7: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:06:31.24 ID:w4MVYybr0
部活動が始まって、数十分後のことだった。京太郎を染谷まこがほめていた。
「なんじゃあ、今日は調子がええのぅ」
8: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:13:32.35 ID:w4MVYybr0
しかし、どこで壊れたのかわからないという答え方でも嘘ではない。正確にどのタイミングで携帯電話が壊れたのか、京太郎にもわからないのだ。
京太郎の答え聞いて原村和がこういった。
「本当に無事でよかったですね。早く犯人が見つかればいいのに」
9: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:16:36.45 ID:w4MVYybr0
宮永咲の心配する声も聞かずに京太郎は金庫に手をかけて持ち上げた。京太郎は古びた金庫の底に手をやって、ほかの二人が手伝う前に持ち上げたのだ。ヒョイという擬音が似合う動きだった。
むしろ軽すぎたのか持ち上げすぎてバランスを崩していた。京太郎は、そこそこ重たいといって情報を得ていたので、結構な力を入れて金庫に挑みかかったのだ。そうしていざ持ち上げてみると、それほど重くない。
そうなってみると重たくもないのに力を入れすぎたということになるわけで、勢いがあまって体のバランスを崩しかけたのである。
10: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:21:21.87 ID:w4MVYybr0
髪の毛の話をしているとき異変に気がついたものが一人いた。染谷まこだ。異変といってもたいしたものではない。京太郎の灰色の髪の毛が、かつて
「金髪だった」
と断言できたのが、染谷まこだけだったのだ。ほかの部員たちは宮永咲も含めて
11: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:25:18.54 ID:w4MVYybr0
麻雀部の部員たちと校門で別れた京太郎は一人で帰り道を歩いていた。京太郎は帰り際に買い食いでもしないかといって誘われた。しかし、「さっさと帰ってきて休め」と両親から言いつけられていたので、断ったのだった。
そうして、少し早歩きで、普通目に見るととんでもないスピードで帰り道を進んでいた。
12: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:30:23.11 ID:w4MVYybr0
京太郎が答えようとしたところで、ソックが先に答えた。
「漫画だな。宇宙生物と耽美な高校生が戦う話。古い小説を原作にしてて面白いんだ。
13: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:34:18.74 ID:w4MVYybr0
京太郎が母の元にたどり着くと母がこういった。
「晩御飯ができたわよ。食べましょう」
母の髪の毛は綺麗な金髪だった。しかし日本人だ。京太郎よりもずっと背が低い、どこにでもいそうなおばさんだ。京太郎が持っているふんわりとした雰囲気は母親から受け継いだものだろう。
14: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:38:19.68 ID:w4MVYybr0
朝ごはんを食べ終わった京太郎がリビングでくつろいでいた。本日は龍門渕のパーティーに一応呼ばれているので、京太郎はワイシャツとスラックスという格好をしていた。
そもそも一般市民の京太郎にとってパーティーなどという上流階級の催し物というのに縁がない。そのため、さっぱりその手の服装というのも持っていなければ、どういう振る舞いをするべきなのかというのもわからないのだ。
しかも、急な話であったから、良い対応をするという気持ちさえわいていない。一応、家族に相談してみたものの、家族もまた一般市民であって、当たり障りのない格好をしていけばいいだろうというようにしかいえなかったのだ。
15: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:42:12.59 ID:w4MVYybr0
玄関から出てきたところでハギヨシに招かれて、車の後部座席に京太郎は乗り込んだ。今まで生きていてまったく触れる機会がなかった超高級車を前にした京太郎の動きは非常にぎこちなかった。自分の体がぶつかって、何か失敗してしまったら大変なことになるという考えが頭にあるのだ。
「弁償だとか、そういう話になったとしたら終わりだな」
そんな悪い考えが頭に浮かんできてしまい、全身を上手く支配できなくなっている。
16: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:48:25.96 ID:w4MVYybr0
ハギヨシの質問を受けた京太郎は答えた。
「いえ、まったく何も決めていません。あと、須賀さまはやめてもらえますか。なんだか、ざわざわするので」
ずいぶんはっきりと言い切った。そして運転手にもハギヨシにもわかるくらいに、所属をどうでもいいと思っているのがわかる口調だった。京太郎は自分がどこの組織に所属するべきなのかまったく考えたことがなかった。
17: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 04:51:45.64 ID:w4MVYybr0
しかし普通に道が長かった。そのため思ったよりも話が合うハギヨシと運転手とで京太郎は暇をつぶしをしていた。
といってもたいしたことではなくただの世間話である。車の中でいろいろと話をしているときに、京太郎は自分の趣味を聞かれた。実にたいしたことではない。そのときに京太郎はこういった。
「麻雀ですかね、最近は漫画を読んだりしてますけど」
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