神崎蘭子から逃げていた
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1:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:41:30.40 ID:sxZEr0ye0
・シンデレラガールズSS
・Pの一人称地の文メイン
よろしくお願いします

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2:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:42:00.60 ID:sxZEr0ye0
なんだこいつ。

俺が神崎蘭子に抱いた第一印象だった。


3:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:42:32.12 ID:sxZEr0ye0
遂に担当アイドルを受け持つことを上司から言い渡されたのは少し前の話だ。

「プロデューサー見習いを卒業、ですか?」

「そうだ。もういい頃合いだろうと判断した」
以下略 AAS



4:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:43:08.33 ID:sxZEr0ye0
これでいいのかという燻るような物足りなさと、まあいいだろうという妥協と怠惰の精神でバランスを取っていた。

変な目立ち方をすることもなく、のらりくらりとほどほどの人生を送ってきた俺にはきっと丁度いいんだ。

この就職難の時代に、仕事があるだけマシだと思うようにしていた。 
以下略 AAS



5:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:43:40.48 ID:sxZEr0ye0
アイドルの名前は神崎蘭子。

まだ14歳の中学二年生だ。

蘭子を連れてきたのはスカウト専門の先輩。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:44:17.77 ID:sxZEr0ye0
これまでもキノコアイドルや暴走族アイドルなど、毎度毎度「どこでこんな子捕まえてくるんだ」という個性派ばかりを「面白そうだから」という理由で連れてきていた。

そして神崎蘭子も例に漏れず、変な子だった。

出会ったときのインパクトは恐らく、生涯に渡って俺の脳内フォルダから消去されることはないだろう。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:44:46.97 ID:sxZEr0ye0
その上というか、それなのにというべきか。
 
「ククク……我が名は神崎蘭子。火の国より参りし堕天使よ。運命の扉は、今開かれたわ!」
  
「……えっ?」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:45:24.57 ID:sxZEr0ye0
「煩わしい太陽ね」
 
「お、おう。今日は陽射しが強いな」
 
「魔翌力が満ち満ちている。そなたの願いを叶えよう! いざ約束の地へ!」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:46:06.37 ID:sxZEr0ye0
しかしながら本人は至って真面目で、レッスンはきちんと受けるし、元よりずば抜けたビジュアルと14歳とは思えない艶のある歌声は間違いなく素質がある。
 
見た目通りインドア派とのことでダンスは苦戦しているようだが、体力がついてくればなんとかなるだろう。
 
あるいは、あまりダンスを要求されない方向に路線を進めるのも一つだろう。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:46:43.10 ID:sxZEr0ye0
「神崎、アイドル活動をしていくに当たって、ステージのイメージとかはあるか?」
 
「当然である! 我が覇道は壮大な狂想曲と共に!」

お気に入りのおもちゃで遊ぶ子供のように目をキラキラと輝かせている。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:47:27.86 ID:sxZEr0ye0
翼? 天使なの? 魔王なの?
 
おそらく、いわゆるダークファンタジー系なんだろーなとは思う。
 
俺も中学生の時はそういうの好きだったよ。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:48:11.17 ID:sxZEr0ye0
「あー、すまん。無神経だったか。とはいえ、具体的にイメージを共有できると今後の方針を決めやすいんだ。可能であれば神崎の考えるアイドル像をモチーフに、衣装やPVをデザインすることもできるかもしれない」
 
多分その方が俺は楽ができる。

「衣装の、デザイン……!」
以下略 AAS



13:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:49:02.83 ID:sxZEr0ye0
結論から言えば、仕事は楽にはならなかった。

「かつて無垢な翼は黒く染まり、封じられし十二の翼はやがて真の魔王へと覚醒する!」

スケッチブックを指さしながら熱弁する蘭子。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:50:24.48 ID:sxZEr0ye0
「何か野望があるのか?」

「我が拘束具や、闇を纏いし杖とユニゾンを奏でん!」

んー、何だろう。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:50:56.06 ID:sxZEr0ye0
上司にプレゼンする資料は作ってはいるものの、蘭子の希望を全部そのまま再現っていうのはおそらく現実的ではない。
 
取り敢えず企画書を作って出してみよう。
 
弊プロダクションがブラックであることはわかりきっていたことであるが、こういった細かい資料作り含め大体の雑務もプロデューサーに丸投げである。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:51:36.24 ID:sxZEr0ye0
確か今日のレッスンは終わっている時間のはずだ。
 
レッスン室では、蘭子は一人居残りで自主練習しているようだった。
 
鏡に向かって集中しているようなので、少しだけ扉を開けて、こっそり覗くことにした。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:52:19.91 ID:sxZEr0ye0
こっそり覗いている背徳感もあってか、心臓がドキドキと早鐘を打つ。

手に汗がじんわりと滲み、思わず唾を飲み込んだ。

単なる『アイドル』ではなく『担当アイドル』が、必死にもがいて輝こうとする瞬間を、俺は今、見ている。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:52:57.01 ID:sxZEr0ye0
「聞け! 我が唄を! 刮目せよ! 我が演舞を! その咆哮に酔いしれるがいいわ!」

息を呑んだ。
 
蘭子の背中に、白と黒の翼が見えた気がしたからだ。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:54:40.86 ID:sxZEr0ye0
「ぴゃっ……!?」

小動物を思わせる声が耳に届いた。

お前そんな声も出せるのか。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:55:25.20 ID:sxZEr0ye0
それでも、どうしても。

「なあ、何で神崎はアイドルをやろうと思ったんだ?」

蘭子は急な質問に対し少し目を泳がせてから、再度こちらに向き合う。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 11:56:12.09 ID:sxZEr0ye0
やっぱり言ってることはよくわからない。

だけど見ればわかる。
 
同じ空間に居れば感じる。
以下略 AAS



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