10:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:33:38.10 ID:nYXsbXrS0
  タンポポの綿毛のように繊細な人間をもてあそんだ、NERVの連中に怒り心頭 
 だったのも理由の一つだ。 
  
  最初のうちは葛城二佐たちが心配して様子を見に来てくれたが、一週間ほどで 
 それも無くなった。 
11:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:34:31.56 ID:nYXsbXrS0
  僕はビタミン剤を唾液と共に流し込み、カステラの敷き紙に残った食べカスをちびちびと食べて 
 空腹を紛らわした。 
  トイレもないから、空のペットボトルに用を足していたけれど、それももう限界だろう。 
  
  まずいなぁ、目がぼやけてきた。 
12:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:35:06.18 ID:nYXsbXrS0
  <戦術作戦部>に対抗する組織として、<特殊監査部>がある。 
  
  <特殊監査部>の役割は機密情報保護のほかにもう一つ、 
  これはと目をつけた人物の個人情報を網羅的に収集し、それを様々な用途に活用することだった。 
  もともと個人情報の収集は、パイロットの強制召集を可能にするための一手段だった。 
13:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:38:30.41 ID:nYXsbXrS0
  冬月副司令から言い渡された任務はこうだ。 
  
  最近めっきり出勤してこない不良職員がいるらしい。自宅へ行って、NERVへ連れて来いというんだ。 
  
  組織にとってなんの益も生み出さないような男をクビにせず、僕ばかりこき使うなんて 
14:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:39:01.45 ID:nYXsbXrS0
  振り返ってドアを閉めながら、 
 「ごめんなさいね」 
 と言い、ニヤリと笑った。 
  
  ○ 
15:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:40:07.72 ID:nYXsbXrS0
  それ以後、僕はリュックを背負って旅をした。 
  部屋を移るごとに千円札を投げ込んでいくのさ。 
  
  ○ 
  
16:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:40:33.74 ID:nYXsbXrS0
 「屁とも思わないくせに」 
  
 「またそんなこと言うんだから。今だって、アンタの評判は悪いけれども、私の天才的な立ち回りを見せて、 
 かばってあげているんだからね。少しは感謝してほしいってもんよ」 
  
17:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:41:09.93 ID:nYXsbXrS0
  僕が窓を開けたのに、彼女は反応しなかった。不審に思いながら部屋に入り、彼女に声をかけてみた。 
  
 「あの、失礼します」 
  
  いくら声をかけても彼女は反応しない。僕はおずおずと彼女の顔を覗きこんだ。 
18:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:41:53.98 ID:nYXsbXrS0
  あまりの理不尽さに僕は憤った。冬月副司令、断固許すまじ。 
  
  僕はアスカの手配してくれた隠れ家に速やかに逃げ込み、冬月副司令に見つからないように息をひそめ、 
 生まれたての小鹿のようにぷるぷると怒りに震えていた。 
  
19:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:42:21.67 ID:nYXsbXrS0
 「冗談じゃないですよ」 
  
 「でも、君の事は身を挺してかばうと言っていたよ」 
  
  ○ 
20:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:42:50.89 ID:nYXsbXrS0
 ソーセージを食べる気にもならない。 
  どうせ同じ部屋に出るだけだ。 
  どうせ同じさ。 
  僕はただ胸の内でそう呟いていた。 
  
41Res/78.60 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。