過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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242: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 00:50:05.46 ID:py78Qnqv0
 会場にいた者たちは京太郎の姿から全てが終わったと察した。

京太郎の手の中にある五体の生き人形。ぼろぼろになってしまった京太郎の服。そして輝く赤い目から流れている血涙。赤く染まった京太郎の両手。京太郎の姿は尋常なものではない。明らかに怪しい。しかし京太郎の浮かべる表情が終わりを教えてくれていた。もう、戦いに向かうものの空気ではなかった。

 京太郎の姿を見た出席者の何名かは、鼻を鳴らしていた。泣いているわけではない。京太郎の血の匂いをかいで、鼻を鳴らしたのだ。この何名かの気持ちというのはオロチと同じ気持ちである。
以下略



243: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 00:54:10.52 ID:py78Qnqv0

 茶番劇に決着がつくと、パーティ会場が騒がしくなった。出席者たちがそれぞれに口を開いている。いいたいことがいろいろとあるのだ。ただ、出席者たちの会話の内容には大体「魔人」という単語と「松常久の悪魔化」という単語が含まれていた。

しかしあまりいい雰囲気ではなかった。冷たい空気ではなく、妙な熱さが感じられる。熱に浮かされて頭がまともに動いていないように見えるものが多い。酒に飲まれた状態だった。

以下略



244: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 00:58:12.85 ID:py78Qnqv0

 寝かされている五名が龍門渕のヤタガラスによって運ばれていった。それに付き添って虎城も一緒に消えていった。会場から出て行く途中で京太郎に虎城は深くお辞儀をした。京太郎はそれにあわせて頭を下げた。お辞儀をされたから自分もお辞儀をしなければならないと、反射的にお辞儀をしてしまったのだ。

 そうするとソックは肩からずり落ちそうになった。そうして京太郎の頭にしがみつくことになった。京太郎の頭にしがみついているソックは鼻息が荒くなっている。急に京太郎がお辞儀をしたからだ。まさか、肩車をしている状態から深いお辞儀をするとは思っていなかったのである。

以下略



245: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 01:00:54.43 ID:py78Qnqv0

 出口に向かって歩いていく京太郎に、ディーがこういった。

「サンキューな須賀ちゃん。スカッとした」

以下略



246: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 01:06:26.53 ID:py78Qnqv0

 京太郎からビニール袋を受け取ったソックはずいぶんはしゃいでいた。そしてこんなことをいった。

「よし、衣ちゃんに頼もう! 確かブルーレイのプレイヤーがあったはず!」

以下略



247: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 01:10:34.79 ID:py78Qnqv0

 主人を差し置いてメイドが説明をするのはどうなのか。しかししょうがないことだ。龍門渕透華はこれからの龍門渕の顔役になる。そうなってくるとやはり立場に縛られるようになる。となると、立場に見合った発言が求められるようになる。

そんな彼女である。軽々しく事情を話すわけにはいかなかった。しかも京太郎はまだ正式な構成員ではない。正式な関係者ではないのだ。そんな相手に内部の力関係を匂わすのはまずかった。建前があるのだ。

以下略



248: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 01:15:37.01 ID:py78Qnqv0
 京太郎の答えから少し間を空けてから、龍門渕透華はこういった。

「わかりました。ではヤタガラス龍門渕支部所属の正式なサマナーとしてあなたを迎え入れましょう。

あと、報酬はアンヘルさんとソックさんが使っている口座に振り込んでおけばいいですか? それとも別? 日本円以外での支払いでもいいですよ?」
以下略



249: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 01:18:03.21 ID:py78Qnqv0

 アンヘルとソックが何かたくらんでいるのに天江衣は気がついていたけれども、文句を言う前に連れ去られていた。

天江衣を連れ去ったのは、これから天江衣の別館に向かいそこで京太郎から受け取った限定版の漫画を楽しむためである。アンヘルがソックのハンドサインに従ったのは、そろそろ暇だったからである。

以下略



250: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 01:21:37.86 ID:py78Qnqv0
エピローグ



 ほんのすこし時が進みインターハイ長野県大会当日。
以下略



251: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 01:24:35.15 ID:py78Qnqv0

 京太郎が影に開いた穴を見つめていると頼りない影は口を開いた。

そして声を発した。この声というのが実に不気味だった。ささやく声なのだが、一人の人間のものではない。

以下略



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