ直す、絶好の機会になったよ。ありがとう」

魔道士「い、いえ……っ」

皇太子「私の身勝手で、これから本国を支えてくれる若者達を……」

魔道士「……」

皇太子「そして、私を皇太子と慕ってくれる国民の期待を裏切るわけにはいかん」

魔道士「そ、そうですっ!!」

皇太子「……まぁ尤も、君が義妹だからこそ、身を引くつもりでもあったのだがな」

魔道士「……?」

皇太子「いや、何でもない。魔道士、君が義妹で本当に良かった。ありがとう」
485 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:39:28.74 ID:owmiQAUUo
魔道士「えっ!?い、いや……っ、えっと……」

皇太子「きっと、君の母上に面影を重ねていdたのだろうな。私もエリートも」

魔道士「え……っ?」

皇太子「ああ、君の母上はな……」

タッタッタッタッタ

ジュニア「すみませんっ、お待たせ致しました」

皇太子「無事か?」

眼鏡「ええ。特に変化なしです」

賢者「それじゃあ行こうか……ふぅ」

皇太子「それで、港に抜けてどうする?」

ジュニア「先程、述べた通りです」

魔道士「木を隠すなら森……って」

ジュニア「ハッハ!そういう事」

魔道士「つ、つまり……?」

ジュニア「王宮内へ向かいましょう!」
486 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:40:27.67 ID:owmiQAUUo
〜王宮、会議室〜

右文官「ではこれより、各理事に連絡を取るぞ」

エリート「お願いします」

右大臣「……」

エリート「本当に、宜しいのですね?」

大軍師「この策を採用する、それは即ち……」

右大臣「……」

大軍師「貴方ご自身の終わりも意味するのですよ?」

右大臣「分かっておる。その上で何度も申しているのだ」

エリート「大軍師殿、父上の覚悟は揺るがないようです」

大軍師「……ふむ、そのようですね。分かりました」

スッ

エリート「お戻りですか?」

大軍師「あの方より頼まれた、私の仕事は終わりましたので。では」

エリート「……感謝致します」
487 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:41:31.17 ID:owmiQAUUo
タッタッタ…ザザッ…キョロキョロ

ジュニア「……大丈夫そうです」

皇太子「それで、どのように戻ると言うのかな?」

ジュニア「月並みですが、シンプルに馬車で正面から帰りますよ」

皇太子「下手な小細工は無用、と言うわけか」

ジュニア「ただ問題は、左翼の連中、。嗅覚だけはいいですからね」

眼鏡「まぁ、用心するに越した事はないね」

魔道士「……っ」

ジュニア「とりあえず、馬車を手配しましょう。正面は目立つ……裏通りを」

賢者「……そうだね……ふぅ」

眼鏡「魔道士ちゃん、君は中央へ」

魔道士「……?」

眼鏡「ガタイいいのが4人もいるからね。一人目立ってしまう」

皇太子「成程、4人で囲むように歩けば良いわけだな」

ジュニア「ええ。殿下もマントを被って、顔は目立たないようにして下さいね」
488 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:42:21.18 ID:owmiQAUUo


テクテクテクテク

ジュニア「ん……っ?」

ドドッドドッドドッドドッ…

皇太子「王宮の馬車だな。病院へ行くようだが……」

賢者「王宮内で病人かな……ふぅ」

魔道士「だ、大丈夫でしょうか……っ」

ジュニア「……そうだ」

眼鏡「どうかしたかい?」

ジュニア「いやっ、とにかく馬車を手に入れよう!話はそれからだっ」

眼鏡「ああ」

賢者「それで、馬車は?」

ジュニア「この先、病院の近くに店がある。そこで入手する」

魔道士「そのあとは、いよいよ……」

皇太子「……」
489 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:42:49.60 ID:owmiQAUUo
ドドッドドッ…ドドォ

警備員「……?」

右秘書官「院長はいらっしゃるかな?」

警備員「え、ええっ。何か……ご用で?」

右秘書官「用があるから来ておるのだ。通して貰うぞ」

警備員「あっ、あの……」

王宮兵「火急の用件なのだ。貴様も今、本国の状況が分かっておるのだろう?」

警備員「……っ」

カツカツカツカツ

右秘書官「君達はそこで待ってなさい」

王宮兵「はっ」

コンコン

右秘書官「失礼致します」

院長「……君は王宮の。夜分に何だね?」

右秘書官「これは院長。それに御曹司もご一緒でしたか」
490 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:43:36.28 ID:owmiQAUUo
ドクター「……では、僕はこれで」

院長「構わん。そこにおるがいい」

右秘書官「宜しいのですか?」

院長「陛下崩御の事であろう?丁度良いわ」

ドクター「今、そのお話をしていたところです」

右秘書官「そうでしたか」

院長「悪いが、貴様は右翼の者であろう?」

右秘書官「如何にも。右翼だと不都合でもございますか?」

ドクター「院長、何故分からないのです?」

院長「……」

ドクター「私は数年間、各地を巡り歩いてきました」

院長「……」

ドクター「確かに戦いで、数多くの血が流れておりました」

院長「……」

ドクター「しかし、その血のお陰で、何十倍という血が救われているのです!」
491 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:44:24.22 ID:owmiQAUUo
右秘書官「院長、貴方とて理事の一人。左翼の横暴は分かっておりましょう?」

ドクター「もう、こんな世界は終わりにしましょう!」

院長「……っ」

右秘書官「これが……気掛かりですかな?」

スッ

院長「――っ!!」

右秘書官「確かにこれが明るみにでてしまっては……さぞかし辛いでしょうね」

院長「……脅迫する気か……っ」

右秘書官「あくまでこちらにはこういう切り札も持っている、という事です」

院長「……」

右秘書官「それよりも見せたいものがあります。王宮までご同行頂けませんか?」

バンッ!!

ドクター「院長……いや、父さん!これはどういう事ですかっ!?」

院長「……っ」

ドクター「あなたという人は……っ」
492 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:46:50.17 ID:owmiQAUUo
右秘書官「残念ながら、これが現在の、本国経済の裏ですよ」

ドクター「許せない……っ。これが本当ならば……こんな事があるのならば……」

院長「……わ、分かった!行くっ、王宮へ行こうではないか」

右秘書官「ありがとうございます」

院長「……くそっ、このような事があろうとは……っ」

右秘書官「あまり国軍を舐めない方が良いですよ?」

院長「……っ」

右秘書官「大元帥もでしたが、総司令もかなりやり手のようでしたから」

ドクター「父さん、僕も同行させて貰いますよ」

院長「……好きにしろ」

右秘書官「では、正面に馬車を用意しておりますので。どうぞ」

院長「仕度する。先に行っておれ」

ドクター「……はい」

右秘書官「では、私は院長を待たせて頂くとしましょう」

院長「……逃げやせんよ……っ」
493 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:48:06.42 ID:owmiQAUUo
テクテクテクテク

ドクタ−「…………」

テクテクテク

ドクター「確かに……心のどこかで分かっちゃいたけど……っ」

パッカパッカパッカ

ドクター「……?」

ジュニア「ドクターさんかい?」

ドクター「……そ、そうですが」

ジュニア「ちょっと話があるんだが……」

ドクター「……裏へ回って下さい」

ジュニア「……?」

ドクター「警備員がいます。ここでは目立ちすぎる」

ジュニア「……ハッハ、察しが良くて助かりますわ」

ドクター「すぐに行きます」

ジュニア「あっ、出来れば用意して貰いたいものがあるんだが」
494 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:48:54.89 ID:owmiQAUUo


テクテクテク・・・キョロキョロ

ドクター「お待たせしました」

ジュニア「信用してくれて感謝するよ。ハッハ!」

ドクター「王宮の件ですよね」

ジュニア「そうそう」

ドクター「今からちょうど、父と向かうところでした」

――「何っ?院長が王宮へ……?」

ザッザッザ

ドクター「あ、貴方は……っ!!」

皇太子「それは本当か、ドクター」

ドクター「殿下……っ!?」

魔道士「お久し振りです、ドクターさんっ」

ドクター「魔道士さん……?」

ジュニア「時間がないんだ、手短に話す。聞いてくれ」
495 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:50:11.97 ID:owmiQAUUo
〜左大臣の屋敷〜

左大臣「……」

左翼官「左秘書官殿が戻らぬようです」

左文官「それに加え、先日本国を発った教頭も行方不明と……っ」

左大臣「……」

左翼官「このような時に、一体どうなっておるのやら」

左大臣「下がれい」

左翼官「……?」

左大臣「下がれと言っておるのだァ」

左文官「――っ!!」

左翼官「しっ、失礼致します……っ」

カツカツカツカツ

左大臣「……行方不明だと、二人同時にかァ……?」

バキィッ

左大臣「……役立たず共がァ!!」
496 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:53:24.47 ID:owmiQAUUo
ダンッ…ザッザッザ

左大臣「……気が変わったァ!これより王宮へ向かうぞ!」

左翼官「し、しかし王宮には何も……」

左大臣「付いてくるのか来ないのかァ、ハッキリしろ!!」

左文官「いっ、行きます行きますっ!ほれ、左翼官っ!準備せぬかっ!」

左翼官「……っ」

タッタッタッタッタ

左大臣「右翼のカスがァ、コソコソと何を企んでいる……っ」

左文官「左大臣様、お気を鎮め……」

左大臣「黙れぇ!!このワシに意見するかァ!!」

左文官「い、いえぇ!めめっ、滅相も……っ」

タッタッタッタッタ

左翼官「ご準備、整いました」

左大臣「遅いわァ!行くぞ!!」

左翼官「……っ」
497 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 19:59:28.89 ID:owmiQAUUo
〜双子家〜

右文官「いやはや、夜分にすまんな」

双子父「構いませんよ。それで、私に何の用です?」

右文官「左翼の連中はもう来たのか?」

双子父「……」

右大臣「来ておったか。全く、抜け目ない連中よ」

双子父「右大臣殿、説得に参られたか?」

右大臣「……まぁ、そんなところよ」

テクテクテクテク

双子姉「あら……?」
双子妹「……お客様?」

双子父「王宮内の、かつての上司だ」

右大臣「娘さんかね?双子か、始めまして」

双子姉「始めまして、双子姉ですっ」
双子妹「同じく、双子妹ですっ」

双子姉妹「以後、お見知りおきをっ!」
498 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 20:00:45.07 ID:owmiQAUUo
双子父「この二人には今後、王女付として入宮させます」

右大臣「……そうか」

双子父「いやはや、しかし女王陛下の誕生かぁ……」

右大臣「あのな、その事についてなのだが……」

双子父「……?」

右大臣「ちと、急なのだが……王宮に来て貰えんだろうか」

双子父「今から……ですか?」

双子姉「あらっ、素敵!」
双子妹「行きましょうっ、お父様!」

双子父「あのな、遊びではないのだぞ?」

右大臣「良いではないか。今後の事もある。同行させると良い」

双子姉妹「やったぁ!!」

双子父「……仕方ない。案内も兼ねて、参ると致しますか」

双子姉「それならば直にっ」
双子妹「ご準備致しますわっ」

右大臣「うむ。宜しく頼む」
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/06(水) 20:02:11.20 ID:owmiQAUUo
多数のご支援ありがとうございます!
レスとかもうお気にせず!みんなで仲良くいきましょう!すみません!
一旦休憩。ご飯とお風呂行ってきます!ノシ
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage ]:2011/04/06(水) 20:08:30.26 ID:lph+2NVF0
乙です。
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/06(水) 22:26:18.39 ID:rH0axvrAO
>>1おつ
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 23:24:28.49 ID:OfAz8nRDO
>>1乙っす
503 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 23:53:55.42 ID:owmiQAUUo
〜病院前〜

院長「おい、何をしている。早く行くぞ」

ドクター「すみません、先に行っていて下さい」

右秘書官「どうしました?」

ドクター「急患が入りました。直に向かいますので先に……」

院長「王宮へ行くのだぞ?そんなものは他の医者に任せてだな……」

ドクター「そういう考えだから、貴方と言う人は……っ」

院長「……っ、先に行くぞ」

右秘書官「……では、失礼します」

スタスタスタ

ドクター「……」

クルッ…スタスタスタ

ドクター「……お待たせしました」

皇太子「うむ。それでは宜しく頼む」

魔道士「お願いしますっ!」
504 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/06(水) 23:56:53.82 ID:owmiQAUUo
夜間にも関わらず、喧騒止まない王宮前。

そこへ続々と馬車が到着する、それは即ち、右翼陣営に召集された、

理事、本国の経済における重役を担う者達のものである。

パッカパッカパッカ

王宮兵「どけどけっ、馬車が通るんだぞ!」

記者「これは一体どういう召集なのですかっ!?一言だけ……っ」

男「何やら騒がしい事になってるな……」

老人「何もなければ良いがのう……」

パッカパッカ…ドドォッ…カチャッ

右秘書官「……さ、どうぞ」

院長「……」

テクテクテクテク

右大臣「よく来てくれた」

エリート「夜分に申し訳ありません」

院長「……いや」
505 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 00:00:32.40 ID:oB7QfE7ho
右秘書官「それでは中へ」

院長「……」

ザッザッザ

エリート「何もまとめて召集する事はなかったのでは?」

右大臣「手っ取り早い。それに、心理効果もある」

エリート「……まぁ、そうかもしれませんが」

右大臣「ほれ、ぼさっとするでない。続々と到着しいているぞ」

エリート「……」

パッカパッカ…ドドォ

右大臣「これはこれは、双子父殿」

双子父「……今晩は。何やら、急ぎの用件であるとか」

右大臣「……うむ、まぁな」

右文官「君達はこちらに」

双子姉「はいっ!」
双子妹「失礼致しますわっ」
506 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 00:02:46.46 ID:oB7QfE7ho
右文官「では我々も」

双子父「それではまた、後ほど」

ザッザッザッザ

右大臣「あとは……」

パッカパッカパッカ

エリート「あの馬車は?」

右大臣「新聞社の社長さ」

ザッ…テクテクテク

社長「……」

右大臣「社長、夜分にすみませんな」

社長「ま〜ったく、困ったもんだ」

右大臣「……」

社長「まぁ良いわ。中で待てばいいのだな?」

右大臣「うむ、そうして頂きたい」

社長「……ふん」
507 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 00:05:37.65 ID:oB7QfE7ho
ザッザッザ

エリート「まぁ、なんと言うか……随分とふてぶてしい。いや、豪胆なのか?」

右大臣「口を慎め」

エリート「……」

タッタッタッタ

王宮兵「申し上げます!もう一台、馬車が……っ」

右大臣「何?客人はこれで全てのはずだが……」

パッカパッカパッカ

ジュニア「……どうも、こんばんは」

右大臣「……?」

ジュニア「上位ランカー、要人の護衛依頼で参りました。ハッハ」

エリート「護衛……?はて、そんなもの依頼したかな?」

ジュニア「では、入らせて頂きます」

エリート「ちょっと待ちたまえ、これは誰の依頼かな?」

ジュニア「誰って……」
508 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 00:08:16.85 ID:oB7QfE7ho
右大臣「待てっ。この者らは私が依頼したワーカーだ」

エリート「そうなのですか?」

右大臣「ああ、遅かったではないか。早く入ってくれたまえ」

ジュニア「すいませんね。道が混んでいたものでして……」

パッカパッカパッカ

王宮兵「一応、積荷の検査を致しますか?」

右大臣「……いや、構わん」

――「駄目だなァ」

右大臣「!?」

エリート「……左大臣……殿っ!」

ザッザッザ

左大臣「どうも臭い。何か臭うぞ」

右大臣「……どういう意味かな?」

左大臣「……おい、幌をあげて積荷を検査しろ」

ジュニア「ち、ちょっと……っ。そいつは野暮ってモンですぜ?」
509 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 00:12:30.49 ID:oB7QfE7ho
左大臣「何かァ、見られたくないものでも入っておるのかァ?」

ジュニア「……ま、まさか」

左大臣「じゃあ見せてみろ。おい、早くせんかァ」

王宮兵「は、はいっ。ただいま……っ」

タッタッタ…バサッ

ジュニア「あっ!?おい、こらっ!!」

王宮兵「ひ、人が二人……乗っておりますっ」

左大臣「降りろ」

ジュニア「い、いやっ……これはただのワーカーでして……ハ、ハッハ」

左大臣「降りろと言っている」

ジュニア「……だとさ」

モゾッ…スタッ

眼鏡「……」

賢者「……ふぅ」

左大臣「……他はァ?」
510 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 00:15:55.81 ID:oB7QfE7ho
王宮兵「いえっ、乗っていたのはこの二人のみです」

左大臣「……ふむ、間違いはなさそうだなァ」

ジュニア「だから言ったじゃないですか。ただのワーカーだって」

左大臣「……早く入って警備にでもつけ」

ジュニア「……へいへい、失礼致しますよ」

パッカパッカパッカ…

左大臣「右大臣、あまり勝手な真似をするでないぞ?」

右大臣「……何か、不都合でもあるような言い方だな」

左大臣「そんな事はどうでもいい。早く二人を捕まえろ。話はそれからだァ」

クルッ…ザッザッザッザ

右大臣「……全く。貴様らとて努力もせずに」

エリート「父上、先程のワーカーは……」

右大臣「あれは確かに上位ワーカー。それに学園長の孫も居たな」

エリート「もしや、殿下の……」

右大臣「だろうな。左翼の罠には思えぬし、ここはあえて乗るとしよう」
511 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 00:19:07.12 ID:oB7QfE7ho
パッカパッカパッカ

ジュニア「……うへぇ、危なかったぁ」

眼鏡「あの二人を置いてきて良かったな」

ジュニア「ああ。真っ直ぐ行ってたら終わってたわ……ハッハ」

眼鏡「何がハッハだ。間一髪じゃないか」

賢者「困ったものだよ……ふぅ」

ジュニア「うっせーな!だから途中で計画変更しただろうがよっ」

眼鏡「あとはうまく、いってくれれば良いが……」

賢者「大丈夫だよ……ふぅ」

ジュニア「まぁ、そう信じたいぜ」

眼鏡「それで、僕達は何をすればいいんだい?」

ジュニア「万が一の事もある。殿下や要人を守る。それだけだ」

眼鏡「……心得た」

賢者「……手間がかかるねぇ……ふぅ」

ジュニア「つべこべ言うなって。世界の為だろ」
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/07(木) 00:22:24.91 ID:oB7QfE7ho
ここまでにて!それではおやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

眼鏡「……」

賢者「……」

眼鏡「……」

賢者「……」

眼鏡「あの」
賢者「あの」

眼鏡「……どうぞ」

賢者「……そっちこそ……ふぅ」

眼鏡「……いや、別に」

賢者「……そう……ふぅ」

眼鏡「……」

賢者「……」

眼鏡「あの」
賢者「あの」
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/04/07(木) 00:48:09.03 ID:x3t/bKRDo
ふぅ…




1乙
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/04/07(木) 01:14:33.40 ID:ETanR+1Go
あの
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/07(木) 02:05:43.09 ID:KCayOSjAO
魔導師ちゃん(68)

ふう……
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/04/07(木) 02:27:46.38 ID:Cc+niv/Q0
一乙
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/07(木) 02:59:08.98 ID:tzbe3lRAO
あの
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/07(木) 03:08:55.98 ID:dPBByr4AO
ふぅ…
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 06:22:24.45 ID:N70ZWBWDO
あの
>>1乙っす
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 07:42:06.49 ID:t2DL+AUWo
いちおつ
左大臣が若本でしか再生されない
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/04/07(木) 07:59:08.07 ID:ETanR+1Go
最近小物臭さが半端ないからそれはない
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 08:57:42.38 ID:+/qdBEhSO
>>521
禁書に小物若本のピアージオという前例がある
523 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 17:20:15.76 ID:Ha7Y4/0Po
ザワザワザワ

〜会議室〜

右大臣「このような時間にお集まり頂き、まこと感謝する」

社長「それで、何だと言うのだね?後継者問題の事か?」

右大臣「如何にも」

院長「亡き陛下に隠し子が存在し、その者が後を継ぐと聞いたぞ?」

エリート「まだ決まったわけでは在りません」

院長「しかしだな……」

社長「魔力はその、王女とやらが優れておるのだろう?」

右大臣「だとしてもだ、第一子である殿下が継ぐ事こそ筋というもの」

左大臣「その口論はァ、何度も繰り返したではないかァ」

右大臣「……」

左大臣「魔力無き殿下に、国王が務まるのかァ?」

右大臣「魔力があるから務まるとは限らぬではないか」

左大臣「貴様はァ、本国の歴史を覆すとでも言うのかね?」
524 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 17:20:53.31 ID:Ha7Y4/0Po
右大臣「……」

左大臣「元来、王家の魔力を崇拝する事の意味、分かっておるのだろう?」

右大臣「……王女にその力があるとは限らぬ」

左大臣「フッハハハァ!貴様は馬鹿かァ?」

右大臣「……」

左大臣「古今、王家の血を引きながら、その力を持たなかった者は居らぬ」

右大臣「……っ」

左大臣「おっと失礼、現殿下だけは例外だったなァ」

エリート「左大臣殿、失礼ですぞ」

左大臣「ふん、とにかく最早ァ、こんな召集は意味のない事」

スッ

左大臣「さァ、皆々様方も引き揚げましょうぞ」

右大臣「待て」

左大臣「あァ?」

右大臣「……例の物を」
525 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 17:31:10.29 ID:Ha7Y4/0Po
ザッザッザ…コトッ

右秘書官「どうぞ」

左大臣「何だァ、それはァ?」

ザワザワッ

右大臣「……」

カチャッ…バサッ

双子父「手紙……ですかな?」

右大臣「これはな、陛下が生前……皆に宛てた物だ」

院長「――っ!?」

左大臣「何ぃ……?」

右大臣「今日お集まり頂いたのは、まさにこれをお渡しする為よ」

社長「我らに……か?」

右秘書官「では、お配り致します」

カツカツカツ…スッ

院長「確かに、陛下の字だな……っ」
526 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 17:32:15.99 ID:Ha7Y4/0Po
カツカツカツ

右文官「……ほれ」

左文官「私にも……か!?」

右大臣「全員に行き渡ったな。まぁ、一名を除いてだがな」

左大臣「……ッ」

右大臣「陛下とて、貴様が佞臣であるなどという事はお見通しだったというわけだ」

左大臣「小賢しいっ!そんな手紙如きに、何の意味があるかァ!!」

エリート「……そうでしょうか」

左大臣「あァ?」

エリート「皆様は、少し違うようですが」

左大臣「何ぃ……?」

院長「…………」

双子父「……っ」

社長「……ぐ……くっ」

左大臣「……ッ!?」
527 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 17:33:07.56 ID:Ha7Y4/0Po
左文官「あれ程……っ、陛下……私は……っ!!」

左大臣「えぇい!何を感慨耽っておるかァ!!」

ダンッ!!

左大臣「茶番にも程があるぞ!!分かっておるのか貴様らァ!!」

右大臣「左大臣、いかに金を積もうが利権を得ようが、最後は人の心なのだ」

左大臣「何だとぉ!?」

右大臣「そして……」

バサバサッ

右大臣「……これが何か分かるか?」

左大臣「……?」

カサッ

社長「こっ、これはぁ!?」

左大臣「……何で……何故っ、このような物があるかァ!!」

院長「……っ」

双子父「まさか……まさか……っ」
528 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 17:34:16.17 ID:Ha7Y4/0Po
カサッ

左大臣「……ッ」

右大臣「今日、一同を呼んだもう一つの理由だ。見覚えがあるだろう?」

左大臣「馬鹿げている…っ。何故なんだァ……」

右大臣「総司令だよ」

左大臣「!?」

右大臣「あやつだけが唯一、受け取ったものをそっくり全て返しておったのだ」

左大臣「――っ!!」

エリート「これは、各々方が経済機関より受けた献金の資料です」

院長「……っ」

エリート「左大臣殿、これは貴方が金で人を繋ぎとめていた……」

社長「く……っ」

エリート「そう取られても仕方のない、悪事同然の行為ですよっ!」

左大臣「馬鹿がァ!!そこの貴様とて、受け取っていたのだろうがァ!!」

右大臣「ああ、受けとったよ。不本意な形とは言えな」
529 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 17:42:49.99 ID:Ha7Y4/0Po
左大臣「自己弁護する気かァ」

右大臣「そのようなつもりは毛頭ない」

左大臣「ほぉ、ならば共倒れにでもなるつもりかァ?」

右大臣「……その通りだ」

左大臣「――!?」

右大臣「私はこれを以って、政界から身を退く。但し、貴様も道連れでな」

院長「た、頼むっ!やめてくれっ!こんなものが世に出回ってしまっては……」

社長「馬鹿げているっ!!」

双子父「……」

右大臣「世に出す、などとは申しておらぬ」

院長「……?」

右大臣「これで互いに持ち得る情報は対等、という事よ」

社長「……っ」

右大臣「まぁ尤も、殿下を推せば左翼が公表するであろうがな」

左大臣「貴様とて王女を推して即位が決まればァ、公表に踏み切るつもりであろう!」
530 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 18:03:39.63 ID:Ha7Y4/0Po
右大臣「……そうだな」

院長「お、終わりだっ、何もかも終わりだ……っ」

社長「左大臣っ!!長年貴様を後押ししてきた恩がこれかぁ!?」

左大臣「……身勝手な事を」

院長「身勝手!?……私の立場はどうなるというのだっ!!」

左大臣「知った事かァ!!今まで散々、好き勝手にしてきた分際でぇ……!!」

エリ−ト「まぁ、落ち着いて下さい」

右大臣「これで分かったであろう?お主らはどのみち終わりよ」

院長「……くうっ」

右大臣「あとは自分達の心次第。亡き陛下の気持ちを汲むかそれとも……」

双子父「……」

右大臣「唯一、陛下からの手紙が無かった国賊に従うか」

左大臣「黙れ……っ」

右大臣「一晩じっくり考えて貰いたい」

左大臣「黙れえぇぇ!!」
531 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 18:06:39.20 ID:Ha7Y4/0Po
〜王宮、正門前〜

パッカパッカパッカ

王宮兵「止まれっ、何用か?」

ドクター「すみません。父が召集されていて、同行する予定だったのですが……」

王宮兵「……もしや、ドクター様ですか!?」

ドクター「ええ。急患が入って、遅れてしまいました」

王宮兵「そうでしたか。それはそれは」

ドクター「はい。ご不便をおかけします」

王宮兵「いえいえ。ところであの、失礼ですが……そちらの方々は?」

ドクター「助手とナースです。なにせ病人宅より直接来たものですから……」

助手「どうも」

ナース「こ、こんばんはっ」

王宮兵「……は、はぁ」

ドクター「ではっ、失礼致しますっ」

王宮兵「……な、なんだ?」
532 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 18:07:22.63 ID:Ha7Y4/0Po
〜会議室〜

左大臣「こんなものは茶番だァ!茶番甚だしい!」

右大臣「往生際が悪いぞ左大臣」

左大臣「あァ?」

右大臣「貴様は社会主義を謳い文句とし、それを盾に国家の解体を目論み……」

左大臣「どこにそのような証拠があるかァ!」

右大臣「己を支持する富裕層や文官にのみ、利権を与え……」

左大臣「だからァ、どこにそのような証拠があるというのだァ!!」

右大臣「果ては魔物と手を組み、己が操りやすい世界を築こうとしていた」

左大臣「口だけではァ、何とでも言えるものよ!!」

右大臣「左秘書官は死んだぞ」

左大臣「!?」

右大臣「最後は醜い魔物と成り果てて、死んでいったわ」

左大臣「……っ」

右大臣「それともう一つ」
533 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 18:08:27.27 ID:Ha7Y4/0Po
カツカツカツ

右秘書官「……どうぞ」

パサッ

右大臣「先程、魔道学校から届いた手紙だ」

左大臣「……!!」

右大臣「教頭も魔族化の果てに倒されたとの事だ」

ザワッ

院長「ま、魔族化……っ!?」

社長「左大臣、どういう事だ……?」

右大臣「全く、耄碌甚だしいな。お主らは利用されていたのだ」

左大臣「……」

右大臣「尤も、この男とて魔物に利用されているだけかもしれんがな」

左大臣「……フッ、フッハハハハァ!!」

エリート「……」

左大臣「馬鹿馬鹿しいっ、貴様らとて所詮は、国家を盾にしたファシズムであろうがァ!」
534 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 18:10:45.92 ID:Ha7Y4/0Po
右大臣「だからこそ、その流れを変えるべく動いておるのだ!」

左大臣「どうだかなァ。魔族と血で血を争う戦いをこの先、繰り広げ続けるつもりかァ?」

右大臣「……」

左大臣「それで国民を平和に導けるとでも言うのかァ!」

右大臣「それは我らの役目ではない」

左大臣「何……?」

右大臣「それを為す事が出来る礎を、築き続けてきたのであろうが!」

左大臣「……っ」

右大臣「そして、伝統ある血筋でありながらその魔力を持たぬ殿下が即位する」

左大臣「……」

右大臣「それこそ正に、本国における新国家となるべくものよ」

左大臣「……ふんっ、肝心の殿下が居らぬ今、詭弁だなァ」

右大臣「殿下は必ずや戻ってくる」

左大臣「良かろう。ならばァ、明朝……強権を発動してくれるわァ」

右大臣「!?」
535 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 18:11:35.98 ID:Ha7Y4/0Po
左大臣「殿下が戻る前に議会を起こし、可決すれば良いだけの事よ!」

エリート「そんな事が許されるとお思いかっ!殿下の意向を無視するなど……」

左大臣「フッハハハァ!そんなものは関係ないなァ」

右大臣「……」

左大臣「当人不在であらばァ、拒否も邪魔も出来なかろう……フッハハハ――」

ガチャッ…カツカツカツ

左大臣「……あん?」

ドクター「……」

院長「ドクター!?」

カツカツカツ

助手「……」

ナース「……」

左大臣「何だァ、貴様等ァ?」

助手「……呼んだかな?」

エリート「そっ、その声は……っ!?」
536 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/07(木) 18:21:20.88 ID:Ha7Y4/0Po
バッ

左大臣「で、殿下ァ……!!」

皇太子「……」

魔道士「……」

皇太子「皆、長らくの不在……すまなかったな」

右大臣「……殿下」

皇太子「右大臣、ご苦労であった」

右大臣「……っ」

皇太子「今日戻ったのは、皆に私達の意志を伝える為である」

エリート「……」

皇太子「数日間、魔道士と旅をし、互いの思いを包み隠さず語りあった」

魔道士「……」

皇太子「その上で述べる。亡き父の後は……私が継ぐ」

左大臣「――ッ!!」

皇太子「邪魔する者があれば、申し訳ないが……排除させて貰うぞ!」
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/07(木) 18:33:02.54 ID:Ha7Y4/0Po
それではここまでにて失礼致します!ご支援ありがとうございました!ノシ
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/04/07(木) 18:37:48.11 ID:5kPpR49+o
正直戦闘よりwwktk中

>>1おちゅ
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/07(木) 18:41:38.90 ID:SVx6WKPAO
>>1

やっとやっとやっと左大臣の人生が終わるのか
こいつのせいで良いキャラが何人も犠牲になったような気がするけど、
昨日の夕飯どころか、今日の昼飯すら覚えていない俺がそのキャラ達を覚えているはずもなく
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 19:13:11.52 ID:N70ZWBWDO
今こそ言う

左大臣ざまあああぁぁぁwwwwwwwwwwww
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 19:37:35.90 ID:Ag5fBIYDO
いちおつ

あ、俺も言いたい。
左大臣ざまあああぁぁぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/07(木) 19:58:20.70 ID:tSltYmBAO
左大臣もこれて終いか
色々掻き乱してくれたけど何だかんだで良い味出してたな


まあ何が言いたいかって言うと左大臣ざまぁ
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 20:12:44.21 ID:FFCEDUeIO
左大臣ざまあああぁぁぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 20:22:40.66 ID:JtDfa6/DO
あの

左大臣ざまあああぁぁぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/07(木) 20:36:07.40 ID:vnkCDBhIo
あの・・・・その・・・さ、左大臣さん//////





















ざまぁあああああああああああwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/07(木) 20:48:30.29 ID:pn7ttHLNo
____________________________
         (^o^)ノ オワタ   三┌(^o^)┘オワタ          /|
         ノ( ヘヘ       三 ┘>     三 ┌(^o^)┘オワタ | ミ
   (^o^)ノ オワタ        三 ┌(^o^)┘オワタ    ┘>/   |   ミ \( ^o^)/ オワタ
   ノ( ヘヘ    (^o^)ノ オワタ  三  ┘> ┌(^o^)┘オワタ    /    ミ  |_/
          ノ( ヘヘ           三  ┘>  /   / |       ノ ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   /   |  ミ
                                    |  /    |  ヽ(^o^ )ノ オワター      ミ \( ^o^)/ オワタ
_____________________|/      |  \(\ノ             ミ |_/
                              |        |         ミ          ノ ノ
                              |        |        ミ \( ^o^)/ オワタ
  ______    ______      |        |            |_/
  ||//        .||   ||//       ||     │        |            ノ ノ
  ||/       .||   ||/          ||     │        |
  ||        ||   ||._____________ ...||     │        |              ミ
  ||        ||   |||  (^o^)  |  ||     │        |               ミ\(^o^)/ オワタ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      |        |                  ┘|
                        〜左大臣一派〜
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/07(木) 22:18:12.87 ID:nGBg8atFo
よっしゃあぁぁぁぁ!!!
左大臣フルボッコタイムキターーーーーーー
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/07(木) 22:38:18.44 ID:wAj9nscMo
ムスカざまあああああああああああああああああああああああああwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/07(木) 22:48:29.13 ID:BDAZgaL4o
左大臣の人気に嫉妬
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 22:49:05.65 ID:rYDHYVOUo
じゃあ僕は魔道士ちゃんとナースプレイでも楽しむとしますか
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/07(木) 22:59:07.99 ID:pn7ttHLNo
あぁ!>>550の延命装置が壊されてる!
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 23:47:56.89 ID:pka5UpNDO
>>1乙!
あの…その…出遅れた感満載なんだけど、どうしても言いたいんだ……

左大臣ざまあああああああああああああああああwwwwwwwwwwww
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 00:03:09.36 ID:DRrRGrODO
おい、左大臣ざまぁとか言い出したとたんこの地震だよ
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/08(金) 00:40:14.54 ID:ppihkP+AO
左大臣と王子の嫌われっぷりはすごい
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/08(金) 02:08:25.67 ID:ygrRWI5DO
>>1


この早さなら言える
右大臣ざまぁぁぁwwwwwwwww
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 03:04:50.26 ID:63sodraSO
>>555
さすがにそらないぜ
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 05:22:40.37 ID:sr6eBASSO
王子は一応愛されてるからな

左大臣ざまぁぁぁぁぁwwwwwwwwwwwwww
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 09:11:57.06 ID:sSW+A1rHo
>>555
こいつ左大臣じゃね?
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 11:22:56.57 ID:J1cq3a670
左大臣ざまぁwwwwwqwwww

560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/08(金) 17:24:20.37 ID:iW/t3o/30
左大臣ざまぁぁぁぁぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
561 :左大臣 [本物]:2011/04/08(金) 17:32:43.72 ID:IVYAiiw6o
ふんす
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 18:00:11.44 ID:s7yA8uzDO
おぃ…

左大臣ざまぁぁぁぁぁぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
とか言ってるから>>561が来ちゃったジャマイカ。


>>561ざまぁぁぁぁぁぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/08(金) 18:13:14.50 ID:ZhNx7enKo
既に投下したのかと思った…何ぞこの流れ…!?
あ、いやレスが付く事は嬉しき事です!感謝!↓続き
564 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:14:05.95 ID:ZhNx7enKo
左大臣「……ぐっ!」

右大臣「左大臣、これで殿下の意思も分かったであろう?」

左大臣「……あァ、分かった分かったァ」

エリート「……」

左大臣「良かろう、ならばァ……明日、ケリを付けようではないかァ」

右文官「勝ち目はないぞ!無駄な事は慎む事だな!」

左大臣「どうかなァ?」

エリート「……?」

左大臣「まぁいい、では戻るとするかァ。行くぞ、左文官」

左文官「……っ」

左大臣「どうしたァ?早くせんかァ」

左文官「…………」

左大臣「貴様ァ……」

左文官「私は……長きに渡り、貴方に付き従って参りました……」

左大臣「……」
565 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:14:34.17 ID:ZhNx7enKo
左文官「陛下や王家に不義を働く結果と相成ろうと、貧しき者も豊かに……」

皇太子「……」

左文官「皆が平和に暮らせる国造りを、経済をと……」

エリート「……」

左文官「それが……魔物と通じて?限られた富裕層の利権?」

右大臣「左文官。これが現実だ」

左文官「私は……何の為に……」

ガクッ…クシャッ

左文官「陛下は私を……こんなにも信頼してくれていたというのに……っ」

皇太子「左文官、お前に非はない。お前は正しいと思った道を進んだだけだ」

左文官「殿下……っ」

右大臣「全ての元凶はこやつよ。誤った標識を示していた左大臣、貴様がな」

左大臣「……」

右大臣「貴様こそが選民思想の上におけるファシズムそのものではないか!」

左大臣「勝手に吼えるが言いわァ」
566 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:15:01.72 ID:ZhNx7enKo
右大臣「……」

左大臣「戦う事しか脳のない堅物共にはァ、所詮、その程度の発想だなァ」

エリート「貴方は分かっておらぬ」

右大臣「本気で魔物が人間との共存を望むと、約束を守ると思っているのか?」

左大臣「……あァ?」

魔道士「……いますっ!」

皇太子「……?」

魔道士「確かに、良い魔物さんも沢山います……」

左大臣「……フッハハハァ!王女、貴女は私の――」

魔道士「でも、みんな……魔王はそうじゃないって言ってます」

左大臣「!?」

魔道士「だから、みんなが仲良く暮らすには、魔王を倒さなくちゃいけないんですっ!」

左大臣「く……っ!」

魔道士「その為に……みんな頑張ってるんじゃないですかっ!」

右大臣「王女の申す通りよ。貴様はいい加減、舞台から降りるが良い」
567 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:15:56.25 ID:ZhNx7enKo
左大臣「……どいつもこいつも、勘に触る連中よ」

ザッ

左大臣「明日だァ!全ては明日、ケリを付けてくれるわァ!!」

カツカツカツカツ…

魔道士「……っ」

皇太子「魔道士、よく言ってくれた」

魔道士「まだ震えが……止まりませんよ……っ」

エリート「しかし左大臣は何故、あれ程までに強気なのか……」

右秘書官「何か切り札でも持っているのだろうか」

右大臣「そんな生易しいものではない」

エリート「……と、言いますと?」

右大臣「議会の投票数で我らが優位なのは間違いない」

右文官「……っ」

右大臣「どうすれば防げると思う?至ってシンプルな発想だ」

エリート「ま……まさかっ!?」
568 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:17:27.82 ID:ZhNx7enKo
右大臣「……そうだ。実力行使で、消すつもりよ」

右秘書官「――!?」

社長「お、おいっ!私はどうなるっ!?」

院長「いやだっ!死にたくない……助けてくれぇ!!」

双子父「……っ」

エリート「今日は王宮内から出ない事です。その上で……」

右大臣「改めて、良いかな?」

ザッザッザ

ジュニア「ハッハ、我らのお役目は要人の護衛!」

眼鏡「やるしかないね」

賢者「……ふぅ」

院長「た、頼む!金ならあるっ!!幾らでも出すぞ!!」

ドクター「父さん、いい加減にして下さい」

院長「……っ」

ドクター「見苦しいにも程があります」
569 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:18:22.33 ID:ZhNx7enKo
ジュニア「ともかく、ここにいる限りは、我らがお守り致しますよ」

双子父「任せて……宜しいのか?」

エリート「功績ランク2位の眼鏡殿」

眼鏡「……どうも」

魔道士「功績ランク3位のジュニアさん。あの再来のマジシャンさんの息子ですっ」

ジュニア「おぉ!?ナース姿もいいねぇ……魔道士ちゃん!ハッハ!」

右大臣「そして魔道学校学園長の孫である賢者」

賢者「……ふぅ」

皇太子「これだけの面子が揃っている。まず心配は要らないだろう」

社長「たっ、頼むぞ!」

ジュニア「へいへい」

エリート「……しかし」

ジュニア「今の内に左大臣を……ってか?」

エリート「……」

ジュニア「気持ちは分かるが人間同士はなぁ……。それに、その役目は……」
570 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:19:47.58 ID:ZhNx7enKo
ザッザッザ

左大臣「……っ」

〜左大臣の屋敷〜

左翼官「……お帰りなさいませ」

左大臣「……どけ」

ドンッ…ザッザッザ

左翼官「……っ」

左大臣「何だァ?何か文句でもあるのかァ?」

左翼官「……左大臣様、もう……打つ手は……っ」

左大臣「あァ!?私に意見する気かァ!!」

左翼官「そのような事は……」

左大臣「ならば下がれいっ!」

左翼官「左大臣様っ、最早勝ち目は御座いませぬ!もうやめましょう!」

左大臣「何ぃ……?」

左翼官「魔物の手を借りてまで、そこまでする必要は御座いませぬ!」
571 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:20:16.48 ID:ZhNx7enKo
左大臣「……貴様ァ、知っておったのかァ」

左翼官「私は、経済機関へ勤めて、かなりの月日を過ごしました」

左大臣「……」

左翼官「新人の頃より国在り方など、貴方様より多数……勉強させて頂きました」

左大臣「何が言いたい?」

左翼官「世界が正しい方向へ進むのであれば、魔物の力を借りる……」

左大臣「……」

左翼官「多少の事には犠牲も止む無し。そう言い聞かせ……慕って参りました」

左大臣「だからァ、何が言いたいのだァ!」

左翼官「しかし左大臣様、ここ最近の政策はいき過ぎておると思われます」

左大臣「ならばァ、どうしろと言うのかァ!?」

左翼官「ここは再び時機を……」

左大臣「黙れぃ!!」

左翼官「っ!!」

左大臣「もう……後には退けんのだァ!!」
572 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:20:54.21 ID:ZhNx7enKo
左翼官「……っ」

左大臣「……もう良い、下がれ」

左翼官「左大臣様、私は……」

左大臣「下がれと言っておるのだァ!!」

左翼官「……っ」

左大臣「そして、二度と顔を見せるなァ」

左翼官「――っ!?」

左大臣「貴様はァ、今日限りでクビだァ」

左翼官「…………」

左大臣「今すぐ立ち去れぃ!!」

左翼官「……失礼……致します」

クルッ…ザッザッザッザ…

左大臣「……馬鹿者めがァ」

ザッザッザ…カツカツカツカツ

左大臣「……っ!?」
573 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:21:53.00 ID:ZhNx7enKo
屋敷内地下。かつて戦士が囚われた私設牢獄の更にその先、

やや開けた、薄暗い部屋が広がっている。

ザッザッザッザ

かつてこの屋敷を建てた主は王家を支える貴族であった。

おそらくは貯蔵庫などにでもつかわれていたのであろう。

左大臣「……」

そのひっそりと佇む空間は、彼らにとって好都合そのものであった。

フワッ…ストッ

ネクロマンサー「……」

左大臣「貴様ァ、今更何をぬけぬけとやってきたァ!?」

ネクロマンサー「仰ってる意味が分かりませんが」

左大臣「殿下と王女が逃亡したのだァ!何故、追っ手を差し向けて暗殺せなんだァ!」

ネクロマンサー「……計画外だからですよ」

左大臣「……何だとぉ?」

ネクロマンサー「そんな想定外の事に、貴重な部下は割けませんよ」
574 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:22:33.32 ID:ZhNx7enKo
左大臣「何をほざいておるかァ!お陰こっちは――」

ネクロマンサー「何か、勘違いしておりませんか?」

左大臣「……あァ?」

ネクロマンサー「指揮者は、貴方ではないでしょう?」

左大臣「何だと……っ」

ネクロマンサー「所詮、ただの一奏者。大人しく演じておれば良いものを」

左大臣「この私を……愚弄するかァ!!」

ネクロマンサー「身勝手な行為で次々と下手を打ち……」

スッ…ザッザッザ

ネクロマンサー「とうとう、洗礼を与えた貴重な人間までも失い……」

左大臣「……ぐ……くっ!」

ネクロマンサー「貴方、どう責任を取るおつもりです?」

左大臣「まだだァ、まだ間に合う!」

ネクロマンサー「ほぅ」

左大臣「直ちに駒をぶつけろ!要人共を消すのだァ!」
575 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:23:28.72 ID:ZhNx7enKo
ネクロマンサー「……」

左大臣「分からぬかァ?明朝、議会を起こす。当然、現状の数では敗北必死よ」

ネクロマンサー「……でしょうね」

左大臣「しかしだァ、議決権のある要人を消してしまえばァ、票は減る!」

ネクロマンサー「それで、殺せ……と?」

左大臣「そうだァ。可決さえしてしまえばこっちのものよ!!フッハハハァ!!」

ネクロマンサー「駒……ねぇ」

左大臣「可決さえしてしまえばこっちのもの。しかし否決されればァ……」

ネクロマンサー「終わり、ですか」

左大臣「ここが正念場だァ。何が何でも防ぐのだァ」

ネクロマンサー「それで、貴方は何を為さるのですか?」

左大臣「……?」

ネクロマンサー「まさか、お一人……手を汚さぬつもりではないでしょうねぇ?」

左大臣「……何をしろと言うのだァ?」

ネクロマンサー「……洗礼を受けなさい」
576 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:24:33.61 ID:ZhNx7enKo
左大臣「何……?」

ネクロマンサー「いい加減、貴方も魔族化しなさい、と申したのですよ」

左大臣「……」

ネクロマンサー「魔族に忠誠を誓ったのでしょう?」

左大臣「忠誠?私は魔王と共に歩むと申したのだァ」

ネクロマンサー「それがどういう意味か、当然……分かっているでしょうね?」

左大臣「私に……魔族になれと申すのかァ!?」

ネクロマンサー「……ククッ、どうしようもないお人だ」

左大臣「あァ?」

ネクロマンサー「他人には手を汚させて、自分はそ知らぬ顔……」

スゥッ

ネクロマンサー「そんな暴挙、許されるとでも?」

左大臣「よ、寄るなァ……っ!!何を――」

ピトッ

ネクロマンサー「この魔石に私がね、少し魔力を送るだけでいいんです」
577 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:25:01.08 ID:ZhNx7enKo
左大臣「――!?」

ネクロマンサー「既に研究は……完成段階になる。ククッ」

左大臣「きっ、きさ――」

ピリッ!!

左大臣「――!!」

ネクロマンサー「ようこそ、魔族の世界へ」

左大臣「……ッ」

ネクロマンサー「では、後は頑張ってください」

左大臣「待てっ!!」

ネクロマンサー「……それともう一つ」

左大臣「……?」

ネクロマンサー「そこの人間、始末した方が良いですよ?」

左大臣「な……っ!?」

バッ!!

格闘家「っ!!」
578 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:25:34.83 ID:ZhNx7enKo
左大臣「貴様ァ……見ていたなァ!?」

ネクロマンサー「では、私は失礼しますよ。ククッ」

左大臣「待てっ!その者を始末せんかァ!?」

ネクロマンサー「ご自身でやられたらどうです?私は忙しいのですよ」

フワッ

左大臣「待てっ!!……くっ!!」

ザッ

左大臣「貴様ァ、どうやって入り込んだァ!?」

ジャキッ…フォンッ!!

ネクロマンサー「――!?」

ザシュウウゥゥゥゥ!!

ネクロマンサー「何者です?不意打ちとは言え、一撃で私の腕を斬り落とすとは……」

ザッザッザ

天才「……ハーッハッハッハ!!俺様を知らんとはモグリにも程があんぞ?」

格闘家「師匠っ!!」
579 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:26:10.99 ID:ZhNx7enKo
左大臣「まだ蝿がいたかァ……」

天才「どこから入っただぁ?魔物が入れるような家に人間様が入れねぇわけねーだろ」

ネクロマンサー「やれやれ。余計な事をするとこれですよ」

スゥッ

天才「逃がすかぁ!!」

ババッ!!

ネクロマンサー「逃げますよ。ここでは力も使えないですからねぇ」

フオンッ…サアアァァァァ…

天才「……ちっ」

格闘家「……っ」

天才「何をボサっと突っ立ってやがる!!」

格闘家「!?」

天才「早く証拠持って、本部へ向かえ!!」

格闘家「は、はい」

タタッ
580 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:26:54.06 ID:ZhNx7enKo
左大臣「逃がすかァ!!」

ザッ

天才「おぉーっと、ここは通行止めだ」

左大臣「……ッ」

天才「通りたければ、この俺様を倒していきなっ!!」

左大臣「…………」

天才「……おいおい、リアクションしろよ。この台詞、言ってみたかったんだぜ?」

左大臣「どいつもこいつも……人をコケにしやがってえぇ!!」

天才「おら、かかってきな」

左大臣「使えぬ人間、使えぬ魔物……懲り懲りだァ」

天才「お前、本当に馬鹿だな」

左大臣「……」

天才「てめぇが手綱握ってたつもりなんだろーがよ」

左大臣「……」

天才「所詮、利用されてた駒だったって話だよ。気付いてんだろ?認めろよ」
581 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:27:33.50 ID:ZhNx7enKo
左大臣「ウガアアァァァァ!!」

天才「俺だってなぁ、人間相手にはやりたくねぇんだ」

左大臣「グッフウウゥゥゥゥ……」

天才「魔族化出来んだろ?してみろよ。おら、かかって来いよ」

左大臣「……そこまで言うのならばァ、見せてやるさァ!!」

天才「よぉし、それでいい。この刻を……ずーっと待ってたぜ」

左大臣「……グアアァァァァ!!」

ゴキッ!!…ベキベキベキィ!!…ズグググッ

天才「おほぉ」

左大臣「グ……ガガアアァァァァーッ!!」

天才「オーク……じゃねぇな。ま、とにかくお前にピッタリな豚のバケモンだわ」

左大臣「フッシュルルウウゥゥゥゥ」

ズシイイィィン

左大臣「コロス……コロス!!」

天才「そりゃあ、こっちの台詞だぜぇ!!ハーッハッハッハ!!」
582 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:28:12.14 ID:ZhNx7enKo
〜国軍本部、副司令室〜

副司令官「……」

フワッ

副司令官「……あまり、こちらには顔をだして欲しくないものですね」

ネクロマンサー「ククッ、就任のご挨拶がまだでしたので。総司令官殿」

副司令官「まだ正式な辞令は出ていませんよ。それに……」

ギィッ…カツカツカツ

副司令官「総司令になれば、総司令室へ移らなくてはいけません」

ネクロマンサー「あそこは結界石で固められていますからねぇ」

副司令官「貴方も顔を出せなくなりますよ」

ネクロマンサー「……まぁ、本国へ来るのもこれが最後でしょう」

副司令官「終わりですか?」

ネクロマンサー「どこかの馬鹿が好き勝手暴れたせいで、内部崩壊は頓挫しました」

副司令官「……」

ネクロマンサー「あとは貴方にかかっていますよ」
583 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:28:48.31 ID:ZhNx7enKo
副司令官「王宮が終息する今、軍部を混乱させるだけで手一杯ですよ」

ネクロマンサー「……おやおや、随分と弱気な」

副司令官「ご先祖様、もはや内通は困難な状況となりつつあります」

ネクロマンサー「……全く、仕方ないですねぇ」

副司令官「まもなく私も、合流させて頂きたいと思います」

ネクロマンサー「……致し方ないですね」

副司令官「後片付けを済ませ次第、向かわせて頂きますよ」

ネクロマンサー「……ククッ。それではお待ちしておりますよ……魔王城でね」

副司令官「はい」

ネクロマンサー「やはり貴方はいい。私の地を引く者の事だけはありますよ」

副司令官「ありがとうございます」

ネクロマンサー「では、ヨロシク」

副司令官「はっ」

スゥッ

副司令官「…………」
584 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:29:59.13 ID:ZhNx7enKo
〜左大臣の屋敷〜

天才「……」

左大臣「ブ……グアアァァァァ!!」

ズドオオォォォォンッ!!

左大臣「……グウゥ」

天才「冗談だろ?」

左大臣「……ウ……ガアアァァァァーッ!!」

ドズウウゥゥゥゥンッ

天才「お前……本当に戦う気があんのか?」

左大臣「グウウゥゥ……」

天才「こんな雑魚に何人もの人間が踊らされて……」

左大臣「……コロスゥ」

天才「命を吸われて……死んでいったんだよなぁ」

左大臣「コロスウウゥゥ!!」

天才「情けなさ過ぎて……反吐がでらぁ!!」
585 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:30:56.18 ID:ZhNx7enKo
ザッ…ビュオンッ!!……ザシュウウゥゥゥゥ

左大臣「ギアアァァァァーッ!!」

天才「こんな雑魚、五行を使うまでもねぇ」

左大臣「目が……目ガアアァァァァーッ!!」

天才「その程度でガタガタ言ってんじゃねぇぞコラァ!!」

ヒュオッ……ザシュウウゥゥゥゥ!!

左大臣「ギヒヤアアァァァァ!!」

天才「お次は……左腕ぇ!!」

ドズンッ!!…ブシャアアァァァァ!!

左大臣「ヒ……イギッ、痛イイィィィィ!!」

天才「まだだ、楽には死なせねぇ」

チャキッ

天才「両腕の次は……両脚いってみようかぁ!!」

ザシュッ!!

左大臣「グブウウゥゥゥゥーッ!!」
586 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:31:47.22 ID:ZhNx7enKo
ドゴォッ!!…ザンッ!!

左大臣「ガ……ブゥ」

ドッシャアアァァァァ

天才「貴様に利用された人々の痛み、こんなモンじゃあねーぞ」

ザスッ

左大臣「モッモオォ許シ――」

天才「あぁ!?」

ザシュッ!1

左大臣「ウガアアァァァァ!!」

シュウウゥゥゥゥ

天才「魔族化ももう限界か?収縮してんぞ」

左大臣「も……やめ……」

天才「最後に問う。死にたくなければ答えろ」

左大臣「……ウ……ウゥ」

天才「内通者はてめぇと副司令と、残りは誰だ?」
587 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:32:24.60 ID:ZhNx7enKo
左大臣「……ショ……ウカンシノ、オトコ……」

天才「……名前は?」

左大臣「……」

天才「――!?ほぉ、なるほどなぁ」

左大臣「頼ム……タスケ――」

ドズゥッ!!……バシュンッ!!

左大臣「テ――――」

ガクッ

天才「……助ける、わけねーだろ」

チャキッ

天才「……これで準備は整った」

ザッザッザ

天才「いよいよ、始めるとするかねぇ。ハーッハッハッハ!」

野望を内に秘めたまま、左大臣はこの世から姿を消した。

暗躍し続けた巨悪の最後は、実に呆気ないものであったと言う……。
588 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/08(金) 18:32:54.50 ID:ZhNx7enKo
〜国軍本部、会議室〜

青年兵「……本当ですか!?」

格闘家「これが証拠の写真です」

隊長「ちゃんと撮れてんだろうなぁ?」

格闘家「多分。不器用なんで何とも……」

青年兵「すぐに博士の元へっ!」

国軍兵「ははっ!」

タッタッタッタッタ

隊長「それで、左大臣は?」

格闘家「おそらく師匠が……カタを付けるでしょう」

男隊員「生け捕らねぇのか?」

隊長「もはや生かしておく価値はなかろう。泳がせて炙りだしきったからな」

青年兵「……写真の現像が終わり次第、確認作業に入ります」

女隊員「はいッス!!」

青年兵「左大臣様がクロと確定の後、屋敷へ踏み込みます!」
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/08(金) 18:37:53.22 ID:ZhNx7enKo
とりあえずここまでにて失礼致します!
ご支援本当にありがとう!それでは!ノシ
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/08(金) 18:43:18.75 ID:biyswQWAO
>>1


いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいやっっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
左大臣死んだ!左大臣死んだよ!!!今日は赤飯だ!!
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 19:03:21.11 ID:ygrRWI5DO
>>1乙ァ
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/04/08(金) 19:05:14.70 ID:zX0fbqmJ0
さりげなくムスカネタ入れてくれた1が好きだぁ!
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/04/08(金) 19:45:05.08 ID:2BeW0ALAo
>>1

召喚師の男ってまさか…
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 19:47:13.30 ID:DRrRGrODO
>>1乙っす

左大臣ざまぁ
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 22:08:18.60 ID:+DbpTOEIO
まさか主人公が内通者とは・・・・
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 22:09:44.71 ID:tg2l7wqDO
めしうまァ
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/08(金) 22:48:06.57 ID:TBfOfppeo
国の重要なポジションにいる召喚使か……
まさかな…………
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/08(金) 23:01:45.72 ID:oF6YhtcAO
主人公が内通者だったなんて…胸熱
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/08(金) 23:19:11.73 ID:ppihkP+AO
まさかボスが内通者だったとは……
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/08(金) 23:45:31.43 ID:SpVriyNao
まさかあの弁慶が・・・!?
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/09(土) 00:29:22.91 ID:mTiMm7QAO
召喚男の該当者が思いの外多くて狙いが定まらない…
とりあえず青龍先生の爺は除外なのかな?
もう何を信じたらいいのかわからないや!
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 00:33:45.53 ID:yaBcpbNvo
ベヒンモス使いいたから白虎使いが怪しそうではあるが。
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 01:04:04.60 ID:1+C1kcLf0
ネタバレするとオレが内通者
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/09(土) 01:18:55.77 ID:i/gtkDCoo
おいふざけんな、俺が内通者だから。
おめぇどこ族だよ、やんのかコラ
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 01:24:03.85 ID:ktdB8yODO
じゃ、おれも内通者
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/09(土) 01:48:33.09 ID:+ehgYSjco
>>603-605
つ五行
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/09(土) 02:46:08.75 ID:fEl6wDEDO
オークじゃない豚みたいなアンデットてなんだ? 
一瞬アークデーモンかと思ったけどあれは悪魔だしな
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 03:04:17.48 ID:JXnmJxFDO
>>607
ジブリ繋がりでポルコロッソさんとか…
キャラ的に違うよなww

単純に左大臣の内面の醜さが反映されて
豚の様な醜悪な外見をした魔物へと変貌したんじゃないかな?
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/09(土) 03:08:31.62 ID:hSKxXxMAO
メwwwwwwシwwwwwwウwwwwwwマwwwwww
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/09(土) 03:10:05.65 ID:nCk78rPAO
おいおい主人公、内通なんかして魔道士ちゃん泣かしてんじゃねーよ
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/09(土) 05:26:00.51 ID:NKaRXMtGo
アンデッドなのかな??

メガテンのオーカスみたいなイメージ。
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/04/09(土) 12:55:08.39 ID:MCEzJHAU0
青年兵に女記者の仇取らせてあげたかったなぁ

いや、直接手を下した内通者がまだいるか!
首を洗って待っていやがれ!
正当なる主人公青年兵がその首とってやる!
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 13:06:32.00 ID:BbhSt9rDO
召喚子の(付き合ってる)男…



もしや番ch
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 15:57:50.84 ID:Zro0dxDao
内通者は黒タイツ着てるからすぐわかるはずだ
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/04/09(土) 16:17:04.85 ID:Jjr1ggzm0
まさかのエガちゃんwwww
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 22:35:43.99 ID:QZPA70KSo
>>615
たぶん>>614の黒タイツはコナンの犯人の事を言ってると思うの
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 23:25:25.06 ID:Ic+fIbGw0
>>616
つまり、江頭はコナンの犯人で
しかも内通者の召喚師だったということか
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/09(土) 23:33:02.44 ID:i/gtkDCoo
あの股間の盛り上がりはなるほど、召喚獣だったのか
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/09(土) 23:55:38.06 ID:0mwvxJm3o
えっと…どういう事でしょうか?
作者急病につき、また後ほど来ます。すみません…
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/10(日) 00:04:25.94 ID:PqQRQefdo
>>619

どしたの?
続きは気になるけど、
無理しないでね〜
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 03:26:49.78 ID:xm9FKSvN0
1無理しないで休めお
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/10(日) 09:40:14.74 ID:PpGFe6XAO
お前等のノリがキモすぎて書きたくないってさ
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 11:51:11.20 ID:fgUyf5RDO
キモいのは同意
でもそんな言い方するとまた荒れるかもしれないから止めてくれ!

もう一度言う、キモいのは同意
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 11:52:56.07 ID:Mf3vzgzDO
↑お前もキモイよ^^
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/10(日) 12:17:22.60 ID:3B06H9b2o
調教が足りてない
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/10(日) 12:21:51.89 ID:5XNeuHuco
俺が一番キモいんだ!
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 13:44:07.19 ID:8G6EPgaDO
>>626
満場一致認定
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/10(日) 14:49:42.02 ID:AnE9wwpSO

フッ >>626は我ら四天王の中でも最きも

629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) [sage]:2011/04/10(日) 14:51:46.34 ID:TxVd4zx8o
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/10(日) 15:06:29.25 ID:kkEKSIbmo
みんな きもければ こわくない
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 16:02:11.55 ID:nvBq3YVDO
雑談はあっちでやろうず
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/04/10(日) 16:52:30.34 ID:ox/DZ3VNo
もともとVIPだし雑談自体が迷惑なわけじゃないと
ニコ厨みたいなのが毎度毎度気持ち悪いノリなのがどうもね
いっそコテでもつけてくれりゃNGしやすいのに
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 22:42:15.42 ID:6AUk8/z+o
ニコニコなんざ知ったこっちゃないし気にもならんが
お前みたいな、ニコ厨が云々と因縁付けてスレ汚す奴が迷惑
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/04/10(日) 22:44:15.96 ID:ox/DZ3VNo
ニコ厨は例えなのにそこに反応するとかニコ厨おつですう^^
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/10(日) 22:51:40.73 ID:kkEKSIbmo
別に例えにニコ厨出す必要無くね
あとsageろよ
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/04/10(日) 23:09:38.41 ID:ja2bwLZ0o
県民としてほんとごめん
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 23:32:42.57 ID:w4WVq/9i0
ここまでは春厨の提供でお送り致しました
638 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:45:11.84 ID:tOc0+JkLo
チュンチュンチュン

ジュニア「……」

賢者「……朝だね……ふぅ」

眼鏡「うん。朝だね」

朝の光に反射した寝惚け顔のジュニアが、小声で口を開く。

ジュニア「結局、何もなかったな。取り越し苦労だったか……」

眼鏡「まぁ、何もないにこした事はないけどね」

ジュニア「……まぁな」

テクテクテクテク

ジュニア「こっちの見解じゃ、もう戦闘配備を解除してもいいと思うんだが……」

エリート「……そうですね。時間も時間ですし、そう致しましょうか」

ジュニア「だってさ、お偉いさん方。良かったな」

社長「……っ」

院長「たっ、助かったぁ……っ」

双子父「……」
639 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:46:07.79 ID:tOc0+JkLo
チュンチュンチュン

ジュニア「……」

賢者「……朝だね……ふぅ」

眼鏡「うん。朝だね」

朝の光に反射した寝惚け顔のジュニアが、小声で口を開く。

ジュニア「結局、何もなかったな。取り越し苦労だったか……」

眼鏡「まぁ、何もないにこした事はないけどね」

ジュニア「……まぁな」

テクテクテクテク

ジュニア「こっちの見解じゃ、もう戦闘配備を解除してもいいと思うんだが……」

エリート「……そうですね。時間も時間ですし、そう致しましょうか」

ジュニア「だってさ、お偉いさん方。良かったな」

社長「……っ」

院長「たっ、助かったぁ……っ」

双子父「……」
640 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:47:06.39 ID:tOc0+JkLo
カツカツカツ

エリート「失礼致します」

皇太子「うむ」

エリート「……」

皇太子「議会の話か?」

エリート「……如何、致しますか?」

皇太子「如何も何も、やらざるを得ない状況だろう?」

エリート「……まぁ、そうですが」

皇太子「それにな……」

エリート「……?」

パサッ

皇太子「読んでみたまえ」

エリート「……陛下からの……手紙ですか」

皇太子「私宛てのものだ。本人も議会での決を望んでいる」

エリート「……」
641 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:47:58.15 ID:tOc0+JkLo
カツカツカツ

右大臣「私が預かった皆への手紙。確かに有用なものではあるが……」

エリート「それだけで、議会に勝てるなどとは到底、考えにくいかと」

皇太子「まぁ、それが本音だろうな」

エリート「……」

皇太子「父の手紙に加え、今回は別の一手も投じられた」

右大臣「不当な献金、汚職の実情ですな」

皇太子「運が良かった。これによって、議会にも勝ち目が見えてきたわけだ」

エリート「執念ですよ。亡き陛下や総司令の……」

皇太子「うむ。そして私はこの議会こそ、天命だと思っている」

エリート「天命……」

皇太子「勝てばそれも天命。負ければまた、それも天命」

右大臣「殿下……」

皇太子「私が魔力を持たぬものもおそらくは天命。きっとそうなのであろう」

エリート「……」
642 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:48:29.28 ID:tOc0+JkLo
皇太子「だから私は、この議会を天命と思い、どんな結果であろうと受け入れよう」

エリート「……成程、ならば私の天命は……」

皇太子「ん?」

エリート「この命ある限り、殿下に付き従う事ですね」

皇太子「エリート、お前……」

エリート「……さぁ、最後の日と踏ん張りです。議会の準備を始めましょう」

右秘書官「……ああ」

右文官「よぉし、こうなったら……とことんやってやろうじゃないか!」

エリート「では父上、手筈を……」

右大臣「……」

エリート「父上……?」

右大臣「エリート、今日からはお主が右翼を支えるのだ」

エリート「……!?」

右大臣「昨晩もレポート、見たであろう?」

エリート「父上っ、しかしですね……」
643 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:49:07.03 ID:tOc0+JkLo
右大臣「左翼や彼らのみが積荷問われるなど不平等があってはならぬ事」

右文官「……っ」

右大臣「先述通り、私は政界より身を退く」

エリート「……」

皇太子「右大臣、決意は固いのだな?」

右大臣「殿下、これまで色々とご迷惑をお掛け致しました……」

右秘書官「……」

右大臣「息子を、エリートを何卒、宜しくお願い致します」

エリート「……父上」

皇太子「……相分かった。右大臣、本日までの勤め、まことにご苦労であった」

右大臣「勿体なきお言葉」

皇太子「後の事は何も心配は要らぬ。エリートは君に劣らず優秀だ」

エリート「……」

右大臣「ええ、私の自慢の……息子です」

エリート「父上、いえ……右大臣様。有難う御座いました」
644 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:50:32.12 ID:tOc0+JkLo
〜国軍本部〜

タッタッタッタッタ

国軍兵「博士様よりお届けものです。写真が出来上がったとの事」

青年兵「ありがとうございます」

カサッ

隊長「……どうだい?」

青年兵「……っ」

男隊員「よく写ってるじゃねぇか。こりゃあ確定だな」

青年兵「ええ、左大臣様は内通者。クロ確定ですね」

隊長「さぁ、どうする?」

青年兵「……各員、準備を。これより左大臣様の屋敷に向かいます」

女隊員「了解ッス!」

男隊員「ヒャハハ!ついに尻尾を出しやがったか!」

隊長「よぉし、10分で仕度しろ!一気に突入するぞ!」

青年兵「……」
645 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:52:10.94 ID:tOc0+JkLo
〜左大臣の屋敷〜

青年兵「……」

タッタッタッタッタ

国軍兵「青年兵様っ、こちらです!」

青年兵「……」

ザッザッザッザッザ

隊長「……こいつはまたひでぇな」

青年兵「どうですか?」

男隊員「目を潰された挙句、四肢を切断。一見すりゃ猟奇的なモンだわ」

女隊員「……うぅ……っ」

隊長「中途半端に魔族化してるが、こりゃあ間違いなく……」

青年兵「左大臣様ですね……」

隊長「んで、これをやったのは……?」

格闘家「師……天才です」

青年兵「……」
646 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:53:56.50 ID:tOc0+JkLo
隊長「殺りやがったか」

男隊員「殺す必要はあったのか?」

隊長「さぁな。まぁ、証拠も出たし……生かしておく必要はないと踏んだんだろう」

女隊員「でも、他の内通者の情報を……」

男隊員「そうだぜ。拷問にでもかけて喋らせた方が良かったんじゃないか?」

ザッザッザ

天才「その必要はねぇ」

格闘家「師匠!?」

隊長「……どういう意味だ?」

天才「内通者は割れた。安心しろ」

青年兵「……誰なんです?」

天才「3人目はまだいい。次は2人目を潰す」

青年兵「……」

天才「コイツも哀れなヤローだ。最後の最後までなぁ」

隊長「哀れ?」
647 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:55:41.21 ID:tOc0+JkLo
天才「テメーが全てを牛耳っていると錯覚し、空回り……」

青年兵「……」

天才「挙句にゃ魔物にも愛想を尽かれ孤立……」

隊長「……」

天才「のくせに、自分は最後まで魔族化を拒絶」

隊長「魔物と手を組んでおきながら、人間である事に固執した……か」

天才「全てを逆手に取られ、自滅した大馬鹿モンだよ」

青年兵「天才さんは、この人に何か仇でもあったのですか?」

天才「……そう思うか?」

青年兵「……何となくです」

天才「ハーッハッハ!あろうがなかろうが、小悪党を切った。ただそんだけだ」

青年兵「2人目……どうするのです?」

天才「そうだなぁ。あーあれだ、あれ」

青年兵「……?」

天才「部下の責任は、上司が取るってモンが筋だ。ハーッハッハッハ!」
648 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:56:13.66 ID:tOc0+JkLo


青年兵「では私は、王宮へ報告へ行ってきます」

男隊員「俺らは検分を続けるぞ」

女隊員「うえぇ……了解ッス……」

ザッザッザ

隊長「……何で残ってたんだ?」

天才「あ?」

隊長「何か……してたのか?」

天才「まーな。物色したが、大したモンは出なかったわ」

隊長「……」

天才「あんだよ、そんなに乱してねーっつの。安心しろ」

隊長「……いいんすね、2人目」

天才「一応スタンバっておけ。まぁ、出番はねーだろうが」

隊長「……了解」

天才「議会やらあるだろうし、ヤボ用済ましてまた戻る。そんじゃあな」
649 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:56:44.42 ID:tOc0+JkLo
それから30分程度経った後、王宮内にも衝撃が走った。

〜王宮〜

エリート「……っ!!」

右文官「左大臣が……死んだじゃとぉ!?」

青年兵「はい。間もなく公式発表があると思いますが……」

右秘書官「一体……何が……」

青年兵「魔物と内通し、魔族化したところで、ワーカーに斬られました」

皇太子「……そうか」

右文官「それでは議会は……」

エリート「最早、形だけのものとなりましたね」

右秘書官「現時点を以って、事実上我らの勝利です」

右文官「という事は……次期国王陛下は……」

エリート「……おめでとうございます」

皇太子「まだ早いさ。議会を終わらせてからにしようじゃないか」

右文官「急ぎ、開会の準備を整えるんだっ!!」
650 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:57:31.64 ID:tOc0+JkLo
コンコン…カチャッ

魔道士「エリートさん……」

エリート「……左大臣殿が……亡くなりました」

魔道士「――っ!?」

エリート「これで事実上、殿下の即位が確定的となりました」

魔道士「本当……ですかっ!?」

エリート「形だけですが、これより議会を行います。ご参加を」

魔道士「……分かりました」

エリート「では、後ほど迎えを遣します。それまでしばしお待ちを」

魔道士「……はい」

エリート「では、失礼致します」

パタン…カツカツカツ…

魔道士「……っ」

この数十分後、王宮内議事堂にて議会が開会された。

それは議論の一つも起きる事なく、ただ静かに票だけが投じられるものであった。
651 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:58:27.07 ID:tOc0+JkLo


エリート「それでは、開票の結果を申し上げます」

双子父「……」

高官「……」

エリート「まぁ、述べるまでもありませんね」

右文官「ついに……ついに……っ」

エリート「今、この時を以ってして、皇太子殿下を正式な跡継ぎとし……」

左文官「……」

エリート「新、国王陛下へ即位するものと致します!」

ワアアァァァァ!!

右秘書官「終わった、全てが……」

右文官「……いや、これからが本当の始まりだ」

エリート「ええ、その通りです」

魔道士「殿下、おめでとうございまっ!」

皇太子「有難う。魔道士、そして……皆のお陰である!」
652 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/10(日) 23:59:09.91 ID:tOc0+JkLo


エリート「それでは、開票の結果を申し上げます」

双子父「……」

高官「……」

エリート「まぁ、述べるまでもありませんね」

右文官「ついに……ついに……っ」

エリート「今、この時を以ってして、皇太子殿下を正式な跡継ぎとし……」

左文官「……」

エリート「新、国王陛下へ即位するものと致します!」

ワアアァァァァ!!

右秘書官「終わった、全てが……」

右文官「……いや、これからが本当の始まりだ」

エリート「ええ、その通りです」

魔道士「殿下、おめでとうございまっ!」

皇太子「有難う。魔道士、そして……皆のお陰である!」
653 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 00:00:05.98 ID:L77iVjhlo


皇太子「何とか戴冠式は省けないものかな」

エリート「何を仰いますか、重要な儀式です。それに……」

右秘書官「全国民がその刻を心待ちにしておるのです」

皇太子「しかしだな、父上の葬儀も終えておらぬと言うのに……」

右秘書官「だからこそです。国民は自立的に喪に服しておりました」

エリート「皆を奮起させるに当たっても、これは重要な行為かと」

皇太子「……気が進まぬが、仕方ないか」

エリート「そこでなのですが……」

右文官「魔道士王女はいかがなさいましょうか……?」

右秘書官「王宮として、公に発表致しますか?」

皇太子「……彼女なら、望みは一つであろう」

エリート「……」

皇太子「ところで、その本人はどうした?」

エリート「ああ、彼女でしたら今……」
654 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 00:00:38.82 ID:L77iVjhlo
〜個室〜

魔道士「……」

コンコン

魔道士「あ、はいっ」

双子父「失礼致します」

魔道士「ど、どうも……」

双子父「先程お話致しました、王女付の我が娘達を連れて参りました」

魔道士「……あ、あのっ」

双子父「……?」

魔道士「私は……その……」

双子父「とにかく、挨拶だけでも……どうかお願い致します」

魔道士「……」

双子父「では、私はこれにて。おぉい、入って良いぞ」

テクテクテクテク

魔道士「――っ!?」
655 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 00:01:14.98 ID:L77iVjhlo
双子姉「始めまして王女様っ」
双子妹「私達がお世話させて頂きます――」

魔道士「双子姉妹さんっ!?」

双子姉妹「魔道士さんっ!?」

魔道士「二人が……王女付……っ!?」

双子姉「魔道士さんが……」
双子妹「お、王女……っ!?」

魔道士「え、えっ!?」

双子姉「魔道士さんが……」
双子妹「王女だなんて……っ」

タッタッタ

双子姉妹「感激ですぅ!!」

魔道士「い、いえ……っ。私はその……」

双子姉「初めて会った時から……」
双子妹「只者ではないと思っておりましたが……」

双子姉妹「王女様だったなんて……素敵っ!」

魔道士「……はぁ」
656 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 00:01:44.19 ID:L77iVjhlo


魔道士「だからっ、新しい陛下は皇太子殿下が即位して――」

双子姉「あらっ、でも魔道士王女は」
双子妹「妹君として政務を――」

魔道士「……だ、だからっ」

双子姉妹「冗談ですわっ!」

魔道士「へ……っ?」

双子姉「魔道士王女のお気持ち……」
双子妹「私達は……分かりますわ」

魔道士「双子姉妹さん……」

双子姉「魔道士王女の望み……」
双子妹「……それは、ただ一つ」

魔道士「……っ」

双子姉「王女のお世話もしたかったのですが……」
双子妹「仕方……ありませんわねっ」

魔道士「二人とも……ありがとうっ!」

双子姉妹「いえいえっ!」
657 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 00:02:16.82 ID:L77iVjhlo


本国兵「たっ、大変ですーっ!!」

右文官「何だ、騒がしい」

本国兵「魔道士王女が……失踪致しましたっ!!」

右秘書官「何ぃ!?」

エリート「……」

皇太子「あっはっはっは!!」

右文官「……?」

エリート「相変わらず、アクティブな方ですね」

皇太子「ああ、全くだ」

本国兵「……あ、あのぉ」

エリート「構わぬ。追う必要はない」

右文官「しかし……宜しいので……?」

皇太子「良いではないか。元より落胤などなかったのさ。なぁ、そうだろう?」

エリート「私が存じているのは、王女のように素敵な魔道士のワーカーが居る事です」
658 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 00:02:59.30 ID:L77iVjhlo
タッタッタッタッタ

魔道士(本当にごめんなさい……っ)

タッタッタッタ

魔道士(でも、みんな分かってくれている。そう思ってます)

タッタッタ

魔道士(だからっ、次会う時はきっと……きっと……)

タタッ

魔道士(今以上に強くなって、頼って貰えるような……)

ザッ

魔道士(そんな魔道士になって、帰ってきますからっ!!)

だから今は、ごめんなさい……。



この日の夜、左大臣の背信行為、及び魔族化による交戦での死亡。

そして、議会の結果における皇太子の国王への即位が正式に発表された。



〜第四十三部、完〜
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 00:08:05.88 ID:ed5nOz0SO
携帯から1乙
どんどん伏線が回収されてきてオラwktkしてきたぞ。
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/11(月) 00:11:55.38 ID:L77iVjhlo
週末全然進まなくてごめんなさい!
そして多数のご支援、本当にありがとうございます!

話もいよいよ佳境といった感じで、あと少しだけお付き合い頂ければと…
本当、無駄に長いだけで申し訳ないです…それでは、おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

召喚士「……すぴー」



青年兵『まぁ、出番からしたら次回からは【出でよ、ワイバーン】で!』

隊長『はぁ!?【密着、特遊24時!】だろ!!』

天才『だっせぇ!ここはビシっと【レジェンド・オブ・ジーニアス】』

皇太子『困るな。ここは気品高く、私が主人公ではないかな?出番的にも』

青年兵『まぁ、殿下が仰るのなら仕方ないですね』

隊長『うーん、惜しいところだが……ここは譲るとしましょう』

天才『しゃーねぇなあ。即位した事だし、譲ってやるよ!』

皇太子『決まったな。では、主人公はこの私――』

ガバッ!!

戦士「……んー?どしたぁ?」

召喚士「……すっごい怖い夢……見た気がする……っ」
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 00:27:13.74 ID:m1+cZtNgo
乙!
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/11(月) 02:44:10.05 ID:KtJXI9rDO
>>1
あと裏切り者も2人かァ


あと少しとか言わないでくれよう
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/11(月) 03:20:03.75 ID:1DG3aJI0o
1乙
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 07:02:38.00 ID:N873lPaDO
>>1乙っす
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 09:19:58.87 ID:4FiIWDtDO
いでよ! 動物の森

というネタをどこかで見た乙ッス
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/04/11(月) 10:05:26.33 ID:Dj0X1/66o
>>662
sageないとニコ厨が怒るで
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/11(月) 16:02:47.17 ID:OF4eTh4AO
>>1おつ
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/11(月) 18:07:38.16 ID:Z+tBDOyAO
>>1

いやァ、殿下が無事即位出来てよかったよかったァ

いよいよ世界中が一丸となって平和を勝ち取る時ですなァ
669 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:24:58.18 ID:dongO//7o
〜国軍本部、通信室〜

博士「それじゃ、どうぞなのら」

鍛冶娘「……っ」

カチャッ

鍛冶娘「……き、聞こえる?」

鍛冶屋『聞こえる聞こえる!うはぁ、すごいねぇ!!』

鍛冶娘「お父さん……っ!?」

鍛冶屋『ちゃんと聞こえるよ〜。元気〜?』

博士「うむ。うまくいったみたいなのら」

おかみ『ほらっ、さっさと替わりな!』

鍛冶屋「ちょっ――』

おかみ『鍛冶娘……かい?』

鍛冶娘「お母さん……っ」

おかみ『いやぁ、凄いもんだね。離れた場所なのに、ちゃーんと声が届いてるよ!』

鍛冶娘「……うん」
670 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:25:26.65 ID:dongO//7o
おかみ『元気で頑張ってるかい?』

鍛冶娘「……うん」

おかみ『忙しいだろうけど、身体壊さず頑張るんだよっ』

鍛冶娘「うん。ありがとう」

おかみ『まとまった休みが取れたら、顔見せに帰ってくるんだよ』

鍛冶娘「うん、分かってる」

おかみ『……じゃあ、お父さんに替わるね』

鍛冶娘「うん」

おかみ『ほらっ、何すねてるんだい!早く出なよっ』

鍛冶屋『だってぇ、取り上げるんだもの〜』

おかみ『あんたが要点纏めないから代弁したんじゃないのさっ』

鍛冶屋『はいはいはいはい、替わりますよ〜』

鍛冶娘「お父さん?」

鍛冶屋『はいはい。お父さんですよ〜』

鍛冶娘「えっとね、私いま――」
671 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:25:53.24 ID:dongO//7o
ガシッ

鍛冶娘「あっ!?」

博士「おまっ!!」

戦士父「ゾディアック1本追加だ。これから向かう」

鍛冶屋『へぇ!?誰――』

ガチャンッ

鍛冶娘「あ……っ」

戦士「……ん?マズかったか?」

鍛冶娘「……いえ」

博士「デリカシーのない男なのら……」

戦士父「……?」

鍛冶娘「別に……構いませんよ……」



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第四十四部〜
672 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:26:27.34 ID:dongO//7o
〜???〜

ヒュオオォォォォ

ネクロマンサー「……」

ザッザッザ

北方司令「……宜しかったので?」

ネクロマンサー「何がです?」

北方司令「……」

お父「……」

ネクロマンサー「あぁ、左大臣ですか。別に構いませんよ」

北方司令「そうですか」

ネクロマンサー「勝手に動いて自滅したのです。助け舟を出す義理はありませんよ」

お父「……」

ネクロマンサー「……さぁ、魔王城へ帰りましょうか」

北方司令「もう、良いのですか?」

ネクロマンサー「ええ。一角が頓挫すれば終わりです。もう期待は出来ませんよ」
673 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:26:58.95 ID:dongO//7o
〜本国、ワークショップ〜

タッタッタッタッタ

魔道士「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

カチャッ

店員「いらっしゃいま――!?」

ズイッ

魔道士「てっ、手紙をっ!!」

店員「は、はい……。こ、こちらに必要事項をご記入……下さいっ」



魔道士「……っ」

テクテクテク…パサッ

店員「お待たせ致しました」

ガバッ…タタッ

魔道士「ありがとうございます!」

店員「……い、いえ」
674 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:27:48.58 ID:dongO//7o


魔道士「……やっぱりバーテンさんの所だっ!」

スッ

魔道士「ありがとういございましたっ!!」

店員「い、いえっ!お気をつけ――」

タッタッタッタ…

店員「て……」

タッタッタッタッタ

魔道士(久し振りに……みんなに会える)

タッタッタッタッタ

魔道士(そして……これからはずーっと……)

タッタッタ…ガツッ…ドテッ

魔道士「一緒にいぃ……いたたぁ〜」

スリスリ…スクッ

魔道士「え、えへへ……っ」
675 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:28:25.82 ID:dongO//7o
〜師匠の家〜

召喚士「うぅ〜ん……」

テクテクテク

戦士「おはよう」

召喚士「あっ、おはよう。朝ご飯出来てるから食べてて」

戦士「お、悪いな」

ザッ

戦士「……あれ?盗賊は?」

召喚士「朝稽古ついでにふもとの町まで買い物に行ったよ」

戦士「ふぅん」

召喚士「もうすぐ帰ってくると思うけど」

戦士「そんじゃ、あいつが帰ってきてからメシにすっか」

召喚士「先に食べてていいって言ってたけど」

戦士「いいよいいいよ。待ってようぜ」

召喚士「それもそうだね。そうしよっか」
676 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:28:53.27 ID:dongO//7o


盗賊「……ただいまー」

召喚士「あっ、おかえりなさい」

戦士「何買いに行ってたんだ?」

盗賊「……ん」

戦士「りんごジュース?」

盗賊「……だって、牛乳嫌いだし」

戦士「あっそ」

召喚士「それじゃご飯にしましょうか」

戦士「おう、食おうぜ!」

盗賊「……先に食べてて良かったのに」

戦士「みんなで食べた方がいいだろ、お前の為に待ってたんだよ」

盗賊「……あ、ありがとっ」

召喚士「ははっ。それじゃ、いただきます」

戦士「いっただっきまーす!」
677 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:29:47.10 ID:dongO//7o
〜本国、街道〜

魔道士「……」

キョロキョロ

魔道士「よしっ、誰も居ないっ!!」

タッタッタ…ザザッ

魔道士「――!?」

王宮兵「……お、お待ちを!」

魔道士「……っ」

ザッザッザ

エリート「やはりこちらでしたか」

魔道士「エリート……さん……」

エリート「魔道士さん、挨拶もなしに……」

魔道士「お願いしますっ!見逃して下さい!!」

エリート「……」

魔道士「私、どうしても……」
678 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:30:28.27 ID:dongO//7o
エリート「……ふふっ、引きとめる事など出来ませんよ」

魔道士「え……っ?」

エリート「但し、この方達のお話だけは、聞いてあげて下さい」

魔道士「……?」

カチャッ…スタスタスタ

魔道士「……!!」

大商家「…………」

魔道士母「……」

エリート「では、私と馬車はあちらで待っておりますので」

テクテクテクテク

大商家「何と……申せば良いか……」

魔道士「……」

大商家「私は……貴女をずっと、騙し続けていた……」

魔道士母「……」

大商家「もちろん、その償いをせよと言われれば……覚悟は出来ております」
679 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:30:56.82 ID:dongO//7o
魔道士「……」

大商家「但し、これだけは信じて欲しい」

魔道士母「私達夫婦は、貴女の事をずっと……」

魔道士「あの」

大商家「……?」

魔道士「お二人は、陛下の命で私をお育てになられていたのですか……?」

大商家「……残念ながら」

魔道士「……っ」

大商家「残念ながら、違います」

魔道士「!?」

大商家「元来、子供の出来なかった私達二人……」

魔道士母「実の……我が子と思って育ててきました」

魔道士「……っ」

大商家「だから、貴女が王女の立場を捨てると言うならば……」

魔道士母「私たちは貴女を王女などとは呼びません」
680 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:31:31.18 ID:dongO//7o
大商家「我らが名付けた、魔道士……と呼ばせて貰います」

魔道士「…………」

大商家「そして許されるならば、父と母として、接していきたい!」

魔道士母「貴女の育った家も、屋敷の者らも……そして私達も貴女の家族よっ!」

魔道士「……ひっ、ひぐ……っ」

大商家「許してくれるかい……魔道士?」

タッタッタッタ…ガバッ

魔道士「お父様……っ、お母様ぁ!!」

大商家「魔道士……っ!!」

魔道士母「ありがとう……本当にありがとうっ!」

魔道士「うあぁ……っ!こちら……っこそ、ありがと……!!」

大商家「今は辛い時だと思うが、全てが終わったら……」

魔道士「ひぐっ……うん……っ、うんっ」

大商家「待っているよ。魔道士、君の育った……君の家で」

魔道士「うんっ!私……頑張る、頑張るから……っ!!」
681 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:32:02.33 ID:dongO//7o


魔道士母「ほら、お化粧が台無しよ?」

魔道士「……ありがと」

フキフキ

大商家「では、改めて……頑張ってな」

魔道士「はいっ、行ってきます。お父様、お母様」

魔道士母「お肌に傷など付かぬよう、気を付けるのですよ?」

大商家「お金や武具に困ったら、気軽に相談しなさい」

魔道士「大丈夫、大丈夫だから」

魔道士母「強い子になったわね」

ギュッ

魔道士「……お二人の……お陰です」

キュッ

魔道士それでは、魔道士……行ってまいりますっ!えへへっ!」

タッタッタッタッタ
682 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:33:21.93 ID:dongO//7o
大商家「……行ってしまったな」

魔道士母「……ええ」

大商家「これで……良かったのだろうな」

魔道士母「……ええ」

ザッザッザ

エリート「無事、旅立たれたようですね」

大商家「何かと辛い思いをさせてしまった」

エリート「お二人のせいではございませんよ」

大商家「では、我らも失礼するよ。世話になったね……右大臣殿」

エリート「……いえ、こちらこそ。お元気で」

魔道士母「それでは」

カチャッ…パッカパッカパッカ…

エリート「……他言無用だぞ」

王宮兵「……心得ておりますっ!」

エリ−ト「ならば良し。さて、私達も王宮へ戻るぞ」
683 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:34:25.00 ID:dongO//7o
〜新聞社〜

コンコン…カチャ

編集長「あー失礼します」

社長「……」

編集長「号外は予想以上の反響でした」

社長「……」

編集長「明日の一面も左翼崩壊の特集でいきますんで」

社長「……」

編集長「それじゃ、失礼します」

パタン…テクテクテクテク

記者「どうでした?」

編集長「……特に何にも言われなかった」

記者「急にどうしたんでしょうね、今まで随分と報道規制を敷いてたのに」

編集長「さぁな。帰ってきてからすっかり抜け殻みてぇになっちまったわ」

記者「まぁこれで、ようやくですが……女記者の仇をとれそうですね……」
684 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:35:27.06 ID:dongO//7o


社長「……」

フワァ

社長「……?」

スクッ

社長「窓など開けていたか?いつの間に……」

天才「よう」

社長「――っ!!」

天才「よっと」

スタッ

社長「な……なな……っ」

天才「こーしてマトモにツラ合わせんのは、随分と久々だわなぁ」

社長「何者だ貴様……っ!?どうやってここに……」

天才「どうやってって、窓からだよ」

社長「なっ、何階だと思っているのだ!?バカな……っ」
685 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:36:31.29 ID:dongO//7o
天才「んな事ぁ、どーでもいいんだよ」

社長「……っ」

天才「まぁ、その様子じゃあ何も覚えてなさそうだわな」

社長「……なっ、何が目的だ!?金かっ!?」

天才「はぁ。そんな品のないナリに見えますかねぇ?」

社長「何だと言うのだ……っ、もう勘弁してくれぇ……!」

天才「……はー、もういいわ」

社長「……ひっ、ひいぃ!?」

天才「そんじゃ用件だけ言わせて貰うわ。……引退してくれ」

社長「!?」

天才「社長を降りろって言ったんだよ。な、汚職でどうせ逮捕なんだからよ?」

社長「なっ、なん……」

天才「権力に固執しちまうと……人間堕ちるもんだねぇ」

社長「……っ」

天才「昔のアンタ、もっとギラギラ輝いてたぜ?」
686 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:37:35.21 ID:dongO//7o
社長「っ!?」

天才「ま、50年以上も経っちゃ、人間変わるってか」

社長「あ、あんた一体……」

天才「歳も歳だ、今のうちに辞任して罪を認めりゃ、逮捕は逃れるかもしれんぜ?」

社長「……くっ」

天才「そろそろ、若い奴らに時代を譲ろうじゃねぇか」

社長「……」

天才「新しい時代が、待ってるぜ」

社長「時代……?」

天才「……そんだけだ。んじゃ、あばよ!ハーッハッハ!」

社長「――っ!!」

バッ!!

社長「今の笑い声……まっ、まさか……っ」

窓より外へ飛び降り立ち去る天才を、慌てて追いかけて覗きこむ社長。

社長「新しい……時代、か」
687 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:38:33.95 ID:dongO//7o
〜病院〜

院長「……」

ドクター「僕は、この病院の在り方に、常に疑問を抱いておりました」

院長「……」

ドクター「世界の各地には病人や怪我人が大勢います」

院長「……ああ」

ドクター「だったら渡り歩いて、救ってやろう。そう思い、旅に出ました」

院長「……救えたか?」

ドクター「救えた命も多数あります。ですが、救えなかった命も多数です」

院長「……」

ドクター「それは何故か?簡単な事です。設備、そして医者が足りないのです」

院長「……」

ドクター「当院だけがこのような設備を持って、中央に君臨する」

院長「……それが、気に食わないか?」

ドクター「いえ違います」
688 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:39:13.92 ID:dongO//7o
院長「……?」

ドクター「見聞し、改めてここの重要さは認識致しました」

院長「……」

ドクター「しかし、ただ偉そうに踏ん反り返っているだけでは駄目なのです」

院長「……」

ドクター「政界との結びつきだけを持ち、保身の立場であるというだけでは駄目なのです」

院長「ドクター、お前……」

ドクター「これだけの力がありながら、何もしないわけにはいかないのです」

院長「……お前は何を望む?」

ドクター「陣頭に立ち、今の在り方を変えねばなりません」

院長「……」

ドクター「ここで優秀な医師を、設備を作り上げ、輩出せねばいけません」

院長「……成程な」

ドクター「それこそが、僕達のすべき……宿命なのではないでしょうか?」

院長「宿命……か」
689 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:39:50.99 ID:dongO//7o


カチャッ

院長「……兄上」

院長兄「出来立てのフィナンシェ、持って来たぞ」

院長「……」

院長兄「ドクターも自分の考えを、しっかり持つようになったじゃあないか」

院長「聞いていたのですか?」

院長兄「まさか。さっきすれ違っただけさ」

院長「……」

院長兄「以前のような優男の顔付きではなかった。あれは強い意思を持った瞳だ」

院長「……ええ」

院長兄「そろそろ、か?」

院長「……私は、家名に傷を付けぬ様、ただそれだけに必死でした」

院長兄「……」

院長「それがどうだ。結果としてこのような事を……汚名を残して……っ」
690 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:40:27.72 ID:dongO//7o
院長兄「お前が悪いわけではない。お前に押し付けた私にも責任がある」

院長「我らが夢見た医療、それをドクターは為しえてくれるでしょうか?」

院長兄「私は挫折し逃げた。お前は挫折し見てみぬフリをした」

院長「……」

院長兄「しかし、この病院は大きく力を付けて保たれた」

院長「はい」

院長兄「あとはそれを託して、身を引こうじゃないか」

院長「……」

院長兄「菓子作りもなかなか、楽しいものだぞ」

院長「我が始祖はどんな思いだったのでしょうか……」

院長兄「さあなぁ。そればかりは分からぬ事よ」

スッ…パクッ

院長「……美味い。やはり兄上の作られたフィナンシェは美味いですね」

院長兄「ちょっとコツがあってな。お前には特別に教えてやろう」

院長「……ははっ、それは有難いです」
691 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:40:59.21 ID:dongO//7o
〜師匠の家〜

戦士「さーて、忘れ物はないよな?」

召喚士「うん、大丈夫。戸締りも良し!」

盗賊「……それじゃ、行こう」

戦士「おっと、そうだった」

盗賊「……?」

戦士「確か、研ぎ石あったよな?」

召喚士「武器用の?多分台所にあったと思うけど……」

戦士「鍛冶屋のおやっさんから貰った分が切れちまってさ」

召喚士「師匠も武器なんてあんまり持ってなかったから大したのないと思うよ?」

戦士「あー構わん構わん。本国かどっか行ったら買うから」

スタスタスタ

戦士「あん?何だこれ?」

召喚士「漬物石……じゃなかった。えぇと、あ……そうそうっ」

盗賊「……箱?」
692 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:41:29.01 ID:dongO//7o
召喚士「ええ。前に師匠がクリスマスプレゼントだかでくれたんです」

戦士「見事な漬物石と化してるじゃねーか」

召喚士「いやだってさ、箱っぽいけど開かないし……」

盗賊「……確かに。固いな」

召喚士「師匠に聞いても教えてくれないし、結局オブジェなのかなって」

戦士「オブジェにしちゃあ……立派なモンだけどなぁ」

グッグッ…ゲシゲシ

戦士「……確かに開きそうもねぇな。つーかこれ、彫刻か?」

盗賊「……素材は石っぽいがな」

コンコン

戦士「いっそぶっ壊してみるか?」

盗賊「……でも、何か入ってたらまずいし」

戦士「あれじゃねぇの?師匠がコカトリスの練習にでも使ったガラクタだったりしてな」

召喚士「……コカトリス?」

盗賊「……確かに……それっぽく見える」
693 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:42:17.00 ID:dongO//7o
戦士「だろ?なぁ召喚士、これってガラク――」

召喚士「それだ……っ」

戦士「あん?」

召喚士「流石だよ、戦士っ!!」

戦士「は、はぁ……」

召喚士「そうかっ、この箱はつまり……」

盗賊「……」

召喚士「コカトリスの石化で封印されてたんだっ!!」

盗賊「……封印!?」

戦士「んな事する必要あんのか?プレゼントなんだろ?」

召喚士「……もし、師匠からの『真面目』な贈り物だったら……」

戦士「信用ねぇな」

召喚士「コカトリスを使いこなせるようになって、初めて開く箱になる」

盗賊「……なるほど」

召喚士「つまりそれは、それなりのレベルにならないと無理って事だ……」
694 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:42:52.57 ID:dongO//7o
戦士「要は『ある程度経験を積んでから開けなさいよ』、って事か?」

召喚士「……うん」

戦士「一体、何の為にそんな回りくどい事を……」

盗賊「……とにかく、試してみたらどうだ?」

召喚士「ええ、そうします!」

戦士「んじゃ、ひとまず外に運ぶか」

盗賊「研石は?」

戦士「おっと、そうだった」

召喚士「持てる?」

戦士「あぁ、こんぐらいなら大丈夫だ」

グイッ…スタスタスタスタ

戦士「役に立つお宝だといいなぁ」

召喚士「そうだね」

盗賊「……た、楽しみだなっ」

戦士「……お前は相変わらず、こういう時は楽しそうだよなぁ」
695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:43:27.13 ID:dongO//7o


戦士「よし、いいぞ」

召喚士「……それじゃ」

ザッ

盗賊「……」

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

シュイイィィン

召喚士「コカトリス、この箱なんだけど……」

コカトリス「箱?」

召喚士「これ」

コカトリス「……何だこれは?」

召喚士「表面が石のようなんだけど、コカトリスによるものじゃないかなって」

コカトリス「……確かに、そのように見えるな」

召喚士「解除出来る……かな?」

コカトリス「うむ。やってみようか」
696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:43:56.37 ID:dongO//7o
キュイイィィ…ドジュウウゥゥゥゥ

戦士「石化解除って始めてみた気がする……」

盗賊「……そういえば」

召喚士「!?」

戦士「おぉっ!?溶けてきた!!」

召喚士「やっぱり中に箱があるみたいだね!!」

シュウウゥゥゥゥ

コカトリス「無事、うまくいったようだ」

召喚士「ありがとうっ!」

コカトリス「ところでこれは何なのだ?」

召喚士「分からない……。でも、師匠が残してくれた何かなんだよね」

戦士「早速開けてみようぜ!」

盗賊「……だな」

召喚士「うん」

石化の解かれた箱を、召喚士はそっと開けた。
697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/11(月) 18:44:27.58 ID:dongO//7o
グググッ…ガコッ

戦士「おっ!?」

召喚士「……本……というか、手帳?」

戦士「盗賊、ちょいと後ろ向いてな」

盗賊「へ……っ!?」

戦士「いや、念の為。師匠の場合、万が一って事がある」

盗賊「……?」

召喚士「……手記?いや、師匠の字じゃないな」

ポスッ…パラッ

戦士「どうだ?」

召喚士「……こ……これっ」

戦士「!?」

召喚士「……っ!!」

戦士「な、何だってんだ……?」

召喚士「召喚獣界への……手法だ……っ!!」
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/11(月) 18:45:20.41 ID:dongO//7o
ここまでにて。ご支援ありがとうございました!
今日も大きな余震が…。震源地付近の方々、大丈夫でしょうか…?
もう嫌になりますね。とりあえず帰宅したいと思います!ノシ
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 18:50:22.82 ID:QO2i5CE00
1乙
色んな召喚獣の話ktkr
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/11(月) 18:51:27.44 ID:S9JealaDO
>>1乙!

魔道士ちゃんがかわいすぎて生きるのが辛いけど、そんな事も言ってられない世の中だし、毎日励まされてます!

あと73スレ楽しみにしてる
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/04/11(月) 20:30:29.48 ID:xehdDq+O0
ケツアナルコトル再登場フラグきたー
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 21:36:23.07 ID:AJYmP58bo
ついにコカトリス、ハーピーに続く朱雀が!
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 22:02:20.78 ID:FUEMwzojo
戦士はエッチな本でも入ってるのかと思ってたのかしら
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 22:16:06.70 ID:N873lPaDO
>>1乙っす
続き楽しみすぎる
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/11(月) 22:48:15.29 ID:Z+tBDOyAO
>>1

召喚獣が前世が魔物や人間だったのなら、人間を人間のまま召喚出来ないのだろうか?
いや多分おそらくきっと召喚出来るだろうから、俺を呼んで欲しい
そしたら俺もワーカーになって後の兵士の為に戦いたい
結婚したい
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 23:00:19.88 ID:KtJXI9rDO
>>1

>>705
本音はしまっとけよ…
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/12(火) 01:35:16.97 ID:BfjxEgy90
1乙。
牛乳飲めない盗賊可愛いよ。でも魔道士ちゃんのほうがもっと可愛いです。
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/12(火) 02:03:10.38 ID:XHQDdyMAO
いちおつ愛してる
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/12(火) 02:47:44.13 ID:8lO/xeaDO
ケツアナコアトルさんクルー?
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/12(火) 02:58:10.33 ID:tVU3XaXIO
ケツアゴコウナルサン?
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/12(火) 09:09:54.52 ID:NdetkJGDO
久々のペニス
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) :2011/04/12(火) 10:31:42.35 ID:sWsgb/9h0
ゾディアック・・・・・・東の・・・・・・

つまり・・・・・・長渕!!!
713 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:26:31.22 ID:B36H8tsao
戦士「……えぇと、と言いますと?」

召喚士「召喚獣の世界へ行く為の手法がしるしてあるんだよ!」

盗賊「……つまり、師匠はこれを……召喚士に」

召喚士「……」

戦士「でもこれってよ、下手したら命に関わるんじゃないのか?」

召喚士「そうなんだよね。しかも……」

パラッ

召喚士「これはおそらく朱雀の儀式だろうから……」

盗賊「……朱雀の世界にしか……行けないって事?」

召喚士「ええ」

戦士「ん、待てよ?確か儀式ってのは……誰かにして貰うんだよな?」

召喚士「うん」

戦士「朱雀なら当然、朱雀の召喚士じゃないと駄目なんだっけか?」

召喚士「うん」

戦士「……いねーじゃん」
714 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:27:01.78 ID:B36H8tsao
召喚士「朱雀嬢さんに同門さんくらいかな」

戦士「無理だろ」

盗賊「……」

召喚士「まぁ、それに朱雀界へ行く必要は、今のところなさそうだしね」

戦士「結局、役に立たない代物だったか」

召喚士「いずれ役に立つとは思うけど、今は必要ないかもね」

盗賊「……一応、貰っておこうよ」

召喚士「ええ、それはもちろんです」

戦士「謎も解けたし、ぼちぼち行くとすっか」

召喚士「そうだね。コカトリスもありがとう」

コカトリス「……」

シュイイィィン

戦士「さーて、師匠に挨拶して……バーテンさんとこに戻るかね」

盗賊「……ああ」

召喚士「そうしましょう」
715 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:28:18.55 ID:B36H8tsao


盗賊「……」

戦士「……」

召喚士「……さ、行こうか」

戦士「ああ。本国の件もどうなってるのか気になるしな」

盗賊「……うん」

召喚士「きっと大丈夫ですよ」

盗賊「……?」

召喚士「そんな気が……するだけですけど」

盗賊「……勘、か」

戦士「まぁ、そうだと思うよ俺も」

召喚士「ええ、だから信じて、笑顔で待ってましょうよ」

盗賊「……私達に出来る事は……それだけだしな」

戦士「もちろんだ。はなっからそのつもりだし」

召喚士「うん」
716 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:29:12.00 ID:B36H8tsao
〜本国、国軍本部〜

青年兵「失礼致します」

副司令官「うむ」

青年兵「左大臣邸の検分、終了致しました」

副司令官「……そうか」

青年兵「しかしながら遺体は損傷激しく、早々に処理したいと思います」

副司令官「うむ」

青年兵「それと、国賊扱いですので、葬儀等も行いません」

副司令官「任せる」

青年兵「あと、不正献金の件についてですが……」

副司令官「……」

青年兵「新聞社社長、院長など、民間企業の要人は既に非を認めております」

副司令官「刑に罰するか?」

青年兵「王宮の者らも含め、数が多すぎます。ここはひとまず辞任が妥当かと」

副司令官「そうだな。新体制に入ったとはいえ、人手不足は否めんな」
717 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:32:41.53 ID:B36H8tsao
青年兵「略式で罰金、及び辞職して頂く形で終息したいと思います」

副司令官「国民が納得するかね?」

青年兵「殿下の戴冠式も近いですし、まぁ大丈夫かと」

副司令官「……そうか。では任せる」

青年兵「はっ。それでは失礼致します」

カツカツカツ

青年兵「それともう一つ」

副司令官「……?」

青年兵「総司令の内通者疑惑を……解除したいのですが」

副司令官「何故だ?彼は死んだのであろう?」

青年兵「だとしても、内通者かそうでないかで対処も変わります」

副司令官「国葬でもするつもりか?」

青年兵「それは分かりませんが……」

副司令官「後世への評価も変わるというわけか」

青年兵「それに……」
718 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:35:03.14 ID:B36H8tsao
副司令官「……?」

青年兵「いえ、とにかくそのようにさせて頂きたいと思います」

副司令官「今更、故人の立場をどうこうしたところで意味はないと思うが……」

青年兵「……」

副司令官「まぁ良い、好きにしたまえ」

青年兵「ありがとうございます」

カツカツカツカツ…パタン

副司令官「今更何だと言うのだ……」

カツカツカツ…

青年兵「……」

副司令室を出て廊下を突き進む青年兵。その途中、軍人が窓から外を眺めていた。

大軍師「万事、整いましたかな?」

青年兵「……いつでも」

大軍師「ふっふ、それでは……始めましょうか」

両者は顔を見合わせる事もなく言葉を交わし、すれ違った。
719 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:37:00.08 ID:B36H8tsao
〜バーテンの店〜

カチャッ…チリチリン

バーテン「おう、ご苦労さんだったな」

戦士「バッチリ掃除してきたぜ」

盗賊「……召喚士が」

バーテン「は?」

召喚士「いやっ、大丈夫です。ははっ」

戦士「何か進展はあったか?」

バーテン「そこに新聞あんだろ。読んでみ」

戦士「どれどれ」

テクテクテク…ガサッ

戦士「何っ!?」

召喚士「どうしたの?」

戦士「左大臣……死亡!?」

召喚士「えぇっ!?」
720 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:43:45.13 ID:B36H8tsao
盗賊「……何でまた……っ」

バーテン「国軍が内通者だって証拠を掴んで、抵抗した為に止む無く……だとよ」

戦士「マジかよ……っ」

バーテン「どうだかな。いくら国軍と言えど、問答無用でそこまでやるとは考えにくい」

盗賊「……」

バーテン「ましてや今の国軍なら尚更だ」

召喚士「何か、裏があると?」

バーテン「知らん。そのうち発表があんだろ」

召喚士「……」

戦士「んで、議会が行われて……」

ガサッ

戦士「殿下が……あぁ!?」

バーテン「左大臣が死んだ事で左翼は事実上壊滅。殿下の即位も決定した」

盗賊「……と、言う事は」

戦士「魔道士は……」
721 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:52:00.50 ID:B36H8tsao
カチャッ…チリチリン

魔道士「……っはぁ、はぁはぁ」

戦士「魔道士は……」

盗賊「帰ってきたっ!?」

魔道士「た、ただいま……ですっ」

召喚士「……おかえりなさい、魔道士さんっ」

魔道士「……っ」

大きな瞳に涙を堪え、魔道士は胸に飛び込むように飛びながら抱きつく。

両手を広げ、優しく包み込むと、魔道士の涙を右手の指で拭い、左手で頭を数度撫でた。

タッタッタ…ムニュウウゥゥ

魔道士「盗賊さぁんっ!!お久し振りですぅ〜!!」

盗賊「……おかえり、魔道士」

ナデナデ

戦士「……」

召喚士「……」
722 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 17:55:31.93 ID:B36H8tsao


バーテン「はいよ」

コトッ

魔道士「ありがとうございますー!」

盗賊「……全く、久し振りと言っても数日ではないか」

魔道士「だってぇ、寂しかったんですもん〜」

盗賊「……」

魔道士「嫌……ですか?」

盗賊「そっ、そういう事では……」

魔道士「ほらっ、やっぱり盗賊さんは優しい〜っ」

スリスリ

盗賊「やっ、やめんか!」

戦士「そんで、あれからどうなったんだ?」

魔道士「あ……っ、えっとですね……」

召喚士「……」
723 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 18:13:28.65 ID:B36H8tsao


盗賊「……」

戦士「……」

魔道士「まぁ、こんな感じで……」

召喚士「分かって頂けたみたいで良かったですね」

魔道士「はいっ!」

戦士「でもよ、本当に良かったのか?」

魔道士「……何がです?」

戦士「だってよ、本国のお姫様なんだぜ?」

魔道士「興味もないですし、関係ないですよそんなの……」

盗賊「……うん、そうそう」

戦士「そりゃあそうだけどよ」

魔道士「じゃあ戦士さんは、親子だから特殊遊撃に入ります?」

戦士「うっ、それは確かに……嫌だわ」

召喚士「あははっ」
724 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 18:17:27.66 ID:B36H8tsao
戦士「これで左大臣が死んで、左翼も壊滅」

バーテン「殿下も無事即位して、万事解決だわな」

召喚士「でも、まだ国軍の動きが……」

バーテン「……ああ、そういやそうだったな」

魔道士「総司令さん、本当に……」

バーテン「まさか、そんなお人じゃねぇよ」

盗賊「……?」

バーテン「それよりも、近いうちに戴冠式があるんじゃないのか?」

戦士「おぉ、そうだよ!」

バーテン「きっと本国はお祭騒ぎになるぜ?行かないのか?」

召喚士「えぇと……」

魔道士「私なら心配しないで下さい。大丈夫ですよ!」

召喚士「それじゃ、戴冠式を見に、本国へ戻りましょうか!」

バーテン「それがいい、俺も行くぞ!」

戦士「行くのかよっ!」
725 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 18:27:29.28 ID:B36H8tsao
バーテン「そりゃこんな機会、二度とないだろうからな」

盗賊「……確かに」

召喚士「いつ行きます?」

バーテン「明日一番で行こう」

戦士「店は大丈夫なのかよ……?」

バーテン「どうせみんな行くだろうし、空けてても閑古鳥だろうよ」

戦士「やる気ねぇ……」

魔道士「いいじゃないですか。みんなで行った方が楽しいですよ!」

召喚士「それでは明日、本国へ向かいましょう」

バーテン「今日は休暇前の、最後の稼ぎ時だ!みんな頼んだぞ!」

戦士「はぁ!?」

バーテン「安心しろ、お前には期待しとらん」

魔道士「よぉし、久々に頑張りますよ〜!」

盗賊「……皿洗い……頑張ります」

召喚士「はははっ、それじゃあ開店準備しましょうか!」
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/12(火) 18:31:33.50 ID:B36H8tsao
一旦失礼致します。ご支援ありがとうございますー!
地震が立て続けで心配ですね…めげずに頑張りましょう!それでは!ノシ
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/12(火) 18:46:41.74 ID:APR2KfCAO
>>1

地震凄いね。
もういつきてもおかしくないと言われてる東海大震災が起きたら生き延る自信がないわ…家から海まで数十秒の場所だしな
完結まで死にたくないなぁ
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/04/12(火) 19:05:55.12 ID:i1kENM2go
おまえは俺が守って…って言わせんじゃねえよ、恥ずかしい…
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/12(火) 19:48:15.41 ID:IIHlgR4AO
>>1おつ
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/12(火) 21:34:32.92 ID:d4uUgJeIo
さすが主人公になりきれない召喚士さんですね!
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/04/12(火) 23:07:26.56 ID:j49I5H770
暑い抱擁を期待した俺はまだまだだね
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/12(火) 23:23:42.22 ID:jZlVmGyDO
飛びついてくるのを期待して両腕を広げてた俺もまだまだですね
733 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 23:47:38.61 ID:s0Ept+pzo


カチャッ…チリンチリン

魔道士「いらっしゃいませ〜!」

青年「おおぉぉ!?」

魔道士「あ、こんばんはっ!どうぞ、えへへっ!」

青年「まっ、ま……魔道士さんっ!!」

戦士「あいつ、毎日来てんのか?」

バーテン「いんや、久々に見た」

戦士「すげぇタイミングだな」

盗賊「……特殊能力かもしれんな」

召喚士「えぇ!?」

魔道士「さぁ、何でもリクエストして下さいっ!」

青年「じ、じゃあ……オムライスをっ!!」

魔道士「はいっ!すぐに準備致しますね、えへへ!」

青年「……魔道士……さぁん」
734 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 23:48:15.09 ID:s0Ept+pzo


召喚士「ありがとうございました〜」

魔道士「またお待ちしてますねっ!」

青年「またっ、絶対にまた来ますから……っ!」

パタン

戦士「あいつ、魔道士が王女様だって知ったら、どうなるんだろうな?」

盗賊「……死ぬんじゃないか?」

バーテン「さーて、後片付けはやっとくから、お前らもメシ食っちまえ」

召喚士「あっ、俺も片付けますよ」

バーテン「そうか?悪いな」

戦士「んじゃ、先に飲んでるわ」

魔道士「ちょっと!もう……っ」

戦士「おっさんも先にやってようぜ」

バーテン「あのなぁ……」

戦士「その方がいいだろうってよ」
735 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 23:48:49.24 ID:s0Ept+pzo
チラッ

バーテン「……ああ、そういう事か」

戦士「盗賊、注いでやれ。たまには女に縁……」

バーテン「バカにしてんのかテメェは!!」

魔道士「召喚士さーん、これ……こっち?」

召喚士「あっ、俺運ぶんで置いといて下さい!」

魔道士「はぁい!それじゃこっちやっときますねっ」

召喚士「ありがとうございますっ」

盗賊「……いいな」

戦士「いいんじゃないでしょーか?」

バーテン「平和になったら、譲ってやっかな」

戦士「引退か?」

バーテン「いや、現場を離れて社長だな」

戦士「楽して儲けようってか!」

バーテン「ハハハッ、楽しみになってきた!」
736 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 23:49:16.52 ID:s0Ept+pzo
〜次の日〜

バーテン「準備出来たか?」

戦士「もうちょいで終わるー」

魔道士「えっと、忘れ物……なし!」

戦士「あのオッサンが一番張り切ってないか?」

召喚士「たまにはいいんじゃない?俺だって楽しみだよ」

戦士「いや、別に楽しみじゃないと言ってるわけじゃ……」

魔道士「お待たせしましたー!」

盗賊「……よし、行こうか」

バーテン「おーし、そんじゃあ出発だ」

召喚士「それじゃ、まずは船のチケットを……」

バーテン「それなら手配済だ。30分後の便で本国入りすんぞ」

召喚士「……」

戦士「やっぱり……張り切りすぎじゃねぇか?」

召喚士「は、はは……っ」
737 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 23:49:49.70 ID:s0Ept+pzo
〜新聞社〜

テクテクテク

書家「うぃーす」

受付「……おはようございます」

書家「編集長いるかい?」

受付「はぁ」

書家「いやぁ、しっかしビックリしたぜ。まさかあいつが……」

スタスタスタ

書家「噂をすればっ、いよっ!社長!!」

編集長「……何だ、お前か」

記者「先輩」

書家「社長就任おめでとうってな。ほれ、祝いのワインだ」

記者「へぇ、先輩も気が利くじゃないですか」

編集長「バッキャロー!てめぇはさっさと病院行って取材して来いっ!」

記者「は、はいっす!」
738 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 23:50:19.65 ID:s0Ept+pzo
書家「病院?」

編集長「院長が辞任だとよ。新院長は息子のドクターだ」

書家「ほぉー。王宮関係の理事クラスがこぞって辞任か」

編集長「王宮内もかなり入れ替わるみたいだしな」

書家「新時代の到来……か」

編集長「てめぇはどうなんだ?」

書家「あ?」

編集長「いやな、俺が現場抜けちまったモンだからよ……」

書家「人手不足ってか?がっはは!まさかあんたが俺に頭下げるたぁな〜」

編集長「下げてね0だろっ、バッキャロー!」

書家「悪いが、縛られるのが嫌でフリーになったんだ。戻る気はねぇよ」

編集長「そうかい。そんじゃあ今後は出入りすんじゃねぇぞ」

書家「うへぇ、新社長は厳しいモンですわなぁ」

編集長「当ったり前だ。報道ってのはな、自由だが正しい事を伝えにゃならん」

書家「わーってますよ。胡散臭いフリーは退散さsて貰います……っと」
739 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/12(火) 23:51:17.21 ID:s0Ept+pzo
〜病院〜

外科医「おめでとうございます」

内科医「本日はなんとめでたい事か」

ドクター「めでたい?そんなわけないじゃないか」

内科医「……?」

ドクター「分かっているのか?父は不正を暴かれ、辞任したんですよ」

外科医「……」

ドクター「本来ならば逮捕され、実刑を受けてもおかしくない身だ」

外科医「なっ、ならば、我らとて同罪という事ですよ?」

ドクター「まさにその通りです」

内科医「!?」

ドクター「父は全ての責任を一手に受け、辞任という形で病院を守ったのです」

外科医「……っ」

ドクター「僕達の為すべき事は、失墜した威信を取り戻し、汚名を返上する事です」

内科医「坊ちゃん……いや、院長。分かりました!」
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 06:26:20.44 ID:Pfs0czQDO
>>1乙っす
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 06:48:50.46 ID:Bsm1BGmDO
>>1
深夜更新ありがたいけれどもう体調は大丈夫なのかー?
無理はしないで頑張ってな
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/13(水) 19:05:32.37 ID:5KS8+tC2o
落ちてた?
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 19:49:25.28 ID:Pfs0czQDO
意外と早かったな
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 21:22:51.55 ID:xJkjs+AIO
女の子の日かわすれてたわ
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/04/13(水) 22:12:37.94 ID:+9dvLVqLo
>>744
!?
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/14(木) 00:26:22.80 ID:YZSykMl+o
>>744
27スレ目にしてようやく気づくやつが現れたか
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/14(木) 01:27:55.60 ID:xDaLH1U7o
そういうの気持ち悪いんでいいです^^;
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/14(木) 01:51:39.07 ID:iyOd13+DO
男の子の日も忘れないでね!
749 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 10:55:40.52 ID:2/n8ipHyo
〜鉱山の町〜

テクテクテク

戦士父「……」

ガチャッ

おかみ「いらっしゃい!」

戦士父「どうも」

おかみ「あんたかい。もしかして……」

戦士父「……」

ズイッ

おかみ「……いま、別のお客さん来てるから、ちょっと待ってて」

戦士父「ああ」

テクテクテク

おかみ「あんたー。お客さんだよー」

鍛冶屋「うんっ、こっちも終わったから今行くよ〜」

戦士父「……」
750 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 10:56:19.67 ID:2/n8ipHyo
テクテクテクテク

戦士父「!?」

天才「よぉ」

戦士父「……どうも」

天才「それで、残りは?」

戦士父「素性の分からんものはあと1本だな」

天才「西か……。まぁそっちは焦らずともいいだろ」

戦士父「……?」

天才「近いうちに西国とも共闘する事になる。そん時に便乗しちまえ」

戦士父「そうやって、西方戦線に駆りだすか。狡猾な事だ」

天才「ハーッハッハ!考えすぎだっての」

戦士父「それで、そっちは?」

天才「西から回収してきた。これで残りは東のみ」

戦士父「いよいよ、完成か」

天才「まーな。フィーアの段階でも結構やれそうだけどな。ハーッハッハッハ」
751 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 10:57:03.57 ID:2/n8ipHyo
戦士父「……」

天才「そんじゃ帰るわ。世話になったな」

鍛冶屋「あっ、うん」

戦士父「……本国へ?」

天才「まだやる事ぁ、色々残ってるが……」

ザッ

天才「これが終わりゃあ、始まりだ」

戦士「……」

天才「あーそうだ」

戦士父「……?」

天才「もし暇ならよ、ちょいと北を支えてやってくれや」

戦士父「北?あぁ、そういう事か」

天才「出来れば軍へ戻ってくれりゃいいんだが、ま……贅沢は言わねぇよ」

戦士父「……」

天才「おっと、船が出ちまう。そんじゃあな、一番槍サン」
752 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 10:58:20.65 ID:2/n8ipHyo
〜本国、昼〜

船員「ご利用ありがとうございました。本国、本国へ到着〜」

テクテクテク

戦士「到着〜っと」

船員「お疲れ様でした。こちらにご記入を」

戦士「あん?」

船員「お名前とご職業、どちらに行かれるかなどの詳細を……」

魔道士「今までこんなのありましたっけ?」

召喚士「いえ……」

戦士「何でこんな事しなきゃならねーんだ?」

船員「すみません。パレードがありますので……」

バーテン「成程な、不審者の洗い出しか」

魔道士「……?」

バーテン「内通者問題で過敏になってんだろ、本国の連中もよ」

盗賊「……ああ、そういう事か」
753 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:00:18.27 ID:2/n8ipHyo


戦士「……っと。これでいいか?」

船員「はい、ありがとうございます。宿などはこれからという事ですね?」

召喚士「はい」

船員「ご足労をお掛け致しました。それでは、よい式典を!」

魔道士「さぁ、どうしましょうか!?」

戦士「そういやお前、隠れなくていいのか?」

魔道士「もう大丈夫ですってば。それに、別に悪い事してないですもん」

盗賊「……誰かさんと違ってな」

戦士「俺だって冤罪だっつの!」

召喚士「とりあえず宿の確保をしておきましょう」

バーテン「そうだな。ついでに買い出しの手配もしておくか」

戦士「おっしゃ、そんじゃ大通りの方へ向かうとしますか」

魔道士「はいっ!」

召喚士「ついでに情報収集もしたいところですね」
754 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:01:38.97 ID:2/n8ipHyo
テクテクテクテク

戦士「結構、休みの店もあるなぁ」

バーテン「陛下崩御で自主的に喪に服してるんだろうな」

魔道士「なるほど……」

召喚士「ん……?」

ザワザワザワ

戦士「何の集まりだ?」

バーテン「掲示みたいだな」

召喚士「行ってみましょうか」

スタスタスタ

老人「いやはや、大変な事になっておるのぉ」

男「ああ。本国も大丈夫かねぇ……」

戦士「なんか、お偉いさんらが辞任したみてぇだな」

召喚士「病院ってドクターさんのところかな?」

魔道士「新聞社も……あの……?」
755 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:02:57.53 ID:2/n8ipHyo
戦士「それに加えて、右大臣に左翼官に……結構な数だな」

盗賊「……ああ」

召喚士「これから王宮で会見があるようですね」

魔道士「……行ってみます?」

召喚士「魔道士さんさえ、良ければ……」

魔道士「……行ってみましょうか」

バーテン「そうだな」

一同は王宮前へと向かい、そこへ既に群がっている民衆に混じる。

程なくして王宮内より会見の為に現れたエリートの姿が確認できた。

ザワザワザワッ

記者「来たっ!」

エリート「お待たせ致しました」

記者「早速ですが、此度の騒動を簡潔にお願い致します!」

エリート「……ご存知の通り、数日前に陛下が崩御なされました」

記者「……」
756 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:04:19.16 ID:2/n8ipHyo
エリート「そして、その機を狙い、かねてより懸念されていた事態が起きました」

記者「それは、左翼の反乱ですか?」

エリート「まぁ、そういう事になりますね」

記者「かねてより懸念、と仰られましたが、予測はしておられたのですか?」

エリート「……確信はありませんでしたが」

記者「防ぐ手立てはなかったのですか?」

右秘書官「証拠もない状態で、手を打つことは困難です」

エリート「確かに、皆様へ不安を募らせてしまった事には責任を感じております」

男「気にするな!悪いのは裏切り者だ!」

記者「……それで?」

エリート「左翼の筆頭である左大臣は、魔物と結託しておりました」

ドヨドヨッ

記者「それは、俗に言う内通者という事で?」

エリート「……そうなりますね」

記者「内通者は左大臣のみ、という事で?」
757 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:04:50.91 ID:2/n8ipHyo
エリート「今のところの調査では、他に左秘書官が関与していたと思われます」

記者「成程」

エリート「左大臣は国家の掌握を目論み、偽の後継者を仕立て上げたのです」

ザワザワッ

記者「落胤と噂の、王女の事ですか?」

エリート「……はい」

男「やっぱりでっち上げだったのかよ……」

老人「実はちと、期待しちゃったんじゃがのぅ」

エリート「……」

記者「ご、ごほん。偽者とはどういう事なのでしょうか?」

エリート「いい質問ですね。王女については、王宮に縁のある夫妻の娘であり……」

記者「ほうほう」

エリート「そこに目を付けたさよくが、資料を改ざんし、仕立て上げたのです」

記者「つまり、その女子はなんら無関係の方であったと?」

エリート「ええ。彼女は今――」
758 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:05:45.21 ID:2/n8ipHyo
顔を上げた先に、エリートの目にはふと、魔道士の顔が映りこんだ。

エリート「……っ」

魔道士「……」

エリート「彼女は一般人で、今は既に、故郷の村へと戻りました」

記者「成程。では、後継者は従来の通り……」

右秘書官「殿下です。これは揺るぎないものであり、変わる事はありません」

記者「即位については?」

エリート「戴冠式は明日の昼を予定しております」

男「何ぃ!?こうしちゃいらんねぇ!!」

店主「店を開けないと!大儲けのチャンス!」

記者「事件の直後、理事や王宮勤務者が大量の辞任を表明しておりますが?」

エリート「左翼から不正な献金を受けていたものによる対処です」

記者「実刑はないと?」

エリート「規模が規模ですから、ひとまずは辞任という形で決着をつけます」

記者「いずれ、逮捕もあると?」
759 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:07:31.19 ID:2/n8ipHyo
エリート「それは今後の情勢次第で決定しようと思います」

記者「エリート様の父上であられる、右大臣様も辞任を表明しておりますが……」

エリート「残念ながら、右大臣も事件に関与しておりましたので」

記者「内通者だったのですか?」

エリ−ト「いえ、不正な献金を受けていた、という事です」

記者「右翼にもそのような事が?」

エリート「直接絡んでいたわけではなく、別の機関においての理事としての話です」

記者「王宮内でも重要なポストが幾つか空いてしまったわけですが……」

エリート「それは……」

右秘書官「丁度良い機会です。新体制をご報告致します」

エリート「しかし、まだ殿下の即位が……」

右秘書官「殿下からも混乱を招かぬよう、先んじての発表をと言われておる」

エリート「……っ」

記者「今、ご発表頂けるので!?」

右秘書官「はい」
760 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:08:47.31 ID:2/n8ipHyo


右秘書官「新生本国の右大臣には、エリートが就任致します」

戦士「おぉ……っ」

召喚士「エリートさんが右大臣に……」

右秘書官「また、多少の人事異動はあるものの右翼の体制は変わりません」

右文官「我らも基本的な役職は変更なし、という事で」

記者「左翼はどうなるのです?解散ですか?」

エリート「いえ、一党独裁制は専横を招きかねます。左翼は維持したいと考えております」

記者「ならば、新たに左大臣を置くと?」

右秘書官「……どうぞ」

ザッザッザッザ

エリート「彼らが新たな左翼を支える者達です」

右秘書官「左大臣へ就任なされる、左文官様」

左文官「改めて、宜しくお願い致す」

右秘書官「左翼の中核を担う高官殿、双子父殿」
761 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:10:46.93 ID:2/n8ipHyo
高官「我らは、辞退したのですが……」

エリート「他者に比べると罪は軽い故、留まって頂きました」

記者「左大臣の反乱とは無関係と?」

エリート「因果関係がない、とは言い切れませんが、あくまで利用されていた立場です」

双子父「もちろん、許しがあればの話です」

男「アンタらも騙されてたんだろ?そりゃ仕方ねぇよ」

老人「これからは仕事という形で、償いを見せてくれ」

双子父「……有難い……お言葉」

エリート「ひとまずは落ち着くまで、この新体制で取り組む所存です」

記者「その後の展望は?」

エリート「議会制度を民政にも適用したいと考えております」

記者「具体的に、どういう意味でしょうか?」

エリート「限られた空間内での選挙など無意味です」

右文官「議会の裾野を広げ、国民も参入出来るよう、配慮したい」

ザワザワザワ
762 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:12:21.58 ID:2/n8ipHyo
男「そういう意味だ?」

老人「さあのぅ……」

エリート「簡単に言えば、誰もが立候補でき、誰もが投票出来るという事です」

ドヨッ

記者「つまり、民間からの起用を考えていると?」

エリート「限られた身分の者が限られた道を通り、職務につく。これは不平等です」

右秘書官「世界には多くの有能な人物がおります」

記者「その者らを雇用なさると……?」

エリート「もちろん強制ではありません。志のある者が率先して立候補して頂きたい」

男「やっべ、俺も応募しようかな……」

老人「やめとけ。無学を晒すだけじゃぞい」

エリート「今は難しいですが、今後はそういった政治を用意していきたいと思います」

記者「成程」

右秘書官「ではひとまず、会見を終了とさせて頂きます。ありがとうございました」

エリート「ありがとうございました」
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/14(木) 11:14:07.66 ID:2/n8ipHyo
>>762
× 男「そういう意味だ?」
○ 男「どういう意味だ?」
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 11:15:28.53 ID:lV5um1MDO
そういう意味か
765 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:15:49.07 ID:2/n8ipHyo


戦士「いやぁ、なんか……凄いな」

召喚士「うん。休む間もなく動いてる感じだね」

バーテン「まぁな、休んでる暇なんぞねーからな」

召喚士「そうですよね」

戦士「しかし、女王陛下にならなくて良かったな」

魔道士「本当ですよ、もう頭の中パンクしそうです……」

バーテン「餅は餅屋ってな。あんなもんは専門家に任せておきゃいいんだよ」

魔道士「そうですよね。私なんかがいても、何も役に立てそうもないですよ」

召喚士「そんな事はないですよ」

バーテン「そうそう。餅屋がやるのは政治。王様がやるのはまた別の事だ」

魔道士「そうなんですか?」

バーテン「明日になりゃ分かるよ」

魔道士「……はぁ」

召喚士「さて、それじゃあ宿の予約をして、食事にでもしましょうか」
766 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:17:17.39 ID:2/n8ipHyo
〜国軍本部〜

カツカツカツ

隊長「失礼する」

大軍師「……どうも」

隊長「んで、緊急ですかな?」

大軍師「ええ、まぁ」

隊長「……」

大軍師「明日、殿下の戴冠式がございます」

隊長「警備なら親衛隊長の方で手筈を……」

大軍師「そちらは心配しておりませんよ。ふふっ」

隊長「……?」

大軍師「戴冠式のパレードが終わったあと、国軍も発表に移ります」

隊長「んで?」

大軍師「そこで……討ちます」

隊長「――!?」
767 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:19:03.20 ID:2/n8ipHyo
〜宿〜

バーテン「そんじゃおやすみ」

戦士「早いな、飲まないのか?」

バーテン「寝られる時はしっかり寝るようにしてんだ。そんじゃまた明日な」

盗賊「……おやすみなさい」

スタスタスタ

戦士「んだよ、つまんねー」

盗賊「……」

戦士「あれ、召喚士は?」

盗賊「……なんか、ワークショップ行ったり……準備するって」

戦士「真面目だねぇ。致し方なし、一人で飲みに行くとするか」

盗賊「……」

戦士「……行く?」

盗賊「……いや、寝るよ。おやすみ」

戦士「へいへい、おやすみさん」
768 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:20:46.30 ID:2/n8ipHyo
スタスタスタ…カチャッ

盗賊「……?」

スタスタスタ

盗賊「……魔道士ー」

スタスタ…ピタッ

盗賊「……いない。出掛けたのかな?」

〜大通り〜

召喚士「……お金の手配よし、必要な道具もよし……と」

テクテクテクテク

召喚士「あれ……?」

魔道士「あっ、いたいたっ!」

召喚士「魔道士さん?どうしたんです……?」

魔道士「一人で出掛けたって聞いたので……探しに」

召喚士「何かありました?買い物ならちょうどお金を下ろした……」

魔道士「特に買いたいものがあるわけじゃ……ないですよ」
769 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:22:13.35 ID:2/n8ipHyo
召喚士「そう……ですか」

魔道士「迷惑……ですか?」

チラッ

召喚士「!?」

魔道士「一緒にいたら、迷惑ですか?」

召喚士「ままっ、まさか!!」

魔道士「良かった」

召喚士「……は、はははっ」

魔道士「他の人達から見たら、どう見えますかね?」

召喚士「え……っ!?」

魔道士「いやっ、変な意味じゃなくって!!えっとえっと……」

召喚士「……っ」

魔道士「普通の男女に、見えますよね」

召喚士「……ええ」

魔道士「……っ」
770 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:23:25.73 ID:2/n8ipHyo
バッ

魔道士「ごめんなさいっ!!」

召喚士「!?」

魔道士「知らなかったとは言え、私の事でご迷惑を……っ!!」

召喚士「全然気にしてないですよ……っ」

魔道士「本当……ですか?」

召喚士「はい。魔道士さんは魔道士さんですから」

魔道士「……」

召喚士「俺にとって、魔道士さんは……魔道士さんですよ」

魔道士「私も、召喚士さんは召喚士ですっ!」

召喚士「そうですよっ」

魔道士「そうですよね、えへへっ!!」

召喚士「はははっ!」

魔道士「それじゃ、帰りましょうか」

召喚士「はい、明日に備えて休みましょう」
771 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:24:42.15 ID:2/n8ipHyo
〜次の日〜

エリート「手筈は?」

王宮兵「問題ありません」

エリート「コースは間違えるなよ、それと国軍の警備とも随時、連絡を」

王宮兵「はっ!」

右文官「こちらも準備はいいぞ」

エリート「はい」

ザッザッザッザッザ

エリート「では、パレードに出発致しますぞ……陛下」

皇太子「ああ、行こうか」

スクッ…ザッザッザ

エリート「それえでは、出発!」

ドドォ…パッカパッカパッカ

エリート「新国王の誕生であるっ!派手に振舞えい!」

王宮兵「おぉーっ!!」
772 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 11:26:32.44 ID:2/n8ipHyo
王宮の正門より真っ直ぐ続く大通り。その左右にはいつも以上に人々が集う。

目的は当然、今まさに颯爽と通り過ぎようとしている豪華絢爛な馬車。

幌を外し、やや身を高く、紙吹雪に包まれながら、皇太子は笑顔で両手を振る。

隣で左右をきょろきょろと、眼光鋭く監視するエリートを時折、

肩を組みながら『お前も笑え』、と言わんばかりに、白い歯を見せて笑う。

やや溜息交じりに微笑するエリートの固い笑顔と屈託のない皇太子の笑顔。

その並び立つ対称的な表情が、集った国民の笑顔をより明るいものとした。

先頭を進む騎馬隊の国旗がゆらゆらと揺れ、それに続く楽隊の奏でる演奏、

そこに交わる人々の歓声。ある者はその光景を目の当たりにし満面の笑みを浮かべ、

ある者はその場に崩れ落ち、ぼろぼろと涙を流す。その喜びの表現は多様であった。

直線の先、最初に突き当たるカーブで、皇太子はふと表情を変える。

目先には魔道士ら、一同の姿。群集に交じりながら笑顔で手を振る彼女らに、

皇太子は優しく手を振り、笑顔で返し、馬車はカーブを曲がって去って行く。

投げ込まれる花吹雪や花弁が大通りを鮮やかに彩り、晴天の空を一層、青くする。

その過ぎ去る馬車を後押しするかのように、優しい風が吹き込んでいた。
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 11:42:11.12 ID:vgSJbNfA0
1乙
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 12:16:33.74 ID:4aB1qAySO
1乙
朝更新とは新しいな。
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 12:21:29.49 ID:hCKuaw1IO
1乙

俺の心の中にも、優しい風が吹き込んだよ。
さぁ、午後もがんばんべー
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 15:55:29.88 ID:ivZOe8XDO
1乙
やっぱり召喚士と魔導師の二人は良いな
777 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:09:45.55 ID:2/n8ipHyo


魔道士「凄かったですねぇ!!」

盗賊「……ああ、見事なものだ」

バーテン「いやいや、わざわざ来た甲斐があったぜ!」

召喚士「本当ですね!」

戦士「さぁて、この後はお楽しみのお祭だぁ〜!」

魔道士「楽しみ〜!」

召喚士「話によると、露店やイベントも盛り沢山みたいですよっ」

盗賊「……露店?食べ物?」

召喚士「もちろんありますよ」

盗賊「……よしっ」

バーテン「それじゃ、裏路地の方から見て回るかぁ」

戦士「大通りじゃねぇのか?」

バーテン「こういう時こそ、裏通りの方が通なものが揃ってるんだよ」

盗賊「……通。よし、行こうじゃないか」
778 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:10:22.79 ID:2/n8ipHyo
――「申し訳ありませんが、ご参加はお控え頂けませんか?」

魔道士「!?」

戦士「……てめぇ」

ザッザッザ

召喚士「青年兵くん」

青年兵「……」

バーテン「今の発言、どういう意味だ?」

青年兵「せっかくお楽しみのところ、本当に申し訳ないのですが……」

召喚士「何か……あった?」

青年兵「……皆様のお力を借りたいのです」

魔道士「え、えっと……っ」

戦士「何をしろって言うんだよ?こんな式典の中でよ」

青年兵「だからこそです。戴冠式に目がいっている隙に……」

盗賊「……」

青年兵「カタを付けたいのです」
779 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:10:51.53 ID:2/n8ipHyo
召喚士「……?」

青年兵「どちらも知る皆さんだからこそ、証人となって欲しいのです」

戦士「待て待て、話がさっぱり読めんが……」

青年兵「僕を信じてくれた皆さんだからこそ、お願いしたいのです!」

召喚士「……分かった」

バーテン「……」

召喚士「青年兵くんの、そして国軍の助けになるなら喜んで協力するよ」

青年兵「ありがとうございます」

戦士「とりあえず分かったから、事情を説明してくれって」

青年兵「真の内通者を本日、討ちます」

魔道士「!?」

召喚士「真の……内通者!?」

青年兵「はい」

バーテン「総司令じゃねぇってのは分かるが、やはり……」

青年兵「……内通者は、別にいます」
780 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:12:09.81 ID:2/n8ipHyo
召喚士「な……っ!?」

魔道士「……っ!!」

戦士「総司令は……ハメられたってわけか?」

バーテン「まぁ、そんなもんだろうな」

青年兵「これより国軍本部で、新総司令の就任式が行われます」

盗賊「……そこで、討つと?」

青年兵「はい。その為に――」

タッタッタ

国軍兵「青年兵様っ!ご到着なされました!」

青年兵「もう着いたのかっ、早いっ!」

召喚士「……?」

青年兵「時間がありませんっ、これより本部へ向かいます!」

魔道士「えっ、あの……っ」

召喚士「行きましょうっ!」

戦士「ちっくしょ……おい、オッサン?」
781 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:12:50.85 ID:2/n8ipHyo
バーテン「俺はワーカーでも何でもない。部外者は大人しく待ってるぜ」

戦士「……」

バーテン「悪く思うなよ、協力したいのはやまやまだがなぁ」

カチッ…シュボッ

戦士「……っ」

盗賊「……戦士、行くぞ」

戦士「宿で待っててくれ!」

バーテン「おーう、頑張れよぉ」

タッタッタッタッタ

バーテン「……ふーっ」

モクモクモク

バーテン「…………」

クシャッ…グシグシ

バーテン「……何考えてんだよ、逃げた身でまた……戻れってか」

大通りへ駆けていく一行の背中を見送り、バーテンは一人、裏路地へ消えて行った。
782 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:13:24.24 ID:2/n8ipHyo
タッタッタッタッタ

青年兵「……」

盗賊「……」

戦士「おいっ、いい加減に事情をだな……」

タッタッタ

国軍兵「お急ぎ下さい。間もなくです!」

青年兵「……話は、中に入ってからにしましょう」

召喚士「……」

〜国軍本部、副司令室〜

コンコン…カチャッ

隊長「ご準備、出来ました」

副司令官「……うむ」

隊長「では、お待ちしております」

ザッ…カツカツカツ

副司令官「……この部屋も悪くなかったが……くくっ」
783 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:15:42.52 ID:2/n8ipHyo
カツカツカツカツ

副司令官「またせたな、行こうか」

隊長「はっ」

国軍兵「敬礼っ!!」

ザザッ…カツカツカツ

隊長「どうですか?総司令になられる気分は」

副司令官「やる事は変わらんさ、肩書きだけの事よ」

隊長「……確かに」

カツカツカツ

隊長「それでは……入室!」

男隊員「……」

女隊員「……」

カチャカチャッ

隊長「副司令官様……どうぞ」

副司令官「うむ」
784 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:16:19.26 ID:2/n8ipHyo
タッタッタッタッタ

青年兵「副司令達は!?」

国軍兵「お、奥のそう司令室へ……っ」

青年兵「ありがとうっ!」

タッタッタッタッタ

召喚士「青年兵くん」

青年兵「召喚士さんは、知っていますか?」

召喚士「え……っ?」

青年兵「総司令の正体です」

召喚士「総司令!?」

戦士「それが何か関係あんのかよっ!?」

青年兵「総司令は内通者をあぶりだす為に、そして……」

盗賊「……ああ」

魔道士「盗賊さんは、何か知っているんですか?」

盗賊「……そのうち分かるさ」
785 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:17:19.40 ID:2/n8ipHyo
総司令就任に先立ち、副司令室から総司令室へと移動する為、

特殊遊撃に連れられ、副司令官はその扉を開いた。

カチャッ…キイィィ

そこには無人の空間が広がり、新たな主の訪問を歓迎するかのように、

少し開いた窓から、さわやかな風が流れ込んでいる……はずだった。

副司令官「――っ!?」

正面奥に位置するデスク。その高級そうな革作りの椅子がゆらゆら動く。

副司令官「……っ」

裏を向いた椅子がくるりと回転し、言葉もなく呆然と立ち尽くす副司令に、

その見覚えのある仮面姿の男は静かに声を掛けた。

総司令「……やぁ、久し振りだね」

副司令官「な……ぜっ!?」

隊長「総司令っ!?」

男隊員「臨戦態勢っ!」

女隊員「……は、はいッス!!」
786 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:20:09.01 ID:2/n8ipHyo
副司令官「これは……どういう事だ!!」

総司令「どうって?」

副司令官「内通者である総司令が、何故ここに……いや、それよりも……」

総司令「何故生きているかって?」

副司令官「ワーカーの処刑されたのではないのか!?」

総司令「じゃあ、そのワーカーが嘘ついたんじゃないの?」

副司令官「ワーカーは誰だ?」

隊長「……天才です」

副司令官「功績1位の……!?そのような者が嘘を吐くとは……はっ!」

総司令「……」

副司令官「謀ったな……貴様っ!!」

総司令「……んー」

副司令官「この国賊を捕らえよ!!」

チャキッ

隊長「……」
787 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:21:05.88 ID:2/n8ipHyo
タッタッタ…ザザッ

召喚士「……っ!!」

隊長「お前ら……っ」

青年兵「……」

総司令「おや、これは勢ぞろいで」

魔道士「総司令……さんっ!?」

戦士「一体……どういう……」

副司令官「えぇい、誰でもいい!反逆者を始末しろっ!」

青年兵「……副司令官」

副司令官「……!?」

青年兵「総司令を内通者に仕立て上げ、罪を着せた上での謀殺」

副司令官「何を言っておる……っ」

ザッザッザ

青年兵「真の内通者、それは貴方だ!!副司令官っ!!」

副司令官「――っ!!」
788 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:22:00.53 ID:2/n8ipHyo
魔道士「副司令さんが……」

戦士「内通者!?」

副司令官「馬鹿な事を申す――」

ジャキッ

隊長「チェックメイトだ、内通者さんよ」

ザッ

男隊員「……」

女隊員「……っ」

副司令官「貴様ら……っ」

男隊員「ヒャハハ!観念しな、もう逃げられんぜ」

総司令「彼らにはね、二重スパイとしてつけさせて貰ったよ」

副司令官「……くっ」

青年兵「逃げ道はありませんよ」

副司令官「……くっ、くくっ」

盗賊「!?」
789 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:22:49.70 ID:2/n8ipHyo
特殊遊撃に囲まれ、身動きの取れぬ副司令官は、その場で指笛を鳴らした。

隊長「!?」

盗賊「くっ!!」

指笛と同時に室内へ入り込んできた人影。盗賊が咄嗟に反応し捕らえようとするが、

軽装で固めた侵入者は身軽にかわし、部屋の奥へと到達する。

ザザッ…チャキッ

侵入者「……動くな」

男隊員「ちぃ……・っ」

隊長「……」

総司令の首筋に突きつけられたナイフを見て、特殊遊撃の三人は武器を捨てた。

カランカランッ…ゴトッ

侵入者「……いいぞ」

ザザザザッ

隊長「まだいやがんのか……」

戦士「なんつう数だよ」
790 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:23:30.52 ID:2/n8ipHyo
侵入者の声を合図に、武装した集団が次々と総司令室へとなだれ込む。

その数30余りは、即座に副司令官を除く者達をぐるりと囲った。

召喚士「……」

副司令官「チェックメイト……か」

カツカツカツ

副司令官「いやはや、確かにそうかもしれんな」

戦士「おい」

副司令官「動くな、彼がどうなってもいいのかな?」

総司令「……」

戦士「ち……っ」

青年兵「魔物は……入れないはずだぞ……っ」

副司令官「確か総司令室は、結界石が施されていたものな」

総司令「……よく見てみ、そいつら全員、人間だよ」

男隊員「!?」

侵入者「……静かにしていろ」
791 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:24:32.43 ID:2/n8ipHyo
チャキッ

総司令「人質に取る相手、間違ってない?」

副司令官「……?」

総司令「こんな命、失ったところで価値ないでしょ」

副司令官「……」

カツカツカツ…チャキッ

副司令官「いい武器ですね。よく手入れされている」

隊長「……まぁな」

副司令官「どれ、ちょっとお借り致しましょうか」

スッ…カツカツカツカツ

総司令「どうする?斬るつもり?」

副司令官「貴方は内通者なのです。これは紛れもない事実」

男隊員「何が事実だ!でっち上げだろうがよっ」

女隊員「そうッスよ!」

副司令官「魔物と接触している写真は既に出回っている」
792 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:26:00.58 ID:2/n8ipHyo
カツカツカツ

副司令官「死人に口なし、と言ってね」

隊長「ここにいる全員、葬るつもりか?」

副司令官「テロリストとして処断するよ」

隊長「そう簡単にやられるとは思えないがな」

副司令官「彼らを甘く見ない方がいい」

召喚士「……」

副司令官「国軍の者ではない。幼少の頃より戦闘訓練を徹底されたエリート達だ」

青年兵「どこにそんな輩が……」

総司令「邪教徒だよ」

魔道士「……っ」

副司令官「邪教邪教と、聞き捨てならん」

総司令「事実は事実でしょ」

副司令官「そうやって長年の間、蔑まれてきたのだっ!」

手にした長剣を副司令官は振り下ろし、それは総司令を頭上より捉えた。
793 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/14(木) 18:30:07.04 ID:2/n8ipHyo
ガギイイィィンッ

魔道士「――っ!?」

副司令官「さぁ、顔を見せろ。いつまでも強気でいられると思うなよ?」

斬りつけた残撃は総司令の仮面を真っ二つ割り、うな垂れた頭部からは血が滴る。

召喚士「くっ!」

副司令官「動くなよ朱雀の。下手な動きをしたらその瞬間、全員を――」

総司令「ハーッハッハッハ!」

副司令官「……?」

総司令「お前、本当にバカだなぁ」

戦士「そ、その……笑い声……っ」

魔道士「まっ、まさか……っ!!」

総司令「この俺様相手に勝とうなんざぁ、1億年早いんだよっ!!」

俯いた金髪の奥から鋭い眼光が副司令官へと向けられる。

その額を上げると、年配の者とは思えぬ、よく知った顔が姿を現した。

その顔は功績ランク1位。最強と謳われた天才、まさにその人であった。
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/14(木) 18:36:03.35 ID:2/n8ipHyo
昨日分は午前中にフライング投下しちゃいました。すみません
それでは失礼致します!ご支援感謝ですー!ノシ
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/14(木) 18:39:57.14 ID:YZSykMl+o
まさか天才が総司令だったなんてー!!!(棒)
胸が熱くなる展開
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 18:41:12.31 ID:mw2PRKpDO
>>1
寸止め乙
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 18:44:57.69 ID:MkdhLRyDO
>>1乙!!
続きっ!続きをはやくううううううう!
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/14(木) 18:47:56.23 ID:MZ75Np8AO
>>1乙、このドSめええええええええええええええ
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/14(木) 19:30:18.50 ID:hi3hiu57o
何て熱い展開・・・
もう一回読み直さないといかんな
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/14(木) 20:00:37.88 ID:MKvchM1AO
>>1おつ

熱い展開になってまいりました
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) :2011/04/14(木) 20:49:16.62 ID:TWkIx3ni0
おいィ?さりげなく青年くんがブロントLSメンバーになってるんだが?
もう来たのか早い……さすがにこれは洒えrにならんでしょ……
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/14(木) 21:15:25.22 ID:b2n2o1Vj0
>>1乙!

まとめで知ってやっと追いついた
これからもROMってますんで頑張ってくr…頑張ってください!
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/14(木) 21:33:29.43 ID:T2bF5uaYo
>>795
えっ!?
天才が総司令に成りすましているんだろ?
総司令は天才に討たれたんだし(棒)
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/14(木) 22:45:24.66 ID:B/12cmiAO
>>1

まさか総司令が天才だったなんて…
って事はマスクドジーニアスの正体はいったい……!?
いやむしろ天才の正体って…マスクド総司令?ジーニアス天才?ああもう訳わからなくなってきた!
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 23:02:09.47 ID:0/zIWNXro
社長とのところでなんとなくそうかなと思った
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/14(木) 23:18:17.01 ID:hznl4zvIO
来たきたきた?!

なぜか頭の中でアポロンの変身シーンの歌が流れた。
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/14(木) 23:21:57.14 ID:Ch8Ms2FJo
俺はバーローの謎解きが流れたわ…
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/14(木) 23:28:36.95 ID:7HqrkyxAO
誰か俺にネクストコナンズヒントを……
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/14(木) 23:46:55.68 ID:PRpIXrFAO
ネクストコナンズヒーント!
春厨
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/15(金) 00:19:01.39 ID:GAI2l0/uo
天才がツヴァイハンダー持ちだったから
司令部と何かしらあるのかと思ったらそうきたか
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/15(金) 01:43:32.67 ID:MDH0uFNDO
天才と総司令一緒にいた時なかったけ?
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 02:08:03.80 ID:5QJx9I+DO
なんか俺もそんな記憶あるんだけど思い出せない
気のせいかな、でも兄弟とかも考えられる
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/15(金) 02:08:14.13 ID:/GUyFXCYo
>>811
それに関してはかなり最初の方で盗賊が説明してるよ
確か初めて、国軍本部入ったときかな
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/15(金) 02:35:40.47 ID:14FUVTzwo
1乙
いい展開だ
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/15(金) 02:43:47.91 ID:6KrFIRS1o
おおう、熱い展開だなぁ、おい
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/15(金) 02:44:08.87 ID:XBxZ8H2AO
>>1乙!
ちょっとこれは予想してなかった。心震えて熱いやばい。
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/15(金) 07:30:24.90 ID:trf6R2AAO
ヤバイヤバイ 興奮し過ぎて乳首カチカチになってきた
男なのに
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 07:35:34.04 ID:8p8HVcjSO
やっと天才が来たか………
ツヴァイハンダーが5行ついたら戦士の武器5行になっても劣化版になりそうだな………
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/04/15(金) 08:13:21.40 ID:1iTgQ5Rno
最初からまた読み返したくなってきたぞ
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/04/15(金) 13:31:52.09 ID:aMiN6iEQ0
1乙
これは予想出来なかった
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 17:11:26.71 ID:UpzsUfUDO
口調が違うからわからなかったな
>>1
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/04/15(金) 18:01:56.66 ID:rgZ95wY6o
ここまできてわからなかったとか池沼かよ
823 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:03:09.97 ID:FWgTEp2po
〜本国、中央広場〜

ワアアァァァァ

エリート「凄い反響ですね、これも殿下……いや、陛下の人徳」

皇太子「そうだといいな。まぁ、今はどんな形でもいいさ」

エリ−ト「……本日、国軍も動くそうですよ」

皇太子「そうか。これでようやく落ち着くという事だな」

エリート「あと一人残ってはいますが、そちらはもう少し泳がせるつもりのようですね」

皇太子「……」

エリート「近日中に諸国の王と会談を設ける予定です」

皇太子「ああ、正式な挨拶もあるし、まとめて顔合わせといこうではないか」

エリート「はっ」

テッテッテ

女の子「へいかぁ〜これあげる〜!わたしが作ったんだよ〜」

皇太子「おぉ花冠か、ありがとう。戴冠式に相応しいな。はははっ」

エリート「よくお似合いですよ。陛下」
824 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:03:50.95 ID:FWgTEp2po
〜裏路地〜

バーテン「……」

カチャッ…カランカラン

情報屋「……なんだ、同業者さんかい」

バーテン「ははっ、老舗にゃ敵わんよ。それに稼ぎもな」

情報屋「おいおい、こんなバーのどこが稼いでるって?」

バーテン「裏の仕事でたんまり加勢でんだろ?この野郎」

情報屋「まぁ、そっちが本業だしな」

バーテン「違いねぇ」

情報屋「んで、お前はどっちで来たんだ?」

バーテン「一介のバーテンが何の情報求むんだっての」

情報屋「そりゃそうだわな」

トクトクトクッ…タン

情報「ほらよ」

バーテン「せめてロックにしてくれ」
825 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:04:45.50 ID:FWgTEp2po
カラン

バーテン「そんで、どうなんだ?」

情報屋「……情報は要らないんじゃなかったのか?」

バーテン「世間話だ」

情報屋「……ったく。真犯人は副司令だよ。全ては奴をハメる為の囮捜査だ」

バーテン「随分詳しいな。関わってるのか?」

情報屋「まさか。どこぞの一番槍のせいで、現特遊とも面識持っちまってな」

バーテン「ふぅん。それで色々とやらされたわけだ」

情報屋「……ま、軍からの仕事が一番割がいいからな」

バーテン「んで?」

情報屋「あのな、自分で聞けよ。初代隊長さん」

バーテン「聞けりゃこんな回りくどい事してねぇって」

情報屋「……いつまで意地張ってんだよ。頑固な奴だな」

バーテン「……お前、そんなキャラだったか?」

情報屋「お前こそ。年を取れば人は変わる。そんなもんだろ」
826 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:05:50.92 ID:FWgTEp2po
〜国軍本部、総司令室〜

召喚士「そ、総司令が……天才さんっ!?」

魔道士「何が……どうなって……」

天才「どーもこーもねぇ。これが事実だっつーの!」

副司令官「……っ」

天才「技量を誤ったなぁ、副司令。まさか俺様がいるとは思わなかったろ、ん?」

隊長「これで勝ち目はないと分かっただろう。大人しく――」

ピュイイィィィィ!!

男隊員「っ!?」

副司令官の指笛が再び鳴り響き、それを合図に侵入者達が一斉に襲いかかる。

隊長「青年兵!!」

青年兵「っ!!」

タタッ

青年兵「皆さん、外へ……っ!」

戦士「逃げろってか!?助太刀するぜ!!」
827 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:06:55.44 ID:FWgTEp2po
青年兵「いいから早くっ!!」

召喚士「……戦士、行こう」

戦士「……足手纏いだってか?」

青年兵「そうではありません」

盗賊「……戦士」

戦士「んだよ」

盗賊「……お前に……生身の人間が殺せるか?」

戦士「……っ」

隊長の配慮に青年兵はいち早く気が付いた。もう少し正せば、

数では劣るとはいえ、いかに戦闘訓練をした侵入者であろうと、

特殊遊撃や青年兵、そして召喚士らにかかれば、倒す事は造作もないであろう。

副司令官とてそれは想定内。それでありながら対等、いや優位な立場を示していた。

それは何故か、結論は一つ。彼らに生身の人間を斬る事は出来ないと踏んだからだ。

魔物の襲撃を避ける為、総司令室へ誘き寄せた彼らの策を逆手に取った戦法。

言わば、人間という名の盾を使った非情な作戦である。
828 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:07:40.67 ID:FWgTEp2po
副司令官「逃げた者を追う必要はない!貴様らはこの二人を殺せ!」

侵入者「……」

天才「なぁ、いい加減離してくんねーか……なぁ!!」

ゴゴゴゴゴゴッ

侵入者「っ!!」

天才の放つ威圧に気圧され、侵入者は一瞬の隙を見せた。それを逃さず天才は、

侵入者を背後から背負い投げるが、侵入者はいとも容易く身軽に受け身を取った。

ブンッ……スタッ

天才「俺らを殺すだぁ?調子に乗ってんじゃねーぞ」

隊長「悪いが、いざとなれば斬るのも仕事でな」

副司令官「く……っ!」

隊長「いい加減、剣を返せっつの」

副司令官の手に握られた自身の剣を見つめ、仕方なく床に落ちた男隊員の剣と

女隊員の小剣を隊長が拾い上げ、構えた。

ジャキッ
829 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:08:18.38 ID:FWgTEp2po
侵入者「ああぁぁぁぁ!!」

その瞬間、侵入者は手にしたナイフを隊長めがけ投げ飛ばし、突進する。

ナイフは隊長の左手に握られた小剣に払われ、床に落下する。

侵入者「ああぁぁああぁぁーっ!!」

奇声にも近しい独特の叫びを発しながら、侵入者は腰に携えたダガーを引き抜き、

隊長めがけ勢いのまま突きを繰り出した。

ザンッ!!

表情を変える事なく、隊長は侵入者を右手の長剣で一刀の元に、斬り伏せた。

隊長「……」

役職柄、止む無しと言えど、人を殺めるのはこれで生涯2度目。

多かれ少なかれ、それを良しとは当然思わず、後悔の念が残る。

ドシャァ

大義と胸中で言い聞かせ正当化するも、その心が晴れる事はない。

それを後押しするかのように救いの一言が隊長の耳に飛び込む。

天才「ご苦労さんっ!!」
830 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:09:09.11 ID:FWgTEp2po
労いの言葉をかける天才は、瞬時の内に手にしたツヴァイハンダーを振りかぶり、

隊長の背後から頭上を飛び越え、目の前の裏切り者へとそれを振り下ろす。

副司令官「――っ!!」

侵入者が躊躇もなくあっさり討たれた故か、はたまた身体能力の差か、

副司令官は抵抗する間もなく、大剣の一撃にあっさりとその命を失った。

ザンッ!!…ブシュウウゥゥ

天才「……」

隊長「貴様らのリーダーは死んだ!無駄な抵抗はよせ」

反乱軍の核である副司令官とその右腕とも言えるべき侵入者の、

あまりにも呆気ない死は、残る残党の意気を消沈させるに十分であった。

彼らは抵抗の意思もなく、その場で呆然と立ち尽くし、表情からは生気を無くした。

隊長「……結局、理想を掲げるだけで、それに満足していた集団か」

天才「実際問題、テロなんてのは始めてだろうしな。ちぐはぐなんだよ、全てが」

隊長「でも、これで終わりましたかね」

天才「いんや、まだだ」
831 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:09:49.72 ID:FWgTEp2po
隊長「……?」

天才「よく見てみろ、それ……影武者だ」

隊長「何っ!?」

天才「あの野郎、ゴキブリみてーなしぶとさだな」

隊長「いつの間に……まさか、最初から」

天才「いや、乱戦状態になった隙に、単身逃げたみてーだな」

隊長「……ちっ、追いますか?」

天才「いーよ。手柄はくれてやらぁ」

隊長「……?」

天才「それよりもだ、まだ本部内に不穏な気配がすんぜ」

隊長「!?」

天才「こりゃ人間のモンじゃねぇな。予め仕込んでやがったか」

隊長「まさか、魔物が!?しかし到底入り込めるとは……」

天才「青年兵らは走らせたんだろ?うまくぶつかってくれるだろうよ」

隊長「……我らも追いましょう!」
832 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:11:08.96 ID:FWgTEp2po
タッタッタッタッタ

召喚士「……」

ピクッ

盗賊「!?」

魔道士「どうしました……!?」

盗賊「……魔物の……気配?」

ドガアアァァンッ!!

青年兵「どうしたっ!!」

国軍兵「武器庫より出火っ!負傷者が出ておりますっ!!」

戦士「なにぃ!?」

男隊員「お前は衛生兵を呼んで来い!」

女隊員「了解ッス!」

男隊員「青年兵っ、お前は本部の――」

青年兵「分かっております!部内は全て封鎖致します!」

男隊員「頼むぞ。外は式典中だ、万が一出られたらアウトだぞ!」
833 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:11:59.21 ID:FWgTEp2po
青年兵「そちらはお任せしますっ!」

タッタッタッタッタ

男隊員「さーてと朱雀先生方。ちょっくらお手伝い願うぜ、ヒャハハ!」

召喚士「はいっ」

タッタッタッタッタ

男隊員「……状況は!!」

国軍兵「武器庫から……っ!」

ガシャッ…ガシャッ…ガシャッ

戦士「魔物か?」

盗賊「……ああ、人の気配を感じない」

魔道兵「甲冑が突然っ、う……動き出して……っ」

甲冑「ヴオオォォ!!」

グアァ…ザシュッ!!

魔道兵「ぐあぁ!!」

男隊員「全員後退っ、ここから避難しろ!!」
834 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:12:58.95 ID:FWgTEp2po
国軍兵「すっ、すみません……っ!!」

白虎兵「援護は!?」

男隊員「不要!!」

国軍兵「立てるかっ!?退くぞ!!」

魔道兵「う、うぐ……っ」

ザザッ…タッタッタッタッタ

男隊員「数はそれなり。いけるか?」

ザッザッザ…チャキッ

戦士「人間じゃねーなら、存分にやれるぜ」

盗賊「……」

男隊員「頼もしい限りだねぇ、ヒャハハ!」

戦士「さーて、久々だ。魔道士!援護頼むぞ!!」

魔道士「……はいっ!」

盗賊「……召喚士、頼むぞ」

召喚士「……はい」
835 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:14:00.88 ID:FWgTEp2po
〜本国、中央広場〜

右文官「ではこれより、戴冠の儀を執り行いまする」

カツカツカツカツ

皇太子「……」

大衆の見守る中、皇太子は中央に立つ大司教の前へと足を進める。

大司教「……新王、皇太子よ」

皇太子「はい」

大司教「先代の意を継ぎ、本国を治める身となる事、受け入れるか?」

皇太子「はい、この地に安寧の時を設ける事、今ここに誓う」

大司教「……宜しい。ではこの王冠を受け取りなさい」

皇太子の頭部に王冠が被せられ、あたりは一瞬の静寂を迎えた。

スッ

大司教「ここに集まりし者達よ、そなたらがたった今、証人となった」

ワアアァァァァ

大司教「皇太子に、本国に栄光あれ!!」
836 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:15:04.55 ID:FWgTEp2po


右文官「それでは、新国王より御言葉を賜りまする」

右秘書官「お願いします」

ザッ…カツカツカツ

皇太子「此度の儀により、私は本国の新たな王となった」

ザンッ…ガカアアァァ!!

戦士「でっりゃああぁぁーっ!!」

皇太子「立場は違えど、私がすべき事に変わりはない」

ザシュッ

盗賊「……次っ!」

皇太子「それは即ち、本国……いや、世界中の人々にとって平和な世を築く事」

ドドオオォォ!!…ゴアオオォォォォ

魔道士「やあぁっ!!」

皇太子「その為には……もうしばし、辛抱して欲しい。時間と君達の力を貸してくれ」

召喚士「……っ」
837 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:15:54.30 ID:FWgTEp2po


甲冑「……ヴォ……オォ」

ガシャッ…ドシャアアァァ

戦士「……今ので、全部か!?」

男隊員「やっと片付いたな、ったく……一体どっから入り込んできやがったんだか」

盗賊「……召喚士?」

召喚士「あ、え……えぇっ」

盗賊「……さっきからどうした?何か……悩みか?」

召喚士「……っ」

タッタッタッタッタ

隊長「片付いたみたいだな」

男隊員「おうっす、こっちは余裕よ。しかしこいつら……」

天才「こりゃあれだな、事前に用意されてたモンだ」

戦士「そんな事出来んのか!?」

天才「甲冑自体に特殊な魔法でもかけてあんだろ」
838 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:16:54.54 ID:FWgTEp2po
ゲシッ…ガラン

天才「コイツがいつ仕掛けられたのか、しっかり洗い出せ」

男隊員「了解!」

召喚士「……」

天才「どしたよ朱雀先生、冴えない顔が一層冴えてねーぞ?」

召喚士「……副司令さん達は……?」

天才「死んだよ」

召喚士「……っ」

天才「ジョーダンだよ。都合2人斬ったが、あとは捕縛した」

召喚士「そう……ですか」

天才「……んだよ、お前が気に病む必要はねーんだぞ?」

召喚士「……あの時、気付いていれば」

隊長「……?」

召喚士「俺にはザントマンがあった……っ。それを使えば死者なんて出さずに……」

戦士「そうかっ!確かに……そうだな……」
839 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:17:53.89 ID:FWgTEp2po
天才「んなモンは結果論だ」

召喚士「……」

天才「ワケも分からん現場に居合わせて、咄嗟にんな機転が効く奴はいね−よ」

召喚士「でも、出来たはずです」

天才「……ま、反省するのはいい事だ。何事も経験よ」

召喚士「……」

天才「お前らに足りねーもんは経験だ」

魔道士「……っ」

天才「だがな、経験を積むと気付かん事だってある。それがお前の意見だ」

隊長「司令の言う通りだ。俺の判断はお前らの退避したなかったしな」

天才「そのナントカマンってのを知ってたとしても、そんな判断は出ねぇだろ」

盗賊「……」

天才「それが現実だ。戦いってモンはそういう事だ」

召喚士「分かっていたつもりでした……」

天才「戦いに最善のい判断なんてのはねぇ。過去は顧みるな。あるのは未来だけだ」
840 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:19:28.45 ID:FWgTEp2po


戦士「んで、副司令官は……?」

天才「斬ったけど影武者だった」

魔道士「影武者……っ!?」

戦士「いいのかよ、放っておいて」

天才「弟子に譲った」

盗賊「……?」

隊長「そうか、姿を見ねぇと思ったら」

戦士「しっかし……まさかアンタが総司令だったとはな……」

天才「ハーッハッハ!ざまぁみろ、驚いたか?つーか、何で気付かねぇかなー」

魔道士「気付くわけないですよ……そんなの……」

カツカツカツ

青年兵「死者は出ておりません。負傷者は23名ほど……」

天才「あいよ、ご苦労さん」

魔道士「青年兵さんは知っていたんですか?」
841 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:20:04.62 ID:FWgTEp2po
青年兵「……?」

隊長「俺らも知らされたのは、割と最近の話だ」

天才「中には薄々気付いてた奴もいたけどな。なぁ、嬢ちゃん」

盗賊「……」

魔道士「そういえば盗賊さんは何となく、何かに気付いてましたよね……?」

盗賊「……最初に違和感を持ったのは、パーティーの時だった」

召喚士「パーティー?」

盗賊「……ほら、魔道士の……」

魔道士「あの時ですか!?」

天才「……てっきり火焔山かと思ってたが、そんな前から勘付いてたのかよ」

盗賊「……いや、北関で始めて会った時と。似た気配だったから」

天才「あぁ、なーるほどね。やっぱお前さんすげーわ!ハーッハッハ!」

盗賊「……それから幾度となく……疑惑は浮かんだけど」

戦士「んで、いつ気付いたんだよ?」

盗賊「……最北の村の時、確信を持った」
842 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/15(金) 18:21:34.06 ID:FWgTEp2po
天才「内緒にしとけって頼んだもんな」

盗賊「……」

隊長「まぁしかし、とんでもないお人だよ」

青年兵「国軍のトイップでありながら……」

召喚士「ワーカーとしても数十年、トップとして君臨し続けている……」

天才「俺様の才能に恐れ入ったかぁ?ハーッハッハッハ!!」

魔道士「しかも……地下格闘場でも、マスク・ド・ジーニアス」

戦士「どれが本物なんだか……」

天才「全部ひっくるめての天才様よ」

隊長「それにしても回りくどい……」

天才「どっちも、背負うって言っちまったからなぁ」

召喚士「……?」

天才「んな事どーでもいいだろ!さっさと後処理進めんぞ!」

青年兵「り、了解ですっ!!」

天才「ほれ、急がんと式典終わっちまうぞー?ハーッハッハッハ!」
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/15(金) 18:24:58.23 ID:FWgTEp2po
天才=総司令に気付いていた方も今回初めて気付いた方も
反応して頂いて嬉しい限りでございます。これでスルーだったらどうしようかと…

ここ2日ほど家のPCがマルウェアに乗っ取られて使えませんでした…
昨晩やっと直ったので今日から深夜更新も出来ると思います!

本日も沢山のご支援ありがとうございます!
ななばつ様も毎度のまとめ、本当にありがとうございます
それでは失礼致します!ノシ
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/15(金) 18:29:49.98 ID:vbmCh79O0
1乙!!!!!!!!!!
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) :2011/04/15(金) 20:27:27.04 ID:Fqkubcn60
ワルキューレの画像あるけど需要ある?
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/04/15(金) 20:50:10.78 ID:oU0rih2Ho
>>1おつつ

で、どんなエロサイトで引っかかったのかkwwsk
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) :2011/04/15(金) 20:53:16.87 ID:Fqkubcn60
宇宙的なサイトかな?
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/15(金) 21:14:21.44 ID:PposMVgAO
>>1
いや真面目に気づかなかった
やっぱアンタ恐いわ
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/15(金) 22:31:10.67 ID:kXYGo1XAO
>>1おつ
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/16(土) 03:00:58.21 ID:Y1DBxILDO
魔道士「エッチなのはよくないと思います!」
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/16(土) 03:07:12.70 ID:raeeM9NDO
>>1乙
総司令が仮面を割られた後、顔を上げながら笑い声を上げた時に
俺の脳内で「チャーチャラッチャラ♪」って感じでなんの曲かわからんけれど
形勢逆転!ヒーロー見参!っていう感じのBGMが流れてすげぇテンション上がったwwww
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/16(土) 03:26:32.46 ID:mAFBH1ff0
>>1
すごく天才がかっこいいんだが
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/16(土) 04:09:32.25 ID:hkQNP0VDO
>>1
番外編だけで30部は行けるな
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/04/16(土) 04:44:32.72 ID:jdj38S0D0
>>1
>>1のレス見るまで信じられんかったわww
別に総司令がいるものかと
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/16(土) 09:27:19.40 ID:uYCNVb4DO
いちょつ

>>851
明らかにガッチャマンのテーマ
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/16(土) 11:04:34.68 ID:C78HmBLAO
レス大杉
半年ROMっとけ、自重しろクソ共
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/16(土) 11:17:48.16 ID:6gl/QhrAO
>>1

天才が司令官とみせかけて実は別の奴が真の司令官とみせかけて天才が…
ってのが最後の100スレ目まで続く夢を見そう
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/16(土) 16:08:50.12 ID:rzFtvPuDO
ここで半年ROMってろとかwwwwww
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/16(土) 18:22:23.14 ID:l5YPhtjxo
羅刹との戦いではあんなにかませっぽく感じた天才が…
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/16(土) 23:36:52.59 ID:nK7bvPl8o
あの天才がミステリアスな総司令を演じている姿が想像できん・・・
861 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 03:01:14.18 ID:3e4XSWdko
〜本国、郊外〜

ザッザッザ

副司令官「……ふっ」

ザッザッザ

副司令官「式典とあって、警備の兵も手薄なものよ」

――「それは、何よりですねぇ」

副司令官「っ!?」

ザッザッザ

大軍師「どうも」

副司令官「貴様か……道理で見ないと思えば」

大軍師「我らはここで、貴方をお待ちしておりました」

副司令官「我ら……?」

大軍師「はい。師匠の仇は弟子が取るものですからね」

ザッザッザッザッザ

格闘家「……」
862 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 03:04:53.56 ID:3e4XSWdko
副司令官「……っ」

大軍師「ここで、命が惜しくば無駄な抵抗はやめて投降せよ」

副司令官「そんな言葉に乗ると思――」

大軍師「とでも、言うのが定番でしょうね」

副司令官「……」

大軍師「しかし、そんな偽善やじみた提案はしませんよ。どうせ乗らないでしょうし」

副司令官「……っ」

大軍師「貴方にはここで、死んで貰います」

副司令官「……相変わらず非情で、そして潔い男だな」

大軍師「……ふっふ、どうも」

副司令官「格闘家、と言ったか?」

格闘家「はい」

副司令官「人を殺めた事はあるか?」

格闘家「……いえ」

副司令官「そうか。躊躇はないか?戸惑いはないか?」
863 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 03:05:58.56 ID:3e4XSWdko
格闘家「……」

大軍師「動揺を誘うつもりですか?彼なら動じませんよ」

副司令官「……そのようなつもりはない」

大軍師「……ほう」

副司令官「綺麗事ばかり述べる正義面した奴等よりマシだ」

格闘家「……」

副司令官「命のやりとりを経て、得る強さもある」

大軍師「その通りです。罪な事ですが、彼にはそれを背負って頂きます」

格闘家「……」

大軍師「貴方の命を糧に」

副司令官「私は敗北者だ。この命、好きに使うが良い」

大軍師「……では、格闘家殿」

格闘家「……はい」

副司令官「我らが神に……栄光あれっ!!」

格闘家「……」
864 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 03:06:41.20 ID:3e4XSWdko
本国の表とも言える大通りの中央広場。そこでは晴天に恵まれた中、

皇太子による新国王即位の、華やかな戴冠式が敢行された。

その裏で、国軍による内通者、即ち、副司令官の粛清が実施され、

少なからずの血が流れる事と相成った。

その光と闇とも例える事が出来る二つの件は、同日同時刻同地区にて行われたが、

その闇の部分を知る者は、ごく限られた人間のみに留まった。

これにより本国における内乱とも呼べる事件のほぼ全ては終焉を迎えた。

それの意味するところは、五ヵ年計画最後の実行。つまりは魔王の討伐。

今ここに、その全ての点と線が繋ぎ結ばれ、いよいよを以ってして形を織り成す。

軍事と政治の結合。国軍とワーカーの結合。国と国との結合。

その全ての中心とも考えられる場所に立つ男は、静かに仮面を脱ぎ捨てた。

国軍総司令でありトップランクのワーカーでっもある彼は静かに笑う。

その瞳の先に見える未来に、一人の召喚士に、全てを託す。

彼の見た未来の、その平和な世の姿に、彼の姿はなかった。

それでも彼は、ただただ静かに微笑み、そして晴天の空を見上げて笑った。
865 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 03:08:39.39 ID:3e4XSWdko


ザッザッザ…ザッ

天才「ご苦労」

大軍師「副司令官殿、国家反逆の罪により処断致しました」

天才「どうだ、気分は?」

格闘家「……」

天才「ハーッハッハ!そらいいわきゃねーわな!」

大軍師「こちらは大丈夫でしたか?」

天才「あぁ。万が一を考えて厚みを設けておいたが、無駄だったな」

大軍師「やはり彼らも、理想を掲げる使途でしかなかったと……」

天才「現実も把握しねぇで、理想だけ掲げて勝てるなんて世の中はねぇよ」

大軍師「それはそうです」

天才「ま、どのみち悲しい奴等だよ」

大軍師「はい」

天才「タチの悪い事に、どこぞのアホ大臣と違って、悪じゃねーからな」
866 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 03:09:36.26 ID:3e4XSWdko
大軍師「ええ。己が正義だと思い、いや……正義として魔物を信仰し……」

天才「だから死をも厭わねぇし、悪いと微塵も感じねぇ。厄介なモンだ」

大軍師「これで、いよいよですね」

天才「ああ。役者は揃ったし、舞台も整った」

大軍師「始めますか」

天才「だな。だがその前に……」

大軍師「眷属……ですね?」

天才「役者が多すぎる。少し舞台から降りて貰うとしようかねぇ」

大軍師「どこからいきます?」

天才「決まってんだろ。一番厄介で、好戦的な所だ」

大軍師「……成程。今度は、勝てますかね」

天才「勝つしかねーだろ。負けるわけにゃいかねーんだからよ」

大軍師「それも、そうですね」

天才「そういう事だ。さーて、そんじゃ行くとすっか」

大軍師「どちらへです?」
867 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 03:10:24.81 ID:3e4XSWdko
天才「決まってんだろ!祭りだよ、祭り!」

大軍師「そうでしたね、式典の最中でした」

天才「モタモタしてっと終わっちまうぞ!ほれ、行くぞ!」

格闘家「……はい」

大軍師「本部内の事はお任せ下さい」

天才「何だ、お前は行かねーのか?」

大軍師「まだ仕事が残っておりますので」

天才「今日くらいサボれよ。堅い奴だなぁ……」

大軍師「ふっふ。そういえば……他の方々は?」

天才「みんな行ったよ。お前一人で仕事だかんな。んじゃ!」

大軍師「楽しんでいらして下さい。君も、ね」

格闘家「……」

天才「おらっ、行くぞ!!」

格闘家「……では」

大軍師「……ふっふ」
868 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 03:12:45.20 ID:3e4XSWdko
〜中央広場〜

子供「へいか〜!!」

老人「本国バンザーイ!!」

戦士「すっげぇ人気」

召喚士「そりゃそうだよ。今日は殿下の為の日なんだから」

魔道士「そうですよ〜」

戦士「そりゃそうだわな」

魔道士「それよりも、早くお店とか見て回りましょうよっ!」

盗賊「……うん、それがいいと思うぞ!」

召喚士「それじゃ、通りの方へ行ってみましょうか」

戦士「そうだな、ちょいと小腹も空いてきたしな」

魔道士「そういえば、バーテンさんは……?」

戦士「ほっとけほっとけ、好き勝手にやってんだろ」

召喚士「夜には宿に戻ると思いますし、あとで合流しましょう」

盗賊「……そうだな」
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 03:41:41.81 ID:uq3CFbSDO
>>1乙っす
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/17(日) 03:43:59.63 ID:O6JvJeCDO
>>1(^ω^)ペロペロ
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 04:09:39.26 ID:VnhB3n5DO
>>1深夜更新乙!
体調には気をつけてな−
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 19:50:38.51 ID:lxPeRlRSO
>>1乙(^ω^)ペロペロ
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/04/17(日) 21:19:29.33 ID:9uGUpY/e0
乙!!
874 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 21:56:14.12 ID:3e4XSWdko
〜夜〜

魔道士「楽しかったぁ〜」

召喚士「色々と見てまわれましたねっ」

戦士「うまいモンもいっぱい食えたし……なぁ?」

盗賊「……うんっ」

スタスタスタ

バーテン「おーう、待ってたぜ」

召喚士「バーテンさん!」

戦士「ったく、どこ行ってたんだよ」

バーテン「馴染みの店でしこたま飲んできた」

魔道士「も〜っ、せっかくのお祭りだったのに〜」

バーテン「楽しんできたんだろ?こっちは気にすんな」

盗賊「……」

バーテン「それに、新国王の晴れ姿も、しっかり拝見してきたよ」

召喚士「そうでしたか」
875 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 21:58:47.40 ID:3e4XSWdko


魔道士「それじゃあ、私達はこのままお風呂行って、休ませて貰いますねっ」

盗賊「……それじゃ」

戦士「おーう、おやすみ〜」

バーテン「俺らは少し飲んでからすっか」

召喚士「ええ、お付き合いしますよ」

魔道士「飲みすぎないで下さいねっ」

召喚士「……気をつけます」

テクテクテクテク

戦士「宿のバーでいいよな?」

バーテン「ああ、構わんぜ」

召喚士「それじゃ行こっか」

スタスタスタ

バーの店員「いらっしゃい」

戦士「三人だ、奥のカウンター失礼するぜ」
876 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 21:59:26.28 ID:3e4XSWdko


召喚士「乾杯〜!」

バーテン「そんで、国軍はどうだった?」

召喚士「……」

つい先程起きた国軍本部での騒乱。召喚士と戦士は重い口調で、

その一部始終をバーテンへと包み隠さず話伝えた。

バーテン「……そうか、成程なぁ」

戦士「止むを得ない事なのかもしれないけど……悲しいもんだよなぁ」

バーテン「まぁな。でも、この先に待ち受けているのはそういう事だ」

召喚士「……?」

バーテン「全てが終わって、何年何十年とすりゃ分かるだろ」

戦士「どういう意味だ?」

バーテン「……ま、いずれ考える時がくるさ。今は眼前の敵だけ考えとけ」

戦士「……はぁ」

バーテン今日は祝いの日だ、楽しく飲もうぜ」
877 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 22:00:19.83 ID:3e4XSWdko
〜王宮〜

エリート「お疲れ様でした」

皇太子「君も色々と、ご苦労だったな」

右秘書官「いよいよ、陛下指揮の下、新政府の誕生ですね」

エリート「しかし休んではおられませんよ」

右文官「何かあるのか?右大臣殿」

エリート「早速、各国の首脳と会談を設けましょう」

右文官「ちと早すぎやせんか?」

皇太子「いや、このタイミングだからこそ意味もあるというものだ」

右秘書官「そうですね。内乱の情報も漏れているでしょうし……」

エリート「ええ。新体制になっても混乱なく団結は固いというところをみせなくては」

右文官「成程、それで諸国に安堵感を持たせる効果があるわけか」

皇太子「まぁ、本心は早く顔合わせしたい。ただそれだけなんだがな」

エリート「……」

皇太子「手続きは任せる。今日は些か疲れた、先に休ませて貰うぞ」
878 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 22:01:25.80 ID:3e4XSWdko
カツカツカツカツ…

右文官「しかし、どこまでが本心なのやら」

エリート「……?」

右文官「いや、陛下の事よ」

右秘書官「時たまありますよね。何か、全て悟って行動しているのではと思える事が」

エリート「……素直なだけですよ」

右秘書官「……?」

エリート「己に正直だからこそ、結果が付いてくるのです」

右文官「……流石、よく分かっておるな」

エリート「長い付き合いですからね。そして、これからも……」

右文官「頼むぞ、新右大臣殿っ!」

エリート「……宜しく、ご指導ご鞭撻の程」

カツカツカツカツ…

右秘書官「頼もしい限りじゃないですか。若い力に満ち溢れておりますよ」

右文官「ああ、二人共なぁ……」
879 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 22:02:01.82 ID:3e4XSWdko
〜国軍本部〜

カツカツカツ…ドカッ

天才「あ〜血生臭せぇ」

大軍師「誰のせいですか」

総司令室の椅子にもたれかかり、だるそうな表情で天才は言葉を続ける。

天才「さーてと、そんじゃまそろそろ……」

大軍師「招集ですか?」

天才「……ハーッハッハ!だからお前はいいんだよなぁ」

大軍師「どうも」

天才「言わなくても伝わる。以心伝心。手間が省ける。楽!」

大軍師「ところでこちらの仮面はどうします?」

天才「……あー要らね、と言いたいところだが」

大軍師「一応、持っておきましょうか?」

天才「悪いな。ついでに直しといてくれや」

大軍師「……ふっふ、畏まりました」
880 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 22:03:01.16 ID:3e4XSWdko
〜数日後〜

記者「……っ」

召集が発令されたと聞き、記者は国軍本部へと訪れた。

しかし今、目の前に広がる想定外の光景に、ただ驚きを隠せずにいた。

召集命令が出されたわずか数日内において、各司令部の司令、及び側近、

そして各拠点の長や部隊の将軍ら一同が、国軍本部へと集まった。

だがそれは議会などでもよく目にする光景であり、記者を驚かせるには至らない。

特筆すべきはその数と、そして……ワーカーである。

ザッザッザ

青年兵「ご苦労様です」

召喚士「ちょうど本国にいたからね。良かったよ」

戦士「しっかし大層なもんだわなぁ」

青年兵「これからまだまだ来ますよ」

魔道士「国軍だけじゃないんですねぇ……」

――「当ったり前だろーが」
881 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 22:03:34.07 ID:3e4XSWdko
カツカツカツ

召喚士「……天才さん……じゃなくって、総司令……?」

天才「んなもんどっちでもいい。ほれ、ワーカーはあっちに座れ」

盗賊「……あれは」

戦士「うおっ!?」

ザッザッザ

ジュニア「いよぉ!元気そうで何よりだ……ハッハ!」

魔道士「ジュニアさんっ!それに……眼鏡さんも!」

眼鏡「やぁ」

召喚士「やはり皆さんも来てたんですね」

ジュニア「俺らだけじゃねーぞぉ?」

魔道士「え……っ?」

テクテクテク

魔法剣士「……元気そうだな」

魔道士「魔法剣士さんっ!」
882 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 22:04:46.74 ID:3e4XSWdko
賢者「……ふぅ」

召喚士「賢者さんまで……」

大軍師「これで、ある程度の上位ランカーは集まりました」

天才「「それ、リスト見せてみろ」

パラッ

天才「この……女賢者は?」

大軍師「連絡つかずですね。おそらく南方におるかと……」

天才「南方?んじゃ、そのままでいいや。あとは……この二人は?」

大軍師「玄武娘に朱雀嬢ですか、西方にいますがこちらも連絡が……」

天才「しまったな、この二人を使うつもりなんだがなー」

大軍師「西国にも協力を依頼致しましょう」

天才「んで、最後にコイツらは?」

大軍師「現在、くの一が療養中。他3名は行方不明です」

天才「……ちっ、貴重な朱雀なんだが……まぁ仕方ねぇ」

大軍師「まだ日数はありますし、もう少し待つと致しましょう」
883 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 22:05:56.91 ID:3e4XSWdko


カツカツカツ

南方司令「……おや、仮面は?」

天才「あーもう要らん。あとは魔物と戦い浸けの毎日だ」

南方司令「……そうですかい」

カツカツカツ

西方司令「……たっ、ただいま着きました……はあぁ」

天才「おーう、ご苦労」

東方司令「……」

天才「……んだよ?」

東方司令「い、いえ……っ」

天才「あ、ちょうど良かったわ。お前の貰うな」

東方司令「へっ!?」

天才「ツヴァイハンダーだよ。後で回収だ」

東方司令「そっ、そんな急に……っ」
884 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 22:06:51.64 ID:3e4XSWdko
天才「いつでも手放せる準備はしておけと言っただろ」

東方司令「何年前の話ですかっ」

天才「とにかく、もう時間がない。強制没収」

東方司令「……うぅ」

天才「そこのネーチャンに借りろよ」

女剣士「っ!?」

東方司令「刀か……」

天才「両手で握るんだから似たようなもんだろが」

東方司令「苦手です……」

天才「おめーの馬鹿力ならなんとかなんだろ。笑わせんなアホ」

東方司令「……っ」

大軍師「司令、陛下がご到着なされましたよ」

天才「おーう、いま行くー」

カツカツカツカツ

南方司令「さて、我らも着席しよう」
885 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 22:08:04.13 ID:3e4XSWdko
カツカツカツ…ザッザッ

天才「ご足労さん」

皇太子「大変だったな」

天才「そっちこそな。ま、計画通りっちゃ計画通りだ。心配すんな」

皇太子「心配はしてないさ、引き続き頼むぞ」

天才「……ん?そいつらは何だ?」

皇太子「私の側近さ、腕は確かだぞ」

双子姉「こんにちは、始めましてっ」
双子妹「宜しくお願い致しますわっ」

天才「……へっ、可愛らしい側近ですこと」

皇太子「羨ましいであろう?はははっ」

カツカツカツ

天才「……あんなキャラだったか?」

エリート「国王になられて、何か一つ吹っ切れたようです」

天才「ハーッハッハ!お前も悩みのタネが一つ消えて、何よりだな」

エリート「はぁ……」
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 22:40:21.82 ID:574MPdEU0
1乙
wktkが止まらない
887 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 23:41:28.70 ID:3e4XSWdko


天才「おーし、各自座ったなぁ」

大軍師「それでは資料をお配り致します」

広い大会議室いっぱいに、国軍関係者とワーカーが座する。

そして手元の資料をめくり、一同は無言のままただ目を通す。

戦士「しっかし見渡す限り……凄いメンバーが集まったもんだなぁ」

召喚士「うん」

戦士「しかも、みんな顔が分かるってのがまた怖い」

召喚士「確かに……」

魔道士「国軍の人もワーカーの人も、ほとんど知り合いですよね」

盗賊「……良いのか悪いのか」

戦士「そんなん俺らくらいのもんじゃないか?」

召喚士「は、はは……っ」

4人はきょろきょろと周囲を見渡し、馴染みのある面々を確認する。

それと同時に、今までの冒険を重ね合わせるように振り返った。
888 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 23:42:31.25 ID:3e4XSWdko
魔法剣士「……」

召喚士「どうしました?」

魔法剣士「なぁ、何故あいつが中心で話しているのだ?」

魔道士「あぁ、それはですね……」

盗賊「……天才が……総司令だ」

魔法剣士「……?」

召喚士「天才さんと総司令は、同一人物だったんですよ」

魔法剣士「――っ!?」

戦士「まぁ、信じられないよなぁ」

魔法剣士「ほ、本当……なのか!?」

魔道士「はい」

魔法剣士「……信じられん、あの……阿呆が?」

召喚士「……」

戦士「まぁ、分からんでもないよなぁ」

盗賊「……うん」
889 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 23:43:06.51 ID:3e4XSWdko


天才「そんじゃま、概要を説明すんぞ」

大軍師「まずは資料の最初をご確認下さいませ」

天才「五ヵ年計画も残すところ大詰め。最後のひと踏ん張りだ」

大軍師「そこで改めて、今後の展開を確認致したいと思います」

騎士団長「魔王討伐に関してかな?」

天才「まぁそうだが、その下準備ってところだな」

隊長「下準備……?」

天才「ああ。まずは魔王の前に、眷属どもを叩く」

ザワッ

エリート「眷属……?」

戦士「眷属っていや……」

召喚士「……」

左翼長「最初の標的は?」

天才「……一番、好戦的なヤローどもだ」
890 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 23:44:53.49 ID:3e4XSWdko
青年兵「好戦的……」

天才「アンラ・マンユの所を叩く」

ザワザワッ

戦士「やっぱりあいつか……」

大軍師「アンラ・マンユの眷属は総勢6匹」

天才「そのうち、アカ・マナフと思しき奴は既に撃破した」

左翼長「思しき?」

大軍師「眷属については、ほとんど情報がないので……」

博士「あくまで魔物図鑑を参考にするしかないのら」

天才「だから、そうであろうと言う程度の話だ」

召喚士「……」

天才「だが……おい、そこの朱雀先生」

召喚士「!?」

天才「お前さんらが倒したアカ・マナフ。どうだった?」

召喚士「どうって……とんでもない強さでした」
891 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 23:47:11.86 ID:3e4XSWdko
隊長「現場に居合わせた身枯らすりゃ、ありゃ間違いなく別格だ」

皇太子「ああ、私も多少ながら関わったが、相当の魔物であった」

青年兵「ええ……」

天才「つーわけで、アカ・マナフは倒したものと考える」

大軍師「残るは5匹。それでも他の魔王に比べれば厄介な数です」

男隊員「んじゃ、なんでわざわざ危ない所に挑むんすか?」

天才「寝てる奴を起こす必要ねぇってこった」

大軍師「好戦的だからこそ、先に叩いておく必要もあります」

天才「それに武闘派を地でいくような奴らを倒せば、多少は士気を削げるかもしれん」

青龍先生「そううまくいくかのぉ……」

天才「だから、かもしれんって言ってんだろうが、クソジジイ!」

大軍師「そういうわけで、第一の標的は南西、火山攻略と致します」

天才「ただし、悟られると厄介だ。少数精鋭で部隊を編成する」

大軍師「限られたメンバーを派遣し、眷属を討ちます」

天才「んでだ、同時に南北の兵も動かすぞ」
892 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 23:48:29.75 ID:3e4XSWdko
ザワザワッ

南方司令「どういう事だ?」

左翼長「……陽動か」

天才「ビンゴ。流石だねぇ」

左翼長「……」

天才「ピンポイントで狙い討つと他の魔王に刺激を与える可能性がある」

大軍師「そこで、南北の兵を同時に進軍致します」

騎士団長「成程、それがカモフラージュになるわけだな」

天才「そゆ事」

大軍師「それでは、当作戦に関する編成をお伝えいたします」

天才「えーと、北は総大将が左翼長。副将に将軍と東方司令」

左翼長「……」

将軍「了解であります!」

東方司令「……はっ」

天才「兵は北方と東方を動員してくれ。北関の使用は極力控えろ」
893 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/17(日) 23:55:14.64 ID:3e4XSWdko
大軍師「続いて、南方の編成ですが……」

天才「総大将は南方司令。副将に西方司令と騎士団長」

南方司令「全ては……正義の為に!」

西方司令「ひいぃ……っ。私に務まるでしょうか……!?」

騎士団長「相分かった」

天才「こっちは逆に、赤壁を前面に使え。テストも兼ねてだ」

大軍師「騎士団長はそのまま騎士団を率いて下さいませ」

騎士団長「本国の守りは良いのかな?」

大軍師「はい。西方司令部の兵とワーカーをあたらせます」

エリート「王宮の兵もおりますので。ご安心を」

騎士団長「……そういう事ならば」

天才「んで、召喚隊は白虎が白虎長」

白虎長「はっ」

天才「青龍隊は……青龍士官」

青龍士官「!?」
894 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 00:00:29.68 ID:+LjoHD5zo
天才「お前が率いろ」

青龍士官「私……ですか?」

大軍師「青龍先生が最前線に立つには、些か厳しいものかと……」

青龍先生「ひょっひょ、全くじゃわい」

天才「つーわけだ。頼むぜ」

青龍士官「……っ」

斜め前に位置する青年兵をちらりと見つめる青龍士官。青年兵はその目線に、笑顔で頷く。

青龍士官「……畏まりました。必ずや!」

天才「召喚士隊は二手に分かれて南北を支援しろ、いよいよ本格的な実戦投入だ」

白虎長「今までサボってたわけじゃないですもの、見せてやりますわ!」

天才「どっちが北でどっちが南かは二人で相談して好きに決めろ、いいな」

青龍士官「……はいっ!」

天才「魔道兵とプリースト……衛生兵はいつも通りの比率で組み込む」

大軍師「そちらは私が編成致します。ぬかりなく」

天才「んで、いよいよ本命の精鋭部隊だが……」
895 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 00:03:34.01 ID:+LjoHD5zo
スッ

天才「……いいな?」

召喚士「……はい」

天才「朱雀んとこの4人。それに……」

カツカツカツ

天才「お前とお前」

賢者「……ふぅ」

ジュニア「ご指名か、しゃーないねぇ……ハッハ!」

天才「お前とお前は北。慣れてそうだしな」

魔法剣士「任せてくれ」

眼鏡「そうだね、やりやすくて助かるよ」

天才「特遊は先行して偵察、及びルートの確保」

隊長「了解!」

男隊員「ゾクゾクしてくるぜ……ヒャハハッ!」

女隊員「やってやるッスよ……!」
896 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 00:11:18.73 ID:+LjoHD5zo
天才「テメーもだぞ?」

格闘家「分かってます」

大軍師「あと、本日はおられませんが、南西の砦からも牽制の軍が出ます」

召喚士「南西砦長さんか……」

天才「あとはここにいねーワーカーと……」

皇太子「他国の援軍か」

天才「会見はいつなんだ?」

皇太子「既に文は出している。1週間以内には現実のものとなるだろう」

天才「ギリギリのタイミングだな。まぁいいか」

大軍師「問題は……連絡付かずのワーカーですね」

天才「予言のが話にならんからなぁ。まー仕方ねぇけどな」

大軍師「ひとまず以上が編成となります。後ほど、個別に詳細をご指示致します」

天才「作戦開始日時も後で伝える。質問ある奴は大軍師に聞いてくれ。んじゃ解散」

大軍師「以上、お疲れ様でした」

召喚士「……アンラ・マンユの眷属、か」
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/18(月) 00:16:59.27 ID:+LjoHD5zo
ここまでー。此度もご支援感謝なのですよ!
それでは、おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

魔道士「天才さんは、何で総司令とワーカーをやってるんですか?」

天才「いやー金がなくてバイトだよ、副業」

戦士「副業でトップランカーになるわけねぇだろっ!」

天才「はぁ?副業は総司令の方だ」

盗賊「!?」

召喚士「じ、じゃあ……マズク・ド・ジーニアスは?」

天才「ありゃああれだ、えーと」

魔道士「……」

天才「身寄りのない子供達の為の孤児院を維持する為に――」

戦士「ないない」

召喚士「でも、本当にどうしてなろうと思ったんですか?」

天才「話すと長くなるからなぁ……。需要があんなら番外編ってとこだな。ハーッハッハッハ!」

召喚士「……だ、そうです皆様」
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/18(月) 00:19:25.25 ID:FOuEvk88o
>>1おつ

需要あるに決まってるじゃないですか
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/18(月) 00:20:26.47 ID:esaCZ4GBo

ジーニアスは趣味かとおもってたぜ・・・
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 00:23:12.90 ID:A9rCmQ7SO
乙トリス。
外伝かもん
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 00:27:20.64 ID:27CX7pmSO
>>1乙です

登場人物それぞれの番外編とか楽しみwwwwww
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/18(月) 00:31:23.24 ID:zeTTBtlg0
乙です。
すべてが趣味じゃないかと思えるwwwwww
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 00:41:33.69 ID:ILmawDlDO
>>1乙っす
番外編も楽しみにしています
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/18(月) 01:23:40.68 ID:dgzGpAxAO
>>1おつ

実質本業がワーカーの一位は眼鏡で、人間での一位は魔法剣士か
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 03:07:32.08 ID:HvxB0+xDO
>>1
天才さんったらワーカー報酬もらってないっていうのに照れちゃって///
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/18(月) 03:07:58.35 ID:3qyQdGmDO
これで朱雀先生ptで5行つかえるやつは3人か 
色々と真っ白になりそうだぜ!・・・ふぅ
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/18(月) 03:24:01.93 ID:OCX2YPjI0
>>906三人?盗賊と戦士はこれからじゃないの?

1乙
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/18(月) 07:55:39.34 ID:FzqXVVNIO
盗賊は兄さまからもらったクナイがあったが、回収したのか?
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/18(月) 08:00:46.12 ID:esaCZ4GBo
クナイはネクロにつかって消滅してたろ
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/04/18(月) 08:23:22.02 ID:ZXNWk2+1o
今更ながら読み返してるんだけど・・・長いな・・・
最初の方から自分のレスがちらほらと
見ると恥ずかしくなるな
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/18(月) 08:30:04.37 ID:O6au7+HAO
>>1

登場初期から怪しかった軍師様は結局味方側だったみたいで安心した
後は女記者殺したのが誰かってのが今一番知りたいところ
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 08:36:21.05 ID:hZkgni1DO
>>1乙!
wktkが止まらない展開続きだな!
楽しみにしてる漫画が掲載されている週刊誌が毎日発売されてる感覚ですげー嬉しいwwww

大規模戦闘楽しみだなー
天才の外伝はいつかみてみたい!!
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/18(月) 10:55:55.29 ID:k/ZRXWkAO
タルウィさんくるー?
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 10:58:46.89 ID:14O4jzKao
>>904
ジュニアが3位にいるから人間1位はジュニアじゃね?
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/04/18(月) 11:45:10.02 ID:tel0F+2Y0
1乙
昔、天才とタルウィが戦ったとき
一瞬インドラが出てきたけど、敵なのか味方なのか…?
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 12:52:16.63 ID:kynXNVG8o
能力的に見たら
賢者・ジュニア・魔法剣士
が同格くらいじゃね?

魔法剣士は功績にならない仕事も結構してるみたいだし
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/18(月) 17:12:23.03 ID:FDKTbr01o
ジュニアはあんまり戦闘シーンがないからなぁ
最強は今のところ賢者だろ
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/04/18(月) 17:21:22.15 ID:Dt5GYbc/o
魔法剣士は強いんだけどかませ臭が……
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 17:48:51.90 ID:s76HkZHDO
そういや詩人はどこいったんだろ
920 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:02:11.78 ID:e21yZIzSo


召喚士「……」

カツカツカツ

青年兵「どうぞ」

召喚士「ありがとう」

バルコニーから一人、外を眺める召喚士。青年兵はその重い気持ちを察してか、

飲み物を片手に背後から召喚士に声を掛けた。

青年兵「火山攻略の指揮官になりました」

召喚士「……そっか」

青年兵「怖い……ですか?」

召喚士「……うん」

青年兵「僕もです」

召喚士「一度だけ、あの火山で眷属と戦った事があるんだ」

青年兵「確か、炎の魔物でしたっけ?」

召喚士「うん……」
921 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:03:58.06 ID:e21yZIzSo
ザッザッザ

戦士「よく考えてみりゃ、まともに交戦した敵で唯一だよな」

青年兵「……?」

盗賊「……敗北。いや、見逃して貰ったのか」

戦士「ネクロマンサーは何とかなってるし、北の化物もまともには戦ってねぇからな」

召喚士「正面からやりあって、勝てる相手じゃないと思う……」

盗賊「……少なくとも……あの、炎の奴はな」

青年兵「そうですね。僕もそう考えています」

魔道士「でも、それじゃ勝ち目ないですよ……っ?」

青年兵「アカ・マナフの時と同じように、やるしかないでしょうね」

召喚士「同調召喚だね。でも、出来るのかな……」

天才「間に合わせるって言ってんだろ。心配すんな」

青年兵「司令……」

天才「えぇと……じゃん!魔物図鑑〜!」

魔道士「……!?」
922 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:04:40.34 ID:e21yZIzSo
天才「これによりますとー。ええと……あれ?」

パラパラパラ

天才「あ、あったあった。コイツだな。名前はタルウィ」

戦士「タルウィ。それがあいつの名前か」

天才「炎の化物ともう一匹いたな。あいつは……えーと、どれだっけか?」

召喚士「戦った事あるんですか!?」

天才「あるよ。変な奴に邪魔されたけど」

盗賊「……?」

天才(……そういやあの魔物……インドラっつったけか)

召喚士「……」

天才「あー悪りぃ。んでだ、眷属の説明をしとくぞ。とりあえず室内に戻れ」

青年兵「はい」

ザッザッザ

天才「メイン努める奴らはちと集まってくれや。情報を開示する」

召喚士「……」
923 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:05:40.74 ID:e21yZIzSo
会議室の脇では、北の陽動を行うチームが話し合っていた。

左翼長「んじゃ、手筈を決めるぞ。作戦立案はウチのこいつに任せる」

参謀「宜しくお願い致します」

左翼長「……おい、お前んとこの参謀はどうした?」

東方司令「司令部にいるぞ」

左翼長「いるぞ、じゃねーだろ。何で連れて来ねぇんだよ」

東方司令「一つの司令部につき、2名の召集命令だったからな」

左翼長「普通は参謀役を連れてくるもんだろうがよ……」

女剣士「……」

左翼長「まぁいい。さっき聞いたと思うが、今作戦じゃ北関は使用不可だ」

将軍「うむ。しかしそれでは、東西の拠点が分断されてしまうな」

左翼長「そう。そこで海峡は最低限の兵を残して防衛には使わん」

将軍「放棄するのか?」

参謀「いえ、放棄は致しません」

東方司令「こっちの兵を使う気か」
924 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:06:24.84 ID:e21yZIzSo
左翼長「そういう事だ。海峡の防衛には東方司令部からの北進を主体とする」

将軍「押し込まれたら本国まで危険ではないかね?」

左翼長「その心配はないとは言えないが、可能性は薄いだろう」

参謀「ここ最近の動きからして、魔王軍も海峡攻略は諦めているようですしね」

将軍「確かに、ミノタウロスの防衛線以降は小さな小競り合いしか起きておらぬな」

参謀「橋に施した結界石が、なかなか効果を発揮しております」

左翼長「ただし、森の中にゃあとんでもねぇバケモンが潜んでやがるけどな」

東方司令「森さえ刺激しなければ、問題はない……か」

参謀「更に、手薄となった東方司令部には、東方からの増援を迎え入れます」

東方司令「……なるほどな、そういう事か」

参謀「但しこれは、間に合えば……の話です」

左翼長「まぁ増援についてはなくても、万が一を踏まえても凌げる算段だ」

東方司令「魔王軍が虚を突いて、大軍を率いてきたらどうする?」

左翼長「率いてきたらどうしようもない。だが、それは皆無と断言出来る」

将軍「……本当ですかな?」
925 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:07:08.47 ID:e21yZIzSo
左翼長「あいつらの強さの基準、それは個の力だ」

女剣士「……」

左翼長「それはかつて、奴らを凌ぐ種族が存在しなかったからだと考えられている」

参謀「絶対的な強さがあるから、個々は群れないのです」

左翼長「これは種の本能とも言うべき、肉体はおろか魂にまで染み付いているものだ」

東方司令「つまり奴らは、軍を率いるという考えを持たない……と」

左翼長「それが今まで、魔王軍が大軍率いて戦争してこなかった理由だ」

東方司令「まぁ、確かに歴史の観点からすると、利に適っているな」

将軍「つまり、絶対に起こり得ないと……?」

左翼長「しかしだ、ここ最近になって、若干だが群れを為すように変化しつつある」

将軍「え、ええ……。やはり奴らも進化を……?」

左翼長「独自進化っつーか、妙な入れ知恵だな」

参謀「ネクロマンサーらのような、人間側の裏切り者ですよ」

東方司令「……成程」

左翼長「人間が余計な知恵を与える事で、魔王軍も更に進化を始めてるって事だ」
926 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:08:28.99 ID:e21yZIzSo
将軍「だったら、やはり危ないのでは……!?」

左翼長「すまんな、ちょいとばかし脅しになっちまったか」

参謀「考えてみて下さい。皆様の経験の中で、大軍とぶつかった事はありますか?」

東方司令「……ないな」

将軍「う、うむ。あってもせいぜい20かそこらの小さな部隊……」

左翼長「魔物にもプライドがある。そう易々と人間の妙な知恵を受け入れると思うか?」

将軍「っ!!」

左翼長「北の動向を探っていて分かったが、やはり内通者どもは優遇されていない」

東方司令「……様子を見られているという事か?」

参謀「探られているのでしょう。もしくは、軽視されているのですよ」

左翼長「つまり現段階では、大軍を率いたくても率いる事は出来ない」

東方司令「結論として、先程の作戦で支障はない、か」

将軍「だが、肝心の個の力がおおきかったらどうするのだ……!?」

左翼長「そりゃもう、踏ん張るしかないだろうよ」

参謀「言い換えれば、それはいつもの事ですしね」
927 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:09:46.88 ID:e21yZIzSo
東方司令「海峡兵を抜き、東方の増援がなかった場合の不足はどう補う?」

左翼長「あんだろ。協力なお勉強場所がよ」

将軍「……魔道学校かっ!!」

東方司令「学徒動員しろと言うのか……っ!?」

左翼長「まさか。月の宴と一緒だ、お前さんが一番よく分かってんだろ」

東方司令「教員と……OBか」

参謀「魔道兵を補うには十分な数と考えられます」

東方司令「確かにな」

左翼長「東方司令部だって、前みたいに魔道兵一辺倒じゃねーんだしよ」

参謀「司令部の廃止こそ出来ませんでしたが、再編は幸を奏しました」

将軍「それで、海峡兵はいつ合流させる?北関を飛ばすとなると日数が……」

左翼長「もっと足の速い方法があるだろ。1日ありゃいい。直前まで動かさん」

参謀「その方が、更なる牽制にもなりますしね」

将軍「そうか……そういう事か……っ!」

左翼長「何も進めるのは、陸地だけじゃないって事さ」
928 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:10:18.67 ID:e21yZIzSo


南方参謀「それじゃ、南軍の陽動作戦を決めるわね」

西方参謀「参謀役は俺ら2人が努めんぜ……ヒック」

南方参謀「総司令の発表通り、総大将はうちの司令」

南方司令「宜しく頼むぞ。正義は我らにあり!」

西方参謀「副将にはうちの司令と騎士団長殿」

西方司令「ひえぇ……っ。な、何をすればいいのでしょうか?」

西方参謀「まぁ、片方は役に立ちそうもないから、騎士団長殿お願いしますわ」

騎士団長「うむ。出来る限りの事は引き受けよう」

南方参謀「方針通り、赤壁を拠点に展開したいと思うわ」

西方参謀「かと言って、赤壁まで引き付けるのは愚策。当然、打って出る」

騎士団長「交戦は必要か?」

南方参謀「いいえ、無益な戦いはする必要ないと思うわ」

南方司令「だな。我らの仕事は魔王軍の牽制。討伐にはまだ早い」

西方参謀「南東国との連絡は?」
929 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:12:57.27 ID:e21yZIzSo
南方参謀「陛下の会談次第ね。それまではあちらも忙しいでしょうし」

西方参謀「それが来れば、東側はかなり楽なんだがなぁ……ヒック」

南方参謀「更には、スグリーヴァ様の所の魔物にも力を借りたいわね」

南方司令「ああ。彼らは頼もしい限りであろう」

南方参謀「南には有能なワーカーや軍人も多いから、心配はないと思う」

西方参謀「西方の兵器をいくつか導入しようかね」

西方司令「そそそっ、そうしましょう!怖いですからね!」

南方参謀「西方軍を動かして、三日月島は大丈夫?」

西方参謀「がははっ。何の為に半分明け渡したと思ってやがる」

騎士団長「……西国か」

西方参謀「すでに軍事同盟は結んでいる。守備に不安はねぇぜ」

南方参謀「万全の態勢ってわけね」

西方参謀「今回の遠征、言ってみりゃ大規模な……最後の軍事演習だ」

南方参謀「まさにそうね。今回の結果で最終決戦の組み立てになるわ」

南方司令「まさにその通りだな。各々、頼むぞ!」
930 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:13:49.83 ID:e21yZIzSo


天才「さーてと、それじゃいよいよ討伐作戦の中身を決めようかね」

召喚士「お願いします」

天才「まずは、ターゲットを発表致します。じゃじゃん!」

盗賊「……」

天才「んだよ、リアクション薄い奴らだなぁ……」

ジュニア「あのな、ちょっとはムードってもんを考えろっての……」

天才「ハーッハッハ!何だぁ?この程度でビビってんのか?」

女隊員「……そりゃ、怖いッスよ」

天才「はぁ……情けね。コイツら本丸じゃねーんだぞ?」

隊長「まぁ、司令の言う通りだよ。あくまで眷属。魔王の部下に過ぎん」

天才「こんなんでおしっこチビってたら、魔王なんぞ倒せねーぞ?」

戦士「そりゃ、そうだけどよ……」

大軍師「まぁ仕方ありませんよ。この中で実際、魔王と対峙した事のある者など……」

天才「……俺だけか。はぁ、時代も変わったねぇ。年は取りたくないもんだ」
931 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:15:03.99 ID:e21yZIzSo
男隊員「外見は変わってないっすけどね」

天才「はい、雑談はおしまい。そんじゃ一人ずつ説明してくぞ」

戦士「誰のせいだ、誰の」

天才「参考程度に聞いてくれ。まずはアカ・マナフ。これは倒したので必要なし」

パラッ

天才「んで、お次はコイツだ。えーと……サルワ。変な名前」

盗賊(……いちいち五月蝿いなぁ)

天才「コイツは風と水を操って、破壊の限りを尽くすそうだ。おぉ怖い怖い」

青年兵「なかなか、厄介な相手ですね」

天才「風と水ってのは手強いな。大軍師クン、どう見るかね?」

大軍師「水を防ぐには当然火が有効的。しかし火は風により打ち消されます」

戦士「どうすんだよ?」

天才「どうすんの?」

大軍師「どうしようもありませんねぇ」

天才「……だってさ」
932 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:16:04.47 ID:e21yZIzSo
戦士「……っ」

天才「んじゃコイツは後回し。だいたい誰も見た事ないのにいきなりは無謀すぎる」

隊長「しかし、コイツが先陣切ってきたら……?」

天才「あーないない。それはない」

盗賊「……言い切れるのか?」

天才「確立1%ってとこだな」

大軍師「眷属の役目は魔王を守る事。あちらから仕掛けてくる事は考えにくいです」

召喚士「確かに……あの、火の魔物もそうだった」

魔道士「そういえばそうですよねっ」

天才「きたらきたで諦めて遮二無二戦いましょう。はい、次」

賢者「……大丈夫かね……ふぅ」

天才「次はドゥルジ。コイツは……うわぁ、不死を操るってよ。めんどくせぇ」

大軍師「しかし、その分やり易いかもしれませんね」

隊長「確かにアンデッドは、かなり戦い慣れている。対処法も……」

天才「そうかぁ?じゃあ……お前が五行で死んでくれ」
933 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:16:44.37 ID:e21yZIzSo
ジュニア「はぁ!?」

天才「全魔力で五行ぶっ放せば眷属の一人くらいやれんだろ」

ジュニア「ふざけんなよっ!あんたがやれっての!」

天才「まー冗談は置いといて、場合によっちゃ物理でも押せるかもしれんな」

大軍師「そうですね。あとは他にどんな能力があるのか……」

戦士「……他にも何かあるってのか?」

大軍師「魔物図鑑とてあくまで参考資料でしかありませんから」

天才「実際に見た奴なんぞ生きてないしな。表立ったもんだけだ」

戦士「マジかよ……」

天才「だから参考程度に聞けって言ったろうがよ」

召喚士「……」

天才「はい、そんじゃ次……タローマティ。あーコイツは駄目だ」

男隊員「……?」

天才「完全にアンノウン。対策のしようがない」

盗賊「……」
934 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:17:28.18 ID:e21yZIzSo
天才「一見で当たるにゃ危険すぎる。まぁ全員でかかりゃ倒せるだろうけど」

大軍師「その代わり、2人3人は覚悟しないといけませんねぇ」

魔道士「……っ」

天才「こいつは後回し。自殺願望のある奴は勝手に戦ってくれ」

女隊員「そんな人……いるわけないッスよ……」

天才「ハーッハッハ!それもそうだ。次がザリチュ。毒や渇きを操るってよ」

男隊員「キツイな……」

天才「回復出来る奴もいるし、ちょっとの毒くらい耐えりゃいーんじゃねぇ?」

戦士「やだよ」

天才「……ん?あぁ、こりゃ厄介だな」

召喚士「……?」

天才「先に最後の一人、タルウィ。コイツは知ってる奴もいるだろう」

召喚士「……はい」

天才「このタルウィとザリチュはどうもつるんでるらしく、1セットみてーだな」

魔道士「でも、私達の時は一体でしたよね……?」
935 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:18:28.92 ID:e21yZIzSo
盗賊「……ああ」

天才「そういや、俺らの時は2匹いたな」

格闘家「いましたね」

天才「あれがザリチュか。ふぅん」

ジュニア「んで、何が厄介なんだ?」

天才「炎に乾きと毒。足止め喰らったら即死にも至る」

大軍師「何とか引き離せれば良いのですが……」

天才「……そこに付け入る隙があるか」

魔道士「へ……っ?」

天才「よーし決めた。最初の標的はこの……タルウィとザリチュだ!」

ジュニア「おいおい、2匹相手にしろってか!?」

天才「まさか。その中でも最優先はタルウィの討伐。これでいく」

賢者「……炎か……ふぅ」

青年兵「素性も分かっておりますしね」

天才「そういう事だ」
936 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:19:16.56 ID:e21yZIzSo
大軍師「滅多に姿を見せない眷族が顔を出す。それは即ち……」

天才「雑魚か全幅の信頼を寄せられてるかどっちかだ」

青年兵「なるほど」

天才「どちらであっても戦うにゃうってつけだ」

召喚士「最初に姿を見せるのも、タルウィかもしれませんね」

大軍師「まぁ、そう踏んでいて間違いないでしょう」

天才「火山って立地も、この2匹にとっちゃあ格好の場所だしな」

戦士「そこで撃破となりゃ、大きいわな」

天才「そういうこった。だからこそ、奴らにも隙が生じる可能性がある」

大軍師「まずは2匹を分断し、個別に撃破致しましょう」

天才「2匹倒せりゃ万々歳だな!奴らの慌てふためく顔を拝めるかもしれんぜ」

大軍師「実際の指揮は青年兵殿にお任せ致します」

青年兵「はっ!」

大軍師「特殊遊撃は今晩より、西方司令部を経由して調査に入って下さい」

隊長「……了解した」
937 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:20:15.99 ID:e21yZIzSo
天才「あとは……」

チラッ

皇太子「各地とも、方針は固まったようだな」

エリート「我ら王宮は、本国の防衛に備えます」

皇太子「うむ。外征などで足を引っ張っては、元も子もないからなぁ」

双子姉「私達は……」
双子妹「戦わないんですのかぁ?」

皇太子「首都防衛も立派な努めだ」

双子姉妹「なるほど〜っ」

ザッザッザ

天才「勇ましかった殿下も、国王になってすっかり牙を折られたかい?」

皇太子「……まさか。最後の刻には無理にでも参加するさ」

エリート「……」

天才「ほれ、右大臣様の顔色が優れないぜ?」

皇太子「無茶をする気はない。しかし、何もせぬわけにはいかん」
938 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:20:57.41 ID:e21yZIzSo
エリート「それはそうですが……」

皇太子「立場は弁える。皇太子と国王では重さが違うからな」

天才「ハーッハッハッハ!ご立派ご立派」

エリ−ト「それで、何かご用ですか?」

天才「会談の折には何人か同席させてくれ」

皇太子「……ああ、構わんぞ」

天才「とりあえず急いでくれ。決まり次第、連絡を頼む」

皇太子「分かっている」

天才「……頼んだぜ、ハーッハッハッハ!!」

カツカツカツカツ

エリート「仮面と共に、自我も外れたかの如くですね」

皇太子「あれが本当の姿さ。空元気であっても、あの豪胆な発言は頼もしいだろう?」

エリート「……まぁ、そうかもしれませんが」

皇太子「さぁ、王宮へ戻り、会談が早急に実現出来る様、支度を整えよう」

エリート「はっ」
939 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:21:42.88 ID:e21yZIzSo
カツカツ…ザッザッザ

魔道士「あ……っ」

双子姉妹「こんにちは、皆様」

召喚士「ど、どうも」

戦士「あん?陛下の付き人か?」

皇太子「ああ。魔力がない分、彼女らの助けを得ようと思ってな」

エリート「王女付が不要となってしまいましたから」

魔道士「……ごめんなさい」

エリート「あ、いえ……っ、そのようなつもりでは……」

召喚士「お互い、頑張りましょう」

双子姉妹「はいですわっ!」

皇太子「それでは先に失礼するぞ」

双子姉「それでは」
双子妹「御機嫌ようっ」

カツカツカツカツ…

召喚士「……」
940 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/18(月) 18:23:20.01 ID:e21yZIzSo
天才「さーて、俺も帰るとすっか」

青年兵「お疲れ様でした」

天才「お前ら、外出はいいが本国からは離れるなよ?」

召喚士「分かってます」

天才「……ん、なら良し。ハーッハッハ!」

カツカツカツカツ

青年兵「あの総司令だったとは、にわかに信じ難いですよね……」

召喚士「全くだよ……」

青年兵「さて、僕もこれから南北の総大将と会議なので。失礼致しますね」

召喚士「うん。お疲れ様」

青年兵「お互い頑張りましょう。それでは!」

カツカツカツ…

魔道士「いよいよ……ですね」

盗賊「……ああ」

戦士「第1目標はタルウィか。今度は……やってやる」

召喚士「……うん」
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/18(月) 18:55:01.55 ID:e21yZIzSo
ひとまずここまでにて!
ご支援ありがとうございます!それでは!ノシ
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 21:30:00.51 ID:hZkgni1DO
>>1乙!
タルウィの恐怖再びか……
初めて遭遇した時は圧倒的過ぎて正に絶望という感じだったよな。
召喚士達超頑張れ!!
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/04/18(月) 21:48:45.49 ID:3DK2QL2J0
やった!戦闘来た!これで勝つる!
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/18(月) 22:30:10.85 ID:TTTGIIJIO
うたた寝でギリギリ
目覚ましたら圧倒的

今のメンバーの力でどこまでいけるのか!

頑張れみんな!
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 23:03:35.69 ID:xUHOolPDO
3月のはじめから諸事情で見れなかったのだが……
久しぶりに見ると場面変わりすぎで何が起きてるかわからんな!
とりあえず>>1乙!
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/19(火) 00:08:37.96 ID:jeu70pmAO
>>1おつ
947 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 00:31:26.51 ID:nf/qpdGao


魔道士「それでは、失礼します〜」

青年兵「情報はワークショップとホテルまで、逐一ご報告致します」

召喚士「ありがとう。それじゃ」

テクテクテクテク

戦士「……ん?」

魔道士「お二人とも、どうしたんですかっ?」

魔法剣士「目的地が決まったのでな」

眼鏡「先に現地入りしていようかと思って」

召喚士「そうですか……」

魔道士「せっかく久々なのに、寂しいですね」

眼鏡「なぁに、すぐに会えるさ。嫌でもね」

盗賊「……それも……そうだな」

魔法剣士「では、頑張ってくれ」

召喚士「はいっ。お二人も頑張って下さい」
948 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 00:32:25.64 ID:nf/qpdGao
ザッザッザ

ジュニア「そんじゃお疲れさん」

召喚士「あっ、お疲れ様でした」

賢者「……ふぅ」

ジュニア「俺らもお前らと同じホテルの予定だから、飲むんなら誘ってくれ」

戦士「おう」

魔道士「それじゃ、賢者さんもお疲れ様でしたっ」

賢者「お疲れ様……ふぅ」

スタスタスタ

戦士「さーて、俺達も宿に戻って対策でも練ろうぜ」

魔道士「そうですねっ、備えあれば憂いなしですっ!」

盗賊「……そうしようか」

召喚士「ええ、やれる事は今のうちにやっておきましょう」

戦士「そうと決まりゃ、おいとましますか」

魔道士「はいっ!えへへ!」
949 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 00:32:58.57 ID:nf/qpdGao
その頃、既に皇太子からの書状を受け取った各国の首脳は、

既に機敏な動きを見せ始めていた。

〜東方、都〜

足軽「船のご準備、整いましてござる!」

名代「ご苦労。さて、参りましょうか……上様」

帝「うむ。では、後の事は頼んだぞ」

家老「お任せ下され。東の城も万事、改修は進んでおりまするぞ」

上様「帰国の折には完成しておるやもしれんな」

名代「鬼丸、都を頼むぞ」

鬼丸「任しとき!戦士達に宜しくな!」

名代「ああ、伝えておこう。それでは出発致しましょうか」

足軽「上様、ご出発ーっ!!」

帝「お土産、持ったか?」

名代「ご安心下さい。しっかりとご準備致しましたよ」

帝「ふふっ、ならば良し!」
950 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 00:33:39.91 ID:nf/qpdGao
〜南東国、東の城〜

兄者「……」

ザッザッサ

老将軍「心配か?」

兄者「……いや。しかし陛下も早すぎやしませぬか?」

若文官「逸っておられるようですな」

兄者「気負いすぎておらねば良いが……」

錦将軍「白馬のだって付いてんだ。大丈夫だろ」

弟者「今頃は、北東の国境線あたりかな」

老文官「道案内も兼ねて、剣士殿と合流すると申しておったぞ」

側近「いよいよか……」

兄者「我が主も若輩。うまいように利用されねば良いがな……」

若文官「他国の王とて変わりませんよ。それに、そのような連中ではありません」

側近「杞憂ですね。信じましょう……人間の力を」

兄者「……ああ。生まれは違えど同じ人間。絆を見せてやろうではないか」
951 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 00:34:18.71 ID:nf/qpdGao
〜剣士の村〜

村長「おぉ、来たぞ!」

パッカパッカパッカ

白馬騎士「先日はどうも」

村長「こちらこそ。皆様方の駐屯の甲斐あり、あれから魔物は寄り付きませぬよ」

白馬騎士「それは何よりです。剣士殿は?」

村長「まだ自宅のようですが、もう間もなく来るでしょう」

白馬騎士「そうですか。しばし待つと致しましょう」

〜剣士の家〜

剣士「それじゃ、行ってくるよ」

弓使い「行ってらっしゃい」

幼女「気を付けてねっ、お父さん!」

剣士「うん」

ガチャッ…パタン

弓使い「……」
952 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 00:35:05.66 ID:nf/qpdGao
幼女「……どうしたの?」

弓使い「あの人、最近変じゃない?」

幼女「そう?」

弓使い「あの一件依頼、何か考え事も多いみたいだし……」

幼女「そういえば……そうかも……」

弓使い「……まさかとは思うけど、そうなのかなぁ」

幼女「……?」

弓使い「あ、ううん。何でもないわ」

幼女「お母さんはお父さんの事、何でも分かっちゃうのね」

弓使い「そんな事ないわよ〜」

幼女「照れてるー」

弓使い「照れてませんっ!ほら、早く洗濯物干しちゃお!」

幼女「うんっ!」

弓使い「今日はいい天気だし、お布団も干しちゃおうかしらっ」

幼女「はーいっ!!」
953 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 00:36:00.33 ID:nf/qpdGao
テクテクテクテク

剣士「どうも、お待たせ致しました」

白馬騎士「此度はご協力感謝する」

剣士「いえいえ、これしきの事……」

スッ…ザッザッザ

三男「剣士、宜しく頼むぞ」

剣士「はい。必ずやご期待に添えたいと思います」

三男「うむ」

白馬騎士「それでは参りましょう。剣士殿も馬車へ」

剣士「いえ、折角なので私も馬で……」

三男「良いのか?」

剣士「こういう機会でないと、なかなか遠くまで駆ける機会がないですからね」

白馬騎士「そうか。ならば、そうすると良い」

剣士「はい」

白馬騎士「それでは全軍、本国へ向けて……出発!」
954 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 00:36:31.42 ID:nf/qpdGao
〜西方、西国の城〜

王子「……」

カツカツカツ

神官「陛下、そろそろ参りますぞ」

王子「おーう」

神官「どうしました?……あぁ、本国からの書状ですか」

王子「魔道士さんの王女というのは誤報って書いてあるけど」

神官「そうだったようですね」

王子「本当かなぁ。俺には真実のような気がしてならないけど」

神官「今となっては、どちらでも構わぬ事ではありませんか?」

王子「まーそうだけどさ」

神官「さ、とにかく……一刻も早く本国へ向かいましょう」

王子「へいへい。そう急かすなって」

神官「あ、そうそう。彼女らも共に参りたいと」

王子「……んーいいんじゃない?どうせ本国の人なんだし」
955 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 00:37:11.00 ID:nf/qpdGao
玄武娘「ほえぇ……そうなんですのー」

朱雀嬢「流石は王家の方ですわね」

王女「うふふっ、そんな事ございませんわ〜」

女王「そうですわよ。貴女達と変わりませんわ」

王子「……すっかり和んでるけどな」

神官「そのようで……」

王子「おーい、行くってよー」

玄武娘「あっ、はいですのー!」

朱雀嬢「お世話になるですわっ」

王子「……はぁ、旅行じゃねーんだから」

神官「そういう陛下も随分と楽しそうじゃないですか」

王子「そう?まぁ……久々に会えるからね。みんなと」

神官「そういえばそうですね」

王子「……楽しみだなぁ!」



〜第四十四部、完〜
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/19(火) 00:46:45.36 ID:nf/qpdGao
ありゃ、もう50切ってた…本日もご支援ありがとうでした!
天才の外伝は追々書かせて頂きたいと思います!

>>802
すんごい遅くなりましたが、ありがとうございます!

>>846
エロサイトじゃないです…でも引っかかりました無念…

>>912
有難いお言葉です。こちらこそ感謝感謝!

もう沢山レスしたいけど、ほんとすみません!
ななばつさんもまとめ更新ありがとうございますです!
それではおやすみなさいです!ノシ

〜オマケ〜

占い師「次回予告のお仕事、最近なくて困っちゃうわね」

白虎長「だって、もう何話目とか数えるの面……あやふやだし」

占い師「あれって、一応1ヶ月を30日換算で、1日1話のカウントだったのよ?」

白虎長「知ってるわよ。若干の誤差には目を瞑れって話ね」

占い師「タイトルももうほとんど使い切っちゃったしね」

白虎長「使い回しも限界があるわね」

占い師「あ、雑談してたらオマケ終わっちゃったわ!」

白虎長「いいのよ。本編で出番少ない分、こっちでアピールアピールよ!」
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/19(火) 01:10:09.56 ID:ymCg47bAO
ドゥルジ……ドルジ!
まさかの朝青龍
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/19(火) 01:52:34.14 ID:vUCXVDIAO
いちおつまじ愛してる
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/19(火) 02:46:39.67 ID:2Cfuvhkzo
>>1

大規模戦闘wktk
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/19(火) 03:33:42.74 ID:AMu0zBQDO
玉子の出番久しぶりだな
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 09:35:20.35 ID:iGObY8fIO
王子って戴冠したんだっけ?
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 09:49:51.09 ID:qrDrjQNho
王子は国王すでに死んでて
神官が王子が大きくなるまで変わりに政治してただけだったような
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/19(火) 10:31:32.48 ID:K73xx4Auo
まだ女王が一応現役なんじゃない?
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 10:43:12.15 ID:mwNDF1eSO
>>1

王子戦死しろ
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/04/19(火) 11:48:07.09 ID:MjL9GZ4io
>>964
王子のこと引きずりすぎwwww
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 13:36:56.77 ID:4oCQJEOIO
女王がいるなら陛下じゃないような…
女王も退いて戴冠したのかね
967 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:32:41.11 ID:K+B73FSuo
ドンッ!!

名代「……」

ドンッ!!

白馬騎士「……」

ドンッ!!

神官「……」

ドドンッ!!

エリート「……」

盗賊「……何だか……凄い空気だな」

魔道士「ええ……」

戦士「揃いも揃って、似たような側近だな」

召喚士「何でも、4人同い年だそうですよ」

盗賊「……怖いな」

魔道士「怖いです」

戦士「ああ、怖い」
968 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:33:45.40 ID:K+B73FSuo


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第四十五部〜
969 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:35:44.02 ID:K+B73FSuo
チュンチュンチュン

魔道士「おはようございます〜」

召喚士「おはようございます」

魔道士「あれ、盗賊さんと戦士さんは?」

召喚士「朝稽古がてら、散歩に行きましたよ」

魔道士「そうですかぁ。ふふっ」

召喚士「あの、魔道士さん」

魔道士「はい?」

召喚士「俺達も……行きましょうか」

魔道士「……はいっ、喜んで!私も言おうかと思いました。えへへ!」

召喚士「そうですか、良かった」

魔道士「それじゃ、すぐに準備してきますねっ」

召喚士「はい。お待ちしてます」

魔道士「ふふっ」

召喚士「はははっ」
970 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:37:28.79 ID:K+B73FSuo


テクテクテク…

召喚士「……あれ?」

タッタッタ

戦士「おっ、ちょうど良かった!」

魔道士「どうしたんですか?」

戦士「いいから来てくれ!」

召喚士「……?」

〜王宮、正門前〜

テクテクテクテク

召喚士「!?」

記者「それは、今日なのですか!?」

エリート「ですから、それは各国の首脳が揃い次第という事になりますので」

記者「目的は、いよいよ全世界が一つになるという事ですか!?」

エリート「何度も申し上げますが、追ってご連絡致しますので」
971 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:39:07.46 ID:K+B73FSuo
魔道士「何の騒ぎですか?」

戦士「何でも、各国の王が本国に来るらしいぞ」

召喚士「っ!!」

盗賊「……いよいよだな」

召喚士「そうかぁ、ついにですね」

魔道士「なんだか、こっちが緊張しちゃいますね」

タッタッタ

記者「朱雀先生っ!」

召喚士「記者さん、おはようございます」

記者「存じてますか!?大変な事になってますよ!!」

召喚士「み、みたいですね……」

記者「何か知ってるんですか!?知っているなら是非教えて下さい!!」

召喚士「すみません。俺達も何も……」

記者「……本当ですかぁ!?」

召喚士「ほっ、本当ですよ……っ」
972 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:40:26.53 ID:K+B73FSuo
〜本国、港〜

国軍兵「……よーし、いいぞ〜!」

ガシャーン…ザッザッザ

王子「到着〜」

神官「お疲れ様でした」

王子「神官は本国って初めてじゃない?」

神官「そうですね。誰かさんは勝手に来た事あるようですが」

王子「……」

ザッザッザ

青年兵「ご苦労様ですっ」

神官「おぉ、確か……青年兵殿」

青年兵「ご無沙汰しております。ようこそ、本国へ」

王子「こちらは?」

神官「本国の軍人で青年兵殿。召喚士殿のご友人でもありますよ」

青年兵「始めましてっ!青年兵と申します。以後、お見知りおきを!」
973 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:41:43.72 ID:K+B73FSuo
王子「西国王子です。宜しく」

ニコッ

青年兵「此度は、わざわざのご訪問、まことに感謝致します」

王子「いや、こちらこそお声をかけて頂き、大変有難く思うぞ」

青年兵「勿体無きお言葉。では神官殿、入国手続きをお願い致します」

神官「ええ。それでは王子、大人しくしていて下さいね」

王子「ははっ、神官こそ粗相なきよう……しっかりな」

神官「……」

ザッザッザ

青年兵「いやぁ、お若いのにご立派な方ですね。流石です」

神官「……全く、困ったものですよ」

青年兵「……?」

神官「いえ。化けの皮が剥がれない様、心がけます……」

青年兵「は、はぁ」

神官「……胃が痛い」
974 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:42:15.36 ID:K+B73FSuo
ボケーッ

王子「……おっせーなぁ。何やってんだ神官のやつ」

西国兵「ちょっと!寝っ転がるなら見えない所にして下さいよ!」

王子「……おいおい、俺は不良かっての」

西国兵「不良でしょうがっ!」

王子「……」

スクッ…ザッザッザ

王子「へいへい。全く、使えない部下を持つと大変だ」

西国兵「ワガママ王子の面倒を見る、こっちの身にもなって下さい」

王子「うわー。ハッキリ言うなぁお前……」

西国兵「だからこうしてお傍に仕えているんでしょう?」

王子「はははっ、そりゃそーだ。おべんちゃらばかりの奴はいけ好か……ん?」

西国兵「見慣れない船ですね?」

王子「……ほほー。ありゃあ東方の船じゃないか?」

西国兵「あっ、そうかもしれませんね!」
975 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:45:10.23 ID:K+B73FSuo
ザザーン…ドドオオォォ

国軍兵「……よぉし、オッケー!」

帝「東方の都とはまた違った、風情があるな」

名代「いやはや、恐るべき建築技術ですね……」

帝「なかなか見応えがあるな。これは楽しみだ」

名代「ええ」

テクテクテク

青年兵「ご苦労様です。東方の陛下に、名代様でございますね?」

帝「如何にも。貴殿は?」

青年兵「本国国軍大佐、青年兵と申します。始めまして」

名代「これはこれは。ご丁寧に」

青年兵「お疲れのところ申し訳御座いませんが、入国のお手続きを」

帝「うむ。参ろうか」

名代「はい」

青年兵「ありがとうございます。では、こちらへ」
976 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:46:10.07 ID:K+B73FSuo
テクテクテクテク

名代「おや、あちらの船は?」

青年兵「西国の船です。ちょうどあちらも到着なされたところでして」

帝「ほう、西国の王か」

名代「あちらもまだ若いと伺ってます」

青年兵「はい。確か……上様と同年であられたかと」

帝「そうか。それは楽しみだ」

テクテクテクテク

王子「今のが東方の王様かな?」

西国兵「みたいですね」

王子「なかなか切れ者そうな奴だな」

西国兵「ええ。どこぞの方とは違って、聡明でいらっしゃる」

王子「お前、本当に一言多いな。いい加減ムカついてきたぞ」

西国兵「すみません」

王子「それにしてもあの子かわいいな。王女様かな?」
977 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:47:44.74 ID:K+B73FSuo
〜国軍本部〜

南方参謀「だからーこっちでしょ!?」

西方参謀「違げぇっての。定石ならこっちからだ」

南方参謀「呆れるわね……。酒で耄碌してんじゃないの?このアル中!」

西方参謀「はぁ!?てめぇこそ厚化粧で見えてねーんじゃねぇのか?このオカマ!」

カツカツカツ

天才「おーおーやってるねぇ。熱気があって宜しい」

南方司令「召喚隊の編制が固まった。こいつも今日から加えて立案してくれや」

白虎長「宜しくお願いします」

騎士団長「こちらこそ頼むぞ」

南方参謀「南には癖のある召喚士が沢山いるから、宜しくね」

白虎長「……?」

天才「それともう一つ朗報。今晩には各国首脳会議が開かれそうだぞ」

騎士団長「本当ですか!?」

天才「ああ。作戦開始は思ったより早そうだ。準備を怠るなよ!」
978 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:49:44.93 ID:K+B73FSuo
南方司令「ははっ!」

天才「……しっかし」

チラッ

左翼長「……ああ、それでいい」

参謀「では、この手筈で」

東方司令「こっちはどうする?」

将軍「ここをこう、備えれば良いのでは?」

左翼長「じゃあそれでいこう」

天才「……こうも温度差が違うもんかねぇ。ハーハッハ!」

カツカツカツ

天才「気張ってやってっかぁ?」

左翼長「……見りゃ分かるでしょう」

天才「へいへい、すんませんね。召喚隊の編制が決まった。こいつを交ぜてやってくれ」

青龍士官「宜しく、お願い致します」

左翼長「……おう」
979 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:50:51.41 ID:K+B73FSuo
カツカツカツ

大軍師「司令」

天才「あん?」

大軍師「間もなく、東西の王が王宮へ入るようです」

天才「南東国の一行は?」

大軍師「まだですね。夕方までには本国入りするかと」

天才「そんじゃ、そろそろ奴らを呼び出しといてくれ」

大軍師「……ふっふ。彼らも不思議な縁ですねぇ」

天才「まーお陰で、こういう時にゃ大助かりだ」

大軍師「そういう、運命なのでしょうかね」

天才「運命?ハーッハッハッハ!……宿命だろ?」

大軍師「……では、ひとまず本部まで連れて参ります」

天才「おーう、ヨロシクな!」

カツカツカツカツ…

天才「さーていよいよ、先にも後にもねぇ……歴史的瞬間の立会いだ!」
980 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:55:08.09 ID:K+B73FSuo


テクテクテク

盗賊「……?」

国軍兵「もっと右!そうっ、そこで上!」

戦士「何やってんだありゃ」

召喚士「さぁ……」

博士「電話の設置作業なのら」

魔道士「博士さん」

召喚士「電話の設置というと……あっち側って事は、南方司令部ですか?」

博士「そうなのら」

戦士「灯台使って、出来るのか?」

博士「流石に三日月島と違って距離があるから、海中は通せないのら」

盗賊「……宙か」

博士「そういう事なのら。灯台を経由して南方司令部まで設置するのら」

召喚士「そんな事が出来るんですか!?」

博士「ふふふ、僕らを甘くみないで欲しいのら」
981 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:56:31.64 ID:K+B73FSuo


召喚士「つまり、灯台の上から線を引いて……」

魔道士「海中に立てた塔を経由して、南方司令部まで」

博士「そういう事なのら。大掛かりな作業だけど、何とか間に合いそうなのら」

戦士「すっげーもんだなぁ」

魔道士「確か、北方司令部にも通すんですよね?」

博士「うむ、そっちは陸路だから地中を通すのら」

召喚士「ジュニアさん達がが掘ってた、鉱山経由の地下道ですよね?」

博士「そういう事なのら。そっちも滞りなく進んでいるのら」

戦士「便利な世の中になったもんだ」

盗賊「……全くだな」

博士「こいつはそのうち、世界中に普及するかもしれんのら」

魔道士「そうなんですかっ!?」

博士「今は軍事用途だけど、一般普及したら面白いと思わんか?」

召喚士「……確かに」
982 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:57:35.21 ID:K+B73FSuo
ザッザッザ

大軍師「こちらでしたか」

魔道士「大軍師さんっ」

大軍師「司令がお呼びです。本部までお越し頂けますかな?」

召喚士「司令が……ですか?」

大軍師「はい。歴史的瞬間に立ち会えるかもしれませんよ?」

盗賊「……?」

戦士「そういう事だ?」

大軍師「ふっふ。まぁ、来てのお楽しみという事で……」

召喚士「……分かりました。行きましょう」

大軍師「助かります」

魔道士「一体、何なんでしょうかね?」

戦士「さぁな。でもまぁ、興味はあるな」

大軍師「きっとご満足頂けると思いますよ。ふふふっ」

盗賊「……だとさ」
983 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:58:33.45 ID:K+B73FSuo
〜王宮〜

王子「おぉーっ!」

神官「こちらが本国の王宮ですか」

カツカツカツ

エリート「よくぞお越し下さいました」

神官「これはこれは、エリート殿」

エリート「ご無沙汰致しております。そして王子閣下、ようこそいらっしゃいました」

王子「始めまして、王子です。宜しく」

エリート「本国右大臣、エリートと申します」

神官「国王陛下は……?」

エリート「はい。奥で待っておりますが、まだ南東国の王が未到着でして」

神官「そうでしたか」

エリート「既に向かっており、もう間もなく到着されると思いますので……」

王子「分かりました。しばし待たせて頂くとしましょう」

エリート「ありがとうございます。では、控え室へご案内致します」
984 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 17:59:27.37 ID:K+B73FSuo
カツカツカツ…カチャッ

エリート「それでは、しばし御寛ぎ下さいませ」

王子「ありがとうございます」

パタン

王子「……はー疲れた」

神官「柄にもない事をしているからですよ」

王子「ばーか。こういう時はちゃんとしないと、だろ?」

神官「それはそうですが、根本を変えないとそのうちボロが出ますよ?」

王子「うるさいなぁ、大丈夫だって」

カツカツカツカツ

エリート「おぉ、青年兵」

青年兵「右大臣様、東方の帝様と名代様をお連れ致しました」

エリート「おぉ、これは上様に名代様!」

帝「ご無沙汰しておる。変わりないようで何よりじゃ」

名代「エリート殿も右大臣になられたとか。おめでとう御座りまする」
985 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 18:01:05.14 ID:K+B73FSuo
エリート「いえいえ、形式上のものに過ぎませんよ」

名代「そんな事は御座らん、目出度い事です」

エリート「東方におかれましても、無事の統一、おめでとうございます」

名代「ありがとう御座る。こちらは準備万端です」

帝「ところで、1つ伺いたいのだが」

エリート「何でしょう?」

帝「魔道士は、王女……なのか?」

エリート「……」

名代「最初に、左大臣殿名義の書ではそのような発表でしたが……」

エリート「……誤報ですよ。左大臣らのでっち上げで担がれてしまいました」

帝「……そうか」

名代「いや、あの魔道士殿が姫君とあらば、数々のご無礼を謝らねばと……」

エリート「そうでしたか。しかしご心配には及びませんよ」

帝「そうか、ならば……良いが」

エリート「彼女は一介の……いや、我が国が誇る優秀なワーカーの一人です」
986 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 18:03:21.35 ID:K+B73FSuo
春風に包まれた本国は、日の入りも遅くなり、夕方であるにも関わらず、

晴れた空はまだ明るさを見せていた。

パッカパッカパッカ

剣士「……!?」

記者「来たぞっ、あれじゃないのか!?」

白馬騎士「な、何事です……?」

剣士「どうやら新聞社のようですね。参ったなぁ」

記者「南東国のご一行様ですねっ!?此度はどういったお話を?」

白馬騎士「え、えぇとですね」

剣士「すみません。急ぎますので」

記者「後ろの馬車に国王陛下が乗ってらっしゃるので!?」

剣士「――っ」

ザッ

天才「はいはーい。おら、邪魔だよ。下がれ下がれ」

剣士「……?」
987 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/04/19(火) 18:05:41.12 ID:K+B73FSuo
天才「ご足労頂き、まことに感謝!さぁ、どうぞ」

白馬騎士「す、すみません……」

ザザザッ

国軍兵「さぁ、道を開けろ!」

記者「くそぅ……」

白馬騎士「なかなか、大変ですね」

剣士「まぁ……裏を返せば、興味があり歓迎されているという事ですけれど……」

白馬騎士「うぅむ。それは大変有難いが……」

剣士「なにぶん三男様にもご迷惑ですからね。放っておくが吉かと」

白馬騎士「……で、あるな。そうさせて頂こうか」

剣士「では、このまま王宮へ向かいましょう」

白馬騎士「宜しく頼む」

パッカパッカパッカ

天才「おーし。ここは任せたぞ!俺様も王宮へ行かにゃならん」

国軍兵「はっ!ご苦労様でありますっ!」
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/19(火) 18:14:31.11 ID:K+B73FSuo
それではここまでにて。ご支援ありがとうございました!
次回は多分ですが次スレからにて失礼します!ノシ
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 18:37:05.49 ID:YWuIHr4DO
>>1乙!

帝が可愛すぎて胸が苦しい
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 18:49:32.90 ID:TUluLWSGo
焦らさないではやあああああああああく!!!!
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/19(火) 19:53:30.94 ID:ymCg47bAO
帝にまでちょっかいを出そうとするとは王子め……
鬼丸に斬られてしまえ!
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 20:02:18.54 ID:7p5KA6XDO
まあそれ女騎士がは許さないだろ
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/19(火) 20:11:29.98 ID:uP00X5/AO
>>1000なら王子と帝が結婚
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/19(火) 20:22:40.65 ID:2Q29OT5AO
>>1乙乙

>>993
絶対に許さない

って思ったけど意外とお似合いかもしれんな
王子の素行も直るだろうし
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/19(火) 20:36:09.62 ID:jyb48laao
1乙
って次スレの季節通り過ぎてやばいなこれ…
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/19(火) 20:39:42.24 ID:jeu70pmAO
>>1おつ

王子も数年でだいぶ男らしくなったな
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 21:25:13.47 ID:29vh+Q7wo
次スレあったっけ?と探したがなかった。
埋まらなければいいが。
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/19(火) 21:41:29.15 ID:nf/qpdGao
はあぁ…危ない!次スレです!
次回も宜しくお願いします!飯食ってきます!ノシ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/

焦って誤爆した……はわわわ…っ
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/19(火) 21:50:20.61 ID:RcQ6/0u8o
>>999なら100部まで続く
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/19(火) 22:07:56.57 ID:H8Py1e/2o
1000なら一ヶ月休載
1001 :1001 :Over 1000 Thread
       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       | アパム!アパム!次スレ建てて来い!アパーーム!
       \_____  ________________
                ∨
                      / ̄ ̄ \
      /\     _. /  ̄ ̄\  |_____.|     / ̄\
     /| ̄ ̄|\/_ ヽ |____ |∩(・∀・;||┘  | ̄ ̄| ̄ ̄|
   / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄|  (´д`; ||┘ _ユ_II___ | ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|
   / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄|( ” つつ[三≡_[----─゚   ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|
  / ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄| ⌒\⌒\  ||  / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|   SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
 / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄] \_)_)..||| | ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|     http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/


1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
厨二能力授けるからそれ使って闘え @ 2011/04/19(火) 22:04:34.88 ID:0NohZgc00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1303218274/

俺と元カノの話 @ 2011/04/19(火) 21:45:19.70 ID:TYvC/TNco
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1303217119/

召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その28 @ 2011/04/19(火) 21:38:48.31 ID:nf/qpdGao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/

召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その28 @ 2011/04/19(火) 21:37:31.41 ID:u9RaPvS+o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1303216651/

自転車事故には気を付けようAKBSKEスレ @ 2011/04/19(火) 21:22:27.75 ID:bkawBGdDO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1303215747/

【春の陽気に】ここだけMS戦 MS以外もおk 第325回戦【舞う花粉と黄砂】 @ 2011/04/19(火) 21:08:48.32 ID:CLuKGxBAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1303214928/

ギター買ったぜ @ 2011/04/19(火) 20:23:36.54 ID:qU+lYgXh0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1303212216/

上条「ん…? サイレンの音?」 @ 2011/04/19(火) 20:17:10.12 ID:IlG4AtQX0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303211829/


Powered By VIPService http://vip2ch.com/

501.65 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)