過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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2012/08/06(月) 21:41:55.76 ID:4DOG5YTr0
「優矢君、落ち着いた・・・?」
しばらくして姉さんはそう言って、そっと離れた。
まだ泣き止んだばかりで気持ちが高ぶりが残っていたボクは、
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2012/08/06(月) 21:42:31.77 ID:4DOG5YTr0
翌日、これまでの教室はもう当分使えそうにないため、
3組はB号館の空き教室に移転した。
やっぱり・・・と言うべきか、あちこちで空席が目立っており、
後で確認したら、いたのは12人、つまり半数以上が欠席していた。
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2012/08/06(月) 21:43:52.96 ID:4DOG5YTr0
◆No.4 Yu Eto
夏休みに行われる県の総体に向けて、
プールでは今日も水泳部のみんなが、練習に余念がない。
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2012/08/06(月) 21:44:45.72 ID:4DOG5YTr0
その翌日は、まだ学校に行くことへの恐怖が頭の中から離れず、
ようやく登校できるようになったのは、四日後の17日になってからのことだ。
「望月君。この間は本当にありがとう。
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2012/08/06(月) 21:45:17.94 ID:4DOG5YTr0
わたしが水泳と出会ったのは4歳の時だった。
昔のわたしを知らない人は信じないかもしれないが、
実は幼い頃、喘息を患っていたことがある。
入院するほどの重い症状ではなかったけど、
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2012/08/06(月) 21:45:47.63 ID:4DOG5YTr0
こうしてわたしが水泳部に復帰して十日あまり経ち、
夏休みに入って、わたしたちの練習も一段とハードになった。
久保寺先生の事件の恐怖も少しずつ薄らぎ、邪念に惑わされることもなく、
一心不乱に、泳ぐことに集中する環境が整った。
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2012/08/06(月) 21:46:22.35 ID:4DOG5YTr0
◆No.6 Yumi Ogura
兄貴が死んだのは、7月も終わりに近づいた、ある雨の日のことである。
彩と別れた時にはまだ小雨だった天気も、次第に本降りとなっている。
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2012/08/06(月) 21:47:14.15 ID:4DOG5YTr0
今でもクラスの中で一番背の低いあたしだけど、
生まれた時はお母さんが早産だった未熟児で、
しばらくは保育器に入れられたほど虚弱だったらしい。
そのせいかわからないけど、幼い頃から同年代の子より一回り小さかったあたしは、
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2012/08/06(月) 21:47:44.38 ID:4DOG5YTr0
目が覚めた時には、既にあたりは真っ暗だった。
誰かが持ってきてくれたのだろうか、シーツがかかっていた。
時計を見ると、短針は12時を回っている。
家に着いたのが6時近くで、病院に着いたのが7時前ということは、
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2012/08/06(月) 21:48:23.88 ID:4DOG5YTr0
ふと、彩のことを思い出す。
彩はどうなったのか?まさか死んでなんかないよね?
彩なら無事だ。いや、そうに決まっている!
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2012/08/06(月) 21:48:58.84 ID:4DOG5YTr0
つい昨日の、雨の中の別れを思い出す。
「元気でね」
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