8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:30:19.35 ID:7L728IKno
 ぼうっとした頭で天井を見上げてから、ここが自分の部屋じゃないんだってことを実感する。 
 纏わりつくような暑さに眉を顰めながら、ああもう夏なんだっけとかどうでもいいようなことを考えた。 
 まあ、それは季節のせいだけじゃないんだけど。 
  
 「……ちょっとさわちゃん、暑いよぉ」 
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:31:40.26 ID:7L728IKno
 「ねえさわちゃん、お腹空いた」 
  
 「まったくもう、仕方ないわね。でもその前にシャワー浴びてきなさい」 
  
 確かに私の身体は何だかべたついている。 
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:32:50.53 ID:7L728IKno
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 つい最近買った化粧ポーチ。 
 チャックを開けると、中にはマスカラ、アイライナー、アイシャドー……だけど、どれも封を切っていないものばかり。 
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2011/08/28(日) 01:34:05.83 ID:7L728IKno
 改めてポーチの中身を漁っていると、小さな不安に襲われた。 
 何しろ私は今までお化粧なんてしたことがない。 
 平日は学校に行くからその必要もなくて、休日はごろごろしてて、それに――お洒落した姿を見せたい相手が居なかったから。 
  
 初めて手に取る化粧品の数々に戸惑っていると、すっと伸びてくる手。 
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:35:35.43 ID:7L728IKno
 「……唯ちゃん?」 
  
 「な、なに」 
  
 「すっごく顔赤いわよ。大丈夫?」 
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:37:43.32 ID:7L728IKno
  
 「おぉ……」 
  
 鏡に映る自分は、何だか自分じゃないような気がして瞬きを数回繰り返した。 
 鏡とにらめっこしていると、さわちゃんが隣でくすくすと笑っていた。 
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:40:12.03 ID:7L728IKno
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 助手席の窓ごしに見慣れた街並みを眺めながら、手持ち無沙汰な右手をそっと隣の手のひらに重ねてみる。 
  
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:42:47.12 ID:7L728IKno
  
 「さわちゃん?」 
  
 「ごめんね……、普通のことできなくて」 
  
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:45:10.08 ID:7L728IKno
  
 その言葉で急に不安になって周りを見渡してみる。 
 ファミレスというだけあって、やっぱり家族連れが多い。 
 それに、夏休みだからか学生の姿もちらほら見受けられる。 
 いくら隣町だからって、ここに知り合いがいないという保証はない。 
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:47:25.44 ID:7L728IKno
  
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 帰り道、さわちゃんは私を直接家まで送ると言ったけど私はマンションに戻りたいと言った。 
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:50:44.36 ID:7L728IKno
  
 それから私は溜まっていたものをぶつけるようにしてさわちゃんを抱いた。 
 少し高く掠れたさわちゃんの声を聞きながら、自分の興奮も高まっていく。 
 深く深く唇を重ねて、一緒にいることを実感した。 
 恋人なんだってことをもっと感じたくて、さわちゃんをきつく抱き締める。 
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