13: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:08:55.76 ID:+wTNpPwyo
――彼が帰宅し、食事の時間を経て、互いにお風呂を済ませて寝室へ向かうと、そこからは夫婦の時間。
冷め切った夫婦を演じているとはいえ、夫婦としてのこの行為だけは私は拒めない。実に様々な要因が重なって拒めないのだ。
14: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:09:38.16 ID:+wTNpPwyo
――少し久しぶりに会社に顔を出す。そんな私を出迎えてくれたのは陰口だった。
給料こそ僅かなものの、次期社長と結婚し、決められた仕事も定時も存在しない私はやはり恵まれた立場に映るようで。まぁ仕方のないことだと割り切ってはいるけれど。
15: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:10:51.89 ID:+wTNpPwyo
――そこから24時間以上は、また変わらぬ日常。
彼と過ごし、眠り、会社に行き、彼と過ごし。
二度の夜を迎え、二度の性行為と一度の自傷行為を越え、その後迷惑にも真夜中に、私は唯ちゃんに電話をかけた。
16: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:11:47.39 ID:+wTNpPwyo
紬「――もう! こんな夜中に出歩くなんて…危ないじゃない!」
唯「だってー、ムギちゃんが喉が渇いたって言うから……」
17: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:12:55.71 ID:+wTNpPwyo
――高校時代、大学時代、そしてちょっとだけ最近の話にも触れ、少し気まずくなり、逆に中学時代の話に触れようとしたりもして。
そんなこんなで本当に止まることのない夜を過ごしていたら、夜明けなどあっという間で。
18: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:13:32.60 ID:+wTNpPwyo
――何度か唯ちゃんの視線を感じながら、いつもよりちょっとだけ彼に好意的に接し、背中を見送る。
ちゃんと会社を休む旨も伝えた。もう後ろ髪引かれるものなんて何もない。ここから先は、唯ちゃんとの時間。そう思うだけで胸がときめく。
19: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:15:32.32 ID:+wTNpPwyo
――すっかり冷えてしまったお味噌汁に火をかけ、少しずつ温める。
完全に温まるよりも先に、匂いが充満し始める。それに反応したようで唯ちゃんが目を覚ました。
20: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:16:28.89 ID:+wTNpPwyo
唯「……ムギちゃん、顔を上げて?」
紬「や、やだ……!」
21: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:17:47.47 ID:+wTNpPwyo
――過去のどんな性交よりも、丁寧にやったつもりだった。
つもり、というのはよくわからないから。唯ちゃんが可愛すぎて記憶がほとんどないのもあるし、唯ちゃん自身も拙いながらも私に触れてくれて、二人であっけなく達してしまったからというのもある。
22: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:18:25.57 ID:+wTNpPwyo
紬「……絶対、幸せにするからね?」
唯「…どうしたの? 急に」
23: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:19:57.51 ID:+wTNpPwyo
紬「――あぁ…お味噌汁ぐちゃぐちゃ…」
火にかけたまますっかり忘れられていたお味噌汁。中身なんてもうほとんどない。とりあえず火を止める。
40Res/67.91 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。