過去ログ - 星の声が聞こえている
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31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/22(日) 18:40:40.11 ID:kSjeRAO4o

 スイッチに指をかけ、しばらく迷った末にオンにする。
 しかし何の音も聞こえてこない。
「あれ?」
 おかしいなと耳を近づけた。
以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/22(日) 18:41:12.56 ID:kSjeRAO4o

 風の吹き渡る砂漠が頭に浮かんだ。
 晴れ渡って強い日差し照り付ける黄砂の海。
 強風が砂の粒を乱暴に転がす。
 もみくちゃにされてぶつかり合う粒が奏でる音、それに似ているような。
以下略



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/22(日) 18:42:00.18 ID:kSjeRAO4o

 装置から耳を離す。
 いつの間にか閉じていた目を開く。
 イメージの中よりもだいぶ優しい日の光に照らされる校庭に戻ってきた。
 装置のスイッチを切った。
以下略



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:47:11.04 ID:SRH5G3sNo

……

「こんばんは。あれは気に入ってもらえたかな」
 先に来ていたらしいムロイは、丸太に腰かけたままこちらに笑いかけてきた。
以下略



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:48:24.75 ID:SRH5G3sNo

 彼はケイの手から装置を受け取ると、立ち上がってスイッチを入れた。
 さああ、と木々のざわめきのような潮騒のような音が流れ出す。
 昼間よりも大きくはっきりと聞こえた。
 その音と夜の闇をバックにムロイは口を開く。
以下略



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:49:07.63 ID:SRH5G3sNo

「もう二つ疑問があります」
 ケイは消え去った流星の跡から視線を下ろしてムロイに言った。
 ムロイはどうぞと微笑んだ。
「その装置が星の波……その、電磁波をきちんと拾えてるって保証はあるんですか? 他のものを拾っている可能性は?」
以下略



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:49:35.83 ID:SRH5G3sNo

 ケイは一拍おいて口を開いた。
「それは本当に星の声なんですか?」
「と言うと?」
「だってその装置はさっきムロイさんが言っていたように単に星が発する電磁波を拾っているだけじゃないですか。
以下略



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:50:24.06 ID:SRH5G3sNo

 ムロイはぎょっとした様子でケイを見つめてきた。
 ただ、それは核心を突かれて動揺したというよりは、そんなことを聞かれるとは思わなかったという驚きのようだった。
「そんなことを聞くのかい?」
 彼は実際に口に出しもした。
以下略



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:50:59.56 ID:SRH5G3sNo

 ムロイはしきりにうなずいた。
「そういえば考えたこともなかったよ。星は人間に何かしらのメッセージを送っていて、人間がそれを聞き取れないだけだとなんでだか思い込んでた。それ以外の可能性は思いつきもしなかった」

 今だ鳴っていた装置のスイッチを切って彼はこちらに訊ねる。
以下略



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:51:42.32 ID:SRH5G3sNo

「君はあの音を聞いてみてどう思った?」
 ムロイは急に問いを変えた。
「あの音は君にはどういう風に聞こえた?」

以下略



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:53:06.11 ID:SRH5G3sNo

 闇の中を漂う自分を思い浮かべる。
 遠く、はるか向こうに光が見える。他者がいる。
 しかし触れることはできない。
 理解し合うなど望むべくもない
以下略



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