過去ログ - 貴音「私は、アイドル」
1- 20
1:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:17:01.87 ID:wTtaWsb20

それは、月が高く上った夜の事でした。
私は、ある決意を胸に秘め、庭で月光浴をしている父の後姿に、声をかけました。
このような狭い場所に居る私は、そう、まだ外の世界を知らぬまま。
もっと高みから、何も囲われていない場所から、全てを見渡したい。
そう伝えました。
父は、こちらを振り向くことも泣く、頷くだけでした。
別れの言葉を口にしようとして、しかし私はその言葉を飲み込みました。
そう、いずれはまた、帰ってくるのだから。

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:20:51.50 ID:8B4o9Bbmo
俺は違う


3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:24:40.27 ID:wTtaWsb20


父との挨拶を終えると、母が廊下の向こうから歩いてきました。
私と同じ、銀の髪が、夜風に靡き、煌めいています。

以下略



4:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:26:37.75 ID:wTtaWsb20

「貴音様!」

血相を変えたじいや…この屋敷で執事を勤める原という…が、私に駆け寄ってくる。

以下略



5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:27:24.56 ID:wTtaWsb20

静まり返った屋敷の中を、私はゆっくりと歩いていきます。
長年育った屋敷の風景も、今となっては、やはり離れがたい愛着というものがあります。
ようやく玄関までたどり着くと、深夜だというのに、寝ているはずの屋敷の使用人達が並んでいました。
じいやが、手を回したのでしょう。
以下略



6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:28:31.70 ID:wTtaWsb20

じいやから渡された鍵の住所にたどり着くと、既に部屋の中には、私の私物がいくつか運び込まれていました。
必要最低限の、衣食住を満たすその部屋。
かといって、あばら家というわけではなく、必要以上に豪華なわけでもなく。
しかし、近代的な防犯設備を整えたこのマンションを選んだのは、じいやではなく、女中の橋本だったのかもしれません。
以下略



7:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:29:34.04 ID:wTtaWsb20

「ねーねー、そこの彼女、綺麗な髪だね、名前、なんていうの?」

軽薄な口調の、私より少し年上の男性が、道行く間に声をかけてくるのも気に留めず、私はただ、街を歩いてみました。
郷里では中々目にかかれない、この雑踏の中、私は目立つのか、皆が振り向いているようです。
以下略



8:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:30:18.52 ID:wTtaWsb20

「おお、そこの君」

少し深みのある、低い声が聞こえてきました。
首をめぐらせると、濃茶色のスーツを着た壮年の男性が私のほうを見ています。
以下略



9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:31:19.34 ID:wTtaWsb20

トップアイドル…?

「そうだ。華々しいステージパフォーマンス。多くのファンを魅了する歌声、演技、美貌。何よりも、ファンを、見た者を幸せにするのがアイドルの仕事だと私は考えている…今、君の姿を見てピーンと来た!君にはその素質がある!是非、我が765プロダクションでトップアイドルへの第一歩を踏み出してみないか?!」

以下略



10:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:32:11.81 ID:wTtaWsb20

「諸君!ただいま!」

さして広くないその事務所のドアをくぐると、高木殿は非常に上機嫌そうな声で、室内の誰かへと声を掛けていました。

以下略



11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:37:38.51 ID:wTtaWsb20

学生服のお下げの少女が、高木殿に厳しい言葉を浴びせています。

「まあまあ、律子さん。そのくらいで…」

以下略



12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:40:09.83 ID:wTtaWsb20

「んー、じゃあ、四条さんはねー、まず自分達のダンスを見てもらったほうが良いんじゃないかな?」
「頑張ってねー、響ー」
「んがー!違う!美希も一緒に踊るの!」
「えー」
以下略



13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:43:22.90 ID:wTtaWsb20

誰も居ない、屋敷に比べれば、比べるまでも無く狭い部屋。
しかし、窓を開けば、大きく開けた視界の中に、都内の夜景と、郷里では考えられないほど少ない数の星しか見えない空が見えました。
だけれども、月の光は、どこに居ても同じ。白銀の輝きは、変わらず私を、街を照らしています。
先の分からない不安は、取って代わってこれから始まる新たな生活への希望となり、私は床に就くことにしました。
以下略



14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:44:46.57 ID:wTtaWsb20

それから数ヶ月。
小なりとはいえ、私を含めたアイドル候補は、アイドルとして、一応のデビューを果たしていました。

「おはようございます!貴音さん!」
以下略



15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:47:27.87 ID:wTtaWsb20

今日も、その生中継の収録が終り、私はBBSのスタジオへ向かう時でした。
仕事をはじめてから持たされている、携帯電話が震え、着信があったことを伝えます。
番号を見れば、小鳥嬢からでした。

以下略



16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:57:31.72 ID:wTtaWsb20


記憶を頼りに、その場所へと向かう。
幼少の頃に連れて来られたきりの場所は、周囲の近代的な建造物と異なり、あまり変わった様子は見受けられませんでした。
しかし、そのどれもが、あの頃より小さく見えるのは、きっと私が成長したという証なのかも知れません。
以下略



17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 22:59:04.35 ID:wTtaWsb20

ですが、それで良いのです。父は、そういう人ですから。

思わず、その姿に、駆け寄って抱きついてしまいました。
もう、十年以上も抱きしめたことのない父の体は、あの頃に比べれば細く、頼りなげなものになった気がします。
以下略



18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 23:00:13.26 ID:wTtaWsb20
ですが、それで良いのです。父は、そういう人ですから。

思わず、その姿に、駆け寄って抱きついてしまいました。
もう、十年以上も抱きしめたことのない父の体は、あの頃に比べれば細く、頼りなげなものになった気がします。
それでも、抱き返してくれたときの暖かさは、変わりませんでした。
以下略



19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 23:00:42.95 ID:wTtaWsb20


「おはようございます、今日も朝から、冷え込んでおりますね。今日の最低気温は東京で−3℃と厳しい寒さを記録しております。皆様、どうか風邪など引かれませんように…それでは、全国のお天気に参りましょう」

今日は、週に一度の朝の情報番組の天気予報の司会です。
以下略



20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 23:03:43.61 ID:IKUojZaXo
おつたか


21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/01/21(火) 23:14:00.27 ID:wTtaWsb20
昨日の、貴音父「娘はアイドル」の貴音視点…になっていればいいなぁ。
貴音、お誕生日おめでとう。


23Res/18.75 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice