過去ログ - 少女「それは儚く消える雪のように」
↓ 1- 覧 板 20
6:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:06:24.18 ID:WO2eriwB0
*
いつの頃からだったか、誰がそう呼び始めたのかは分からない。
それは、『死星獣』と呼ばれていた。
7:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:08:15.34 ID:WO2eriwB0
そしてそれら異形のモノは、全て全く別の外見特徴を有していた。
たった一つだけ合致すること。
それは人間を殺すということ。
8:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:09:31.34 ID:WO2eriwB0
どちらにせよ、それは人間を襲ってきた。
明確な理由が分からないまま、
たったの数ヶ月で人類の総人口は約五十分の一まで低下していた。
9:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:10:23.03 ID:WO2eriwB0
*
絆(キズナ)は、大きく息を吸ってビルの下を見つめた。
何処までも広がるビル、ビル、ビル。
10:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:12:50.51 ID:WO2eriwB0
──ここは、戦場だ。
それも絶望的なまでの。
人間には恐怖と、圧倒的な駆逐感が与えられる場所。
11:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:13:42.51 ID:WO2eriwB0
『了解した。幸運を祈る』
押し殺した声の応答と共に、一方的に無線が切られる。
そして市街地の上空を飛び回っていた細身の戦闘機が六機、
12:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:14:37.95 ID:WO2eriwB0
(新兵が無茶を……)
心の奥で舌打ちをして、強く歯を噛む。
離脱して欲しいと言ったのは相手を気遣ってのことではない。
13:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:15:42.23 ID:WO2eriwB0
そう思った時、霧のように砂煙が晴れた。
そして瓦礫と化したビル群の合間を滑るようにして異形の物体がゆっくりとその体躯を表す。
死星獣だった。
14:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:16:44.11 ID:WO2eriwB0
攻撃による損傷はカケラも見られない。
それにも増して異様なのは、その巨大なアメーバが七色の、
虹の色をしていることだった。
15:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:17:35.91 ID:WO2eriwB0
「離脱してください!」
殆ど叫ぶように、絆は無線に向かって怒鳴っていた。
数秒間の間をおいて、かすかな歯軋りの音と共に
16:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:18:34.69 ID:WO2eriwB0
ただ先ほどの戦闘機のように、静かに、
ゆっくりと灰になって空気に散っていくだけだったのだから。
ナメクジが通った後はそれが分泌する粘液が残される。
1002Res/558.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。