過去ログ - 【咲-saki-ss】加治木ゆみ「開けずの扉」
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2014/11/24(月) 21:06:42.12 ID:CCn7M9KF0
ホラー?
短編です。
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2014/11/24(月) 21:08:30.91 ID:CCn7M9KF0
その扉には鍵は掛かっていない––––。
何か物が置いてあるわけでもないし、壁に描いたフェイクというわけでもない。何の変哲もない旧い扉だと云うだけで、開けようと思えば開けられるのだ。
しかし。
以下略
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2014/11/24(月) 21:17:33.21 ID:CCn7M9KF0
そもそも、開かずならぬ開けずなのだ。
開かずの扉なら、それは古くなって扉が壊れただとか、鍵が無くなっただとか、又それらしく呪いが掛けられてあるだとか、如何にもな理由が付けられる筈だ。この話なら扉だけで成り立つ。
だが、これは開けずの扉なのだ––––。
以下略
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2014/11/24(月) 21:18:29.96 ID:CCn7M9KF0
扉は我が麻雀部の片隅にひっそりと佇んでいる。
麻雀部の部室は、左隣りに多目的室、右隣に音楽室がある。その音楽室と麻雀部の中間辺りに畳三畳ほどのスペースがあり。扉はそのスペースへの入り口のように、麻雀部の音楽室側の壁に掛かってある。
このスペースは、学校の地図で見てもただ無意味な空白があるのみであり、外から見ても、そのスペース分だけ不自然に窓の無い白壁があるだけだ。
以下略
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2014/11/24(月) 21:19:12.12 ID:CCn7M9KF0
凡てが終わり、さて鍵を掛けて帰るか、と思いふとまた部室を見渡した。
扉は暗がりの中で、カーテンの間隙を縫って入ってくる僅かな光を反射してぼうと浮かび上がっていた。窓のすぐ外は、人気の無い山中になっているので人工の光はまず入ってこない。だから光源は月や星などの、自然の光だけである。
暗がりの扉は異様な存在感を放っていた––––。
以下略
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2014/11/24(月) 21:20:39.59 ID:u9ziZBBio
京太郎はよ
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2014/11/24(月) 21:21:30.64 ID:CCn7M9KF0
蒲原「開けずの扉?」
私は次の日に、蒲原に噂の事を話してみた。蒲原はいつもの調子でワハハと笑い答えた。
その顔は。
以下略
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2014/11/24(月) 21:22:22.80 ID:CCn7M9KF0
ゆみ「お前ですら開けた事が無いのか、睦月や妹尾はどうだ?」
私は、同じ部室で卓を磨いていた睦月と妹尾にも尋いてみる事にした。
睦月「いえ、開けたことなんてありませんね。というより、そんな話知りもしませんでしたし、扉の存在だって今日、先輩に聞いて初めて意識しましたよ」
以下略
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2014/11/24(月) 21:23:31.61 ID:CCn7M9KF0
私は、
ゆみ「待て、今の時間じゃ校舎に沢山の人が居る。扉は旧いから開けようとすれば、とても大きな音が響く。周りに煩瑣がられても仕方ないから、開けるのは陽が落ちて校舎に人が少なくなってからにしよう」
と、蒲原を制した。
以下略
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2014/11/24(月) 21:24:11.83 ID:CCn7M9KF0
麻雀部として初めてインハイに出場し、準決勝へ進出し、そこで久達と出会い、結果負けはしたが悔いの残らない素晴らしい試合が出来た。
新学期が始まっても、夏の残暑と時折吹く涼しい風が私にあの時を、まるで昨日のことのように思い出させてくれる。そして、いつの間にか一ヶ月が経ち、涼風の心地よい季節になった。
あの夏は––––。
以下略
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2014/11/24(月) 21:25:05.60 ID:CCn7M9KF0
あまりの大きさに、睦月が耳を塞ぐ。蒲原はそれを見ると一瞬躊躇したが、睦月の私は大丈夫です、という返事を訊き再びドアノブを廻した。蒲原は扉を引く。錆び付いていたので重いのか、なかなか開こうとはしない。だが、感触はあるらしく、そのまま引こうとする。
数ミリ––––動いた。
やはり、扉は開く––––。
以下略
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2014/11/24(月) 21:26:50.74 ID:CCn7M9KF0
不愉快な騒音の最中に、聴こえる筈もない声が聞こえるなんて、別におかしくない。空耳という奴だろう。
だが。
すっかりその場はお開きとなった。
以下略
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2014/11/24(月) 21:27:22.60 ID:CCn7M9KF0
だけど私は。
ふと、学校の––––麻雀部の部室の方に振り返った。
こちら側からは、別の校舎の影になって見えないのだけれど。
以下略
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2014/11/24(月) 21:29:22.96 ID:CCn7M9KF0
忘れたふりをしているだけで––––忘れられなかった。
そんな思いも、雑多な日常の流れに身を流して気にしないふりをした。そうした方が良いと、私は何故か考えたのだった。
こうして、また時が過ぎて行く。
以下略
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2014/11/24(月) 21:30:58.04 ID:CCn7M9KF0
私は当然、予期せぬ呼び声にびくりとする。蒲原か––––いや、睦月か妹尾か。あるいは、
「どうしたんっすか。こんなところで––––」
桃子か。
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2014/11/24(月) 21:31:38.50 ID:CCn7M9KF0
でも。
秋のことなら、そんな昔ではない。
しかし、昔のことなのだ。
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2014/11/24(月) 21:32:04.53 ID:CCn7M9KF0
「開けずの扉は開けてはならない––––だから、開けずの扉」
ゆみ「知っていたのか?」
桃子はまた笑った。それは、優しく息を吹きかけるようであった。
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2014/11/24(月) 21:32:30.56 ID:CCn7M9KF0
ゆみ「なら、開ければ呪いも消えると言う訳か……」
「そうっすね。開ければ、呪いも消えます––––それが呪いなのですから」
誰に聞いたのだ。
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2014/11/24(月) 21:33:08.83 ID:CCn7M9KF0
ドアノブを握りしめる。
あの、ぎぃと云う扉の軋む不快な音が鳴り始める。
桃子は、以前くすくすと笑っていた。
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2014/11/24(月) 21:35:12.94 ID:CCn7M9KF0
私は––––。
大声で叫んでしまった。
そして––––。
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2014/11/24(月) 21:35:50.16 ID:CCn7M9KF0
三階は、我が麻雀部と音楽室の間––––つまり、あの謎のスペースがある場所である。
だから。
死体は翌朝まで誰にも発見されることがなかったのだと言う。
以下略
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