過去ログ - 【モバマス】「こんなにも幸せな傷あと」【佐城雪美】
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2013/12/20(金) 22:07:05.22 ID:NFA4OfSv0
モバマス、佐城雪美のSSです
少しのあいだ、お付き合いいただければ幸いです
【モバマス】「幸子、俺はお前のプロデューサーじゃなくなる」
【モバマス】「まゆ、お前は夢を見せる装置であればいい」
【モバマス】「橘ありすの電脳世界大戦」
と、同じ世界観の話です
SSWiki :
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2013/12/20(金) 22:08:13.73 ID:NFA4OfSv0
左手が燃えてるみたいに熱くて、目を開ける。
手の甲に、かさぶたにおおわれた、細長いきずあと。
「これ……なん、だっけ……?」
以下略
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2013/12/20(金) 22:08:54.93 ID:NFA4OfSv0
膝の上のペロを見下ろすと、まばたきを返される。
「ペロ……人間のことば、わかるように、なった……?」
じぃっと見つめ合う。
以下略
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2013/12/20(金) 22:09:44.63 ID:NFA4OfSv0
食卓に並んだ朝ごはんは、今日も、すごく豪華。
色がきれいで、種類もいっぱいで、食べきれないぐらい。
「雪美、食欲はある?」
以下略
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2013/12/20(金) 22:11:06.05 ID:NFA4OfSv0
駅前広場に降り積もっていた雪は、もうあとかたもなく溶けていて。
久しぶりに浴びる外の陽射しが、目に痛い。
私はうつむき加減に、腕の中のペロのあたたかさを確かめながら……ゆっくり歩く。
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2013/12/20(金) 22:12:24.32 ID:NFA4OfSv0
遅れて席に向かって、プロデューサーの隣に座る。
向かいには桃華ちゃんと……ひとめで緊張してるって分かる、可愛い子。
「わたくしの方から紹介しますわ。この子は橘ありす。小学校卒業を境に、晴れてアイドルになりましたの」
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2013/12/20(金) 22:13:18.33 ID:NFA4OfSv0
答えられない。
代わりに、ペロが、にゃぁーうと鳴いた。
私は、膝の上のペロに見上げられてる。
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2013/12/20(金) 22:13:57.22 ID:NFA4OfSv0
その日の夜、お出かけで疲れてたのかな、ふっと目が覚めた。
部屋はまだ真っ暗で、だけど、窓から射す月の光が、壁を明るく照らしてる。
私と……それから、私の上に乗ったペロが、そこに黒い影を描いてた。
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2013/12/20(金) 22:14:37.84 ID:NFA4OfSv0
『ゆきみへ。
きのうはありがとう!
ぷろでゅーさーさん、いいこというね。
以下略
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2013/12/20(金) 22:15:33.34 ID:NFA4OfSv0
ベッドで毛づくろいするペロに近づき、顔を寄せるようにして、ぷぅっと頬を膨らませる。
「ペロ……じぶんが会いたいだけ。……ずるい」
ペロが慌てて顔を上げると、首を左右にぶんぶん振った。
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2013/12/20(金) 22:17:31.79 ID:NFA4OfSv0
CDショップの壁には、幸子さんのポスターが何枚も貼ってある。
イベントが始まるまで結構な時間があるのに、店の中にはたくさんの人がいる。
店内を歩き回っていると、店員さんと話しているスーツ姿の男の人がいた。
以下略
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2013/12/20(金) 22:18:23.45 ID:NFA4OfSv0
黙ったままでいる私の、手の下で……ペロがにゃぁうと悲しげに鳴く。
「ですけど、大切な人とお別れしなくちゃいけなくなった時に、アイドルである自分をも投げ捨てたら、何もかもがダメになる気がしたんです。ボクを信じてくれた彼も、彼が信じたボクも、そんなボクを好きになってくれたファンの人たちも、ぜんぶです。それだけは……嫌でした。その時、ボクは、自分にとって大切に思えるものが……彼以外にこんなにも増えていたことに気づかされました。それに気づけたからこそ、ボクは今でもここにいるんでしょうね」
「後悔……してない?」
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2013/12/20(金) 22:19:19.14 ID:NFA4OfSv0
『ゆきみへ。
さちこちゃん、すごくしんけんな、いいこだったね。
ぼく、ちょっとかんげきしちゃったよ。
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2013/12/20(金) 22:20:28.29 ID:NFA4OfSv0
待ち合わせの喫茶店にまゆさんが来たのは、私とプロデューサーが着席した数分後。
まゆさんは、遠目でも分かるぐらいに、ばつぐんの美人で……目立ってる。
プロデューサーの隣に控えて、自信満々に、歩いてくる。
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2013/12/20(金) 22:21:27.32 ID:NFA4OfSv0
「まゆさんは……アイドル……辞めようとしたこと、ある?」
「辞めざるを得なくなっていたかもしれない、という意味でなら、ありますねぇ。今、まゆはアイドルですけど、それよりずっと高い確率で、普通の学生として過ごすまゆがいたと思います。ただ、実際には、まゆをアイドルの道に引き戻してくれた人がいましたからねぇ。まゆの人生を普通じゃなくした責任だけは、うふ、取ってもらわないと」
今までとは雰囲気が違う……なんだか背筋がぞわぞわする感じの笑い方を、まゆさんはする。
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2013/12/20(金) 22:24:21.80 ID:NFA4OfSv0
翌朝、お手紙、なかった。
代わりに、プロデューサーから電話。
今から会いたいって。
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2013/12/20(金) 22:25:13.27 ID:NFA4OfSv0
「なに……言ってるの?」
今日のプロデューサー……おかしい。
「……到着だ」
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2013/12/20(金) 22:25:55.72 ID:NFA4OfSv0
ペロ……頭の病気だった……。
最初は、一緒にベッドでおやすみしてた時のこと。
いきなり、ペロがびくびくって体を震わせ始めた。
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2013/12/20(金) 22:26:37.27 ID:NFA4OfSv0
自分の部屋のベッドに倒れて……ぼんやりと、天井、見てた……。
もう、何日も……こうしてるような気がする。
ノックの音がして……でも、返事しようって思えない。
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2013/12/20(金) 22:27:23.98 ID:NFA4OfSv0
別の日に、きれいなお花を持って、幸子さんが来てくれた。
「ペロちゃんのこと……残念でした……」
幸子さん、ベッドのそばにひざまずいて……鼻をすすり上げた。
以下略
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2013/12/20(金) 22:28:09.07 ID:NFA4OfSv0
ライブイベント当日……控え室に私が入ると……空気がざわってした。
一瞬だけ静かになって……それからまた、みんなは近くの子たちと話し出す。
私……部屋の隅っこの、椅子に座って……うつむいた。
以下略
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