過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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47: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 04:27:24.01 ID:Joyq1BtQ0
 そして少ししてから戻ってきて、車の中で呆然としている京太郎にディーがこういった。

「須賀くん、少し無茶してもいいかな。大分道が変わっているみたいで、ショートカット気味に移動しないと時間がかかりすぎて間に合わなくなりそう」

 かなり申し訳なさそうな顔をしているディーに京太郎が応えた。
以下略



48: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 04:32:36.25 ID:Joyq1BtQ0
 調子はずれのリズムに眉をひそめている京太郎にディーが言った。

「これがこの車の心臓部分、というと正確じゃないがまぁ、そういう感じ。
 須賀くんにはこいつにマグネタイトを吸わせてやってほしいのよ。手を置いておくだけで大丈夫。後はこっちでやるからさ。大丈夫そう?
 これお嬢たちに見せたらドン引きしてたからさ、触れる?」
以下略



49: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 04:37:35.19 ID:Joyq1BtQ0

 何が言いたいのか理解できない困っている京太郎にディーがこういった。

「味だよ味。マグネタイトがブランデーみたいな味がするのよ」

以下略



50: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 04:40:23.92 ID:Joyq1BtQ0
ディーの答えを聞いて京太郎は表情を曇らせた。そしてこういった。

「すみませんなんか、聞いちゃいけないことを」

何かあったのだとすぐに察せられたのだ。悪魔たちが存在し悪魔たちと契約する者たちがいる世界だ。
以下略



51: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 04:51:36.61 ID:Joyq1BtQ0
 この会話から三分後、スポーツカーは大きなビルような建物が立っている場所に向かって走っていった。先ほどまでの運転とは打って変わって非常に緩やかな動きと丁寧な移動だった。というのが、今までとは事情が少し違っているからなのだ。

 今まで無茶な運転をディーが行えたのは周りに人の気配がなかったからである。無限に広がる道だけの異界でしかも事故の危険性が限りなく低かったために四桁近い速度で移動ができていたのだ。

 しかし、ここからは違う。ここからは人がたくさん集まってきて、スピードを上げすぎると事故が起きる可能性が高くなる。それはとても困る。
以下略



52: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 04:56:39.49 ID:Joyq1BtQ0

 京太郎がだずねるとベンチに横たわったおっさんがこういった。

「大丈夫だ。すまねぇな。ちょっと車酔いしただけだ」

以下略



53: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:02:01.24 ID:Joyq1BtQ0
サガカオルが自分の首にかかっているタオルと空になったビンを見せるとパイナップルみたいな髪形の女性がこういった。

「あらまぁ! 親切な子ね! もう、本当にごめんなさいね、この人自分の年を考えずに飲みすぎちゃって、それで車酔いなんてしちゃって。

 でもよかったの? マッスルドリンコは結構使うでしょう、自分の分がなくなっちゃうわよ。それにそのタオルもおっさんくさくなって使えなくなるわよ」
以下略



54: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:06:58.77 ID:Joyq1BtQ0

 すばやいサガカオルを見て京太郎が呆然としているとパイナップル頭の女性がこういった。

「急に元気になっちゃって。ごめんなさいね。本当に」

以下略



55: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:12:14.37 ID:Joyq1BtQ0
 ディーの運転する車に戻ろうとしたとき、京太郎は立ち止まった。きょろきょろとあたりを見渡していた。

誰かが自分を見ているような気がしたのである。しかし、危機感というのは京太郎からは感じられない。

どこからか視線を感じるけれども、その視線に悪意のようなものが混じっていなかったからである。
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56: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:17:16.96 ID:Joyq1BtQ0
休憩を終えた車はするすると道を進んでいった。今までのような道を飛び越えたりはねたりするような動きはほとんどなくなった。

それというのも、ハギヨシから送られてきた情報のおかげである。完全な異界の地図を手に入れられたわけではないのだが、それでもどこに進めばいいのかわからない状況よりはずっとましだった。

 この不完全な地図のおかげで、異界物流センターまでの道のりはかなり普通のドライブになっていた。
以下略



57: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:21:09.62 ID:Joyq1BtQ0
 ディーに質問を飛ばされた京太郎は間を空けて答えた。

「わからないですね。少なくともあの山よりは大きいんでしょうけど」

 ものすごく困っていた。富士山サイズの悪魔がいるということだけでも相当とんでもないことである。しかしそれでもまだまだ足りないというのだから、どのくらいなのかがわからない。
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