1:みの ◆hetalol7Bc
2012/08/27(月) 02:07:01.37 ID:87tC1tni0
★゜・。。・゜゜・。。・゜ 注意 ゜・。。・゜゜・。。・゜★
このSSは、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」という小説と、
トーマPの「銀河鉄道は夜の街に」というボーカロイド曲の二次創作です。
風景描写には原作の本文をそのまま使っているので、
主人公が男の子と女の子になった銀河鉄道の夜を、もう一度読みかえす感じになります。
原作に登場しなかった部分を解釈して勝手に考えたりしていて
変わった内容になっていますが、暖かい目で見てもらえると嬉しいです。
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2:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:09:22.42 ID:87tC1tni0
一、午後の授業
先生「夜空をすーっと横切るように流れる天の川。
――これは天体観測所で夏に撮られた写真ですね。
3:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:14:46.37 ID:87tC1tni0
先生「これを望遠鏡で覗いてみるとたくさんの星が集まって見えることは
もう皆さんご存知だと思いますが、
なぜこのように帯状の集まりになっているのか分かりますか?」
男「zzz」
4:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:20:25.69 ID:87tC1tni0
男「はい……なんですか?」
先生「天の川が帯状の星の集まりに見えるのはなんでですか?」
男「えーっと、太陽を中心に地球とかが回ってる太陽系っていうのは、
5:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:24:21.23 ID:87tC1tni0
二、放課後
6:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:29:42.40 ID:87tC1tni0
男「それが神の力だ。」キリッ
友「だめだ、最近二人の下ネタについていけない……。」
7:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:32:54.24 ID:87tC1tni0
男はすぐに駆け寄って膝についた土を払ってやる。
怪我はしていないようだった。
女は何度もまばたきして、
なんで転んだのか訳が分からないみたいにきょとんとしていた。
8:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:37:54.36 ID:87tC1tni0
女は男の右肩にあごを乗せて幸せそうに目を閉じた。
女「ねえ……男、友。」
9:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:41:26.46 ID:87tC1tni0
男「友。」
友「ん?」
10:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:44:20.63 ID:87tC1tni0
三、活版所
男は家へは帰らずかけ足で街にある大きな活版処に向かった。
11:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:47:16.84 ID:87tC1tni0
男「あの詩集はどのくらい進んでますか?」
おじさん「お前んとこの文選と植字はもう済んだから、
試し刷りして確認が終わったら印刷に入ってくれ。」
12:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 02:53:42.88 ID:87tC1tni0
『 わたしたちがいつしよにそだつてきたあひだ
みなれたちやわんのこの藍のもやうにも
もうけふおまへはわかれてしまふ
(Ora Orade Shitori egumo) 』
13:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:01:18.93 ID:87tC1tni0
四、ケンタウル祭の夜
14:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:04:44.95 ID:87tC1tni0
男の子は何か声を掛けたようだが、まだ言ってしまわないうちにもう一人が叫んだ。
「ラッコの上着が来るよ!」
15:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:06:53.74 ID:87tC1tni0
そっと目を開けると、ざわめきの中にうそのようにただがらんとした暗い路地だけがあったが、
さっきまで男の子が居た電燈の辺りに、女が背を向けてとぼとぼ歩いているのが見えた。
男は痛む頭から手を離して女を追いかけた。
16:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:08:13.51 ID:87tC1tni0
気がつくと霧が出ていて、それが街の明かりに照らされている。
そこは暖かくて、とても静かだった。
後ろを振り向くと、さっきの街燈が、ダイヤモンドダストのようにきらきらと青白い光を反射する もや を噴き出していた。
17:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:18:37.60 ID:87tC1tni0
五、民宿の主人
18:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:22:52.03 ID:87tC1tni0
老人「はいはい、お泊りで?」
男がどう答えればいいか、自分たちに起こったことをどう説明すればいいか困っていると、老人が心得たふうに言った。
19:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:25:18.17 ID:87tC1tni0
老人が廊下の奥に行って見えなくなると、遠くで女の人と話しているのが聞こえた。
どちらかが何か言うと二人はこそこそと内緒話をするような声になったが、すぐに話を切り上げて老人が戻ってきた。
老人「二階の部屋をひとつあてよう。なぁに、ちゃんと仕切りがあるから大丈夫だ。
20:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:27:56.34 ID:87tC1tni0
女「お泊まり〜!」
女は一方のベッドに仰向けになって飛び込んだと思うと、
そのまま目を閉じてすぐに寝息をたて始めた。
21:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:33:44.42 ID:87tC1tni0
男「じゃあ屋上行かないか? よく晴れてるし、星の名前教えてやるよ。」
部屋を出てから向かって右の短い階段を登って屋上へ出てみると、
空の端っこの、地平線のすぐ近くまで鮮やかに輝く星たちが、街に並んだ屋根の上を覆っていた。
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