1: ◆pbCrJT38xt7R[sage]
2011/04/09(土) 19:59:07.41 ID:y4wKISZKo
鹿目まどかは、荒廃した暗い街の中で、“闇”と戦う一人の長い黒髪の少女の姿を見た。
闇の中心には、巨大な歯車のようなものが見える。まどかにとって、これまで見た
ことのない物体。でもそれが危険なものであることは本能で理解できた。
巨大なビルが宙を舞う。
闇と戦う少女は、不思議な力を持っているらしく、飛んでくるビルやコンクリートなどの塊をかわしながら、
巨大な闇に向かって攻撃をしようとする。
しかし、少女の力はその闇に対してはあまりにも小さかった。
十分な攻撃を加えるどころか、相手側からの攻撃をかわすだけで精いっぱいといった印象だ。
「酷い……」その光景を見てまどかは言葉をもらした。
「しかたないよ。彼女一人には荷が重すぎた」
どこからともなく声がする、と思ったら彼女の隣には、小型犬くらいの大きさで、白い身体、
そして赤い瞳をもつ不思議な生物だ。
しかし、まどかはその時、不思議とその生物のことを知っているような気がして、“それ”が
喋ることをなんら不思議とは感じなかった。
白い生物は、まどかの動揺を他所に淡々と喋る。
「でも、彼女は覚悟の上だよ」
次の瞬間、何かの波動のようなもので吹き飛ばされる黒髪の少女。
「そんな、あんまりだよ! こんなのってないよ」
絶望的な戦いを強いられている少女の姿を見て、まどかもまた悲しくなった。
ふと、戦っている少女と目が合った気がした。遠くにいるはずなのに、なぜか彼女の顔や
体型が目の前にあるように感じることができる。自分と同じくらいの歳の少女だ。
「あきらめたらそれまでだ」白い生物は相変わらず淡々とした調子で喋る。
「でも、キミなら運命を変えられる。その力がキミにはあるんだ」
「ほ、本当なの……? 本当に、私にそんな力があるの?」
「もちろんさ」
「ど、どうすればいいの?」
「そのために、僕と契約して、魔法少女になってよ!」
「魔法……、少女?」
――その必要はない
2:♯田布施マリナーズ[saga]
2011/04/09(土) 20:01:45.03 ID:y4wKISZKo
「え?」
不意に目の前の生物が爆発した。
正確には、何かにぶつかって砕け散ったと言ったほうが正しいかもしれない。
3:トリを失敗したorz ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:05:28.18 ID:y4wKISZKo
その日、担任教師の早乙女 和子は、朝のショートホームルームの時間に転校生を紹介した。
転校生が教室に入ってくると、生徒たちはざわく。
まどかには、一瞬で空気が変わったように思えた。
4: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:06:48.25 ID:y4wKISZKo
「あの、暁美さん」
「……」
まどかが呼びかけると彼女は立ち止まる。
5: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:08:29.37 ID:y4wKISZKo
《助けて、まどか――》
今度は確実に聞えた。しかも自分の名前を呼んでいる。
まどかは周囲を見回した。
6: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:09:56.37 ID:y4wKISZKo
ただ、全体的に地味な色合いの服装にも関わらず、彼女の頭につけられたカチューシャは、
優しい桃色をしている。
「今すぐここから離れなさい」
7: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:11:04.30 ID:y4wKISZKo
その後、まどかたちは同じ中学校に通う巴マミと出会う。
巴マミは、まどかたちが助けた謎の生物、キュウべえと契約した魔法少女だったのだ。
マミは偶然遭遇した魔女を、魔法少女の力で撃退し、その効果を見せつける。
そしてマミの魔力で回復したキュウべえは、まどかに対して言うのだ。
8: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:12:11.95 ID:y4wKISZKo
「もう“私たち”の前には現れないでって、言ったわよね」優しい口調ではあるけれども、
言葉の節々に敵意の感情がにじみ出ている声でマミは言った。
「今回の敵は強力。あなたには力不足」薄暗い結界の中で、彼女のつけた桃色の
カチューシャがやけにキレイに見える。
9: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:13:15.60 ID:y4wKISZKo
キュウべえの声とともに、魔女が姿を現す。しかし今回の魔女は、これまで見てきたような
おどろおどろしいものではなく、可愛らしい縫いぐるみのような姿だった。
「さあ、ちゃっちゃと片付けましょう」そう言って、マミは持っていたマスケット銃をバットのように振り回して、
魔女に叩きつける。魔女はその衝撃で吹き飛び、壁にぶつかった。
10: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:14:26.76 ID:y4wKISZKo
ここで“また”、マミさんは死ぬの?
レーザー――
11: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:16:38.30 ID:y4wKISZKo
「あの、イチローさん」
「なんだい」
「私たち、どこかで会ったことありました?」
12: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:19:30.78 ID:y4wKISZKo
ふと、遠くから声が聞こえる。
「イチロー!」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/04/09(土) 20:30:25.37 ID:uVwNn6gh0
つづけ!
14: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:33:21.69 ID:y4wKISZKo
と、思ったけど主人公が全然出てきていなかったので、ついでに第二話も投下したいと思います。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/04/09(土) 20:33:25.75 ID:/qI1JHYSO
これは期待…!
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/04/09(土) 20:33:46.66 ID:V0mZO7KeP
ワロス
17: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:38:35.31 ID:y4wKISZKo
第二話
あこがれを持ちすぎて、自分の可能性をつぶしてしまう人はたくさんいます。
自分の持っている能力を活かすことができれば、可能性は広がると思います。
18: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:41:18.90 ID:y4wKISZKo
それを受け取ったイチローは、狙いを定め、それを投げた。
バッティングのフォームに勝るとも劣らない無駄のない、それでいて美しいフォームが、
一直線で部屋の奥へと進んでいく。
19: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:43:35.81 ID:y4wKISZKo
「夢じゃないわ」
まどかのわずかばかりの希望を打ち砕くように冷たく響く暁美ほむらの声。
「夢じゃ、ない?」
20: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:45:48.95 ID:y4wKISZKo
*
翌日の病院。
21: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:48:18.25 ID:y4wKISZKo
「はい? わたし?」
「ああ、上条くんだね。ここの病院に入院しているもんね」
「いやいや、何を言っているんですかマミさん」
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