過去ログ - ほむら「この話に最初からハッピーエンドなんて、ない」
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2012/02/29(水) 20:51:47.49 ID:fRW4icTG0
夕闇に染まる街の雑踏を、頼りない歩調で進む影が一つ。
自身の気持ちを理解も出来ないまま、何かから逃げる様に、人の群れに身を隠しながら彷徨い歩く。
ほむらは、運命の迷路を廻り続けている。

暁美ほむらという少女の本質は、とても脆い。
以下略



34:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/29(水) 20:52:29.96 ID:fRW4icTG0
「人違いと言った筈よ」

「いいえ、それは嘘です。……若しくは、誤りです」

織莉子は、どうやら先程の失態を責めているのではなさそうだったが、ほむらの言質を逃してはくれなかった。
以下略



35:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/29(水) 20:53:10.05 ID:fRW4icTG0
「……」

ほむらは、無言で織莉子を睨み返す。お前と話すことなど何も無い、と言わんばかりに。
そうして、半身を完全に翻し、今度こそ立ち去ろうとした。
即座に制止の声が入るかと内心身構えるほむらだったが、意外にも背後から反応は無かった。
以下略



36:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/29(水) 20:53:54.53 ID:fRW4icTG0
過去十数回に亘る繰り返しの中、一度だけ現れたイレギュラー。それが織莉子だ。
なればこそ、低確率で発生する単なる偶然だったのだと、ほむらも諦めがついた。

而して織莉子は、再びほむらの前に姿を現した。
ほむらにとっては、織莉子の存在そのものが不吉の象徴だ。
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2012/02/29(水) 20:54:33.34 ID:fRW4icTG0




『――嘘吐き』
以下略



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2012/02/29(水) 21:00:37.50 ID:fRW4icTG0
『――嘘吐き』

裏切られた。
お父様に裏切られた。
信じていたものに、足許の土壌を掘り返され、掬われて、根こそぎ奪われる。
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39:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/29(水) 21:01:13.89 ID:fRW4icTG0
下校し、帰宅する道すがらでさえ、好奇の目という物は織莉子を嘗め回す様に辱め、同時に与り知らぬ罪科を責め立てた。
道行く全ての人が敵であるという思い込みが、織莉子の胸を支配する。
それは瞬く間に全身に拡がり、強大な孤独感となり織莉子に襲い掛かった。

早く、家に帰りたい。誰にも見張られない所へ行きたい。誰の声も聞こえない所へ入り込みたい。
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40:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/29(水) 21:01:50.52 ID:fRW4icTG0
自分自身という存在が、この世界から跡形も残さず消え行く想像に、嘗て無い規模の恐怖が織莉子を襲う。
いやだいやだいやだいやだいやだいやいやいやいやいやいやいやいやいや――――!
頭を抱え髪を振り乱し、爛々と血走った目を限界まで見開き、
ガタガタと止まらぬ震えを、溢れ出す恐れごと抑え込む様に、死に物狂いで我が身を掻き抱く。

以下略



41:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/29(水) 21:02:26.23 ID:fRW4icTG0
街を彷徨い歩く、儚い影法師が一つ。
人目を気にして夜の街を歩む織莉子の姿は、安物の香水や厚化粧、汗に酒精を混ぜ込んだ、
咽返る臭いを放つ酔客達には、誰がどう見ても狼の群れに迷い込んだ、か弱い子羊にしか見えなかった。
尤も、容姿は多少大人びているとはいえ、未成年のそれであるからして、
物珍しさから遠巻きに眺める者はあっても、好奇心故に声を掛けよう、などと無体な行いに出る者は居なかった様だ。
以下略



42:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/29(水) 21:03:05.61 ID:fRW4icTG0
織莉子にとって、長い長い夜が明け、そして陽は高く昇る。
人の群れに紛れ、或いは孤立する様に立ち、当て所も無く彷徨い続け、そして。

何も得られなかった。何も知ることなどなかった。
人の多い場所も、少ない場所も、人など到底居そうにない場所も、
以下略



43:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/29(水) 21:03:58.77 ID:fRW4icTG0


「美国、織莉子……ッ!」

声が、……まさに今生の別れを告げようとしていた織莉子の命を、驚愕に満ち満ちた声が。
以下略



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